JP5057874B2 - ポリ乳酸樹脂組成物およびポリ乳酸樹脂用添加剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物およびポリ乳酸樹脂用添加剤に関し、詳細には、耐熱性・柔軟性に優れたポリ乳酸樹脂組成物およびこれを製造するために用いるおよびポリ乳酸樹脂用添加剤に関する。
近年、持続発展可能な社会の構築が切望されており、高分子材料分野においても再生可能原料を利用した材料開発が盛んに行われている。ポリ乳酸は植物を起源とする原料により合成することが可能であり、力学的強度も既存のプラスチックに近い性質を示すため、石油由来プラスチックの代替として注目されている。しかし、耐熱性や柔軟性に乏しいため、幅広い応用展開を図る上で大きな課題となっている。
ポリ乳酸の柔軟性を向上させる例として、10〜40%の乳酸またはラクチド、あるいは10〜60%の線状の乳酸オリゴマーまたはラクチドオリゴマーを含むポリ乳酸の例が開示されている(特許文献1)。しかしながら樹脂中に含まれる低分子量化合物は、表面に滲み出るいわゆるブリードが生じやすい。これは低分子化合物がポリ乳酸の非結晶部に相溶しており、この部分の分子鎖は添加物によって運動しやすくなっているが、外部エネルギーが加わることで非結晶部分が徐々に結晶化し相溶可能部分が減少し、低分子化合物が表面に押し出されるためである。一方、比較的高分子量の線状の乳酸オリゴマーをブレンドした場合は、低分子化合物と異なりブリードを起しにくいが、添加した乳酸オリゴマー自身が結晶性を有し、可塑化効果の妨げとなる。
また、ポリ乳酸の柔軟性を向上させる例として、乳酸の誘導体を添加したポリ乳酸組成物の例が開示されている(特許文献2)。しかしながらこの場合も添加物が低分子量化合物であり、添加量によっては添加物が表面に滲み出るいわゆるブリードが生じやすい。添加物が表面に押し出されることが、課題となっている。
また、ポリ乳酸の柔軟性を向上させる例として、環状の乳酸オリゴマーとポリ乳酸の組成物の例が開示されている(特許文献3)。乳酸由来のオリゴマーとポリマーの組み合わせで柔軟性を付与できるため、透明性、植物度(植物由来原料の割合)を維持できる。しかしながら可塑化の効果は十分でなく、また環状の乳酸オリゴマー製造の収率が低いこと、環状オリゴマーの分子量の制御が困難であることが課題である。
その他、ポリ乳酸に柔軟性を付与するために、他樹脂やフィラーのブレンドによる改質が検討されているが、ポリ乳酸の透明性を損なうことや、植物度(植物由来原料の割合)を低下させることなどが問題となっている。
一方、ポリ乳酸の耐熱性を上げるためには、例えば、耐熱性を有するタルクやマイカ等の無機フィラーを添加する方法が挙げられる。すなわち、樹脂に高耐熱性を有する無機フィラーを添加することにより、機械特性を改善させ、固くする効果が得られる。しかしながら、樹脂に無機フィラーを添加するのみでは、実用面における充分な耐熱性を確保することは困難であり、比重が高くなるという新たな問題を生じる。
また、従来においては、成形中又は成形後に熱処理を行うことによって、ポリ乳酸の耐熱性の改善を図る技術の提案がなされた。ポリ乳酸は、結晶構造をとり得る材料であるが、結晶化しにくい高分子であるため、ポリ乳酸を通常の汎用樹脂と同様の方法で成形すると、成形品は非晶質となってしまい、機械的強度に劣り、かつ熱変形を生じ易いものとなる。
これに対し、成形中又は成形後に熱処理を施すことによって、ポリ乳酸を結晶化でき、成形品の耐熱性の向上を図ることができる。しかしながら、このような熱処理による結晶化方法は、結晶化に長時間を必要とするという実用上の課題を有している。ポリ乳酸の成形品を金型内で熱処理工程を経て結晶化を終了させるためには、かなりの時間がかかる。また、ポリ乳酸の結晶核となる物質を添加せずに、ポリ乳酸のみで結晶化させると、結晶核の自由発生頻度が小さいため、結晶のサイズがミクロンオーダー程度となってしまい、ポリ乳酸の結晶自体が光散乱の要因となって白濁し、透明性が失われ、実用上の有効性が低減してしまう。結晶構造をとり得るポリマーに関し、上述したような課題の解決のため、すなわち結晶構造をとり得るポリマーの結晶化を促進させるために、核剤の添加という手法が検討されている。核剤とは、結晶性高分子の一次結晶核となり、結晶性ポリマーの結晶成長を促進するものである。また広義には、結晶性高分子の結晶化を促進、すなわち、高分子の結晶化速度そのものを速くするものも核剤と言うこともある。核剤が樹脂に添加されると、高分子の結晶を微細化でき、剛性が改善されたり、あるいは透明性が改善されたりするという効果が得られる。また、成形中に結晶化をさせる場合においては、結晶化の全体の速度(時間)を速めることから、成形サイクルを短縮できるという利点もある。
ポリ乳酸の結晶化促進の従来例として、タルク、層状粘度化合物、スルホイソフタル酸ジメチル金属塩、銅フタロシアニンの添加、ポリカーボネートとのアロイなどの例があるが、いずれも再生可能原料を利用した植物を起源とする添加剤ではなく、植物度(植物由来原料の割合)を低下させることなどが問題となっている。
また、植物度を低下させない添加物として、ポリ−D乳酸またはD―乳酸とデンプンとの共重合樹脂からなるA成分と、融点または軟化点がポリ乳酸の融点または軟化点以下である生分解樹脂からなるB成分とのブロック重合体をポリ乳酸に混入する例が開示されている(特許文献5)。しかしながら、この添加剤はポリ乳酸に対する相溶性が低く、組成物における安定性が低下するという課題がある。相溶化剤を加えることが必要であることから、結局植物度を低下させることが課題となる。
また、トリプトファン、フェニルアラニンなどのアミノ酸をポリ乳酸に混入する例が開示されている(特許文献6)。しかしながら、これら添加剤は、ポリ乳酸に対する相溶性が低く、また、粒径の分布および添加量を制御することが必要であり、凝集を防ぐためには凝集防止剤を加えることも必要となり、結局植物度を低下させることが課題となる。
米国特許5180765号 特開平9−100401号公報 特開平6−306264号公報 特開2005−146274号公報 特開2007−063516号公報 特開2007−282940号公報
本発明は、植物度を低下させずに、柔軟性、耐熱性に優れるポリ乳酸樹脂組成物を提供することを課題とする。本発明はまた、ポリ乳酸樹脂に添加することで、その柔軟性、耐熱性を改質できるポリ乳酸樹脂用添加剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリ乳酸に、分子構造の異なるポリ乳酸を加えることで、ポリ乳酸が可塑化される、および/または結晶化促進されることを見出した。結晶化が促進されることで、耐熱性が向上する。すなわち分子構造の異なるポリ乳酸の組み合わせことで、柔軟性と、耐熱性を向上できることを見出した。
分子構造の異なるポリ乳酸である、分岐状ポリ乳酸は、油脂などを基本骨格とする多分岐型のポリ乳酸である。多分岐状とすることで、分子鎖の結晶化が阻害され結晶性が低く、融点が低く、さらに柔軟である。従って、従来の課題であったブリードなどを抑えるために比較的高分子量の分岐状ポリ乳酸を加えても、それ自体は非晶性であり、可塑化を妨げない。
さらにこのような多分岐状ポリ乳酸およびこれを配合されるポリ乳酸は、全て植物由来の原料からなるために、これらを組み合わせたポリ乳酸樹脂組成物においても植物度を低下させることはない。また、このブレンドは、分子レベルでの相溶であり、安定な組成物であると共に、結晶サイズが小さいうえに、構造が類似であるため屈折率も近く透明性を維持することができるものである。
本発明は、これらの知見に基づき想到されたものであり、ポリ乳酸と、分子中にポリ乳酸からなる分岐鎖を少なくとも3個有する分岐状ポリ乳酸とを含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物である。
なお、本明細書において単に「ポリ乳酸」と称呼されるものは、後述するように、L−乳酸及び/またはD−乳酸を主たる構成成分とする、一般的な、実質的に分枝を有しない鎖状のポリ乳酸を指すものであり、本明細書においては、「分子中にポリ乳酸からなる分岐鎖を少なくとも3個有する分岐状ポリ乳酸」を少なくとも包含しない意味で用いられるものである。
