以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
図2は本発明の実施形態のカメラモジュールの構成を模式的に示す断面図、図3は図2のカメラモジュールにおいて、配線基板の上にレンズユニットが配置される様子を示す斜視図である。
図2に示すように、本実施形態のカメラモジュール1の配線基板10では、樹脂などの絶縁基板11に複数の配線層14が積層されて内蔵されており、その最上の配線層14が接続部C1となっている。配線基板10の上にはCCDやCMOSセンサなどの撮像素子12が実装されており、撮像素子12の電極がワイヤ16によって配線基板10の接続部C1に接続されている。また、配線基板10の上には撮像素子12に接続されてその画像情報を処理するDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などの画像処理デバイス15が実装されている。
配線基板10の一端部には切欠段差部11aが設けられており、そこに配線基板10の外部接続領域ERが配置されている。外部接続領域ERには配線層14に接続された接続パッドC2が形成されている。また、接続パッドC2上の絶縁基板11の部分が開口されて凹部11bが設けられており、接続パッドC2は凹部11bの底部に配置されている。
そして、画像処理デバイス15が配線層14を介して接続パッドC2に接続されている。このように、撮像素子12は画像処理デバイス15を介して接続パッドC2に電気的に接続されている。
また、撮像素子12の外周部には中央部に開口部が設けられた枠状支持部18が撮像素子12を収容するように設けられている。そして、枠状支持部18の開口部にガラス板20が封着されている。
さらに、枠状支持部18の上にレンズユニット30が設けられている。レンズユニット30は、レンズ部40と、レンズ部40を駆動させるためのアクテュエータであるボイスコイルモータ(VCM)50と、それらを支持する外枠部60によって基本構成される。
レンズ部40は、撮像素子12の上に配置された円筒状の保持体42と、その内部に保持されて垂直方向に並んで配置された複数のレンズ群44とによって構成される
レンズ部40の外周側には、レンズ部40を光軸方向(図2では上下側)に駆動させるためのボイスコイルモータ50が設けられている。ボイスコイルモータ50はレンズ部40の保持体42の外周に巻かれたコイル52とその外周側に配置された磁石54とによって構成される。
そして、コイル52に所要の電流を流すことにより、いわゆるリニアモータの原理によってレンズ部40が光軸方向に推進力を受けて駆動することができる。つまり、ボイスコイルモータ50の機能によってレンズ部40が前後に駆動されて画像のフォーカスなどが調整される。レンズ部40には不図示のスプリングが装着されており、これによってレンズ部40を規定位置に戻すことができる。
なお、図2の例では、レンズ部40を駆動するためのアクテュエータとしてボイスコイルモータ50を例示するが、ピエゾモータ(不図示)をアクテュエータとして利用することによってレンズ部40を駆動させてもよい。ピエゾモータでは、逆圧電効果を利用し、ピエゾ素子に電圧を加えることで結晶の伸縮が発生し、これによってレンズ部40を駆動させることができる。
さらに、ボイスコイルモータ50の磁石54の外側には、レンズ部40、コイル52及び磁石54を支持する外枠部60が配置されている。外枠部60の天井面の中央部には開口部62が設けられている。外枠部60の開口部62に光学的に等方性のガラス窓を封着してもよい。
また、レンズユニット30の外枠部60の下面には、下側に突き出た突出接続端子Tが設けられている。突出接続端子Tは配線66を介してボイスコイルモータ50のコイル52に接続されており、突出接続端子Tからコイル52に電流が供給される。突出接続端子Tは洋白(銅・ニッケル・亜鉛の合金)などの金属からなる。
図3には、図2のレンズユニット30が配線基板10の上に配置される様子が示されている。図3では図2の撮像素子12が省略されて描かれている。
図2に図3を加えて参照すると、配線基板10上の枠状支持部18の4隅には上側に突出する突起部18aが設けられている。また、レンズユニット30の外枠部60の一対の対向する外面の下側の両端部には枠状支持部18の突起部18aに対応する切欠部60b設けられている。そして、レンズユニット30の外枠部60の切欠部60bが枠状支持部18の突起部18aに嵌合した状態でレンズユニット30が配線基板10上の枠状支持部18の上に配置される。
また、レンズユニット30の外枠部60の下面において、配線基板10の切欠段差部11aに対応する部分に下側に突出する突出部60aが設けられている。さらに、その突出部60aの下面に上記した2つの突出接続端子Tが設けられている。そして、レンズユニット30の外枠部60の突出部60aが配線基板10の切欠段差部11aに嵌合し、レンズユニット30の突出接続端子Tが配線基板10の凹部11b上に配置され、凹部11bの底部の接続パッドC2に対向した状態となる(図2)。
このとき、配線基板10の接続パッドC2の上には銀ペーストなどの導電性ペースト64(導電性接着剤)が塗布されており、レンズユニット30の突出接続端子Tが導電性ペースト64に突き刺さる(図2)。
