JP5052919B2 - Ph及び温度敏感性のブロック共重合体ヒドロゲル - Google Patents

Ph及び温度敏感性のブロック共重合体ヒドロゲル Download PDF

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本発明はpH及び温度敏感性のブロック共重合体、このブロック共重合体を含むヒドロゲル組成物、及びこの組成物から得られるヒドロゲルに係り、より詳しくは、(a)ポリエチレングリコール(PEG)系化合物と生分解性高分子との共重合体と、(b)スルホンアミド系オリゴマーと、をカップリングさせて得られるブロック共重合体、このブロック共重合体を含むヒドロゲル組成物及びこの組成物から得られるヒドロゲルに関する。
疎水性と親水性を併せ持つ両親性高分子に関心が寄せられている。特に、温度に対してゾル−ゲル遷移挙動を示す両親性高分子は、薬物伝達系と医療用分野において集中的な研究がなされ、その活用もまた盛んになされている。特に、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドよりなる共重合体は、プルロニック、ポロキサマーといった名称で現在活発に生産されており、各種の分野において用いられている。
しかしながら、前記プルロニックとポロキサマー系の高分子は、体内で分解されないという特性があるため、医療用として用いられる場合、問題があった。これにより、生分解性高分子であるポリラクチド(PLA)(あるいは、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)及びこれらの共重合体)とポリエチレングリコール(PEG)との共重合体を用いた研究が活発になされている。
下記の特許文献1、特許文献2などにおいては、親水性高分子としてのポリアルキレングリコールとポリグリコール酸、トリメチレンカーボネートなどとの共重合体を開示している。
さらに、 下記の特許文献3においては、ポリエチレングリコール(PEG)とポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、疎水性ポリペプチドあるいはポリアセタールなどとのブロック共重合物を製薬学的な組成物の成分として開示している。
さらに、下記の特許文献4においては、生分解性A−B−Aタイプの3重ブロック共重合体を記述しているが、疎水性ブロック(A)はポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)及びこれらの共重合体に限定しており、親水性ブロック(B)もまたポリエチレングリコール(PEG)及びその誘導体に限定している。
そして、下記の特許文献5においては、熱可塑性を有する生分解性多重ブロック共重合体を開示しているが、疎水性ブロックとして、ポリラクチド、ポリグリコール酸及びこれらの共重合体、ポリカプロラクトンを記述している。
一方、下記の特許文献6においては、スルホンアミド基を含むpH敏感性高分子及びその製造方法を開示しているが、主としてスルホンアミド単量体とDMAAmあるいはNiPAAmとのランダム共重合により形成された線形高分子の溶解度の変化あるいはその架橋高分子の膨潤度について記述している。
上述した如く、従来の技術は、疎水性の生分解性高分子と親水性の高分子とのブロック共重合体を用い、温度に応じてゾル−ゲル遷移現象を示すようにしたものであり、前記ブロック共重合体をゾル状態である水溶液の形で体内に注入する場合、ゲル状態に遷移することにより、体内において安定的に薬物を担持して徐々に薬物を放出するという徐放型薬物伝達体として用いた。
しかしながら、温度に対して敏感なゾル−ゲル遷移現象を示すブロック共重合体の場合、注射中に体内の温度と注射針の温度が熱的平衡により同じ温度に調節されるため、体内への注入前である注射中に注射針が閉塞する現象が現れるなどの不都合があった。また、PLA、PLGAあるいはPCLなどよりなる疎水性部分がpH敏感性を示すと報告されてはいるが、実際に体内pHに適用するほどには敏感ではないため、薬物伝達分野で実用化するには適していなかった。
米国特許第4,882,168号 米国特許第4,716,203号 米国特許第4,942,035号 米国特許第5,476,909号公報 米国特許第5,548,035号 大韓民国公開特許公報第2000−0012970号(2000.03.06)
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度に加えてpHに敏感なゾル−ゲル遷移挙動を示すことにより、体内にほぼ類似のpH7〜7.4の辺りでゲル化が進み、この範囲以上ではゾル化して、高いpHにおいて溶解して体内に注入する場合、体内においてゲルを形成することのできる、新規なpH及び温度敏感性のブロック共重合体及び前記共重合体から得られるヒドロゲルを提供するところにある。
