JP5055598B2 - ヒトhmg−1に特異的に結合する抗体を用いるヒトhmg−1の免疫学的測定方法及び免疫学的測定試薬 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの抗体は、HMG−1自体を免疫原として調製したポリクローナル抗体であるので、そのアミノ酸配列がHMG−1と相同性の高い(81.2%)、HMG−2にも結合してしまうものであった。
(1)ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体。
(2)次式(I):
Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys (I)
で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを免疫原として調製される前記(1)に記載の抗体。
(3)下記の[1]及び[2]の特徴:
[1]次式(I):
Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys (I)
で表されるアミノ酸配列に1ないし数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入もしくは付加、又は修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列からなる、
[2]当該ペプチドを免疫原として抗体を調製した時に、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体を得ることができる、
を有するペプチドを免疫原として調製される前記(1)に記載の抗体。
(4)下記の[1]及び[2]の特徴:
[1]次式(I):
Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys (I)
で表されるアミノ酸配列に1ないし数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入もしくは付加、又は修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列からなる、
[2]前記式(I)で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを免疫原として調製された抗体と結合することができる、
を有するペプチドを免疫原として調製される前記(1)に記載の抗体。
(5)モノクローナル抗体である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗体。
(6)試料に含まれるヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1を抗原抗体反応を利用して測定を行う免疫学的測定方法において、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗体を使用することを特徴とする免疫学的測定方法。
(7)試料に含まれるヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1を抗原抗体反応を利用して測定を行うための免疫学的測定試薬において、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗体を含むことを特徴とする免疫学的測定試薬。
1.ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体
(1)総論
本発明の、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1(ヒトHMG−1)には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2(ヒトHMG−2)には結合しない抗体(以下「本発明の抗体」ということがある。)は、ヒトHMG−1に結合し、かつヒトHMG−2に結合しない抗体であれば、いかなるものでもよい。
なお、本発明の抗体は、モノクローナル抗体であることが、その調製操作において吸収操作などを省略できること等から好ましい。
[1]HMG−1のアミノ酸配列とHMG−2のアミノ酸配列を比較対照して、HMG−1とHMG−2との間で相同性の低いHMG−1のアミノ酸配列を選択する。次に、このアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を調製、取得し、これを免疫原として動物に免疫し、産生された抗体を取得する。そして、ヒトHMG−1に結合し、ヒトHMG−2には結合しない抗体であることを確認するか、又はそのような抗体を選択して、本発明の抗体を取得する。
本発明の抗体を産生させるための免疫原について、以下説明を行う。
前記した通り、本発明の抗体を産生させるための免疫原として、HMG−1のアミノ酸配列の全部又は一部を含むペプチド又はタンパク質、あるいはHMG−1とHMG−2との間で相同性の低いHMG−1のアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質等を用いることができる。
そして、この親水性の高いアミノ酸配列の中から、ヒトHMG−1とヒトHMG−2との間で相同性の低いヒトHMG−1のアミノ酸配列を選択した。
(A)当該ペプチドを免疫原として抗体を調製した時に、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体を得ることができるペプチド、又は、
(B)「Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを免疫原として調製された抗体と結合することができるペプチド。
また、ニトロセルロース粒子、ポリビニルピロリドン又はリポソーム等の担体に免疫原を吸着させたものを免疫原とすることもできる。
[1]ポリクローナル抗体、抗血清
本発明の抗体において、ポリクローナル抗体又は抗血清は、以下の操作により取得することができる。
この前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物の免疫量は、免疫動物の種類、免疫注射部位等により決められるものであるが、マウスの場合には約5〜10週齢のマウス一匹当り一回につき0.1μg〜数mg、好ましくは50μg〜1mgの前記免疫原、又は前記免疫原と担体の結合物を免疫注射する。また、ウサギの場合はウサギ一匹当り一回につき10μg〜数十mgの前記免疫原、又は前記免疫原と担体の結合物を免疫注射する。
初回免疫後、2〜3週間間隔で皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を追加免疫注射する。この場合も、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物は、アジュバントを添加混合して追加免疫注射することが好ましい。
本発明の抗体において、モノクローナル抗体は、以下の操作により取得することができる。
モノクローナル抗体は、ケラーらの細胞融合法(G.Koehlerら,Nature,256巻,495〜497頁,1975年発行)によるハイブリドーマ、又はエプスタン−バーウイルス等のウイルスによる腫瘍化細胞等の抗体産生細胞により得ることができる。
まず、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を、哺乳動物(マウス、ヌードマウス、ラットなど、例えば近交系マウスのBALB/c)又は鳥類(ニワトリなど)等に免疫する。この前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物の免疫量は、免疫動物の種類、免疫注射部位等により適宜決められるものであるが、例えば、マウスの場合には一匹当り一回につき0.1μg〜5mgの前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を免疫注射するのが好ましい。
初回免疫後、1〜2週間間隔で皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を追加免疫注射する。この追加免疫注射の回数としては2〜6回が一般的である。この場合も前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物は、アジュバントを添加混合して追加免疫注射することが好ましい。
(1)総論
本発明のヒトHMG−1の免疫学的測定方法(以下「本発明の免疫学的測定方法」又は「本発明の測定方法」ということがある。)は、試料に含まれるヒトHMG−1を抗原抗体反応を利用して測定を行う免疫学的測定方法において、「ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体」を使用することを特徴とするものである。
なお、この「ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体」の詳細については、前記の「1.ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体」の項に記載したとおりである。