本発明の一実施形態においては、上記分岐状ポリ乳酸が、分子中に少なくとも3個の水酸基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を開始剤として重合したポリ乳酸であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明の更なる実施形態においては、上記油脂が、ヒマシ油、ポリヒマシ油、硬化ヒマシ油、または水酸基化大豆油であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明の他の実施形態においては、上記分岐状ポリ乳酸が、分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を開始剤として重合したポリ乳酸であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明のさらなる実施形態においては、上記油脂が、エポキシ化大豆油、エポキシ化パーム油、またはエポキシ化亜麻仁油であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明の一実施形態においては、上記分岐状ポリ乳酸の重量分子量が、1000以上30000以下であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明のさらに他の実施形態においては、上記ポリ乳酸に対して、分子中にポリ乳酸からなる分岐鎖を少なくとも3個有する分岐状ポリ乳酸を1重量部以上30重量部以下添加してなるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明の別の実施形態においては、上記分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基における水素がアシル基で置換されている分岐状ポリ乳酸であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明のまた別の実施形態においては、上記分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸塩とエステル結合されている分岐状ポリ乳酸であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
本発明のまた別の実施形態においては、上記分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸塩とエステル結合されており、エステル結合に与らないカルボキシル基が陽イオンとの塩を形成している分岐状ポリ乳酸であるポリ乳酸樹脂組成物が示される。
上記課題を解決する本発明はまた、ポリ乳酸に、分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を溶融混合してなる樹脂組成物によっても達成される。
すなわち、ポリ乳酸中に、このようなトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を溶融混合した場合においても、当該溶融混合時ないしはその後の樹脂の加工工程等の際に、当該樹脂組成物中において、トリアシルグリセロールの末端エポキシ基が開環して、ポリ乳酸のカルボキシ末端と反応してエステル結合する結果、樹脂組成物中に分岐状ポリ乳酸構造体が生じるため、上記したごとき、ポリ乳酸に分岐状ポリ乳酸を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物とほぼ同様の作用が生じるものである。
本発明はまた、分子中にポリ乳酸からなる分岐鎖を少なくとも3個有する分岐状ポリ乳酸であることを特徴とするポリ乳酸樹脂用添加剤を示すものである。
本発明によれば、可塑化による柔軟性向上、またはかつ結晶化促進による耐熱性向上したポリ乳酸樹脂組成物を提供することができる。
以下本発明を実施形態に基づき、より詳細に説明する。
(分岐状ポリ乳酸)
本発明に係る分岐状ポリ乳酸は、低融点でありかつ再生可能資源で構成されるように設計されている。すなわち、本発明に係る分岐状ポリ乳酸は、乳酸を構成単位とする分岐鎖(すなわち、ポリ乳酸鎖または乳酸オリゴマー鎖)を分子中に少なくとも3個有する分岐状ポリマーである(図1および図2を参照のこと)。
なお、乳酸を構成単位とする分岐鎖の数としては、必ずしも3個に限られるものではなく、これ以上の数であっても良く、具体的には例えば、3〜12程度、より好ましくは3〜8程度のものとすることができる。また、分岐状ポリマーの骨格構造としても、図1に示される例のような星型のものの他、櫛型、樹脂型、爆裂星型等各種の形態を採り得る。
具体的には、分子中に少なくとも3個の水酸基を有する油脂(トリアシルグリセロール)の水酸基に、ポリ乳酸のカルボキシ末端がそれぞれエステル結合されている分岐状ポリ乳酸が挙げられる(図1)。
あるいは、分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有する油脂(トリアシルグリセロール)のエポキシ基が開環して、ポリ乳酸のカルボキシ末端がそれぞれエステル結合されている分岐状ポリ乳酸が挙げられる(図2)。
そのため、油脂を起点として少なくとも3個のポリ乳酸鎖が延び、各ポリ乳酸鎖の末端には水酸基が存在する。このような分岐状ポリ乳酸は、直鎖状のポリ乳酸に比べて、同等の分子量であっても、融点および結晶化度が低い。また、油脂およびポリ乳酸鎖の構成によっては、非結晶性であり得る。
本発明に係る分岐状ポリ乳酸において、乳酸を構成単位とする分岐鎖(すなわち、ポリ乳酸鎖または乳酸オリゴマー鎖)を構成する乳酸成分としては、L−乳酸、D−乳酸、あるいはラセミ体等のDL混合体のいずれであっても良い。
なお、後述する実施例においても示されるように、分岐状ポリ乳酸の乳酸成分として、D体を含むものである(D体ないしDL体)方が、一般的なポリ乳酸に対する可塑化効果は高いものとなることが期待できる。しかしながら、分岐状ポリ乳酸の乳酸成分がL体のみの場合であっても、十分な改質効果がもたらされるものであり、経済的な観点からすると、L体の分岐状ポリ乳酸も十分に好ましいものである。
また、本発明に係る分子状ポリ乳酸の分子量としては、得られるポリ乳酸樹脂組成物の目的とする用途等に応じた所期の機械的物性、柔軟性等を与えるものであれば特に限定されるものではなく、また、組み合わせて使用されるポリ乳酸の分子量、光学特性等によっても左右されるが、例えば、重量平均分子量で、1000から30000程度、より好ましくは5000から15000程度のものとすることができる。
このような分岐状ポリ乳酸は、例えば、分子中に少なくとも3個の水酸基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を開始剤として用いて、(a)ラクチドを開環重合させる工程または(b)乳酸を脱水縮合重合させる工程のいずれかの工程によって得られる。あるいは、分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を開始剤として用いて、(c)ラクチドを開環重合させる工程または(d)乳酸を脱水縮合重合させる工程のいずれかの工程によって得られる。
また、本発明に係る分岐状ポリ乳酸は、末端のヒドロキシル基における水素がアシル基で置換されていることが好ましい。分岐状のポリ乳酸の末端ヒドロキシル基とカルボン酸を縮合させることで末端がアシル化された分岐状ポリ乳酸とすることができる。
アシル基(R−CO−)としては、フォルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基などの前記一般式中のRがHまたは炭素数1〜10程度の飽和または不飽和炭化水素残基であるアシル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、他の実施形態では、本発明に係る分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸とエステル結合されていることが好ましい。分岐状のポリ乳酸の末端ヒドロキシル基とジカルボン酸を縮合させることで上記分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸とエステル結合されている分岐状ポリ乳酸とすることができる。ジカルボン酸(HOOC−R−COOH)としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、グルタル酸、アジピン酸などの上記一般式中のRがHまたは炭素数1〜10程度の飽和または不飽和炭化水素残基であるジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、他の実施形態では、本発明に係る分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸塩とエステル結合されていることが更に好ましい。分岐状のポリ乳酸の末端ヒドロキシル基とジカルボン酸を縮合させた後、金属水酸化物、金属アルコラートなどのアルカリで中和することで上記分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸塩とエステル結合されている分岐状ポリ乳酸とすることができる。ジカルボン酸(HOOC−R−COOH)としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、グルタル酸、アジピン酸などの上記一般式中のRがHまたは炭素数1〜10程度の飽和または不飽和炭化水素残基であるジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(開始剤)
