以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
(実施の形態1)
本発明の受電装置を具備する移動型電子機器の構成について、図1、図2に示すブロック図を用いて説明する。
図1の移動型電子機器100は、受電装置部101、電源負荷部105を具備する。受電装置部101は、アンテナ回路102、信号処理回路103、及びバッテリー104によって構成されている。信号処理回路103は、整流回路106、電源回路108によって構成される。
なお図1における電源回路108は、電源負荷部105に電力を供給するが、電源負荷部105の構成は移動型電子機器毎に異なるため、本実施の形態においては、携帯電話やデジタルビデオカメラにおける構成を想定して説明する。よって電源回路108は、表示部109と集積回路部110に電源を供給する。なお集積回路部110は表示部以外の信号を処理する回路部であり、移動型電子機器毎に異なる構成を有するため本明細書では詳しい説明については割愛する。表示部109は画素部111と画素部111を制御するための表示制御部112を有する。表示制御部112は信号処理回路103と電気的に接続される。勿論、表示部109における画素に設けられる表示素子については、種類を問わずエレクトロルミネッセンス素子や液晶素子等を用いればよく、移動型電子機器の用途等に応じて適宜選択される。
また、図2には、アンテナ回路102が給電器201からの信号を受信するブロック図について示す。図2において、アンテナ回路102で受信した電力は整流回路106を介してバッテリー104に入力され、バッテリー104より適宜電源回路108に電力が供給される。
なおアンテナ回路102におけるアンテナの形状については、特に限定されない。例えば図3(A)のように信号処理回路103の周りに一面のアンテナ回路102を配した構造を取っても良い。また、図3(B)のように、環状に形成されたアンテナ回路102に重畳するように信号処理回路103を配した構造をとってもよい。また、図3(C)のように信号処理回路103を配し、高周波数の電磁波を受信するためのアンテナ回路102の形状をとってもよい。また、図3(D)にように信号処理回路103を配し、180度無指向性(どの方向からでも同じく受信可能)なアンテナ回路102での形状をとってもよい。また、図3(E)のように、信号処理回路103を配し、棒状に長く伸ばし、折り返す形状のアンテナ回路102の形状をとってもよい。また、図示しないがパッチアンテナであってもよい。また、信号処理回路103とアンテナ回路102におけるアンテナの接続については特に図示した構成には限定されない。例えばアンテナ回路102と信号処理回路103を離して配置し、配線により接続されていてもよいし、近接して接続されていてもよい。本実施の形態においてはアンテナ回路102の形状について、図3(B)の形状を採用し、電磁波をアンテナ回路で受信し、電磁誘導により電力を得るものとして説明する。また、アンテナ回路102は、図4(A)に示すようにアンテナ401、共振容量402によって構成されるものとして説明し、アンテナ401及び共振容量402を併せてアンテナ回路403ということにする。
また、整流回路106は、アンテナ回路102が受信する電磁波により誘導される交流信号を直流信号に変換する回路であればよい。例えば、図4(B)に示すように、ダイオード404、ダイオード405、平滑容量406によって整流回路407を構成すればよい。
なお、図2における給電器201について、図5を用いて説明する。図5における給電器600は、送電制御部601、アンテナ回路602によって構成されている。送電制御部601は、移動型電子機器における受電装置部101に送信する送電用の電気信号を変調し、アンテナ回路602から送電用の電磁波を出力する。
本実施の形態において、図5に示す給電器600のアンテナ回路602は、受電装置部101におけるアンテナ回路102と同様に、送電制御部601に接続され、LC並列共振回路を構成するアンテナ603及び共振容量604を有する。送電制御部601は、送電時にアンテナ回路602に電流が流れ、アンテナ603より受電装置部101に送電用の電磁波を出力する。
なお、上述したように本実施の形態においては、アンテナ回路におけるアンテナの形状に伴い、アンテナ回路102回路が受信するための無線信号は、電磁誘導方式により信号の交信を行う。そのため、図1及び図2における受電装置部101は、コイル状のアンテナ回路102を有する構成となる。例えば図6に、受電装置部を有する移動型電子機器におけるアンテナ回路の位置関係並びにアンテナの形状について示す。図6では、受電装置部におけるアンテナ回路が、給電器のアンテナからの送電用の電磁波を受信する構成について示す。
図6において、送電制御部703に接続された給電器のアンテナ回路704に接続されたコイル状のアンテナ705と受電装置部700のアンテナ回路702を近づけると、給電器におけるアンテナ回路704のコイル状のアンテナ705から交流磁界が発生する。交流磁界が受電装置部700内のアンテナ回路702を貫き、電磁誘導により受電装置部700内のアンテナ回路702の端子間(アンテナの一端と他端の間)に起電力が発生する。当該起電力により受電装置部700内のバッテリーに充電することができる。なお、図7に示すように、受電装置部700におけるアンテナ回路702は、重畳的に存在する場合であっても、交流磁界内に複数存在する場合であっても給電器からの充電を行うことができる。
なお、アンテナ回路102に給電器201より送電される信号の周波数は、例えばサブミリ波である300GHz〜3THz、ミリ波である30GHz〜300GHz、マイクロ波である3GHz〜30GHz、極超短波である300MHz〜3GHz、超短波である30MHz〜300MHz、短波である3MHz〜30MHz、中波である300KHz〜3MHz、長波である30KHz〜300KHz、及び超長波である3KHz〜30KHzのいずれの周波数も用いることができる。
図1、図2における電源回路の例について図8を用いて説明する。電源回路は基準電圧回路とバッファアンプで構成される。基準電圧回路は抵抗1001、ダイオード接続のトランジスタ1002、1003によって構成され、トランジスタ1002のVGS(ゲートとソースの間の電圧)及びトランジスタ1003のVGSの合計にあたる基準電圧を発生させる。バッファアンプはトランジスタ1005、1006で構成される差動回路、トランジスタ1007、1008によって構成されるカレントミラー回路、電流供給用抵抗1004、トランジスタ1009、抵抗1010によって構成されるソース接地アンプより構成される。
図8に示す電源回路において、出力端子より流れる電流が大きいときはトランジスタ1009に流れる電流が少なくなり、また、出力端子より流れる電流が小さいときはトランジスタ1009に流れる電流が多くなり、抵抗1010に流れる電流はほぼ一定となるように動作する。また出力端子の電位は基準電圧回路とほぼ同じ値となる。ここでは基準電圧回路とバッファアンプを有する電源回路を示したが、本発明に用いる電源回路は図8に限定されず、他の形式の電源回路であっても良い。
なお、本明細書において、バッテリーとは、充電することで連続使用時間を回復することができる電池のことをいう。なおバッテリーとしては、その用途により異なるが、シート状に形成された電池を用いることが好ましく、例えばリチウム電池、好ましくはゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池や、リチウムイオン電池等を用いることで、小型化が可能である。勿論、充電可能な電池であればなんでもよく、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などの充電放電可能な電池であってもよいし、また大容量のコンデンサーなどを用いても良い。
次に、図1、図2に示す移動型電子機器100に、給電器201より無線信号で電力を充電する際の動作を以下に説明する。アンテナ回路で受信した無線信号は、整流回路106により、半波整流され、そして平滑化される。整流回路106により半波整流、平滑化された電圧は、バッテリー104に一旦保持される。バッテリー104に保持された電力は、電源回路108に供給する電力として用いられる。