本発明の測定方法は、試料に含まれるヒトHMG−1を抗原抗体反応を利用して測定を行う免疫学的測定方法において、測定対象物質であるヒトHMG−1に結合する抗体として、「ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体」を使用するものであれば、特にその測定原理は限定されるものではなく、所期の効果を奏するものである。
また、本発明の測定方法における測定は、用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
本発明の測定方法における試料としては、血液、血清、血漿、尿、***、髄液、唾液、汗、涙、腹水もしくは羊水などの体液;大便;血管もしくは肝臓などの臓器;組織;細胞;又は大便、臓器、組織もしくは細胞などの抽出液等、HMG−1が含まれる可能性のある生体試料であれば対象となる。
本発明の測定方法を酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法又は発光免疫測定法等の標識抗体を用いた免疫学的測定方法により実施する場合には、サンドイッチ法又は競合法等により行うことができるが、サンドイッチ法により実施する時には、固相化抗体及び標識抗体のいずれか一方の抗体が「ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体」であればよく、また固相化抗体及び標識抗体の両方が「ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体」であってもよい。
本発明の測定方法を、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測る測定法により実施する場合には、溶媒としてリン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液又はグッド緩衝液等を用いることができ、更にポリエチレングリコール等の反応促進剤や非特異的反応抑制剤を含ませてもよい。
(1)総論
本発明のヒトHMG−1の免疫学的測定試薬(以下「本発明の免疫学的測定試薬」又は「本発明の測定試薬」ということがある。)は、試料に含まれるヒトHMG−1を抗原抗体反応を利用して測定を行うための免疫学的測定試薬において、前述した本発明の抗体を使用することを特徴とするものであり、前述した本発明の測定方法に使用することができるものである。従って、本発明の測定試薬に使用する抗体、測定原理等については、前述した本発明の測定方法と同様である。
本発明の測定試薬において、溶媒としては、各種の水系溶媒を用いることができる。この水系溶媒としては、例えば、精製水、生理食塩水、又は、トリス緩衝液、リン酸緩衝液もしくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。この緩衝液のpHについては、適宜適当なpHを選択して用いればよく、特に制限はないものの、通常は、pH3〜12の範囲内のpHを選択して用いることが一般的である。
本発明の測定試薬は、そのもの単独にて、試料中のHMG−1の測定に使用することができる。そして、そのもの単独にて、販売することができる。また、本発明の測定試薬は、他の試薬と組み合わせて、試料中のHMG−1の測定に使用することもできる。そして、他の試薬と組み合わせて、販売することもできる。前記の他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、標識物質を含有する試薬、発色などのシグナルを生成する物質を含有する試薬、発色などのシグナルの生成に関与する物質を含有する試薬、校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬、又は精度管理を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。そして、前記の他の試薬を第1試薬とし、本発明の測定試薬を第2試薬としたり、又は本発明の測定試薬を第1試薬とし、前記の他の試薬を第2試薬としたりして、適宜様々な組合せにて使用、及び販売を行うことができる。
〔実施例1〕(ヒトHMG−1のアミノ酸配列における、親水性が高く、ヒトHMG−2との間で相同性の低いアミノ酸配列の選択)
親水性が高く、ヒトHMG−2との間で相同性の低いアミノ酸配列を、ヒトHMG−1のアミノ酸配列より選択した。
実施例1で選択した2種類のアミノ酸配列の各々のN末端に、担体に結合させるためにシステインを結合させたアミノ酸配列「Cys Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」及び「Cys Lys Phe Lys Asp Pro Asn Ala Pro Lys Arg Pro Pro Ser Ala」のペプチドをそれぞれ合成した。
その後、ジメチルエーテルによりスカベンジャーを抽出し、そして2N酢酸により合成したペプチドの抽出を行った。
得られた合成ペプチドの純度をHPLCで分析した。装置及び条件は、山村化学研究所社の逆相ODSカラムYMC−R−ODS−5(4.9mm×300mm)を用い、日本分光工業社のTWINCLEポンプ及び日本分光工業社のGP−A40型グラジエンターで0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中アセトニトリルの0%から70%のグラジエントを流速1.0mL/分、25分間で行い、日本分光工業社製UVIDEC−100V型検出器(210nm、1.28AUFS)で検出を行った。これより得られた合成ペプチドの純度がほぼ100%であることが分かった。
担体であるスカシガイのヘモシアニン(KLH)〔カルビオケム社製〕又はウシ血清アルブミン(BSA)〔生化学工業社製〕の10mgを10mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、これにN,N−ジメチルホルムアミドに溶解している2.5%マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシニミドエステル(MBS)〔ピアース社製〕溶液150μLを加え室温で撹拌しながら30分間反応させた。
また、実施例2で合成したペプチド「Cys Lys Phe Lys Asp Pro Asn Ala Pro Lys Arg Pro Pro Ser Ala」についても、前記の通り操作を行って、前記ペプチドと結合した担体よりなる免疫原を得た。
実施例3で調製した免疫原を用いてモノクローナル抗体の調製を下記のようにして行った。
〔1〕 動物への免疫
(1) 実施例3で得た免疫原(「Cys Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」で表されるペプチドにKLHを結合させたもの)を100μg/mLになるように生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で溶解し、これをフロイント完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、8週齢のメスのBALB/cマウス(日本チャールズリバー社)の腹部皮下に0.5mLを免疫注射した。
[1] 実施例3で得た「Cys Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」で表されるペプチドに担体としてBSAを結合させた免疫原を5μg/mLになるように生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)に溶解し、これを96ウェル−マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置してこの免疫原の固相化を行った。
[2] このマイクロプレートを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム、2.68mM塩化カリウム(pH7.2))で洗浄した後、1%BSAを含む10mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.2)を1ウェル当り300μLずつ加えて、37℃で2時間静置してブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。
[3] このマイクロプレートのウェルに、抗体の産生を検査すべき前記マウスの血清を試料として100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせ、その後洗浄液で洗浄した。
[4] また対照として、前記[2]のマイクロプレートのウェルに、HAT培地を100μLずつ加え、37℃で2時間静置して、その後洗浄液で洗浄した。
[5] パーオキシダーゼ(POD)標識抗マウスIgG抗体(アマシャム社製)を3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で2,000倍に希釈した後、[3]及び[4]のマイクロプレートに1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせた。