上記開始剤として用いられる油脂は、分子中に少なくとも3個の水酸基を有するトリアシルグリセロール、または分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする。以下、これらの油脂を、それぞれ水酸基化油脂またはエポキシ化油脂とういう場合がある。
本発明において、油脂とは、炭素数の多い、具体的には炭素数8以上、より好ましくは炭素数14〜20程度、の脂肪酸(高級脂肪酸)とグリセリンとのエステルをいい、サラダオイルや大豆油のように常温で液体の脂肪油も、ラードや牛脂のように固体の脂肪も、総称して油脂という。本発明においては、再生可能資源である点で、天然物由来の油脂が好ましい。このような油脂は、当業者が通常用いる手段によって得られる。例えば、豆や種などを原料として、脱穀・粉砕・蒸煮(熱処理)などの前処理を施した後に、融出法、圧搾法、抽出法などの方法により採油し、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭などの精製工程によって得られる。
油脂は、構成する脂肪酸の種類によって様々な特徴を有する。本発明においては、開始剤として起点となる水酸基を多く有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂が好適である。このような油脂としては、コーン油、ゴマ油、落花生油、カポック油、ヒマシ油などが挙げられが、これらに限定されるわけではない。
ヒマシ油(蓖麻子油、英語ではCastor oil)は、トウダイグサ科のトウゴマの種子から採取される植物油であり、構成脂肪酸の約90%が不飽和脂肪酸の一種である水酸基を有するリシノール酸である。ヒマシ油は、多くの油脂の水酸基価が10mgKOH/gであるのに対して、水酸基価が155〜177mgKOH/gと多いため、開始剤として好適である。
ポリヒマシ油は、ヒマシ油の重合体である。ヒマシ油分子中のリシノール酸由来の不飽和結合(C=C)が、有機過酸化物などを開始剤としてラジカル重合することにより、ポリヒマシ油となる。ポリヒマシ油は、ヒマシ油よりも多分岐構造であるとともに、油脂分子中の水酸基の数がヒマシ油よりも多い。そのため、ポリヒマシ油は、重合の起点となる水酸基が多く、より分岐の多い構造を有するので、本発明のポリエステルポリオールの製造における開始剤としてより好適である。
あるいは、リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸における炭素−炭素不飽和結合に水酸基を導入した水酸基化油脂も、本発明のポリエステルポリオールの開始剤として用いることができる。水酸基化油脂としては、水酸基化大豆油、水酸基化亜麻仁油、水酸基化なたね油、水酸基化パーム油、水酸基化とうもろこし油などが挙げられる。
また、本発明においては、開始剤として起点となるエポキシ基を多く有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂も好適である。リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸由来の炭素−炭素不飽和結合にエポキシ基を導入したエポキシ化油脂を、本発明のポリエステルポリオールの開始剤として用いることができる。エポキシ化油脂としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化パーム油などが挙げられる。これらのエポキシ化油脂は、塩化ビニル樹脂などの樹脂に、可塑性付与などの用途で添加剤として工業的に用いられている。
なお、以上の水酸基またはエポキシ基を有する油脂において、構成する脂肪酸の不飽和基に水素添加して飽和脂肪酸とした硬化油を使用することもできる。硬化油とすることによって、得られる分岐状ポリ乳酸の熱に対する安定性が増し、溶解性を改質でき、ロジンや、ワックス類、ゴム類、ポリエチレンなどと相溶性とすることができる。また、他のワックスにブレンドすることにより、得られる分岐状ポリ乳酸の耐溶剤性、耐グリース性、および硬度を向上させることができる。
なお、開始剤として用いる油脂は、脂肪酸の異なる油脂の混合物であってもよく、分子中に有する水酸基またはエポキシ基の数が3個未満の油脂を不純物として含有していてもよい。油脂は、多くの場合、純物質ではなく混合物であるため、主成分が分子中に少なくとも3個の水酸基またはエポキシ基を有する油脂であればよい。開始剤として用いる油脂における、少なくとも3個の水酸基またはエポキシ基を有する油脂の割合は、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。50質量%未満では、直鎖状のポリエステルポリオールが多く形成され、ガラス転移温度、融点および結晶化度が高くなる。
(ラクチドおよび乳酸)
本発明に係る分岐状ポリ乳酸は、上記した開始剤の存在下に、ラクチドまたは乳酸を重合することによって合成され得る。
乳酸は、グルコースなどの資化可能な炭素源を、乳酸菌などの微生物を用いて発酵させて得ることができる。炭素源であるグルコースは、石油工業的にも得ることができるが、セルロースやデンプンなどの多くの再生可能資源の加水分解によって製造することができる。したがって、乳酸も再生可能資源である。本発明においては、乳酸発酵液をそのまま用いてもよく、乳酸発酵液から単離した乳酸を用いてもよく、あるいは市販の乳酸を用いてもよい。
本発明において、ラクチドとは、2分子の乳酸の脱水縮合によって得られる環状ジエステルをいう。したがって、再生可能資源である。本発明においては、市販のラクチドを用いることができる。
乳酸およびラクチドには光学異性体が存在する。乳酸菌の発酵によって、多くの場合はL体のみが得られる。しかし、いくつかの微生物(例えば、Lactobacillus lactis、Lactobacillus bulgaricus、Leuconostoc cremoris)はD体を生成する。このような微生物を含む数種類の微生物を混合して発酵に供することによって、DL体(ラセミ体)の乳酸を得ることができる。また、乳酸ラセマーゼを生産する微生物により、L−乳酸をラセミ化させて、DL体の乳酸を生成できる。
(ラクチドの開環重合による分岐状ポリ乳酸の製造)
ラクチドは、乳酸2分子が環化した構造を有するため、ラクチドを開環重合することによりポリ乳酸鎖を合成できる。例えば、ラクチドおよび開始剤(水酸基化油脂またはエポキシ化油脂)を十分に乾燥した容器に入れ、不活性ガスでパージした後に、触媒を投入して、加熱攪拌することによって、開始剤を起点としてラクチドが開環重合したポリ乳酸鎖を有するポリエステルポリオールを製造することができる。
開始剤として、エポキシ化油脂を用いる場合には、ラクチドを油脂に付加反応させてラクチドによる変性油脂を合成した後に、ラクチドを開環重合させてもよく、あるいは、ラクチドを単独で重合させて得られたポリ乳酸を、油脂に付加反応させてもよい。
ラクチドを重合する際の触媒としては、当業者が通常用いるものが挙げられる。具体的には、ポルフィリンアルミニウム錯体、(n−CO)AlZn、複合金属シアン化錯体、二塩化スズ(SnCl)、2−エチルヘキサン酸スズ、ジエチル亜鉛−水またはジエチルカドミウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、トリブチルスズメトキシド、テトラフェニルスズ、酸化鉛、ステアリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸ビスマス、カリウムアルコラート、フッ化アンチモン触媒、工業的にはスタナスオクタノエート触媒が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。収率の点から、二塩化スズ(SnCl)、2−エチルヘキサン酸スズが特に好ましい。
