JP5061427B2 - 導電性マイエナイト型化合物の製造方法 - Google Patents

導電性マイエナイト型化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性マイエナイト型化合物の製造方法に関する。
マイエナイト型化合物は12CaO・7Al(以下C12A7と記す)なる代表組成を有し、三次元的に連結された、直径約0.4nmの空隙(ケージ)から構成される特徴的な結晶構造を持つ。このケージを構成する骨格は正電荷を帯びており、単位格子当たり12個のケージを形成する。このケージの1/6は、結晶の電気的中性条件を満たすため、酸素イオンによって占められているが、この酸素イオンは、骨格を構成する他の酸素イオンとは化学的に異なる特性を持つことから、特に、フリー酸素イオンと呼ばれている。前記のことから、C12A7結晶は、[Ca24Al28644+・2O2−と表記される(非特許文献1参照)。
また、マイエナイト型化合物としては、12SrO・7Al(以下S12A7と記す)が知られており、任意のCaとSrの混合比を持つ、C12A7とS12A7の混晶化合物も存在する(非特許文献2参照)。
細野らは、C12A7結晶の粉末あるいはその焼結体を、H雰囲気中で熱処理してケージの中にHイオンを包接させ、次いで、紫外光を照射することにより、ケージ中に電子を包接させて、永続的な導電性を室温で誘起できることを見いだした(特許文献1)。この包接された電子はケージに緩く束縛されていて、結晶中を自由に動くことができるので、マイエナイト型化合物のC12A7結晶に導電性が付与される。しかしながらこの方法で得られる導電性マイエナイト型化合物は、十分な量の電子を包接させることができないため、導電性が十分でない。
細野らは、また、C12A7単結晶をアルカリ金属蒸気を用いて還元処理すると、ケージ中のフリー酸素イオンを電子で置き換えて、単結晶の導電性マイエナイト型化合物を作製できることを見いだした(特許文献1)。しかしながらこの方法では、単結晶の作製と、カルシウムによる還元処理に長時間を要するため、工業的に用いるのは困難である。
従来、一般的なガラスの作製法である溶融急冷法によって、C12A7組成をもつガラスが得られることが知られていて(非特許文献3参照)、該ガラスを再加熱して結晶化させると、マイエナイト型化合物のC12A7が生成することが知られていた。Liらは、空気中での溶融急冷によって得られたC12A7ガラスの再結晶化に必要な温度は、940〜1040℃であり、また、生成する主な結晶相がマイエナイト型化合物のC12A7結晶であり、副生成物としてCaAl結晶が得られることを報告している(非特許文献4)。しかしながらこのようにして得られたマイエナイト型化合物はケージ中にフリー酸素を有する絶縁体であった
細野らは、C12A7結晶をカーボン坩堝中で溶解して作製した透明なガラスを、酸素分圧が約10−11Paと極く低い雰囲気中1600℃で1時間または真空中1000℃で30分間の再加熱処理により結晶化させて、導電性マイエナイト型化合物が生成することを見出した(非特許文献5)。しかしながら、再加熱処理に、ガラスが再溶解する高温度かつ極低酸素分圧の雰囲気中、あるいは真空中、での再熱処理を要すため、この方法を用いて工業的に安価に大量に生産するのは困難であった。
特開2005−000741号公報 F.M.Lea and C.H.Desch,The Chemistry of Cement and Concrete,2nd ed.,p.52,Edward Arnold & Co.,London,1956. O.Yamaguchi,A.Narai,K.Shimizu,J.Am.Ceram.Soc.1986,69,C36. A.S.Ichimura,J.L.Dye,M.A.Camblor,L.A.Villaescusa,J.Am.Chem.Soc.2002,124,1170. W.Li,B.S.Mitchell,J.Non−Cryst.Sol.1999,255(2,3),199. S.W.Kim,M.Miyakawa,K.Hayashi,T.Sakai,M.Hirano,and H.Hosono,J.Am.Chem.Soc.,http://pubs.acs.org/journals/jacsat/,Web Release Date:15−Jan−2005).