本発明は、(a)ポリエチレングリコール(PEG)系化合物と生分解性高分子との共重合体と、(b)スルホンアミド系オリゴマーと、をカップリングさせて得られるブロック共重合体、このブロック共重合体を含むヒドロゲル組成物及びこの組成物から得られるヒドロゲルを提供する。
以下、本発明を詳述する。
本発明は、親水性PEG系化合物と疎水性生分解性高分子との共重合体に、pHに応じてイオン化度が変化してpH敏感性を示すスルホンアミド系オリゴマーをカップリングすることにより、実際の薬物伝達に利用可能な新規なタイプのブロック共重合体を得ることを特徴とする。
かかる特徴により、本発明のブロック共重合体は、温度に加えてpHに敏感なゾル−ゲル遷移挙動を示す。
すなわち、従来の疎水性生分解性高分子と親水性高分子よりなるブロック共重合体は、温度の変化に応じて、各疎水性ブロックと親水性ブロックの物性変化によりゾル−ゲル遷移挙動を示していたが、前記ブロック共重合体の温度変化による敏感性の不足及び伝達媒体の熱的平衡による体内への不適用性などにより、実際の薬物伝達分野に適用することが困難であった。
しかしながら、本発明においては、前記疎水性生分解性高分子と親水性高分子よりなる共重合体にpHの変化に応じて種々のイオン化度を示すスルホンアミド系オリゴマーを重合することにより、既に有している温度敏感性に加えて、さらにpH敏感性が同時に付与され、その結果、上述した如き温度敏感性ヒドロゲルの不都合を解消することができる。また、前記温度及びpH敏感性ブロック共重合体が一層安定したタイプのヒドロゲルを形成するだけではなく、体内において安全であるため、医療用、薬物伝達分野、特に、薬物担持及び放出などの徐放性の薬物伝達体などに適用することができる。
本発明に係る温度及びpH敏感性ブロック共重合体の構成成分の一方は、PEG系化合物と生分解性高分子との共重合体(a)である。前記共重合体(a)は、分子内にPEG系化合物の親水性と生分解性高分子の疎水性が共存することにより、温度変化によるゾル−ゲル遷移が可能である。
前記共重合体(a)を構成するPEG系化合物としては、当分野における周知のPEG系化合物を用いることができ、特に、下記式Iで表されるPEG系化合物、例えば、PEGあるいはメトキシPEGなどが好ましい。
式中、Rは水素原子または炭素数1ないし5のアルキル基であり、nは、11ないし45の範囲の自然数である。
ポリエチレングリコール系化合物の分子量は、500ないし2000の範囲であることが好ましい。特に、前記式I中、Rが水素であるポリエチレングリコール(PEG)の場合、1000ないし2000の分子量の範囲が好ましく、Rがメチル基としてのメトキシポリエチレングリコール(MPEG)である場合、分子量は500ないし2000の範囲であることが好ましい。分子量が500未満であるか、あるいは2000を超える場合、ゲルの形成が円滑に行われず、しかも、ゲルが形成されるとしても、体内条件(37℃)においてゲルの形成が起こらないという不都合がある。
前記共重合体(a)を構成する生分解性高分子としては、当分野における周知の生分解性高分子を用いることができ、その非制限的な例としては、カプロラクトン(CL)、グリコリド(GA)、ラクチド(LA)あるいはこれらの共重合体などが挙げられる。
ポリエチレン系化合物及び生分解性高分子の重合により得られる共重合体(a)の非制限的な例としては、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(カプロラクトン−ラクチド)ランダム共重合体(PCLA)、ポリ(カプロラクトン−グリコリド)ランダム共重合体(PCGA)あるいはポリ(ラクチド−グリコリド)ランダム共重合体(PLGA)などが挙げられる。
前記共重合体(a)中におけるPEG系化合物と生分解性高分子との分子量比は特に制限がないが、特に、1:1〜3の範囲であることが好ましい。前記共重合体(a)中におけるPEG系化合物と生分解性高分子との分子量比が1:1未満である場合、ゲルが形成されず、前記共重合体(a)中におけるPEG系化合物と生分解性高分子との分子量比が1:3を超える場合、疎水度が大きくなってブロック共重合体が溶解されないという不都合がある。
また、前記共重合体中における生分解性高分子がPCLA、PCGAあるいはPLGAである場合、これらのモル比を適宜調節することにより、温度及びpH敏感性の効果を高めることができる。
本発明に係る温度及びpH敏感性ブロック共重合体の構成成分の他方としては、pHに応じて種々のイオン化度を示す化合物が使用可能であり、特に、スルホンアミド系化合物から得られるオリゴマー(b)が好ましい。前記スルホンアミド系オリゴマーは、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)あるいはアミン基(−NH)などの官能基を含むものが一層好ましいが、これは、重合反応により本発明に係るブロック共重合体を容易に製造するためである。