触媒の使用量は特に限定されないが、100質量部のラクチドに対して、約0.0001〜5質量部が適切であり、約0.05〜1質量部が好ましい。
不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素ガスおよびアルゴンガスが挙げられる。
上記重合反応は、常温下でも行い得るが、必要に応じて加熱する。好ましくは100℃〜180℃の範囲に、さらに好ましくは120℃〜160℃に加熱する。100℃未満では反応速度が小さくなるため好ましくない。一方、180℃より高い温度では、分解速度が大きくなることおよび低分子量体が気化してしまうことなどの欠点がある。
(乳酸の脱水縮合重合による分岐状ポリ乳酸の製造)
乳酸は、1分子中にカルボキシル基および水酸基を有する化合物であり、乳酸を縮合により重合することによりポリ乳酸鎖を合成できる。例えば、乳酸および開始剤(水酸基化油脂またはエポキシ化油脂)を十分に乾燥した容器に入れ、必要に応じて触媒を投入して、加熱あるいは加熱減圧することによって、開始剤を起点として乳酸が縮合重合したポリ乳酸鎖を有する分岐状ポリ乳酸を製造することができる。重合により生成する水を反応系外に排出することによって、重合度をさらに上げることができる。
開始剤として、エポキシ化油脂を用いる場合には、乳酸を油脂に付加反応させて乳酸による変性油脂を合成した後に、乳酸を脱水縮合重合させてもよく、あるいは、乳酸を単独で重合させて得られたポリ乳酸を、油脂に付加反応させてもよい。
重合反応の温度は、溶剤を用いる溶液重合の場合は、溶剤と脱水される水との共沸点から各溶剤の沸点までの温度であり得る。しかし、高温になるほど油脂成分の変性が生じやすくなるため、200℃以下の加温であることが好ましい。例えば、ヒマシ油は200℃以上で分解する。脱水を生じさせるためには、好ましくは、共沸点以上(例えば、90℃〜180℃が好ましい)で適切な重合度が得られるのに適した時間(例えば、1〜24時間)加熱することが好ましい。
加熱減圧重合の場合、乳酸重合の過程で、乳酸オリゴマーの解重合反応によって生成し、ラクチドが生じる可能性がある。ラクチドは、乳酸重合の場合は不純物となる。高温または高真空であるほどラクチドが生成しやすく、生じたラクチドは系内から昇華により消失し、これにより、ポリ乳酸鎖の収率が低下する。そのため、加熱温度は100℃〜180℃、減圧は670Pa〜13000Paであることが好ましい。13000Paより高いと、反応系内の水分率が高くなり、縮合が進みにくい。670Pa未満では、ラクチドの生成および昇華が起こりやすくなり、回収する生成物の収率が低下する。
乳酸を重合する際の触媒としては、当業者が通常用いるものが挙げられる。具体的には、二塩化スズ(SnCl2)、2−エチルヘキサン酸スズ、テトラフェニルスズ、酸化スズ、硫酸、スズ粉末、トルエンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
なお、重合反応速度が小さくなるが、触媒を加えずに重合することも可能である。特に、比較的低分子量のポリエステルポリオールを製造する場合には、開始剤に対する乳酸の仕込み比が小さいため、触媒は必須ではない。
反応系から水を排出する方法としては、当業者が通常行う方法が採用され、例えば、溶剤との共沸によって反応系から脱水させる。水と共沸可能な溶剤としては、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの溶媒中で水との共沸点以上に加温することにより、水を反応系外に留出させ、乳酸の脱水縮合を促進することができる。
また、上記トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットは、いずれも比重が1より小さいので、水と比重分離することができる。水とともに共沸点以上で加熱すると、水と溶剤との共沸物が留出し、この留出物を冷却すると凝縮液が得られる。溶剤と水とは比重差があるため、この凝縮液は水と溶剤とに分離する。したがって、分離した水を除去することができる。さらに、溶剤も回収して反応系に循環させて再利用することができる。
具体的には、加熱により加熱反応槽から水と溶剤との共沸物が留出する。この留出物を冷却管で凝縮して、水分離器に導き、比重差により下層の水と上層の溶剤とに分離する。このためには、蒸気の排出口を備えた加熱反応槽に、冷却管と、デカンタまたはディーンスタークトラップのような水分離器とを具備することが好ましい。水分離器では、下層の水を系外へ除去すると共に、上層の溶剤を還流して、加熱反応槽に循環させることができる。したがって、溶剤の消費や漏洩なしに、乳酸の縮合反応系から脱水することができる。
(分岐状ポリ乳酸のアシル化)
本発明の一実施形態では、分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基における水素がアシル基で置換されていることが好ましい。分岐状のポリ乳酸の末端ヒドロキシル基は、カルボン酸と縮合させることで末端がアシル化された分岐状ポリ乳酸とすることができる。分岐状ポリ乳酸に、カルボン酸塩化物、あるいはカルボン酸無水物を作用することでアシル化することができる。例えば、アシル基の1種アセチル基で置換するときは、分岐状ポリ乳酸に対し、ピリジンやトリエチルアミンなどの塩基存在下、塩化アセチルや無水酢酸を作用させることで末端ヒドロキシ基をアセチル化することができる。
また、他の実施形態では、本発明に係る分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸とエステル結合されていることが好ましい。分岐状のポリ乳酸の末端はヒドロキシル基であるが、ジカルボン酸塩化物や、ジカルボン酸無水物を作用させることで、末端ヒドロキシル基がジカルボン酸とエステル結合されている分岐状ポリ乳酸とすることができる。例えば、分岐状ポリ乳酸に対し、ピリジンやトリエチルアミンなどの塩基存在下、無水フタル酸酢酸を作用させることで、分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基を、ジカルボン酸とのエステルにすることができる。
また、他の実施形態では、本発明に係る分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸塩とエステル結合されていることが好ましい。分岐状のポリ乳酸の末端はヒドロキシル基であるが、ジカルボン酸塩化物や、ジカルボン酸無水物を作用させ、さらに塩基で中和することで、末端ヒドロキシル基がジカルボン酸塩とエステル結合されている分岐状ポリ乳酸とすることができる。例えば、分岐状ポリ乳酸に対し、ピリジンやトリエチルアミンなどの塩基存在下、無水フタル酸酢酸を作用させ、さらに水酸化ナトリウムで中和することで、分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基を、ジカルボン酸塩とのエステルにすることができる。中和後において、ジカルボン酸塩とのエステルは不溶であるので、遠心分離やろ過などにより回収し、洗浄することによって、末端ヒドロキシル基がジカルボン酸塩とエステル結合されている分岐状ポリ乳酸を得ることができる。
(乳酸発酵液からの分岐状ポリ乳酸の製造)
本発明の原料となる乳酸は、化学合成によって生産されることもあるが、多くは乳酸菌による乳酸発酵によって生産される。そのため、乳酸は乳酸発酵液として得られる。
