JP5062201B2 - 撹拌装置及び撹拌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、混合、溶解、晶析、反応、蒸留、脱泡、脱溶剤、乳化、粒子化等を目的とした撹拌処理用の撹拌装置に関する。
従来、撹拌装置の撹拌翼としては例えば、低〜中粘度の流体を処理する目的では、タービン翼やパドル翼、プロペラ翼等の小型翼を多段で使用する例が多く、中〜高粘度の流体を処理する目的では、アンカー翼や螺旋状リボン翼等が用いられることが多かった。しかし、チキソ性の高い流体を撹拌する場合、小型翼では翼周辺にある流体だけが流動し、翼から離れた部分、すなわち、撹拌槽内壁付近や槽底部付近では流動性が失われてしまい、混合不良を起こすことが知られていた。また、アンカー翼やリボン翼のように、撹拌槽内壁に沿うように翼が設置されている撹拌翼では、槽壁付近及び槽底部での流動は確保できるが、逆に、撹拌槽中心部の流動性が失われてしまい、やはり混合不良を生じることが知られていた。したがって、チキソ性の高い処理物を撹拌槽内で混合する場合には、上記撹拌翼のいずれを用いても、混合不良を起こすリスクが発生していた。
これに対し、図13から図15に示すように、撹拌軸13の回転方向に対して処理物を掻き上げる方向に傾斜したスクレーパを撹拌槽内壁側に有し、かつ、該スクレーパに連結し回転に伴って処理物を押し下げる方向に傾斜したパドルを有する上部翼(補助撹拌翼)14と、該撹拌軸の最下段に設けた平板状の下部翼(主撹拌翼)15とを備える撹拌装置11が提供されている(特許文献1参照)。
この撹拌装置の上部翼14は、複数段の上部撹拌翼、例えば図13から図15では、上段の上部撹拌翼16a、中段の上部撹拌翼16b、下段の上部撹拌翼16cから成り、撹拌槽内壁側には略T字形状に形成されたスクレーパが取り付けられている。槽内壁面と該スクレーパ外周部との間隙は小さくなるように設置されており、かつ、上下に隣接する下側に位置する上部撹拌翼の上端が、上段に隣接する上部撹拌翼の下端に対し、撹拌軸13の回転方向とは反対方向に向かって位相のずれを生じるように配置されている。
一方、下部翼15は、回転時に上昇流を生じるように、翼外周部と撹拌槽内壁面までの距離が離れ、かつ、撹拌軸の最下段に位置するように設置され、かつ、該下部翼上端が、上段に隣接する最下段の上部撹拌翼下端に対し、撹拌軸13の回転方向とは反対方向に向かって位相のずれを生じるように配置されている。
このような構成の撹拌装置11では、撹拌軸13が回転することによって、該撹拌軸13上に設置された上部翼14および下部翼15も回転する。その際、上部撹拌翼のスクレーパ部は、撹拌槽内壁付近の処理物を掻き上げるように上方に移動させ、かつ、撹拌槽中心付近の処理物を該スクレーパに連結された傾斜パドルが下部翼15に向かい押し下げるように下方に移動させ、さらに撹拌槽底部付近に設けた下部翼15が処理物を槽の径方向に吐出させることで上下循環流動を形成し、高粘度かつチキソ性の高い流体(液)を効率良く撹拌混合することができる。
また、図16から図18に示すように、撹拌軸23に配設される上部翼24と下部翼25とを有し、前記上部翼は平面視したときに切り欠き部を有し、回転方向に対し上向き角度で傾斜した複数段の上部撹拌翼26a、26b、26cで構成され、側面視したときに上段に位置する上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、その下段に隣接する上部撹拌翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、かつ、最下段の上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、前記下部翼25の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、前記下部翼の下端部は、撹拌槽内底面に近接するように配置されたことを特徴とする撹拌装置21が提供されている(特許文献2参照)。
このような構成の撹拌装置21では、前記撹拌軸23を回転させると、前記上部翼24によって槽上部(液面付近)の処理物が前記下部翼25側(槽下部)へ移動される。その際、上部撹拌翼に設けた切り欠き部の作用により、撹拌軸23の回転方向とは反対方向に回転する小渦流が上部撹拌翼の背面に複数発生し、この小渦流が、撹拌翼が回転することにより発生する撹拌軸23を中心とする大きな渦流に沿って、自転しながら公転する軌道を取って前記下部翼25付近まで到達するため、強力な下降流が発生し、これにより低粘度から高粘度に亘る幅広い粘度範囲の流体を効率良く撹拌混合することができる。
特開平06−170202号公報 特願2009−007498号公報
ところで、近年、化学工業製品に対する水性化や無溶剤化等への要望に加え、高機能化や複合化への要求が高まってきていることから、撹拌槽内で製造される水性化製品は、製造過程に高粘度かつ高チキソ性を呈する流動状態を経る傾向にある。このため、高粘度かつ高チキソ性流体の高効率撹拌に対応し、かつ、粘性の大きく異なる流体同士の撹拌混合や、撹拌槽内での液面変動に柔軟に対応できる撹拌装置が求められている。
しかし、前記スクレーパを備えた従来の撹拌装置11では、高粘度かつ高チキソ性を呈する流体を効率良く撹拌混合することはできるが、上下に多段配置された翼間に重なり部がない、すなわち、垂直方向に力の掛からない領域が存在するため、液面変動に弱いことが問題であった。溶剤希釈された、または、溶剤等の混入していない非水系の樹脂製品のように、均一系の流体(連続体)であれば問題は少ないが、水性化樹脂製品の多くは、本来水に溶解しないものを乳化分散させた不均一系の流体(不連続体)であるため、均一系の流体よりもチキソ性が強くなる傾向にあり、垂直方向に力の掛からない領域が存在することは、水性化製品を作り込む上で致命的な欠陥であった。特に滴下重合工程や転相乳化工程のように、処理液の量、すなわち液面位置と液粘度が撹拌槽内で大きく変動する工程では、混合不良に起因する反応不良や乳化物の粒子あれ、撹拌槽壁面へのゲル物の付着等、様々な不具合を発生することが懸念されていた。
