JP5048235B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
また、この方法によって連続印刷すると、シリコンシートにおける表面近傍のゴムの膨潤により、シリコンシートの表面の濡れ性が変化して、塗布性の安定した塗布面を形成することができず、さらには、インキの乾燥性が低いと、インキの基盤に対する転写性が低下して、インキのパイリングを生じるという不具合がある。
また、本発明の印刷装置では、前記ガス吹付手段は、前記シリコーンブランケットの表面と間隔を隔てて対向配置され、前記シリコーンブランケットの軸線方向に沿って、細長矩形状に開口されたガスノズルを含み、前記ガスノズルは、前記シリコーンブランケットの軸線方向長さと同幅に設定された開口幅と、前記シリコーンブランケットの周方向に沿って3〜1000μmに設定されたスリット間隔とを有し、前記シリコーンブランケットの表面と前記ガスノズルとの、シリコーンブランケットの径方向に沿う間隔が、0.1〜100mmであることが好適である。
この印刷方法では、まず、図1(a)に示すように、塗布工程において、シリコーンブランケット1の表面の印刷領域において、シリコーンブランケット1の軸線方向のすべての領域にわたってインキ2の塗布面3が形成されるように、シリコーンブランケット1の表面にインキ2を塗布する。
支持フィルム層は、例えば、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムが用いられる。支持層の厚みは、例えば、20〜1000μm、好ましくは、50〜500μmである。表面シリコーンゴム層は、シリコーンゴム(硬度20〜70:JIS A)からなり、その厚みは、例えば、50〜5000μm、好ましくは、100〜2000μmである。表面シリコーンゴム層の表面粗度は、10点平均粗さで、例えば、0.001〜1μm、好ましくは、0.01〜0.5μmである。
なお、シリコーンブランケット1の外径は、印刷面積により適宜選択される。
また、このシリコーンブランケット1では、シリコーンブランケット1の表面の全幅、つまり、シリコーンブランケット1の軸線方向のすべての領域が、印刷領域とされている。
このスリットダイコータ4は、インキ2が供給されるインキ供給部5と、インキ供給部5に連通するように設けられるスリットノズル6とを備えている。
例えば、樹脂、溶剤および顔料などを含有し、インキ2の表面張力が20〜40mN/mであり、溶剤の沸点が70〜200℃であり、インキ2の粘度が1〜50mPa・sであり、表面シリコーンゴム層をインキ2に23℃で24時間浸漬させたときの表面シリコーンゴム層の膨潤率が5〜100%となるインキ2が、好ましく用いられる。
また、溶剤は、好ましくは、その沸点が70〜200℃である。溶剤は、シリコーンブランケット1の表面に対するインキ2の塗布と同時に蒸発を開始して、その蒸発とともに、インキ2の粘度が上昇する。そのため、溶剤の沸点が低い場合には、溶剤の蒸発が速く、インキ2の粘度上昇も速くなるため、溶剤の沸点は、インキ2の粘度とともに塗布性を支配する要因となる。かかる観点から、溶剤の沸点は、好ましくは、上記範囲に設定される。
また、顔料は、カラーフィルターを形成する場合には、例えば、アンスラキノン系レッド顔料、ハロゲン化フタロシアニン系グリーン顔料、フタロシアニン系ブルー顔料などが用いられ、さらに、イエロー顔料やバイオレット顔料などが補助顔料として用いられる。さらに、カラーフィルターの遮光層(ブラックマトリックス)を形成する場合には、例えば、カーボンブラック、酸化鉄(鉄黒)、チタンブラック、硫酸鉄、Fe,Co,Moなどの合金などが用いられる。なお、顔料の平均一次粒子径は、好ましくは、1〜100nmである。
インキ2の表面張力や粘度は、インキ2の溶剤種類や混合割合を適宜選択することにより、適宜調節することができる。
インキ2の表面張力は、上記範囲のなかでも、好ましくは、15〜25mN/mであり、より好ましくは、20〜25mN/mである。インキ2の表面張力が、上記範囲より高いと、シリコーンブランケット1の表面に対する塗布後のインキ2の凝集が生じやすくなる場合がある。また、上記範囲より低いと、シリコーンブランケット1の表面に対する濡れ性がよくなり過ぎて、濡れ広がり形状が不安定となる場合がある。
