JP5049658B2 - 硬質ポリウレタンフォーム用組成物及びこれを用いて得られる硬質ポリウレタンフォーム - Google Patents

硬質ポリウレタンフォーム用組成物及びこれを用いて得られる硬質ポリウレタンフォーム Download PDF

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Description

本発明は、硬質ポリウレタンフォーム用組成物及びこれより得られる硬質ポリウレタンフォームに係り、特に、ビル・マンション・冷凍倉庫等の建物の断熱、結露防止や、輸液パイプの断熱を目的として、吹き付け方式の発泡法(吹き付け発泡法)によって形成される硬質ポリウレタンフォーム、及び、電気冷蔵庫やパネル、内外壁材の断熱性付与を目的として、注入方式の発泡法(注入発泡法)によって形成される硬質ポリウレタンフォームの製造に有利に用いられる硬質ポリウレタンフォーム用組成物、並びに、かかる硬質ポリウレタンフォーム用組成物を、吹き付け発泡法によって、発泡・硬化せしめて得られる硬質ポリウレタンフォームに関するものである。
従来より、硬質ポリウレタンフォーム(以下、単にフォームともいう)は、断熱材等として、建物や電気冷蔵庫等、各種構造物に用いられており、ポリオール成分に、発泡剤、必要に応じて、硬化触媒や難燃剤、整泡剤等の各種助剤を配合したプレミックス液(ポリオール組成物)とイソシアネート成分とを混合装置を用いて混合して調製される硬質ポリウレタンフォーム用組成物(以下、発泡性原液ともいう)を、例えば、建物や電気冷蔵庫等の断熱部位へ吹き付け又は注入し、発泡・硬化させる手法によって、製造されている。
そして、かかる発泡性原液には、発泡剤として、成層圏オゾン層の破壊という環境問題に対応した代替フロン(例えば、HFC−245fa、HFC−365mfc等)が使用されてきているのであるが、近年においては、更に、温暖化防止の観点から、ポリイソシアネート成分と水との化学反応で生成する二酸化炭素(以下、炭酸ガスという。)を、代替フロン系発泡剤の一部又は全部の代替として利用する、所謂、「水発泡法」と称される非フロン化指向の硬質ポリウレタンフォームの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、かかる水発泡法においては、減粘効果を有する代替フロンに代えて、減粘効果のない水が配合されているところから、発泡機での使用が可能な程度まで発泡性原液の粘度を低くする必要があり、通常、発泡性原液の低粘化を目的として、ポリオール成分として、ポリエーテルポリオール等の低粘性のポリオールが使用されている。このように、低粘性のポリオールを使用することにより、発泡性原液自体の粘度の低減を図り得るものの、それに相反して、発泡性原液の粘着性が低下して、被着体表面への接着性が悪化する傾向がある。特に、冬季の厳寒期等の低温環境(例えば、−5〜−15℃)下において、建物等の建設現場で、コンクリート躯体や壁面、天井、屋根等の被着体表面に、硬質ポリウレタンフォームを形成せしめると、施工後、形成されたフォームが被着体から剥離し易いという問題があった。このため、低温環境下における発泡・硬化等の反応性の低下を補うべく、吹き付け施工に先立って、被着体表面に発泡性原液を薄く吹き付ける下吹き処理を施し、発泡・硬化反応に必要な熱が低温環境下に晒された冷たい被着体に奪われないようにして、反応性の低下を防ぐ対策も行われているのであるが、下吹き処理によって作業工数が増加し、施工効率が悪くなると共に、フォームの密度も高くなるといった問題を内在するものであった。
加えて、水発泡法により形成されるフォームは、その表面硬度が、一般に、代替フロンを発泡剤として用いる代替フロン発泡法により形成されるフォームの表面硬度よりも高く、柔軟性に欠けるものとなっている。それ故、吹き付け施工後、かかる吹き付け面に内壁材(ボード)を貼り付ける前に実施される、タッピング処理(吹き付けフォーム表面を切削して平滑化する作業)が困難な場合があり、作業効率が低下するという問題があった。特に、低温環境下においては、初期の発泡性が悪いところから、得られるフォームは密度が高くて硬く、切削性が悪いものとなっている。
また一方、硬質ポリウレタンフォームにおいては、施工現場におけるフォーム火災の発生・類焼防止の観点から、耐熱・難燃化が強く求められている。このため、耐熱・難燃化を図るべく、例えば、ポリオール成分として、ポリエステルポリオール等の耐熱性を有するポリオールを採用したり、燐酸系難燃剤等の難燃剤を使用したり、或いは、硬化触媒であるウレタン化触媒と共に、イソシアヌレート化触媒(以下、ヌレート化触媒という)を用いて、得られるポリウレタン中に新たな架橋構造(イソシアヌレート構造)を導入する等、各種の対策が講じられてきている。かかるヌレート化触媒としては、特許文献2〜5には、脂肪酸アルカリ金属塩が、例示されているのであるが、かかる脂肪酸アルカリ金属塩を、起泡剤として用いることについては、何等明らかにされてはいない。
また、特許文献6には、水を発泡剤源として使用する硬質ポリウレタンフォームの製造方法が提案され、そこでは、ポリイソシアネートと水との反応を促進させるために、アミン系泡化触媒が用いられている。更に、特許文献7には、水とポリイソシアネートとの反応で生成する炭酸ガスを発泡剤とする完全水発泡の硬質ポリウレタンフォームが提案され、そこでは、人体への有害性が指摘されている、例えばオクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛系触媒に代わる触媒として、有機酸ビスマス塩が有効であることが、明らかにされている。また、特許文献8には、防水材、床材、シーリング材等に用いられる非発泡性のポリウレタン組成物が提案され、そこでは、触媒として、有機酸ビスマス塩と、脂肪酸アルカリ金属塩又は脂肪酸アルカリ土類金属塩と、塩基性化合物との併用が、有用であることが明らかにされている。しかしながら、これらの公報には、厳寒期等の低温環境下において、水発泡法を行う際に惹起される上記諸問題について、何等の検討もなされてはいないのである。