乳酸発酵液とは、グルコースなどの資化可能な炭素源を、乳酸菌などの微生物を用いて乳酸発酵させ乳酸を生成させた水性液体をいう。乳酸発酵液中には、乳酸菌などの菌、発酵によって生成した乳酸、未だ資化されていないグルコースなどの炭素源、副生成物(酢酸、蟻酸など)、菌の栄養源である培地成分などが含まれる。培地成分は、菌の種類によって要求されるものが異なるが、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ヌクレオチド、および界面活性剤のような有機成分、ならびにリン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、およびクエン酸塩のような無機成分を含む。例えば、乳酸桿菌用の代表的な培地であるMRS(de Man-Rogosa-Sharpe)培地には、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、リン酸カリウム、クエン酸二アンモニウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、および界面活性剤が含まれる。また、乳酸球菌用の代表的な培地M17培地には、トリプトン、大豆ペプトン、ラブーレコム末、酵母エキス、アスコルビン酸、硫酸マグネシウム、およびグリセロリン酸二ナトリウムが含まれる。したがって、乳酸発酵液は、乳酸をはじめ、多くの溶質を含む混合液であり、通常、黄色から茶色に着色している。この乳酸発酵液中の乳酸の濃度は、通常、約10〜150g/Lであり得る。
本発明に係る分岐状ポリ乳酸の製造には、乳酸発酵液をそのまま用いてもよく、あるいは乳酸発酵液中の菌体を予め除去して用いてもよい。菌体は水に不溶なので、乳酸発酵液を静置した後に、上清を回収することによって、菌体を除くことができる。また、遠心分離あるいは濾過によって、菌体を除いてもよい。
本発明に係る分岐状ポリ乳酸の製造においては、乳酸発酵液に、開始剤である水酸基化油脂またはエポキシ化油脂を加えて脱水重縮合した後に、油分を回収することによって、本発明に係る分岐状ポリ乳酸を得ることができる。本発明に係る分岐状ポリ乳酸は、非水溶性であると共に比重が1より小さいのに対して、発酵液中に含まれる他の成分は水溶性であるため、上層の油分を回収することによって、得られた分岐状ポリ乳酸を容易に回収することができる。
さらに、乳酸発酵液中に含まれる他の成分が常温において固体である場合は、脱水重縮合工程中にこれらの成分が反応容器底面および壁面に析出して乾固するので、脱水重縮合の後に水を加えて乾固物を水に溶解させて、上層の油分と分離することもできる。このとき、乳酸菌などの水不溶分があっても、比重が1より大きく反応容器中で沈降するので、予め分離する必要がない。
(ポリ乳酸)
本発明のポリ乳酸樹脂組成物において、上記した分岐状ポリ乳酸と共に用いられるポリ乳酸は、L−乳酸及び/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーである。
本発明において、特に高い耐熱性を有する樹脂組成物を得るためには、ポリ乳酸樹脂として乳酸成分の光学純度が高いものを用いることが好ましい。ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることが特に好ましく、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることが更に好ましい。
また、本発明のポリ乳酸組成物に用いられるポリ乳酸は、L−乳酸又はD−乳酸に由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良い。例えば、他のヒドロキシカルボン酸を含むことができる。他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類などを挙げることができる。
また、その他のモノマー単位としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸を挙げることができるが、ポリ乳酸であるポリエステル骨格中に縮重合反応により組み込まれ得るものであればこれらに限定されるものではない。
上記他のモノマーの含有量は、全モノマー成分に対し、0〜30モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることが好ましい。
本発明のポリ乳酸組成物に用いるポリ乳酸は、公知方法により製造できる。ポリ乳酸の重合法としては、縮重合法、開環重合法、その他の公知の重合法を採用することができる。例えば、縮重合法では、L−乳酸或いはD−乳酸或いはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持ったポリ乳酸を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸を得ることができる。この際、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成及び結晶性を有するポリ乳酸を得ることができる。
本発明において使用するポリ乳酸の分子量は、目的とする用途、例えば射出成形品にした場合に、実質的に十分な機械物性を示すものであれば、その分子量は特に制限されない。分子量が低いと得られる成形品の強度が低下し、分解速度が速くなる。逆に高いと加工性が低下し、成形が困難になる。本発明に使用するポリ乳酸の重量平均分子量の好ましい範囲は、5万から40万、より好ましくは10万から25万である。
なお、本発明のポリ乳酸組成物に用いるポリ乳酸は、公知の市販品も適用でき、三井化学株式会社製、商品名レイシア、トヨタ自動車株式会社製、商品名エコプラスチック(U’z)、CargillDow Polymer LLC株式会社製、商品名NatureWorks等が挙げられる。
(ポリ乳酸樹脂組成物1)
本発明に係るポリ乳酸樹脂組成物は、上記したようなポリ乳酸に対し、前述したような分子中にポリ乳酸からなる分岐鎖を少なくとも3個有する分岐状ポリ乳酸を配合してなることを特徴とするものである。
本発明のポリ乳酸組成物における分岐状ポリ乳酸の添加量は、ポリ乳酸100重量部に対して、例えば、0.1〜50.0重量部になるように添加でき、好ましくは1.0〜30.0重量部、さらに好ましくは5.0〜20.0重量部である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、例えば、ポリ乳酸と分岐状ポリ乳酸を溶融混合することにより製造することができる。ポリ乳酸を融点以上に加熱して溶融させ、分岐状ポリ乳酸を加えて攪拌あるいは混練などの手段により混合し、冷却することでポリ乳酸組成物を得ることができる。混練はせん断力を加えた分配により良好な混合とすることができ、ニーダ、回転ロール、押出機などを用いて製造することができる。例えば、二軸押出機等を用いてポリ乳酸を溶融させながら、分岐状ポリ乳酸を注入して溶融混練し、ストランド形状に押出して冷却後ペレタイザーによってペレットを作製するなどすればよい。このように作製したペレットは十分に乾燥して水分を除去した後、射出成形などに用いることができる。
また、予めポリ乳酸と分岐状ポリ乳酸を粗く混ぜておいた上で、溶融混合することによって製造することもできる。
なお、溶融混合する温度は、ポリ乳酸の融点以上であって、250℃以下であることが好ましい。250℃を超えると、ポリ乳酸の解重合が起こり、分子量や物性の低下を招くことになる。
なお、溶融混合に当たっては、予めポリ乳酸を十分に乾燥して水分を除去した後に混練することが好ましい。水を含有していると加熱時に、ポリ乳酸および分岐状ポリ乳酸の加水分解によって劣化することが懸念される。
また、他の実施形態では、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸と分岐状ポリ乳酸を、溶媒を用いた溶解混合することにより製造することができる。
溶解溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら溶媒には室温で溶解することができる。
また、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの溶媒に加熱して溶解させることもできる。
例えば、ポリ乳酸と分岐状ポリ乳酸をクロロホルムに溶解させたのち、クロロホルムを留去することで、ポリ乳酸組成物を製造することができる。
本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸に分岐状ポリ乳酸が添加されることで、分岐状ポリ乳酸が、ポリ乳酸分子鎖の結晶化を遮蔽すると共に分子鎖の間隔を広げて分子運動を容易にさせることで柔軟性が向上される。引張破断伸びにおいては、分岐状ポリ乳酸を添加することで大幅に増大する。すなわち靭性、特に低速変形靭性が大きく改善される。このように本発明のポリ乳酸組成物は、従来のポリ乳酸に可塑性を加えることができる。分岐状ポリ乳酸は、比較的高分子量であっても非晶性であるため、結晶性を高めることなく添加することができ、ブリードを抑えることができる。またこのブレンドは、分子レベルでの相溶となり相溶安定であるため、表面への滲みだし(ブリード)を生じにくい。さらに結晶サイズが小さいうえに、構造が類似であるため屈折率も近く透明である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物の可塑化向上の効果は、機械的特性の変化によって確認することができる。ポリ乳酸は、非常に硬い樹脂で単独で一軸伸張試験を行ったところ、20%程度のひずみで破断するのに対して、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の場合は、100%〜700%の破断ひずみが観測される。このように、分子構造の異なるポリ乳酸と、分岐状ポリ乳酸を混合することにより、ポリ乳酸の可塑性を向上させることができる。