上記膨潤率は、上記範囲のなかでも、好ましくは、10〜50%であり、より好ましくは、10〜30%である。表面シリコーンゴム層の膨潤率が上記範囲より高いと、表面シリコーンゴム層がインキ2中の溶剤を急速に吸収して、インキ2の乾燥が非常に速くなり、その結果、インキ2の粘度が急激に上昇して、シリコーンブランケット1の表面に対して均一に塗布できない場合がある。また、表面シリコーンゴム層の膨潤率が上記範囲より低いと、シリコーンブランケット1の表面に対するインキ2の弾きが大きくなって、やはり、シリコーンブランケット1の表面に対して均一に塗布できない場合がある。
また、スリットノズル6は、シリコーンブランケット1の表面と間隔を隔てて対向配置されている。スリットノズル6は、シリコーンブランケット1の軸線方向に沿って、細長矩形状に開口されており、シリコーンブランケット1の軸線方向に沿う開口幅(横開口幅)は、シリコーンブランケット1の軸線方向長さと同幅に設定されている。また、シリコーンブランケット1の周方向に沿うスリット間隔(縦開口幅)は、例えば、3〜1000μm、好ましくは、30〜300μmに設定されている。
そして、この印刷方法では、まず、図1(a)に示すように、塗布工程において、スリットダイコータ4のスリットノズル6から、シリコーンブランケット1の表面に、インキ2を連続的に供給することにより、シリコーンブランケット1の表面の全幅(軸線方向長さすべての領域)にわたって、連続的にインキ2の塗布面3を形成していくようにする。
これによって、シリコーンブランケット1の表面には、例えば、3〜20μm、好ましくは、5〜10μmの厚み(インキ2の乾燥前の厚み)のインキ2の塗布面3が形成されていくようになる。
シリコーンブランケット1の表面に塗布されたインキ2を乾燥させるには、特に制限されないが、例えば、シリコーンブランケット1の表面に塗布されたインキ2に、ガスを吹き付けた後、そのインキ2中の溶剤を吸引する。
ガスノズル7は、シリコーンブランケット1の回転方向において、スリットダイコータ4に対して下流側に配置され、シリコーンブランケット1の表面と間隔を隔てて対向配置されている。
また、スリットノズル6とガスノズル7との、シリコーンブランケット1の周方向に沿う間隔L3は、例えば、10〜300mm、好ましくは、50〜150mmに設定されている。
また、ガスを吹き付けた後、インキ2中の溶剤を吸引するには、例えば、図1(a)に示すように、乾燥手段である吸引手段としての吸引ノズル10が用いられる。
吸引ノズル10は、シリコーンブランケット1の回転方向において、ガスノズル7に対して下流側に配置され、シリコーンブランケット1の表面と間隔を隔てて対向配置されている。
また、シリコーンブランケット1の周方向に沿うスリット間隔(縦開口幅)は、広くすると、吸引する面積を広くとることができる一方で、吸引度が低下する。このような観点から、スリット間隔(縦開口幅)は、例えば、10μm〜200mm、好ましくは、50μm〜100mmに設定されている。スリット間隔(縦開口幅)が10μmより狭いと、吸引する面積が非常に狭く、単位面積あたりのインキ2の吸引に過大な時間がかかり、印刷効率の低下を生じる。また、スリット間隔(縦開口幅)が200mmより広いと、吸引度を高めることが困難となり、あるいは、吸引度を高めるために、吸引能力の非常に高い真空ポンプを設備する必要を生じて、コストアップとなる。
また、吸引ノズル10には、吸引ライン11を介して、図示しない真空ポンプが接続されている。
ガスノズル7から吹き付けるガスは、特に制限されないが、例えば、窒素ガスなどが用いられる。また、ガスは、十分に乾燥しているものが好ましく、さらには、次に述べるように、フィルタ9の濾過によりクリーンに処理される。
このようなガスノズル7からのガスの吹き付けによって、次に、吸引ノズル10によりインキ2中の溶剤を吸引するときの、吸引効率を向上させることができる。
