紙や布帛等の通常の基材のみならず樹脂フィルム等のインク吸収性の乏しい基材に対しても画像を記録することができる画像記録装置として、記録ヘッドの一端面に設けられたノズルからインクを吐出して基材上に着弾させるインクジェット記録装置が開発され、現在、その技術は種々の技術分野で応用されている。
インクジェット記録装置の記録ヘッドは、例えば記録ヘッドがラインヘッド方式用の記録ヘッドの場合、図20(A)の模式的な平面断面図に示すように、吐出するインクを溜めておくために複数のノズルNの背後すなわち記録ヘッドH内部に設けられる各インクチャネルICが、その壁面を隣接するインクチャネルIC同士が共有する、いわゆるシェアードウォール型とされる場合がある。
この場合、インクチャネルICの壁面は例えばピエゾ素子等の圧電素子アクチュエータを備える構成とされ、図20(B)に示すように、両側面を内側に撓ませてインクチャネルICv内の容積を縮小することでインクチャネルICv内のインクが押し出されてノズルNvから吐出される。
しかし、隣接するインクチャネルICv-1、ICv+1では容積が拡大するため、ノズルNvからの吐出と同時にノズルNv-1、N+1からインクを吐出させることができない。そこで、上記の従来のインクジェット記録装置では、例えば1つおきにノズルを駆動させて1つおきのノズルから同時にインクを吐出させるなどの記録方法がとられることがあった。しかし、例えば1つおきにノズルを駆動させると吐出効率が悪くなり、記録媒体に記録される画像の解像度が低下したり、或いは記録ヘッドの往復移動が必要となったりしていた。
このような問題を解消するための構成として、図21の平面図に示すようにノズルN3m、N3m+1、N3m+2の位置をずらして配置するいわゆるスタガ配置とし、記録ヘッドの各ノズル列を異なるタイミングで駆動して記録するインクジェット記録装置が知られている(特許文献1、2参照)。すなわち、このようなインクジェット記録装置では、図中矢印Zで示される記録媒体Pの搬送方向に直交する方向に並んだ3個のノズルN3m、N3m+1、N3m+2ごとに1相、2相、3相と駆動される3相駆動となっている。
ここで、mは0以上の整数であり、ノズル番号は0から始まる。また、以下、ノズル番号が3mで表される複数のノズルN3mよりなるノズルの群をノズル群N3mという、ノズル番号が3m+1で表される複数のノズルN3m+1よりなるノズルの群をノズル群N3m+1といい、同様にノズル番号が3m+2で表される複数のノズルN3m+2よりなるノズルの群をノズル群N3m+2という。
また、3個のノズル群N3m、N3m+1、N3m+2は、それぞれ平行な直線l1、l2、l3上に配列され、各直線l1、l2、l3の間隔すなわちスタガピッチは、通常、記録媒体P上での画素ピッチの1/3ずつに設定される。
このような3相駆動の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置においては、従来、図22に示すような周期で記録を行うように記録ヘッドのノズル群からのインク吐出が制御されていた。なお、図22および以下の各図では、記録媒体Pが搬送方向Zに搬送されて図中上方に移動していく。また、斜線が付された円は、インクが吐出された記録媒体P上の画素を表し、それらは記録媒体Pの搬送に従って図中上方に移動していく。そのため、図中においては、より上方の画素は古いタイミングでインクが吐出された画素を表し、より下方の画素位置はより新しくインクが吐出された画素位置を表す。
また、図22において、STB1はノズル群N3m、STB2はノズル群N3m+1、STB3はノズル群N3m+2の位相の切り替えをするストローブ(STB)パルスを示すものである。図22の場合は、ノズル群N3mは1相目、ノズル群N3m+1は2相目、ノズル群N3m+2は3相目に駆動されるように制御されることを表している。
図22において、各位相のノズル群N3m、N3m+1、N3m+2はストローブパルス幅におけるいずれかのタイミングで位相の切り替えが行われるように制御されている。すなわち、この位相の切り替えは周波数に相当し、ストローブパルス幅は各位相の周期に相当する。従来の記録方法においては、1相目、2相目、3相目に駆動されるノズル群N3m、N3m+1、N3m+2が搬送方向Zに直交する方向に並ぶ画素を直線状に記録するために、1画素分の時間内でストローブパルスにより位相を3回切り替えるように制御されていた。
このような位相の切り替えにより、搬送方向Zの上流側のノズル群N3mから順にノズル群N3m、N3m+1、N3m+2の順番でインクが吐出されると、1相目のノズル群N3mよりも2相目のノズル群N3m+1からは遅れてインクが吐出されるが、ノズル群N3m+1はスタガピッチの分だけ記録画素位置が搬送方向Zにずれており、記録媒体Pがこの分を移動するのに時間がかかるため、結果としてノズル群N3mが吐出した記録画素と搬送方向Zに直交する方向に隣接する画素が記録されるようになっていた。