また、切り欠き部を有する複数段の上部撹拌翼と下部翼とで構成され、上下に隣接する上段の撹拌翼下端を含む水平断面が、その下段に隣接する撹拌翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置されることを特徴とする従来の撹拌装置21においては、垂直方向に力の掛からない領域が存在しないため、製品製造過程の液面変動にも確実に対応できる構造になっていた。しかし、撹拌槽内壁面から撹拌翼外周部までの間隙が大きいため、高チキソ性流体を取り扱う工程においては、撹拌槽内壁面付近の流動状態が極端に悪化することが問題であった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、低粘度から高粘度までの広い粘度域の流体、チキソ性の高い流体、高粘度かつ高チキソ性の流体を、撹拌槽内の全域に亘って速やかに、かつ均一に撹拌混合することができ、さらに、製品製造工程の液面変動と粘度変化に確実に対応できる撹拌装置及び撹拌方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明に係る撹拌装置は、撹拌槽と、撹拌軸と、該撹拌軸に固定された上部翼と下部翼とを備えた撹拌装置において、前記上部翼は、複数段に配置された上部撹拌翼で構成され、該上部撹拌翼は、前記撹拌軸に接続された内翼部と、該内翼部の撹拌槽内壁側に連結された外翼部とで構成され、前記各上部撹拌翼の内翼部は、平面視したときに、該内翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して上向き角度で傾斜して設けられ、かつ、上段に位置する上部撹拌翼が下段に隣接する上部撹拌翼とオーバーラップ部分を有するように回転方向に対し先行して配置され、かつ、側面視したときに、上段に位置する上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、その下段に隣接する上部撹拌翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、前記各上部撹拌翼の外翼部は、平面視したときに、該外翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって前記内翼部の外周辺から撹拌槽内壁側の回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して下向き角度で傾斜して設けられ、かつ、該上部撹拌翼外翼部の外周辺が撹拌槽内壁に沿うような形で近接するように配置され、前記上部撹拌翼のうち最下段の上部撹拌翼は、前記下部翼と上下に隣接するように配置され、かつ、平面視したときに、最下段の上部撹拌翼外翼部の下方端部と前記撹拌軸中心点とを結ぶ平面図上の直線が、前記下部翼の翼径方向の中心線と所定の角度を持つように配置され、かつ、側面視したときに、最下段の上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、前記下部翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、前記下部翼下方端部は、撹拌槽内底面に近接するように配置されている。
本発明に係る撹拌装置は、撹拌翼の回転により発生する渦流と、該渦流とは逆方向に回転する小渦流を複数発生させ、かつ、下部翼の上方に湾曲部を持つ撹拌槽全域に亘る上下循環流を形成し、上部撹拌翼外翼部における撹拌槽内壁面付近での流体の掻き取り・掻き上げ効果と、上部撹拌翼内翼部における撹拌槽中央部の流体の押し下げ効果と、内翼部と外翼部の連結部付近における吐出流の分割・反転・合流効果と、それらの相乗効果により、低粘度から高粘度までの幅広い粘度域の流体、チキソ性の高い流体、高粘度でかつ高チキソ性を呈する流体や、粘度の大きく異なる複数の流体同士を、速やかにかつ効率良く均一に混合することができるようになる。
本実施形態に係る撹拌装置の正面図である。 同実施形態に係る撹拌装置の側面図である。 同実施形態に係る撹拌装置の平面図である。 本実施形態に係る上部撹拌翼の基本構造平面概念図である。 本実施形態に係る撹拌装置において、上下に隣接する上部撹拌翼間の位相差角度を説明するための平面概念図である。 本実施形態に係る撹拌装置における上部撹拌翼内翼部、外翼部の、撹拌軸の回転方向に対する上向き角度、下向き角度を説明するための上部撹拌翼の側面図である。 本実施形態に係る撹拌装置における最下段の上部撹拌翼の外翼部下端部と、下部翼との位相差角度を説明するための平面図である。 本実施形態に係る上部撹拌翼内翼部の縦板部分にて発生する水平方向の回り込み流れと、該回り込み流れの合流と速度差により発生する撹拌軸の回転方向とは逆方向に回転する小渦流の流線を示した上部撹拌翼周辺の斜視概念図である。 本実施形態に係る撹拌装置における、下部翼上方に大きな湾曲部を持つ上下循環流を説明するための正面概念図である。 本実施形態に係る撹拌装置において、下部翼と最下段上部撹拌翼との位相差角度を好適な条件に調整し、下部翼上方に大きな湾曲部を持つ上下循環流を形成させ、これを着色実験により可視化した際の写真である。 本実施形態に係る撹拌装置において、下部翼と最下段上部撹拌翼との位相差角度を調整し、下部翼上方に大きな湾曲部を持たない上下循環流を形成させ、これを着色実験により可視化した際の写真である。 本実施形態に係る上部撹拌翼の、内翼部と外翼部との連結部付近において発生する特殊な局所的循環流を説明するための側面概念図である。 従来の上部翼と下部翼とを備える撹拌装置の正面図である。 従来の上部翼と下部翼とを備える撹拌装置の側面図である。 従来の上部翼と下部翼とを備える撹拌装置の平面図である。 従来の上部翼と下部翼とを備える撹拌装置の正面図である。 従来の上部翼と下部翼とを備える撹拌装置の側面図である。 従来の上部翼と下部翼とを備える撹拌装置の平面図である。
本発明に係る撹拌装置は、撹拌槽と、撹拌軸と、該撹拌軸に固定された上部翼と下部翼とを備えた撹拌装置において、前記上部翼は、複数段に配置された上部撹拌翼で構成され、該上部撹拌翼は、前記撹拌軸に接続された内翼部と、該内翼部の撹拌槽内壁側に連結された外翼部とで構成され、前記各上部撹拌翼の内翼部は、平面視したときに、該内翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して上向き角度で傾斜して設けられ、かつ、上段に位置する上部撹拌翼が下段に隣接する上部撹拌翼とオーバーラップ部分を有するように回転方向に対し先行して配置され、かつ、側面視したときに、上段に位置する上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、その下段に隣接する上部撹拌翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、前記各上部撹拌翼の外翼部は、平面視したときに、該外翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって前記内翼部の外周辺から撹拌槽内壁側の回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して下向き角度で傾斜して設けられ、かつ、該上部撹拌翼外翼部の外周辺が撹拌槽内壁に沿うような形で近接するように配置され、前記上部撹拌翼のうち最下段の上部撹拌翼は、前記下部翼と上下に隣接するように配置され、かつ、平面視したときに、最下段の上部撹拌翼外翼部の下方端部と前記撹拌軸中心点とを結ぶ平面図上の直線が、前記下部翼の翼径方向の中心線と所定の角度を持つように配置され、かつ、側面視したときに、最下段の上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、前記下部翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、前記下部翼下方端部は、撹拌槽内底面に近接するように配置された形状とする。