(ポリ乳酸樹脂組成物2)
本発明に係る第二のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸に、分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を溶融混合してなることを特徴とするものである。
この第二のポリ乳酸樹脂組成物においては、上述したように、トリアシルグリセロールのエポキシ基が開環して、ポリ乳酸のカルボキシ末端がそれぞれエステル結合されている分岐状ポリ乳酸を、ポリ乳酸中に配合するのではなく、分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するトリアシルグリセロール自体をポリ乳酸中に配合してなるものである。
ポリ乳酸中に、このようなトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を溶融混合した場合においても、当該溶融混合時ないしはその後の樹脂の加工工程等の際に、当該樹脂組成物中において、トリアシルグリセロールの末端エポキシ基が開環して、ポリ乳酸のカルボキシ末端と反応してエステル結合等が生じることなどにより、ポリ乳酸に分岐状ポリ乳酸を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物とほぼ同様の作用効果が生じるものである。
なおこの第二のポリ乳酸樹脂組成物において用いられる、分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂に関しては、上述したと同様のものであるので説明を省略する。また、溶融混合条件としても、上述したポリ乳酸に分岐状ポリ乳酸を配合してポリ乳酸樹脂組成物を得る場合とほぼ同様のものであるために、説明を省略する。
また、この第二のポリ乳酸樹脂組成物におけるトリアシルグリセロールを主成分とする油脂の添加量としては、ポリ乳酸100重量部に対して、例えば、0.1〜50.0重量部になるように添加でき、好ましくは1.0〜30.0重量部、さらに好ましくは5.0〜20.0重量部である。
(ポリ乳酸樹脂組成物の加工法および用途)
本発明のポリ乳酸組成物は、射出成形法、ガスアシスト成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空圧空成形法等、現在公知の任意の成形方法によって成形することができる。上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL等を採用する事もできる。成形条件は、射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度を170〜250℃の温度範囲で成形するのが好ましい。
ポリ乳酸は、ガラス転移温度が57〜60℃と比較的高いことからも明らかなように主鎖がかなり剛直であり、一般的に結晶化速度が遅いとされるポリエチレンテレフタレート樹脂よりもさらに結晶化速度が遅い。したがって、延伸操作を伴わない射出成形においては、金型温度を結晶化に最適の90〜100℃に設定(高温金型)しても半溶融状態のままである。金型温度を室温近傍に設定(低温金型)することによりようやく冷却・固化されるものの、結晶化度は極めて低く、耐熱性に劣るものしか得られない。
一方、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、低温金型においても、結晶化度は高く、従来のポリ乳酸に比べて耐熱性が高くなる。そのため、結晶化(冷却)時間に十分に時間をとる必要がなく、成形サイクルが短くなり生産性が向上する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物の結晶化促進効果の向上は、熱特性の変化によって確認することができる。ポリ乳酸を200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化エンタルピーを示差走査熱量測定装置(DSC)によって測定したところ、結晶化による発熱は殆ど観測されなかったのに対して、本発明のポリ乳酸と分岐状ポリ乳酸との組成物の場合は、数%〜50%の結晶化度を観測した。結晶性ポリマーであるけれども非常に結晶化しにくいポリ乳酸に対して、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、非常に結晶化しやすいポリ乳酸であり、結晶性が増大することにより、耐熱性も向上する。
なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を、成形時、又は成形後に何らかの方法で結晶化させることで、さらに結晶化度の高くすることができる。例えば、成形時に組成物の溶融物を金型内に充填し、高温金型内でそのまま結晶化させる方法、および該組成物の非晶性の成形品を乾熱処理又は湿熱処理する方法により、結晶性を向上させることができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、溶融混練可能であることから、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フイルム、繊維、シートなどとして利用できる。またフイルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸、インフレーションフィルムなどの各種フイルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用することができる。また、これらの物品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、日用品など各種用途に利用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
L−ラクチド(東京化成工業株式会社製)100質量部に、開始剤であるヒマシ油(和光純薬工業株式会社製)31質量部を加え混合し、アルゴン雰囲気下、2−エチルヘキサン酸スズを触媒として、130℃にて24時間加熱して、重合物を得た。得られた重合物について、それぞれH1−NMR測定を行って、構造確認を行った。いずれも、ヒマシ油の水酸基に隣接するメチン由来のピークが消失しており、ヒマシ油の水酸基を開始点とした星型分岐状ポリエステルポリオールが合成されたことを確認した。H1−NMRにより、得られたポリエステルポリオールの分子量も求めたところ、数平均分子量3,200であった。また、H1−NMRから求めた分子量と仕込み比とから算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。
この分岐状ポリ乳酸5質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)95質量部とをクロロホルムに溶解させて混合した。この混合物を乾燥してシート状のサンプルを得た。このサンプルは透明であった。このサンプルを一軸伸張試験したところ、182%の破断伸びを観測した。
(実施例2)
L―ラクチドに代えてD−ラクチド(東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物のシート状サンプルを得た。このサンプルも透明であった。このサンプルを一軸伸張試験したところ、699%の破断伸びを観測した。
(実施例3)
L―ラクチドに代えてDL−ラクチド(東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物のシート状サンプルを得た。このサンプルも透明であった。このサンプルを一軸伸張試験したところ、214%の破断伸びを観測した。
(比較例1)