なお、本実施の形態において、バッテリーに蓄電される電力は、給電器201より出力される無線信号に限らずに、別途移動型電子機器の一部に発電素子を設け補う構成としてもよい。図29に発電素子を設けた構成について示す。図29における構成は図1と異なる点としてバッテリーに電力を供給するための発電素子851を設ける点にある。発電素子851を設ける構成とすることによって、バッテリー104に蓄電される電力の供給量を増やし、また充電速度を速めることができるため好適である。なお、図29における発電素子851としては、例えば太陽電池を用いた発電素子であってもよいし、圧電素子を用いた発電素子であってもよいし、微小構造体(MEMS:Micro Electro Mechanical System)を用いた発電素子であってもよい。勿論、発電素子からの電力の供給の代わりに自動車のエンジン等の燃焼機関の動力による発電機からの電力の供給であってもよい。受電用アンテナと発電機との両方を設けることによって、バッテリーに蓄電される電力の供給量を増やし、また充電速度を速めることができるため好適である。また、図29における発電素子の構成は、前述の列挙した構成に限定されないことを付記する。
次にバッテリー104より電源回路108に供給された電力は、図1、図2に示す構成において電源負荷部105における表示部109の画素部111、表示制御部112及び集積回路部110に供給される。そして、移動型電子機器を動作させることができる。
以上のように、本発明の受電装置は、アンテナ回路を有することを特徴とする。そのため、移動型電子機器におけるバッテリーへの導電部として外部端子を設ける必要がなく、外部端子の破損や外部端子の不良に伴う故障が起こることなく、バッテリーに対して無線信号による給電を行うことができる。加えて、充電装置であるバッテリーを有する移動型電子機器に対し、給電を行う給電手段が無線により給電を行うことにより、無線の受信状況が良好であれば、充電器や充電のための一次電池を携帯することなく、常に充電を行うことが可能になる。
なお、本実施の形態は、本明細書中の他の実施の形態の記載と組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1で示した受電装置を具備する移動型電子機器の構成において、ブースターアンテナ回路(以下、ブースターアンテナという)を有する構成に関して、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態において使用する図面に関し、実施の形態1と同じ部分は同じ符号を用いて示す。
なお、本実施の形態において述べるブースターアンテナとは、受電装置に設けられた給電器からの信号を受信するアンテナよりも、サイズの大きいアンテナのことをいう。ブースターアンテナは、使用する周波数帯域で、給電器からの信号を共振させ、受電装置に設けられたアンテナ回路と、ブースターアンテナとを磁界結合させることで、給電器より供給された信号を、効率よく目的の受電装置へ伝達させることができるものをいう。ブースターアンテナは磁界を介してアンテナ回路と結合しているため、直接アンテナ回路及び信号処理回路とは接続する必要が無いため好適である。
本実施の形態における受電装置を具備する移動型電子機器の構成について、図9、図10に示すブロック図を用いて説明する。
図9の移動型電子機器100は、受電装置部101、電源負荷部105を具備する。受電装置部は、アンテナ回路102A、ブースターアンテナ102B、信号処理回路103、及びバッテリー104によって構成されている。信号処理回路103は、整流回路106、電源回路108によって構成される。
なお図9における電源回路108は、電源負荷部105に電力を供給するが、電源負荷部105の構成は移動型電子機器毎に異なるため、本実施の形態においては、自動車(自動二輪車等を含む)における構成を想定して説明する。よって電源回路108は、駆動部909と周辺動力部910に電源を供給する。なお周辺動力部910は駆動部以外の信号を処理する回路部であり、移動型電子機器である自動車毎に異なる構成を有するため本明細書では詳しい説明については割愛する。駆動部909は燃焼機関部911と燃焼機関部911を制御するための駆動制御部912を有する。燃焼機関部911は、始動するための点火プラグを含んでいる。この点火プラグは信号処理回路103と電気的に接続される。
また、図10には、アンテナ回路102Aが給電器201からの無線信号を受信するブロック図について示す。図10において、給電器からの無線信号をブースターアンテナ102Bが受信し電磁誘導を起こすことに伴うアンテナ回路102Aとの磁界結合により、アンテナ回路102Aで受信した電力は整流回路106を介してバッテリー104に入力され、バッテリー104より適宜電源回路108に電力が供給される。図10の構成により、給電器201と受電装置部101間の無線信号による電力の送電についての距離を伸ばすことができるため好適である。
なお、アンテナ回路102A及びブースターアンテナ102Bにおけるアンテナの形状については、特に限定されない。例えば実施の形態1で説明した図3の形状のアンテナを採用することができる。但し、ブースターアンテナはその機能上、磁界結合するアンテナ回路より大きな形状のアンテナを採用することが好ましい。また、アンテナ回路102A及びブースターアンテナ102Bは、実施の形態1で説明した図4(A)の如く、アンテナ401、共振容量402によって構成されるものとして説明し、アンテナ401及び共振容量402を併せてアンテナ回路403ということにする。
また、図9、図10における整流回路106は、実施の形態1で示したのと同様であり、図4(B)に示すように、ダイオード404、ダイオード405、平滑容量406によって整流回路407を構成すればよい。
なお、図9、図10における給電器201は、実施の形態1で示したものと同様であり、図5に示す構成をとればよい。
また、本実施の形態においては、アンテナ回路102A、ブースターアンテナ102Bが受信するための無線信号は、電磁誘導方式により信号の交信を行う。そのため、図9及び図10における受電装置部101は、コイル状のアンテナ回路102A、ブースターアンテナ102Bを有する構成となる。例えば図11に、アンテナ回路及びブースターアンテナを有する受電装置部と給電器との位置関係並びにアンテナの形状について示す。図11において、受電装置部におけるブースターアンテナが給電器からの無線信号を受信し、アンテナ回路がブースターアンテナからの磁界結合による電磁波を受信する構成について示す。
図11において、送電制御部703に接続された給電器のアンテナ回路704に接続されたコイル状のアンテナ705と受電装置部1600のブースターアンテナ1602を近づけると、給電器におけるアンテナ回路704のコイル状のアンテナ705から交流磁界が発生する。交流磁界が受電装置部1600内のコイル状のブースターアンテナ1602を貫き、電磁誘導により受電装置部1600内のコイル状のブースターアンテナ1602の端子間(アンテナの一端と他端の間)に起電力が発生する。コイル状のブースターアンテナ1602において電磁誘導による起電力が発生すると共にコイル状のブースターコイル自体から交流磁界が発生する。そして、ブースターアンテナ1602から発生する交流磁界が受電装置部1600内のアンテナ回路1603に接続されたコイル状のアンテナ1601を貫き、電磁誘導により受電装置部1600内のコイル状のアンテナ1601の端子間(アンテナの一端と他端の間)に起電力が発生する。当該起電力により受電装置部1600内のバッテリーに充電することができる。
また図9及び図10に示した受電装置部101は、実施の形態1における図7で示したように、受電装置部が重畳的に存在する場合であっても充電器からの充電を行うことができる。
なお、アンテナ回路102に給電器201より供給される信号の周波数は、実施の形態1と同様であるためここでは省略する。