特開平4−227645号公報 特開2004−175973号公報 特開昭61−81420号公報 特開2004−339468号公報 特開2000−169542号公報 特開2001−302756号公報 特開2005−307145号公報 特開2003−40962号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、水を発泡剤源として用いる硬質ポリウレタンフォーム用組成物において、低温環境(例えば、−5〜−15℃)下における初期の発泡性及び被着体への接着性を高めて、フォームの低密度化及び被着体からのフォームの剥離防止を実現し得ると共に、得られる硬質ポリウレタンフォームに適度な柔軟性を付与して、施工後(発泡・硬化後)の切削加工における作業効率を向上せしめることが可能な硬質ポリウレタンフォーム用組成物、並びに、かかる硬質ポリウレタンフォーム用組成物を、吹き付け発泡法により、発泡及び硬化せしめてなる硬質ポリウレタンフォームを提供することにある。
そして、本発明者が、上記課題を解決するために、厳寒期における水発泡法に有用な硬質ポリウレタンフォーム用組成物(発泡性原液)について鋭意検討を重ねた結果、特定の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩が有する石鹸機能による起泡化と、ポリオール成分として、反応活性の高いマンニッヒ系ポリオールを所定の割合で含有せしめることによる硬化(樹脂化)の促進と、アミン系泡化触媒による炭酸ガスの生成の早期化とが、相互に作用し合うことにより、初期の発泡性が改善されて、上述の如き課題が悉く解決されることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、(A)ポリイソシアネート成分と、(B)マンニッヒ系ポリオールを50質量%以上の割合で含有するポリオール成分と、(C)水と、(D)炭素数12〜18の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の起泡剤と、(E)前記ポリイソシアネート成分と前記水との反応を促進せしめるアミン系泡化触媒と、を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用組成物を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物の好ましい態様によれば、前記ポリオール成分中に占めるマンニッヒ系ポリオールの割合が、70質量%以上、更には、80質量%以上とされる。
また、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物における別の好ましい態様の一つによれば、前記ポリオール成分が、グリセリン系ポリエーテルポリオールを含有している。
さらに、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物における望ましい態様の一つによれば、前記ポリオール成分が、更にグリコール系ポリエーテルポリオールを含有している。
加えて、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物の別の好ましい態様によれば、前記起泡剤として、前記脂肪族カルボン酸のカリウム塩が採用され得るのであり、また、かかる前記脂肪族カルボン酸のカリウム塩としては、リシノール酸カリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム及びオレイン酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が、好適に採用され得る。
また、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物の別の好ましい態様の一つによれば、硬化触媒として、有機酸ビスマス塩が更に含有せしめられる。
さらに、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物の望ましい態様の一つによれば、燐酸系難燃剤及び/又はシリコーン系界面活性剤が更に含有せしめられる。
そして、本発明においては、上述せる如き硬質ポリウレタンフォーム用組成物を、吹き付け発泡法により、発泡及び硬化せしめてなる硬質ポリウレタンフォームをも、その要旨とするものである。
このように、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物においては、上記(A)〜(E)の各構成成分が、組み合わされて用いられているところから、各構成成分による効果が相俟って、低温環境下で水発泡法を行っても、初期の発泡性が有利に高められ、フォームを低密度化することができ、これにより、従来の如き下吹き処理を省くことが可能となって、施工効率を向上せしめることができると共に、被着体への接着性が有利に高められ、被着体からのフォームの剥離が効果的に防止され得ると共に、得られる硬質ポリウレタンフォームに適度な柔軟性が付与されて、換言すれば、硬質ポリウレタンフォームの表面硬度が低くなって、切削作業性も有利に向上せしめられる。
しかも、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物にあっては、ポリオール成分として、マンニッヒ系ポリオールを50質量%以上の割合において含有しているところから、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性も有利に高められるのである。
加えて、本発明に従う硬質ポリウレタンフォームにあっては、上述せる如き硬質ポリウレタンフォーム用組成物を、吹き付け発泡法により、発泡及び硬化せしめてなるものであるところから、上述せる如き種々の効果を享受することができ、低温環境下で施工されたものであっても、被着体からの剥離が有利に防止され得ると共に、表面硬度も適度に低下せしめられ、切削加工の作業性にも優れたものとなっている。