[6] これを洗浄液で洗浄した後、パーオキシダーゼ反応液(3mM 2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)〔ABTS〕を含む50mMリン酸水素二ナトリウム−24mMクエン酸緩衝液の1mLに対して2μLの1.7%過酸化水素を使用直前に添加したもの)を1ウェル当り100μLずつ加え、室温で反応させた。15分後に1ウェル当り50μLの6N硫酸を加えて反応を停止させた。
[7] これをEIAプレートリーダー(バイオラッド社製)にて415nmにおける吸光度の測定を行った。
BALB/cマウス由来のヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ欠損の骨髄腫細胞株であるP3−X63−Ag8−U1株(癌研究リサーチソースバンク 9085)を、胎生ウシ血清を10%含有しグルタミン、ペニシリン及びストレプトマイシンを補ったRPMI1640組織培養培地(バイオセル社製)で増殖を行った。
(1) 前記〔1〕で免疫動物のマウスより取得した脾臓を、ステンレススチールメッシュ#200を使用して充分にほぐし、血清を含まないRPMI1640培地液で洗浄しながら濾過した。その後、200gで遠心分離を行い、脾臓細胞を分離した。更に、再度血清を含まないRPMI1640培地液で3回脾臓細胞を洗浄した。
(A) 免疫原が「Cys Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」で表されたペプチドと担体の結合物の場合
(1) 前記〔3〕で得られた、「Cys Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」で表されたペプチドよりなる実施例3で得た免疫原(担体がBSAのもの)と結合し、かつBSAとは結合しない抗体を産生する前記ハイブリドーマの各々を、限界希釈法にてサブクローニングした。これらのハイブリドーマの細胞数を、トリパン青染料排除法及び血球計により計数を行った。
そして、これらのハイブリドーマを、100μLのHT培地当り、0.5個の生育細胞数の割合と1個の生育細胞数の割合の2種類の割合で懸濁し、96穴の平底マイクロプレートの1ウェル当り100μLずつ分注した。これを2〜3日ごとに培地を交換して、ハイブリドーマを増殖させた。
この結果、前記のハイブリドーマのうち、1個のハイブリドーマが、前記ヒトHMG−1に結合する抗体を産生する細胞株であることが判明した。
なお、免疫原のペプチドのアミノ酸配列として採用したHMG−1のアミノ酸配列「Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」、及びこの配列に対応するHMG−2のアミノ酸配列「Gly Lys Gly Asp Pro Asn Lys Pro Arg Gly Lys」は、いずれもヒトでもウシでも全く同じ配列である。
(1) 前記〔3〕で得られた、「Cys Lys Phe Lys Asp Pro Asn Ala Pro Lys Arg Pro Pro Ser Ala」で表されたペプチドよりなる実施例3で得た免疫原(担体がBSAのもの)と結合し、かつBSAとは結合しない抗体を産生する前記ハイブリドーマの各々を、限界希釈法にてサブクローニングした。これらのハイブリドーマの細胞数を、トリパン青染料排除法及び血球計により計数を行った。
この結果、前記のハイブリドーマのうち、1個のハイブリドーマが、前記ヒトHMG−1に結合する抗体を産生する細胞株であることが判明した。
この検討の結果、これらの2個のハイブリドーマが産生する各々の抗体は、ウシHMG−1及びウシHMG−2の両方に結合することが確かめられた。
(1) 前記〔4〕で得た各々のモノクローナル抗体産生細胞株(ハイブリドーマ)を、それぞれ中型ボトル(ヌンク社製)の中に1つずつ入れ、底面の約8割を細胞が占めるまでHT培地中で培養を行った。
(2) その後、これらのハイブリドーマを掻き取り、そして200g、5分間の遠心分離を行い集めた。次に、これを血清を含まないRPMI1640培地液で3回洗浄した後、2mLのRPMI1640培地液に懸濁した。
(3) 前もって、2,6,10,14−テトラメチルペンタデカンで処置しておいたオスのBALB/cマウス(日本チャールズリバー社)の腹腔に、前記(2)で得たハイブリドーマ懸濁液1mLを注射した。注射から2週間以内に腹部の膨張が認められなかった場合には、再度これを繰り返し行った。
(4) このマウスの腹部の膨張が認められた時に腹水を採取した。これを200g、5分間の遠心分離にかけ、ハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体を含む上澄み液を、ハイブリドーマから分離して取得した。
(1) 前記〔5〕で得た、ハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体を含む上澄み液の各々の10mLに、22℃で硫酸ナトリウム1.8gを撹拌しながら加え、硫酸ナトリウムが完全に溶けてから更に1時間撹拌を続けて塩析を行った。
(2) これを22℃で遠心分離(7000g、15分間)を行い、上澄み液と分離して得た沈殿を、30mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)2mLに溶解した。
(3) 次に、これを30mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に対して充分に透析した後、1000gで20分間遠心分離し不溶性のものを除去した。
(4) これを30mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で平衡化しておいたDEAE−セルロースイオン交換カラム(セルバ社製)〔1×10cm〕に流速0.4mL/分で通して、溶出液を2mLずつ集めた。
(5) 免疫グロブリンG(IgG)が溶出液の素通り画分に含まれていることを280nmの吸光度より確認し、これを集めて2mLに濃縮した。
(6) 更に、これをプロテインA−セファロースCL−4Bアフィニティークロマトグラフィー(ファルマシア−エルケービー社製)にかけて精製を行い、精製したモノクローナル抗体を得た。
実施例4で得たヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体にパーオキシダーゼを標識化して、パーオキシダーゼ標識抗体を調製した。
(1)パーオキシダーゼへのマレイミド基の導入
パーオキシダーゼ(西洋ワサビ由来)4mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)の0.3mLに溶解後、N−サクシニミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸の1.0mgをN,N’−ジメチルホルムアミドの60μLに溶解したものを添加して、30℃で60分間反応させた。その後、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で一夜透析を行った。以上の操作により、前記のパーオキシダーゼに、マレイミド基を導入した。
実施例4で得た、免疫原が「Cys Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys」で表されたペプチドと担体の結合物の場合の、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)を、10mg/mLの濃度で含有する0.1Mリン酸緩衝液溶液(pH6.5)の0.5mLに、S−アセチルメルカプト無水コハク酸の0.6mgをN,N’−ジメチルホルムアミドの10μLに溶解したものを添加して、室温で30分間反応させた。
以上の操作により、前記のヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)に、チオール基を導入した。
前記(1)で調製したマレイミド基を導入したパーオキシダーゼ及び前記(2)で調製したチオール基を導入した抗体を一対一で混合し、30℃で20時間反応させて、前記抗体へのパーオキシダーゼの導入(標識化)を行った。その後これを、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化しておいたウルトラゲルAcA34のカラムに通し、ゲル濾過クロマトグラフィーを行った。このゲル濾過クロマトグラフィーの各画分を、10%ポリアクリルアミド電気泳動にかけて確認を行い、未結合のパーオキシダーゼが混入しないように、パーオキシダーゼが結合した抗体の画分だけを集めた。このパーオキシダーゼが結合した抗体の画分を濃縮して、パーオキシダーゼが結合した抗体、即ちパーオキシダーゼ標識抗体を得た。そして、このパーオキシダーゼ標識抗体を含む溶液のタンパク質濃度を測定した。
実施例4で得たヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体をマイクロプレートに固相化して、マイクロプレート固相化抗体を調製した。