本発明の目的は、従来技術が有する前述の欠点を解消することにある。すなわち従来技術では、導電性マイエナイトを製造するためには、高価な設備、複雑な反応条件の制御や、長時間の反応時間を要していた。そのため、良好な特性をもつ導電性マイエナイト型化合物を、安定してかつ低コストで製造することが困難であった。
前記の課題を解決するため、本発明は、前駆体を熱処理して導電性マイエナイト型化合物を製造する製造方法において、前記前駆体は、CaまたはSrと、Alとを含有し、酸化物換算した、CaOとSrOの合計と、Alとのモル比が12.6:6.4〜11.7:7.3で、CaO、SrOおよびAlの合計が50モル%以上であって、含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する原子数比で0.2%〜7.7%の炭素を含有する炭素含有前駆体であって、前記前駆体に対して、酸素分圧が1000Pa以下の不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で、前記前駆体を900〜1415℃まで加熱して保持する熱処理を施して、導電性マイエナイト型化合物を生成させることを特徴とする導電性マイエナイト型化合物の製造方法を提供する。
この場合、前記炭素含有前駆体、溶融してガラスを形成する原料に対して、前記原料が含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する、炭素の原子数比が0.2〜11.5%となるように炭素含有原料を調合し、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気下で溶融して作製された炭素含有前駆体である。
前記炭素含有原料は、炭素同素体、アセチリド化合物、共有結合性またはイオン性の金属炭化物、または炭化水素化合物、からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記炭素含有前駆体は、酸化物換算で、Alが、10.5%を上限として2倍のモル数のSiOまたはGeOで置換されていてもよく、さらにまた、前記炭素含有前駆体が、酸化物換算で、LiO、NaO、またはKOを0〜5%、MgO、またはBaOを0〜10%、Fe、またはTiOを0〜8%、含有していてもよい。
また、本発明は別の態様として、導電性マイエナイト型化合物の薄膜を備えたガラスの製造方法であって、前記ガラスは、CaまたはSrと、Alとを含有し、酸化物換算した、CaOとSrOの合計と、Alとのモル比が12.6:6.4〜11.7:7.3で、CaO、SrOおよびAlの合計が50モル%以上であって、炭素を、含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で0.2〜7.7%含有する炭素含有ガラスであって、前記の導電性マイエナイト型化合物の薄膜が、前記炭素含有ガラスを、酸素分圧10Pa以下の雰囲気下で900〜1470℃まで加熱して保持する熱処理によって表面結晶化させて形成されていることを特徴とする、導電性マイエナイト型化合物の薄膜を備えたガラスの製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、高価な設備、複雑な反応条件の制御や、長時間の反応時間を要さずに、良好な導電性を有する導電性マイエナイト型化合物を収率良く合成することが可能であり、該化合物を安価に大量に製造することができる。また、バルク状、粉状、膜状の導電性マイエナイト型化合物を安価に得ることができる。
本発明の製造方法によれば、炭素含有前駆体を熱処理することにより、良好な導電性を有する導電性マイエナイト型化合物を、長時間を要する工程や、工業的に実現が難しい特殊な処理条件を要することなく、安定に製造することができる。
本発明では、導電性マイエナイト型化合物を製造するための前駆体として、
− 代表組成が12CaO・7Alである絶縁性マイエナイト型化合物、
− この結晶格子の骨格と骨格により形成されるケージ構造が保持される範囲で、骨格またはケージ中の陽イオンまたは陰イオンの一部またはすべてが置換された同型化合物(以下、代表組成が12CaO・7Alである、絶縁性あるいは導電性のマイエナイト型化合物、その陽イオンまたは陰イオンが置換された同型化合物を、単にC12A7化合物という)、
− 前記C12A7化合物と同等の組成を有するガラス、
などを用いることができる。
前記C12A7化合物として、具体的には、
− C12A7化合物の骨格の一部またはすべての陽イオンが置換されたストロンチウムアルミネートSr12Al1433や、CaとSrの混合比が任意に変化された混晶であるカルシウムストロンチウムアルミネートCa12−xSrAl1033
− シリコン置換型マイエナイトであるCa12Al10Si33
− ケージ中のフリー酸素がOH、F、S2−、Clなどの陰イオンによって置換された、たとえばCa12Al1432:2OHまたはCa12Al1432:2F
− 陽イオンと陰イオンがともに置換された、たとえばワダライトCa12Al10Si32:6Cl