なお、本発明において、上述せる如き優れた効果が発現される理由は、充分に解明されてはいないものの、本発明者の推察によれば、起泡剤と水とが混合・接触されることによって生じる発泡性原液の物理的な泡立ちによって、発泡性原液と被着体との接触が可及的に防止される。つまり、発泡性原液を被着体表面に吹き付けると、吹き付けられた被着体表面で発泡性原液が物理的に泡立ち、発泡性原液と被着体との接触量が可及的に低減され得る。これにより、発泡性原液に配合された反応活性の高いマンニッヒ系ポリオールとアミン系泡化触媒とによって促進される、硬化反応(樹脂化)及び泡化反応(炭酸ガスの生成)で生じた反応熱が、低温環境下に晒された被着体へ移行して被着体に奪われるようなことが有利に防止されるようになる。その結果、生じた反応熱は、更なる硬化反応及び泡化反応に利用され得て、初期の発泡性を改善せしめることができることから、初期発泡段階における硬化反応と泡化反応とのバランスが極めて良好に保たれるようになる。従って、発泡性原液を低温環境下の被着体に吹き付ける際の、初期の発泡状態や被着体への接着性が極めて効果的に改善され、水発泡法にも拘わらず、被着体からのフォームの剥離が有利に防止され得ると共に、フォームの密度も低下し、施工コストの低減(発泡性原液の使用量の低減)のみならず、適度な表面硬度乃至は柔軟性を有するフォームが得られるようになる。これにより、低温環境下で吹き付け発泡を行っても、得られるフォームの切削加工は容易となり、また下吹き作業も不要となって、施工効率も顕著に改善され得るのである。
以下、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物及びこれを用いて得られる硬質ポリウレタンフォームについて詳細に説明することとする。
まず、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物は、上述したように、少なくとも、(A)ポリイソシアネート成分と、(B)マンニッヒ系ポリオールを50質量%以上の割合で含有するポリオール成分と、(C)水と、(D)炭素数12〜18の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の起泡剤と、(E)前記ポリイソシアネート成分と前記水との反応を促進せしめるアミン系泡化触媒を、含有するものである。
そして、硬質ポリウレタンフォーム用組成物の構成成分のうち、(A)ポリイソシアネート成分としては、分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するイソシアネート化合物であれば、特に限定されず、従来から公知の各種のポリイソシアネートが適宜に選択されて用いられることとなる。そして、そのようなポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI)、トリレンジイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートの他、上記ポリイソシアネートを用いたイソシナネート基末端プレポリマー(ウレタンプレポリマー)や、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等を挙げることができ、これらのポリイソシアネートは、単独で用いられてもよく、或いは、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
一方、本発明において用いられる(B)ポリオール成分としては、各種ポリオールの中でも、反応活性が高く、且つ、難燃化に有効なマンニッヒ系ポリオールを少なくとも50質量%以上の割合において含有するもの、換言すれば、ポリオール成分中に、マンニッヒ系ポリオールが50〜100質量%の割合で含有せしめられたものが用いられるのであり、これにより、低温環境下における反応が効果的に高められて、吹き付け直後の発泡性(初期の発泡性)や建築躯体等の被着体界面部での硬化性が向上せしめられて、被着体への接着性が効果的に改善せしめられると共に、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性乃至は耐火性も有利に高められる。中でも、ポリオール成分中に占めるマンニッヒ系ポリオールの割合が、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であるものを採用すると、施工性と難燃性とが更に向上せしめられる。
ここにおいて、マンニッヒ系ポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られる分子中に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又は該マンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物である。これらの中でも、フェノール類とアルデヒド類と第二級アミン類を反応させたマンニッヒ縮合物、又は該マンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等、フェノール類ベースのマンニッヒ系ポリオールが好ましい。このような好ましいマンニッヒ系ポリオールの具体例としては、前者には、特開平10−298258号公報に記載の手法に基づいて製造されるマンニッヒ縮合物を挙げることができ、また、後者には、商業的に入手することが可能なマンニッヒ系ポリエーテルポリオールである、例えば、旭硝子社製EXCENOL−200R、EXCENOL−400R、EXCENOL−FB800(商品名)等を挙げることができる。