(1) 実施例4で得た、免疫原が「Cys Lys Phe Lys Asp Pro Asn Ala Pro Lys Arg Pro Pro Ser Ala」で表されたペプチドと担体の結合物の場合の、ヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(モノクローナル抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム、2.68mM塩化カリウム(pH7.2))により15μg/mLとした後、96ウェル−マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置して、前記抗体を前記マイクロプレートの各ウェルに吸着させ、固相化した。
(2) この抗体が固相化されたマイクロプレートを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2))で洗浄した後、1%BSAを含む10mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.2)を1ウェル当り300μLずつ加えて、37℃で2時間静置してブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。
実施例5で調製したパーオキシダーゼ標識抗体及び実施例6で調製したマイクロプレート固相化抗体を免疫学的測定試薬として使用し、参考例2で調製したヒトHMG−1及び参考例3で調製したウシHMG−1の酵素免疫測定法(サンドイッチ法)による測定を行った。そして、この免疫学的測定方法における検量線を作成した。
[1] パーオキシダーゼ標識抗体
実施例5で調製した、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体にパーオキシダーゼを結合させたパーオキシダーゼ標識抗体を、酵素免疫測定法のサンドイッチ法における酵素標識抗体として使用した。
[2] マイクロプレート固相化抗体
実施例6で調製した、ヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体をマイクロプレートの各ウェルに固相化したマイクロプレート固相化抗体を、酵素免疫測定法のサンドイッチ法における固相化抗体として使用した。
[3] 洗浄液
0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)を調製し、洗浄液とした。
[4] パーオキシダーゼ基質液
3mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)を含む50mMリン酸水素二ナトリウム−24mMクエン酸緩衝液の1mLに対して2μLの1.7%過酸化水素を使用直前に添加したものを調製して、標識としたパーオキシダーゼの基質、即ちパーオキシダーゼ基質液とした。
[5] 反応停止液
6N硫酸水溶液を調製して、反応停止液とした。
[1] ヒトHMG−1を含む試料
参考例2において調製したヒトHMG−1を含む溶液を、0.01%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.4)で充分に透析した。この透析後の前記ヒトHMG−1を含む溶液のタンパク質濃度をプロテインアッセイ(バイオラッド社製)で求めた。そして、この前記ヒトHMG−1を含む溶液を、0.01%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.4)で希釈して、前記ヒトHMG−1濃度が、360ng/mL、720ng/mL又は1,080ng/mLの試料をそれぞれ調製した。
[2] ウシHMG−1を含む試料
参考例3において調製したウシHMG−1を含む溶液を、0.01%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.4)で充分に透析した。この透析後のウシHMG−1を含む溶液のタンパク質濃度をプロテインアッセイ(バイオラッド社製)で求めた。そして、このウシHMG−1を含む溶液を、0.01%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.4)で希釈して、ウシHMG−1濃度が、10ng/mL、50ng/mL、100ng/mL又は500ng/mLの試料をそれぞれ調製した。
[3] 0ng/mLの試料
前記の0.01%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.4)を、ヒトHMG−1濃度及びウシHMG−1濃度が0ng/mLの試料とした。
[1] 前記2で調製した、3種類の前記ヒトHMG−1を含む試料、4種類の前記ウシHMG−1を含む試料、及び0ng/mLの試料をそれぞれ、生理食塩水で2倍に希釈した。
[2] 前記[1]で希釈した各試料を、前記1のマイクロプレート固相化抗体のウェルに100μLを添加して、37℃で2時間静置して、マイクロプレートに固相化した抗体と試料に含まれていたHMG−1との抗原抗体反応を行わせた。
[3] 次に、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルを前記1の洗浄液で洗浄した。
[4] 前記1のパーオキシダーゼ標識抗体を、3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で1,000倍希釈した。次にこれを、前記[3]の洗浄操作を行ったマイクロプレート固相化抗体の各ウェルに、100μLずつ添加した後、37℃で2時間静置した。これにより、マイクロプレートに固相化した抗体に結合したHMG−1に、パーオキシダーゼ標識抗体を結合させる反応を行わせた。
[5] その後、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルを前記1の洗浄液で洗浄した。
[6] 次に、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルに、前記1のパーオキシダーゼ基質液を100μLずつ添加した。そして、室温で反応させた。
[7] 前記のパーオキシダーゼ基質液の添加15分後に、前記1の反応停止液を、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルに100μLずつ添加して、標識パーオキシダーゼの反応を停止させた。
[8] 次に、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェル中の溶液の吸光度(450nm)をマイクロプレートリーダー(バイオラッド社製)により測定した。
[9] 以上の操作により得られた、前記各試料の測定値、即ち検量線を図に示した。前記のヒトHMG−1を含む試料、及び0ng/mLの試料の測定値、即ち検量線を、図2に示した。また、前記のウシHMG−1を含む試料、及び0ng/mLの試料の測定値、即ち検量線を、図3に示した。
図2より、前記ヒトHMG−1を含む試料においては、含まれる前記ヒトHMG−1濃度に比例して得られる吸光度が増加しており、試料に含まれる前記ヒトHMG−1濃度に比例した測定値を得ることができることが分かった。
よって、本発明の測定試薬及び測定方法により、試料中に含まれる前記ヒトHMG−1を正確に測定することができることが確かめられた。
本発明のヒトHMG−1の免疫学的測定試薬及び免疫学的測定方法について、血清試料に含まれるHMG−1を測定して、血清試料の測定時の正確性を確かめた。
実施例7の「1.測定試薬」の「[1] パーオキシダーゼ標識抗体」、「[2] マイクロプレート固相化抗体」、「[3] 洗浄液」、「[4] パーオキシダーゼ基質液」及び「[5] 反応停止液」をそれぞれ使用した。
[1] 参考例3において調製したウシHMG−1を含む溶液を、0.01%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.4)で充分に透析した。この透析後のウシHMG−1を含む溶液のタンパク質濃度をプロテインアッセイ(バイオラッド社製)で求めた。
[3] また、前記[1]で調製した3種類の溶液をそれぞれヒト血清で2倍に希釈した。そして、ウシHMG−1濃度が、20ng/mL、100ng/mL又は200ng/mLの血清試料をそれぞれ調製した。
[1] 前記2で希釈した各試料を、前記1のマイクロプレート固相化抗体のウェルに100μLを添加して、37℃で2時間静置して、マイクロプレートに固相化した抗体と試料に含まれていたHMG−1との抗原抗体反応を行わせた。
[2] 次に、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルを前記1の洗浄液で洗浄した。
[3] 前記1のパーオキシダーゼ標識抗体を、3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で1,000倍希釈した。次にこれを、前記[2]の洗浄操作を行ったマイクロプレート固相化抗体の各ウェルに、100μLずつ添加した後、37℃で2時間静置した。これにより、マイクロプレートに固相化した抗体に結合したHMG−1に、パーオキシダーゼ標識抗体を結合させる反応を行わせた。
[4] その後、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルを前記1の洗浄液で洗浄した。
[5] 次に、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルに、前記1のパーオキシダーゼ基質液を100μLずつ添加した。そして、室温で反応させた。