などのマイエナイト型化合物および同型化合物が例示されるが、これらに限定されない。
すなわち、本発明で用いる前記前駆体は、CaまたはSrとAlとを含有する。CaOまたはSrOと、Alとは、マイエナイト型化合物を形成する主たる成分であり、前記前駆体は、含有する、酸化物換算したCaOとSrOの合計とAlとのモル比が12.6:6.4〜11.7:7.3である組成を有する。前駆体をこのような組成とすると、熱処理により生成される導電性マイエナイト型化合物の割合、すなわち収率を高めることができて好ましい。
また、前記前駆体は、Ca、Srと、Al以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他の元素を含有してもよい。
Si、GeまたはBを含有させると、前記前駆体の溶融温度が下がって溶融が容易になって、融液を固化させるときにガラス化させて均質化させたり、成形したりできるようになる。そのため、所望の大きさ、形状のバルク体の導電性マイエナイト型化合物が得られるようになる。また、ガラス粉末の作製が容易になって好ましい。Si、GeまたはBは、いずれか1種以上を酸化物換算で合計1.5モル%以上含有させると前述の効果が得られて好ましい。また、SiまたはGeは、生成された導電性マイエナイト型化合物中のAlの位置を置換させ含有させてもよく、この場合、ドーピング効果により該結晶に包接される電子密度を増大させる効果がある。ドーピング効果を得るためには、6モル%以上とされる。Si、GeまたはBの含有量が17モル%超では溶融温度が再び上昇し、また、ドーピング効果が得られなくなる。そのため、Si、GeまたはBの含有量は17モル%以下とされる。
Li、Na、Kは溶融温度を低下させる成分であって、いずれか1種以上を酸化物換算した合計で0〜5モル%含有させることが好ましく、より好ましくは0〜3モル%とする。5モル%超では導電性が低下して好ましくない。
Mg、Baは、溶融温度を低下させる成分であって、いずれか1種以上を酸化物換算した合計で0〜10モル%含有させることが好ましく、より好ましくは0〜5モル%とする。5モル%超では導電性が低下して好ましくない。
また、前記原料物質は、不純物として、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybからなる群から選ばれる少なくとも一種の希土類元素、または、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuからなる群から選ばれる少なくとも一種の遷移金属元素、あるいは典型金属元素のうち、いずれか一種類以上を酸化物換算した合計で0〜8モル%、好ましくは1モル%以下を含有していてもよい。本発明の製造方法で製造する導電性マイエナイト型化合物は、陽イオン、陰イオンの一部または全部が置換されていたり、他の化合物等が添加されたり、また不純物を含有していたりしてもよい。すなわち前駆体は、高純度の試薬を調合して作製してもよいが、本発明の目的が損なわれない範囲で、石灰石、消石灰、生石灰、アルミナ、水酸化アルミナ、ボーキサイトなどの工業用原料や、アルミ残灰、ガラス、あるいは、天然に産出する鉱物である、マイエナイト型岩石等を用いることも可能である。
本発明の導電性マイエナイト型化合物の製造方法では、上に述べた組成を有する前駆体に、さらに炭素を含有させて炭素含有前駆体とし、それに熱処理を施すことによって、導電性マイエナイト型化合物を製造する。炭素含有前駆体は、それぞれの化合物、複合酸化物が、前述の組成で混合された混合物であってもよいが、ガラスとすると、前駆体原料を溶融し冷却して炭素含有前駆体を作製するときに割れ難くなってバルク体の作製が容易となるため好ましい。
以下、本明細書においては、本発明の目的が損なわれない範囲で前述のような置換や、添加、または不純物が含有されたマイエナイト型化合物を含めて、単にマイエナイト型化合物、特に導電性を有するものについては、導電性マイエナイト型化合物というものとする。
マイエナイト型化合物Ca12Al1433から導電性マイエナイト型化合物マイエナイト型化合物(代表組成はCa12Al1432:2e)を生成させるためには、単位式量当たり1個のO2−イオンを取り除く必要がある。炭素含有前駆体中の、炭素含有するマイエナイト型化合物は、酸素とカーバイドイオンとの置換反応:
Ca12Al1433+3C →Ca12Al1432:C 2−+CO↑
により生じた電子が、カーバイドイオンにより保持されていて、熱処理により結晶化させると、下記の反応式のように、カーバイドイオン1個当たり2個の電子が脱離して、マイエナイト型化合物結晶のケージ中に導入され、導電性が付与される。
2−→C+2e(ケージ)
炭素の含有量が0.2%未満では、後述の熱処理により、マイエナイト型化合物以外にC3A型やCA型などの他の化合物が混じったり、生成されるマイエナイト型化合物に包接される電子の量が少なくなって良好な導電性が得られない。良好な導電性を得るためには0.2%以上含有させることが好ましい。また、導電性マイエナイト型化合物が含有できる最大の電子濃度は約2×1021/cmであるので、炭素含有前駆体が含有するカーバイドイオン量は、含有されるCa、SrおよびAlの合計原子数に対する原子数比で7.7%以下とされる。