同様に3相目のノズル群N3m+2からは2相目のノズル群N3m+1より遅れてインクが吐出されるが、ノズル群N3m+1と比較するとスタガピッチの分だけ記録画素位置が搬送方向Zにずれているため、ノズル群N3m+1が吐出した記録画素と搬送方向Zに直交する方向に隣接する画素が記録されるようになっていた。このように、従来のインクジェット記録装置によればノズル群のスタガピッチを利用して画素を直線状に記録することができるようになっていた。
なお、本発明において、スタガ配置されたノズルを有する記録ヘッドにおける記録ヘッドと記録媒体との相対的移動方向上流側および下流側とは、図21に示した記録ヘッドHでは、搬送方向Zの最も手前側を記録ヘッドと記録媒体との相対的移動方向上流側、そのすぐ後方側を中流部、最後方側を下流側という。図21に示した前記直線l1、l2、l3で言えば、記録媒体Pが搬送方向が図中矢印Zで表される方向である場合、直線l1上のノズル群N3mが記録ヘッドと記録媒体との相対的移動方向上流側のノズル群、直線l2上のノズル群N3m+1が中流部のノズル群、直線l3上のノズル群N3m+2が下流側のノズル群ということになる。なお、記録ヘッドがシリアルヘッド方式の場合における上流側、中流部、下流側の区別については後述する。
従来のスタガ配置型の記録ヘッドは、上記のように、通常、記録ヘッドと記録媒体との相対的移動方向上流側のノズル群N3mからより下流側に向けて中流部のノズル群N3m+1、下流側のノズル群N3m+2、上流側のノズル群N3m、…の順番でインクを吐出するようにノズル群の位相が切り替えられる。本発明では、このように相対的移動方向のより下流側のノズル群に向けて順次切り替えられる駆動位相を順位相という。
また、このような3相駆動のノズル制御においては、通常、図23に示すタイミングチャートに従って各ノズル群からインクが吐出される。なお、図23に示すタイミングチャートは図22に示したストローブパルスSTB1、STB2、STB3と同様に、図中においてより上方が古いタイミング、より下方の方が新しいタイミングすなわち上方より後のタイミングを表す。また、以下では、順位相および逆位相の場合を含め、3相の駆動位相が一巡するサイクル、すなわち図22や図23で最初のストローブパルス(この場合はストローブパルスSTB1)の立ち上がりから最後のストローブパルス(この場合はストローブパルスSTB3)の立ち下がりまでのサイクルを記録周期Sという。
すなわち、記録周期S(t)においてストローブパルスSTB1〜STB3に従って各ノズル群からインクが吐出される間に、次の記録周期S(t+1)で各ノズル群から吐出させるべきインク量(吐出させるインク量が0の場合も含む)等の情報である画像データDATA(t+1)が制御部で形成され、パルス状のラッチ信号LAT(t+1)に応じて画像データDATA(t+1)が各ノズル群にそれぞれセットされる。そして、次の記録周期S(t+1)ではその画像データDATA(t+1)に基づいてストローブパルスSTB1〜STB3に従って各ノズル群からインクが吐出される。
一方、特許文献2に記載されたインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法では、記録速度の向上等を目的として、スタガ配置のノズルからインクを吐出する際に、前述した順位相とは逆に、記録媒体との相対的移動方向下流側のノズル群N3m+2からインクの吐出を開始し、より上流側に向けて中流部のノズル群N3m+1、上流側のノズル群N3m、下流側のノズル群N3m+2、…の順番で多相駆動の駆動位相を切り替えてノズル群を駆動させる記録方法が提案されている。本発明では、このように相対的移動方向のより上流側のノズル群に向けて順次切り替えられる駆動位相を逆位相という。
特開2002−137388号公報
特許第3788471号公報
以下、本発明に係るインクジェット記録装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置1の記録部には、図1に示すように、画像が記録される記録媒体Pを裏面側から支持する平板状のプラテン2が配設されており、このプラテン2の記録媒体Pの搬送方向、すなわち図中矢印Zで示される搬送方向の上流側および下流側には、記録媒体Pを搬送するための搬送ローラ3がそれぞれ配設されている。
プラテン2の上方には、複数の記録ヘッド4が搬送方向Zに直交する方向に延在するように配設されている。記録ヘッド4は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の各色のインクに対応して複数配置されている。なお、例えば記録ヘッド4から吐出されるインクが光硬化型のインクである場合には、記録ヘッド4の搬送方向Zの下流側に図示しない光照射装置を設けるなど必要な装置等が適宜配設される。