上記構成とすることで、前記撹拌軸を回転させると、前記上部撹拌翼の内翼部に設けた切り欠き部により、撹拌翼の回転方向とは逆方向に回転する小さな渦流(下降流)が、翼の回転方向に対し上部撹拌翼の後方に形成され、この小渦流が、撹拌翼が回転することにより形成される撹拌軸を中心に持つ翼の回転と同方向の大きな渦流(下降流)に乗り、自転しながら公転するような流れを形成する。
前記小渦流は、前記上部撹拌翼を撹拌槽内の上下方向に複数段配置した場合には、その各段の撹拌翼においてそれぞれ発生することになる。
前記小渦流は前記大渦流と異なり鉛直方向を向いておらず、小渦流の先端(下端)は、翼の回転に対し若干の遅れを持つ、すなわち、翼の回転方向に対しやや後方に傾斜した形状となっている。このため、上部撹拌翼を撹拌槽内に多段配置する場合には、上下に隣接する上段の上部撹拌翼を、その下側に隣接する上部撹拌翼よりも、翼の回転方向に対し前方に、所定の位相差角を持たせて配置し、かつ、上段に位置する上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、その下側に隣接する上部撹拌翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置することで、前記小渦流が上下方向に連結する形となる。これにより、撹拌槽の上部液面付近から、前記下部翼近傍に至る強力な下降流が形成されることになる。
この下降流は、上部翼から下部翼に受け渡されることになるがその際、下部翼上端部と最下段の上部撹拌翼内翼部の下端部とが、水平方向に十分な間隔を有するように配置されているため、下部翼上端部と最下段上部撹拌翼内翼部の下端部とにより形成される空間部分で一旦水平方向に引き伸ばされ、その後、下部翼に巻き付くように槽底面近傍まで引き込まれ、混合が促進されるとともに吐出流へと変換される。
下部翼が発生させる吐出流は、槽壁面に衝突することで上昇流に変換され、その後は前記上部撹拌翼の外翼部の作用により発生する上昇流と共に、撹拌槽上部液面近傍まで到達し、液面付近にて撹拌軸に向かう流れに変換され、最上段に位置する前記上部撹拌翼内翼部の作用により下降流へと変換される。
このように、上部翼により、自転しながら公転する小渦流に起因する強力な下降流を形成し、これを最下段の上部撹拌翼内翼部下端部と下部翼上端部とでつくる空間部にて、局所的に水平方向に湾曲させ、かつ、該下降流を下部翼にスムーズに受け渡し、下部翼の吐出流に起因する上昇流へと変換し、さらに前記上部撹拌翼外翼部の掻き上げ作用による上昇流と合流させて、強力で連続した上下循環流と成さしめることで、従来技術にない効率の良い撹拌混合が可能となる。
また、前記上部撹拌翼の内翼部は、平面図上の外周辺eを円弧と考え、該内翼部外周辺e上の上端および下端と撹拌軸中心点とのなす角をθとした場合、60°≦θ≦120°であることが好ましい(図4参照)。
上記構成とすることで、上部撹拌翼内翼部が作用する領域を、水平方向にも鉛直方向にも幅広く確保することができるようになり、強力な下降流を発生させられるようになる。
また、前記上部撹拌翼の外翼部は、平面図上の外周辺eを円弧と考え、該外翼部外周辺e上の上端および下端と撹拌軸中心点とのなす角をθとした場合、25°≦θ≦50°あることが好ましい。
さらに、前記上部撹拌翼の平面図において、内翼部縦板部分の幅aと外翼部縦板部分の幅aは、撹拌槽内径Dに対し0.05D≦(a≦a)≦0.15Dであることが好ましい。
上記構成とすることで、前記撹拌軸の周辺に適度な空間が形成されるため、下降流の流路が翼自身に遮られる割合が少なくなり、上部撹拌翼内翼部の作用により発生した下降流が効率よく下部翼に向かい流動できるようになる。また、撹拌軸から離れた位置に上部撹拌翼内翼部の有効面を多く配置することで、すなわち撹拌軸から離れた位置に該内翼部の縦板部分vを配置することで、強力な下降流(撹拌翼の回転方向と同方向の渦流)を発生させ、かつ、撹拌翼の回転方向とは逆方向に回転する小渦流(下降流)をも発生させることができるようになる。一方で、該内翼部の撹拌槽内壁側に前記外翼部を連結することで、前記内翼部にて下降流を発生させると同時に該外翼部にて、槽壁面付近の流体を掻き取りつつ上昇流を発生させることができるようになる。さらに、該外翼部に設けた切り欠き部kにより、処理物に適度な剪断作用が与えられ、かつ、前記内翼部により発生する吐出流と該外翼部が発生させる上昇流とが、該外翼部縦板部分vの撹拌軸側の辺(縦辺部)bと内翼部外周辺eとの間に作られる空間部にて絡み合い、複雑な流れを形成することになる。あたかも、配管内に設置されたケニックスタイプ静止型混合機のエレメントにより流れが分割された後、反転・合流するように、前記上部撹拌翼の内翼部と外翼部の連結部分および該外翼部の切り欠き部周辺にて、流れの分割・反転・合流が起こり、処理物の混合を促進させることができるようになる。
また、前記上部翼は、互いに上下に隣接する上部撹拌翼のうち、下段に位置する上部撹拌翼の平面図上の中心線と、上段に隣接する上部撹拌翼の平面図上の中心線との位相差角ψが、下段の上部撹拌翼中心線から隣接する上段の上部撹拌翼中心線に向かい、撹拌軸の回転方向に10°≦ψ≦50°であることが好ましく、15°≦ψ≦45°であることがより好ましい(図5参照)。
上記構成とすることで、上部撹拌翼内翼部の作用により発生する撹拌翼の回転方向とは逆方向に回転する前記小渦流(下降流)を、上部撹拌翼を上下多段配置した際に、最上段の上部撹拌翼から最下段の上部撹拌翼まで連続化させられるようになる。
また、前記上部撹拌翼内翼部の撹拌軸回転方向に対する所定の上向き角度ξは、30°≦ξ≦60°であることが好ましく、また、前記上部撹拌翼外翼部の撹拌軸回転方向に対する所定の下向き角度ξは、30°≦ξ≦60°であることが好ましい(図6参照)。