前記前駆体中に所望の量の炭素を含有させる方法としては、種々の方法を用いることが可能であって、
a.前記前駆体を粉砕した粉末と炭素原料とを混合して融点以下の高温に加熱、保持し、前駆体粉末中に炭素を拡散させる方法、
b.前記前駆体を与える組成の融液を、炭素または炭化物と接触させ、界面反応や融解により炭素を含有させる方法、
c.前記前駆体を与える組成の原料と、炭素材料、炭素化合物などの炭素含有原料と、を、調合し、融解させる方法、が例示される。
a.の方法では、炭素の拡散に長時間を要する。b.の方法としては、カーボン容器を用いて溶融する方法が例示されるが、融液とカーボン容器との界面で、融液中への炭素の取り込みが起きるので、溶融時間や温度以外に融液の量や容器の形状、壁面の粗さなどにより炭素の取り込み速度が変化し、炭素の取り込み量が変動するおそれがある。c.の方法を用いると、炭素の含有量を容易にかつ精度よく制御することが可能で、また、迅速に炭素を含有させることができるので好ましい。また、溶融容器として、b.の方法と同様のカーボン容器を用いてもよいが、アルミナ、マグネシアなどのセラミック製、あるいはプラチナ、モリブデンなどの貴金属製または金属製の容器を使用することができる。その場合、カーボン含有量の変動が抑えられ、また、溶融による容器の損耗が小さいので好ましい。炭素含有前駆体が含有する炭素量を前述の範囲とするためには、前記前駆体を与える組成の原料に対して、炭素材料、炭素化合物などの炭素含有原料を混合する割合は、前記原料が含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する、炭素の原子数比が0.2〜11.5%とされる。
炭素含有原料としては、炭素材料、あるいは各種の炭素化合物を用いることが可能であり、炭素同素体、アセチリド化合物、共有結合性またはイオン性の金属炭化物、または炭化水素化合物、からなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。炭素材料としては、無定形炭素、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素同素体を用いることができる。炭化物としては、各種の金属炭化物やアセチリド化合物や、炭化水素化合物を用いることができる。
所定の含有量の炭素含有原料と調合された炭素含有前駆体原料は、酸素分圧10Pa以下の雰囲気下で、1415〜1650℃に加熱、保持して融解され、次いで冷却し、炭素含有前駆体が得られる。融解は、閉鎖系の電気炉を用いて、雰囲気に酸素や水蒸気の分圧が低くされたNなどの前記原料と反応しないガスを流して、酸素分圧を10Paあるいはそれ以下にまで低下させて、おこなわれる。
前記溶融温度は、1415℃未満では出発原料が融解しないため好ましくない。また、1650℃超では、原料物質の揮発により、得られる前駆体の組成が、調合組成とずれて、熱処理により得られる生成物中の導電性マイエナイト型化合物の含有量が低下するおそれがある。融解した原料は、融解温度で所定の時間保持された後、冷却される。冷却方法としては、徐冷してもよく、また、急冷、空冷してもよい。結晶質、または結晶質と非晶質の混合物を合成する場合には、冷却速度は好ましくは200〜500℃/時間であることが望ましく、また、非晶質を合成する場合には、500℃/時間〜1500℃/秒であることが望ましい。
このようにして得られた炭素含有前駆体中に含有される炭素は、C 2−、C4−、C 4−などのイオン、カチオンと共有結合している炭素、または原子状の炭素のいずれの状態で含有されていてもよい。
このようにして作製した炭素含有前駆体を、酸素分圧が1000Pa以下の不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で900〜1415℃まで加熱して保持し、次いで所定の冷却速度で冷却する熱処理を施すことにより、良好な導電性マイエナイト型化合物を生成させることができる。
熱処理雰囲気の酸素分圧が1000Paを超えると、高温下で、導電性マイエナイト型化合物が雰囲気中の酸素を取り込んで、ケージ中の電子がフリー酸素イオンに置換される反応が進行し、得られたマイエナイト型化合物の導電性が低下する。また、熱処理雰囲気中の酸素分圧は、10−11Paを超えて低くしても、熱処理コストが嵩む一方、得られる導電性マイエナイト型化合物の導電率は改善されないので、10−11Pa以上とすることが好ましい。良好な導電率を得るためには、2Pa以上とすればよい。また、20Pa以上とすると、この酸素分圧の雰囲気は、簡単な装置で容易に実現できるとともに、実用上充分な高導電率が得られるので、より好ましい。
酸素分圧を1000Pa以下とする方法としては、酸素ガスを含まない種々の不活性ガス、例えば窒素ガス、アルゴン等の希ガスなどの雰囲気や、真空などが好ましく例示される。前記前駆体および前記還元剤が、Alなどの窒化され易い成分を含む場合は、不活性ガスとして窒素ガスを用いると、前記前駆体または前記還元剤の窒化により、所望の導電性マイエナイト型化合物が得られないおそれがある。その場合は、アルゴン等の希ガスまたは真空中で前記熱処理をおこなうことが好ましい。