記録ヘッド4は、図2に示すように、各色インクごとに2本で1組とされた単位ヘッド4a、4bで構成されている。本実施形態では、単位ヘッド4aには、複数のノズル群Na3m、Na3m+1、Na3m+2が形成されていて、それらのノズル群により1列のノズル列が形成され、また、単位ヘッド4bには、複数のノズル群Nb3m、Nb3m+1、Nb3m+2が形成されていて、それらのノズル群により1列のノズル列が形成されている。ここで、mは0以上の整数であり、ノズル番号は0から始まる。
単位ヘッド4a、4bは同一の構成であるので、代表して単位ヘッド4aの構成について説明する。単位ヘッド4aは、図示しないピエゾ素子等の圧電素子アクチュエータの作動によりインクチャネル内のインクを押し出してノズルから吐出するようになっている。
単位ヘッド4aの長手方向すなわち搬送方向Zに直交する方向の各ノズルNa3m、Na3m+1、Na3m+2の間隔は、記録媒体P上に記録される画素ピッチと同一の間隔とされており、また、搬送方向Zの各ノズル群Na3m、Na3m+1、Na3m+2の間隔が画素ピッチの1/3の間隔となるように各ノズルがずらされて配置され、スタガ配置とされている。
すなわち、ノズル番号が3mで表される複数のノズルNa3mからなるノズル群Na3mは、図2中では搬送方向Zの最も手前側の直線l1上に配置されており、ノズル番号が3m+1で表される複数のノズルNa3m+1からなるノズル群Na3m+1は、直線l1に平行で画素ピッチの1/3だけ搬送方向Zにずれた直線l2上に配置されている。同様に、ノズル番号が3m+2で表される複数のノズルNa3m+2からなるノズル群Na3m+2は、直線l2に平行で画素ピッチの1/3だけ搬送方向Zにずれた直線l3上に配置されている。
本実施形態では、直線l1上のノズル群Na3mがストローブパルスSTB1で同時に吐出制御されるようになっており、直線l2、l3上のノズル群Na3m+1、Na3m+2がそれぞれストローブパルスSTB2、STB3でそれぞれ同時に吐出制御されるようになっている。そして、このストローブパルスSTB1、STB2、STB3を3相の駆動位相ごとに順次切り替えることでインクを吐出するノズル群が順次切り替えられるようになっており、記録ヘッド4の下方を搬送方向Zに搬送される記録媒体Pに対して各ノズル群からインクを吐出して画像を記録するようになっている。
本実施形態の場合、単位ヘッド4a、4bのノズル群Na3m、Nb3mが記録ヘッド4と記録媒体Pとの相対的移動方向すなわち搬送方向Zの上流側のノズル群であり、単位ヘッド4a、4bのノズル群Na3m+1、Nb3m+1およびノズル群Na3m+2、Nb3m+2がそれぞれ記録ヘッド4と記録媒体Pとの相対的移動方向すなわち搬送方向Zの中流部および下流側のノズル群である。
インクジェット記録装置1の制御系は、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インタフェース等がバスに接続されたマイクロコンピュータで構成されている。図3は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
制御部5は、前述した搬送ローラ3を回転駆動させる図示しない駆動モータ等で構成される搬送装置6の駆動制御を行うようになっている。また、制御部5は、光照射装置等のその他の装置や機構が設けられている場合にはそれらの駆動制御も行うように構成される。
また、本実施形態では、ホストシステムHから画像処理部7に符号化された入力画像データや各種の設定データ等が送られるようになっている。ホストシステムHにはネットワークを通じて図示しない外部装置が接続されており、ホストシステムHおよび外部装置は、記録用の画像データをインクジェット記録装置1に送るほか、インクジェット記録装置1の全体の動作制御を行うための入力を行うようになっている。また、ホストシステムHおよび外部装置では、記録ヘッド4を駆動する駆動周波数の設定等を行うことも可能となっている。
制御部5は、ホストシステムHや外部装置で設定された駆動周波数等の指示信号をヘッド駆動部9に送ってヘッド駆動部9をセットアップするようになっている。また、画像処理部7は制御部5の制御に基づいてそれらの入力画像データをインクジェット記録装置1で処理できるデータ形式にするために復号化してメモリ8に送るようになっている。
本実施形態では、制御部5は、図4に示すように、ヘッド駆動部9から各記録ヘッド4に送信するストローブパルスをSTB2→STB1→STB3の順番で切り替えるように設定して、搬送方向Z中流部のノズル群Na3m+1からインクの吐出を開始させた後、より上流側のノズル群Na3mからインクを吐出させ、続いて下流側のノズル群Na3m+2からインクを吐出させ、インクを吐出するノズル群を逆位相で順次切り替えてNa3m+1→Na3m→Na3m+2→…の順番で吐出駆動させるようになっている。
また、単位ヘッド4bも同様に駆動されるが、図5に示すように、単位ヘッド4bのノズル群から吐出されたインクが単位ヘッド4aのノズル群から吐出されたインクの記録媒体上の着弾位置に隣接する画素位置に吐出されるようにヘッド駆動部9からストローブパルスが単位ヘッド4a、4bに送信されるようになっている。