前記オリゴマー(b)を形成するスルホンアミド系化合物の非制限的な例としては、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファセットアミド、スルフィソミジン、スルファフェナゾール、スルファメトキサゾール、スルファジアジン、スルファメトキシジアジン、スルファメトキシピリダジン、スルファドキシン、スルファピリジン、スルファベンズアミド、スルフィソキサゾールまたはこれらの誘導体などが挙げられる。
スルホンアミド系化合物から得られるオリゴマーの分子量には特に制限がないが、500ないし2000の範囲であることが好ましい。分子量が500未満である場合、pHの変化によるゾル−ゲル遷移挙動が認められず、2000を超える場合、温度敏感性の同時発現が困難になる。
上述した如き構成成分、すなわち、PEG系化合物と生分解性高分子との共重合体(a)及びスルホンアミド系オリゴマーがカップリングされて得られる本発明のブロック共重合体は、3重以上のブロック共重合体であることが好適であり、特に、3重あるいは5重ブロックのものであることが好ましい。前記3重あるいは5重のブロック共重合体の具体例としては、下記式2(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)、下記式3(MPEG−PCLA−OSM)及び下記式4(OSM−PCGA−PEG−PCGA−OSM)で表される化合物などが挙げられる。
このとき、前記式3で表されるブロック共重合体は、PEG系化合物と生分解性高分子との共重合体(MPEG−PCLA)のうち片方の末端にのみヒドロキシ基があるため、片方にのみスルファメタジンオリゴマー(OSM)がカップリングされているようなブロック構造を有する。
本発明に係る温度及びpH敏感性ブロック共重合体は、上述の如き成分のほかに、通常のその他の成分あるいは添加剤などを含むことができる。
前記PEG系化合物と生分解性高分子との共重合体(a)及びスルホンアミド系オリゴマーを用いて本発明に係る温度及びpH敏感性ブロック共重合体を製造するに際しては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、縮合重合など、当技術分野における周知の各種の重合方法のうちいずれかの方法を用いることができる。
以下、本発明に係る温度及びpH敏感性ブロック共重合体の製造方法の一実施の形態を挙げると、a)PEG系化合物及び生分解性高分子を重合して共重合体を得る段階と、b)スルホンアミド系化合物を用いてスルホンアミド系オリゴマーを得る段階と、c)段階a)における共重合体及び段階b)におけるオリゴマーをカップリングさせる段階と、を含む。
先ず、1)PEG系化合物と生分解性高分子を重合して共重合体を得るが、前記反応は、例えば、下記の反応式1のように表わされる。
開環重合反応を用いることが好ましいが、このとき、重合温度と時間には特に制限がなく、130ないし150℃、12ないし48時間が好ましい。また、反応性向上のために触媒を用いることが可能であるが、使用可能な触媒としては、オクタン酸錫、塩化第一錫、金属酸化物(GeO,Sb,SnOなど)、アルミニウムトリイソプロポキシド、CaH,Zn、塩化リチウム、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノラート)などが挙げられる。また、疎水度を多様化させるために、上述した如き生分解性高分子の分子量あるいは種類などを適宜調節すればよい。
2)スルホンアミド系化合物を用いてオリゴマーを得るが、前記反応は、例えば、下記の反応式2のように表わされる。
前記スルホンアミド系オリゴマーの製造に使用可能な分子量調節剤(連鎖移動剤)(chain transfer agent:CTA)としては種々のものが挙げられるが、例えば、炭素数8ないし18のアルキルメルカプタン類、有機ハロゲン化合物類、アルファメチルスチレンダイマー、テルピノレン、アルファテルピネンなどがある。前記分子量調節剤は、用途に応じて選んで用いることができ、特に、メルカプタン類は、連鎖移動定数が高くて連鎖移動の効率が高いために好ましい。
開始剤としては、当技術分野における周知のものが使用可能であり、この非制限的な例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1’−ビス−(ビス−t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどが挙げられる。
スルホンアミド系オリゴマーは、PEG系化合物及び生分解性高分子との共重合体とカップリングされるために、親水性官能基、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基あるいはアミン基などを分子内に含んでいることが好ましい。
3)PEG系化合物及び生分解性高分子との共重合体(a)及びスルホンアミド系オリゴマー(b)のカップリングにより本発明に係る温度及びpH敏感性ブロック共重合体を製造することができ、この反応は、下記の反応式3で表わされる。
前記段階における反応温度及び時間には特に制限がなく、当分野における周知の方法に従い製造することができる。
