JP5046957B2 - フッ素系有機溶媒を用いた薬物封入ポリマーミセルを含有する医薬組成物の製造方法 - Google Patents

フッ素系有機溶媒を用いた薬物封入ポリマーミセルを含有する医薬組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、疎水性薬物封入ポリマーミセルを含有する製剤の製造方法、および該製造方法で得ることのできる疎水性薬物封入ポリマーミセルを含有する製剤に関する。
水難溶性または疎水性の薬物の生物学的利用能を高めるべく、薬物をリポソームやポリマーミセルなどの粒子に封入した系が知られている。これらのうち、親水性ポリマーセグメントと疎水性ポリマーセグメントを有するブロックコポリマーを用い、疎水性ポリマーセグメントと薬物との疎水性結合形成能を始めとする相互作用を介して薬物を該ポリマーのミセル中に封入する方法は、広範な薬物への適用が可能であり、しかもナノメーターサイズの非常に小さな、薬物封入ポリマーミセルを提供できることから、特に関心が持たれている。腫瘍部位では新生血管に200nm程度の間隙があることが知られており、ナノメーターサイズの粒子はその間隙から漏れ出し、腫瘍へ蓄積することが知られている。薬物封入ポリマーミセルはその粒子径が大きいと腫瘍への薬物の集積性が減少してしまうことが考えられる。そのため、粒子径は200nm以下、好ましくは150nm以下であることが望ましい。また、治療効果の観点から、ポリマーミセルに封入される薬物量は多い方が望ましい。更に、薬物は往々にして高価であり、経済的及び生産的効率を考慮すると、薬物が高い収率でポリマーミセル内に封入されることが所望される。
親水性セグメントおよび疎水性セグメントを有するブロックコポリマーを使用して疎水性薬物を封入した高分子ミセルの製造方法の典型的なものとしては、例えば、特許第2777530号に記載の下記のa)〜c)の方法や、特開2001−226294号公報に記載の下記d)の方法が知られている。
a)撹拌による薬物の封入法:
疎水性薬物を、必要により水混和性の有機溶媒に溶解して、ブロックコポリマー分散水溶液と撹拌混合する。なお、撹拌混合時に加熱することにより薬物の高分子ミセル内への封入を促進できる場合もある。
b)溶媒揮散法:
疎水性薬物の水非混和性の有機溶媒溶液とブロックコポリマー分散水溶液とを混合し、撹拌しながら有機溶媒を揮散させる。
c)透析法:
水混和性の有機溶媒に疎水性薬物およびブロックコポリマーを溶解した後、得られる溶液を透析膜を用い緩衝液および/または水に対して透析する。
d)その他
水非混和性の有機溶媒に疎水性薬物およびブロックコポリマーを溶解し、得られる溶液を水と混合し、撹拌して水中油(O/W)型エマルジョンを形成し、次いで有機溶媒を揮散させる。
さらに、該薬物とブロックコポリマーをジクロロメタン等の有機溶媒に溶解し、両者を均一に混合した後溶媒を留去し、次いで固体の均一混合物を60℃または40℃で水に溶解して薬物封入ポリマーミセル溶液を調製する、いわゆる、固体分散法または溶媒蒸発法とも称されている方法も提案されている(例えば、Park et.al.,Biomaterials and Drug Delivery toward New Mellenium,2000,321−332;Lavasanifar et.al.,Journal of Controlled Release 77(2001)155−160参照)。
また、親水性セグメントと疎水性セグメントを含んでなるブロックコポリマーおよび疎水性薬物を揮散性の有機溶媒に分散溶解して溶液を形成した後、該有機溶媒を除去し、こうして得られる残存物を水と一緒にし、次いで該残存物が水に均一分散するのに十分な時間、所定の温度で撹拌することで、制御された粒子径の薬物封入ポリマーミセルを含有する製剤の製造方法、いわゆる乾固法が提案されている(特開2003−342168号公報)。
このようにして、いくつかの疎水性薬物、例えばパクリタキセル等については、粒子径が小さく、かつ薬物封入率の高い薬物封入ポリマーミセルの製造が達成されている。しかしながら、上記各種の方法によっても、所定の疎水性薬物、例えばカンプトテシンの場合、粒子径・薬物封入率などに関して満足たるポリマーミセルが得られていないことがある。
