JP5050743B2 - ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関する。
インクジェットプリンタは、記録時の騒音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、インクの自由度が高く安価な普通紙を使用することができることなど多くの利点を有している。この中でも記録が必要なときにのみインク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン・デマンド方式が、記録に不要なインク液滴の回収を必要としないため、現在主流となってきている。このインク・オン・デマンド方式のインクジェットヘッドを備えたプリンタには、インクを吐出させる方法として、駆動手段に静電気力を利用したインクジェットヘッドを備えたプリンタや、圧電振動子や、発熱素子等を用いたインクジェットヘッドを備えたプリンタがある。
ノズルの先端部からインク液滴を吐出させるインクジェットヘッドにおいては、ノズル孔部での流路抵抗を調整し、最適なノズル長さになるように基板の厚みを調整することが望ましい。このようなノズル基板を作製する場合、シリコン基板の接合面側からICP放電を用いた異方性ドライエッチングにより内径の異なる第1の溝と第2の溝を2段に形成した後、接合面とは反対側の吐出面より一部分を異方性ウェットエッチングして掘下げ、ノズル長を調整する方法がとられている(例えば、特許文献1参照)。
また、予めシリコン基材を所望の厚みに研磨した後、シリコン基板の両面にそれぞれドライエッチング加工を施して、第1のノズル孔及び第2のノズル孔を形成する方法もとられている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−28820号公報(第3頁−第5頁、図2−図5) 特開平9−57981号公報(第2頁−第3頁、図1−図2)
特許文献1、2に記載されたいずれの技術においても、ノズル長の調整は可能であるものの、形成されたノズルの形状は段つき形状となる。このため、液滴の流れに抵抗が生じやすくなり、液滴がスムーズに流れにくくなる。また、段の角部に液滴のよどみが生じ易くなったり、あるいは空洞ができて液滴の流れを妨げたりすることもある。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ノズル長を適切に調整でき、そのうえ液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性を向上させることができるノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
本発明に係るノズル基板の製造方法は、シリコン基材の表面に、酸化膜を形成し、酸化膜をエッチングして、ノズル孔を形成するノズル基板の製造方法であって、シリコン基材側に向かってエッチングレートが遅くなる組成の酸化膜を成膜する工程と、酸化膜上に、第1のノズル孔部に相当する部位を除いた部分にレジストを塗布し、レジストが塗布されていなかった部位より酸化膜をウエットエッチングしてシリコン基材側に縮径していく略截頭円錐状の第1のノズル孔部を形成する工程と、シリコン基材を酸化膜に設けた第1のノズル孔部の縮径側よりドライエッチングして略円筒状の第2のノズル孔部を形成する工程と、酸化膜を設けた反対側の面よりシリコン基材を研削して第2のノズル孔部を貫通させる工程と、酸化膜に形成した第1のノズル孔部とシリコン基材に形成した第2のノズル孔部とによってノズル孔を形成する工程とを含むものである。
シリコン基材の表面より面の垂直方向にエッチングレートが変化していく組成の酸化膜を成膜するので、酸化膜をウエットエッチングする際、エッチングレートに差が出て、酸化膜にテーパ状の第1のノズル孔部が形成される。酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材にドライエッチングによって形成された略円筒状の第2のノズル孔部と連通して、ノズル孔を形成する。このノズル孔は、従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させる。また、酸化膜の組成を任意に変えることができるため、テーパ形状に変化を持たせることもでき、液滴の成分に応じて、所望のテーパ形状を簡単に作り出すことができる。さらに、酸化膜を設けた反対側の面よりシリコン基材を研削して第2のノズル孔部を貫通させるので、この際の研削量によってノズル長を適切に調整することができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜は、単層の酸化膜であり、シリコン基材側に向かって連続的にエッチングレートが遅くなるような組成配分となるように組成配分を変化させて構成したものである。
シリコン基材の表面より面の垂直方向に組成が連続的に変化する酸化膜が成膜され、シリコン基材側のエッチングレートが遅く、シリコン基材から離れるにしたがってエッチングレートが早くなるので、シリコン基材から離れるにしたがって酸化膜に形成されたノズル径が大きくなる。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜は、複数の組成の異なる酸化膜が多層に形成された構成からなる酸化膜であり、酸化膜の各層のエッチングレートがシリコン基材側に向かって段階的に遅くなるように構成したものである。
シリコン基材の表面より面の垂直方向に組成が段階的に変化する酸化膜が多層形成され、シリコン基材側に位置する層のエッチングレートが遅く、シリコン基材から離れるにつれて層のエッチングレートが早くなるので、シリコン基材から離れるにしたがって酸化膜に形成された層のノズル径が大きくなる。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜の成膜時において、ガス比、温度、圧力、プラズマパワー及びガスを少なくとも1つ変化させて、酸化膜の膜質、膜組成を変化させるものである。
ガス比、温度、圧力、プラズマパワー、ガスを個別に変化させ、あるいは任意に組み合わせて変化させることによって、シリコン基材側からエッチングレートの遅い組成の膜を形成し、シリコン基材から離れるにしたがってエッチングレートの早い組成の膜を形成していく。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜の成膜時において、ガスはモノシランガス、酸素、ホスフィン、ヘリウムからなり、モノシランガス、酸素、ホスフィンを反応性ガスとし、ヘリウムをキャリアガスとして、酸化膜の膜質、膜組成を変化させるものである。
モノシランガス、酸素、ホスフィンを反応性ガスとし、ヘリウムをキャリアガスとして流すことによって、シリコン基材側からエッチングレートの遅い組成の膜を形成し、シリコン基材から離れるにしたがってエッチングレートの早い組成の膜を形成していくことが可能になる。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜の成膜時において、モノシランガス、酸素、ヘリウムの流量を固定パラメータとし、ホスフィンの流量を変化パラメータとして、酸化膜の膜質、膜組成を変化させるものである。
モノシランガス、酸素、ホスフィンを反応性ガスとし、ヘリウムをキャリアガスとして流し、モノシランガス、酸素、ヘリウムの流量を固定パラメータとし、ホスフィンの流量を変化パラメータとして流すことによって、シリコン基材から離れるにしたがってPH3 組成が多くエッチングレートの早い膜を形成していくことができる。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜の成膜時において、モノシランガス、酸素、ヘリウムの流量をそれぞれ500sccm、100sccm、1SLMとした固定パラメータとし、ホスフィンを流量が0sccm〜100sccmの間で連続的もしくは段階的に変化させて変化パラメータとしたものである。
モノシランガス、酸素、ホスフィンを反応性ガスとし、ヘリウムをキャリアガスとして流し、モノシランガス、酸素、ヘリウムの流量をそれぞれ500sccm、100sccm、1SLMとした固定パラメータとし、ホスフィンの流量を0sccm〜100sccmの間で連続的もしくは段階的に変化させて変化パラメータとして流すことによって、シリコン基材から離れるにしたがってPH3 組成が多くエッチングレートの早い膜を形成していくことができる。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜の成膜時において、成膜温度を370℃〜300℃の範囲で連続的もしくは段階的に変化させるものである。
酸化膜の成膜時において、成膜温度を370℃〜300℃の範囲で連続的もしくは段階的に変化させることによって、シリコン基材側からエッチングレートの遅い組成の膜を形成し、シリコン基材から離れるにしたがってエッチングレートの早い組成の膜を形成していくことができる。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜の成膜時において、成膜中の圧力を1.0Torr〜3.0Torrの範囲で連続的もしくは段階的に変化させるものである。
酸化膜の成膜時において、成膜中の圧力(リアクター内の真空度)を1.0Torr〜3.0Torrの範囲で連続的もしくは段階的に変化させることによって、シリコン基材側からエッチングレートの遅い組成の膜を形成し、シリコン基材から離れるにしたがってエッチングレートの早い組成の膜を形成していくことができる。こうして酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔はテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜を減圧CVD法によってシリコン基材上に成膜するものである。
減圧CVD法により酸化膜をシリコン基材上に成膜するので、成膜が容易かつ確実である。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜の膜厚が30μ以下である。
酸化膜の膜厚が30μ以下であるため、酸化膜応力によってシリコン基板に反りが生じることがない。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、酸化膜上にフォトリソ技術によってレジストを塗布し、該レジストに開口部を設けるものである。
酸化膜を形成したあと、フォトリソ技術により容易かつ正確にパターニングをおこなって、レジスト開口部を形成することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、シリコン基材の表面に、酸化膜を形成し、酸化膜をエッチングして、ノズル孔を形成するノズル基板の製造方法を用いた液滴吐出ヘッドの製造方法であって、シリコン基材側に向かってエッチングレートが遅くなる組成の酸化膜を成膜する工程と、酸化膜上に、第1のノズル孔部に相当する部位を除いた部分にレジストを塗布し、レジストが塗布されていなかった部位より酸化膜をウエットエッチングしてシリコン基材側に縮径していく略截頭円錐状の第1のノズル孔部を形成する工程と、シリコン基材を酸化膜に設けた第1のノズル孔部の縮径側よりドライエッチングして略円筒状の第2のノズル孔部を形成する工程と、酸化膜を設けた反対側の面よりシリコン基材を研削して第2のノズル孔部を貫通させる工程と、酸化膜に形成した第1のノズル孔部とシリコン基材に形成した第2のノズル孔部とによってノズル孔を形成する工程とを含んでノズル基板を製造する方法を用いて液滴吐出ヘッドを製造するものである。