なお、図5中の画素位置に付されたa0、b1等の記号のうち、アルファベットは単位ヘッド4a、4bのいずれに属するノズル群からインクが吐出されるかを表し、数字はインクが吐出されるノズル群のノズル番号3m、3m+1、3m+2をそれぞれ0、1、2で表すものである。
また、ヘッド駆動部9は、前述した図23に示したタイミングチャートのように、記録周期S(t)でストローブパルスSTB2→STB1→STB3に従って各ノズル群3m+1、3m、3m+2からインクが吐出される間に、次の記録周期S(t+1)で各ノズル群から吐出させるべきインク量等の情報である画像データDATA(t+1) をメモリ8から読み出して、各ノズルにセットするために画像データDATA(t+1)の並べ替え等の処理を行い、制御部5からラッチ信号LAT(t+1)が送信されてくると、そのラッチ信号LAT(t+1)に応じて画像データDATA(t+1)を各ノズルにセットするようになっている。
そして、ヘッド駆動部9は、図4に示したように各単位ヘッドに送信するストローブパルスを設定されたSTB2→STB1→STB3の順番で切り替えて、ストローブパルスSTB2、STB1、STB3のいずれかがON状態となっているノズル群からインクが適宜吐出されるようになっている。
なお、図4に示した3つのノズル群に対する各ストローブパルスSTB2、STB1、STB3の立ち上がりから立ち下がりまでの時間間隔が、図22に示した各ストローブパルスの立ち上がりから立ち下がりまでの時間間隔の2倍になったように記載されているが、これは、ストローブパルスの立ち上がりから立ち下がりまでの時間間隔が2倍になったことを表すものではなく、立ち上がりから立ち下がりまでの時間間隔は図22の場合と同一で、記録媒体Pの搬送速度が2倍になったことを表すものである。
すなわち、図22に示したように記録周期ごとに同一のノズル群から前回の記録周期で記録した画素位置に隣接する画素位置に記録を行う場合を1倍速の記録と定義する場合、本実施形態では、図22に示した記録周期と同じ記録周期で図4等に示したように同一のノズル群から1画素位置おきに記録が行われる。つまり、本実施形態のインクジェット記録装置1は、記録媒体Pの搬送速度が1倍速の記録の場合の2倍、すなわち2倍速の記録を行うように構成されている。また、そのため記録時間は半分になる。
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の作用について説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1による記録では、図5に示したように記録ヘッド4の単位ヘッド4aにより記録された画素位置の間隙部分の画素位置が単位ヘッド4bにより記録されるようになり、記録媒体Pの全画素が記録される。
画像記録において、ヘッド駆動部9は、次の記録周期で各ノズルからの吐出量等を決定する画像データをメモリ8から読み出して、画像データの並べ替え等の処理を行い、制御部5からラッチ信号が送信されてくると、それに応じて画像データを各ノズルにセットする。
その際、ヘッド駆動部9は、図5に示すように、単位ヘッド4aの移動方向Z中流部のノズル群Na3m+1、上流側のノズル群Na3m、下流側のノズル群Na3m+2が記録すべき記録媒体上の2列分の画素列(図中では破線で区画された横方向の2列分の画素列)の画像データをメモリ8から読み出して並べ替え等を行う。また、単位ヘッド4bの搬送方向Z中流部のノズル群Nb3m+1、上流側のノズル群Nb3m、下流側のノズル群Nb3m+2が記録すべき記録媒体上の2列分の画素列(図中では破線で区画された横方向の2列分の画素列)の画像データをメモリ8から読み出して並べ替え等を行う。
そして、ヘッド駆動部9は、各単位ヘッド4a、4bに送信するストローブパルスを設定されたSTB2→STB1→STB3の順番で切り替えて、その順番で各ノズル群Na3m+1、Na3m、Na3m+2に属するノズルからインクを適宜吐出させると同時に、次の記録周期用に単位ヘッド4a、4bについてそれぞれ2列分の画素列の画像データをメモリ8から読み出して並べ替え等を行うという動作を繰り返す。なお、図5に斜線を付して示される画素位置にインクを吐出するノズルには、前述した白画像を形成する信号が送られる。従って、その画素位置には、ノズルからインクは吐出されない。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、図22に示した従来の記録方法のような1倍速の記録に対してその2倍の速度で記録を行うことが可能となる。また、同様の2倍速の記録でも、図25に示したように搬送方向Z下流側のノズル群から順に逆位相でノズル群を駆動する場合に比べ、本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、図5に示すように白画像となる画素が、3つで1組とされたノズル1組あたり計3画素分で済むため、ノズルの使用効率を向上させることができる。