カンプトテシンはトポイソメラーゼI阻害活性を有する強力な抗腫瘍剤であるが、生理学的に許容されうる水性媒体には本質的には不溶である。カンプトテシン又はその水難溶性誘導体は非経口投与(皮下、筋肉内、血管内、腹腔内等の経口以外の薬物投与)のため、例えばリポソーム内への封入(特表2001−524512号公報等)、薬物とリン脂質との複合体の形成(特表平10−527454等)、ポリマーミセル内封入(特開平11−335267号公報等)、またはカンプトテシンそれ自体の水溶性の高い誘導体の設計(米国特許4,943,579等)が提案されているが、いずれの方法によっても満足たる成果は得られていない。例えば、特開平11−335267号公報では、カンプトテシンをポリエチレングリコール−ポリ(β−ベンジル−L−アスパラギン酸)ブロックコポリマー(PEG鎖分子量12,000、PBLA鎖分子量3,500)に封入した実施例(ポリマーの重量に対する薬物の重量の比が10%)が記載されているが、超音波処理後の粒子径は386nmといった大きいものである。また特開2003−342167号公報では、カンプトテシンをポリエチレングリコール−ポリ(β−ベンジル−L−アスパラギン酸)ブロックコポリマー(PEG鎖分子量12,000、PBLA鎖長50アミノ酸残基)のPBLA側鎖ベンジル基の加水分解率50%、または未加水分解物に封入した実施例(ポリマーの重量に対する薬物重量の比が2%)が記載されているが、前者の封入率は2.77%、後者は4.42%である。
本発明の課題は、カンプトテシン及びその水難溶性誘導体を含む広範囲の疎水性薬物について、高い薬物封入率で、粒子径の小さい疎水性薬物封入ポリマーミセルを効率よく製造する方法を提供することにある。
本願発明は以下の態様を含む。
(1)疎水性薬物を封入したポリマーミセルを含有する医薬組成物の製造方法であって、親水性セグメント及び疎水性セグメントを含んで成るブロックコポリマーと、前記疎水性薬物とを揮発性フッ素系有機溶媒に溶解する工程を含むことを特徴とする製造方法。
(2)前記揮発性フッ素系有機溶媒がアルコール性有機溶媒である、(1)の方法。
(3)前記揮発性フッ素系有機溶媒が、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)又は2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)である、(1)の方法。
(4)前記疎水性薬物が制癌剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗アレルギー薬、抗炎症剤、抗ウィルス剤及びプロスタグランジン類からなる群から選択される、(1)〜(3)のいずれかの方法。
(5)前記疎水性薬物が、カンプトテシン、カンプトテシン誘導体、パモ酸ピルビニウム、アンフォテリシンB、ナイスタチン、ドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、メトトレキサート、マイトマイシンC、パクリタキセル、ビンクリスチン及びプロスタグランジンからなる群から選択される、(4)の方法。
(6)前記カンプトテシン誘導体が7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(以下、SN−38)、イリノテカン又はトポテカンである、(5)の方法。
(7)前記ブロックコポリマーがポリエチレングリコール(PEG)からなる親水性セグメントと、ポリアミノ酸誘導体からなる疎水性セグメントとを含んで成る、(1)〜(6)のいずれかの方法。
(8)前記ブロックコポリマーが下記式(I)又は(II)である、(7)の方法。
Figure 0005046957
または
Figure 0005046957
(上記各式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい官能基が置換したもしくは未置換低級アルキル基を表し、Rは水素原子、飽和もしくは不飽和のC〜C29脂肪族カルボニル基またはアリールカルボニル基を表し、Rは水酸基、飽和もしくは不飽和のC〜C30脂肪族オキシ基またはアリール−低級アルキルオキシ基を表し、Rは水素原子、フェニル基、フェニル基で置換したもしくは未置換の、直鎖または鎖状のC〜C16アルキル基またはベンジル基を表す。(但し、Rは1つのブロックコポリマー内の各アミノ酸ユニットにおいて任意に選択可能である。)LおよびLは、それぞれ独立して連結基を表し、nは10〜2500の整数であり、xは10〜300となる整数であり、yは1又は2の整数を表す。)
(9)前記ブロックコポリマーと前記疎水性薬物とを前記揮発性フッ素系有機溶媒に溶解した後、該有機溶媒を除去し、得られた残存物に適当な水性媒体を加え、溶解するのに十分な時間、適当な温度で攪拌する工程をさらに含んでなる、(1)〜(8)のいずれかの方法。
(10)前記水性媒体が水、PBS又はpH3〜8の水性緩衝液であり、前記攪拌温度が40℃以下である、(9)の方法。
(11)(1)〜(10)のいずれかの方法によって製造された、疎水性薬物を封入したポリマーミセルを含有する医薬組成物。
(12)前記ポリマーミセルの平均粒子径が200nm以下であることを特徴とする、(11)の疎水性薬物を封入したポリマーミセルを含有する医薬組成物。