上記の方法によって製造された液滴吐出ヘッドは、ノズル基板のノズル孔がテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、シリコン基材の表面に、酸化膜を形成し、酸化膜をエッチングして、ノズル孔を形成してノズル基板を製造し液滴吐出ヘッドを製造することにより液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法であって、シリコン基材側に向かってエッチングレートが遅くなる組成の酸化膜を成膜する工程と、酸化膜上に、第1のノズル孔部に相当する部位を除いた部分にレジストを塗布し、レジストが塗布されていなかった部位より酸化膜をウエットエッチングしてシリコン基材側に縮径していく略截頭円錐状の第1のノズル孔部を形成する工程と、シリコン基材を酸化膜に設けた第1のノズル孔部の縮径側よりドライエッチングして略円筒状の第2のノズル孔部を形成する工程と、酸化膜を設けた反対側の面よりシリコン基材を研削して第2のノズル孔部を貫通させる工程と、酸化膜に形成した第1のノズル孔部とシリコン基材に形成した第2のノズル孔部とによってノズル孔を形成する工程とを含んでノズル基板を製造し液滴吐出ヘッドを製造することにより液滴吐出装置を製造するものである。
上記の方法によって製造された液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドのノズル基板のノズル孔がテーパ部を有するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させることができる。
本発明に係るノズル基板は、大径側が略截頭円錐状の第1のノズル孔部と、小径側が略円筒状の第2のノズル孔部とからなり、第1のノズル孔部の縮径側端部が第2のノズル孔部の端部と連通してなるノズル孔を備え、酸化膜とシリコン基材により2層に構成されたノズル基板であって、第1のノズル孔部が酸化膜に形成され、第2のノズル孔部がシリコン基材に形成されたものである。
酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔は、従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有して連通するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、大径側が略截頭円錐状の第1のノズル孔部と、小径側が略円筒状の第2のノズル孔部とからなり、第1のノズル孔部の縮径側端部が第2のノズル孔部の端部と連通してなるノズル孔を備え、酸化膜とシリコン基材により2層に構成されたノズル基板であって、第1のノズル孔部が酸化膜に形成され、第2のノズル孔部がシリコン基材に形成されたノズル基板を備えたものである。
酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともにノズル孔を形成する。このノズル孔は、従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有して連通するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させる。
本発明に係る液滴吐出装置は、大径側が略截頭円錐状の第1のノズル孔部と、小径側が略円筒状の第2のノズル孔部とからなり、第1のノズル孔部の縮径側端部が第2のノズル孔部の端部と連通してなるノズル孔を備え、酸化膜とシリコン基材により2層に構成されたノズル基板であって、第1のノズル孔部が酸化膜に形成され、第2のノズル孔部がシリコン基材に形成されたノズル基板を有する液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
酸化膜に形成された略截頭円錐状の第1のノズル孔部は、シリコン基材に形成された略円筒状の第2のノズル孔部とともに、ノズル孔を形成する。このノズル孔は、従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有して連通するため、液滴がスムーズに流れて液滴のよどみが生じることがなく、液滴の吐出性能を向上させる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の分解斜視図、図2は図1を組み立てた状態の要部の縦断面図、図3は図2のノズル孔近傍を拡大した縦断面図である。図において、インクジェットヘッド10は、複数のノズル孔11が所定の間隔で設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2の振動板22に対峙して個別電極31が設けられた電極基板3とを貼り合わせて構成したものである。
ノズル基板1は、シリコン基材100とこのシリコン基材100の表面(図の下面側)に設けた酸化膜101とから作製されている。インク滴を吐出するためのノズル孔11は、大径側(図の下側)が略截頭円錐状をなし、小径側(図の上側)が略円筒状をなして、2段構成によって連通している。小径側の略円筒状をなす部分はシリコン基材100側に形成されており、大径側の略截頭円錐状をなす部分はシリコン基材100の表面に形成された酸化膜101側に形成されている。
より詳しくは、図3に示すように、ノズル孔11は、径の異なる連通した2段構成のものであって、シリコン基材100と酸化膜101との接触面1cよりシリコン基材100の液滴吐出面1b側に至るシリコン基材100部分に位置して、インク滴の吐出口部分が液滴吐出面1bに開口する略円筒状の径の小さい第2のノズル孔部110bと、接触面1cよりキャビティ基板2の接合面1a側に至る酸化膜101部分に位置し、インク滴の導入口部分が接合面1aに略截頭円錐状(縮径側の径が第2のノズル孔部110bの径と同径で第2のノズル孔部110bと連通する)に拡径して開口する第1のノズル孔部110aとから構成されており、ノズル基板面に対して垂直にかつ同軸上に設けられている。
そして、インク滴は、ノズル孔11内を、ノズル基板1がキャビティ基板2と接合する接合面1a側から、その反対側に位置する液滴吐出面1b側に吐出される。
キャビティ基板2はシリコン基材から作製されており、吐出凹部210、オリフィス凹部230およびリザーバ凹部240が形成されている。そして、オリフィス凹部230(オリフィス23)を介して吐出凹部210(吐出室21)とリザーバ凹部240(リザーバ24)とが連通している。リザーバ24は各吐出室21に共通の共通インク室を構成し、それぞれオリフィス23を介してそれぞれの吐出室21に連通している。リザーバ24の底部には後述する電極基板3を貫通するインク供給孔25が形成され、このインク供給孔25を通じて、図示しないインクカートリッジからインクが供給される。また、吐出室21の底壁は振動板22となっている。なお、キャビティ基板2の全面もしくは少なくとも電極基板3との対向面には、熱酸化やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )よりなる絶縁性のSiO2 膜26が施されている。この絶縁膜26は、インクジェットヘッド10を駆動させたときに、絶縁破壊やショートを防止する。
電極基板3はガラス基材から作製されている。電極基板3には、キャビティ基板2の各振動板22に対向する位置にそれぞれ凹部310が設けられている。そして、各凹部310内には、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極31がスパッタにより形成されている。
個別電極31は、リード部31aと、フレキシブル配線基板(図示せず)に接続される端子部31bとを備えている。端子部31bは、配線のためにキャビティ基板2の末端部が開口された電極取り出し部311内に露出している。そして、ICドライバ等の駆動制御回路40を介して、各個別電極31の端子部31bとキャビティ基板2上の共通電極27とが接続されている。
次に、上記のように構成したインクジェットヘッド10の動作を説明する。駆動制御回路40を駆動し、個別電極31に電荷を供給してこれを正に帯電させると、振動板22は負に帯電し、個別電極31と振動板22の間に静電気力が発生する。この静電気力によって、振動板22は個別電極31に引き寄せられて撓む。これによって、吐出室21の容積が増大する。個別電極31への電荷の供給を止めると、振動板22はその弾性力により元に戻り、その際、吐出室21の容積が急激に減少して、そのときの圧力により吐出室21内のインクの一部がインク滴としてノズル孔11より吐出する。振動板22が次に同様に変位すると、インクがリザーバ24からオリフィス23を通って吐出室21内に補給される。
上記のように構成したインクジェットヘッド10の製造方法について、図4〜図10を用いて説明する。図4は本発明の実施の形態1に係るノズル基板1を示す上面図、図5〜図7はノズル基板1の製造工程を示す断面図(図4をA−A線で切断した断面図)、図8、図9はキャビティ基板2と電極基板3との接合工程を示す断面図、図10はキャビティ基板2と電極基板3との接合基板にノズル基板1を接合してインクジェットヘッド10を製造する製造工程を示す断面図である。
まず、大径側が略截頭円錐状をなし小径側が円筒状をなして連通する2段形状のノズル孔11を備えたノズル基板1の製造工程を、図5〜図7を用いて説明する。
(a) 図5(a)に示すように、シリコン基材(Si基材)100を製造する。
(b) 図5(b)に示すように、キャビティ基板2と接合する側のシリコン基材100の表面(図の上側、接触面1c側)に、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition )法で酸化膜101を成膜する。この場合、酸化膜101は、その膜質のエッチングレートが、上面側(接合面1a側)よりシリコン基材側(接触面1c側)に向かうにしたがって連続的に遅くなるように、酸化膜成膜中にパラメータを連続的に変化させて形成する。すなわち、シリコン基材100側からエッチングレートの遅い組成の膜を形成し始めて、徐々にエッチングレートの早い組成の膜を、その組成がリニアに変化するようにして形成していく。
変化させるパラメータは、ガス比、温度、圧力(真空度)、プラズマパワー、ガス等であり、これらを酸化膜101の処理中に、個別に変化させまたは組み合わせて変化させることにより膜質を制御し、これにより酸化膜101の膜質、膜組成を連続的に(リニアに)変化させる。
例えば、減圧CVD法で酸化膜101を形成するときは、SiH4 (モノシランガス)、O2 (酸素)、PH3 (ホスフィン)、He(ヘリウム)よりなるガスを使用する。この際、SiH4 、O2 、PH3 は反応性ガスとして使用し、Heはキャリアガスとして使用する。そして、これらのガスのうち、SiH4 、O2 、Heを固定パラメータとし、PH3 を変化パラメータとする。