このような方法により製造されたブロック共重合体は、上述したように、親水性ブロック、疎水性ブロック及びpHの変化に応じて種々なるイオン化度を示すスルホンアミド系オリゴマーがカップリングされたものであるため、温度敏感性と同時にpH敏感性を発現することができる。実際に、このようにして製造されたスルファメタジン−ポリカプロラクトン/ラクチド−ポリエチレングリコール−ポリカプロラクトン/ラクチド−スルファメタジン(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)ブロック共重合体は、FT−IR及びH−NMRを用いてそれぞれの基の導入及び末端基の反応を確認することができ、GPCを用いたブロック共重合体の分子量の増加を通じてPEG系化合物と生分解性高分子の共重合体及びスルホンアミド系オリゴマーがカップリングされた構造であることが確認できた。
さらに、pH敏感性を確かめるために、温度に応じてpHを変えながらゾル−ゲル遷移挙動の変化を測定した。これより、本発明のブロック共重合体がpH敏感性を有していることが明らかになった。
さらに、本発明は、前記ブロック共重合体を含むヒドロゲル組成物を提供する。このとき、前記組成物は、当分野における周知のその他の添加剤、溶媒などをさらに含むことができる。
加えて、本発明は、温度及びpHの変化によって前記ヒドロゲル組成物から得られた新規なヒドロゲルを提供し、これは、医療用あるいは薬物伝達分野に様々に応用することができる。
以下、本発明への理解の一助となるために、本発明の好適な実施例を挙げるが、下記の実施例は単なる本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されることはない。
[実施例1〜9.温度及びpH敏感性ブロック共重合体の製造]
実施例1.OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM5重ブロック共重合体(1)
〔1−1.PCLA−PEG−PCLA共重合体(1)〕
PEG(Mn=1500)10gと触媒としてのオクタン酸錫0.2gを反応器に入れ、水分を除去するために110℃、4時間真空乾燥させた。乾燥された反応物を冷却した後、窒素雰囲気下でε−カプロラクトン13.68g及びD,L−ラクチド4.32gを加え、前記反応混合物を窒素雰囲気下で徐々に135℃まで昇温した後、24時間重合させた。反応終了後、反応物を室温まで冷却し、ここに少量のメチレンクロライドを加えて反応物を溶解させた。溶解された反応混合物から未反応物を除去するために、過量のエチルエーテルに加えて沈殿させ、未反応物の除去された生成物を、40℃、48時間真空乾燥させた。このとき、生成物の収率は85%であった。
合成されたPCLA−PEG−PCLAの分子量は、既知のPEGの分子量及びH−NMR分析結果のうち、各ブロックにおけるHの特性ピークの積分値から計算された(図2参照)。H−NMRによる確認の結果、ブロック共重合体におけるPEG/PCLAの分子量比は1/1.85、PCLAブロックにおけるカプロラクトン(CL)とラクチド(LA)のモル分率は2.44/1であった。
〔1−2.スルファメタジンオリゴマー(OSM)の製造〕
スルファメタジン27.83g(0.1mol)を水酸化ナトリウム4g(0.1mol)が溶解されているアセトン/水混合溶媒100mlに溶かした後、メタクリロイルクロライド12.54g(0.12mol)を徐々に滴下して加えて二重結合を有するスルファメタジン単量体34.5g(収率:85%)を得た。反応は、アイスバスにおいて行われ、反応時間は3時間であった。合成されたスルファメタジン単量体は反応溶媒中で沈殿させ、次いで、ろ過して室温において48時間真空乾燥した。得られたスルファメタジン単量体をDMF溶媒下で3−メルカプトプロピオン酸と開始剤としてのAIBNを用い、窒素雰囲気下で85℃、48時間反応させ、このとき、反応物の当量比は、スルファメタジン単量体:3−メルカプトプロピオン酸:開始剤=1:0.1:0.1モル比であった。反応終了後、溶媒としてのDMFを蒸発器により除去した後、反応混合物をさらにTHFにより溶解させた。THFに溶解されている反応混合物に過量のエチルエーテルを加えて沈殿させ、これにより、末端基がカルボキシル基であるスルファメタジンオリゴマー(収率:90%以上)を得た。GPCにより確認した結果、分子量はMn=1144であった。
〔1−3.OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSMブロック共重合体(1)〕