(13)前記ポリマーミセルの平均粒子径が150nm以下であることを特徴とする、(12)の疎水性薬物を封入したポリマーミセルを含有する医薬組成物。
本発明により、カンプトテシン及びその水難溶性誘導体を含む広範囲の疎水性薬物について、高い薬物封入率で、粒子径の小さい疎水性薬物封入ポリマーミセルを効率よく製造することができる。
本発明者は、驚くべきことに、カンプトテシンやその水難溶性誘導体をはじめとする従来技術では高い封入率で粒子径の小さい薬物封入ポリマーミセルを形成することが困難とされていた疎水性薬物について、その製造の際の溶媒として揮発性フッ素系有機溶媒を用いることにより、封入率、ミセル粒子径に関する問題の解消を図ることができた。
溶媒として揮発性フッ素系有機溶媒を利用すると、平均粒子径が200nm以下、より好ましくは150nm以下であり、かつ従来法に比べ高封入率のミセル製剤の調製に成功した(封入率の計算方法は後述する)。またカンプトテシン誘導体、SN−38においても、平均粒子径が150nm以下であり、薬物の濃度として少なくとも7.5mg/mlの高濃度ミセル製剤を調製することが可能であった。
揮発性フッ素系有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)など、大気圧での沸点が比較的低く、例えば約50〜80℃程度のものが挙げられ、とりわけアルコール性溶媒が好ましい。
揮発性フッ素系有機溶媒は、ポリマーミセルの形成において従来よく用いられているジクロロメタン、クロロホルムといった塩素系有機溶媒と比べ毒性が低いという利点も有する。この点からみても、揮発性フッ素系有機溶媒を用いた調製法はすぐれている。
本発明の方法に従い、ポリマーミセルに効率よく封入できる疎水性薬物は、疎水性であるという性質を有するものであれば特に限定されるものではない。かかる薬物としては制癌剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗アレルギー薬、抗炎症剤、抗ウィルス剤、プロスタグラジン類などが挙げられるが、種類に限定されることはなく、様々なものであってよい。好ましくは、本発明において有用な疎水性薬物はカンプトテシン、又はカンプトテシン誘導体、例えばSN−38、イリノテカン又はトポテカン、あるいはパモ酸ピルビニウム、アンフォテリシンB又はナイスタチンなどである。その他の薬剤としては、例えばドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、メトトレキサート、マイトマイシンC、パクリタキセル、ビンクリスチン、ナリジクス酸、プロスタグランジンなどが挙げられる。
使用する薬物の量は特に制限されないが、一般的にはブロックコポリマーと疎水性薬物の総質量に対して、薬物含量で0.1〜50、好ましくは5〜30質量%が使用される。
ミセル製剤の調製方法は、上述のとおりいくつかの方法があるが、本発明に係るポリマーミセル含有組成物の製造方法においては、限定されるわけではないが、簡単には以下のとおりにして実施できる。
疎水性薬物とブロックコポリマーを上記揮発性フッ素系有機溶媒に溶解する。またこれらの溶媒を、任意的にアセトン、メタノール、エタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル及び/又はテトラヒドロフランなど他の揮発性溶媒と混合して用いることもできる。また、必要であれば少量の水を混和してもよい。十分に溶解した後に該有機溶媒を蒸散除去する。溶媒除去して得られたフィルム、ペーストまたは固形物に徐々に水、緩衝液または適当な安定化剤などの添加物を加えた水性媒体を加え、激しく攪拌し、フィルム、ペーストまたは固形物を徐々に水中に分散・溶解する。これを超音波などの処理を行い、均一に分散・微小化してミセルとする。このとき、あらかじめ有機溶媒に薬物を溶解させておき、その後、そこへブロックコポリマー、安定化剤などの添加物を添加してもよい。
本願明細書における疎水性薬物の封入効率の指標となる「封入率」は以下のとおりにして求めることができる。
ポリマーミセル製造方法の最終段階で超音波処理を行った後のサンプルを「超音波処理ポリマーミセル」とする。この超音波処理ポリマーミセルを親水性シリンジフィルター(Millex−GV(登録商標)、PVDF 0.22μm、13mm/33mm、ミリポア社製)を用いて濾過したものを、「フィルター処理ポリマーミセル」とする。本願明細書でいう、「0.22μmフィルターろ過処理後の疎水性薬物の封入率」とは、「フィルター処理ポリマーミセル」中に封入された薬物量を、「超音波処理ポリマーミセル」中に封入された薬物量で除した値をさす。