図5(a)で製造したシリコン基材100をリアクター内に入れ、シリコン基材100の表面(図の上部)に、Heをキャリアガスとし、SiH4 (流量は500sccm)、O2 (流量は100sccm)、He(流量は1SLM)を、流量を一定状態にしたままで流し、さらにPH3 の流量を0sccmから100sccmに連続的に(リニアに)変化させて流す。この際の、成膜温度(℃)、成膜中圧力(リアクタ−内の真空度)(Torr)は一定とする。
こうすると、図5(b)に示すように、シリコン基材100の表面より面の垂直方向にPH3 組成が連続的に変化する酸化膜(この場合、シリコン基材100表面、すなわち接触面1cのPH3 の含量は0)が形成され、成膜中のPH3 の含量が高い側(図の上側、すなわち接合面1a側)でエッチングレートが早く、含量が少なくなるにつれて(図の下側に行くほど、すなわち接触面1cに近づくほど)エッチングレートが遅くなる。
上記の場合は、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を一定にして、PH3 の流量(sccm)を連続的に変化させていく場合について示したが、PH3 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を一定にした状態で、成膜温度(℃)をシリコン基材100の表面側より連続的に変化させていくこともできる。
例えば、成膜温度(℃)を370℃〜300℃まで連続的に変化させると、成膜中の温度が低い側(図の上側)でエッチングレートの早い酸化膜101が形成される。
また、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を一定にした状態で、成膜中圧力(Torr)をシリコン基材100の表面側より連続的に変化させていくこともできる。温度を変化させない場合は、成膜温度を例えば350℃とし、成膜中圧力を、例えば1.0Torr〜3.0Torrまで連続的に変化させると(APC等でコントロールする)、成膜中圧力が高い側(真空度が悪い側であって、図の上側)でエッチングレートの早い酸化膜101が形成される。
上記それぞれの場合は、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のいずれか1つのパラメータを個別に変化させ、他の2つのパラメータを変化させていない場合を示したが、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のパラメータの変化を任意に組み合わせて、酸化膜101の膜質、膜組成を連続的に(リニアに)変化させることも可能である。
例えば、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を変化させて、成膜中圧力(Torr)を一定にすることもでき、また、PH3 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、成膜温度(℃)を一定にすることもでき、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、PH3 の流量(sccm)を一定にすることもでき、さらには、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のすべてを変化させることもできる。
上記の説明では、PH3 を使用して酸化膜101を形成する場合を示したが、PH3 を使用しなくても、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させるだけであっても、エッチングレートの違う酸化膜101を形成することができる。
なお、酸化膜101の膜厚はできるだけ厚いほうが望ましいが、ノズル基板1が酸化膜101の応力により反りが生じる場合があるため、最大膜厚として30μを目安に形成する。
(c) 酸化膜101を形成したのち、図6(c)に示すように、酸化膜101の上側(図の上側)に、フォトレジスト102を塗布する。その後、フォトレジスト102を焼き固める。
(d) 図6(d)に示すように、フォトリソ技術により、フォトレジスト102のアライメント露光、及び現像を行う。すなわち、フォトマスク(図示せず)を使用して紫外線によりフォトレジスト102を露光し、フォトレジスト102のパターニングを行い、開口部102aを形成する。
(e) 図7(e)に示すように、形成した酸化膜101を、フォトレジスト102の開口部102aからウエットエッチングして、酸化膜101の一部を開口する。このとき、エッチングされる酸化膜101に組成差があるため、すなわち、酸化膜101の膜質のエッチングレートが、酸化膜101の上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって連続的に遅くなるように組成をリニアに変化させてあるため、酸化膜101のエッチング時においてエッチングレートに差が生じ、酸化膜101の上面側(接合面1a側)はシリコン基材100側(接触面1c側)よりも大きな径の孔が形成される。そして、酸化膜101の表面よりシリコン基材100側に向かって連続的に縮径されたテーパ部を有する第1のノズル孔部110aが形成される。
(f) 図7(f)に示すように、シリコン基材100の部分をフォトレジスト102の開口部102a側よりドライエッチングにより、垂直性の高い方法でエッチングし、第2のノズル孔部110bを形成する。先の工程図7(e)において、酸化膜101に第1のノズル孔部110aを形成したので、この酸化膜101をマスクにしてシリコン基材100をドライエッチングして加工することが可能である。
(g) 図7(g)に示すように、フォトレジスト102を薬品を用いて除去する。
(h) 図7(h)(図5(a)〜図7(g)までの上下方向を逆にした図)に示すように、シリコン基材100を酸化膜101の形成していない側から研削することで、第2のノズル孔部110bを貫通させる。
こうして、酸化膜101に形成した略截頭円錐状の第1のノズル孔部110aと、シリコン基材100に形成した略円筒状の第2のノズル孔部110bとによって、テーパ部を備えたノズル孔11が形成される。
上記の工程を経て、シリコン基材100と酸化膜101とからノズル基板1を製造する。
次に、キャビティ基板2及び電極基板3の接合工程を、図8、図9を用いて説明する。なお、キャビティ基板2及び電極基板3の接合工程は、図8、図9に示されるものに限定されるものではない。
(a) まず、図8(a)に示すように、ホウ珪酸ガラス等からなるガラス基材300を、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用して、フッ酸によってエッチングすることにより、凹部310を形成する。なお、この凹部310は電極31の形状より少し大きい溝状のものであって、複数形成する。そして、凹部310の内部に、スパッタによってITO(Indium Tin Oxide)からなる電極31を形成する。その後、サンドブラスト加工等によってインク供給孔25となる孔部25aを貫通形成する。
(b) 次に、シリコン基材200の両面を鏡面研磨した後に、図8(b)に示すように、シリコン基材200の片面にプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )によってTEOS(TetraEthylOrthosilicate )からなるシリコン酸化膜201を形成する。
(c) 次に、図8(c)に示すように、図8(b)に示すシリコン基材200と、図8(a)に示すガラス基材300を例えば360℃に加熱し、シリコン基材200に陽極、ガラス基材300に陰極を接続して、800V程度の電圧を印加して陽極接合を行う。
(d) シリコン基材200とガラス基材300を陽極接合した後に、水酸化カリウム水溶液等で図8(c)の工程で得られた接合基板をエッチングすることにより、図8(d)に示すように、シリコン基材200の全体を薄板化する。
(e) 次に、シリコン基材200の上面(ガラス基材300が接合されている面と反対側に位置する面)の全面に、プラズマCVDによってTEOS膜を形成する。そしてこのTEOS膜に、吐出室21となる凹部210、リザーバ24となる凹部240及びオリフィス23となる凹部230となる部分を形成するためのレジストをパターニングし、この部分のTEOS膜をエッチングして除去する。その後、図9(e)に示すように、シリコン基材200を水酸化カリウム水溶液等でエッチングすることにより、吐出室21となる凹部210、リザーバ24となる凹部240及びオリフィス23となる凹部230を形成する。このとき、電極取出し部41となる部分41aもエッチングして薄板化しておく。なお、図9(e)の工程では、初めに35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、その後、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。これにより、振動板22の面荒れを抑制することができる。
(f) シリコン基材200のエッチングが終了した後に、接合基板をフッ酸水溶液でエッチングして、図9(f)に示すように、シリコン基材200に形成されたTEOS膜を除去する。
(g) 次に、シリコン基材200の吐出室21となる凹部210等が形成された面に、図9(g)に示すように、CVDによってTEOS等からなる液滴保護膜202を形成する。
(h) 次に、図9(h)に示すように、RIE(Reactive Ion Etching)等によって電極取出し部41を開放する。また、シリコン基材200に機械加工又はレーザー加工を行って、インク供給孔25をリザーバ24となる凹部240において貫通させる。これによって、キャビティ基板2と電極基板3が接合された接合基板が完成する。
なお、電極取出し部41に、振動板22と電極31の間の空間を封止するための封止剤(図示せず)を塗布するようにしてもよい。
次に、ノズル基板1、キャビティ基板2及び電極基板3の接合工程を、図10を用いて説明する。
図10に示すように、ノズル基板1の接合面1aに接着剤層を形成し、電極基板3が接合されたキャビティ基板2と、ノズル基板1とを接合する。
以上の製造工程を経ることにより、ノズル基板1、キャビティ基板2及び電極基板3の接合体が完成する。
最後に、ノズル基板1、キャビティ基板2、電極基板3が接合された接合基板をダイシング(切断)により分離して、インクジェットヘッド10が完成する。
実施の形態1によれば、ノズル基板1に形成したノズル形状は従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有するので、ノズル孔11の液滴の流れに抵抗が生じにくく、従来のように角部に淀み、空洞が生じて液滴の流れを妨げることもなく、液滴がスムーズに流れて液滴の吐出性が向上する。また、酸化膜101の組成は任意に変えることが可能であるため、テーパ形状に変化を持たせることもでき、液滴の成分に応じて、所望のテーパ形状を簡単に作り出すことが可能である。
実施形態2.