そして、このようなマンニッヒ系ポリオールとしては、水酸基価が300〜800mg−KOH/gであり、25℃における粘度が500〜7000mPa・sであるマンニッヒ系ポリオールが、より一層好適に用いられる。また、マンニッヒ系ポリオールの中でも、フェノール系マンニッヒ縮合物は、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールに比べて、反応活性及び難燃性の点で優れるものの、粘度が高いところから、水発泡法における施工性を重視すると、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールが、より好適である。
ところで、(B)ポリオール成分は、上述せる如きマンニッヒ系ポリオールのみ(ポリオール成分中に占めるマンニッヒ系ポリオールの割合:100質量%)にて構成することも可能であるが、マンニッヒ系ポリオールの割合が上述の如き範囲内において、他のポリオールを組み合わせたものが、好適に採用される。この場合、併用するポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であれば、特に限定されるものではないものの、フォームの物性(接着性や難燃性)向上、発泡性原液の硬化性改善、ポリオール成分の低粘度化等、目的に応じたポリオールを選択することが望ましい。
なお、上記の併用されるポリオールとしては、例えば、グリセリン系、ソルビトール系、エチレンジアミン系、トリレンジアミン系、フェノール樹脂系、グリコール系等の各種ポリエーテルポリオールを挙げることができ、これらは、目的に応じて適宜に選択され、マンニッヒ系ポリオール以外のポリオール成分として、単独で用いられてもよく、或いは、2種以上が併用されてもよい。それらポリエーテルポリオールの中でも、特に、グリセリン系ポリエーテルポリオールは、低温での接着性改善に有効であり、また、グリコール系ポリエーテルポリオールは、発泡性原液の粘度を水発泡法に適した粘度に調整するための粘度調節剤として有効であるところから、好適に採用され得る。つまり、ポリオール成分としては、各種の組合せの中でも、マンニッヒ系ポリオール及びグリセリン系ポリエーテルポリオールを組み合わせたもの(2種類のポリオールの混合物)が好適に用いられるのであり、更に好ましくは、マンニッヒ系ポリオール、グリセリン系ポリエーテルポリオール及びグリコール系ポリエーテルポリオールを組み合わせたもの(3種類のポリオールの混合物)が、施工性の観点から、より一層有利に用いられるのである。
ここにおいて、上記グリセリン系ポリエーテルポリオールとしては、水酸基価が20〜100mg−KOH/gであり、25℃における粘度が200〜2000mPa・sであるものが、より一層好適に用いられるのであり、市販品としては、例えば、旭硝子社製EXCENOL−3030(商品名)や、ADEKA社製G3000B(商品名)等を挙げることができる。また一方、上記グリコール系ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール類であるジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール類であるジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等を例示することができる。これらは、単独で或いは2種以上を併用することが可能である。
そして、上記(A)ポリイソシアネート成分と、(B)ポリオール成分との配合割合は、フォームの種類(ポリウレタン、イソシアヌレート変性ポリウレタン、ウレタン変性ポリイソシアヌレート、ポリイソシアヌレート)や、後述する水の配合量、物性等に応じて適宜に選択され、一般に、イソシアネート基の数と水酸基の数の比率を示すNCO/OHインデックス(当量比)が0.8〜3.0程度の範囲で設定されるが、ポリウレタン型の場合には、0.8〜1.3程度、また、イソシアヌレート型の場合には、1.3〜3.0程度の範囲とされる。
また、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物の他の構成成分の一つである(C)水は、ポリイソシアネート成分との反応によって、発泡剤として機能する炭酸ガスを発生させる発泡剤源である。本発明においては、後述する(E)アミン系泡化触媒の触媒作用によって、かかる水とポリイソシアネート成分との反応が促進されるため、炭酸ガスの早期の発生が達成され得る。なお、水の配合量は、所望とするフォーム密度に応じて適宜に設定されるが、1質量部未満の場合には、炭酸ガスの発生量が十分ではなく、フォーム密度が高くなって、施工コストがアップする一方、10質量部を超える場合には、フォーム密度が極端に低下して、フォームの脆弱化を惹起するおそれがあるところから、通常、ポリオール成分の100質量部に対して、1〜10質量部の範囲で、好ましくは2〜8質量部、より好ましくは3〜7質量部の範囲で適宜に設定され得る。
さらに、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物の別の構成成分の一つである(D)起泡剤としては、高い起泡性と良好な泡安定性を併せ持つもの、いわゆる石鹸機能に優れているものが望ましく、本発明においては、炭素数が12〜18である脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種、或いは2種以上を組み合わせたものが採用される。このような特定の起泡剤を用いることによって、低温環境下における初期の発泡性や、被着体への接着性が有利に改善され得るようになる。より具体的には、かかる起泡剤が、発泡性原液中に含有される水と接触し、吹き付けられた被着体表面で泡化することによって、上記水とイソシアネート成分との反応で炭酸ガスが発生するまでの間、低温環境下に晒された冷たい被着体表面に発泡性原液が接触して発泡性原液内で発生する反応熱が奪われるようなことが防止され、その反応熱を発泡性原液の泡化や硬化反応に有効に利用することが可能となり、これにより、泡化や硬化がバランス良く促進せしめられて、発泡性原液を低温環境下の被着体に吹き付ける際の、初期の発泡状態や被着体への接着性が極めて効果的に改善され得るようになるのである。なお、かかる起泡剤の炭素数が上記範囲に満たない場合や上記範囲を超える場合には、起泡力とその保持力が不十分なものとなって、所望とする効果を得ることができなくなる。