封入率(%)
=「フィルター処理ポリマーミセル」中の薬物量/「超音波処理ポリマーミセル」中の薬物量×100
ミセルは親水性フィルターを通過できるため、ミセルに封入されていない薬物はフィルターにトラップされると考えられる。薬物の量は、例えば分光光度計もしくはHPLCにて計測することができる。この封入率は高いほど薬物の損失を防ぐことができ、薬物封入ポリマーミセルの生産効率が向上する。従ってその値が高いほど好ましい。
ポリマーミセルの平均粒子径は当業者に周知の方法により測定することができ、例えば動的光散乱光度計(大塚電子(株)、DLS−7000DL)を用い、その説明書に従って行うことができ、例えばHistogram Results G(IS)の平均値として平均粒子径を表わすことができる。
本発明の薬物封入ポリマーミセルを形成するのに用いることのできるポリマーは、親水性セグメントと疎水性セグメントを含んでなるブロックコポリマーであり、これらのブロックコポリマーは、本発明の目的に沿うものであれば、いかなる親水性セグメントといかなる疎水性セグメントとを含むものであってもよいが、具体的には、次のようなものを包含する。
限定されるものでないが、親水性セグメントとしては、ポリ(エチレングリコール)[またはポリ(エチレンオキシド)]、ポリサッカライド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリアミノ酸あるいはこれらの誘導体由来のセグメントが挙げられる。ここでポリサッカライドとしては、デンプン、デキストラン、フルクタン、ガラクタン等が挙げられる。これらのうち、ポリ(エチレングリコール)セグメントは片末端に種々の官能基を有するものが提供されており、また、セグメントの大きさも制御されたものが容易に利用できることから、好ましい。
他方、限定されるものでないが、疎水性セグメントとしては、ポリ[(メタ)アクリル酸アルキル−コ−(メタ)アクリル酸]、ポリ(アスパラギン酸誘導体)、ポリ(グルタミン酸誘導体)、例えばポリ(β−アルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アリルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アラルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(γ−アルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(γ−アラルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(β−アルキルアスパルタミド−コ−アスパラギン酸)およびポリ(γ−アラルキルグルタミド−コ−グルタミン酸)などのポリ(アミノ酸誘導体)を挙げることができる。
本発明で用いることのできるブロックコポリマーは、上記の親水性セグメントと疎水性セグメントからなり、水性媒体(例えば、水または緩衝化された水もしくは水混和性溶媒、メタノール、ポリエチレングリコール、糖類、等を含有する水性溶液)中でポリマーミセルを形成しうる、それぞれの分子量を有するセグメントの組み合わせからなるすべてを挙げることができるが、好ましくは、親水性セグメントがポリ(エチレングリコール)からなり、疎水性セグメントが上記のポリ(アミノ酸誘導)からなるものである。
任意的に、このようなポリ(アミノ酸誘導体)セグメントは、それ自体公知の、例えば、ポリ(β−ベンジルアスパルテート)またはポリ(γ−ベンジルグルタメート)のベンジル基を部分加水分解によって、所望の割合でカルボキシル基を側鎖にもつ疎水性セグメントにすることができる。別の方法としては、ポリ(β−ベンジルアスパルテート)またはポリ(γ−ベンジルグルタメート)のベンジル基を完全にアルカリ加水分解し、所望の割合で疎水性基をエステル結合またはアミド結合により側鎖に導入することができる。疎水性基はポリアミノ酸誘導体セグメントを疎水性基にすることができる基であれば特に限定されない。アスパラギン酸、グルタミン酸は、いずれかの光学活性型のものであるか、それらの混合物であることができる。以上の親水性セグメントと疎水性セグメントは、それ自体既知の連結基、例えば、エステル結合、アミド結合、イミノ基、炭素−炭素結合、エーテル結合等を介して連結されうる。
特に、製造容易であり、本発明で都合よく使用できるブロックコポリマーとしては、下記式(I)および(II)で示すことのできるものを挙げることができる。
Figure 0005046957
または
Figure 0005046957