図11は本発明の実施の形態2に係る液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の縦断面図である。また、図12〜図14はノズル基板1の製造工程を示す断面図である。
実施の形態2におけるノズル孔11は実施の形態1で示したノズル孔11と同様に、シリコン基材100と酸化膜101aとから作製されたノズル基板1に形成されており、小径側の円筒状をなす第2のノズル孔部110bはシリコン基材100に形成されており、大径側の略截頭円錐状をなす第1のノズル孔部110aは酸化膜101aに形成されて、連続した2段形状を構成している。また、実施の形態1と同様に、酸化膜101aのシリコン基材100側に位置する層の膜質はエッチングレートが遅い性質を有し、表面側すなわちシリコン基材100と反対側に位置する層の膜質はエッチングレートが早い性質を有している。
しかしながら、実施の形態1で示した酸化膜101は組成をリニアに変化させて形成していくのに対して、実施の形態2で示す酸化膜101aは組成ごとにレイヤーを分けて多層形成していく。
その他のインクジェットヘッド10の構成は、図1、図2で示した場合と同様なので、説明を省略する。
次に、2段形状のノズル孔11を備えたノズル基板1の製造工程を、図12〜図14を用いて説明する。
(a) 図12(a)に示すように、シリコン基材(Si基材)100を製造する。
(b) 図12(b)に示すように、キャビティ基板2と接合する側のシリコン基材100の表面(図の上側)に、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition )法で酸化膜101aを形成する。この場合、酸化膜101aは、その膜質のエッチングレートが、上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって段階的に遅くなる(シリコン基材100側より上面側に向かうにしたがって段階的に早くなる)ように、酸化膜成膜中にパラメータを段階的に変化させて形成していく。すなわち、多層形成した酸化膜101aのそれぞれの層を細かくレイヤーを分けて形成し、各層ごとに組成差を生み出すようにしていく。
変化させるパラメータは、ガス比、温度、圧力(真空度)、プラズマパワー、ガス等であり、これらを酸化膜101aの処理中に、各層ごとに個別に変化させることにより、または組み合わせて変化させることにより膜質を制御し、これにより各層の酸化膜101aの膜質、膜組成を変化させることが可能となり、組成の違う多層の膜が段階的に形成されていく。
例えば、減圧CVD法で酸化膜101aを形成するときは、SiH4 (モノシランガス)、O2 (酸素)、PH3 (ホスフィン)、He(ヘリウム)よりなるガスを使用する。この際、SiH4 、O2 、PH3 は反応性ガスとし、Heはキャリアガスとする。そして、これらのガスのうち、SiH4 、O2 、Heを固定パラメータとし、PH3 を変化パラメータとする。
図12(a)で製造したシリコン基材100をリアクター内に入れ、シリコン基材100の表面(図の上部)に、Heをキャリアガスとして、SiH4 (流量は500sccm)、O2 (流量は100sccm)、He(流量は1SLM)を、流量を一定状態にしたままで流し、PH3 の流量を0sccmから100sccmの間で段階的に変化させて(例えば、シリコン基材100側に最も近い第1の層の製造にあたってはPH3 の流量が0sccm、次の第2の層の製造にあたってはPH3 の流量が10sccm、次の第3の層の製造にあたってはPH3 の流量が20sccm・・・というように段階的にPH3 の流量を変化させて)流す。この際の、成膜温度(℃)、成膜中圧力(リアクタ−内の真空度)(Torr)は一定とする。
こうすると、図12(b)に示すように、シリコン基材100の表面より面の垂直方向にPH3 組成が段階的に変化する(段階的に増加する)酸化膜101aが形成され、成膜中のPH3 の含量が高い側(図の上側)の層でエッチングレートが早くなり、含量が少なくなる側(図の下側)の層ほどエッチングレートが遅くなる。
上記の場合は、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を一定にして、PH3 の流量(sccm)を各層の形成ごとに段階的に増加させていく場合について示したが、PH3 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を一定にした状態で、成膜温度(℃)をシリコン基材100の表面側より各層の形成ごとに段階的に変化させていくこともできる。例えば、成膜温度(℃)を370℃〜300℃の間で段階的に変化させていくと、成膜中の温度が低い側(図の上側)の層ほど、エッチングレートが早くなる。
また、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を一定にした状態で、成膜中圧力(Torr)をシリコン基材100の表面側より各層形成ごとに段階的に変化させていくこともできる。温度を変化させない場合は、成膜温度を例えば350℃とし、成膜中圧力(Torr)を、例えば、1.0Torr〜3.0Torrの間で段階的に変化させていく(この圧力変化はAPC等でコントロールする、例えば、シリコン基材100側に最も近い第1の層の製造にあたっては成膜中圧力が1.0Torr、次の第2の層の製造にあたっては1.3Torr、次の第3の層の製造にあたっては1.6Torr・・・というように段階的に増加させる)。こうすると、成膜中圧力が高い側(真空度が悪い側であって、図の上側)の層ほど、エッチングレートが早くなる。
上記それぞれの場合は、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のいずれか1つのパラメータを個別に変化させ、他の2つのパラメータを変化させていない場合を示したが、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のパラメータの変化を任意に組み合わせて、酸化膜101aの膜質、膜組成を段階的に変化させることも可能である。
例えば、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を変化させて、成膜中圧力(Torr)を一定にすることもでき、また、PH3 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、成膜温度(℃)を一定にすることもでき、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、PH3 の流量(sccm)を一定にすることもでき、さらには、PH3 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のすべてを変化させることもできる。
上記の説明ではPH3 を使用して酸化膜101aを形成する場合を示したが、PH3 を使用しなくても、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させるだけで、エッチングレートが段階的に異なる酸化膜101aを多層形成することができる。
なお、酸化膜101aの膜厚はできるだけ厚いほうが望ましいが、ノズル基板1が酸化膜101aの応力によって反りが生じる場合があるため、反りが生じない程度の膜厚として、多層膜の総膜厚は、最大30μとした。
(c) 酸化膜101aを形成したのち、図13(c)に示すように、酸化膜101aの上側(図の上側)に、フォトレジスト102を塗布する。その後、フォトレジスト102を焼き固める。
(d) 図13(d)に示すように、フォトリソ技術により、フォトレジスト102のアライメント露光、及び現像を行う。すなわち、フォトマスク(図示せず)を使用して紫外線によりフォトレジスト102を露光し、フォトレジスト102のパターニングを行って、開口部102aを形成する。
(e) 図14(e)に示すように、形成した酸化膜101aを、フォトレジスト102の開口部102a側からウエットエッチングして、酸化膜101aの一部を開口する。このとき、エッチングされる酸化膜101aは各層ごとに組成差があるため、すなわち、酸化膜101aの膜質のエッチングレートが、酸化膜101aの上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって遅くなるように各層の組成を段階的に変化させてあるため、酸化膜101aのエッチング時において各層ごとにエッチングレートに差が生じ、酸化膜101aの上面側(接合面1a側)はシリコン基材100側(接触面1c側)よりもより大きな孔(ノズル孔)が形成される。そして、酸化膜101aの表面側よりノズル基材100側に開口径を変えていくノズル孔11のテーパ部、すなわち第1のノズル孔部110aが形成される。
(f) 図14(f)に示すように、シリコン基材100の部分をフォトレジスト102の開口部102a側よりドライエッチングにより、垂直性の高い方法でエッチングし、第2のノズル孔部110bを形成する。先の工程図14(e)において、酸化膜101aに第1のノズル孔部110aを形成したので、酸化膜101aをマスクにしてシリコン基材100をドライエッチングによって加工することが可能である。
(g) 図14(g)に示すように、フォトレジスト102を薬品を用いて除去する。
(h) 図14(h)(図12(a)〜図14(g)までの上下方向を逆にした図)に示すように、シリコン基材100を酸化膜101aの形成していない側から研削することで、第2のノズル孔部110bを貫通させる。
こうして、酸化膜101aに形成した截頭円錐状の第1のノズル孔部110aと、シリコン基材100に形成した略円筒状の第2のノズル孔部110bとによって、テーパ部を備えたノズル孔11が形成される。
上記の工程を経て、シリコン基材100からノズル基板1を製造する。
キャビティ基板2と電極基板3との接合工程は図8、図9に示した場合と同様なので、説明を省略する。
また、キャビティ基板2と電極基板3との接合基板にノズル基板1を接合してインクジェットヘッド10を製造する製造工程は、図10に示した場合と同様なので、説明を省略する。
実施の形態2によれば、ノズル基板1に形成したノズル形状は従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有するので、ノズル孔11の液滴の流れに抵抗が生じにくく、従来のように角部に淀み、空洞が生じて液滴の流れを妨げることもなく、液滴がスムーズに流れて、液滴の吐出性が向上する。また、実施の形態2においては、薄膜を多層形成するので、比較的簡単に成膜をおこなうことができる。さらに、酸化膜101aの組成は各層ごとに任意に変えることが可能であるため、テーパ形状に変化を持たせることもでき、液滴の成分に応じて、所望のテーパ形状を簡単に作り出すことが可能である。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係るインクジェットヘッド20は、実施の形態1に係るインクジェットヘッド10と基本的な構成及び動作は同様であるが、ノズル基板1の構成が異なっている。すなわち、インクジェットヘッド20は、ノズル基板1がシリコン基材100と酸化膜101とで構成されているのではなく、ノズル基板1がシリコン基材100と窒化膜201とで構成されているのである。なお、実施の形態3では実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
実施の形態3に係るインクジェットヘッド20及び窒化膜201については、実施の形態1の説明で使用した図1〜図10にかっこ書きで示してある。実施の形態3に係るインクジェットヘッド20のノズル基板1は、図1〜図3に示すようにシリコン基材100とこのシリコン基材100の表面(図の下面側)に形成した窒化膜201とから作製されている。このように構成したインクジェットヘッド20の製造方法について、実施の形態1の説明で使用した図4〜図10を用いて説明する。
まず、大径側が略截頭錐体形状(たとえば、テーパー状)をなし、小径側が略円筒状をなして連通する2段形状のノズル孔11を備えたノズル基板1の製造工程を、図5〜図7を用いて説明する。
(a) 図5(a)に示すように、シリコン基材(Si基材)100を製造する。
(b) 図5(b)に示すように、キャビティ基板2と接合する側のシリコン基材100の表面(図の上側、接触面1c側)に、プラズマCVD法で窒化膜201を形成する。この場合、窒化膜201のエッチングレートが、上面側(接合面1a側)よりシリコン基材側(接触面1c側)に向かうにしたがって連続的に遅くなるように、窒化膜201の一部を形成しながらパラメータを連続的に変化させて窒化膜201全体を形成する。すなわち、シリコン基材100側からエッチングレートの遅い組成の膜を形成し始めて、徐々にエッチングレートの早い組成の膜を、その組成がリニアに変化するようにして形成していく。
変化させるパラメータは、ガス比、温度、圧力(真空度)、プラズマパワー、ガス等であり、これらを窒化膜201の一部を形成しながら個別に変化させ、または組み合わせて変化させることにより膜の組成を制御し、これにより窒化膜201の組成を連続的に(リニアに)変化させる。
例えば、プラズマCVD法で窒化膜201を形成するときは、シラン系(モノシランやジクロールシラン)、NH3 (アンモニア)、N2 (窒素)よりなるガスを使用する。そして、これらのガスのうち、NH3 、N2 を固定パラメータとし、シラン系を変化パラメータとする。
図5(a)で製造したシリコン基材100をリアクター内に入れ、シリコン基材100の表面(図の上部)に、NH3 (流量は20sccm)、N2 (流量は630sccm)を、流量を一定状態にしたままで流し、さらにシラン系(ここでは、モノシランガス(SiH4 ))の流量を40sccmから1sccmに連続的に(リニアに)変化させて流す。この際の、成膜温度(℃)、成膜中圧力(リアクタ−内の真空度)(Pa)は一定とする。