熱処理温度は、900℃未満では結晶化が進行しないため、導電性マイエナイト型化合物が得られない。1415℃超では前記前駆体が溶融するおそれがある。前記前駆体が溶融すると、冷却、凝固した後、導電性マイエナイト型化合物を晶出させる工程が必要になる。また、1250℃以上では、マイエナイト型以外のカルシウムアルミネート化合物(カルシウムがストロンチウムで一部または全部置換されたものなど、陽イオン、陰イオンの一部または全部が置換されたものを含めて、以下、カルシウムアルミネート化合物という)からマイエナイト型化合物が生成する反応速度が大きくなるので、導電性マイエナイト型化合物以外のカルシウムアルミネート化合物の混入を低減できて、より好ましい。
熱処理時の昇温速度は50℃/時以上、1000℃/秒以下が好ましく、より好ましくは200℃/時以上、800℃/時である。昇温速度が50℃/時以下であると、熱処理に長時間を要して生産性が低下する。1000℃/秒以上では炭素含有前駆体が熱割れするおそれがあり、好ましくない。
導電性マイエナイト型化合物が生成する反応は、炭素含有前駆体が非晶質の場合は表面が、また炭素含有前駆体が結晶質の場合は結晶粒界が、それぞれ起点となって進行する。このため、開始原料の炭素含有前駆体が、概略1m角以内、または、結晶質の場合は結晶粒の大きさが1mm以内であれば、おおむね3時間以内で炭素含有前駆体全体を導電性マイエナイト型化合物とすることができる。このことから、熱処理時の保持時間は1分〜12時間とされる。保持時間が1分未満では導電性マイエナイト型化合物生成の反応の進行が充分に進行しないおそれがある。また、12時間超保持しても、導電性マイエナイト型化合物の生成量は変化しないため、工業的に好ましくない。
また、かかる熱処理温度に保持した後の冷却速度は、50℃/時以上、1000℃/秒以下とすることが好ましい。冷却速度が50℃/時以下であると、熱処理に要する時間が長いため、生産性が低下する。1000℃/秒以上では、熱割れが生じて、生成する導電性マイエナイト型化合物の形態が変化し、熱処理後に加工工程を要するおそれがある。より好ましくは、200℃/時以上、800℃/時以下である。200℃/時以上とすると炉内温度の制御が容易であり好ましい。800℃/時以下とすると、電気炉などの安価な設備を用いることができるため好ましい。
また、本発明においては、前記炭素含有前駆体を粉砕して粉末とし、この炭素含有前駆体粉末に対して前述の熱処理をおこなってもよい。マイエナイト型化合物の生成および導電性が発現する反応は表面から進行するため、この方法によれば、より短時間で粉末全体を導電性マイエナイト型化合物とすることができる。すなわち、粉末の最大粒子径を100μm以下の粉末とした前駆体を熱処理すると、効果的に優れた特性をもつ導電性マイエナイト粉末が得られる。また、粒子径が0.1μm以下の粒子は凝集して粗粒化するおそれがあるため、最小粒子径は0.1μm以上とすることが好ましい。炭素含有前駆体粉末の粒子径は、前述の範囲内で、用途に応じた所望の粒子径分布となるように粉砕してもよく、また、熱処理後に、さらに粉砕をおこなってもよい。
以上説明したように炭素含有前駆体は、製造が容易であり、大量に低コストで製造することが可能なので、炭素含有前駆体を熱処理して導電性マイエナイト型化合物を製造する本発明の製造方法を用いると、優れた導電性をもつ導電性マイエナイト型化合物を、大量にかつ低コストで製造することが可能となる。
本発明の別の実施態様を以下、説明する。前述の炭素含有前駆体と同様のCaO、SrO、Alおよび炭素を含有する融液を急冷すると、炭素含有カルシウムアルミネートガラスが得られる。この炭素含有カルシウムアルミネートガラスを、平板状に成形、あるいは表面を研磨する等により、板状とし、酸素分圧が1000Pa以下の雰囲気中で900℃〜1100℃まで加熱して30分〜5時間保持することにより、ガラス内部は非晶質の状態を保ったままで、導電性マイエナイト型化合物からなる導電性薄膜を表面に形成することができる。形成された導電性薄膜の厚さはおよそ100μmで、膜の組織は表面結晶化により生成した針状結晶の集合体であった。
熱処理をおこなう雰囲気は酸素分圧1000Pa以下であることが好ましい。熱処理雰囲気中の酸素分圧が1000Paを超えると、導電性マイエナイト型化合物が熱処理中に雰囲気から酸素を取り込んで、ケージ中の電子がフリー酸素イオンに置換される反応が進行して、得られたマイエナイト型化合物の導電性が低下する。酸素分圧20Pa以下とすると、導電性薄膜の導電性が向上するため好ましい。熱処理温度は、900℃未満では結晶成長速度が著しく小さいため、結晶薄膜の形成に長時間を要する。また、1100℃超では、薄膜の形成速度が極めて大きいことから、ガラスの表面だけに導電性マイエナイト型化合物を形成するための、熱処理時間時間の制御が難しい。熱処理時間は30分以上、5時間以下であることが好ましい。熱処理時間が30分未満では、熱処理に用いる電気炉などの温度の制御が難しい。また、5時間超では、ガラス内部からも結晶が析出するおそれがある。熱処理をおこなうガラスの表面を研磨したり、電気炉とグローブボックスが接続された設備を用いるなどして、ガラスを低酸素分圧雰囲気下で成形すると、前記導電性薄膜の厚さおよび特性の再現性が向上して好ましい。