上記各式中RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい官能基が置換したもしくは未置換低級アルキル基を表し、Rは水素原子、飽和もしくは不飽和のC〜C29脂肪族カルボニル基またはアリールカルボニル基を表し、Rは水酸基、飽和もしくは不飽和のC〜C30脂肪族オキシ基またはアリール−低級アルキルオキシ基を表し、Rは水素原子、フェニル基、フェニル基で置換したもしくは未置換の、直鎖または鎖状のC〜C16アルキル基またはベンジル基を表す。(但し、Rは1つのブロックコポリマー内の各アミノ酸ユニットにおいて任意に選択可能である。疎水性セグメントのRにおいて水素原子を選択する場合、全アミノ酸ユニット数に占める割合は70%以下であり、好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下であり、その他のRは疎水性基が占める。)LおよびLは、それぞれ独立して連結基を表し、nは10〜2500、好ましくは20〜1000、より好ましくは5〜100の整数であり、xは10〜300、好ましくは10〜80となる整数であり、yは1又は2の整数を表す。保護されていてもよい官能基としては、ヒドロキシル基、アセタール、ケタール、アルデヒド、糖残基等が挙げられる。RおよびRが保護されていてもよい官能基が置換した低級アルキル基を表す場合の親水性セグメントは、例えば、WO96/33233、WO96/32434、WO97/06202に記載の方法に従うことができる。低級アルキルとは炭素数が例えば7個以下、好ましくは4個以下の直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル基などが含まれる。
連結基は、主として、ブロックコポリマーの製造方法により変化しうるので限定されるものでないが、具体的なものとしては、Lが−NH−、−O−、−O−Z−NH−、−CO−、−CH−、−O−Z−S−Z−および−OCO−Z−NH−(ここで、Zは独立してC〜Cアルキレン基である。)からなる群より選ばれ、Lが−OCO−Z−CO−および−NHCO−Z−CO−(ここで、ZはC〜Cアルキレン基である。)からなる群より選ばれる基を挙げることができる。
本発明の方法では、上記のブロックコポリマーと薬物を上記揮散性フッ素系有機溶媒に分散溶解する。分散溶解するとは、溶質たるブロックコポリマーと薬物とを完全に溶解した状態だけでなく、可溶化され、例えば、ポリマーミセルとして分散している状態にすることを意味する。また、本明細書で溶液という場合、上記のような分散状態をも包含することがあることに注意されたい。上記分散溶解は、薬物の特性で加熱することが可能であれば、溶媒の沸点まで加熱してよいが、常温以下、溶媒の凝固点を超える温度で溶質を均質撹拌することにより実施する。
こうして溶液を形成した後、必要により減圧下で溶媒を蒸発除去する。本発明では、溶媒は必ずしも完全に除去する必要はないが、溶媒除去後の残存物がペースト状ないし固形状を保つようになればよい。しかし、その後得られる薬物封入ポリマーミセル含有水性溶液をそのまま注射剤とする場合には、溶媒は実質的に完全に除去されることが好ましい。
次に、ペースト状ないしは固形状の残存物を水性媒体と一緒にし(残存物に水性媒体を加えるか、または水性媒体に残存物を加えてもよい)、適当な温度、例えば40℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは10℃または5℃以下の温度で撹拌する。必要により、超音波処理をしてもよい。この撹拌は、ブロックコポリマーと薬物とからなる残存物が、ほぼ完全に均一分散されるのに十分な時間行われる。ポリマーの種類および薬物の種類によって均一分散される時間は変動するので限定されないが、一般的に、5時間以上、24時間以内の撹拌時間が好ましいであろう。残存物と水性媒体の量比は、1:10〜1:1000であることができる。水性媒体は水、緩衝液、適当な可溶化剤、安定化剤などを含んでよい。緩衝液としてはPBS、その他pH3〜8程度の適当な生理学的に許容される緩衝液を使用できる。
こうして、水溶液中には、薬物封入ポリマーミセルが形成され、存在する。必要であれば、この水溶液を孔径0.22μm(220nm)の親水性フィルターで濾過する。0.22μmのフィルターは、通常、注射剤(静脈注射用、動脈注射用、筋肉注射用、腹腔内注射用、等)の調製に際して、使用されることが公知である。上記薬物封入ポリマーミセル水溶液は、0.22μmのフィルターを用いて除菌濾過しても、上述のとおり、極めて高収率で除菌済み薬物封入ポリマーミセル水溶液が得られることになる。すなわち、本発明によれば、注射剤が効率よく提供できる。このような注射剤は、本発明の好適な態様の一つとして、各種の糖類および/または各種のポリエチレングリコール(マクロゴール)を、除菌濾過前の薬物封入ポリマーミセル水溶液(または水性溶液)に加える工程をさらに含んでなる方法により製造できる。