図9、図10における電源回路108については、実施の形態1における図8で示した例と同様であるため、ここでは省略する。
次に、図9、図10に示す移動型電子機器100のバッテリー104に、給電器201からの無線信号により電力を充電する際の動作を以下に説明する。アンテナ回路102で受信した信号は、整流回路106により、半波整流され、そして平滑化される。整流回路106により半波整流、平滑化された電圧は、バッテリー104に一旦保持される。バッテリー104に保持された電力は、電源回路108に供給する電力として用いられる。
なお、本実施の形態において、バッテリーに蓄電される電力は、給電器201より出力される信号に限らずに、別に移動型電子機器の一部に発電素子を設け補う構成としてもよい。図12に発電素子を設けた構成について示す。図12における構成は図9と異なる点としてバッテリー104に電力を供給するための発電素子851を設ける点にある。発電素子851を設ける構成とすることによって、バッテリー104に蓄電される電力の供給量を増やし、また充電速度を速めることができるため好適である。
なお、図12における発電素子851としては、例えば太陽電池を用いた発電素子であってもよいし、圧電素子を用いた発電素子であってもよいし、微小構造体(MEMS:Micro Electro Mechanical System)を用いた発電素子であってもよい。勿論、発電素子からの電極供給の代わりに自動車のエンジン等の燃焼機関の動力による発電機からの電力の供給であってもよい。受電用アンテナと発電機との両方を設けることによって、バッテリーに蓄電される電力の供給量を増やし、また充電速度を速めることができるため好適である。また、図12における発電素子の構成は、前述の列挙した構成に限定されないことを付記する。
次にバッテリー104より電源回路108に供給された電力は、図9、図10に示す構成において電源負荷部105における駆動部909の燃焼機関部911、駆動制御部912及び周辺動力部910に供給される。燃焼機関部911は点火プラグを含む。この点火プラグは電源回路108と電気的に接続される。バッテリー104に充電された電力による点火プラグの点火によって燃焼機関の始動を行う。
以上のように、本発明の受電装置は、アンテナ回路を有することを特徴とする。そのため、移動型電子機器におけるバッテリーへの導電部として外部端子を設ける必要がなく、外部端子の破損や外部端子の不良に伴う故障が起こることなく、バッテリーに対して無線信号による給電を行うことができる。
また、本実施の形態の構成においては、実施の形態1の構成に加えて、ブースターアンテナを有することを特徴とする。そのため、給電器から受電装置への電力の供給をより確実に行うことが可能となるといった利点を有する。
本実施の形態の構成は、受電装置である自動車等のバッテリーの充電の際に、無線による給電を行うことができるため、バッテリー同士を有線で接続することがない。そのため、受電装置である自動車等のバッテリーの充電について、安全性及び利便性を高めることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書中の他の実施の形態の記載と組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した受電装置部の作製方法の一例に関して、図面を参照して説明する。本実施の形態においては、実施の形態1で述べた移動型電子機器として携帯電話やデジタルビデオカメラを想定し、アンテナ回路、信号処理回路、及びバッテリーを同じ基板上に設ける構成について説明する。なお、基板上に一度にアンテナ回路、信号処理回路、及びバッテリーを形成し、信号処理回路を構成するトランジスタを薄膜トランジスタとすることで、小型化を図ることができるため好適である。
なお、本実施の形態においては、上記実施の形態1、実施の形態2で述べたアンテナ回路について、その形状及び取り付け位置について述べるに留まるため、単にアンテナと称することにする。
まず、基板1301の一表面に絶縁膜1302を介して剥離層1303を形成し、続けて下地膜として機能する絶縁膜1304と半導体膜1305(例えば、非晶質珪素を含む膜)を積層して形成する(図13(A)参照)。なお、絶縁膜1302、剥離層1303、絶縁膜1304および非晶質半導体膜1305は、連続して形成することができる。
基板1301は、ガラス基板、石英基板、金属基板(例えばステンレス基板など)、セラミック基板、Si基板等の半導体基板、など、から選択されるものである。他にもプラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリルなどの基板を選択することもできる。なお、本工程では、剥離層1303は、絶縁膜1302を介して基板1301の全面に設けているが、必要に応じて、基板1301の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法により選択的に設けてもよい。
絶縁膜1302、絶縁膜1304は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、絶縁膜1302、1304を2層構造とする場合、第1層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成するとよい。また、第1層目の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化シリコン膜を形成してもよい。絶縁膜1302は、基板1301から剥離層1303又はその上に形成される素子に不純物元素が混入するのを防ぐブロッキング層として機能し、絶縁膜1304は基板1301、剥離層1303からその上に形成される素子に不純物元素が混入するのを防ぐブロッキング層として機能する。このように、ブロッキング層として機能する絶縁膜1302、1304を形成することによって、基板1301からNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、剥離層1303から剥離層に含まれる不純物元素がこの上に形成する素子に悪影響を与えることを防ぐことができる。なお、基板1301として石英を用いるような場合には絶縁膜1302、1304を省略してもよい。
剥離層1303は、金属膜や金属膜と金属酸化膜の積層構造等を用いることができる。金属膜としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を単層又は積層して形成する。また、これらの材料は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。金属膜と金属酸化膜の積層構造としては、上述した金属膜を形成した後に、酸素雰囲気下またはN2O雰囲気下におけるプラズマ処理、酸素雰囲気下またはN2O雰囲気下における加熱処理を行うことによって、金属膜表面に当該金属膜の酸化物または酸化窒化物を設けることができる。例えば、金属膜としてスパッタ法やCVD法等によりタングステン膜を設けた場合、タングステン膜にプラズマ処理を行うことによって、タングステン膜表面にタングステン酸化物からなる金属酸化膜を形成することができる。また、この場合、タングステンの酸化物は、WOxで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO2)、Xが2.5の場合(W2O5)、Xが2.75の場合(W4O11)、Xが3の場合(WO3)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に、どの酸化物を形成するかを決めるとよい。他にも、例えば、金属膜(例えば、タングステン)を形成した後に、当該金属膜上にスパッタ法で酸化珪素(SiO2)等の絶縁膜を設けると共に、金属膜上に金属酸化物(例えば、タングステン上にタングステン酸化物)を形成してもよい。また、プラズマ処理として、例えば上述した高密度プラズマ処理を行ってもよい。また、金属酸化膜の他にも、金属窒化物や金属酸化窒化物を用いてもよい。この場合、金属膜に窒素雰囲気下または窒素と酸素雰囲気下でプラズマ処理や加熱処理を行えばよい。