[6] 前記のパーオキシダーゼ基質液の添加15分後に、前記1の反応停止液を前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェルに100μLずつ添加して、標識パーオキシダーゼの反応を停止させた。
[7] 次に、前記のマイクロプレート固相化抗体の各ウェル中の溶液の吸光度(450nm)をマイクロプレートリーダー(バイオラッド社製)により測定した。
[8] 以上の操作により得られた、前記各試料の測定値を表に示した。なお、吸光度の測定値は、3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)の吸光度を盲検値として差し引いたものを表した。
前記の表より、各々のウシHMG−1濃度において、生理食塩水で希釈した血清を含まない試料の測定値(吸光度)と、ヒト血清で希釈した血清試料の測定値(吸光度)は、ほとんど同じであることが分かる。
実施例4で調製したヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)、実施例4で調製したヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(モノクローナル抗体)、及び参考例4で調製したヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(ポリクローナル抗体)のそれぞれについて、ヒトHMG−1及びヒトHMG−2の各々との反応性をウエスタンブロット法により確かめた。
(1)ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(実施例4で調製したモノクローナル抗体)
[1] ヒト血清を、タイタン・ジェル・リポタンパク質電気泳動キット(ヘレナ研究所社製)を用いて電気泳動を行った。なお、支持体はアガロースゲルであり、これに前記のヒト血清の2μLを接触させた。
[2] そして、泳動緩衝液としてバルビタール緩衝液(pH8.8)を使用して、電圧90Vで75分間通電して電気泳動を行った。なお、この電気泳動は、同じものを2セット用意して行い、以下の操作も同様に行った。
[3] 前記[2]の電気泳動の後の転写は、ノバ・ブロット・エレクトロフォレティック・トランスファー・キット(ファルマシア−エルケービー社製)を用いて、その使用説明書に従い、ドライ方式で行った。
[4] この転写を行ったニトロセルロース膜を、1%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2))の20mLに4℃で1晩浸漬して、ブロッキングを行った。
[5] 次に、これを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
[6] 実施例4で調製した、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)を20mLのリン酸緩衝生理食塩水に80μg溶解し、この溶液に前記[5]の操作を行ったニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。
[7] 前記[6]の操作を行ったニトロセルロース膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
[8] 次に、パーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(ダコ社製)を、3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で500倍希釈をして、20mLの溶液を調製し、これに前記[7]のニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。
[9] このニトロセルロース膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
[10] 0.025%の3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩及び0.01%過酸化水素を含むリン酸緩衝生理食塩水の20mLに、前記[9]のニトロセルロース膜を室温で15分間浸漬して発色させた。
前記(1)の[6]における「実施例4で調製した、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)」を、「実施例4で調製した、ヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(モノクローナル抗体)」に変えること以外は、前記(1)の[1]〜[10]の通りに操作を行い、実施例4で調製した、ヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(モノクローナル抗体)におけるウエスタンブロット法の結果を得た。
前記(1)の[6]における「実施例4で調製した、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)」を、「参考例4で調製した、ヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(ポリクローナル抗体)」に変えること以外は、前記(1)の[1]〜[10]の通りに操作を行い、参考例4で調製した、ヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(ポリクローナル抗体)におけるウエスタンブロット法の結果を得た。
(1)ウエスタンブロット法の結果
前記1の(1)、(2)及び(3)におけるウエスタンブロット法の結果を図4に示した。
なお、この図において、「MA1」はヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(実施例4で調製したモノクローナル抗体)における結果であり、「MA2」はヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(実施例4で調製したモノクローナル抗体)における結果であり、「PA」はヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(参考例4で調製したポリクローナル抗体)における結果である。
〔これは、別途、ヒト血清の替わりに、精製して得たウシHMG−1及びウシHMG−2をそれぞれ電気泳動して、ウエスタンブロット法を行い、得られたバンドの位置より確かめておいた。(ヒトHMG−1とウシHMG−1、そしてヒトHMG−2とウシHMG−2のアミノ酸配列の相同性は、それぞれ非常に高いので、電気泳動においてほぼ同じ位置に泳動される。)〕
前記1の(1)、(2)及び(3)における(1)の[5]の操作までを行ったもう一枚の各ニトロセルロース膜について、前記(1)の[6]の操作は行わず、しかし前記(1)の[7]以下の操作は同様に行って、これを対照(コントロール)とした。
このことより、前記の各ウエスタンブロット法においては、非特異的な発色が起きていないことが確かめられた。
図4より、実施例4で調製したヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(モノクローナル抗体)、及び参考例4で調製したヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方に結合する抗体(ポリクローナル抗体)では、ヒトHMG−1が泳動される位置とヒトHMG−2が泳動される位置の両方において発色が見られることが分かる。
このことより、ヒト血清中には、ヒトHMG−1とヒトHMG−2の両方が存在することが確かめられた。
ヒトHMG−1をヒト脳cDNAからDNA増幅を行いクローン化した。PCR産物は、BamHIとHindIIIで修飾し、シークエンス・ベクターのpCAL−nベクター(Stratagene社、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)のBamHI−HindIIIサイトにサブクローン化し、DNA配列の確認を行った。
このBamHI−HindIIIで修飾されたPCR産物をグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質として発現させるために、pEX発現ベクターのBamHI−HindIIIサイトにサブクローン化した。
トランスフォームされた細胞を1L程で培養を行った後、IPTGの誘導をかけ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ・ヒトHMG−1融合タンパク質を、E.coli・JM1で発現させた。
この上澄み液中に含まれるグルタチオン−S−トランスフェラーゼ・ヒトHMG−1融合タンパク質をグルタチオン・カラム(ファルマシア社)により精製した。
以上のDNA組換え操作により、ヒトHMG−1を取得、調製した。
ウシの胸腺より、ウシHMG−1及びウシHMG−2をサンダースらの方法〔C.Sandersら,B.B.R.C.,78巻,1034〜1042頁,1977年発行〕に従って調製した。
[1] まず、ウシの胸腺500gを、140mMの塩化ナトリウム及び0.5mMのPMSFを含む600mLの緩衝液中で破砕を行った。
