JP5055027B2 - 導電性高分子溶液及び導電性塗膜 - Google Patents
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Description
電解重合法では、ドーパントとなる電解質とπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーとの混合溶液中に、予め形成した電極材料などの支持体を浸漬し、支持体上にπ共役系導電性高分子をフィルム状に形成する。そのため、大量に製造することが困難である。
一方、化学酸化重合法では、このような制約がなく、π共役系導電性高分子の前駆体モノマーに酸化剤及び酸化重合触媒を添加し、溶液中で大量のπ共役系導電性高分子を製造できる。
しかし、化学酸化重合法では、π共役系導電性高分子主鎖の共役系の成長に伴い、溶媒に対する溶解性が乏しくなるため、不溶の固形粉体で得られるようになる。不溶性のものでは支持体表面上にπ共役系導電性高分子膜を均一に形成することが困難になる。
例えば、水への分散性を向上させるために、分子量が2,000〜500,000の範囲のアニオン基含有高分子酸であるポリスチレンスルホン酸の存在下で、酸化剤を用いて、3,4−ジアルコキシチオフェンを化学酸化重合してポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)水溶液を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、ポリアクリル酸の存在下で化学酸化重合してπ共役系導電性高分子コロイド水溶液を製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。
そこで、ポリリン酸等を添加して、可視光又は紫外光に長時間暴露した際の表面抵抗の上昇を抑える方法が提案されている(特許文献3参照)。
HALSを添加した場合には、HALSが、π共役系導電性高分子を可溶化するためのアニオン基含有高分子酸の酸性基と中和反応を起こすため、充分な光安定化作用が得られなかった。したがって、HALSによってπ共役系導電性高分子の光劣化を抑えることは困難であった。また、HALSをアニオン基含有高分子酸の酸性基のモル数以上に加える方法も考えられるが、この場合には、導電性高分子溶液の安定性が低くなる。
[1] π共役系導電性高分子と、可溶化高分子と、ガーリック酸またはその水和物と、溶媒とを含有することを特徴とする導電性高分子溶液。
[2] バインダをさらに含有することを特徴とする[1]に記載の導電性高分子溶液。
[3] [1]または[2]に記載の導電性高分子溶液が塗布されて形成されたことを特徴とする導電性塗膜。
本発明の導電性塗膜は、導電性が高く、さらに、可視光又は紫外光に長期間当たっても表面抵抗が上昇しにくい。
本発明の導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子と、可溶化高分子と、ガーリック酸またはその水和物と、溶媒とを含有するものである。
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダへの相溶性を得ることができるが、導電性及びバインダへの分散性又は溶解性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性や、バインダとの相溶性及び分散性を向上させるためより好ましい。アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないため、メチル基が好ましい。
可溶化高分子とは、π共役系導電性高分子を可溶化する高分子であり、可溶化高分子としては、アニオン基及び/又は電子吸引基を有する高分子が挙げられる。
アニオン基を有する高分子(以下、ポリアニオンという。)は、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
これらの中でも、不飽和結合とπ共役系導電性高分子との相互作用があること、置換若しくは未置換のブタジエンを出発物質として合成しやすいことから、置換若しくは未置換のブテニレンが好ましい。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシ基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶媒への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基が好ましい。
前記ヒドロキシ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したヒドロキシ基又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシ基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。ヒドロキシ基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。これらの中では樹脂への相溶及び有機溶剤への溶解性から、主鎖に結合した炭素数1〜6のアルキル基の末端に結合したヒドロキシ基がより好ましい。
前記アミノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアミノ基又は他の官能基を介在して結合したアミノ基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。アミノ基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。
前記フェノール基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したフェノール基又は他の官能基を介在して結合したフェノール基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。フェノール基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。
前記エステル基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアルキル系エステル基、芳香族系エステル基、他の官能基を介在してなるアルキル系エステル基又は芳香族系エステル基が挙げられる。
シアノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数1〜7のアルキル基の末端に結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数2〜7のアルケニル基の末端に結合したシアノ基等を挙げることができる。
これらのうち、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸が好ましい。ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸は、熱エネルギーを吸収して自ら分解することにより、π共役系導電性高分子成分の熱分解が緩和されるため、耐熱性、耐環境性に優れる。さらに、エステル基を有するため、バインダとの相溶性、分散性に優れる。
電子吸引基を有する高分子は、電子吸引基として、例えば、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボニル基、アセチル基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を構成単位とした高分子が挙げられる。これらの中でも、シアノ基は極性が高く、π共役系導電性高分子をより可溶化できることから好ましい。また、バインダとの相溶性、分散性をより高くできることから好ましい。
電子吸引性基を有する高分子の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂や、水酸基あるいはアミノ基含有樹脂をシアノエチル化した樹脂(例えば、シアノエチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、アルキル化ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースなどが挙げられる。