非晶質半導体膜1305は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。
次に、非晶質半導体膜1305にレーザー光を照射して結晶化を行う。なお、レーザー光の照射と、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とを組み合わせた方法等により非晶質半導体膜1305の結晶化を行ってもよい。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、結晶質半導体膜1305a〜1305fを形成し、当該半導体膜1305a〜1305fを覆うようにゲート絶縁膜1306を形成する(図13(B)参照)。
ゲート絶縁膜1306は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、ゲート絶縁膜1306を2層構造とする場合、第1層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成するとよい。また、第1層目の絶縁膜として酸化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成してもよい。
結晶質半導体膜1305a〜1305fの作製工程の一例を以下に簡単に説明すると、まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚50〜60nmの非晶質半導体膜を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、レーザー光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いることよって結晶質半導体膜1305a〜1305fを形成する。なお、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化を行わずに、レーザー光の照射だけで非晶質半導体膜の結晶化を行ってもよい。
結晶化に用いるレーザー発振器としては、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)やパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザービームは、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザーまたは金蒸気レーザーのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザービームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザービームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザーのパワー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、またはTi:サファイアレーザーは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、半導体膜がレーザーによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
また、ゲート絶縁膜1306は、半導体膜1305a〜1305fに対し前述の高密度プラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、酸化窒素(NO2)、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さは理想的には、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
ゲート絶縁膜は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、半導体膜に対し、連続発振レーザービーム若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザービームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜1305a〜1305fは、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記ゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高い薄膜トランジスタ(TFT)を得ることができる。
次に、ゲート絶縁膜1306上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。ここでは、第1の導電膜は、CVD法やスパッタリング法等により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電膜は、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、半導体膜1305a〜1305fの上方にゲート電極1307を形成する。ここでは、ゲート電極1307として、第1の導電膜1307aと第2の導電膜1307bの積層構造で設けた例を示している。
次に、ゲート電極1307をマスクとして半導体膜1305a〜1305fに、イオンドープ法またはイオン注入法により、n型を付与する不純物元素を低濃度に添加し、その後、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを選択的に形成して、p型を付与する不純物元素を高濃度に添加する。n型を示す不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。p型を示す不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。ここでは、n型を付与する不純物元素としてリン(P)を用い、1×1015〜1×1019/cm3の濃度で含まれるように半導体膜1305a〜1305fに選択的に導入し、n型を示す不純物領域1308を形成する。また、p型を付与する不純物元素としてボロン(B)を用い、1×1019〜1×1020/cm3の濃度で含まれるように選択的に半導体膜1305c、1305eに導入し、p型を示す不純物領域1309を形成する(図13(C)参照)。
続いて、ゲート絶縁膜1306とゲート電極1307を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、ゲート電極1307の側面に接する絶縁膜1310(サイドウォールともよばれる)を形成する。絶縁膜1310は、LDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
続いて、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、ゲート電極1307および絶縁膜1310をマスクとして用いて、半導体膜1305a、1305b、1305d、1305fにn型を付与する不純物元素を高濃度に添加して、n型を示す不純物領域1311を形成する。ここでは、n型を付与する不純物元素としてリン(P)を用い、1×1019〜1×1020/cm3の濃度で含まれるように半導体膜1305a、1305b、1305d、1305fに選択的に導入し、不純物領域1308より高濃度のn型を示す不純物領域1311を形成する。
以上の工程により、nチャネル型薄膜トランジスタ1300a、1300b、1300d、1300fとpチャネル型薄膜トランジスタ1300c、1300eが形成される(図13(D)参照)。
nチャネル型薄膜トランジスタ1300aは、ゲート電極1307と重なる半導体膜1305aの領域にチャネル形成領域が形成され、ゲート電極1307及び絶縁膜1310と重ならない半導体膜1305aの領域にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域1311が形成され、絶縁膜1310と重なる半導体膜1305aの領域であってチャネル形成領域と不純物領域1311の間に低濃度不純物領域(LDD領域)が形成されている。また、nチャネル型薄膜トランジスタ1300b、1300d、1300fも同様にチャネル形成領域、低濃度不純物領域及び不純物領域1311が形成されている。