吸引ノズル10による吸引は、インキ2中の溶剤を効率的に吸引する観点からは、インキ2中の溶剤の吸引度を、できる限り高くする、つまり、シリコーンブランケット1の表面近傍の真空度を、できる限り高くすることが望ましいが、その一方で、真空度をあまりに高くし過ぎると、シリコーンブランケット1の表面シリコーンゴム層が、その吸引により変形を生じる場合がある。このような観点から、吸引ノズル10による吸引は、シリコーンブランケット1の表面近傍の真空度が、例えば、1.33〜66500Pa、好ましくは、13.3〜13300Paとなるように、吸引ライン11を介して接続される真空ポンプによって吸引する。
これによって、シリコーンブランケット1の表面に塗布されたインキ2の塗布面3が、塗布開始部分や塗布終了部分の如何にかかわらず、均一に乾燥される。
そして、この印刷方法では、図1(b)に示すように、除去工程において、例えば、上記により、均一に乾燥されたインキ2の塗布面3が、その表面の全周にわたって形成されたシリコーンブランケット1を、凹版または凸版としての凹凸版12上に転動させて、インキ2の塗布面3を凹凸版12の凸部13に押圧することにより、その凸部13と接触した部分のインキ2を、凸部13に転写して、シリコーンブランケット1の表面から除去する。
次いで、この印刷方法では、図1(c)に示すように、転写工程において、シリコーンブランケット1の表面において、除去されずに残存したインキ2を、基板14に転写する。基板14は、ガラス基板や樹脂基板などの透明基板から形成されている。
転写工程において、シリコーンブランケット1の転写速度(回転速度)は、例えば、10〜500mm/s、好ましくは、30〜200mm/sである。また、シリコーンブランケット1の基板14に対する押付量(歪量)は、例えば、30〜150μm、好ましくは、50〜100μmである。
実施例1
[シリコーンブランケット]
厚み350μmのポリエチレンテレフタレートからなる支持フィルム層と、厚み600μmのシリコーンゴム(住友ゴム社製、常温硬化型シリコーンゴム付加型、JIS−A40)からなる表面シリコーンゴム層とを備えるシリコーンブランケット(表面の10点平均粗さ0.1μm)を用意して、これを金属胴に巻回した。シリコーンブランケットの外径は、500mmであり、軸線方向長さは、1000mmであった。
[凹凸版]
凸部を、線幅100μm、ピッチ300μm、深さ20μmのストライプパターンで形成した金属からなる凹凸版を用意した。この凹凸版の表面は、硬質クロム処理(厚み10μm)により傷付防止加工がなされ、さらには、研磨処理により鏡面加工がなされている。
[インキの調製]
ポリエステル−メラミン樹脂10重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量部とメチルエチルケトン33重量部との混合溶剤(沸点110℃)、有機顔料(アンスラキノン系レッド顔料(レッドインキの場合)、ハロゲン化フタロシアニン系グリーン顔料(グリーンインキの場合)、フタロシアニン系ブルー顔料(グルーインキの場合)のいずれか)5重量部および分散剤(銅フタロシアニンの誘導体)2重量部を配合して、プラネタリーミキサーで予備攪拌した後、ビーズミルにて分散し、レッドインキ、グリーンインキ、ブルーインキの3色のインキをそれぞれ調製した。
また、上記したシリコーンブランケットの表面シリコーンゴム層をインキに23℃で24時間浸漬させたときの表面シリコーンゴム層の膨潤率は、25%であった。なお、膨潤率は、浸漬前の表面シリコーンゴム層の体積Aと、浸漬後の表面シリコーンゴム層の体積Bとの測定値から、(B−A)/A×100の計算式に基づいて算出した。
[印刷方法]
スリットダイコータにより、シリコーンブランケットの表面に、シリコーンブランケットの軸線方向のすべての領域にわたってインキの塗布面が形成されるように、インキを塗布した。
次いで、シリコーンブランケットの表面に連続的に塗布されたインキ中の溶剤を、吸引ノズルによって連続的に吸引した。吸引ノズルは、シリコーンブランケットの軸線方向に沿って、細長矩形状に開口されており、横開口幅は、シリコーンブランケットの全幅と同幅に設定し、縦開口幅は、100μmに設定した。また、シリコーンブランケットの表面と吸引ノズルとの、シリコーンブランケットの径方向に沿う間隔を、100μmに設定した。