また、図25に示した従来の記録方法では、各記録周期ごとに記録ヘッド4のノズルにセットするために記録媒体上で3列分の画像データをメモリ8から読み出し、RAM上等でそれらの並び替え等を行う必要があったが、本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、図5に示すようにメモリ8から読み出す画像データは記録媒体上で2列分の画像データで済む。
そのため、記録ヘッドに送信する画像データを記録媒体上の2列分の画像データの中から選択して並べ替え等の処理を行うことが可能となり、RAM上等で処理する画像データの量が低減される。
さらに、前述したように、図25に示した従来の記録方法ではノズルにセットされる3列分の画像データが各記録周期ごとに一部重複するため、画像データの読み出しの手順やデータの並べ替え等の処理の手順の構築を煩雑なものとなっていたが、本実施形態では、記録媒体上への2列分の画素列の画像データの記録が1回の記録周期で完結し、次の記録周期ではその2列分の画素列の記録は行われず、その分の画像データを改めてメモリ8から読み出す必要もないため、画像データの読み出しの手順や並べ替え等の処理の手順の構築を非常に明確かつ容易に行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、図2に示したように、それぞれ1列ずつノズル列が形成された2本の単位ヘッド4a、4bを備えることで各色インクにつき2列のノズル列が形成されるインクジェット記録装置1について説明したが、例えば、図6に示すように、所定の間隔をおいて2列のノズル列が形成された記録ヘッド4*を各色インクごとに1本ずつ備えるように構成することも可能である。記録ヘッドをこのように構成した場合も本実施形態とまったく同様の効果を得ることができる。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置では、記録部の構成は図1に示した第1の実施形態の場合と同様であるので、同一の符号を付して説明する。
第2の実施形態に係るインクジェット記録装置では、記録ヘッド4の構成は図2に示した第1の実施形態の場合と同様であり、単位ヘッド4aは、インクを吐出するノズル群が逆位相で順次切り替えられる点でも同様であるが、図7に示すように、記録媒体Pの搬送方向Z上流側のノズル群Na3mからインクの吐出を開始する点で第1の実施形態と異なり、その後下流側のノズル群Na3m+2、中流部のノズル群Na3m+1の順番でインクを吐出するノズル群が逆位相で順次切り替えられるようになっている。単位ヘッド4bも同様に構成される。
そのため、制御部は、この順番で各ノズル群からインクを吐出するようにヘッド駆動部9から各記録ヘッド4にSTB1→STB3→STB2の順番で切り替わるストローブパルスを送信させるようになっている。そして、ヘッド駆動部9は、次の記録周期で各ノズルから吐出させるべき画像データをメモリ8から2画素列分読み出して、各ノズルにセットするために画像データの並べ替え等の処理を行い、制御部からのラッチ信号に応じて画像データを各ノズルにセットする。
このようにして吐出制御が行われると、各記録ヘッド4の単位ヘッド4a、4bからは、図8に示すように、単位ヘッド4a、4bのノズルからそれぞれ吐出されたインクが記録媒体上で交互に並ぶように記録される。この場合も2倍速の記録が行われる。なお、図8に斜線を付して示される画素位置には白画像が形成され、すなわちこの画素位置にはノズルからインクが吐出されない。
以上のように、第2の実施形態に係るインクジェット記録装置においても、第1の実施形態に係るインクジェット記録装置1と同様に2倍速で記録を行うことが可能となるとともに、白画像となる画素が、3つで1組とされたノズルあたり計3画素分で済むため、ノズルの使用効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置においても、図8に示したようにメモリ8から読み出す画像データは記録媒体上で2列分の画像データで済むため、RAM上等で処理する画像データの量が低減されるとともに、記録媒体上への2列分の画素列の画像データの記録が1回の記録周期で完結するため、画像データの読み出しの手順や並べ替え等の処理の手順の構築を非常に明確かつ容易に行うことが可能となる。
なお、本実施形態においても、記録ヘッドを図6に示した記録ヘッド4*のように構成することが可能である。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るインクジェット記録装置では、記録部の構成は前述した第1の実施形態や第2の実施形態の場合と同様であるので、同一の符号を付して説明する。
第3の実施形態に係るインクジェット記録装置では、記録ヘッド4の構成は図2に示した第1の実施形態の場合と同様であり、逆位相でインクを吐出するノズル群を切り替えるが、各記録ヘッド4につき単位ヘッド4aと単位ヘッド4bとで異なる順番でインクを吐出させるようになっている。