上記構成とすることで、上部撹拌翼内翼部の作用により効率よく前記小渦流(下降流)を発生させられるようになり、かつ、外翼部の作用により同時に撹拌槽内壁付近に上昇流を効率良く発生させられるようになる。
また、前記上部撹拌翼の側面図において、内翼部の縦板部分の長さtと外翼部の縦板部分の長さtとは、t≦tであることが好ましい(図6参照)。
上記構成とすることで、撹拌時に、該上部撹拌翼外翼部に掛かる流体からの抵抗を低めに抑えることができ、撹拌動力の増大を抑制することができるようになる。さらに、該外翼部が撹拌時に流体から受ける抵抗(斜め下向きの力)と、前記上部撹拌翼内翼部が撹拌時に流体から受ける抵抗(斜め上向きの力)とがバランスを取りやすくなるため、すなわち、前記上部撹拌翼がねじれの力を受け難くなるため、該上部撹拌翼の機械的強度を確保しやすくなる。
また、前記上部翼は、互いに上下に隣接する上部撹拌翼間において、上段に位置する上部撹拌翼下端を含む水平断面Pcbが、下段に隣接する上部撹拌翼の上端を含む水平断面Pctよりも下側に位置し、このPcb−Pct面間距離Occが、撹拌槽内径Dに対し、0.005D≦Occ≦0.3Dであることが好ましく、0.01D≦Occ≦0.15Dであることがより好ましい(図2参照)。
上記構成とすることで、上段に位置する上部撹拌翼内翼部の作用範囲が、その下段に隣接する上部撹拌翼内翼部の作用範囲にオーバーラップすることになるため、上段の上部撹拌翼内翼部により発生した下降流が途切れることなく、隣接する下段の上部撹拌翼内翼部に受け渡されるようになる。これにより、最上段の上部撹拌翼内翼部の上端付近(液面付近)から、最下段の上部撹拌翼内翼部の下端付近まで、連続した強力な下降流を形成できることになる。
また、前記上部翼の中で最下段に位置する上部撹拌翼の下端を含む水平断面Pcbは、最下段の上部撹拌翼の下側に隣接する前記下部翼の上端を含む水平断面Pbtよりも下側に位置し、このPcb−Pbt面間距離Ocbは、撹拌槽内径Dに対し、0.005D≦Ocb≦0.3Dであることが好ましく、0.01D≦Ocb≦0.15Dであることがより好ましい。
さらに、前記下部翼は、平面図上に、前記下部翼と上下に隣接する前記最下段の上部撹拌翼を配置した際、撹拌軸中心点から、該最下段上部撹拌翼外翼部の下端部に向けて引いた直線と、前記下部翼の平面図上の中心線とのなす角δが、該最下段上部撹拌翼外翼部の下端部から前記下部翼の平面図上の中心線に向かい、翼の回転とは反対方向に10°≦δ≦130°の範囲であることが好ましく、90°≦δ≦125°の範囲になるように配置することがより好ましい(図7参照)。
上記構成とすることで、上部翼により形成された下降流は、最下段の上部撹拌翼から下部翼にスムーズに受け渡されるようになる。特に、より好適な範囲となるように最下段上部撹拌翼と下部翼とを配置した場合には、最下段上部撹拌翼内翼部の下端部と下部翼上端部との間に十分な空間が形成されることになるため、上記空間部で下降流に、水平方向に引き伸ばすような作用を与えることができるようになる。該下降流は引き伸ばし作用を受けた後、スムーズに、前記下部翼に巻き付くような形で受け渡しが行われ、これにより、従来の撹拌装置11とは異なる形状の撹拌槽全域に亘る強力な上下循環流が形成され、幅広い粘度領域の流体および、チキソ性流体や、高粘度かつ高チキソ性を呈する流体、異粘性流体同士を、非常に効率良く撹拌混合できるようになる。
また、前記下部翼は、幅広後退パドル翼であり、下部翼の翼径(翼スパン)dbが撹拌槽内径Dに対し、0.5D≦db≦0.9Dであることが好ましく、前記上部翼の翼径(翼スパン)dcは、撹拌槽内径Dに対し、0.7D≦dc≦1.0Dであることが好ましい。ここで、上部翼の翼径上限を1.0Dとしているのは、上部撹拌翼外翼部の外周辺をテフロン(登録商標)等のすべりの良い材質で加工し、撹拌槽内壁と密着させて、槽内壁に付着しやすい処理物を確実に掻き取り、流動させるようにすることを想定しているからである。
上記構成とすることで、下部翼、上部翼共に、撹拌槽内で流体に作用する領域を十分確保できるようになり、下部翼であれば槽壁に衝突し上昇流へと変換される強力な吐出流を、上部翼であればその内翼部が、槽上部液面付近から下部翼上端部付近に向かう強力な下降流を形成できるようになり、かつ、同時に上部撹拌翼外翼部により槽壁面付近の流体を掻き取りつつ上昇流を形成できるようになる。さらに、上記構成とすることで、下部翼が発生させた上昇流と上部撹拌翼外翼部が発生させた上昇流とを合流させ、強力な上昇流を形成すると共に、上部撹拌翼内翼部により発生する吐出流が上昇流を分断するリスクを低減できるようになる。
以下、本発明について、図を参照しながら更に詳細に説明する。図1から図3に示したように、撹拌装置1は、円筒形撹拌槽2の中心部に、撹拌軸3が回転可能に支持されている。撹拌軸3は、下端が槽底付近まで垂下されている。また、上端は、槽頂上部駆動装置(図示せず)にカップリング(図示せず)を介して接続されている。該撹拌軸3には、上部翼4と下部翼5が設けられている。
上部翼4は、一対の上部撹拌翼6,6が、撹拌軸3の中心線に沿って、一定間隔で複数段設けられることで構成されている。本実施形態においては、上段6a、中段6b、下段6cの三段に構成されている。上部翼4は本実施形態のように三段に限定されることはなく、一段であっても二段であっても、また三段以上であっても良い。
上部撹拌翼6は、平板状の撹拌翼で、略T字形状の内翼部7と、同じく略T字形状の外翼部8とで構成されている。また、該内翼部7,外翼部8は、縦板部分v,vと横板部分h,hとで構成されている。図4に示したように、平面図における上部撹拌翼6の内翼部7の縦板部分外周辺eと外翼部8の縦板部分外周辺eとは、撹拌軸中心点を中心に持つ円弧となるように形成されている。この上部撹拌翼6,6は、内翼部7の横板部分hにて撹拌軸3を両側から挟むように、かつ、撹拌軸3の回転方向(矢印α)に対して内翼部7が所定の上向き角度と成るように傾斜させ、撹拌軸3に固定されている。また外翼部8は、その横板部分hが内翼部の撹拌槽壁面側、すなわち縦板部分vに、撹拌軸3の回転方向αに対して所定の下向き角度と成るように傾斜させ連結されている。図では撹拌軸3に内翼部の横板部分hが、ボスを介する形で取り付けられているが、ボスを介さず直接、撹拌翼を撹拌軸に設置しても良い。
本実施形態における上部撹拌翼内翼部7及び外翼部8は平面図上で略T字形状をしているが、これに限定される必要はなく、外周辺e、eの上端および下端と撹拌軸中心点との間に形成される扇形に対し、撹拌軸3の回転方向前方側及び後方側に切り欠き部または開口部を持たせたような形状であればよい。