[2] 次に、この破砕物を遠心分離機で遠心分離を行い、その上澄み液を除去した。
[3] これに、140mMの塩化ナトリウム及び0.5mMのPMSFを含む緩衝液を加えて撹拌した後、遠心分離機で遠心分離を行い、その上澄み液を除去した。この洗浄操作を2回繰り返して行った。
[4] 次に、得られた沈殿物に、0.75Mの過塩素酸の300mLを加えた。そして、遠心分離機で遠心分離した後、上澄み液を分取した。残った沈殿物に0.75Mの過塩素酸の400mLを加えた。これについても、遠心分離機で遠心分離した後、上澄み液を分取した。この上澄み液と先に分取した上澄み液とを合わせた。なお、沈殿物は廃棄した。
[5] 前記の合わせた上澄み液に0.75Mの過塩素酸を加えて、全体の容量を1,000mLとした。次に、遠心分離機で遠心分離した後、上澄み液をグラスフィルター(グレード4)で濾過した。
[6] 前記の濾過の濾液に、3,500mLのアセトンと21mLの濃塩酸の混合液を加えた。濁りが生じてくるので、遠心分離機で遠心分離して、上澄み液を分取した。この上澄み液に、アセトン2,500mLを加えた。そして、再度、濁りが生じてくるので、これを遠心分離機で遠心分離して、上澄み液を分離し、残った沈殿物を集めた。
[7] この集めた沈殿物を室温で自然乾燥させた。
[8] 前記のHMG−1及びHMG−2を含むタンパク質画分を、200mM塩化ナトリウムを含む7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)の10mLに溶解した後、この200mM塩化ナトリウムを含む7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)で充分に透析を行った。
[9] この透析の後、7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)で平衡化しておいたCM−セファデックスC25のカラムに添加した。
この溶出パターンを図5に示した。なお、この図において、縦軸は280nmにおける吸光度を示し、横軸は溶出画分の番号を示す。
参考例3で調製したウシHMG−1を用いてポリクローナル抗体の調製を下記のようにして行った。
〔1〕 動物への免疫
(1) 前記の参考例3で得たウシHMG−1を400μg/mLになるように生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で溶解し、これをフロイント完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、ウサギ(北山ラベス社)の腹部皮下に0.5mLを免疫注射した。
[1] 参考例3で得たウシHMG−1を5μg/mLになるように生理食塩水に溶解し、これを96ウェル−マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置してこのウシHMG−1の固相化を行った。
[2] このマイクロプレートを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2)))で洗浄した後、1%BSAを含む10mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.2)を1ウェル当り300μLずつ加えて、37℃で2時間静置してブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。
[3] 抗体の産生を検査すべき前記ウサギの血清を、生理食塩水で1,000倍、10,000倍、そして100,000倍と希釈し、これらをマイクロプレートのウェルに100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせ、その後洗浄液で洗浄した。
[4] また対照として、前記[2]のマイクロプレートのウェルに、1%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝生理食塩水を100μLずつ加え、37℃で2時間静置して、その後洗浄液で洗浄した。
[5] パーオキシダーゼ(POD)標識抗ウサギIgG抗体(アマシャム社製)を3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で5,000倍に希釈した後、[3]及び[4]のマイクロプレートに1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせた。
[6] これを洗浄液で洗浄した後、パーオキシダーゼ反応液(3mM 2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)〔ABTS〕を含む50mMリン酸水素二ナトリウム−24mMクエン酸緩衝液の1mLに対して2μLの1.7%過酸化水素を使用直前に添加したもの)を1ウェル当り100μLずつ加え、室温で反応させた。15分後に1ウェル当り50μLの6N硫酸を加えて反応を停止させた。
[7] これをEIAプレートリーダー(バイオラッド社製)にて415nmにおける吸光度の測定を行った。
(5) 前記(4)で得た抗血清について、22〜25℃において、この抗血清1mLに対して0.18gの比率で硫酸ナトリウムを撹拌しながら加え、硫酸ナトリウムが完全に溶けてから更に30分間撹拌を続けて塩析を行った。
(6) これを22〜25℃で、遠心分離(7000g、15分間)を行い、上澄み液と分離して得た沈殿をリン酸緩衝生理食塩水の1mLに溶解した。
(7) 次に、これをリン酸緩衝生理食塩水に対して充分に透析した後、1000gで20分間遠心分離し不溶性のものを除去した。
(8) これをリン酸緩衝生理食塩水で平衡化しておいたDEAE−セルロースイオン交換カラム(セルバ社製)〔1×2.5cm〕に通して、溶出液を集めた。
(9) 免疫グロブリンG(IgG)が溶出液の素通り画分に含まれていることを280nmの吸光度より確認し、これを集めて濃縮した。
[1] 参考例2で調製したヒトHMG−1の2mgに対して1gのCNBr−セファロース(ファルマシアバイオテック社製)をその取扱説明書に従って反応させ、前記のHMG−1を固定化したアフィニティークロマトグラフィー用のカラムを調製した。
[2] このカラムをリン酸緩衝生理食塩水で平衡化しておき、その後、前記(9)にて濃縮した成分(ポリクローナル抗体)を通した。
[3] これにリン酸緩衝生理食塩水を充分に通して洗浄した後、0.1Mの酢酸緩衝液(pH3.0)を通した。
[4] これにより溶出した画分を集め、リン酸緩衝生理食塩水で透析を行い、その後、濃縮を行った。
実施例4で調製したヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)について、ヒトHMG−1及びヒトHMG−2の各々との反応性をウエスタンブロット法により確かめた。
(1)ヒトHMG−1及びヒトHMG−2を電気泳動して転写したものへ、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)を反応させたウエスタンブロット法
[1] 後述する参考例5においてヒト細胞(HL60細胞)より調製したヒトHMG−1及びヒトHMG−2をタイタン・ジェル・リポタンパク質電気泳動キット(ヘレナ研究所社製)を用いて電気泳動を行った。なお、支持体はアガロースゲルであり、これに前記のヒトHMG−1及びヒトHMG−2を各々0.5mg/mLとなるように溶解した200mM塩化ナトリウムを含む7.5mMホウ酸緩衝液(pH9.0)の2μLを接触させた。
[2] そして、泳動緩衝液としてバルビタール緩衝液(pH8.8)を使用して、電圧90Vで75分間通電して電気泳動を行った。なお、この電気泳動は、同じものを2セット用意して行い、以下の操作も同様に行った。
[3] 前記[2]の電気泳動の後の転写は、ノバ・ブロット・エレクトロフォレティック・トランスファー・キット(ファルマシア−エルケービー社製)を用いて、その使用説明書に従い、ドライ方式で行った。
[5] 次に、これを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
[6] 実施例4で調製した、ヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)を20mLのリン酸緩衝生理食塩水に80μg溶解し、この溶液に前記[5]の操作を行ったニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。
[7] 前記[6]の操作を行ったニトロセルロース膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
[8] 次に、パーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(ダコ社製)を、3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で500倍希釈をして、20mLの溶液を調製し、これに前記[7]のニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。
[9] このニトロセルロース膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