具体的には、単位ヘッド4aでは、図7に示した第2の実施形態のようにストローブパルスをSTB1→STB3→STB2の順番で切り替えて、記録媒体Pの搬送方向Z上流側のノズル群Na3mからインクの吐出を開始し、下流側のノズル群Na3m+2、中流部のノズル群Na3m+1の順番でインクを吐出させる。一方、単位ヘッド4bでは、図4に示した第1の実施形態のようにストローブパルスをSTB2→STB1→STB3の順番で切り替えて、記録媒体Pの搬送方向Z中流部のノズル群Nb3m+1からインクの吐出を開始させ、より上流側のノズル群Nb3m、下流側のノズル群Nb3m+2の順番でインクを吐出させる。
このように単位ヘッド4aと単位ヘッド4bとで異なる順番でインクを吐出させると、各記録ヘッド4の単位ヘッド4a、4bからは、図9に示すように、単位ヘッド4a、4bのノズルからそれぞれ吐出されたインクが記録媒体上で交互に並ぶように記録される。
以上のように、第3の実施形態に係るインクジェット記録装置においても、第1および第2の実施形態に係るインクジェット記録装置と同様に2倍速で記録を行うことが可能となる。第3の実施形態に係るインクジェット記録装置によれば、図9に示したように白画像の画素を形成することなく最初の画素列から記録を行うことが可能となるため、ノズルの使用効率を格段に向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置では、図9に示したように単位ヘッド4a、4bに対してメモリ8から読み出す画像データは記録媒体上で2列分の画像データで済み、しかも、単位ヘッド4a、4bで同一の2列分の画素列の画像データを読み出して処理すればよいため、RAM上等で処理する画像データの量が非常に低減される。
また、同一の2列分の画素列の画像データを読み出して単位ヘッド4a用および単位ヘッド4b用にそれぞれ画像データの並べ替え等を行えばよく、しかも、記録媒体上への2列分の画素列の画像データの記録が1回の記録周期で完結するため、画像データの読み出しの手順や並べ替え等の処理の手順の構築を非常に明確かつ容易に行うことが可能となる。
なお、単位ヘッド4a、4bからのインク吐出の順番を、本実施形態とは逆の順番、すなわち、単位ヘッド4aでは第1の実施形態のようにノズル群Nb3m+1→Nb3m→Nb3m+2の順番で、単位ヘッド4bでは第2の実施形態のようにノズル群Na3m→Na3m+2→Na3m+1の順番で切り替えて、それらを組み合わせてインクを吐出させるように構成することも可能であり、このように構成しても本実施形態とまったく同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態においても、記録ヘッドを図6に示した記録ヘッド4*のように構成することが可能である。
[第4の実施の形態]
前記第1〜第3の実施形態では、図2に示したように1列のノズル列が設けられた単位ヘッドを各色あたり2本ずつ備え、或いは図6に示したように1本の記録ヘッドにノズル列を2列設けることで、各色ごとに記録ヘッドが2列のノズル列を備えるように構成される場合について説明した。
このように構成すると、図22に示したように記録周期ごとに同一のノズルから前回の記録周期で記録した画素位置に隣接する画素位置に記録を行う場合を1倍速の記録と定義する場合、上記の各実施形態では、ノズル列の列数分の倍速記録、すなわち2倍速の記録を行うことが可能であった。
より詳しく説明すれば、図22や図4等に示した3つのノズル群に対するストローブパルスSTB1、STB2、STB3は、立ち上がりから立ち下がりまでの時間間隔が互いに同一の時間間隔になるように設定されており、その条件の下で、図22に示した順位相でノズル群の駆動位相を切り替える場合と比較して、前記第1〜第3の実施形態ではノズル列を2列とし、逆位相でノズル群の駆動位相を切り替えることで、ノズル列の列数分の倍速記録、すなわち2倍速の記録を達成することができた。
しかし、このような倍速記録は、2列のノズル列による2列で2倍速の場合に限定されない。ノズル列の列数を3n−1(nは正の整数)として3n−1倍速の記録を行うことが可能である。
例えば、図2のように1列のノズル列を備える単位ヘッドを5本備え、或いは図6のように5列のノズル列を備える記録ヘッドを1本備え、或いは1列のノズル列を備える単位ヘッドや複数列のノズル列を備える単位ヘッドを複数備えることで、ノズル列を5列備えるように記録ヘッドを構成する。
また、1つのノズル列の3つのノズル群に対して、例えば図10に示すようにストローブパルスをSTB1→STB3→STB2の順番に逆位相で切り替えて、記録媒体Pの搬送方向Z上流側のノズル群Na3mからインクの吐出を開始し、下流側のノズル群Na3m+2、中流部のノズル群Na3m+1の順番でインクを吐出するように制御する。