こうすると、図5(b)に示すように、シリコン基材100の表面に、当該面の垂直方向にSiH4 の組成が連続的に変化する窒化膜201(この場合、シリコン基材100表面、すなわち接触面1cのSiH4 の含量は40)が形成され、成膜中のSiH4 の含量が低い側(図の上側、すなわち接合面1a側)でエッチングレートが早く、含量が高くなるにつれて(図の下側に行くほど、すなわち接触面1cに近づくほど)エッチングレートが遅くなる。
上記の場合は、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)を一定にして、SiH4 の流量(sccm)を連続的に変化させていく場合について示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Pa)を一定にした状態で、成膜温度(℃)をシリコン基材100の表面側より連続的に変化させていくこともできる。
例えば、成膜温度(℃)を270℃〜330℃まで連続的に変化させると、成膜中の温度が低い側(図の上側)でエッチングレートの早い窒化膜201が形成される。
また、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を一定にした状態で、成膜中圧力(Pa)をシリコン基材100の表面側より連続的に変化させていくこともできる。温度を変化させない場合は、成膜温度を例えば300℃とし、成膜中圧力を、例えば200Pa〜100Paまで連続的に変化させると(APC等でコントロールする)、成膜中圧力が高い側(真空度が悪い側であって、図の上側)でエッチングレートの早い窒化膜201が形成される。
さらに、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)及び成膜中圧力(Pa)を一定にした状態で、成膜中のプラズマパワー(W)をシリコン基材100の表面側より連続的に変化させていくこともできる。例えばプラズマパワーを80W〜120Wまで連続的に変化させると、成膜中のプラズマパワーが低い側(図の上側)でエッチングレートの早い窒化膜201が形成される。
上記それぞれの場合は、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)のいずれか1つのパラメータを個別に変化させ、他の3つのパラメータを変化させていない場合を示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)のパラメータの変化を任意に組み合わせて、窒化膜201の組成を連続的に(リニアに)変化させることも可能である。
例えば、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を変化させて、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)を一定にすることもでき、また、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Pa)を変化させて、成膜温度(℃)、プラズマパワー(W)を一定にすることもでき、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)を変化させて、SiH4 の流量(sccm)を一定にすることもでき、さらには、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)のすべてを変化させることもできる。
上記の説明では、SiH4 を使用して窒化膜201を形成する場合を示したが、SiH4 を使用しなくても、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)を変化させるだけであっても、エッチングレートの違う窒化膜201を形成することができる。
なお、窒化膜201の膜厚はできるだけ厚いほうが望ましいが、ノズル基板1が窒化膜201の応力により反りが生じる場合があるため、最大膜厚として20μを目安に形成する。
(c) 窒化膜201を形成したのち、図6(c)に示すように、窒化膜201の上側(図の上側)に、フォトレジスト102を塗布する。その後、フォトレジスト102を焼き固める。
(d) 図6(d)に示すように、フォトリソ技術により、フォトレジスト102のアライメント露光、及び現像を行う。すなわち、フォトマスク(図示せず)を使用して紫外線によりフォトレジスト102を露光し、フォトレジスト102のパターニングを行い、開口部102aを形成する。
(e) 図7(e)に示すように、形成した窒化膜201を、フォトレジスト102の開口部102aからウエットエッチングして、窒化膜201の一部を開口する。このとき、エッチングされる窒化膜201に組成差があるため、すなわち、窒化膜201のエッチングレートが、窒化膜201の上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって連続的に遅くなるように組成をリニアに変化させてあるため、窒化膜201のエッチング時においてエッチングレートに差が生じ、窒化膜201の上面側(接合面1a側)はシリコン基材100側(接触面1c側)よりも大きな径の孔が形成される。そして、窒化膜201の表面よりシリコン基材100側に向かって連続的に縮径されたテーパ部を有する第1のノズル孔部110aが形成される。
(f) 図7(f)に示すように、シリコン基材100の部分をフォトレジスト102の開口部102a側よりドライエッチングにより、垂直性の高い方法でエッチングし、第2のノズル孔部110bを形成する。先の工程図7(e)において、窒化膜201に第1のノズル孔部110aを形成したので、この窒化膜201をマスクにしてシリコン基材100をドライエッチングして加工することが可能である。
(g) 図7(g)に示すように、フォトレジスト102を薬品を用いて除去する。
(h) 図7(h)(図5(a)〜図7(g)までの上下方向を逆にした図)に示すように、シリコン基材100を窒化膜201を形成していない面側から研削することで、第2のノズル孔部110bを貫通させる。
こうして、窒化膜201に形成した略截頭錐体形状の第1のノズル孔部110aと、シリコン基材100に形成した略円筒状の第2のノズル孔部110bとによって、テーパ部を備えたノズル孔11が形成される。
上記の工程を経て、シリコン基材100と窒化膜201とからノズル基板1を製造する。
次に、図8及び図9で示すようなキャビティ基板2及び電極基板3が接合された接合基板と、ノズル基板1とを、図10に示すように接合し、ダイシングにより分離して、インクジェットヘッド20が完成する。
実施の形態3によれば、ノズル基板1に形成したノズル形状は従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有するので、ノズル孔11の液滴の流れに抵抗が生じにくく、従来のように角部に淀み、空洞が生じて液滴の流れを妨げることもなく、液滴がスムーズに流れて液滴の吐出性が向上する。また、窒化膜201の組成は任意に変えることが可能であるため、テーパ形状に変化を持たせることもでき、液滴の成分に応じて、所望のテーパ形状を簡単に作り出すことが可能である。
実施の形態4.
実施の形態4におけるノズル孔11は、実施の形態3で示したノズル孔11と同様に、シリコン基材100と窒化膜201aとから作製されたノズル基板1に形成されており、小径側の略円筒状をなす第2のノズル孔部110bはシリコン基材100に形成されており、大径側の略截頭錐体形状をなす第1のノズル孔部110aは窒化膜201aに形成されて、連続した2段形状を構成している。また、実施の形態3と同様に、窒化膜201aのシリコン基材100側に位置する層の膜はエッチングレートが遅い性質を有し、表面側すなわちシリコン基材100と反対側に位置する層の膜はエッチングレートが早い性質を有している。
しかしながら、実施の形態3で示した窒化膜201は組成をリニアに変化させて形成していくのに対して、実施の形態4で示す窒化膜201aは組成ごとにレイヤーを分けて多層形成していく。
その他のインクジェットヘッド20の構成は、実施の形態3で示した場合と同様なので、説明を省略する。なお、実施の形態4に係る窒化膜201aについては、実施の形態1の説明で使用した図11〜図14にかっこ書きで示してある。
次に、2段形状のノズル孔11を備えたノズル基板1の製造工程を、図12〜図14を用いて説明する。
(a) 図12(a)に示すように、シリコン基材(Si基材)100を製造する。
(b) 図12(b)に示すように、キャビティ基板2と接合する側のシリコン基材100の表面(図の上側)に、プラズマCVD法で窒化膜201aを形成する。この場合、窒化膜201aは、その膜のエッチングレートが、上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって段階的に遅くなる(シリコン基材100側より上面側に向かうにしたがって段階的に早くなる)ように、窒化膜201aの一部を形成しながらパラメータを段階的に変化させて形成していく。すなわち、多層形成した窒化膜201aのそれぞれの層を細かくレイヤーを分けて形成し、各層ごとに組成差を生み出すようにしていく。
変化させるパラメータは、ガス比、温度、圧力(真空度)、プラズマパワー、ガス等であり、これらを窒化膜201aの各層を形成しながら各層ごとに個別に変化させることにより、または組み合わせて変化させることにより膜の組成を制御し、これにより各層の窒化膜201aの組成を変化させることが可能となり、組成の違う多層の膜が段階的に形成されていく。
例えば、プラズマCVD法で窒化膜201aを形成するときは、シラン系(モノシランやジクロールシラン)、NH3 (アンモニア)、N2 (窒素)よりなるガスを使用する。そして、これらのガスのうち、NH3 、N2 を固定パラメータとし、シラン系を変化パラメータとする。
図12(a)で製造したシリコン基材100をリアクター内に入れ、シリコン基材100の表面(図の上部)に、NH3 (流量は20sccm)、N2 (流量は630sccm)を、流量を一定状態にしたままで流し、シラン系(ここでは、モノシランガス(SiH4 ))の流量を40sccmから1sccmの間で段階的に変化させて(例えば、シリコン基材100側に最も近い第1の層の製造にあたってはSiH4 の流量が40sccm、次の第2の層の製造にあたってはSiH4 の流量が30sccm、次の第3の層の製造にあたってはSiH4の流量が20sccm・・・というように段階的にSiH4の流量を変化させて)流す。この際の、成膜温度(℃)、成膜中圧力(リアクタ−内の真空度)(Pa)は一定とする。
こうすると、図12(b)に示すように、シリコン基材100の表面に、当該表面の垂直方向にSiH4 の組成が段階的に変化する(段階的に減少する)窒化膜201aが形成され、成膜中のSiH4 の含量が低い側(図の上側)の層でエッチングレートが早くなり、含量が多くなる側(図の下側)の層ほどエッチングレートが遅くなる。
上記の場合は、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)を一定にして、SiH4 の流量(sccm)を各層の形成ごとに段階的に減少させていく場合について示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Pa)を一定にした状態で、成膜温度(℃)をシリコン基材100の表面側より各層の形成ごとに段階的に変化させていくこともできる。例えば、成膜温度(℃)を270℃〜330℃の間で段階的に変化させていくと、成膜中の温度が低い側(図の上側)の層ほど、エッチングレートが早くなる。
また、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を一定にした状態で、成膜中圧力(Pa)をシリコン基材100の表面側より各層形成ごとに段階的に変化させていくこともできる。温度を変化させない場合は、成膜温度を例えば300℃とし、成膜中圧力(Pa)を、例えば、200Pa〜100Paの間で段階的に変化させていく(この圧力変化はAPC等でコントロールする、例えば、シリコン基材100側に最も近い第1の層の製造にあたっては成膜中圧力が100Pa、次の第2の層の製造にあたっては130Pa、次の第3の層の製造にあたっては160Pa・・・というように段階的に増加させる)。こうすると、成膜中圧力が高い側(真空度が悪い側であって、図の上側)の層ほど、エッチングレートが早くなる。
さらに、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)及び成膜中圧力(Pa)を一定にした状態で、成膜中のプラズマパワー(W)をシリコン基材100の表面側より段階的に変化させていくこともできる。例えばプラズマパワーを80W〜120Wまで段階的に変化させると、成膜中のプラズマパワーが低い側(図の上側)でエッチングレートの早い窒化膜201が形成される。
上記それぞれの場合は、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)のいずれか1つのパラメータを個別に変化させ、他の3つのパラメータを変化させていない場合を示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)のパラメータの変化を任意に組み合わせて、窒化膜201aの組成を段階的に変化させることも可能である。
例えば、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を変化させて、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)を一定にすることもでき、また、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Pa)を変化させて、成膜温度(℃)、プラズマパワー(W)を一定にすることもでき、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)を変化させて、SiH4 の流量(sccm)を一定にすることもでき、さらには、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)のすべてを変化させることもできる。