すなわち、本発明は、導電性マイエナイト型化合物の薄膜を備えたガラスの製造方法であって、CaまたはSrと、Alとを含有し、酸化物換算した、CaOとSrOの合計と、Alとのモル比が12.6:6.4〜11.7:7.3で、CaO、SrOおよびAlの合計が50モル%以上であって、含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する、炭素の原子数比が0.2〜7.7%含有する炭素含有ガラスを、酸素分圧20Pa以下の雰囲気下で900〜1415℃まで加熱して保持する熱処理によって表面結晶化させて導電性マイエナイト型化合物の薄膜を形成されることを特徴とする導電性マイエナイト型化合物の薄膜を備えたガラスの製造方法を提供する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の説明に限定されない。例1〜5、例9〜11は実施例であって、例6〜8は比較例である。また、例12〜14は参考例である。
[例1〜4]
酸化物換算のモル比でCaO:Al:SiO=60:35:5となるように、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素とを調合、混合し、昇温速度400℃/時間で1650℃まで昇温して溶解させた後、それぞれ、3、5.5、7、10時間保持し、急冷して炭素含有カルシウムアルミネートガラスからなる炭素含有前駆体を作製した。溶解の容器には蓋付きカーボン坩堝を用いたので、溶解雰囲気中は、カーボン坩堝と酸素との反応により酸素分圧10−11Paである。得られたガラスは透明で絶縁体であった。得られたガラス中には、溶解したガラスとカーボン坩堝との反応によりカーボンが取り込まれていて、取り込まれた炭素濃度は、燃焼法と2次イオン質量分析法による測定により、図1に示すように、溶融時間が長くなると0.1質量%から0.37質量%まで(前駆体が含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する炭素の原子数比で、0.44%〜1.64%)増加する傾向を示した。また、ラマン分光法により1860cm−1付近にラマンバンドが観察され、カーバイドイオンC 2−の状態でガラスに溶解していることがわかった。
これらの炭素含有カルシウムアルミネートガラスを、酸素濃度が0.6%の窒素ガスを流した酸素分圧が608Paの窒素ガスフロー炉を用いて、昇温速度400℃/時間で1300℃まで昇温させ3時間保持する熱処理をおこなって、例1〜4の試料を得た。熱処理後の試料はすべて暗緑色で、X線回折によりマイエナイト型構造をもつことがわかった。また、光拡散反射スペクトルからクベルカムンク法により求められた電子濃度は2〜4×1019/cmで、導電率はそれぞれ2.0、1.8、3.0、3.5S/cmであった。すなわち、例1〜4のそれぞれの試料は、導電性マイエナイト型化合物であることがわかった。
[例5]
酸化物換算のモル比でCaO:Al:SiO=60:35:5となるように、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素とを調合した100質量部に対して、さらに0.8質量部(CaおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で、3.52%)のカーボン粉末を混合し、窒素雰囲気炉を用いて、蓋付きアルミナ坩堝中で1550℃まで加熱、融解し、1時間保持したのち、冷却して炭素含有前駆体を作製した。得られたガラスは透明で絶縁体であった。得られたバルク状の炭素含有前駆体はガラス質であるが、一部、カルシウムアルミネート化合物が含まれていた。この炭素含有前駆体中の炭素濃度は、燃焼法と2次イオン質量分析法による測定により、0.68質量%(CaおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で、2.99%)であった。また、ラマン分光法により1860cm−1付近にラマンバンドが観察され、カーバイドイオンC 2−の状態でガラスに溶解していることがわかった。
この炭素含有前駆体を、酸素濃度が0.6%の窒素ガスを流した酸素分圧が608Paの窒素ガスフロー炉中で昇温速度400℃/時間で1300℃まで昇温させ2時間保持する熱処理をおこなうと、緻密な黒色のバルク体が得られ、これを破砕する暗緑色の粉体が得られた。粉体に対してX線回折をおこなったところ、マイエナイト型構造をもつことがわかった。また、光拡散反射スペクトルから求めた電子濃度は1019/cmであった。すなわち、本例の製造方法により、導電性マイエナイト型化合物が得られたことが確認された。
[例6]