中段の上部撹拌翼6bは、上下に隣接する上段の上部撹拌翼6aよりも、回転方向に対して後退側(矢印αの反対方向)に設けられている。また、下段の上部撹拌翼6cも同様に、上下に隣接する中段の上部撹拌翼6bよりも、回転方向に対して後退側に設けられている。中段上部撹拌翼6b,6b、下段上部撹拌翼6c,6cも、上段上部撹拌翼6a,6aと同様に、撹拌軸3を両側から挟むように、かつ、内翼部が撹拌軸3の回転方向に対して所定の上向き角度で傾斜させ撹拌軸3に、外翼部が撹拌軸3の回転方向に対し所定の下向き角度で傾斜させ内翼部に固定されている。
図1から図3に示した本実施形態における上部撹拌翼6a,6b,6cの、平面図上の撹拌軸中心点から内翼部外周辺eおよび外翼部外周辺eまでの距離は、各段にて同じになっているが、これに限定される必要はなく、例えば内翼部は上段、中段、下段と徐々に大きくなるように、一方外翼部は全て同じ大きさになるようにしても良い。
また、本実施形態における上部撹拌翼6a,6b,6cはそれぞれ相似形となっているが、これに限定される必要はなく、形状が異なっていても良い。さらに、平面図上で対称軸を持つ構造でなくても良い。
本実施形態において、上段の上部撹拌翼6aと中段の上部撹拌翼6b、中段の上部撹拌翼6bと下段の上部撹拌翼6cとが、撹拌軸の回転方向に対してなす平面図上の取り付け角度ψ(図5参照)は、対応する各段においてそれぞれ同じになっており、また、撹拌軸3の回転方向に対してなす上部撹拌翼内翼部の上向き角度ξ、上部撹拌翼外翼部の下向き角度ξ(図6参照)も、上、中、下段においてそれぞれ同じになっているが、これに限定される必要はなく、それぞれが異なる角度であっても良い。
下部撹拌翼5,5は、撹拌軸3に沿って設けられた平板状の撹拌翼で、その下辺部は、撹拌槽底面に沿うような形状で、槽底面に近接するように配置されており、また槽壁側は、撹拌軸3の回転方向に対して後退側に屈曲している。
下部撹拌翼5外周端上部は、上下に隣接する最下段上部撹拌翼6cの外翼部下端に対し、近接しないように配置されている。
図1に示すように、各段の上部撹拌翼同士および、最下段の上部撹拌翼下端部と下部翼上端部とは、上下方向にオーバーラップを有するように配置されているが、それぞれのオーバーラップ量は同一である必要はなく、それぞれが異なる値であっても良い。一方で、図2、図3に示すように、上下に隣接する翼同士が接触しないように設置する必要がある。
本実施形態に係る撹拌装置は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係る撹拌装置の撹拌特性について、図8から図12に基づき説明する。
撹拌軸3を矢印α方向(図では上から見て時計回り)に回転させると、上部翼4および下部翼5も同方向に回転する。このとき、上段上部撹拌翼6a,6aの内翼部は、撹拌槽上部液面付近の流体を、槽底方向に引き込むような流れを発生させる。上段上部撹拌翼6aの内翼部は、流体を下方に押し下げる方向に撹拌軸3に対し傾斜しているため、上述のように撹拌槽内で下降流を発生させるが、上段上部撹拌翼6a自身は撹拌軸3を回転軸にもつ回転体であるため、遠心力が作用し、同時に撹拌軸3から撹拌槽内壁に向かうほぼ水平方向の吐出流や、撹拌翼の回転方向と同じ方向に回転するほぼ水平方向の旋回流も発生させている。
前記上段上部撹拌翼6aの内翼部は、アルファベットのT字を90°回転させた形をしているため、撹拌軸3に対し傾斜角ξだけねじれた位置に縦長の板状翼(縦板部分v)が設置された状態になっている。仮に、傾斜角ξが0°であれば、前記内翼部の縦板部分vは撹拌軸3に平行な位置関係となる。該縦板部分vは、その外周辺eが、平面図上で円弧になるように設計されているため、撹拌軸3との接続部分から上に行くほど、また、下に行くほど細くなっている。このため、上記上部撹拌翼6aの、特にその内翼部にて発生する吐出流の強さは均一ではなく、撹拌軸3との接続部分、すなわち内翼部横板部分hから上下方向に離れるほど弱くなっている。
このような吐出流強度の分布は、中段の上部撹拌翼6bや下段の上部撹拌翼6cにおいても同様の傾向となっている。
ところで、先に述べたように、上段の上部撹拌翼6aと中段の上部撹拌翼6b、中段の上部撹拌翼6bと下段の上部撹拌翼6cとは、図1に示すように内翼部が上下方向に重なり部を持っている。この上下の重なり部は、図2に示すように翼同士が接触するものではないが、上段上部撹拌翼6aの内翼部下端部の吐出流の弱い部分を中段上部撹拌翼6bの内翼部上端部が、同じく弱い吐出流で補うような形になっている。中段上部撹拌翼6bの内翼部下端部と下段上部撹拌翼6cの内翼部上端部においても同様の関係になっている。
また、上段の上部撹拌翼6aが回転する際には、撹拌軸3の回転方向、すなわち、翼の進行方向に対し前面に正圧が、背面に負圧が発生しており、この正圧部から負圧部に向かう水平方向の回り込み流れも発生している。
上段の上部撹拌翼6aの内翼部縦板部分vに着目すると、内翼部縦板部分の外周辺eおよび撹拌軸側の縦辺部bにおいて水平方向の上記回り込み流れが発生しており、上記内翼部の外周辺eと縦辺部bの線速度の差(翼外周辺部のほうが回転中心から離れている分、線速度は大きくなる)から、縦板部分vの回転方向に対する背面には、撹拌軸の回転方向αとは逆方向β(本実施形態の場合には反時計回り)に回転する小渦流が発生することになる。
上記現象を図8を用い詳細に説明すると、上部撹拌翼の内翼部外周辺eに発生する回り込み流れR(内翼部の外側を通り内翼部背面方向に向かう流れ)は、撹拌軸側の縦辺部bにて発生する回り込み流れN(内翼部の撹拌軸側縦辺部と撹拌軸との間隙を回り込み内翼部背面に向かう流れ)よりも強い流れとなり、上部撹拌翼の回転方向後方にて上記2つの流れが合流しようとする際、その速度差から小渦流Qが発生することになるのである。
上記小渦流Qには、上部撹拌翼内翼部の縦板部分にて発生するほぼ水平方向の回り込み流れR,Nの他に、内翼部縦板部分の回転方向前面正圧部にて回転方向に押し出されるほぼ水平方向の流れTや、同じく該縦板部分の正圧部により回転方向前方に向かい押し下げられる流れSとも合流し、強力な下降流となる。
本実施形態では、内翼部縦板部分vの撹拌軸側の縦辺部bが、撹拌軸3から適度な距離を保ち、かつ、上下方向に十分な長さを有しているため、縦板部分にて生じる回り込み流れR,Nの作用により発生した小渦流Qは、撹拌槽壁面方向に移動し消失してしまうことなく、上段の上部撹拌翼6aの回転に追随して自転しながら、撹拌軸3を中心とした公転軌道上を回転し続けることになる。
撹拌軸3が小渦流Qの公転軸となるため、公転軸は鉛直方向を向いているが、自転軸は、公転軸に対し傾きを有することになる。自転軸の公転軸に対する傾きは、撹拌槽の上下方向に対して一定ではなく、上部撹拌翼の内翼部が発生させる吐出流と旋回流と下降流および回り込み流れの強度バランスと、外翼部が発生させる上昇流との強度バランスにより、適度な分布を持っていると言える。とはいえ基本的には自転軸は、撹拌軸3の回転方向に対して自転軸下側がやや後退したねじれの位置にあると言える。