これによって、ガラス基板上に、線幅100μm、ピッチ300μmのストライプパターンとして、厚み2μmのインキが印刷された。印刷後の転写性および転写形状を観察したところ、型抜けなどの印刷不良は、全く確認されなかった。
実施例2
シリコーンブランケットの表面に対するインキの塗布後、吸引ノズルによるインキ中の溶剤の吸引前に、インキの塗布面にガスノズルから窒素ガスを連続的に吹き付けた以外は、実施例1と同じ方法により、ガラス基板にインキを印刷した。
また、実施例1では、シリコーンブランケットに対する塗布速度を、50mm/s以上に設定すると、インキの塗布面において、塗布終了部分の塗布開始部分に対する線幅が10%太くなっていたが、実施例2では、シリコーンブランケットに対する塗布速度を、100mm/s以上に設定しても、インキの塗布面において、塗布終了部分の塗布開始部分に対する線幅を、2%以内に収めることができた。
シリコーンブランケットの表面に対するインキの塗布後、吸引ノズルによるインキ中の溶剤の吸引をしなかった以外は、実施例1と同じ方法により、ガラス基板にインキを印刷した。
転写前に、シリコーンブランケットの表面に塗布されたインキの塗布面において、塗布開始部分と塗布終了部分とで乾燥度がばらついていることを確認した。また、印刷後に、印刷後の転写性および転写形状を観察したところ、塗布開始部分に相当する部分は、型抜けなどの印刷不良が確認されなかったが、塗布終了部分に相当する部分は、型抜けなどの印刷不良が確認された。
2 インキ
3 塗布面
4 スリットダイコータ
7 ガスノズル
10 吸引ノズル
12 凹凸版
13 凸部
14 基板
Claims (3)
- シリコーンブランケットと、
前記シリコーンブランケットの表面の印刷領域において、前記シリコーンブランケットの軸線方向のすべての領域にわたってインキの塗布面が形成されるように、前記シリコーンブランケットの表面にインキを塗布するためのインキ塗布手段と、
前記シリコーンブランケットの表面に塗布されたインキを乾燥させるための乾燥手段と、
前記シリコーンブランケットの表面に形成されたインキの塗布面が押圧され、その押圧により接触した部分のインキを前記シリコーンブランケットの表面から除去するための凸版とを備え、
前記乾燥手段が、前記シリコーンブランケットの表面と間隔を隔てて対向配置され、前記シリコーンブランケットの軸線方向に沿って、細長矩形状に開口された吸引ノズルであり、
前記吸引ノズルは、前記シリコーンブランケットの軸線方向長さと同幅に設定された開口幅と、前記シリコーンブランケットの周方向に沿って10μm〜200mmに設定されたスリット間隔とを有し、
前記シリコーンブランケットの表面と前記吸引ノズルとの、シリコーンブランケットの径方向に沿う間隔が、30μm〜200mmであり、
前記インキ塗布手段と前記吸引ノズルとの、前記シリコーンブランケットの周方向に沿う間隔は、20〜600mmであることを特徴とする、印刷装置。 - 前記乾燥手段は、前記シリコーンブランケットの回転方向において、前記吸引ノズルの上流側に配置され、前記シリコーンブランケットの表面に塗布されたインキに、ガスを吹き付けるためのガス吹き付け手段を、さらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
- 前記ガス吹付手段は、前記シリコーンブランケットの表面と間隔を隔てて対向配置され、前記シリコーンブランケットの軸線方向に沿って、細長矩形状に開口されたガスノズルを含み、
前記ガスノズルは、前記シリコーンブランケットの軸線方向長さと同幅に設定された開口幅と、前記シリコーンブランケットの周方向に沿って3〜1000μmに設定されたスリット間隔とを有し、
前記シリコーンブランケットの表面と前記ガスノズルとの、シリコーンブランケットの径方向に沿う間隔が、0.1〜100mmであることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
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