上記の説明ではSiH4 を使用して窒化膜201aを形成する場合を示したが、SiH4 を使用しなくても、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Pa)、プラズマパワー(W)を変化させるだけで、エッチングレートが段階的に異なる窒化膜201aを多層形成することができる。
なお、窒化膜201aの膜厚はできるだけ厚いほうが望ましいが、ノズル基板1が窒化膜201aの応力によって反りが生じる場合があるため、反りが生じない程度の膜厚として、多層膜の総膜厚は、最大20μとした。
(c) 窒化膜201aを形成したのち、図13(c)に示すように、窒化膜201aの上側(図の上側)に、フォトレジスト102を塗布する。その後、フォトレジスト102を焼き固める。
(d) 図13(d)に示すように、フォトリソ技術により、フォトレジスト102のアライメント露光、及び現像を行う。すなわち、フォトマスク(図示せず)を使用して紫外線によりフォトレジスト102を露光し、フォトレジスト102のパターニングを行って、開口部102aを形成する。
(e) 図14(e)に示すように、形成した窒化膜201aを、フォトレジスト102の開口部102a側からウエットエッチングして、窒化膜201aの一部を開口する。このとき、エッチングされる窒化膜201aは各層ごとに組成差があるため、すなわち、窒化膜201aのエッチングレートが、窒化膜201aの上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって遅くなるように各層の組成を段階的に変化させてあるため、窒化膜201aのエッチング時において各層ごとにエッチングレートに差が生じ、窒化膜201aの上面側(接合面1a側)はシリコン基材100側(接触面1c側)よりも大きな径の孔(ノズル孔)が形成される。そして、窒化膜201aの上面側よりノズル基材100側に開口径を変えていくノズル孔11のテーパ部、すなわち第1のノズル孔部110aが形成される。
(f) 図14(f)に示すように、シリコン基材100の部分をフォトレジスト102の開口部102a側よりドライエッチングにより、垂直性の高い方法でエッチングし、第2のノズル孔部110bを形成する。先の工程図14(e)において、窒化膜201aに第1のノズル孔部110aを形成したので、窒化膜201aをマスクにしてシリコン基材100をドライエッチングによって加工することが可能である。
(g) 図14(g)に示すように、フォトレジスト102を薬品を用いて除去する。
(h) 図14(h)(図12(a)〜図14(g)までの上下方向を逆にした図)に示すように、シリコン基材100を窒化膜201aを形成していない面側から研削することで、第2のノズル孔部110bを貫通させる。
こうして、窒化膜201aに形成した略截頭錐体形状の第1のノズル孔部110aと、シリコン基材100に形成した略円筒状の第2のノズル孔部110bとによって、テーパ部を備えたノズル孔11が形成される。
上記の工程を経て、シリコン基材100からノズル基板1を製造する。
キャビティ基板2と電極基板3との接合工程は図8、図9に示した場合と同様なので、説明を省略する。
また、キャビティ基板2と電極基板3との接合基板にノズル基板1を接合してインクジェットヘッド20を製造する製造工程は、図10に示した場合と同様なので、説明を省略する。
実施の形態4によれば、ノズル基板1に形成したノズル形状は従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有するので、ノズル孔11の液滴の流れに抵抗が生じにくく、従来のように角部に淀み、空洞が生じて液滴の流れを妨げることもなく、液滴がスムーズに流れて、液滴の吐出性が向上する。また、実施の形態4においては、薄膜を多層形成するので、比較的簡単に成膜をおこなうことができる。さらに、窒化膜201aの組成は各層ごとに任意に変えることが可能であるため、テーパ形状に変化を持たせることもでき、液滴の成分に応じて、所望のテーパ形状を簡単に作り出すことが可能である。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係るインクジェットヘッド30は、実施の形態1に係るインクジェットヘッド10及び実施の形態3に係るインクジェットヘッド20と基本的な構成及び動作は同様であるが、ノズル基板1の構成が異なっている。すなわち、インクジェットヘッド30は、ノズル基板1がシリコン基材100と酸化膜101とで、あるいはノズル基板1がシリコン基材100と窒化膜201とで構成されているのではなく、ノズル基板1がシリコン基材100とポリシリコン膜301とで構成されているのである。なお、実施の形態5では実施の形態1及び実施の形態3との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1及び実施の形態3と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
実施の形態5に係るインクジェットヘッド30及びポリシリコン膜301については、実施の形態1の説明で使用した図1〜図10にかっこ書きで示してある。実施の形態5に係るインクジェットヘッド30のノズル基板1は、図1〜図3に示すようにシリコン基材100とこのシリコン基材100の表面(図の下面側)に形成したポリシリコン膜301とから作製されている。このように構成したインクジェットヘッド30の製造方法について、実施の形態1の説明で使用した図4〜図10を用いて説明する。
まず、大径側が略截頭錐体形状をなし、小径側が略円筒状をなして連通する2段形状のノズル孔11を備えたノズル基板1の製造工程を、図5〜図7を用いて説明する。
(a) 図5(a)に示すように、シリコン基材(Si基材)100を製造する。
(b) 図5(b)に示すように、キャビティ基板2と接合する側のシリコン基材100の表面(図の上側、接触面1c側)に、減圧CVD法でポリシリコン膜301を形成する。この場合、ポリシリコン膜301のエッチングレートが、上面側(接合面1a側)よりシリコン基材側(接触面1c側)に向かうにしたがって連続的に遅くなるように、ポリシリコン膜301の一部を形成しながらパラメータを連続的に変化させてポリシリコン膜301全体を形成する。すなわち、シリコン基材100側からエッチングレートの遅い組成の膜を形成し始めて、徐々にエッチングレートの早い組成の膜を、その組成がリニアに変化するようにして形成していく。
変化させるパラメータは、ガス比、温度、圧力(真空度)、プラズマパワー、ガス等であり、これらをポリシリコン膜301の一部を形成しながら個別に変化させ、または組み合わせて変化させることにより膜の組成を制御し、これによりポリシリコン膜301の組成を連続的に(リニアに)変化させる。
例えば、減圧CVD法でポリシリコン膜301を形成するときは、SiH4 (モノシランガス)、He(ヘリウム)よりなるガスを使用する。そして、これらのガスのうち、Heを固定パラメータとし、SiH4 を変化パラメータとする。
図5(a)で製造したシリコン基材100をリアクター内に入れ、シリコン基材100の表面(図の上部)に、He(流量は500sccm)を、流量を一定状態にしたままで流し、さらに、SiH4 の流量を500sccmから100sccmに連続的に(リニアに)変化させて流す。この際の、成膜温度(℃)、成膜中圧力(リアクタ−内の真空度)(Torr)は一定とする。
こうすると、図5(b)に示すように、シリコン基材100の表面に、当該表面の垂直方向にSiH4 の組成が連続的に変化するポリシリコン膜301(この場合、シリコン基材100表面、すなわち接触面1cのSiH4 の含量は500)が形成され、成膜中のSiH4 の含量が低い側(図の上側、すなわち接合面1a側)でエッチングレートが早く、含量が高くなるにつれて(図の下側に行くほど、すなわち接触面1cに近づくほど)エッチングレートが遅くなる。
上記の場合は、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を一定にして、SiH4 の流量(sccm)を連続的に変化させていく場合について示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を一定にした状態で、成膜温度(℃)をシリコン基材100の表面側より連続的に変化させていくこともできる。
例えば、成膜温度(℃)を550℃〜650℃まで連続的に変化させると、成膜中の温度が低い側(図の上側)でエッチングレートの早いポリシリコン膜301が形成される。
また、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を一定にした状態で、成膜中圧力(Torr)をシリコン基材100の表面側より連続的に変化させていくこともできる。温度を変化させない場合は、成膜温度を例えば600℃とし、成膜中圧力を、例えば1.0Torr〜3.0Torrまで連続的に変化させると(APC等でコントロールする)、成膜中圧力が高い側(真空度が悪い側であって、図の上側)でエッチングレートの早いポリシリコン膜301が形成される。
上記それぞれの場合は、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のいずれか1つのパラメータを個別に変化させ、他の2つのパラメータを変化させていない場合を示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のパラメータの変化を任意に組み合わせて、ポリシリコン膜301の組成を連続的に(リニアに)変化させることも可能である。
例えば、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を変化させて、成膜中圧力(Torr)を一定にすることもでき、また、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、成膜温度(℃)を一定にすることもでき、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、SiH4 の流量(sccm)を一定にすることもでき、さらには、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のすべてを変化させることもできる。
上記の説明では、SiH4 を使用してポリシリコン膜301を形成する場合を示したが、SiH4 を使用しなくても、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させるだけであっても、エッチングレートの違うポリシリコン膜301を形成することができる。
なお、ポリシリコン膜301の膜厚はできるだけ厚いほうが望ましいが、ノズル基板1がポリシリコン膜301の応力により反りが生じる場合があるため、最大膜厚として20μを目安に形成する。
(c) ポリシリコン膜301を形成したのち、図6(c)に示すように、ポリシリコン膜301の上側(図の上側)に、フォトレジスト102を塗布する。その後、フォトレジスト102を焼き固める。
(d) 図6(d)に示すように、フォトリソ技術により、フォトレジスト102のアライメント露光、及び現像を行う。すなわち、フォトマスク(図示せず)を使用して紫外線によりフォトレジスト102を露光し、フォトレジスト102のパターニングを行い、開口部102aを形成する。
(e) 図7(e)に示すように、形成したポリシリコン膜301を、フォトレジスト102の開口部102aからウエットエッチングして、ポリシリコン膜301の一部を開口する。このとき、エッチングされるポリシリコン膜301に組成差があるため、すなわち、ポリシリコン膜301のエッチングレートが、ポリシリコン膜301の上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって連続的に遅くなるように組成をリニアに変化させてあるため、ポリシリコン膜301のエッチング時においてエッチングレートに差が生じ、ポリシリコン膜301の上面側(接合面1a側)はシリコン基材100側(接触面1c側)よりも大きな径の孔が形成される。そして、ポリシリコン膜301の表面よりシリコン基材100側に向かって連続的に縮径されたテーパ部を有する第1のノズル孔部110aが形成される。
(f) 図7(f)に示すように、シリコン基材100の部分をフォトレジスト102の開口部102a側よりドライエッチングにより、垂直性の高い方法でエッチングし、第2のノズル孔部110bを形成する。先の工程図7(e)において、ポリシリコン膜301に第1のノズル孔部110aを形成したので、このポリシリコン膜301をマスクにしてシリコン基材100をドライエッチングして加工することが可能である。
(g) 図7(g)に示すように、フォトレジスト102を薬品を用いて除去する。
(h) 図7(h)(図5(a)〜図7(g)までの上下方向を逆にした図)に示すように、シリコン基材100をポリシリコン膜301を形成していない面側から研削することで、第2のノズル孔部110bを貫通させる。
こうして、ポリシリコン膜301に形成した略截頭錐体形状の第1のノズル孔部110aと、シリコン基材100に形成した略円筒状の第2のノズル孔部110bとによって、テーパ部を備えたノズル孔11が形成される。
上記の工程を経て、シリコン基材100とポリシリコン膜301とからノズル基板1を製造する。
次に、図8及び図9で示すようなキャビティ基板2及び電極基板3が接合された接合基板と、ノズル基板1とを、図10に示すように接合し、ダイシングにより分離して、インクジェットヘッド30が完成する。
実施の形態5によれば、ノズル基板1に形成したノズル形状は従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有するので、ノズル孔11の液滴の流れに抵抗が生じにくく、従来のように角部に淀み、空洞が生じて液滴の流れを妨げることもなく、液滴がスムーズに流れて液滴の吐出性が向上する。また、ポリシリコン膜301の組成は任意に変えることが可能であるため、テーパ形状に変化を持たせることもでき、液滴の成分に応じて、所望のテーパ形状を簡単に作り出すことが可能である。
実施の形態6.