一方、中段の上部撹拌翼6bおよび下段の上部撹拌翼6cの回転に伴っても同様に、上記の作用機構に基づく小渦流が、回転方向に対する翼の背面にそれぞれ発生している。
本実施形態において上部撹拌翼の内翼部後方に発生する小渦流の配列は、上部撹拌翼6a,6b,6cの配列とほぼ同等と言える。すなわち、下に位置する小渦流ほど、撹拌軸3の回転方向から後退した位置にあることになる。また、小渦流の自転軸は先に述べたとおり、その下側が、撹拌軸3の回転方向に対しやや後退した方向を向いている。つまり、上段上部撹拌翼6aの内翼部の作用にて発生した小渦流の下端部は、中段上部撹拌翼6bの内翼部の作用により発生した小渦流の上部に、同様に、中段上部撹拌翼6bの内翼部により発生した小渦流の下端部は、下段上部撹拌翼6cの内翼部により発生した小渦流の上部に向かっており、その結果、図9に示すような、小渦流に起因する連続化した下降流Aが形成されることになる。
本実施形態では、上部撹拌翼6a,6b,6cは、それぞれ2葉の撹拌翼が、撹拌軸3を両側から挟み込むような形に設置されているため、上記小渦流に起因し発生する上段の上部撹拌翼6aから下段の上部撹拌翼6cに至る連続化した下降流Aは2組発生することになる。また、撹拌槽内では、上部翼4の回転に伴い、上段の上部撹拌翼6aから下段の上部撹拌翼6cに至る、撹拌軸3を中心軸とする下降流(回転方向と同方向の渦流)も発生している。すなわち本実施形態では、上記3組の下降流(渦流)が撹拌槽内に形成されることになり、これにより、図13から図15に示す従来の撹拌装置11にはない強力な下降流が得られることになる。
また、回転方向と自転軸の異なる複数の渦流が形成されることから、単一の渦流では成し得ない混合性能が得られることになる。すなわち、流体が、撹拌槽上部液面付近から下部翼近傍まで移動する際にも水平方向の混合作用が働き、流体が撹拌翼の動きに追随して動く、いわゆる共回りによる混合不良の発生リスクを格段に小さくすることができるのである。
なお、図16から図18に示す従来の撹拌装置21においても、上部翼24の作用により、撹拌軸23の回転と同方向で撹拌軸を中心とする渦流と、撹拌軸の回転方向とは逆方向に回転し、上部撹拌翼の回転方向後方側に発生する小渦流とが発生し、これら複数の渦流による撹拌槽の上方から下方に亘る連続した下降流が形成される。
さて、図8から図12に戻り、本実施形態に関する撹拌特性の説明を続けることにする。
上部翼4の作用により発生した複数の下降流は、本実施例では、下部翼5の上端部付近にて、その軌道が大きく湾曲することになる(図9参照)。これは、最下段上部撹拌翼6cの内翼部下端部を、下部翼上端部から水平方向に十分な間隔を持つように配置した際に見られる流動状態である。
最下段の上部撹拌翼6cと下部翼5との撹拌軸3に対する位相差角度δ(図7参照)をより好適な条件、例えば図9に示した翼配置にすることで、図10に示す写真のように、下部翼上方での下降流の湾曲部Bが、実験により明確に観察されている。すなわち、図9と図10は、同じ翼配置における上下循環流の状態を、図9はイラストで、図10は写真で示したものである。
これに対し全体混合性能を損なわない程度に下部翼5と最下段上部撹拌翼6cとの位相差角δを調整すると、図11の写真に示したように、上部撹拌翼内翼部の作用により発生する小渦流の連続化に起因する下降流が、下部翼上方で水平方向に湾曲されることなく、下部翼に受け渡されることになる。一見すると、下降流の下部翼への受け渡しがよりスムーズに行われ、混合が促進されるように思われるが、そうとは限らない。きれいに整いすぎた上下循環流は、かえって水平方向の物質移動を妨げる結果となるため、図9、図10に示したように、上下方向の循環流の中に水平方向に大きく湾曲する部分を持つほうが、混合の促進には有利に作用すると言えるからである。もちろん、下降流の上部翼から下部翼への受け渡しがスムーズに行われることが前提であり、下降流に大きな湾曲部を持たせたことで、下降流の下部翼への受け渡しがかえって阻害されてしまっては本末転倒である。したがって、本実施形態の図9、図10のように、下降流が下部翼にスムーズに受け渡される状態にて下降流に湾曲部を持たせることが肝要となるのである。
また、本実施形態において下部撹拌翼5,5が発生させる撹拌槽底部における吐出流Cは、撹拌槽の壁面に衝突すると向きを変え、撹拌槽壁面近傍を流路とする上昇流Cになる。
最下段の上部撹拌翼6cと下部翼5との撹拌軸3に対する位相差角度δが適切であれば、本実施形態において発生する下部翼上方における下降流の湾曲部Bは、上記吐出流Cに起因する上昇流Cを阻害、分断することはない。また、吐出流Cに起因する上昇流Cは、下段6c、中段6b、上段上部撹拌翼6aの外翼部の掻き上げ作用により、撹拌槽壁面付近で上方に向かい再加速されることになり、上昇流Eとして確実に撹拌槽上部の液面付近まで到達することになる。
該上昇流Eは液面付近で、撹拌軸3に向かう流れFとなり、上段上部撹拌翼6aの内翼部の作用により、再び下降流Aへと向きを変える。
このようにして、本実施形態においては、撹拌槽上部液面付近から上部翼4の内翼部近傍を流路に持つ下降流Aが、下段上部撹拌翼6cの内翼部下側と下部撹拌翼5の上端部との空間部において形成される湾曲流れBを経て下部撹拌翼5に受け渡され、下部撹拌翼5の吐出流Cとなり、槽壁面に衝突して上昇流Cへと変化し、上部撹拌翼外翼部の掻き上げ作用により再加速されつつ槽壁面近傍を流路に持つ上昇流Eとして撹拌槽上部液面付近に至り、液面付近で撹拌軸3方向への流れFへと変化することで、撹拌槽全域に亘る上下の循環流A−B−C−E−F−Aを形成することになる。これにより、撹拌槽の全域において、非常に良好な撹拌混合特性を得ることができるようになる。
さらに、本実施形態における上部撹拌翼の内翼部と外翼部との連結部付近では、内翼部が発生させる吐出流と下降流と、外翼部が発生させる上昇流、さらには内翼部・外翼部の縦板部分にて発生する回り込み流れとが複雑に交錯し、図12に示すようなメビウスの輪のような流れMも発生する。