[10] 0.025%の3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩及び0.01%過酸化水素を含むリン酸緩衝生理食塩水の20mLに、前記[9]のニトロセルロース膜を室温で15分間浸漬して発色させた。
参考として、前記のヒトHMG−1には結合するが、ヒトHMG−2には結合しない抗体(モノクローナル抗体)に替えて、市販のヒトHMG−2に結合する抗体(ポリクローナル抗体)〔品名:Anti HMG−2(C−19),Human、品番:SC-8758、メーカー:サンタクルズ社(米国)、販売:コスモ・バイオ社〕を前記(1)の[6]において用いること以外は、前記(1)の[1]〜[10]の通りに操作を行い、バンドを得て、本ウエスタンブロット法におけるヒトHMG−2のバンドの位置の確認に用いた。
参考として、前記のヒトHMG−1及びヒトHMG−2に替えて、参考例3においてウシ胸腺より調製したウシHMG−1及びウシHMG−2の等量混合液を用いること以外は、前記(1)の[1]〜[10]の通りに操作を行い、バンドを得て、本ウエスタンブロット法におけるウシHMG−1のバンドの位置の確認に用いた。
(1)ウエスタンブロット法の結果
前記1におけるウエスタンブロット法の結果を図6に示した。
なお、この図において、「H[1]」のレーンは前記1の(1)のウエスタンブロット法のレーンであり、「H[2]」のレーンは前記1の(2)のウエスタンブロット法のレーンであり、そして、「B[1]」のレーンは前記1の(3)のウエスタンブロット法のレーンである。
・ 「H[1]」のレーンにおいては、ただ一本のバンドだけが認められる。
・ 「H[1]」のレーンにおいては、「H[2]」のレーンにおけるバンドの位置にはバンドが認められない。
・ 「H[1]」のレーンと「B[1]」のレーンは、同じ位置にバンドが認められる。
[1] ヒトHMG−2に結合する抗体(ポリクローナル抗体)を反応させた「H[2]」のレーンのバンドの位置に、「H[1]」のレーンではバンドが認められないことが分かる。
[2] ヒト細胞より調製したヒトHMG−1及びヒトHMG−2を泳動させた「H[1]」のレーンにおいて、ただ一本のバンドだけが認められ、そのバンドの位置が、ヒトHMG−1と非常に相同性の高いウシHMG−1及びヒトHMG−2と非常に相同性の高いウシHMG−2を泳動させた「B[1]」のレーンの唯一のバンドの位置と同じであることが分かる。
前記1の(1)の[5]の操作までを行ったもう一枚のニトロセルロース膜について、前記[6]の操作は行わず、しかし前記[7]以下の操作は同様に行って、これを対照(コントロール)とした。
前記1の(2)及び(3)においても、同様に対照(コントロール)を作成した。
このことより、前記の各ウエスタンブロット法においては、非特異的な発色が起きていないことが確かめられた。
ヒト細胞(HL60細胞)より、ヒトHMG−1及びヒトHMG−2を調製した。
[1] まず、RPMI1640にて培養したヒト細胞(HL60細胞)の培養液の上清の3Lを、約250mLに濃縮した。
[2] 次に、終濃度が200mMとなるように、塩化ナトリウムを添加した。
[3] これを遠心分離機で遠心分離を行い(10,000rpm、30分間)、その上清を分取して、ポアサイズ0.45μmのフィルターで濾過を行った。
[4] この濾液を、ハイトラップ・ヘパリン・カラム(アマシャムファルマシア社製)に通した。
[5] このカラムに、200mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を流して洗った。
[6] 次に、リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)において、塩化ナトリウム濃度が200mMから2,000mMまでのグラジエントをかけて前記カラムより溶出させた。
[7] 前記の各溶出画分をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動にかけ、その易動度よりヒトHMG−1及びヒトHMG−2を含む画分を同定した。この画分は、塩化ナトリウム濃度が500mMから1,000mMにあるときに溶出した画分であった。
[8] 前記[7]のヒトHMG−1及びヒトHMG−2を含む画分を、7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)で平衡化しておいたCM−セファデックスC25のカラムに通した。
そしてその後、200mM塩化ナトリウムを含む7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)により溶出させて、陽イオン交換クロマトグラフィーを行った。
[9] ここで溶出した各画分を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動にかけ、その易動度よりヒトHMG−1を含む画分、及びヒトHMG−2を含む画分を各々同定した。
以上の操作により、ヒト細胞(HL60細胞)より、ヒトHMG−1を調製し、また、ヒトHMG−2をも調製した
配列番号2:ヒトHMG−1のアミノ酸配列に基づいて合成したペプチド
Claims (18)
- 試料に含まれるヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1を抗原抗体反応を利用して測定を行う免疫学的測定方法において、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体を使用することを特徴とする免疫学的測定方法。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項1記載の免疫学的測定方法。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列とヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のアミノ酸配列とを比較対照して、相同性の低いヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列を選択し、このアミノ酸配列を含むペプチドを免疫原として動物に免疫し、産生された抗体を取得し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1に結合し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体であることを確認するか又は選択して、取得される抗体である請求項1又は2記載の免疫学的測定方法。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列の全部又は次式(I):
Gly Lys Gly Asp Pro Lys Lys Pro Arg Gly Lys (I)
で表されるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を免疫原として動物に免疫し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しないポリクローナル抗体と、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体とを含むポリクローナル抗体を取得し、次いで、得られたポリクローナル抗体を、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2をリガンドとして固相に固定化した固相担体に通し接触させ、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体を当該固相担体にリガンドとして固相に固定化されたヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2を介して固相に結合させ、当該リガンドに結合することなく、固相担体を素通りした画分として得られるポリクローナル抗体である請求項1記載の免疫学的測定方法。 - 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列の全部又は請求項4に記載の式(I)で表されるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を免疫原として動物に免疫し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しないポリクローナル抗体と、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体とを含むポリクローナル抗体を取得し、次いで、得られたポリクローナル抗体を、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2をリガンドとして固相に固定化したアフィニティークロマトグラフィーのカラムに通し接触させ、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体を当該カラムにリガンドとして固相に固定化されたヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2を介して固相に結合させ、当該リガンドに結合することなく、カラムを素通りした画分として得られるポリクローナル抗体である請求項1記載の免疫学的測定方法。