その後に、熱処理することによって導電性ペースト64を硬化させる。これにより、レンズユニット30の突出接続端子Tが導電性ペースト64を介して配線基板10の接続パッドC2に電気的に接続される。なお、導電性接着剤として導電性ペースト64を例示したが、はんだなどを使用してもよい。
レンズユニット30を駆動させるアクテュエータとしてピエゾモータを使用する場合は、ピエゾモータに接続される5つの突出接続端子Tがレンズユニット30に設けられ、同様に配線基板10の5つの接続パッドC2に導電性ペースト64によってそれぞれ接合される。
図4には、レンズユニット30の下面の2つの突出接続端子Tが導電性ペースト64によって配線基板10の接続パッドC2に電気的に接続された様子が示されている。図4の例では、レンズユニット30の突出接続端子Tは配線基板10の凹部11bの底部の接続パッドC2に接触しておらず、突出接続端子Tの先端と接続パッドC2の上面との間に導電性ペースト64が介在している。
配線基板10の凹部11bの底部に接続パッドC2を配置することにより、接続パッドC2上の凹部11bに導電性ペースト64が充填されるので、アンカー効果によって導電性ペースト64と接続パッドC2との密着性が向上し、特に横方向からの機械的な応力に耐えることができる。
なお、図5に示すように、導電性ペースト64の密着性が問題にならない場合は、配線基板10の接続パッドC2の上に設けた凹部11bを省略してもよい。この場合は、配線基板10の切欠段差部11a(図2)の底面に接続パッドC2が埋め込まれた状態となり、接続パッドC2上に凹部が存在しない状態でレンズユニット30の突出接続端子Tと配線基板10の接続パッドC2とが導電性ペースト64によって接合される。
また、図4及び図5では、レンズユニット30の突出接続端子Tが配線基板10の接続パッドC2に接触していないが、突出接続端子Tが断線しない程度にそれらが接触するようにしても差し支えない。
図2に示すように、本実施形態のカメラモジュール1では、外光がレンズユニット30のレンズ群44を透過し、その下のガラス板20を透過する。このとき、ガラス板20は外光から可視光以外のIR(赤外線)領域の光を取り除くIRカットフィルタとして機能する。
さらに、ガラス板20を透過した光は撮像素子12に入射し、撮像素子12が光学信号を電気信号に変換する。その後に、撮像素子12の画像情報が画像処理デバイス15に送信されて画像処理が行われる。画像のフォーカスが合っていない場合は、画像処理デバイス15から配線基板10の接続パッドC2及びレンズユニット30の突出接続端子Tなどを介してレンズ部40の位置を変えるように、ボイスコイルモータ50のコイル52に電流が供給される。これにより、ボイスコイルモータ50の機能によってレンズ部40の位置が変更されてフォーカスが調整される。
本実施形態のカメラモジュール1では、レンズユニット30のボイスコイルモータ50のコイル52に電流を供給するための端子として、レンズユニット30の外枠部60の下面に突出接続端子Tを設けている。レンズユニット30を配線基板10に嵌合して接合する際に、レンズユニット30の突出接続端子Tに対応する配線基板10の上面側に接続パッドC2を設けておき、レンズユニット30の突出接続端子Tを導電性ペースト64を介して配線基板10の接続パッドC2に接合するようにしている。
このようにすることにより、従来技術と違って、レンズユニット30の側面に端子を設け、その端子をフレキシブル配線板やコネクタを介して配線基板10の下面の端子に接続する必要がない。つまり、レンズユニット30の下側に突出接続端子Tを設け、配線基板10の上面側に接続パッドC2を設けることから、カメラモジュール1の大きさはレンズユニット30及び配線基板10の大きさよって決定される。従って、カメラモジュールが不要に大きくなることがなく、小型化を図ることができる。
また、レンズユニット30の突出接続端子Tと配線基板10の接続パッドC2とを導電性ペースト64(又ははんだ)で接合するので、フレキシブル配線板やコネクタが不要になって部品数が削減される。さらに、配線基板10の下面にソケットなどの端子を特別に設ける必要はなく上面側に一般的な接続パッドC2を設ければよい。これによって、従来技術よりも配線基板10とレンズユニット30との接続構造を簡易とすることができ、低コスト化を図ることができる。
図6には、本実施形態のカメラモジュール1が内蔵された携帯電話機2(携帯端末機)が示されている。図6の内面図に示すように、本実施形態の携帯電話機2では、表示画面70を備えた上側筐体72と操作ボタン74などを備えた下側筐体76とが連結部78によって折りたたみ可能な状態で連結されている。
そして、図6の外面図に示すように、前述した本実施形態のカメラモジュール1が上側筐体72の表示画面70の下側に配置されている。カメラモジュール1は、そのレンズ部40が上側筐体72の表面側(表示画面70側と反対面)になるように上側筐体72に装着される。そして、レンズユニット30から外側に延在する配線基板10の外部接続部が携帯電話機2の実装基板に接続される。
本実施形態の携帯電話機2では、前述したカメラモジュール1が内蔵されるので、小型化及び低コスト化を図ることができる。