上部翼内翼部にて発生する吐出流Kは、該内翼部縦板部分の幅に応じた強度分布を持っている。すなわち、翼の中心から上端、下端に向かうほど、その強度は弱くなる。吐出流Kは、内翼部と外翼部との連結部にて上下方向に分割されるが、その際、内翼部の作用範囲では下降流G、G、Gの影響を受けることになる。分割された吐出流が内翼部の外側(槽内壁側)に移動すると、引き続き外翼部の作用領域に入ることになり、ここで外翼部が発生させている上昇流Jの影響を受けることになる。これに加え、外翼部縦板部分の撹拌軸側縦辺部および、内翼部の外周辺にて発生している水平方向の回り込み流れ(いずれも図示せず)の影響も受けることになる。その結果吐出流Kは、H、Hのような局所的な小循環流となり、再び内翼部の作用領域側に折り返されることになる。また、外翼部の縦板部分が撹拌槽壁面付近の流体を上方に掻き上げようとする際、該外翼部縦板部分から撹拌軸側の切り欠き部k(図4参照)に流体がこぼれ落ちるような流れも発生している(図示せず)。外翼部の切り欠き部kは、内翼部外周辺eよりも撹拌槽内壁側に設けられていることから、外翼部縦板部分の縦辺部bからこぼれ落ちるような流れは、内翼部外周辺eよりも撹拌槽内壁側に発生し、かつ、外翼部の内翼部との連結部分における流体の掻き上げ作用と干渉し、さらに前記小循環流H、Hと、内翼部の作用により発生する小渦流(図示せず)が干渉し、メビウスの輪のような特殊な局所的循環流Mが形成されることになる。
この特殊な局所的循環流Mや局所的小循環流H、Hは、タービン翼等の小型翼に見られる強固な局所的循環流ではなく、特にMは、ある周期で現れては消える、不安定なものである。この特殊な局所的循環流Mが発現することによって、全体循環流A−B−C−E−F−Aに水平方向の物質移動が適度な振動として加わり、撹拌混合効率をより一層高める効果が得られるのである。
以上により、本実施形態に係る撹拌装置においては、撹拌翼の回転により発生する渦流と、該渦流とは逆方向に回転する小渦流を複数発生させ、かつ、下部翼の上方に湾曲部を持つ撹拌槽全域に亘る上下循環流を形成し、上部撹拌翼外翼部における撹拌槽内壁面付近での流体の掻き取り・掻き上げ効果と、上部撹拌翼内翼部における撹拌槽中央部の流体の押し下げ効果と、内翼部と外翼部の連結部付近における吐出流の分割・反転・合流効果と、それらの相乗効果により、低粘度から高粘度までの幅広い粘度域の流体、チキソ性の高い流体、高粘度でかつ高チキソ性を呈する流体や、粘度の大きく異なる複数の流体同士を、速やかにかつ効率良く均一に混合することができるようになる。
(実施例1)
<水あめ水溶液を用いたよう素還元法による消色実験>
よう素で着色した5Pa・sの水あめ水溶液を、同じく水あめを用いて同粘度に調製したチオ硫酸ナトリウム溶液により脱色する実験において、完全によう素の色が消失するまでの時間(完全混合時間)を測定した。内径φ130mmのフラスコに2Lの上記着色水あめ水溶液を仕込み、図1から図3に示した本実施形態に係る撹拌装置を設置し、撹拌動力が1.5kW/mになるように回転数を調整した。この際、回転数は90rpmであった。撹拌中の水あめ水溶液中に、着色に使用したよう素の1.1当量に相当する上記チオ硫酸ナトリウム水あめ溶液を投入し、よう素の色が完全に消失するまでの時間を測定した。このとき、完全混合時間は、6.5分であった。
(比較例1)
図16から図18に示した従来技術の撹拌装置21を用い、実施例1と同じ条件下で、水あめ水溶液を用いた消色実験を実施した。撹拌動力が1.5kW/mとなるように回転数を150rpmにして実験を行った結果、完全混合時間は33分であった。
(実施例2)
<高粘度樹脂の溶剤希釈実験(異粘性流体の液液混合実験)>
実施例1にて使用した装置を用い、25℃における粘度が110Pa・sの高粘度樹脂を、同じく25℃における粘度が0.8mPa・sの溶剤で希釈する異粘性流体の混合実験を実施した。樹脂:溶剤の割合を83:17とし、前記φ130mmのフラスコを使用し、総液量が2Lとなるようにした。溶剤希釈前の初期の撹拌動力が3kW/mとなるように回転数を調整し、ここに所定量の溶剤を投入後、この溶剤と樹脂が完全に混合するまでの時間を測定した。撹拌回転数は32rpmであり、樹脂と溶剤とが完全混合に至るまで一定の回転数とした。混合状態の判定は、溶液の液面に形成されるボルテックスの形状を観察することで行った。すなわち、混合が進んでおらず液面付近に溶剤が残っていれば、液面はほぼ水平になっており、逆に完全混合に達した後には、撹拌軸付近の液面が大きく窪む状態になるため、液面形状の観察により混合状態の判定ができた。なお、上記割合にて樹脂と溶剤とを完全混合した後の溶液粘度は30Pa・sであった。液面から溶剤がなくなり、十分にボルテックスが形成され、完全混合に達したと判断されるのに要した時間は、図1から図3に示した本実施形態に係る撹拌装置では270秒であった。また、完全混合到達後の撹拌動力は、0.92kW/mであった。
(比較例2)
図16から図18に示した従来技術の撹拌装置21を用い、実施例2と同じ条件下で高粘度樹脂の溶剤希釈実験を行った。初期撹拌動力が3kW/mとなるように、回転数は48rpmとした。実験の結果、従来の撹拌装置21では完全混合までに370秒を要した。また、完全混合後の撹拌動力は0.75kW/mであった。
本実施形態に係る撹拌装置を用いることで、様々な工業製品の撹拌槽内での作り込みが可能となる。例えば、低粘度から高粘度までの様々な流動特性を持つ樹脂製品やその水分散体製品、顔料やインキ、医薬品や化粧品、食品など、撹拌槽内で流動させることができる工業製品であれば、いずれの製品においても高効率な撹拌混合が可能となり、生産効率の向上や、品質の安定化、高付加価値化などを可能とすることができる。特に、中粘度から高粘度で、従来技術では混合不良を生じやすかった工業製品、チキソ性が高くかつ粘度も高い工業製品及びその中間体に対しては、極めて高い撹拌特性を発揮し、高効率な生産体制を確立することが可能となる。
1 撹拌装置
2 撹拌槽
3 撹拌軸
4 上部翼
5 下部翼
6 上部撹拌翼
6a 上段上部撹拌翼
6b 中段上部撹拌翼
6c 下段上部撹拌翼
7 上部撹拌翼内翼部
8 上部撹拌翼外翼部
α 撹拌軸の回転方向(小渦流の公転方向)
β 小渦流の自転方向
δ 平面図上の撹拌軸中心点と最下段の上部撹拌翼下端とを結ぶ直線と、該上部撹拌翼下端が撹拌軸の回転方向と反対方向に向かい下部翼中心線となす角
θ 上部撹拌翼平面概念図上にて、該上部撹拌翼内翼部の外周辺上端、下端と撹拌軸中心点とのなす角
θ 上部撹拌翼平面概念図上にて、該上部撹拌翼外翼部の外周辺上端、下端と撹拌軸中心点とのなす角
ξ 上部撹拌翼内翼部の撹拌軸の回転方向に対する上向き傾斜角
ξ 上部撹拌翼外翼部の撹拌軸の回転方向に対する下向き傾斜角
ψ 上下に隣接する上部撹拌翼中心線同士の位相差角
上部撹拌翼内翼部の縦板部分の幅
上部撹拌翼外翼部の縦板部分の幅
上部撹拌翼内翼部の縦板部分の撹拌軸側の縦辺部
上部撹拌翼外翼部の縦板部分の撹拌軸側の縦辺部
d 翼径(翼スパン)
dc 上部翼の翼径
db 下部翼の翼径
上部撹拌翼内翼部の縦板部分外周辺
上部撹拌翼外翼部の縦板部分外周辺
上部撹拌翼内翼部の横板部分
上部撹拌翼外翼部の横板部分