pチャネル型薄膜トランジスタ1300cは、ゲート電極1307と重なる半導体膜1305cの領域にチャネル形成領域が形成され、ゲート電極1307と重ならない半導体膜1305cの領域にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域1309が形成されている。また、pチャネル型薄膜トランジスタ1300eも同様にチャネル形成領域及び不純物領域1309が形成されている。なお、ここでは、pチャネル型薄膜トランジスタ1300c、1300eには、LDD領域を設けていないが、pチャネル型薄膜トランジスタにLDD領域を設けてもよいし、nチャネル型薄膜トランジスタにLDD領域を設けない構成としてもよい。
次に、半導体膜1305a〜1305f、ゲート電極1307等を覆うように、絶縁膜を単層または積層して形成し、当該絶縁膜上に薄膜トランジスタ1300a〜1300fのソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域1309、1311と電気的に接続する導電膜1313を形成する(図14(A)参照)。絶縁膜は、CVD方、スパッタ法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等により、単層または積層で形成する。ここでは、当該絶縁膜を2層で設け、1層目の絶縁膜1312aとして窒化酸化珪素膜で形成し、2層目の絶縁膜1312bとして酸化窒化珪素膜で形成する。また、導電膜1313は、薄膜トランジスタ1300a〜1300fのソース電極又はドレイン電極を形成しうる。
なお、絶縁膜1312a、1312bを形成する前、または絶縁膜1312a、1312bのうちの1つまたは複数の薄膜を形成した後に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザーアニール法またはRTA法などを適用するとよい。
導電膜1313は、CVD法やスパッタリング法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜1313は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン(TiN)膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜1313を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
次に、導電膜1313を覆うように、絶縁膜1314を形成し、当該絶縁膜1314上に、薄膜トランジスタ1300a、1300fのソース電極又はドレイン電極を形成する導電膜1313とそれぞれ電気的に接続する導電膜1315a、1315bを形成する。また、薄膜トランジスタ1300bのソース電極又はドレイン電極を形成する導電膜1313とそれぞれ電気的に接続する導電膜1316を形成する。なお、導電膜1315a、1315bと導電膜1316は同一の材料で同時に形成してもよい。導電膜1315a、1315bと導電膜1316は、上述した導電膜1313で示したいずれかの材料を用いて形成することができる。
続いて、導電膜1316にアンテナとして機能する導電膜1317が電気的に接続されるように形成する(図14(B)参照)。
絶縁膜1314は、CVD法やスパッタ法等により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる単層または積層構造で設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
導電膜1317は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電膜1317を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、珪素樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電膜の形成にあたり、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150〜300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電膜を得ることができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーのはんだは、低コストであるといった利点を有している。
また、導電膜1315a、1315bは、後の工程において本実施の形態の受電装置に含まれるバッテリーと電気的に接続される配線として機能しうる。また、アンテナとして機能する導電膜1317を形成する際に、導電膜1315a、1315bに電気的に接続するように別途導電膜を形成し、当該導電膜をバッテリーに接続する配線として利用してもよい。
次に、導電膜1317を覆うように絶縁膜1318を形成した後、薄膜トランジスタ1300a〜1300f、導電膜1317等を含む層(以下、「素子形成層1319」と記す)を基板1301から剥離する。ここでは、レーザー光(例えばUV光)を照射することによって、薄膜トランジスタ1300a〜1300fを避けた領域に開口部を形成後(図14(C)参照)、物理的な力を用いて基板1301から素子形成層1319を剥離することができる。また、基板1301から素子形成層1319を剥離する前に、形成した開口部にエッチング剤を導入して、剥離層1303を選択的に除去してもよい。エッチング剤は、フッ化ハロゲンまたはハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用する。そうすると、素子形成層1319は、基板1301から剥離された状態となる。なお、剥離層1303は、全て除去せず一部分を残存させてもよい。こうすることによって、エッチング剤の消費量を抑え剥離層の除去に要する処理時間を短縮することが可能となる。また、剥離層1303の除去を行った後にも、基板1301上に素子形成層1319を保持しておくことが可能となる。また、素子形成層1319が剥離された基板1301を再利用することによって、コストの削減をすることができる。
絶縁膜1318は、CVD法やスパッタ法等により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる単層または積層構造で設けることができる。
本実施の形態では、レーザー光の照射により素子形成層1319に開口部を形成した後に、当該素子形成層1319の一方の面(絶縁膜1318の露出した面)に第1のシート材1320を貼り合わせた後、基板1301から素子形成層1319を剥離する(図15(A)参照)。
次に、素子形成層1319の他方の面(剥離により露出した面)に、加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って第2のシート材1321を貼り合わせる(図15(B)参照)。第1のシート材1320、第2のシート材1321として、ホットメルトフィルム等を用いることができる。