限定されるものでないが、使用できる糖類としては、マルトース、トレハロース、キシリトール、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、マンニトールおよびデキストリン等が挙げられ、使用できるポリエチレングリコールとしては、分子量が約1000〜約35000であって、例えば、マクロゴール1000、1540、4000、6000、20000および35000等が挙げられる。これらの助剤は、上記残存物と水とを一緒にするとき、水に含めていても、あるいは残存物からの薬物封入ポリマーミセルが水中に分散溶解した後に加え、その後、全体を除菌濾過してもよい。こうして、本発明によれば、注射剤中で薬物封入ポリマーミセルを安定化しうる助剤を注射剤に簡易、かつ、安全に加えることができる。
このような注射剤は簡易、かつ、安全に製造できるだけでなく、それらを凍結乾燥した場合には、乾燥製剤を水または水性溶液を用いて薬物封入ポリマーミセル含有溶液に再溶解または再構成するときでも、ミセル粒子間での凝集がほとんど起こらない注射液が提供できる。
凍結乾燥製剤が上記のような作用効果を奏するには、凍結乾燥前の溶液における糖類は、その最終濃度が0.1〜15質量%になるように加え、ポリエチレングリコールはその最終濃度が0.5〜10質量%になるように加えるのがよい。通常、ブロックコポリマーと糖類またはポリエチレングリコールとの割合は、それぞれ質量で1:1〜1:10または1:0.5〜1:10である。
以下に比較例、実施例を示し、本発明を具体的に示す。
以下においては、ポリエチレングリコール−ポリ(β−ベンジル−L−アスパラギン酸)ブロックコポリマーをPEG−PBLAと略し、ポリエチレングリコール−ポリ(γ−ベンジル−L−グルタミン酸)ブロックコポリマーをPEG−PBLGと略す。また、例えばブロックコポリマーのPEG鎖の平均分子量12,000、ポリアミノ酸鎖50残基、ポリアミノ酸側鎖のベンジル基の導入率が50%の場合、各ブロックコポリマーの後に、12−50(50%)と表記する。
比較例1(SN−38ミセルの調製)
SN−38 1mgおよびPEG−PBLA 12−50(50%)、PEG−PBLA 12−50(100%)、PEG−PBLA 5−20(100%)、PEG−PBLA 12−20(100%)、PEG−PBLG 12−40(100%)、PEG−PBLG 12−40(50%)それぞれをポリマーに対する薬物の重量比(以下「薬物比」)が5、10、20、30%(w/w)になるようにスクリュー管に秤量し、ジクロロメタン、メタノールもしくはジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒を加え、撹拌した。次に窒素ガスを吹き付けることにより、溶媒を揮散させ乾固させた。その後、真空ポンプを用いて減圧乾燥し、さらに乾燥を行った。得られた乾燥物に水3mlを加え、遮光下、冷所にて一昼夜激しく撹拌した。
その後、プローブ式超音波発生装置(Biorupter,High power unit、日本精機製作所製)を用い、インターバル1秒、レベル4、氷水中にて5分間超音波を照射し、これを超音波処理ポリマーミセルとした。その一部をとり、動的光散乱光度計(大塚電子(株)、DLS−7000DL)にて平均粒子径の測定を行った。さらに超音波処理ポリマーミセルを親水性シリンジフィルター(Millex−GV(登録商標)PVDF 0.22μm、13mm/33mm、ミリポア社製)を用いて濾過したものを、フィルター処理ポリマーミセルとした。親水性フィルターにて濾過された薬物をミセル中に封入されたものとみなし、分光光度計(Beckman coulter,DU 640)もしくはHPLC(Waters alliance、カラム;TSK−GEL ODS−80Ts,Tosoh)にて封入率を算出した。その結果を以下の表1に示す。
Figure 0005046957
超音波処理ポリマーミセルの平均粒子径は、ジクロロメタン、メタノール又はジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒を用いた場合には200nmよりも大きかった。
フィルター処理ポリマーミセルの封入率は、最も高いもので35.8%であった。
比較例2(カンプトテシンミセルの調製・乾固法)