- 試料がヒトの血液、血清又は血漿である請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
- 試料に含まれるヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1を抗原抗体反応を利用して測定を行うための免疫学的測定試薬において、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体を含むことを特徴とする免疫学的測定試薬。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項7記載の免疫学的測定試薬。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列とヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のアミノ酸配列とを比較対照して、相同性の低いヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列を選択し、このアミノ酸配列を含むペプチドを免疫原として動物に免疫し、産生された抗体を取得し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1に結合し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体であることを確認するか又は選択して、取得される抗体である請求項7又は8記載の免疫学的測定試薬。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列の全部又は請求項4に記載の式(I)で表されるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を免疫原として動物に免疫し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しないポリクローナル抗体と、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体とを含むポリクローナル抗体を取得し、次いで、得られたポリクローナル抗体を、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2をリガンドとして固相に固定化した固相担体に通し接触させ、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体を当該固相担体にリガンドとして固相に固定化されたヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2を介して固相に結合させ、当該リガンドに結合することなく、固相担体を素通りした画分として得られるポリクローナル抗体である請求項7記載の免疫学的測定試薬。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列の全部又は請求項4に記載の式(I)で表されるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を免疫原として動物に免疫し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しないポリクローナル抗体と、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体とを含むポリクローナル抗体を取得し、次いで、得られたポリクローナル抗体を、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2をリガンドとして固相に固定化したアフィニティークロマトグラフィーのカラムに通し接触させ、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体を当該カラムにリガンドとして固相に固定化されたヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2を介して固相に結合させ、当該リガンドに結合することなく、カラムを素通りした画分として得られるポリクローナル抗体である請求項7記載の免疫学的測定試薬。
- 試料がヒトの血液、血清又は血漿である請求項7〜11のいずれか1項に記載の免疫学的測定試薬。
- 試料に含まれるヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1を抗原抗体反応を利用して測定を行う際に、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体を使用することを特徴とする、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2由来の正誤差発生の防止方法。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項13記載の方法。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列とヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のアミノ酸配列とを比較対照して、相同性の低いヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列を選択し、このアミノ酸配列を含むペプチドを免疫原として動物に免疫し、産生された抗体を取得し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1に結合し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しない抗体であることを確認するか又は選択して、取得される抗体である請求項13又は14記載の方法。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列の全部又は請求項4に記載の式(I)で表されるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を免疫原として動物に免疫し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しないポリクローナル抗体と、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体とを含むポリクローナル抗体を取得し、次いで、得られたポリクローナル抗体を、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2をリガンドとして固相に固定化した固相担体に通し接触させ、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体を当該固相担体にリガンドとして固相に固定化されたヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2を介して固相に結合させ、当該リガンドに結合することなく、固相担体を素通りした画分として得られるポリクローナル抗体である請求項13記載の方法。
- 前記抗体が、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1のアミノ酸配列の全部又は請求項4に記載の式(I)で表されるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を免疫原として動物に免疫し、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1には結合するが、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2には結合しないポリクローナル抗体と、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体とを含むポリクローナル抗体を取得し、次いで、得られたポリクローナル抗体を、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2をリガンドとして固相に固定化したアフィニティークロマトグラフィーのカラムに通し接触させ、ヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−1及びヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2のいずれにも結合するポリクローナル抗体を当該カラムにリガンドとして固相に固定化されたヒト・ハイモビリティーグループプロテイン−2を介して固相に結合させ、当該リガンドに結合することなく、カラムを素通りした画分として得られるポリクローナル抗体である請求項13記載の方法。
- 試料がヒトの血液、血清又は血漿である請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
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