そして、各ノズル列で隣接する画素位置にインクを吐出するように制御することで、図11に示すように5倍速の記録を達成することができる。この場合、図11に斜線を付して示される画素位置にはノズルからインクが吐出されず、白画像となる画素は、3つで1組とされたノズルあたり計9画素分で済む。
また、図示を省略するが、5列のノズル列の各ノズル群に対して、第1の実施形態のようにストローブパルスをSTB2→STB1→STB3の順番に逆位相で切り替えて、記録媒体Pの搬送方向Z中流部のノズル群Na3m+1からインクの吐出を開始してより上流側のノズル群Na3m、下流側のノズル群Na3m+2の順番でインクを吐出するように制御しても、同様に、白画像となる画素は、3つで1組とされたノズルあたり計9画素分で済む。
これに対して、特許文献2に記載された従来のインクジェット記録方法を応用して、駆動位相は逆位相であるが,記録媒体Pの搬送方向Z下流側のノズル群からインクを吐出させた場合には、インクが吐出される画素位置は図12に示されるようになり、白画像となる画素は、3つで1組とされたノズルあたり計12画素分必要となる。
このように、本実施形態に係るインクジェット記録装置によれば、前記第1および第2の実施形態と同様の効果を3n−1倍速の記録でも同様に発揮させることが可能となり、特に、従来のインクジェット記録方法に対して白画像となる画素数を低減させることが可能となるため、ノズルの使用効率を向上させることができる。
なお、本実施形態においても、前記第3の実施形態のように、ノズル列ごとにストローブパルスの順番を変化させてインクの吐出を開始するノズル群を変え、白画像となる画素数をより低減させるように構成することも可能である。
[第5の実施の形態]
前記第1〜第4の実施形態では、記録ヘッドや単位ヘッドが逆位相の駆動位相でノズル群を順次切り替えてインクを吐出する場合について述べた。しかし、記録ヘッドや単位ヘッドは、前述したように、もともと記録媒体との相対的移動方向上流側のノズル群から順次下流側にインクを吐出するノズル群を切り替える順位相で駆動するのが通常である。
従って、本発明の第5の実施形態では、記録ヘッドや単位ヘッドの駆動位相が順位相と逆位相とに切り替えられることを利用したインクジェット記録装置について説明する。
本実施形態では、図1に示したインクジェット記録装置と同様のインクジェット記録装置10ではあり、記録ヘッド4として図2に示した単位ヘッド4a、4bと同型の単位ヘッド4c〜4fが図13に示すように各色ごとに4本ずつ配設されて構成されている。また、各単位ヘッド4c〜4fはそれぞれガイドレール11に沿って搬送方向Zに直交する方向に移動可能とされている。なお、単位ヘッド4c〜4fの移動は図示しない移動機構により行ってもよく、手動で行うように構成してもよい。
そして、単位ヘッド4c〜4fを図13に示すように配置した場合には、記録媒体Pの搬送方向Zに並ぶノズル列は各色ごとにそれぞれ1列となり、この場合は、図22に示したようにストローブパルスをSTB1、STB2、STB3の順番に順位相で切り替えることで1倍速の画像記録が行われるようになっている。
また、単位ヘッド4c〜4fをガイドレール11に沿って移動させて図14に示すように搬送方向Zに並ぶノズル列を各色ごとに2列とした場合には、前記第1〜第4の実施形態で示したようにストローブパルスを逆位相で切り替えて、単位ヘッド4c〜4fの移動方向中流部や上流部のノズル群からインクの吐出を開始させることで、2倍速の画像記録を行うことが可能となるとともに、前述した第1〜第4の実施形態の効果が発揮される。
さらに、単位ヘッド4c〜4fをガイドレール11に沿って移動させて図15に示すように搬送方向Zに並ぶノズル列を各色ごとに4列とした場合には、ストローブパルスを順移動で切り替えて、4倍速の画像記録を行うことができる。この場合、ノズル群を省略して示すと、インクが吐出される画素位置は図16に示されるようになる。なお、図中の画素位置に付されたc0、d1等の記号のうち、アルファベットは単位ヘッド4c〜4fのいずれに属するノズル群からインクが吐出されるかを表し、数字はインクが吐出されるノズル群のノズル番号3m、3m+1、3m+2をそれぞれ0、1、2で表す。
なお、本実施形態における各色ごとの単位ヘッドの数は4本に限らない。また、図13に示した各単位ヘッド4c〜4fが例えばそれぞれノズル列を2列ずつ有するものとすれば、各単位ヘッド4c〜4fを図13のように配置する場合には逆位相で2倍速の画像記録を行うことができ、図14のように配置する場合には順位相で4倍速の画像記録を行うことができ、図15のように配置する場合には逆位相で8倍速の画像記録を行うことが可能となる。
このように、可変とするノズル列の列数は3n−1または3n−2(いずれもnは正の整数)で任意に変えることが可能であり、ノズル列の列数が3n−1の場合はノズル群を逆位相で切り替え、ノズル列の列数が3n−2の場合はノズル群を順位相で切り替えるように構成すれば、種々の倍速記録を行うことが可能となる。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット記録装置10によれば、記録媒体Pの搬送方向Zに並設されるノズル列の数を可変とされた記録ヘッドにおいてもインクを吐出させるノズル群の駆動位相を順位相または逆位相で切り替えることでノズル列の列数分の倍速記録を行うことが可能となる。