ポリ乳酸(重量平均分子量15万)をクロロホルムに溶解させた後、乾燥してシート状のサンプルを得た。このサンプルは透明であった。このサンプルを一軸伸張試験したところ、20%の破断伸びを示すにとどまった。
(実施例4)
L−ラクチド(東京化成工業株式会社製)100質量部に、開始剤であるヒマシ油(和光純薬工業株式会社製)12質量部を加え混合し、アルゴン雰囲気下、2−エチルヘキサン酸スズを触媒として、130℃にて24時間加熱して、重合物を得た。得られた重合物について、それぞれH1−NMR測定を行って、構造確認を行った。いずれも、ヒマシ油の水酸基に隣接するメチン由来のピークが消失しており、ヒマシ油の水酸基を開始点とした星型分岐状ポリエステルポリオールが合成されたことを確認した。H1−NMRにより、得られたポリエステルポリオールの分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であった。また、H1−NMRから求めた分子量と仕込み比とから算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。
この分岐状ポリ乳酸5質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)95質量部とをクロロホルムに溶解させて混合した。この混合物を乾燥してシート状のサンプルを得た。このサンプルは透明であった。このサンプルを一軸伸張試験したところ、110%の破断伸びを観測した。
(実施例5)
L−ラクチド(東京化成工業株式会社製)100質量部に、開始剤であるポリヒマシ油(伊藤製油株式会社製)31質量部を加え混合し、アルゴン雰囲気下、2−エチルヘキサン酸スズを触媒として、130℃にて24時間加熱して、重合物を得た。得られた重合物について、それぞれH1−NMR測定を行って、構造確認を行った。いずれも、ヒマシ油の水酸基に隣接するメチン由来のピークが消失しており、ヒマシ油の水酸基を開始点とした星型分岐状ポリエステルポリオールが合成されたことを確認した。H1−NMRにより、得られたポリエステルポリオールの分子量も求めたところ、数平均分子量4,200であった。また、H1−NMRから求めた分子量と仕込み比とから算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。
この分岐状ポリ乳酸5質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)95質量部とをクロロホルムに溶解させて混合した。この混合物を乾燥してシート状のサンプルを得た。このサンプルは透明であった。このサンプルを一軸伸張試験したところ、214%の破断伸びを観測した。
(実施例6)
L―ラクチドに代えてD−ラクチド(東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例5と同様にしてポリ乳酸組成物のシート状サンプルを得た。このサンプルも透明であった。このサンプルを一軸伸張試験したところ、713%の破断伸びを観測した。
(実施例7)
開始剤であるエポキシ化大豆油9.5質量部(株式会社ADEKA製)と、L−乳酸(和光純薬工業株式会社製、90v/v%水溶液)を減圧加熱して得られた脱水乳酸90質量部とを混合し、窒素雰囲気下、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを添加して、150℃にて5時間加熱した。次いで13000Paの減圧下で2時間、4000Paの減圧下で2時間、2600Paの減圧下で2時間、次いで1300Pa保持した。さらに、1300Paの減圧を保持しながら180℃にて2時間加熱した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であり、仕込み比から算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、エポキシ化大豆油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。
この分岐状ポリ乳酸5質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)95質量部と窒素雰囲気下、190℃で溶融混合した。このサンプルを200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約65%の相対結晶化率であった。
(実施例8)
開始剤である硬化ヒマシ油9.1質量部(和光純薬工業株式会社製)と、L−乳酸(和光純薬工業株式会社製、90v/v%水溶液)を減圧加熱して得られた脱水乳酸90質量部とを混合し、窒素雰囲気下、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを添加して、150℃にて5時間加熱した。次いで13000Paの減圧下で2時間、4000Paの減圧下で2時間、2600Paの減圧下で2時間、次いで1300Pa保持した。さらに、1300Paの減圧を保持しながら180℃にて2時間加熱した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であり、仕込み比から算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。
この分岐状ポリ乳酸10質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)90質量部と窒素雰囲気下、190℃で溶融混合した。このサンプルを200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約57%の相対結晶化率であった。
(実施例9)
開始剤であるヒマシ油9.1質量部(和光純薬工業株式会社製)と、L−乳酸(和光純薬工業株式会社製、90v/v%水溶液)を減圧加熱して得られた脱水乳酸90質量部とを混合し、窒素雰囲気下、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを添加して、150℃にて5時間加熱した。次いで13000Paの減圧下で2時間、4000Paの減圧下で2時間、2600Paの減圧下で2時間、次いで1300Pa保持した。さらに、1300Paの減圧を保持しながら180℃にて2時間加熱した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であり、仕込み比から算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。次に、この分岐状ポリ乳酸に無水酢酸を加え、ピリジン中で80℃1時間加熱した。得られたピリジン溶液を、蒸留水に滴下して、析出した白色粉末を回収して、末端のヒドロキシル基における水素がアセチル基で置換されている分岐状ポリ乳酸を得た。
この分岐状ポリ乳酸20質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)80質量部と窒素雰囲気下、190℃で溶融混合した。このサンプルを200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約37%の相対結晶化率であった。
(実施例10)
開始剤であるヒマシ油9.1質量部(和光純薬工業株式会社製)と、L−乳酸(和光純薬工業株式会社製、90v/v%水溶液)を減圧加熱して得られた脱水乳酸90質量部とを混合し、窒素雰囲気下、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを添加して、150℃にて5時間加熱した。次いで13000Paの減圧下で2時間、4000Paの減圧下で2時間、2600Paの減圧下で2時間、次いで1300Pa保持した。さらに、1300Paの減圧を保持しながら180℃にて2時間加熱した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であり、仕込み比から算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。次に、この分岐状ポリ乳酸に無水フタル酸を加え、ピリジン中で95℃1時間加熱した。得られたピリジン溶液を、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和によって析出した白色粉末を遠心沈降により回収し。さらに洗浄して、末端ヒドロキシル基がフタル酸ナトリウム塩とエステル結合されている分岐状ポリ乳酸を得た。