前記実施例1−1に従って得られたPCLA−PEG−PCLAブロック共重合体を反応器に入れた後、水分を除去するために85℃において真空乾燥させた。次いで、反応物を室温まで冷却した後、実施例1−2に従って得られたスルファメタジンオリゴマーを窒素雰囲気下で加え、カップリング剤としてのDCCと触媒としてのDMAPが溶解されている無水メチレンクロライドを加えた。このとき、各反応物の当量比は、PCLA−PEG−PCLA:スルファメタジンオリゴマー:DCC:DMAP=1:2.4:2.8:0.28モル比であった。反応は、窒素の雰囲気下室温で48時間行った。スルファメタジンオリゴマーは、メチレンクロライドに溶解されない異種反応物であり、反応終了後、ろ過により未反応スルファメタジンオリゴマーは除去可能である。ろ過された反応混合物は、過量のエチレンエーテル中で沈殿させ、次いで、48時間40℃において真空乾燥させて最終生成物(収率:60%以上)を得た。GPCにより分子量が増えていることが確認できた(図1参照)。
[実施例2.OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM5重ブロック共重合体(2)]
PEG/PCLA=1/1.85、PCLAブロックにおいて、カプロラクトン(CL)/ラクチド(LA)=2.44/1に代えてPEG/PCLA=1/2.08、CL/LAのモル分率を2.59/1に調節した以外は、前記実施例1の方法と同様にしてブロック共重合体を得た。
[実施例3.OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM5重ブロック共重合体(3)]
PEG(Mn=1500)に代えてPEG(Mn=1750)を用いた以外は、前記実施例1の方法と同様にしてブロック共重合体を得た。
[実施例4.OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM5重ブロック共重合体(4)]
PEG(Mn=1500)に代えてPEG(Mn=2000)を用いた以外は、前記実施例1の方法と同様にしてブロック共重合体を製造した。
[実施例5.OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM5重ブロック共重合体(5)]
スルファメタジンオリゴマー(Mn=1144)に代えてスルファメタジンオリゴマー(Mn=937)を用いた以外は、前記実施例1の方法と同様にしてブロック共重合体を製造した。
[実施例6.MPEG−PCLA−OSMブロック共重合体(1)]
PEG(Mn=1500)に代えてメトキシポリ(エチレングリコール)(Mn=750)を用いて得られたMPEG−PCLAを用いたことと、反応物の当量比がMPEG−PCLA:スルファメタジンオリゴマー:DCC:DMAP=1:1.2:1.4:0.14であること以外は、前記実施例1の方法と同様にしてMPEG−PCLA−OSM3重ブロック共重合体を得た。このとき、得られたブロック共重合体におけるMPEG/PCLAの分子量比は1/1.86、PCLAブロックにおけるカプロラクトン(CL)とラクチド(LA)のモル分率は2.67/1であった。
[実施例7.MPEG−PCLA−OSMブロック共重合体(2)]
MPEG/PCLA=1/1.86、PCLAブロックにおいて、カプロラクトン(CL)/ラクチド(LA)=2.67/1に代えてMPEG/PCLA=1/2.04、CL/LAのモル分率を2.70/1に調節した以外は、前記実施例6の方法と同様にしてMPEG−PCLA−OSM3重ブロック共重合体を得た。
[実施例8.OSM−PCGA−PEG−PCGA−OSMブロック共重合体(1)]
D,L−ラクチドに代えてグリコリドを用いた得られたPCGA−PEG−PCGA(PEG=1500)を用いた以外は、前記実施例1の方法と同様にして5重ブロック共重合体を得た。このとき、得られたブロック共重合体におけるPEG/PCGAの分子量比は1/2.02、PCGAブロックにおけるCLとGAのモル分率は2.38/1であった。
[実施例9.OSM−PCGA−PEG−PCGA−OSMブロック共重合体(2)]
PEG/PCGA=1/2.02、PCGAブロックにおいて、CL/GA=2.38/1に代えてPEG/PCGA=1/2.23、CL/GAのモル分率を2.39/1に調節した以外は、前記実施例8の方法と同様にして5重ブロック共重合体を得た。
[実験例1.pH変化によるゾル−ゲル遷移挙動の評価]
本発明に従って得られたブロック共重合体の温度及びpH変化によるゾル−ゲル遷移挙動の評価を行った。
実施例1及び2に従って得られた5重ブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM、OSM=1144)を緩衝溶液に15重量%加えて溶かした後、HCl溶液により、それぞれpH8.2,8.0,7.8,7.6,7.4,7.2に調節した。それぞれ別々のpHを有する5重ブロック共重合体溶液の温度を2℃ずつ上げながら、10分間一定の温度下で平衡状態になるようにした後、各溶液を斜めにしてゾル−ゲル遷移挙動を測定した。温度及びpH変化によるブロック共重合体のゾル−ゲル遷移挙動を図3及び図4に基づいて述べると、下記の通りである。
図3及び図4に示す“A”,“B”,“C”及び“D”は、前記ブロック共重合体が特定の温度及びpHの条件下に存在することを示しており、前記各条件を詳述すると、“A”は、体内と同じ温度である高温(37℃)及び低いpH(pH7.4)、“B”は、体内と同じ温度(37℃)と高いpH(pH8.0)、“C”は、低温(15℃)と低いpH(pH7.4)、“D”は、低温(15℃)と高いpH(pH8.0)の状態である。