特に、従来のように順位相でのみノズル群を切り替える場合には、ノズル列を3n−1列(nは正の整数)並べて3n−1倍速の記録を行うことは非常に困難であり、インクが吐出されて記録媒体P上に記録された記録画素が一列にそろわなかったが、逆位相でノズル群を切り替えることを可能とすることで、ノズル列を3n−1列並べて3n−1倍速の記録を行うことを非常に容易かつ的確に行うことが可能となる。
また、ノズル列を3n−1列並べて3n−1倍速の記録を行う場合には、前述した第1〜第4の実施形態の技術を用いて画像記録を行うことが可能となり、第1〜第4の実施形態の効果を有効に発揮させることが可能となる。
さらに、特に、第5の実施形態のようにインクジェット記録装置20がラインヘッド方式の場合、記録媒体Pの幅に応じて単位ヘッドを図13の状態から図14、15の状態に移動させることで、前記のように倍速記録を行うことも可能となるだけでなく、インクを吐出しない単位ヘッドをなくすことが可能となり、単位ヘッドや記録ヘッドを効率よく活用することが可能となるという利点もある。
なお、上記の第1〜第5の実施形態では、インクジェット記録装置がラインヘッド方式である場合について説明したが、図17に示すようにインクジェット記録装置がシリアルヘッド方式である場合にも適用される。
シリアルヘッド方式のインクジェット記録装置20では、平板状のプラテン21の表面上を記録媒体Pが搬送ローラ22により図中矢印Yで示される副走査方向に間歇的に搬送される。また、プラテン21の上方には、棒状のキャリッジレール23がプラテン21に平行で副走査方向Yに直交する主走査方向Xに延設されており、キャリッジレール23には、略筐体状のキャリッジ24が支持されている。キャリッジ24は、図示しない主走査機構によりキャリッジレール23に沿って主走査方向Xに往復移動されるようになっている。
キャリッジ24の底面には、記録媒体Pに対してインクを吐出する複数のノズルが設けられた記録ヘッド25が搭載されている。記録ヘッド25は、上記の各実施形態と同様に各色インクごとに例えば2本ずつ単位ヘッド25a、25bが主走査方向Xに並設されている。各単位ヘッド25a、25bは、図2に示した前記各実施形態の単位ヘッド4a、4bと同様に、図18に示すようにノズルNa3m、Na3m+1、Na3m+2およびノズルNb3m、Nb3m+1、Nb3m+2がそれぞれスタガ配置とされており、ノズル列が例えば2列ずつ(一般的には3n−1列ずつ)になるようにそれぞれ配設されている。ここで、mは0以上の整数であり、ノズル番号は0から始まる。
そして、プラテン21上で静止した記録媒体Pの上方をキャリッジ24の往復移動にあわせて単位ヘッド25a、25bが主走査方向Xに走査しながらノズルからインクを吐出することにより、前記第1〜第4の実施形態に記載された効果がシリアルヘッド方式のインクジェット記録装置20においても同様に発揮される。
なお、シリアルヘッド方式のインクジェット記録装置20では、単位ヘッド25a、25bが図18中に矢印で示される移動方向に移動する場合、単位ヘッド25a、25bのノズル群Na3m、Nb3mが記録ヘッド25と記録媒体Pとの相対的移動方向すなわち記録ヘッド25の移動方向上流側のノズル群となり、単位ヘッド25a、25bのノズル群Na3m+1、Nb3m+1およびノズル群Na3m+2、Nb3m+2がそれぞれ中流部および下流側のノズル群となる。
また、記録ヘッド25が図18中に矢印で示される移動方向とは逆方向に移動する場合には、単位ヘッド25a、25bのノズル群Na3m+2、Nb3m+2が記録ヘッド25の移動方向上流側、ノズル群Na3m+1、Nb3m+1が移動方向中流部、ノズル群Na3m、Nb3mが移動方向下流側のノズル群として扱われ、それぞれ前記第1〜第4の実施形態に記載された要領で制御される。すなわち、シリアルヘッド方式のインクジェット記録装置20では、記録ヘッド25や単位ヘッド25a、25bの移動方向に応じて記録ヘッド25と記録媒体Pとの相対的移動方向上流側と下流側のノズル群が代わる。
ところで、前記第1〜第5の実施形態に係るインクジェット記録装置において、図6に似た記録ヘッドではあるが、図19に示すように記録媒体Pの搬送方向Zの前後のノズル列のノズル位置が搬送方向Zに直交する方向に1画素分ずつずらされた記録ヘッドが用いられる場合がある。
この場合、前後のノズル列のノズルが同一の画素位置にインクを吐出することはないから、本発明では、この前後のノズル列を独立のものと考える。すなわち、例えばこのような記録ヘッドを3n−1本(nは正の整数)並設した場合には、各記録ヘッドの前側のノズル列同士で3n−1列のノズル列があり、後側のノズル列同士で3n−1列のノズル列があるものとして本発明が適用される。