カンプトテシン1mgおよびPEG−PBLA 12−50(50%)、PEG−PBLA 5−20(100%)、PEG−PBLA 12−20(100%)、PEG−PBLG 12−40(100%)又はPEG−PBLG 12−40(50%)を薬物比が5又は10%になるようにスクリュー管に秤量し、ジクロロメタン、もしくはジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒を加え、撹拌した。次に窒素ガスを吹き付けることにより、溶媒を揮散させ乾固させた。その後、真空ポンプを用いて減圧乾燥し、さらに乾燥を行った。得られた乾燥物に水3mlを加え、遮光下、冷所にて一昼夜激しく撹拌した。
その後、比較例1と同様にプローブ式超音波発生装置にて5分間超音波を照射し、一部について平均粒子径の測定を行った。その結果を以下の表2に示す。
Figure 0005046957
超音波処理ポリマーミセルの平均粒子径は、全て200nmよりも大きかった。また、フィルター処理ポリマーミセルの封入率は、最も高いもので54.5%であった。
実施例1−1(フッ素系有機溶媒によるSN−38ミセルの調製)
SN−38 1mgおよびPEG−PBLA 12−50(50%)、PEG−PBLA 12−50(100%)、PEG−PBLA 12−40(100%)、PEG−PBLA 5−20(100%)、PEG−PBLA 12−20(100%)、PEG−PBLG 12−40(50%)、PEG−PBLG 12−40(0%)それぞれを薬物重量比が5又は10%(w/w)になるようにをスクリュー管に秤量し、HFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)またはTFE(2,2,2−トリフルオロエタノール)を加え、撹拌溶解した。次に窒素ガスを吹き付けることにより、溶媒を揮散させ乾固させた。その後、真空ポンプを用いて減圧乾燥し、さらに乾燥を行った。得られた乾燥物に水3mlを加え、遮光下、冷所にて一昼夜激しく撹拌した。
その後、比較例と同様にプローブ式超音波発生装置にて5分間超音波を照射し、これを超音波処理ポリマーミセルとした。その一部をとり、動的光散乱光度計(大塚電子(株)、DLS−7000DL)にて粒子径測定を行った。さらに超音波処理ポリマーミセルをシリンジフィルター(Millex−GV(登録商標)PVDF 0.22μm、13mm/33mm、ミリポア社製)を用いて濾過したものを、フィルター処理ポリマーミセルとした。親水性フィルターにてろ過された薬物をミセル中に封入されたものとみなし、分光光度計(Beckman coulter,DU 640)もしくはHPLC(Waters alliance、カラム;TSK−GEL ODS−80Ts,Tososh)にて封入率を算出した。その結果を以下の表3に示す。
Figure 0005046957
超音波処理ポリマーミセルの平均粒子径は全て150nm以下であり、フィルター処理ポリマーミセルの封入率は、同様のポリマーを用いて従来法で調製したものと比べ(表1と比べ)大変高かった。
実施例1−2(フッ素系有機溶媒によるSN−38ミセルの調製・高濃度薬物含有ミセル製剤の調製)
SN−38 15mgおよびPEG−PBLA12−50(50%)150mg又は75mgをスクリュー管に秤量し、HFIPを加え、撹拌溶解した。次に窒素ガスを吹き付けることにより、溶媒を揮散させ乾固させた。その後、真空ポンプを用いて減圧乾燥し、さらに乾燥を行った。得られた乾燥物に水3mlを加え、遮光下、冷所にて一昼夜激しく撹拌した。
その後、比較例と同様に超音波処理を行い、その一部について平均粒子径の測定を行った。つづいてシリンジフィルターを用いて濾過し、封入率を算出し、SN−38の高濃度の製剤化を試みた。
その結果、超音波処理ポリマーミセルの平均粒子径は薬物比10%で96.8nmであり、薬物比20%で101.4nmであった。フィルター処理ポリマーミセルの封入率は薬物比10%で93.9%、薬物比20%で78.6%であり、SN−38の濃度として少なくとも7.5mg/mlまで高濃度のミセル製剤を調製可能であった。
実施例2(カンプトテシンミセルの調製・フッ素系有機溶媒による乾固法)
カンプトテシン1mgおよびPEG−PBLA12−50(50%)10mgをスクリュー管に秤量し、HFIPまたはTFEを加え、撹拌溶解した。次に窒素ガスを吹き付けることにより、溶媒を揮散させ乾固させた。その後、真空ポンプを用いて減圧乾燥し、さらに乾燥を行った。得られた乾燥物に水3mlを加え、遮光下、冷所にて一昼夜激しく撹拌した。
その後、比較例と同様に超音波処理を行い、その一部について平均粒子径の測定を行った。つづいてシリンジフィルターを用いて濾過し、封入率を求めた。その結果を以下の表4に示す。
Figure 0005046957
超音波処理ポリマーミセルの平均粒子径は、HFIPを用いた場合には薬物比10%で73.6nm、TFEを用いた場合には薬物比10%で104.2nmであった。
封入率は、HFIPを用いた場合には薬物比10%で94.0%、TFEを用いた場合には薬物比10%で97.3%であった。