また、第1のシート材1320、第2のシート材1321として、静電気等を防止する帯電防止対策を施したフィルム(以下、帯電防止フィルムと記す)を用いることもできる。帯電防止フィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルム、及び帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、片面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよいし、両面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよい。さらに、片面に帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が設けられた面をフィルムの内側になるように層に貼り付けてもよいし、フィルムの外側になるように貼り付けてもよい。なお、帯電防止可能な材料はフィルムの全面、あるいは一部に設けてあればよい。ここでの帯電防止可能な材料としては、金属、インジウムと錫の酸化物(ITO)、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等の界面活性剤用いることができる。また、他にも帯電防止材料として、側鎖にカルボキシル基および4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料等を用いることができる。これらの材料をフィルムに貼り付けたり、練り込んだり、塗布することによって帯電防止フィルムとすることができる。帯電防止フィルムで封止を行うことによって、商品として取り扱う際に、外部からの静電気等によって半導体素子に悪影響が及ぶことを抑制することができる。
なお、バッテリーは、導電膜1315a、1315bに接続して形成されるが、バッテリーとの接続は、基板1301から素子形成層1319を剥離する前(図14(B)又は図14(C)の段階)に行ってもよいし、基板1301から素子形成層1319を剥離した後(図15(A)の段階)に行ってもよいし、素子形成層1319を第1のシート材及び第2のシート材で封止した後(図15(B)の段階)に行ってもよい。以下に、素子形成層1319とバッテリーを接続して形成する一例を図16、図17を用いて説明する。
図14(B)において、アンテナとして機能する導電膜1317と同時に導電膜1315a、1315bにそれぞれ電気的に接続する導電膜1331a、1331bを形成する。続けて、導電膜1317、導電膜1331a、1331bを覆うように絶縁膜1318を形成した後、導電膜1331a、1331bの表面が露出するように開口部1332a、1332bを形成する。その後、レーザー光の照射により素子形成層1319に開口部を形成した後に、当該素子形成層1319の一方の面(絶縁膜1318の露出した面)に第1のシート材1320を貼り合わせた後、基板1301から素子形成層1319を剥離する(図16(A)参照)。
次に、素子形成層1319の他方の面(剥離により露出した面)に、第2のシート材1321を貼り合わせた後、素子形成層1319を第1のシート材1320から剥離する。従って、ここでは第1のシート材1320として粘着力が弱いものを用いる。続けて、開口部1332a、1332bを介して導電膜1331a、1331bとそれぞれ電気的に接続する導電膜1334a、1334bを選択的に形成する(図16(B)参照)。
導電膜1334a、1334bは、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
なお、ここでは、基板1301から素子形成層1319を剥離した後に導電膜1334a、1334bを形成する例を示しているが、導電膜1334a、1334bを形成した後に基板1301から素子形成層1319の剥離を行ってもよい。
次に、基板上に複数の素子を形成している場合には、素子形成層1319を素子ごとに分断する(図17(A)参照)。分断は、レーザー照射装置、ダイシング装置、スクライブ装置等を用いることができる。ここでは、レーザー光を照射することによって1枚の基板に形成された複数の素子を各々分断する。
次に、分断された素子をバッテリーの接続端子と電気的に接続する(図17(B)参照)。ここでは、素子形成層1319に設けられた導電膜1334a、1334bと基板1335上に設けられたバッテリーの接続端子となる導電膜1336a、1336bとをそれぞれ接続する。ここで、導電膜1334aと導電膜1336aとの接続、又は導電膜1334bと導電膜1336bとの接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))や異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))等の接着性を有する材料を介して圧着させることにより電気的に接続する場合を示している。ここでは、接着性を有する樹脂1337に含まれる導電性粒子1338を用いて接続する例を示している。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
バッテリーが素子より大きい場合には、図16、図17に示したように、一枚の基板上に複数の素子を形成し、当該素子を分断後にバッテリーと接続することによって、一枚の基板に作り込める素子の数を増やすことができるため、受電装置をより低コストで作製することが可能となる。
その後、上記実施の形態2で示したように、ブースターアンテナを設けてもよい。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる受電装置部の作製方法の一例に関して、図面を参照して説明する。本実施の形態においては、実施の形態1で述べた移動型電子機器として携帯電話やデジタルビデオカメラを想定し、アンテナ回路、信号処理回路、及びバッテリーを同じ基板上に設ける構成について説明する。なお、基板上に一度にアンテナ回路、信号処理回路、及びバッテリーを形成し、信号処理回路を構成するトランジスタを薄膜トランジスタとすることで、小型化を計れるため好適である。
なお、本実施の形態においては、上記実施の形態1、実施の形態2で述べたアンテナ回路について、その形状及び取り付け位置について述べるに留まるため、単にアンテナと称することにする。
まず、基板1801の一表面に絶縁膜1802を介して剥離層1803を形成し、続けて下地膜として機能する絶縁膜1804と導電膜1805を積層して形成する(図18(A)参照)。なお、絶縁膜1802、剥離層1803、絶縁膜1804および導電膜1805は、連続して形成することができる。
導電膜1805は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を単層又は積層して形成する。また、これらの材料は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。
基板1801、絶縁膜1802、剥離層1803、絶縁膜1804は、それぞれ上記実施の形態で説明した基板1301、絶縁膜1302、剥離層1303、絶縁膜1304のいずれかの材料を用いて形成することができる。
次に、導電膜1805を選択的にエッチングして導電膜1805a〜1805eを形成し、当該導電膜1805a〜1805eを覆うように絶縁膜1806、1807を積層して形成する(図18(B)参照)。
絶縁膜1806、1807は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、絶縁膜1806として窒化酸化シリコンを用い、絶縁膜1807として酸化窒化シリコンを用いて形成することができる。また、ここでは、絶縁膜を2層積層させて設けた例を示しているが、絶縁膜1806又は1807の一方のみ設けてもよいし、3層以上の絶縁膜を積層させて設けてもよい。
次に、導電膜1805a〜1805dの上方に選択的に半導体膜1808a〜1808dを形成する(図18(C)参照)。ここでは、絶縁膜1807上にスパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、非晶質半導体膜(例えば、非晶質珪素膜)を25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成し、当該非晶質半導体膜を結晶化した後に選択的にエッチングして半導体膜1808a〜1808dを形成する。半導体膜の材料や結晶化方法等は上記実施の形態で示した方法を用いることができる。また、絶縁膜1806、1807及び非晶質半導体膜は、連続して形成することができる。