上部撹拌翼平面概念図上の内翼部の切り欠き部
上部撹拌翼平面概念図上の外翼部の切り欠き部
上部撹拌翼内翼部の翼スパン半径
上部撹拌翼における翼スパン半径(r=0.5dc)
上部撹拌翼内翼部の縦板部分の長さ
上部撹拌翼外翼部の縦板部分の長さ
上部撹拌翼内翼部の縦板部分
上部撹拌翼外翼部の縦板部分
A 上部翼により形成される小渦流の連結に起因する下降流
B 湾曲流れ
C 下部翼の吐出流と、これが槽底面および壁面に衝突し形成される上昇流
D 撹拌槽内径
E 槽壁付近の上昇流
F 液面付近の槽壁から撹拌軸方向に向かう流れ
、G、G 上部撹拌翼内翼部の縦板部分付近の下降流
、H 上部撹拌翼の内翼部と外翼部との間隙にて形成される局所的循環流
J 上部撹拌翼外翼部の縦板部分付近の上昇流
K 上部撹拌翼内翼部の縦板部分付近の吐出流
M 上部撹拌翼の内翼部と外翼部との連結部付近にて形成される特殊形状の局所的循環流
N 上部撹拌翼内翼部の縦板部分において発生する撹拌軸側縦辺部の回り込み流れ
Occ 上部撹拌翼下端を含む水平断面Pcbと上部撹拌翼上端を含む水平断面Pctとの面間距離
Ocb 上部撹拌翼下端を含む水平断面Pcbと下部翼上端を含む水平断面Pbtとの面間距離
Pct 上部撹拌翼上端を含む水平断面
Pcb 上部撹拌翼下端を含む水平断面
Pbt 下部翼上端を含む水平断面
Q 上部撹拌翼内翼部の回転方向後方に発生する小渦流
R 上部撹拌翼内翼部の縦板部分において発生する外周辺部の回り込み流れ
S 上部撹拌翼内翼部の回転方向前面に発生している正圧部から回転方向前方に押し下げられる流れ
T 上部撹拌翼内翼部の回転方向前面に発生している正圧部から回転方向前方に押し出される水平方向の流れ
U 上部撹拌翼内翼部の背面に沿って流れる下降流
V 上部撹拌翼内翼部の前面に沿って流れる下降流
W 回り込み流れN,Rおよび水平方向に押し出される流れTが発生している仮想水平断面上に示した上部撹拌翼内翼部の翼スパン
X 回り込み流れN,Rおよび水平方向に押し出される流れTが発生している仮想水平断面上に示した撹拌槽内壁位置

Claims (3)

  1. 撹拌槽と、撹拌軸と、該撹拌軸に固定された上部翼と下部翼とを備えた撹拌装置において、
    前記上部翼は、複数段に配置された上部撹拌翼で構成され、
    該上部撹拌翼は、前記撹拌軸に接続された内翼部と、該内翼部の撹拌槽内壁側に連結された外翼部とで構成され、
    前記各上部撹拌翼の内翼部は、平面視したときに、該内翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して上向き角度で傾斜して設けられ、かつ、上段に位置する上部撹拌翼が下段に隣接する上部撹拌翼とオーバーラップ部分を有するように回転方向に対し先行して配置され、かつ、側面視したときに、上段に位置する上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、その下段に隣接する上部撹拌翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、
    前記各上部撹拌翼の外翼部は、平面視したときに、該外翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって前記内翼部の外周辺から撹拌槽内壁側の回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して下向き角度で傾斜して設けられ、かつ、該上部撹拌翼外翼部の外周辺が撹拌槽内壁に沿うような形で近接するように配置され、
    前記上部撹拌翼のうち最下段の上部撹拌翼は、前記下部翼と上下に隣接するように配置され、かつ、平面視したときに、最下段の上部撹拌翼外翼部の下方端部と前記撹拌軸中心点とを結ぶ平面図上の直線が、前記下部翼の翼径方向の中心線と所定の角度を持つように配置され、かつ、側面視したときに、最下段の上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、前記下部翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、
    前記下部翼下方端部は、撹拌槽内底面に近接するように配置されていること
    を特徴とする撹拌装置。
  2. 前記下部翼が幅広後退パドル翼であり、
    前記下部翼の翼径dbが撹拌槽内径Dに対し、0.5D≦db≦0.9Dであり、
    前記上部撹拌翼の翼径dhが撹拌槽内径Dに対し、0.7D≦dh≦1.0Dである請求項1に記載の撹拌装置。
  3. 撹拌槽と、撹拌軸と、該撹拌軸に固定された上部翼と下部翼とを備えた撹拌装置で被撹拌物を撹拌する撹拌方法において、
    前記上部翼は、複数段に配置された上部撹拌翼で構成され、
    該上部撹拌翼は、前記撹拌軸に接続された内翼部と、該内翼部の撹拌槽内壁側に連結された外翼部とで構成され、
    前記各上部撹拌翼の内翼部は、平面視したときに、該内翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して上向き角度で傾斜して設けられ、かつ、上段に位置する上部撹拌翼が下段に隣接する上部撹拌翼とオーバーラップ部分を有するように回転方向に対し先行して配置され、かつ、側面視したときに、上段に位置する上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、その下段に隣接する上部撹拌翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、
    前記各上部撹拌翼の外翼部は、平面視したときに、該外翼部の翼両端部と撹拌軸中心点とを結ぶ直線で囲まれた領域内であって前記内翼部の外周辺から撹拌槽内壁側の回転方向前方側及び回転方向後方側に切り欠き部を有し、かつ、回転方向に対して下向き角度で傾斜して設けられ、かつ、該上部撹拌翼外翼部の外周辺が撹拌槽内壁に沿うような形で近接するように配置され、
    前記上部撹拌翼のうち最下段の上部撹拌翼は、前記下部翼と上下に隣接するように配置され、かつ、平面視したときに、最下段の上部撹拌翼外翼部の下方端部と前記撹拌軸中心点とを結ぶ平面図上の直線が、前記下部翼の翼径方向の中心線と所定の角度を持つように配置され、かつ、側面視したときに、最下段の上部撹拌翼の下端を含む水平断面が、前記下部翼の上端を含む水平断面よりも下側に位置するように配置され、
    前記下部翼下方端部は、撹拌槽内底面に近接するように配置して撹拌すること
    を特徴とする撹拌方法。
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