D条件(15℃,pH8.0)に存在するブロック共重合体は、低温によるPCLAブロックの低い疎水度と高いpHによるOSMのイオン化により、粘度が低いゾル状態を示した(図3及び図4参照)。前記Dの状態で、温度が徐々に上がり、体内と同じ温度条件であるB条件(37℃,pH8.0)に達すると、PCLAブロックの疎水度が上がり、やや粘度が大きくなるが、OSMが依然としてイオン化した状態の親水性ブロックとして働き、ゲルを形成することはできなかった(図3及び図4参照)。また、D条件において温度を保ったまま、pHを7.4に落としてC条件(15℃,pH7.4)に達すると、OSMのイオン化度は徐々に下がり、OSMの疎水度は大きくなり、これにより、粘度がやや大きくなるが、PCLAブロックの低温における低い疎水度によりゲルを形成できず、ゾル状態を保つことが認められた(図3及び図4参照)。しかしながら、体内と同じ温度及び低いpHであるA条件(37℃,pH7.4)においては、図1及び図2が両方ともゲル状態を示した。これは、温度上昇によるPCLAブロックの疎水度の増加と合わせて、低いpHにおいて未イオン化のOSMもまた疎水性ブロックの役割を果たすことにより、PCLA−OSMブロック間の強い疎水性結合により、本発明に係るブロック共重合体溶液がゲルを形成することを意味する。
上述したように、本発明のブロック共重合体は、共重合体内のスルホンアミド系オリゴマーのpHの変化によるイオン化度の変化及び生分解性高分子共重合体の温度変化による疎水性の変化により、温度に加えてpHの変化によりゾル−ゲル遷移挙動が可逆的に行われるということが確認できた。
[実験例2.安定性の評価]
本発明のブロック共重合体から得られたヒドロゲルの安定性を評価するために、下記の如き実験を行った。
実施例1に従って得られた5重ブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM,OSMMn=1144)を15℃,pH8.0に調節してゾル溶液にした後、この溶液を緩衝溶液1(37℃,pH7.4)及び緩衝溶液2(37℃,pH8.0)に注入し、以降の変化を確認した。また、前記溶液をpH7.4、37℃の条件下でゲルを形成させ、形成されたゲルに過量の緩衝溶液(pH7.4,37℃)を加え、長時間水槽(37℃)に放置した。
ブロック共重合体から得られるゾル溶液(15℃,pH8.0)を体内と同じ温度(37℃)条件やpHが相異なる緩衝溶液1及び2にそれぞれ注入した結果、緩衝溶液1(37℃,pH7.4)においてはゲルを形成しているのに対し、緩衝溶液2(37℃,pH8.0)においてはゾル溶液が緩衝溶液に溶解されることが認められた(図5参照)。これは、高温及び低いpHによりブロック共重合体内の生分解性高分子及びスルホンアミド系オリゴマーの疎水性の増加があり、これにより、ゲル化が進むことを示唆している。
また、高温及び低いpHの条件(37℃,pH7.4)においてブロック共重合体ヒドロゲルから得られたゲルは、過量の緩衝溶液(37℃,pH7.4)を加えても、2週以上ゲルが崩壊せず(図6参照)、これにより、形成されたゲルは安定していることを確認することができた。
[実験例3.ブロック共重合体のゾル−ゲル相平衡状態図の変化の評価]
本発明に係るブロック共重合体から得られたヒドロゲルにおいて、親水性−疎水性ブロックの割合、ブロック共重合体の分子量、pH敏感性ブロックの長さに応じてゾル−ゲル相平衡状態図の変化を確認した。
実施例1、実施例3、実施例4及び実施例5に従ってそれぞれ製造されたOSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM5重ブロック共重合体を用い、このとき、実施例1、実施例3及び実施例4のブロック共重合体に用いられたPEGの分子量はそれぞれ1500、1750及び2000であり、実施例1及び5のブロック共重合体中のOSMの分子量はそれぞれ1144及び937であった。
図7は、親水性高分子としてのPEGと疎水性高分子としてのPCLAの分子量比は固定し(PEG/PCLA=約1/2.1)、PEG及び全体ブロック共重合体の分子量は増加させることによる相平衡状態図である。
ブロック共重合体の全体分子量が大きくなるのにともない、ゾル−ゲル相平衡状態図は高温に向けて移動するが、ゲルを形成する領域の温度範囲の変化はほとんどないということが分かる(図7参照)。これは、親水性ブロックと疎水性ブロックの比が一定の割合を保ったまま、ブロック共重合体の長さが増大する場合、疎水性ブロック同士の引力による物理的な架橋によりゲルが形成されるためには一層疎水性が強い条件、すなわち、高温における強い疎水性の引力によりゲル化が可能であることを意味する。また、ゲルを形成する温度範囲は、主として親水性ブロックと疎水性ブロックの比により影響されるということを示唆している。