溶融時間を1時間とした以外は、例1〜4と同様にして炭素含有カルシウムアルミネートガラスを作製した。得られたガラスは透明で絶縁体で、同様に測定したガラス中の炭素濃度は0.027質量%(CaおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で、0.12%)であった。このガラスに対して、窒素ガスフロー炉を用いて例1〜4と同様の熱処理をおこなったところ、得られた試料は導電性マイエナイト型化合物とC3AおよびCA結晶との混合物で、導電率はおよそ10−2S/cmであった。
[例7]
例1〜4と同様にして作製した、0.1〜0.37質量%の炭素を含有する炭素含有カルシウムアルミネートガラス(Ca、Sr、およびAlの合計原子数に対する炭素の原子数比で0.44%〜1.64%)に対して、空気を流したフロー炉中で1300℃での熱処理をおこなった。得られた試料は、X線回折によりマイエナイト型化合物であることが確認されたが、白色を呈しており、絶縁体であった。
[例8]
酸化物換算のモル比でCaO:Al:SiO=60:35:5となるように、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素とを調合し、窒素雰囲気炉を用いて、蓋付きアルミナ坩堝中で1550℃まで加熱、融解し、1時間保持したのち、冷却して,炭素を含有しないカルシウムアルミネートガラスからなる前駆体を作製した。得られたガラスを、例5と同様にして酸素濃度が0.6%の窒素ガスを流した酸素分圧が608Paの窒素ガスフロー炉中で熱処理をおこなったところ、マイエナイト型化合物が得られたが、該化合物は白色であり、導電性を示さなかった。
[例9、10]
炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、および酸化ケイ素を、酸化物換算でCaO、Al、SiOがそれぞれ60モル%、35モル%、5モル%となるように調合した混合粉末を、白金坩堝を用いて空気中で1650℃で溶融し、双ローラを用いて冷却してカルシウムアルミネートガラスのガラスフレークを得た。得られたガラスフレークを粉砕して、前記組成のガラス粉末を得た。
このガラス粉末100重量部に対して、それぞれ0.4重量部、1.6重量部の炭素粉末(CaおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で、それぞれ1.76%、7.04%)を添加した混合粉末を、蓋付きカーボン坩堝に入れ、400℃/時間の昇温速度で1650℃まで昇温して融解し、1時間保持したのち急冷して炭素含有カルシウムアルミネート組成物からなる炭素含有前駆体を得た。融解雰囲気の酸素分圧は、カーボン坩堝と酸素との反応により、10−11Pa以下である。
炭素を0.4重量部添加して得られた炭素含有カルシウムアルミネート組成物は、透明ガラスであり、炭素を1.6重量部添加して得られた例11の炭素含有カルシウムアルミネート組成物は、C3AとCA結晶からなるカルシウムアルミネート化合物の混合物であった。ラマン分光により、炭素はともにC 2−イオンの状態で含有されていて、燃焼法と2次イオン質量分析法による測定により、それぞれの炭素濃度は0.36質量%(CaおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で1.58%)、および1.28質量%(CaおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で5.63%)であることがわかった。
これらの炭素含有カルシウムアルミネート組成物を、酸素濃度が0.6%の窒素ガスを流した酸素分圧が608Paの窒素ガスフロー炉中で、昇温速度400℃/時間で1300℃まで昇温して3時間保持する熱処理をおこなったところ、ともに導電性マイエナイト型化合物が得られた。導電率はそれぞれ5S/cm、2S/cmであった。電子濃度はそれぞれ約1020/cm、約1020/cmであった。
[例11]
例1〜4で作製したそれぞれの炭素含有カルシウムアルミネートガラスを機械的に粉砕し、最大粒径が100μmで中心粒径が約50μmの粉体とした。炭素含有量が異なるそれぞれのガラス粉を前駆体として、窒素ガスフローにより酸素濃度を10Paとした管状炉中で昇温速度400℃/時間で960℃まで昇温させ2時間保持したところ、いずれの前駆体からも導電性マイエナイト型化合物の粉体が得られた。すなわち熱処理後のいずれの粉体も濃緑色を呈しており、光拡散反射スペクトルから求めたキャリア密度はおよそ1019/cmであった。
[例12]
酸化物換算のモル比でCaO:Al:SiO=60:35:5となるように、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素とを調合し、例1〜4と同様に蓋付きカーボン坩堝を用いて1650℃まで昇温して溶解し、それぞれ3、5.5、7、10時間保持したのち、急冷して炭素含有カルシウムアルミネートガラスを作製した。得られたそれぞれのカーボン含有カルシウムアルミネートガラスを鏡面研磨し、次いで酸素濃度が10Paの窒素ガス雰囲気中で、昇温速度400℃/時間で950℃まで昇温させ2時間保持したところ、該ガラスの表面に、表面結晶化により生成した針状結晶の集合体からなる導電性マイエナイト型化合物からなる薄膜が形成された。該薄膜の厚みは、およそ100μmであった。このとき、ガラス内部は非晶質の状態を保っていた。