実施例3(各薬物・化合物のミセル調製・従来の方法とフッ素系有機溶媒を用いた方法との比較)
各種薬物・化合物1mgおよびPEG−PBLA12−50(50%)10mgをスクリュー管に秤量し、HFIPを加え、撹拌溶解した。また比較として、ジクロロメタンを用いた。次に窒素ガスを吹き付けることにより、溶媒を揮散させ乾固させた。その後、真空ポンプを用いて減圧乾燥し、さらに乾燥を行った。得られた乾燥物に水3mlを加え、遮光下、冷所にて一昼夜激しく撹拌した。
その後、前述と同様に超音波処理を行い、その一部について平均粒子径の測定を行った。つづいてシリンジフィルターを用いてろ過し、封入率を算出した。その結果、以下の表5に示す薬物について、ポリマーミセルの製造の際に揮発性フッ素系有機溶媒を使用することで、ミセルの粒子径を小さく抑えながら、薬物封入率の高いポリマーミセルが形成されることが認められた。
Figure 0005046957

Claims (10)

  1. 疎水性薬物を封入したポリマーミセルを含有する医薬組成物の製造方法であって、親水性セグメント及び疎水性セグメントを含んで成るブロックコポリマーと、前記疎水性薬物とを揮発性フッ素系有機溶媒に溶解する工程を含むことを特徴とする製造方法。
  2. 前記揮発性フッ素系有機溶媒がアルコール性有機溶媒である、請求項1記載の方法。
  3. 前記揮発性フッ素系有機溶媒が、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)又は2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)である、請求項1記載の方法。
  4. 前記疎水性薬物が制癌剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗アレルギー薬、抗炎症剤、抗ウィルス剤及びプロスタグランジン類からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記疎水性薬物が、カンプトテシン、カンプトテシン誘導体、パモ酸ピルビニウム、アンフォテリシンB、ナイスタチン、ドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、メトトレキサート、マイトマイシンC、パクリタキセル、ビンクリスチン及びプロスタグランジンからなる群から選択される、請求項4記載の方法。
  6. 前記カンプトテシン誘導体が7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカン又はトポテカンである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ブロックコポリマーがポリエチレングリコール(PEG)からなる親水性セグメントと、ポリアミノ酸又はその誘導体からなる疎水性セグメントとを含んで成る、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記ブロックコポリマーが下記式(I)又は(II)である、請求項7記載の方法。
    Figure 0005046957
    または
    Figure 0005046957
    (上記各式中、R1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい官能基が置換したもしくは未置換低級アルキル基を表し、R2は水素原子、飽和もしくは不飽和のC1〜C29脂肪族カルボニル基またはアリールカルボニル基を表し、R4は水酸基、飽和もしくは不飽和のC1〜C30脂肪族オキシ基またはアリール−低級アルキルオキシ基を表し、R5は水素原子、フェニル基、フェニル基で置換したもしくは未置換の、直鎖または鎖状のC1〜C16アルキル基またはベンジル基を表す。(但し、R5は1つのブロックコポリマー内の各アミノ酸ユニットにおいて任意に選択可能である。)L1およびL2は、それぞれ独立して連結基を表し、nは10〜2500の整数であり、xは10〜300となる整数であり、yは1又は2の整数を表す。)
  9. 前記ブロックコポリマーと前記疎水性薬物とを前記揮発性フッ素系有機溶媒に溶解した後、該有機溶媒を除去し、得られた残存物に適当な水性媒体を加え、溶解するのに十分な時間、適当な温度で攪拌する工程をさらに含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記水性媒体が水、PBS又はpH3〜8の水性緩衝液であり、前記攪拌温度が40℃以下である、請求項9に記載の方法。
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