一方、低いpH範囲においては、ブロック共重合体の分子量が増えるにつれてゲルを形成する温度範囲が低くなるということが分かった(図7参照)。これは、低いpHにおいてOSMはイオン化しない状態で存在して、疎水性ブロックの役割を果たすため、PEGの分子量が増えるにつれて、親水性ブロックであるPEGと疎水性ブロックであるPCLA−OSMの比が下がる。このため、低いpHにおいては、ブロック共重合体の全体分子量が増えるにつれて、ゲルを形成する温度範囲がやや低くなるということが分かった。
図8は、pH敏感性ブロックであるOSMの分子量の変化によるゾル−ゲル相平衡状態図である。
高いpH領域において主としてイオン化した状態で存在するOSMは、分子量とは無関係に、ゾル状態で存在するということが確認できた。しかしながら、pHが低くなるにつれて、OSMはイオン化せず、疎水性ブロックの役割を果たし、特に、低いpH領域においては、OSMの分子量が増えるにつれてブロック共重合体の疎水性が高くなってゲルを形成する領域が広がるということが認められた(図8参照)。
従って、ゾル−ゲル遷移が起こる温度及びpH範囲は、ブロック共重合体の分子量及び組成比に応じて調節可能であることが確認できた。
[実験例4.温度及びpHの変化によるブロック共重合体のゾル−ゲル遷移挙動の評価]
本発明に従い得られたブロック共重合体の温度及びpHの変化によるゾル−ゲル遷移挙動の評価を行った。
実施例6及び実施例7に従って得られた3重ブロック共重合体(MPEG−PCLA−OSM,MPEG=750,OSM=1144)、実施例8及び実施例9に従って得られた5重ブロック共重合体(OSM−PCGA−PEG−PCGA−OSM,PEG=1500,OSM=1144)をそれぞれ緩衝溶液に25重量%(3重ブロック共重合体)、15重量%(5重ブロック共重合体)加えて溶かした後、HCl溶液により、それぞれpH8.2,8.0,7.8,7.6,7.4,7.2に調節した。それぞれのpHを有するブロック共重合体溶液の温度を2℃ずつ上げながら、10分間一定の温度下で平衡状態となるようにした後、各溶液を斜めにして1分間保った。このとき、溶液が流れるとゾル、流れずに形態を保つとゲルとして認め、ゾル−ゲル遷移挙動を測定した。
実験の結果、実施例6ないし9に従って得られた3重及び5重ブロック共重合体はいずれも実験例1の結果と同じゾル−ゲル遷移挙動を示していた(図9及び図10参照)。
実施例6及び実施例7に従って得られた3重ブロック共重合体(MPEG−PCLA−OSM)の場合、OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM5重ブロック共重合体よりも一層高濃度においてゲルを形成することが認められるが(図9参照)、これは、ゲルを形成するメカニズムの相違によるものである。両末端に疎水性ブロックよりなるOSM−PCLA−PEG−PCLA−OSMは、ブロック共重合体により形成されたマイセル間の相互連結によりゲル化が進むのに対し、MPEG−PCLA−OSMは、ブロック共重合体により形成されたマイセルの積層によりゲルを形成する。このため、ゲルの形成時に要されるマイセルの高濃度により、ヒドロゲルもまた高濃度において形成されるということを意味する。
また、実施例8及び実施例9に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCGA−PEG−PCGA−OSM)の場合、親水性ブロックと疎水性ブロックの組成比が実施例1のブロック共重合体に比べて一層高い組成比でゲルを形成することが分かった(図10参照)。これは、ラクチド(LA)に比べてグリコリド(GA)の低い疎水度によるものであると認められる。
以上、説明したように、本発明に係るブロック共重合体は、温度に加えてpHに敏感なゾル−ゲル遷移挙動を示すことにより、温度敏感性の共重合体の欠点を補うだけではなく、適度な温度とpHにおいて一層安定したタイプのヒドロゲルを形成することができ、且つ、体内における安定性の問題まで同時に解決することができることから、医療用、薬物伝達分野において各種の用途に活用可能である。
図1は、実施例1に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)をゲル浸透クロマトグラフィ(GPC:Gel Permeation Chromatography)により分析したグラフである。 図2は、実施例1に従って得られたブロック共重合体(PCLA−PEG−PCLA)をH−NMRにより分析したグラフである。 図3は、実施例1及び実施例2に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)の温度及びpH変化によるゾル−ゲル遷移挙動を示すグラフである。 図4は、実施例1及び2に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)のゾル−ゲル遷移メカニズムを示す概略図である。 