[例13]
例12の、鏡面研磨されたカーボン含有カルシウムアルミネート化合物ガラスに対して、熱処理温度を例14の950℃から800℃へ変えた以外は例12と同様の熱処理をおこなったところ、該ガラス表面に導電性マイエナイト型化合物からなる薄膜は形成されなかった。
[例14]
酸化物換算のモル比でCaO:Al:SiO=60:35:5となるように、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素とを調合し、白金坩堝を用いて空気中で1650℃まで昇温して溶解、保持して炭素を含有しないカルシウムアルミネートガラスを作製した。粉砕した該ガラスに0.4質量%(CaおよびAlの合計原子数に対する炭素原子数の比で1.76%)の炭素粉末を添加し混合した後、蓋付きカーボン坩堝に入れ、400℃/時間の昇温速度で1650℃まで昇温し、1時間保持した。坩堝内の酸素分圧はカーボンによる酸素の吸収により10−11Pa以下である。次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス内で融液を流しだして、炭素含有カルシウムアルミネートガラスを得た。得られたガラスは均質で透明であった。このとき、融液を窒素ガス雰囲気中でなく空気中で流し出すと、発泡により均質なガラスが得られなかった。
本発明の製造方法によれば、導電性が良好な導電性マイエナイトのバルク体、粉末、薄膜を、安定してかつ低コストで製造することができる。また、高純度原料以外に、非晶質原料や天然鉱物や工業用原料などの低コスト原料を用いて導電性マイエナイト型化合物を製造することができる。さらに、バルク状、粉状、膜状の導電性マイエナイト型化合物を安価に得ることができる。
また、本発明の方法により製造された導電性マイエナイト型化合物は、電子放出特性が優れているので、電界効果型の電子放出材料として用いることができて、電子放出装置、表示装置、あるいは小型のX線源が実現される。
また、仕事関数が小さいため、有機ELデバイスにおける電荷注入材料など、特殊な接合特性が要求される電極材料として用いることができる。
ガラス中のカーボン濃度の溶融時間依存性を示すグラフである。 導電性マイエナイト型化合物粉末の光吸収スペクトルを示すグラフである。

Claims (4)

  1. 前駆体を熱処理して導電性マイエナイト型化合物を製造する製造方法において、
    溶融してガラスを形成する原料に対して、前記原料が含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する、炭素の原子数比が0.2〜11.5%となるように炭素含有原料を調合し、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気下で溶融して前記前駆体を作製し、
    前記前駆体は、
    CaまたはSrと、Alとを含有し、
    酸化物換算した、CaOとSrOの合計と、Alとのモル比が12.6:6.
    4〜11.7:7.3で、
    CaO、SrOおよびAlの合計が50モル%以上であって、
    含有するCa、Sr、およびAlの合計原子数に対する原子数比で0.2%〜7.7
    %の炭素を含有する炭素含有前駆体であって、
    前記前駆体に対して、酸素分圧が1000Pa以下の不活性ガス雰囲気または真空雰囲気
    中で、前記前駆体を900〜1415℃まで加熱して保持する熱処理を施して、導電性マ
    イエナイト型化合物を生成させることを特徴とする導電性マイエナイト型化合物の製造方
    法。
  2. 前記炭素含有原料が、炭素同素体、アセチリド化合物、共有結合性またはイオン性の金
    属炭化物、または炭化水素化合物、からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項
    に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。
  3. 前記前駆体が含有するAlの一部が、同じ原子数のSiまたはGeで置換されている請
    求項1または2に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方法。
  4. 前記炭素含有前駆体が、酸化物換算で、LiO、NaO、またはKOを0〜5モ
    ル%、MgO、またはBaOを0〜10モル%、Fe、またはTiOを0〜8モ
    ル%含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の導電性マイエナイト型化合物の製造方
    法。
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