また、上記起泡剤が、前述せる如きマンニッヒ系ポリオールや後述するアミン系泡化触媒等と組み合わされて用いられることにより、低温環境下で水発泡法による吹き付け発泡を行っても、フォームの発泡倍率を高くすることが可能となり、以て、フォーム全体の密度を有利に低下せしめることができる。その結果、フォーム表面にあるスキン層の硬度が下がって、柔軟性が上がり、施工後の切削作業の効率が高められるといった効果も享受され得るようになる。
ここにおいて、上記起泡剤として使用される炭素数(炭素原子数)12〜18の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、脂肪酸ナトリウム塩(固形石鹸)や脂肪酸カリウム塩(液体石鹸)を挙げることができ、中でも、水発泡法への適応性を考慮すると、ポリオール成分や水への溶解性乃至は混合性が良好であるものが望ましく、脂肪酸カリウム塩がより好適に用いられる。更に、かかる脂肪酸カリウム塩の好適な例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸等のカリウム塩、及びヒマシ油脂肪酸カリウム(主成分:リシノール酸カリウム)等を挙げることができ、これらの中でも、特に、オレイン酸カリウム、リシノール酸カリウム、及びリシノール酸カリウムを主成分とするヒマシ油脂肪酸カリウムにあっては、優れた石鹸機能を有し、低温環境下の被着体表面上で良好に泡化するところから、より一層好適に用いられる。なお、上記脂肪酸カリウム塩は、ヌレート化触媒として、従来よりポリウレタンフォームの製造に用いられているのであるが、本発明においては、所定の脂肪酸カリウム塩の優れた起泡力が、他の構成成分による反応促進効果と相俟って、初期の発泡性や被着体への接着性等が、効果的に改善されるようになっているのである。
そして、上記起泡剤は、一般に、ポリオール成分の100質量部に対して、0.01〜5質量部となる割合で配合され、好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部、更に好ましくは0.3〜1質量部の範囲で配合される。なお、かかる配合量が、ポリオール成分の100質量部に対して、0.01質量部未満では、充分な起泡効果を得ることができず、逆に、5質量部を超えても、起泡作用の更なる向上を図り得ず、経済的ではない。
また、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物の更に別の構成成分の一つである(E)アミン系泡化触媒は、上記ポリイソシアネート成分と水との反応を促進する触媒であって、泡化反応における炭酸ガスの発生時期を早めて、上述の如き各成分を含有する発泡性原液の硬化(樹脂化)反応と泡化反応の良好なバランスを実現するためのものである。このようなアミン系泡化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール等を挙げることができ、これらは、単独で或いは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、作業者や環境への悪影響を考慮すると、上記ポリイソシアネート成分と反応してポリウレタンの構造中に組み込まれる、分子中に水酸基を1個以上有する反応型アミン系泡化触媒(例えば、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミン)が、アミン系化合物に起因する臭気の発生を防止する点から、好適に用いられるのであり、特に、アミン系泡化触媒中に占める反応型アミン系泡化触媒の割合が、90〜100質量%とされることが望ましい。
なお、上記アミン系泡化触媒の配合量は、使用するアミン系泡化触媒の触媒活性に応じて適宜に設定され、一般に、ポリオール成分の100質量部に対して、1〜20質量部の範囲で設定されるが、好ましくは3〜15質量部、より好ましくは3〜10質量部とされる。かかる配合量が、1質量部未満の場合には、泡化反応での触媒効果を十分に得ることができず、逆に、20質量部を超えても、触媒効果の更なる向上を図り得ず、経済的ではない。
また、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物には、有利には、ウレタン化触媒やヌレート化触媒等の硬化触媒が、上述せる如き各成分(A)〜(E)と共に配合され得るのであり、これにて、上記各成分(A)〜(E)を組み合わせることによって発揮される効果を、より一層顕著に享受し得るようになる。このような硬化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸カリウム、有機酸ビスマス塩等の金属触媒、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、メチルモルホリン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノチル)エーテル、メチルイミダゾール、イソブチルメチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等のアミン触媒を挙げることができ、これらを単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、有機酸ビスマス塩は、低温環境下における反応促進効果に優れているところから、吹き付け初期の発泡性や被着体への接着性をより効果的に高め得ると共に、得られるフォームの密度をより一層低下せしめ、フォームの切削性を更に改善せしめ得るため、また、脱鉛化傾向に沿った触媒であることから、特に好適に用いられる。