なお、導電膜1805a〜1805dにより絶縁膜1807の表面凹凸となっている場合には、絶縁膜1807上に非晶質半導体膜を形成する前に、絶縁膜1807に平坦化処理を行い当該絶縁膜1807の表面を平らにしておくことが好ましい。平坦化処理としては、CMP法等の研磨処理を用いることができる。CMP法等の研磨処理を行うことにより、図21(A)に示すように表面が平坦化された絶縁膜1807上に半導体膜を形成することができるため、半導体膜1808a〜1808dを用いて素子を形成する際に当該素子の特性へ及ぼす影響を低減することができる。
次に、半導体膜1808a〜1808dを覆うようにゲート絶縁膜1809を形成し、半導体膜1808a〜1808cの上方にゲート電極1810を選択的に形成した後、当該ゲート電極1810をマスクとして、半導体膜1808a〜1808dに不純物元素を添加し不純物領域1811を形成する(図18(D)参照)。ここでは、ゲート電極1810として、第1の導電膜1810aと第2の導電膜1810bの積層構造で設けた例を示している。不純物元素としては、n型又はp型を付与する不純物元素を添加する。n型を示す不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。p型を示す不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。ここでは、n型を付与する不純物元素であるリン(P)を1×1019〜1×1020/cm3の濃度で含まれるように半導体膜1808a〜1808dに導入し、n型を示す不純物領域1811を形成する。なお、これに限られず、p型を付与する不純物元素を添加してp型を示す不純物領域を形成してもよいし、n型及びp型を付与する不純物元素を選択的に半導体膜1808a〜1808dに導入してもよい。
以上の工程により、nチャネル型薄膜トランジスタ1800a〜1800cと容量として機能する素子1800dが形成される(図18(D)参照)。
nチャネル型薄膜トランジスタ1800aは、ゲート電極1810と重なる半導体膜1808aの領域にチャネル形成領域が形成され、ゲート電極1810と重ならない半導体膜1808aの領域に当該チャネル領域と隣接してソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域1811が形成されている。また、nチャネル型薄膜トランジスタ1800b、1800cも同様にチャネル形成領域及びソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域1811が形成されている。
素子1800dは、導電膜1805d、絶縁膜1806、1807及び不純物元素が導入された不純物領域1811の半導体膜との積層構造によって容量が形成されている。
なお、ここでは、nチャネル型薄膜トランジスタ1800a〜1800cを設けた例を示したが、pチャネル薄膜トランジスタを設けてもよいし、上記実施の形態で示したように、ゲート電極1810の側面に接して絶縁膜を設け半導体膜1808a〜1808cに低濃度不純物領域(LDD領域)を設けた構成とすることも可能である。
また、ここでは、半導体膜1808a〜1808cより導電膜1805a〜1805cを大きく形成した(薄膜トランジスタ1800a〜1800cのチャネル形成領域及び不純物領域1811と重なるように導電膜1805a〜1805cを形成した)例を示しているが、これに限られない。例えば、薄膜トランジスタ1800a〜1800cの不純物領域1811の一部及びチャネル形成領域全面と重なるように導電膜1805a〜1805cを設けてもよいし(図21(A)参照)、不純物領域1811の一部及びチャネル形成領域の一部と重なるように導電膜1805a〜1805cを設けてもよいし(図21(B)参照)、チャネル形成領域の一部とだけ重なるように導電膜1805a〜1805cを設けてもよい。このように設ける場合には、特にCMP等の研磨処理を行い絶縁膜1807の平坦化することが好ましい。
なお、導電膜1805a〜1805cを設けることによって、薄膜トランジスタの破損の防止、ESD(Electrostatic Discharge:静電破壊)の防止、ショートチャネル効果の抑制、しきい値制御、工程の削減などを行うことも可能となる。
つまり、薄膜トランジスタ1800a〜1800cを有する受電装置は、撓んでも薄膜トランジスタ1800a〜1800cのチャネル形成領域や不純物領域と重なるように設けられた導電膜によりチャネル形成領域や不純物領域での撓みを抑制することができるため薄膜トランジスタ1800a〜1800cも破損の防止を図ることができる。
また、受電装置の製造時において、導電膜1805a〜1805cが電荷の逃げ道若しくは電荷の拡散領域となり、局所的な電荷の蓄積を低減し、電界集中を緩和することができるためESDを防止することができる。
また、導電膜1805a〜1805cによってそれぞれの薄膜トランジスタ1800a〜1800cにおいて、ドレインからソースへの影響を遮断することによって、チャネル長が短くなっても、ショートチャネル効果を抑制することができる。つまり、薄膜トランジスタ1800a〜1800cの微細化に伴って問題となる、チャネル長の減少によって生じるショートチャネル効果(トランジスタのしきい値電圧Vthが急激にシフトし、サブスレッショルド領域のドレイン電流の立ち上がりがなまるなどの現象)を抑制することができる。
また、導電膜1805a〜1805cに入力する電位によって、薄膜トランジスタ1800a〜1800cのしきい値を制御することができる。
図24(B)はN型のMOSトランジスタのドレイン電流とゲート電圧の関連を示したグラフである。理想的にはゲート電圧Vgが正の領域では、ドレイン電流Idが十分大きく、ゲート電圧Vgが0以下では、ドレイン電流Idは0であることが望ましい。ところが実際にはドレイン電流Idはカーブ2404に示すようにゲート電圧Vgが0であっても、Iだけの漏れ電流が流れる。個々のトランジスタの電流は大きなものではないが、受電装置には多くのトランジスタが設けられており、それらの漏れ電流をあわせると、決して小さなものにはならない。このような漏れ電流は待機時の受電装置の消費電力を増加させるもとになる。つまり、バッテリーに蓄えられた電力の消費を増大させるものとなってしまう。
トランジスタのチャネル領域に不純物を微量添加し、図24(B)に示すカーブを右にずらすことによって、この漏れ電流を減らすことは可能である。しかし、その場合、Vgが正の場合の電流も低下してしまい、回路の周波数特性を低下させるという問題があった。
以上のような問題を解決するため、トランジスタを構成する半導体膜の上下側にそれぞれゲート電極を設ける。つまり、トランジスタを断面からみたとき、半導体膜は第1のゲート電極と第2のゲート電極の間に位置する。そして、第1のゲート電極に論理信号を、第二のゲート電極にしきい値制御信号を加え、受電装置を構成するトランジスタのしきい値を第2のゲート電極の電位によって可変にする。本実施の形態においては、導電膜1805a〜1805cをそれぞれ薄膜トランジスタ1800a〜1800cの第2のゲート電極に用いることができる。
図24(A)に第1のゲート電極および第2のゲート電極を有するトランジスタのId−Vg特性を示す。図24(A)では3種類のカーブ2401〜カーブ2403を示しているが、カーブ2402は第2のゲート電極に正の電圧を加えたときのカーブである。このような場合にはカーブが左にシフトし、より電流が流れるようになる。またカーブ2401は第2のゲート電極に0の電圧をかける場合である。このような場合は従来例と同じである。カーブ2403は第2のゲート電極に負の電圧を加えたときのカーブである。このような場合にはカーブが右にシフトし、電流は流れにくくなり、漏れ電流も低減する。このように本実施の形態に係る受電装置にしきい値制御機能を設け、トランジスタのId−Vg特性のカーブをシフトさせることによって、漏れ電流を低減することが可能となる。
また、導電膜1805a〜1805cを形成する際に同時に形成した導電膜1805eをアンテナとして用いることにより、後述の説明において作製する導電膜1815や導電膜1816を省略するすることもできる。