実施の形態6におけるノズル孔11は、実施の形態5で示したノズル孔11と同様に、シリコン基材100とポリシリコン膜301aとから作製されたノズル基板1に形成されており、小径側の略円筒状をなす第2のノズル孔部110bはシリコン基材100に形成されており、大径側の略截頭錐体形状をなす第1のノズル孔部110aはポリシリコン膜301aに形成されて、連続した2段形状を構成している。また、実施の形態5と同様に、ポリシリコン膜301aのシリコン基材100側に位置する層の膜はエッチングレートが遅い性質を有し、表面側すなわちシリコン基材100と反対側に位置する層の膜はエッチングレートが早い性質を有している。
しかしながら、実施の形態5で示したポリシリコン膜301は組成をリニアに変化させて形成していくのに対して、実施の形態6で示すポリシリコン膜301aは組成ごとにレイヤーを分けて多層形成していく。
その他のインクジェットヘッド30の構成は、実施の形態5で示した場合と同様なので、説明を省略する。なお、実施の形態6に係るポリシリコン膜301aについては、実施の形態1の説明で使用した図11〜図14にかっこ書きで示してある。
次に、2段形状のノズル孔11を備えたノズル基板1の製造工程を、図12〜図14を用いて説明する。
(a) 図12(a)に示すように、シリコン基材(Si基材)100を製造する。
(b) 図12(b)に示すように、キャビティ基板2と接合する側のシリコン基材100の表面(図の上側)に、減圧CVD法でポリシリコン膜301aを形成する。この場合、ポリシリコン膜301aは、その膜のエッチングレートが、上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって段階的に遅くなる(シリコン基材100側より上面側に向かうにしたがって段階的に早くなる)ように、ポリシリコン膜301aの一部を形成しながらパラメータを段階的に変化させて形成していく。すなわち、多層形成したポリシリコン膜301aのそれぞれの層を細かくレイヤーを分けて形成し、各層ごとに組成差を生み出すようにしていく。
変化させるパラメータは、ガス比、温度、圧力(真空度)、プラズマパワー、ガス等であり、これらをポリシリコン膜301aの各層を形成しながら各層ごとに個別に変化させることにより、または組み合わせて変化させることにより膜の組成を制御し、これにより各層のポリシリコン膜301aの組成を変化させることが可能となり、組成の違う多層の膜が段階的に形成されていく。
例えば、減圧CVD法でポリシリコン膜を形成するときは、SiH4 (モノシランガス)、He(ヘリウム)よりなるガスを使用する。そして、これらのガスのうち、Heを固定パラメータとし、SiH4 を変化パラメータとする。
図12(a)で製造したシリコン基材100をリアクター内に入れ、シリコン基材100の表面(図の上部)に、He(流量は500sccm)を、流量を一定状態にしたままで流し、SiH4 の流量を500sccmから100sccmの間で段階的に変化させて(例えば、シリコン基材100側に最も近い第1の層の製造にあたってはSiH4 の流量が500sccm、次の第2の層の製造にあたってはSiH4 の流量が400sccm、次の第3の層の製造にあたってはSiH4 の流量が300sccm・・・というように段階的にSiH4の流量を変化させて)流す。この際の、成膜温度(℃)、成膜中圧力(リアクタ−内の真空度)(Torr)は一定とする。
こうすると、図12(b)に示すように、シリコン基材100の表面に、当該表面の垂直方向にSiH4 の組成が段階的に変化する(段階的に減少する)ポリシリコン膜301aが形成され、成膜中のSiH4 の含量が低い側(図の上側)の層でエッチングレートが早くなり、含量が多くなる側(図の下側)の層ほどエッチングレートが遅くなる。
上記の場合は、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を一定にして、SiH4 の流量(sccm)を各層の形成ごとに段階的に減少させていく場合について示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を一定にした状態で、成膜温度(℃)をシリコン基材100の表面側より各層の形成ごとに段階的に変化させていくこともできる。例えば、成膜温度(℃)を550℃〜650℃の間で段階的に変化させていくと、成膜中の温度が低い側(図の上側)の層ほど、エッチングレートが早くなる。
また、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を一定にした状態で、成膜中圧力(Torr)をシリコン基材100の表面側より各層形成ごとに段階的に変化させていくこともできる。温度を変化させない場合は、成膜温度を例えば600℃とし、成膜中圧力(Torr)を、例えば、1.0Torr〜3.0Torrの間で段階的に変化させていく(この圧力変化はAPC等でコントロールする、例えば、シリコン基材100側に最も近い第1の層の製造にあたっては成膜中圧力が1.0Torr、次の第2の層の製造にあたっては1.3Torr、次の第3の層の製造にあたっては1.6Torr・・・というように段階的に増加させる)。こうすると、成膜中圧力が高い側(真空度が悪い側であって、図の上側)の層ほど、エッチングレートが早くなる。
上記それぞれの場合は、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のいずれか1つのパラメータを個別に変化させ、他の2つのパラメータを変化させていない場合を示したが、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のパラメータの変化を任意に組み合わせて、ポリシリコン膜301aの組成を段階的に変化させることも可能である。
例えば、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)を変化させて、成膜中圧力(Torr)を一定にすることもでき、また、SiH4 の流量(sccm)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、成膜温度(℃)を一定にすることもでき、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させて、SiH4 の流量(sccm)を一定にすることもでき、さらには、SiH4 の流量(sccm)、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)のすべてを変化させることもできる。
上記の説明ではSiH4 を使用してポリシリコン膜301aを形成する場合を示したが、SiH4 を使用しなくても、成膜温度(℃)、成膜中圧力(Torr)を変化させるだけで、エッチングレートが段階的に異なるポリシリコン膜301aを多層形成することができる。
なお、ポリシリコン膜301aの膜厚はできるだけ厚いほうが望ましいが、ノズル基板1がポリシリコン膜301aの応力によって反りが生じる場合があるため、反りが生じない程度の膜厚として、多層膜の総膜厚は、最大20μとした。
(c) ポリシリコン膜301aを形成したのち、図13(c)に示すように、ポリシリコン膜301aの上側(図の上側)に、フォトレジスト102を塗布する。その後、フォトレジスト102を焼き固める。
(d) 図13(d)に示すように、フォトリソ技術により、フォトレジスト102のアライメント露光、及び現像を行う。すなわち、フォトマスク(図示せず)を使用して紫外線によりフォトレジスト102を露光し、フォトレジスト102のパターニングを行って、開口部102aを形成する。
(e) 図14(e)に示すように、形成したポリシリコン膜301aを、フォトレジスト102の開口部102a側からウエットエッチングして、ポリシリコン膜301aの一部を開口する。このとき、エッチングされるポリシリコン膜301aは各層ごとに組成差があるため、すなわち、ポリシリコン膜301aの膜のエッチングレートが、ポリシリコン膜301aの上面側(接合面1a側)よりシリコン基材100側(接触面1c側)に向かうにしたがって遅くなるように各層の組成を段階的に変化させてあるため、ポリシリコン膜301aのエッチング時において各層ごとにエッチングレートに差が生じ、ポリシリコン膜301aの上面側(接合面1a側)はシリコン基材100側(接触面1c側)よりも大きな径の孔(ノズル孔)が形成される。そして、ポリシリコン膜301aの上面側よりノズル基材100側に開口径を変えていくノズル孔11のテーパ部、すなわち第1のノズル孔部110aが形成される。
(f) 図14(f)に示すように、シリコン基材100の部分をフォトレジスト102の開口部102a側よりドライエッチングにより、垂直性の高い方法でエッチングし、第2のノズル孔部110bを形成する。先の工程図14(e)において、ポリシリコン膜301aに第1のノズル孔部110aを形成したので、ポリシリコン膜301aをマスクにしてシリコン基材100をドライエッチングによって加工することが可能である。
(g) 図14(g)に示すように、フォトレジスト102を薬品を用いて除去する。
(h) 図14(h)(図12(a)〜図14(g)までの上下方向を逆にした図)に示すように、シリコン基材100をポリシリコン膜301aを形成していない面側から研削することで、第2のノズル孔部110bを貫通させる。
こうして、ポリシリコン膜301aに形成した略截頭錐体形状の第1のノズル孔部110aと、シリコン基材100に形成した略円筒状の第2のノズル孔部110bとによって、テーパ部を備えたノズル孔11が形成される。
上記の工程を経て、シリコン基材100からノズル基板1を製造する。
キャビティ基板2と電極基板3との接合工程は図8、図9に示した場合と同様なので、説明を省略する。
また、キャビティ基板2と電極基板3との接合基板にノズル基板1を接合してインクジェットヘッド30を製造する製造工程は、図10に示した場合と同様なので、説明を省略する。
実施の形態6によれば、ノズル基板1に形成したノズル形状は従来のように段つき形状ではなくテーパ部を有するので、ノズル孔11の液滴の流れに抵抗が生じにくく、従来のように角部に淀み、空洞が生じて液滴の流れを妨げることもなく、液滴がスムーズに流れて、液滴の吐出性が向上する。また、実施の形態6においては、薄膜を多層形成するので、比較的簡単に成膜をおこなうことができる。さらに、ポリシリコン膜301aの組成は各層ごとに任意に変えることが可能であるため、テーパ形状に変化を持たせることもでき、液滴の成分に応じて、所望のテーパ形状を簡単に作り出すことが可能である。
実施の形態7.