このような有機酸ビスマス塩としては、例えば、アビエチン酸ビスマス等の脂環族系有機酸ビスマス塩、安息香酸ビスマス、p−オキシケイ皮酸ビスマス等の芳香族系有機酸ビスマス塩等に代表される樹脂酸ビスマス塩、更に、炭素数8〜20の脂肪酸ビスマス塩等が挙げられ、これらは、単独で用いられても、或いは2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの中でも、水発泡法への適応性の観点から、炭素原子数8〜20の脂肪酸ビスマス塩が、有利に用いられる。かかる脂肪酸ビスマス塩としては、例えば、オクチル酸ビスマス、2−エチルヘキシル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ネオドデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等を挙げることができ、これらのうちの1種が単独で又は2種以上が組み合わされて用いられる。
また、かかる有機酸ビスマス塩等の硬化触媒を配合する場合、その配合量としては、従来の硬質ポリウレタンフォームを製造する場合と同様な配合量が採用され、使用する硬化触媒の触媒活性に応じて、一般に、ポリオール成分の100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲で適宜に設定されることとなる。特に、有機酸ビスマス塩を用いる場合には、重金属含量の低減の観点及び充分な配合効果を得る点から、ポリオール成分の100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部とすることが望ましい。なお、かかる配合割合が、ポリオール成分の100質量部に対して、0.01質量部未満では、添加による効果が得られず、逆に、10質量部を超える場合には、硬化反応が速くなりすぎる傾向があり、炭酸ガスによる発泡と硬化のバランスが悪くなる。
さらに、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物には、フォームの難燃化の観点から、難燃剤が、有利に配合される。かかる難燃剤としては、従来から公知の難燃剤を使用することができるが、中でも、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等の燐酸エステルにあっては、環境への負荷も少なく、発泡性原液の減粘剤としても作用するところから、水発泡法に適した難燃剤として、有利に用いられる。なお、かかる燐酸エステルを配合する場合、その配合量は、目的とするフォーム特性や、使用する難燃剤の種類等に応じて適宜決定され得るが、好ましくは、ポリオール成分の100質量部に対して、10〜60質量部、より好ましくは、10〜40質量部程度の割合とされる。また、かかる燐酸エステル以外の好適な難燃剤として、水酸化アルミニウムを、例示することができる。それら難燃剤は、単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
加えて、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物には、断熱性の観点から、整泡剤が、有利に配合される。かかる整泡剤としては、非イオン系界面活性剤が、好適に用いられるのであり、具体例として、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体等を挙げることができ、これらのうちの1種が単独で或いは2種以上が組み合わされて用いられる。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤にあっては、硬質ポリウレタンフォームに形成される発泡セルのセル壁を強化し得るところから、特に好適に用いられる。なお、整泡剤を配合する場合、その配合量は、目的とするフォーム特性や、使用する整泡剤の種類等に応じて適宜決定され得るが、好ましくは、ポリオール成分の100質量部に対して、0.1〜5質量部程度の割合とされる。
さらに、本発明においては、上記した(A)〜(E)の各必須成分、有利に添加される硬化触媒、難燃剤及び整泡剤の他にも、必要に応じて、尿素、メラミン等のホルムアルデヒド捕捉剤、トリメチルメトキシシラン等の気泡微細化剤、可塑剤、補強基材等を、適宜、配合することが可能である。
ところで、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物は、上述せる如きポリオール成分に対して、水、起泡剤、アミン系泡化触媒、及び、その他必要に応じて用いられる硬化触媒、難燃剤、整泡剤等の各種助剤を配合したプレミックス液(ポリオール組成物)に、更に、ポリイソシアネート成分を組み合わせた組成物であって、これらの各種原料成分を、公知の混合装置にて攪拌、混合することにより、調製される発泡性原液である。
そして、かかる硬質ポリウレタンフォーム用組成物(発泡性原液)の中でも、例えば、ミキシングヘッドによる高速攪拌混合により調製される発泡性原液は、注入発泡法に好適に適用されて、例えば、電気冷蔵庫等の断熱部位や断熱ボードのハニカム構造内に注入充填されて、発泡・硬化せしめられ、硬質ポリウレタンフォームとされる一方、ノズル噴射による高圧衝突混合により調製される発泡性原液は、吹き付け発泡法に好適に適用されて、スプレーガンヘッドから被着体に直接吹き付けられて、発泡・硬化せしめられ、硬質ポリウレタンフォームとされる。このように、本発明に従う硬質ポリウレタンフォーム用組成物は、注入発泡法及び吹き付け発泡法の何れの場合にも用いられ、低温環境下における初期の発泡性が有利に改善され得るようになるのであるが、本発明においては、特に、吹き付け発泡法を採用する現場施工用の硬質ポリウレタンフォーム用組成物として、好適に用いられる。