次に、薄膜トランジスタ1800a〜1800c、素子1800dを覆うように絶縁膜1812を形成し、当該絶縁膜1812上に薄膜トランジスタ1800a〜1800cのソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域1811と電気的に接続する導電膜1813を形成する(図19(A)参照)。
絶縁膜1812は、CVD法、スパッタ法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等により、単層または積層で形成する。
導電膜1813は、上記実施の形態で説明した導電膜1313のいずれかの材料を用いて形成することができる。
次に、導電膜1813を覆うように絶縁膜1814を形成し、当該絶縁膜1814上に薄膜トランジスタ1800a及び1800cソース電極又はドレイン電極を形成する導電膜1813とそれぞれ電気的に接続する導電膜1815を形成した後、当該導電膜1815と電気的に接続するようにアンテナとして機能する導電膜1816を形成する(図19(B)参照)。
続いて、導電膜1816を覆うように絶縁膜1817を形成した後、薄膜トランジスタ1800a〜1800c、素子1800d、導電膜1816等を含む層(以下、「素子形成層1820」と記す)を基板1801から剥離する。剥離する方法は上記実施の形態で示したいずれかの方法を用いることができる。
ここでは、レーザー光の照射により素子形成層1820に開口部を形成した後に、当該素子形成層1820の一方の面(絶縁膜1817の露出した面)に第1のシート材1818を貼り合わせた後、基板1801から素子形成層1820を剥離する(図20(A)参照)。
次に、素子形成層1820の他方の面(剥離により露出した面)に、加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って第2のシート材1819を貼り合わせる。第1のシート材1818、第2のシート材1819として、ホットメルトフィルム等を用いることができる。
以上の工程によって、受電装置を作製することができる(図20(B)参照)。なお、本実施の形態では、容量を形成する素子1800dをバッテリーとして用いることができる。また、素子1800dとは別にバッテリーを設けてもよい。この場合、上記実施の形態3で示した方法を用いてバッテリーを設けることができる。
なお、本実施の形態で示す受電装置はこれに限られない。例えば、バッテリー又はアンテナとして機能する導電膜を薄膜トランジスタ1800a〜1800cの下方に設けた構造としてもよい。
バッテリーを薄膜トランジスタ1800a〜1800cの下方に設けた例を図22に示す。ここでは、薄膜トランジスタ1800bのソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜1813に電気的に接続するように導電膜1831aを設け、当該導電膜1831aとバッテリーの接続配線を形成する導電膜1833aとの接続を素子形成層1820の下方(基板1801から素子形成層1820を剥離して露出した面)で行っている例を示している。また、ここでは、容量を形成する素子1800dの代わりに薄膜トランジスタを設け、当該薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜1813に電気的に接続するように導電膜1833aを設け、当該導電膜1831bとバッテリーの接続配線を形成する導電膜1833bとの接続を素子形成層1820の下方(基板1801から素子形成層1820を剥離して露出した面)で行っている例を示している。
このように設ける場合、上記図19(A)において、薄膜トランジスタ1800a〜1800cの不純物領域1811を露出させるためにゲート絶縁膜1809及び絶縁膜1812に第1の開口部を形成すると同時に、絶縁膜1806、1807、ゲート絶縁膜1809、絶縁膜1812に第2の開口部を形成し、当該第1の開口部を充填するように導電膜1813を設け、第2の開口部を充填するように導電膜1831a、1831bを形成する。第1の開口部と第2の開口部は同時に形成することができ、第1の開口部を形成する場合には半導体膜1808a〜1808cがストッパとして機能し、第2の開口部を形成する際には剥離層1803がストッパとして機能する。その後、上述したようにアンテナとして機能する導電膜1816を形成した後(図22(A)参照)、基板1801から素子形成層1820を剥離する。
その後、基板1801から剥離された素子形成層1820の露出した面に形成された導電膜1831a、1831bと基板1832上に設けられたバッテリーの接続配線となる導電膜1833a、1833bとをそれぞれ接続する(図22(B)参照)。ここでは、導電膜1831aと導電膜1833aとの接続、又は導電膜1831bと導電膜1833bとの接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))や異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))等の接着性を有する材料を介して圧着させることにより電気的に接続する場合を示している。ここでは、接着性を有する樹脂1834に含まれる導電性粒子1835を用いて接続する例を示している。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
なお、本実施の形態では、バッテリーのみならずアンテナとして機能する導電膜を薄膜トランジスタ1800a〜1800cの下方に設けた構造としてもよい。バッテリー及びアンテナとして機能する導電膜1816bを薄膜トランジスタ1800a〜1800cの下方に設けた例を図23に示す。
ここでは、薄膜トランジスタ1800cのソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜1813に電気的に接続するように導電膜1831cを設け、当該導電膜1831cとアンテナとして機能する導電膜1816bとの接続を素子形成層1820の下方(基板1801から素子形成層1820を剥離して露出した面)で行っている例を示している。また、バッテリーも上記図22と同様に設けた例を示している。
このように設ける場合、上記図19(A)において、薄膜トランジスタ1800a〜1800cの不純物領域1811を露出させるためにゲート絶縁膜1809及び絶縁膜1812に第1の開口部を形成すると同時に、絶縁膜1806、1807、ゲート絶縁膜1809、絶縁膜1812に第2の開口部を形成し、当該第1の開口部を充填するように導電膜1813を設け、第2の開口部を充填するように導電膜1831a、1831b、1831cを形成する。第1の開口部と第2の開口部は同時に形成することができ、第1の開口部を形成する場合には半導体膜1808a〜1808cがストッパとして機能し、第2の開口部を形成する際には剥離層1803がストッパとして機能する。その後、上述したようにアンテナとして機能する導電膜1816を形成した後(図23(A)参照)、基板1801から素子形成層1820を剥離する。
その後、基板1801から剥離された素子形成層1820の露出した面に形成された導電膜1831a、1831bと基板1832上に設けられたバッテリーの接続配線となる導電膜1833a、1833bとをそれぞれ接続する(図23(B)参照)。また、基板1801から剥離された素子形成層1820の露出した面に形成された導電膜1831cと基板1836上に設けられたアンテナとして機能する導電膜1816bとを接続する。
このように薄膜トランジスタ1800a〜1800c等が設けられた素子よりバッテリーやアンテナのサイズが大きい場合には、図22、図23に示したように、素子形成層とバッテリー又はアンテナを貼り合わせて設けることが好ましい。素子より大きいバッテリーやアンテナ用いる場合には、一枚の基板上に複数の素子を形成し、当該素子を分断した後にバッテリーやアンテナを素子と貼り合わせて設けることによって、受電装置をより低コストで作製することが可能となる。
なお、本実施の形態は、上記他の実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。