導電性高分子溶液におけるガーリック酸またはその水和物の含有量はπ共役系導電性高分子と可溶化高分子の合計質量に対して0.1〜100倍量であることが好ましく、0.1〜10倍量であることがより好ましい。ガーリック酸またはその水和物の含有量が前記下限値未満であると、導電性、光安定性の向上効果が低くなる傾向にあり、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こることがある。
なお、ガーリック酸の水和物としては、例えば、一水和物等が挙げられる。
導電性高分子溶液に含まれる溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶媒との混合物としてもよい。
導電性高分子溶液には、導電性をより向上させるために、ポリアニオン以外に他のドーパントを添加してもよい。他のドーパントとしては、π共役系導電性高分子を酸化還元させることができればドナー性のものであってもよく、アクセプタ性のものであってもよい。
ドナー性ドーパントとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられる。
アクセプタ性ドーパントとしては、例えば、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
さらに、ハロゲン化合物としては、例えば、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、フッ化ヨウ素(IF)等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、PF5、AsF5、SbF5、BF5、BCl5、BBr5、SO3等が挙げられる。
有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、ジクロロジシアノベンゾキノン(DDQ)、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
スルホ基を一つ含むものとして、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキチルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、アントラキノンスルホン酸、ピレンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
導電性高分子溶液は、塗膜の耐傷性や表面硬度が高くなり、導電性高分子溶液を塗布する基材との密着性が向上することから、バインダを含むことが好ましい。
バインダとしては、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;アラミド樹脂;ポリイミドシリコーン;ポリウレタン;ポリウレア;メラミン樹脂;フェノール樹脂;ポリエーテル;アクリル樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。 これらバインダは、有機溶剤に溶解されていてもよいし、スルホン酸基やカルボン酸基などの官能基が付与されて水溶液化されていてもよいし、乳化など水に分散されていてもよい。
ここで、熱エネルギーにより硬化する液状重合体としては、反応型重合体及び自己架橋型重合体が挙げられる。
反応型重合体は、置換基を有する単量体が重合した重合体であり、置換基としては、カルボキシ基、酸無水物、オキセタン系、グリシジル基、アミノ基などが挙げられる。具体的な単量体としては、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、ピメリン酸、アスコルビン酸、フタル酸、アセチルサルチル酸、アジピン酸、イソフタル酸、安息香酸、m−トルイル酸等のカルボン酸化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸、ジクロル無水マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ピメリット酸等の酸無水物、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、アジドメチルメチルオキセタン等のオキセタン化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジル−p−アミノフェノールグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(すなわち、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン)等のグリシジルエーテル化合物、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジル−5,5−ジアルキルヒダントイン等のグリシジルアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DHP30−トリ(2−エチルヘクソエート)、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素、モノエチルアミン、メンタンジアミン、キシレンジアミン、エチルメチルイミダゾール等のアミン化合物、1分子中に2個以上のオキシラン環を含む化合物のうち、ビスフェノールAのエピクロロヒドリンによるグリシジル化合物、あるいはその類似物が挙げられる。
光エネルギーによって硬化する液状重合体を構成する単量体単位としては、例えば、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のアクリレート類、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アルキルメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート類、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーデル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、アクリロイルピペリジン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリル(メタクリル)アミド類、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類、酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類の単官能モノマー並びに多官能モノマーが挙げられる。
上記導電性高分子溶液を製造する方法としては、例えば、可溶化高分子の存在下、水中で、π共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合し、ガーリック酸またはその水和物を添加する方法が挙げられる。
溶媒としては、前記前駆体モノマーを溶解又は分散しうる溶媒であり、酸化剤及び酸化触媒の酸化力を維持させることができるものであればよく、例えば、導電性高分子溶液に含まれるものと同様のものが挙げられる。
本発明の導電性塗膜は、上述した導電性高分子溶液が塗布されて形成されたものである。導電性高分子溶液の塗布方法としては、例えば、浸漬、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷などが挙げられる。
塗布後、加熱処理や紫外線照射処理により塗膜を硬化することが好ましい。加熱処理としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。紫外線照射処理としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、導電性高分子溶液である約1.2質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS水溶液)を得た。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸10mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#8のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ハイレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸10mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#18のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸15mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#8のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸15mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#18のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸20mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#8のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸20mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#18のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸25mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#8のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸25mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#18のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gに、エタノール2.0gとガーリック酸30mgとを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#8のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸エチルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗値を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸プロピルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗値を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸ブチルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗値を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸イソアミルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗値を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸オクチルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗値を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸ドデシルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸セチルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸ステアリルを添加したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1においてガーリック酸を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
これに対し、π共役系導電性高分子と可溶化高分子と溶媒とを含み、ガーリック酸を含まなかった導電性高分子溶液から形成された比較例1〜9の導電性塗膜は、表面抵抗が高かった。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液2.0gにエタノール2.0gとガーリック酸30mgを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#18のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ハイレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。さらに、導電性塗膜にカーボンアークにより288時間紫外光照射した後に、表面抵抗を測定した。測定結果を表2に示す。また、表2には、表面抵抗の上昇率(紫外線照射後の表面抵抗/初期の表面抵抗)も示す。
実施例10においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸メチルを添加したこと以外は実施例10と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗および紫外線照射後の表面抵抗を実施例10と同様に測定した。測定結果を表2に示す。
実施例10においてガーリック酸を添加しなかったこと以外は実施例10と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗および紫外線照射後の表面抵抗を実施例10と同様に測定した。測定結果を表2に示す。
これに対し、π共役系導電性高分子と可溶化高分子と溶媒とを含み、ガーリック酸を含まなかった導電性高分子溶液から形成された比較例10,11の導電性塗膜は、表面抵抗が高く、また、紫外光照射した際に表面抵抗が大幅に上昇した。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液15gにメタノール52.75gとバイロナール1245(東洋紡製ポリエステル水分散溶液)30gとガーリック酸2.25ggを添加し、撹拌して導電性高分子溶液を得た。そして、その導電性高分子溶液を#8のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥して導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を、ハイレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。さらに、導電性塗膜にカーボンアークにより144時間紫外光照射した後に、表面抵抗を測定した。測定結果を表3に示す。また、表3には、表面抵抗の上昇率(紫外線照射後の表面抵抗/初期の表面抵抗)も示す。
実施例11においてガーリック酸の代わりに、ガーリック酸メチルを添加したこと以外は実施例11と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗および紫外線照射後の表面抵抗を実施例11と同様に測定した。測定結果を表3に示す。
実施例11においてガーリック酸を添加しなかったこと以外は実施例11と同様にして導電性塗膜を形成した。この導電性塗膜の表面抵抗を実施例11と同様に測定した。測定結果を表3に示す。
これに対し、π共役系導電性高分子と可溶化高分子と溶媒とを含み、ガーリック酸を含まなかった導電性高分子溶液から形成された比較例12,13の導電性塗膜は、表面抵抗が高かった。また、比較例12の導電性塗膜は、紫外光照射した際に表面抵抗が大幅に上昇した。
Claims (3)
- π共役系導電性高分子と、可溶化高分子と、ガーリック酸またはその水和物と、溶媒とを含有することを特徴とする導電性高分子溶液。
- バインダ樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子溶液。
- 請求項1又は2に記載の導電性高分子溶液が塗布されて形成されたことを特徴とする導電性塗膜。
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