また、上記吹き付け発泡法によって、発泡及び硬化せしめて得られる硬質ポリウレタンフォームにあっては、低密度であり、接着性に優れ、被着体からの剥離が生じ難くなっていると共に、代替フロン発泡法により形成されるフォームと遜色のない程度の柔軟性乃至は表面硬度を有し、切削性にも優れたものとなっているのである。しかも、マンニッヒ系ポリオールを50%以上の割合で含有するポリオール成分を用いて形成されているところから、難燃性も高められているのである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
(実施例1)
容量500mlのポリビーカー内に、ポリオール成分として、マンニッヒ系ポリオール(商品名:EXCENOL−200R、旭硝子社製)80質量部、グリセリン系ポリエーテルポリオール(商品名:G3000B、ADEKA社製)10質量部、及び、粘度調節剤として作用するポリエチレングリコール(数平均分子量:400)10質量部を入れ、更に、アミン系泡化触媒として、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール5質量部、硬化触媒として、ジブチル錫ジラウレート0.7質量部、起泡剤として、33%ヒマシ油脂肪酸カリウム水溶液(商品名:FR−25、花王株式会社製)3質量部(有効成分:1質量部)、発泡剤源として、水5.5質量部、整泡剤として、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体(商品名:SH193、東レ・ダウコーニング社製)1質量部、難燃剤として、トリス(クロロプロピル)フォスフェート20質量部を入れた後、十分に手混ぜ混合して、ポリオール成分を含むプレミックス液(ポリオール組成物)を調製した(下記表1参照)。
そして、上記のように調製されたプレミックス液(ポリオール組成物)と、ポリイソシアネート成分としてのクルードMDI(商品名:M11S、BASF INOAC ポリウレタン社製)とを、それぞれ、液温10℃に調整した後、NCO/OH=1.05となるように、それぞれを紙コップ(容量500ml)内に秤量後、直ちにホモディスパー(高速攪拌混合機、回転数:8000rpm、特殊機化工業社製)を用いて、泡化開始のクリームタイムまで攪拌混合して、硬質ポリウレタンフォーム用組成物(発泡性原液)を調製した。その後、その調製された発泡性原液を、そのまま、常温で、発泡硬化せしめることにより、硬質ポリウレタンフォーム用組成物を得た。
また、発泡性原液の反応性を判断するために、クリームタイム(C.T)、ゲルタイム(G.T)及びライズタイム(R.T)を測定したところ、それらの時間は、下記表2に示すように、C.Tから順に、4秒、8秒及び15秒であった。なお、ここにおいて、C.Tとは、プレミックス液(ポリオール組成物)とイソシアネート成分の混合開始から発泡が始まるまでの時間、G.Tとは、前記成分の混合開始からフォームの表面が糸引き可能な粘着性を示すまでの時間、及び、R.Tとは、前記成分の混合開始から発泡が終了するまでの時間を、それぞれ示している。更にまた、得られた硬質ポリウレタンフォームの密度(フリー密度)を、JIS K 7222に準拠して測定したところ、下記表2に示すように、26.0kg/m3 であった。
また一方、上述の如き手順で調製されたポリオール成分を含むプレミックス液と、ポリイソシアネート成分としてのクルードMDI(商品名:M11S、BASF INOAC ポリウレタン社製)とを、現場スプレー発泡機(商品名:FF−1600、ガスマー社製)を用いて、攪拌混合して、発泡性原液を調製した。そして、この発泡性原液を、雰囲気温度:5℃、−5℃又は−15℃のそれぞれの条件下において、躯体であるコンクリート板(被着体)の表面に吹き付け、発泡、硬化せしめることにより、厚さ:約30mmの硬質ポリウレタンフォームからなる発泡層を形成せしめた。なお、かかる吹き付けの際、吹き付け開始直後の発泡性原液の発泡状態を観察し、「初期の発泡性」を、後述の評価基準にて評価し、得られた結果を下記表2に示した。
また、吹き付けから5分経過した後、コンクリート板からはみ出た硬質ポリウレタンフォームの端部を、コンクリート板の周縁部に沿ってカッターナイフで切断し、その際の触感により、下記の評価基準にて、雰囲気温度:−15℃で形成されたフォームの「フォーム切削性」を評価した。更に、切断後の切断面、特にコンクリート板とポリウレタンフォームとの接着面を目視で観察し、硬質ポリウレタンフォームの剥離の有無を確認することにより、下記の評価基準で、「接着性」を評価した。また、それぞれの環境温度で作製した硬質ポリウレタンフォームの密度を、JIS K 7222に準じて測定した。更に、各硬質ポリウレタンフォーム(雰囲気温度:−15℃で形成されたフォーム)から燃焼用試験片(300mm×200mm×30mm)を切り出し、かかる燃焼用試験片をガストーチから約100mm離れた位置にセットした後、この燃焼用試験片に対し、30秒間にわたり炎を直接当て、難燃性の評価を下記の評価基準にて行なった。また、これらの結果を、下記表2に併せて示した。
なお、上記「初期の発泡性」の評価基準は、×:液ダレが発生し、表面が平滑でない、△:液ダレが若干発生したが、表面が平滑である、○:液ダレが発生せず、且つ表面が平滑である、◎:○より更に良好な状態である、とした。また、「フォーム切削性」の評価基準は、×:切断の際に大きな力を要し、平滑化作業が困難である、△:切断の際に多少の力を要し、平滑化作業に多少難点がある、○:容易に切断でき、平滑化作業が容易である、とした。更に、「接着性」の評価基準は、×:コンクリート板からのフォームの剥離が認められ、接着性に難点がある、△:コンクリート板からのフォームの剥離が僅かに認められるものの、接着性に問題がない、○:コンクリート板からのフォームの剥離が認められず、接着性に問題がない、とした。また更に、「難燃性」の評価基準は、×:大きな貫通がある、△:若干の貫通が認められる、○:試験後の試験片に貫通がない、とした。
(実施例2〜7及び比較例1〜3)