図15は、本発明の実施の形態7に係る液滴吐出装置(インクジェットプリンタ)の斜視図である。実施形態1〜6で得られたインクジェットヘッド10、20及び30はノズル孔11を有するノズル基板1を用いて製造することができ、かかるインクジェットヘッド10、20及び30を用いて、図15に示すようなインクジェットプリンタ400を得ることができる。
なお、実施の形態1〜6に係るインクジェットヘッド10、20及び30は液滴吐出ヘッドの一例であって、液滴吐出ヘッドはインクジェットヘッド10、20及び30に限定されるものではなく、液滴を種々変更することによって、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、生体液体の吐出等にも適用することができる。
また、実施の形態1〜6に係る液滴吐出ヘッドは、圧電駆動方式の液滴吐出装置や、バブルジェット(登録商標)方式の液滴吐出装置にも使用することができる。
本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出ヘッドの分解斜視図。 図1を組み立てた状態の要部の縦断面図。 図2の要部を拡大した縦断面図。 図1のノズル基板の上面図。 図1のノズル基板の製造工程を示す断面図。 図5に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 図6に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 キャビティ基板及び電極基板を接合した接合基板の製造工程を示す断面図。 図8に続く接合基板の製造工程を示す断面図。 キャビティ基板及び電極基板の接合基板をノズル基板に接合する製造工程を示す断面図。 本発明の実施の形態2にかかる液滴吐出ヘッドの要部の縦断面図。 図11のノズル基板の製造工程を示す断面図。 図12に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 図13に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 本発明の実施の形態3にかかるインクジェットプリンタの斜視図。
符号の説明
1 ノズル基板、1a 接合面、1b 液滴吐出面、1c 接触面、2 キャビティ基板、3 電極基板、10 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)、20 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)、30 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)、11 ノズル孔、100 シリコン基材、101,101a 酸化膜、102 フォトレジスト、102a レジスト開口部、110a 第1のノズル孔部、110b 第2のノズル孔部、201,201a 窒化膜、301,301a ポリシリコン膜、400 インクジェットプリンタ(液滴吐出装置)。

Claims (17)

  1. シリコン基材の表面に、酸化膜を形成し、前記酸化膜をエッチングして、ノズル孔を形成するノズル基板の製造方法であって、
    前記シリコン基材側に向かってエッチングレートが遅くなる組成の酸化膜を成膜する工程と、
    前記酸化膜上に、第1のノズル孔部に相当する部位を除いた部分にレジストを塗布し、前記レジストが塗布されていなかった部位より前記酸化膜をウエットエッチングして前記シリコン基材側に縮径していくほぼ截頭円錐状の第1のノズル孔部を形成する工程と、
    前記シリコン基材を前記酸化膜に設けた第1のノズル孔部の縮径側よりドライエッチングしてほぼ円筒状の第2のノズル孔部を形成する工程と、
    前記酸化膜を設けた反対側の面より前記シリコン基材を研削して前記第2のノズル孔部を貫通させる工程と、
    前記酸化膜に形成した第1のノズル孔部と前記シリコン基材に形成した前記第2のノズル孔部とによってノズル孔を形成する工程とを含むことを特徴とするノズル基板の製造方法。
  2. 前記酸化膜は、単層の酸化膜であり、前記シリコン基材側に向かって連続的にエッチングレートが遅くなるような組成配分となるように組成配分を変化させて構成したことを特徴とする請求項1記載のノズル基板の製造方法。
  3. 前記酸化膜は、複数の組成の異なる酸化膜が多層に形成された構成からなる酸化膜であり、前記酸化膜の各層のエッチングレートが前記シリコン基材側に向かって段階的に遅くなるように構成したことを特徴とする請求項1記載のノズル基板の製造方法。
  4. 前記酸化膜の成膜時において、ガス比、温度、圧力、プラズマパワー及びガスを少なくとも1つ変化させて、前記酸化膜の膜質、膜組成を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノズル基板の製造方法。
  5. 前記酸化膜の成膜時において、前記ガスはモノシランガス、酸素、ホスフィン、ヘリウムからなり、モノシランガス、酸素、ホスフィンを反応性ガスとし、ヘリウムをキャリアガスとして、前記酸化膜の膜質、膜組成を変化させることを特徴とする請求項4記載のノズル基板の製造方法。
  6. 前記酸化膜の成膜時において、前記モノシランガス、酸素、ヘリウムの流量を固定パラメーターとし、前記ホスフィンの流量を変化パラメーターとして、前記酸化膜の膜質、膜組成を変化させることを特徴とする請求項5記載のノズル基板の製造方法。
  7. 前記酸化膜の成膜時において、前記モノシランガス、酸素、ヘリウムの流量をそれぞれ500sccm、100sccm、1SLMとして固定パラメーターとし、前記ホスフィンの流量を0sccm〜100sccmの間で連続的もしくは段階的に変化させて変化パラメーターとしたことを特徴とする請求項6記載のノズル基板の製造方法。
  8. 前記酸化膜の成膜時において、成膜温度を370℃〜300℃の範囲で連続的もしくは段階的に変化させることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のノズル基板の製造方法。
  9. 前記酸化膜の成膜時において、成膜中の圧力を1.0Torr〜3.0Torrの範囲で連続的もしくは段階的に変化させることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のノズル基板の製造方法。
  10. 前記酸化膜を減圧CVD法によって前記シリコン基材上に成膜することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のノズル基板の製造方法。
  11. 前記酸化膜の膜厚が30μ以下であることを特徴とする請求項10記載のノズル基板の製造方法。
  12. 前記酸化膜上にフォトリソ技術によってレジストを塗布し、該レジストに開口部を設けることを特徴とする請求項1〜11記載のノズル基板の製造方法。
  13. シリコン基材の表面に、酸化膜を形成し、前記酸化膜をエッチングして、ノズル孔を形成するノズル基板の製造方法を用いた液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記シリコン基材側に向かってエッチングレートが遅くなる組成の酸化膜を成膜する工程と、
    前記酸化膜上に、第1のノズル孔部に相当する部位を除いた部分にレジストを塗布し、前記レジストが塗布されていなかった部位より前記酸化膜をウエットエッチングして前記シリコン基材側に縮径していくほぼ截頭円錐状の第1のノズル孔部を形成する工程と、
    前記シリコン基材を前記酸化膜に設けた第1のノズル孔部の縮径側よりドライエッチングしてほぼ円筒状の第2のノズル孔部を形成する工程と、
    前記酸化膜を設けた反対側の面より前記シリコン基材を研削して前記第2のノズル孔部を貫通させる工程と、
    前記酸化膜に形成した第1のノズル孔部と前記シリコン基材に形成した前記第2のノズル孔部とによってノズル孔を形成する工程とを含んでノズル基板を製造する方法を用いて液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  14. シリコン基材の表面に、酸化膜を形成し、前記酸化膜をエッチングして、ノズル孔を形成してノズル基板を製造し液滴吐出ヘッドを製造することにより液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法であって、
    前記シリコン基材側に向かってエッチングレートが遅くなる組成の酸化膜を成膜する工程と、
    前記酸化膜上に、第1のノズル孔部に相当する部位を除いた部分にレジストを塗布し、前記レジストが塗布されていなかった部位より前記酸化膜をウエットエッチングして前記シリコン基材側に縮径していくほぼ截頭円錐状の第1のノズル孔部を形成する工程と、
    前記シリコン基材を前記酸化膜に設けた第1のノズル孔部の縮径側よりドライエッチングしてほぼ円筒状の第2のノズル孔部を形成する工程と、
    前記酸化膜を設けた反対側の面より前記シリコン基材を研削して前記第2のノズル孔部を貫通させる工程と、
    前記酸化膜に形成した第1のノズル孔部と前記シリコン基材に形成した前記第2のノズル孔部とによってノズル孔を形成する工程とを含んでノズル基板を製造し液滴吐出ヘッドを製造することにより液滴吐出装置を製造することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
  15. 大径側がほぼ截頭円錐状の第1のノズル孔部と、小径側がほぼ円筒状の第2のノズル孔部とからなり、前記第1のノズル孔部の縮径側端部が前記第2のノズル孔部の端部と連通してなるノズル孔を備え、酸化膜とシリコン基材により2層に構成されたノズル基板であって、
    前記第1のノズル孔部が前記酸化膜に形成され、前記第2のノズル孔部が前記シリコン基材に形成されたことを特徴とするノズル基板。
  16. 大径側がほぼ截頭円錐状の第1のノズル孔部と、小径側がほぼ円筒状の第2のノズル孔部とからなり、前記第1のノズル孔部の縮径側端部が前記第2のノズル孔部の端部と連通してなるノズル孔を備え、酸化膜とシリコン基材により2層に構成されたノズル基板であって、
    前記第1のノズル孔部が前記酸化膜に形成され、前記第2のノズル孔部が前記シリコン基材に形成されたノズル基板を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  17. 大径側がほぼ截頭円筒状の第1のノズル孔部と、小径側がほぼ円筒状の第2のノズル孔部とからなり、前記第1のノズル孔部の縮径側端部が前記第2のノズル孔部の端部と連通してなるノズル孔を備え、酸化膜とシリコン基材により2層に構成されたノズル基板であって、
    前記第1のノズル孔部が前記酸化膜に形成され、前記第2のノズル孔部が前記シリコン基材に形成されたノズル基板を有する液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
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