図5は、実施例1に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)ヒドロゲルを注射可能なゾル状態でそれぞれ緩衝溶液1(pH=7.4、37℃)及び緩衝溶液2(37℃,pH=8.0)に注射(注入)した後、緩衝溶液1においてはゲルを形成し、緩衝溶液2においては溶解されることを示す写真である。 図6は、実施例1に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)から得られるヒドロゲルの安定性を示す写真である。 図7は、実施例1、実施例3及び実施例4に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)の分子量の変化によるゾル−ゲル相平衡状態図の変化を示すグラフである。 図8は、実施例1及び実施例5に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCLA−PEG−PCLA−OSM)のスルホンアミド系オリゴマーの分子量の変化によるゾル−ゲル相平衡状態図の変化を示すグラフである。 図9は、実施例6及び実施例7に従って得られたブロック共重合体(MPEG−PCLA−OSM)を用い、温度及びpH変化によるゾル−ゲル遷移挙動を示すグラフである。 図10は、実施例8及び実施例9に従って得られたブロック共重合体(OSM−PCGA−PEG−PCGA−OSM)を用い、温度及びpH変化によるゾル−ゲル遷移挙動を示すグラフである。

Claims (13)

  1. (a)ポリエチレングリコール(PEG)系化合物と生分解性高分子との共重合体と、
    (b)スルホンアミド系オリゴマーと、
    をカップリングさせて得られるブロック共重合体であって、
    温度及びpHの両方に敏感性の可逆的なゾル−ゲル遷移を示し、7.0〜7.4の範囲のpHでゾル−ゲル遷移によってヒドロゲルを形成し、7.4より高いpHでゾル状態を維持する、ブロック共重合体であり、
    7.4より高いpHでゾル状態のブロック共重合体を、注入を介した徐放性の薬物伝達系において使用することができ
    PEG系化合物の生分解性高分子との数平均分子量比は、1:1〜3であり、
    前記生分解性高分子は、カプロラクトン、グリコリド及びラクチドよりなる群から選ばれた1種以上のものであり、
    前記スルホンアミド系オリゴマーは、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファセットアミド、スルフィソミジン、スルファフェナゾール、スルファメトキサゾール、スルファジアジン、スルファメトキシジアジン、スルファメトキシピリダジン、スルファドキシン、スルファピリジン、スルファベンズアミド及びスルフィソキサゾールよりなる群から選ばれた1種以上のスルホンアミド系化合物から得られたものである、
    ブロック共重合体。
  2. 前記ポリエチレングリコール系化合物は、下記式Iで表される化合物である、請求項1に記載のブロック共重合体:
    式中、Rは水素または炭素数1ないし5のアルキル基であり、nは11ないし45の範囲の自然数である。
  3. 前記ポリエチレングリコール系化合物の数平均分子量は、500ないし2000の範囲である、請求項1に記載のブロック共重合体。
  4. 前記ポリエチレングリコール系化合物と生分解性高分子との共重合体は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン−ラクチド)ランダム共重合体(PCLA)、ポリ(カプロラクトン−グリコリド)ランダム共重合体(PCGA)及びポリ(ラクチド−グリコリド)ランダム共重合体(PLGA)よりなる群から選ばれた1種以上のものである、請求項1に記載のブロック共重合体。
  5. 前記スルホンアミド系オリゴマーは、末端部にヒドロキシ基及びカルボキシル基よりなる群から選ばれた親水性官能基を含むものである、請求項1に記載のブロック共重合体。
  6. 前記スルホンアミド系オリゴマーの数平均分子量は、500ないし2000の範囲である、請求項1に記載のブロック共重合体。
  7. 前記ブロック共重合体は、3重ブロック以上のものである、請求項1に記載のブロック共重合体。
  8. 前記ブロック共重合体は、3重ブロックあるいは5重ブロックのものである、請求項に記載のブロック共重合体。
  9. 前記ブロック共重合体は、下記式2で表されるものである、請求項1に記載のブロック共重合体。
  10. 前記ブロック共重合体は、下記式3で表されるものである、請求項1に記載のブロック共重合体。
  11. 前記ブロック共重合体は、下記式4で表されるものである、請求項1に記載のブロック共重合体。
  12. 請求項1ないし11のいずれか一項に記載のブロック共重合体を含むヒドロゲル組成物。
  13. 請求項12に記載のヒドロゲル組成物から得られるヒドロゲル。
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