実施例1において、ポリオール成分を含むプレミックス液における各成分の配合割合や配合成分を下記表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7及び比較例1〜3に係る9種類のプレミックス液を調製した。なお、実施例2では、マンニッヒ系ポリオールとして、後述のマンニッヒ縮合物を用いると共に、硬化触媒として、オクチル酸ビスマス(商品名:プキャット25、日本化学産業株式会社製)を用いた。また、実施例4においては、起泡剤としてオレイン酸カリウムを用い、更に、比較例2では、硬化触媒として、オクチル酸カリウム(商品名:プキャット15G、日本化学産業株式会社製)を、それぞれ、用いた。
なお、上記マンニッヒ縮合物としては、以下のようにして製造されたものを用いた。即ち、先ず、温度計、攪拌機及び還流冷却器を備えた反応容器に、フェノールの1222質量部及びジエタノールアミンの819質量部を仕込み、攪拌状態下で、47質量%ホルマリンの498質量部を、40℃を超えないように発熱を制御しつつ滴下した。滴下終了後、60℃に昇温し、同温度で1時間反応させてから30℃に冷却した。引続き、ジエチルアミンの380質量部を加え、前記と同様の操作で47質量%ホルマリンの332質量部を滴下したのち、60℃で1時間反応させてから40℃に冷却した。次いで、攪拌状態下で、反応系内を20〜60mmHg程度の減圧にすると共に、100℃まで加熱濃縮することにより、マンニッヒ縮合物を製造した。このようにして得られたマンニッヒ縮合物は、水分含有量(カールフィシャー法)が0.4質量%、JIS K 0070に準じて測定される水酸基価が500mgKOH/g、コーンプレート粘度計CV−1S(商品名、東亜工業社製、粘度はコーン型回転子No.5を94rpmで回転開始30秒後の表示値に8を乗じて算出した数値である)で測定された30℃における初期粘度が4450mPa・sであった。
かくして、上記で調製されたプレミックス液と、ポリイソシアネート成分(商品名:M11S)とを用いて、上記実施例1と同様に、C.T、G.T、R.T及び常温における密度(フリー密度)を測定すると共に、現場スプレー発泡機によるコンクリート板への吹き付けを行って、初期の発泡性、フォーム接着性、接着性及び難燃性の評価、並びに密度の測定を行い、得られた結果を下記表2に併せ示した。
Figure 0005049658
Figure 0005049658
かかる表2からも明らかなように、実施例1〜7に係る硬質ポリウレタンフォーム用組成物にあっては、初期の発泡性、接着性、フォーム切削性及び難燃性が、何れも、◎、○又は△となっており、良好であることがわかる。特に、オクチル酸ビスマスが添加された実施例2にあっては、5℃及び−5℃における初期の発泡性が◎となっていると共に、5℃、−5℃及び−15℃における各密度が他の実施例に比べて低く、切削性にも優れていることが認められる。
一方、起泡剤が配合されていない比較例1及び比較例2にあっては、低温環境(−5℃、−15℃)下における初期の発泡性、接着性及びフォーム切削性が良好でないことがわかる。また、マンニッヒ系ポリオールがポリオール成分中に45%しか配合されていない比較例3にあっても、低温環境下(−5℃、−15℃)における初期の発泡性、接着性及びフォーム切削性が良好ではなく、しかも、他の実施例に比べて、難燃性も劣っていることがわかる。

Claims (10)

  1. (A)ポリイソシアネート成分と、
    (B)マンニッヒ系ポリオールを50質量%以上の割合で含有するポリオール成分と、
    (C)水と、
    (D)炭素数12〜18の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の起泡剤と、
    (E)前記ポリイソシアネート成分と前記水との反応を促進せしめるアミン系泡化触媒と、
    を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  2. 前記ポリオール成分中に占めるマンニッヒ系ポリオールの割合が、70質量%以上である請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  3. 前記ポリオール成分中に占めるマンニッヒ系ポリオールの割合が、80質量%以上である請求項2に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  4. 前記ポリオール成分が、グリセリン系ポリエーテルポリオールを含有している請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  5. 前記ポリオール成分が、更にグリコール系ポリエーテルポリオールを含有している請求項4に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  6. 前記起泡剤が、前記脂肪族カルボン酸のカリウム塩である請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  7. 前記脂肪族カルボン酸のカリウム塩が、リシノール酸カリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム及びオレイン酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  8. 硬化触媒としての有機酸ビスマス塩を更に含む請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  9. 燐酸系難燃剤及び/又はシリコーン系界面活性剤を更に含む請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物。
  10. 請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム用組成物を、吹き付け発泡法により、発泡及び硬化せしめてなる硬質ポリウレタンフォーム。
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