この分岐状ポリ乳酸10質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)90質量部と窒素雰囲気下、190℃で溶融混合した。このサンプルを200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約86%の相対結晶化率であった。
(実施例11)
開始剤である硬化ヒマシ油9.1質量部(和光純薬工業株式会社製)と、DL−乳酸(和光純薬工業株式会社製、90v/v%水溶液)を減圧加熱して得られた脱水乳酸90質量部とを混合し、窒素雰囲気下、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを添加して、150℃にて5時間加熱した。次いで13000Paの減圧下で2時間、4000Paの減圧下で2時間、2600Paの減圧下で2時間、次いで1300Pa保持した。さらに、1300Paの減圧を保持しながら180℃にて2時間加熱した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であり、仕込み比から算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。
この分岐状ポリ乳酸5質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)95質量部と窒素雰囲気下、190℃で溶融混合した。このサンプルを200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約65.6%の相対結晶化率であった。
(実施例12)
開始剤である硬化ヒマシ油9.1質量部(和光純薬工業株式会社製)と、D−乳酸(ピュラック社製、90v/v%水溶液)を減圧加熱して得られた脱水乳酸90質量部とを混合し、窒素雰囲気下、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを添加して、150℃にて5時間加熱した。次いで13000Paの減圧下で2時間、4000Paの減圧下で2時間、2600Paの減圧下で2時間、次いで1300Pa保持した。さらに、1300Paの減圧を保持しながら180℃にて2時間加熱した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であり、仕込み比から算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。
この分岐状ポリ乳酸20質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)80質量部と窒素雰囲気下、190℃で溶融混合した。このサンプルを200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約64.7%の相対結晶化率であった。
(実施例13)
開始剤であるヒマシ油9.1質量部(和光純薬工業株式会社製)と、L−乳酸(和光純薬工業株式会社製、90v/v%水溶液)を減圧加熱して得られた脱水乳酸90質量部とを混合し、窒素雰囲気下、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを添加して、150℃にて5時間加熱した。次いで13000Paの減圧下で2時間、4000Paの減圧下で2時間、2600Paの減圧下で2時間、次いで1300Pa保持した。さらに、1300Paの減圧を保持しながら180℃にて2時間加熱した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量も求めたところ、数平均分子量8,000であり、仕込み比から算出した分子量がよく一致したことから、ポリ乳酸のホモポリマーは生成せず、ヒマシ油を開始剤とした分岐状ポリ乳酸のみが得られたことがわかった。次に、この分岐状ポリ乳酸に無水安息香酸を加え、ピリジン中で80℃1時間加熱した。得られたピリジン溶液を、蒸留水に滴下して、析出した白色粉末を回収して、末端のヒドロキシル基における水素が安息香酸で置換されている分岐状ポリ乳酸を得た。
この分岐状ポリ乳酸20質量部を、ポリ乳酸(重量平均分子量15万)80質量部と窒素雰囲気下、190℃で溶融混合した。このサンプルを200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約43.9%の相対結晶化率であった。
(比較例2)
ポリ乳酸(重量平均分子量15万)を200℃加熱溶融して10分間保持した後、20℃まで毎分10℃の割合で降温したときの結晶化熱量を測定した。また、−100℃まで冷却した後、再び200℃まで加熱した際に観測される融解熱量を測定した。融解熱量に対する結晶化熱量の比から溶融後冷却時の相対結晶化率を算出したところ、約1.4%の相対結晶化率であった。
本発明の多分岐型ポリ乳酸とポリ乳酸からなるポリ乳酸組成物は、従来にない柔軟性を得られるためにフィルムなどとして、農業水産土木建築資材、食品包装、医療介護品、衣料繊維、家具、事務用品、雑貨、日用品などの用途の拡大が期待されると共に、耐熱性にも優れるために、自動車、家電製品、その他様々な耐熱性の求められる工業製品への用途拡大が期待される。さらには、本発明によって製造されるポリ乳酸プラスチックは、ベースのレジン、添加する分岐状ポリ乳酸共に植物由来であり、二酸化炭素削減による地球温暖化防止、脱石油による省資源への効果も期待される。
本発明のポリエステルポリオールの合成および構造の一実施形態を示す模式図である。 本発明のポリエステルポリオールの合成および構造の他の実施形態を示す模式図である。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸と、分子中にポリ乳酸からなる分岐鎖を少なくとも3個有する分岐状ポリ乳酸とを含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物であって、
    該分岐状ポリ乳酸が、分子中に少なくとも3個の水酸基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を開始剤として重合したポリ乳酸であり、
    該油脂が、ヒマシ油、ポリヒマシ油、硬化ヒマシ油、または水酸基化大豆油であり、
    該ポリ乳酸100重量部に対して、該分岐状ポリ乳酸を1重量部以上30重量部以下添加してなり、
    該分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基における水素がアシル基で置換されている、
    ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 前記分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸とエステル結合され、該ジカルボン酸において、分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基とエステル結合を形成していないカルボキシル基が陽イオンと塩を形成している、請求項に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 分子中にポリ乳酸からなる分岐鎖を少なくとも3個有する分岐状ポリ乳酸であることを特徴とするポリ乳酸樹脂用添加剤であって、
    該分岐状ポリ乳酸が、分子中に少なくとも3個の水酸基を有するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を開始剤として重合したポリ乳酸であり、
    該油脂が、ヒマシ油、ポリヒマシ油、硬化ヒマシ油、または水酸基化大豆油であり、
    該分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基における水素がアシル基で置換されている、
    ポリ乳酸樹脂用添加剤。
  4. 前記分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基がジカルボン酸とエステル結合され、該ジカルボン酸において、分岐状ポリ乳酸の末端ヒドロキシル基とエステル結合を形成していないカルボキシル基が陽イオンと塩を形成している、請求項に記載のポリ乳酸樹脂用添加剤。
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