JP5030173B2 - 分散プリズム - Google Patents

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Description

本発明は、分散プリズムに関し、さらに詳細には、広帯域の分光計測などに用いて好適な分散光学素子たる分散プリズムに関するものである。
なお、後述するように、本明細書においては、本発明による分散プリズムを「線形角度分散プリズム」と適宜に称することとする。
従来より、広帯域の分光計測は、数多くの分野において計測手段として用いられており、近年改めて、その重要性が認識されるようになった。
例えば、生体の蛍光観察においては、同時に多数の色素を使用することが一般的になりつつあり、波長の範囲が400〜2000nmに及ぶ分光計測を行うことが必要である。
そして、複数の蛍光物質を分離するには、バンドパスフィルタを組み合わせた手法では不十分であり、スペクトルの形からケモメトリクス等による分離法が求められている。
また、こうした生体の蛍光観察では、主蛍光の波長のみならず蛍光強度が弱い波長の取得も必要であり、紫外から赤外域まで同時に計測することが望ましく、広い波長帯域を高い効率で分光する分散光学素子の開発が強く望まれている。
一方、宇宙望遠鏡や補償光学を搭載した地上望遠鏡のように回折限界が達成できる次世代の大型望遠鏡においても、大口径で広い波長帯域を高い効率で分光する分散光学素子の開発が強く望まれている。

より詳細には、一般に、分光計測においては、回折格子やフーリエ分光法あるいはプリズム分光器が利用されている。
回折格子は、波長に対してほぼ線形のスペクトルが得られるが、ブレーズ波長以外は効率が低下し、また、整数倍の波長のスペクトルが同じ位置に重なるという性質がある。
このため、広帯域の分光計測では、フーリエ分光法やプリズム分光器が有利と考えられているが、プリズムは分散が波長や波数に対して非線形であり、一方、フーリエ分光法は分散が波数に対して線形であり、いずれも分散が波長に対して線形でないために用途によっては計測の効率が悪い場合があった。
また、フーリエ分光器は回折格子やプリズム等の分散型に対して面積が広い光源や試料の計測には有利であるが、点光源に対してはその優位性が消滅することになり、また、アレイ検出器を用いたマルチチャンネル分光器の場合には、画素数が増えるほどS/N比の点でフーリエ分光器より分散型の方が有利になるものであった。

ところで、天体等の低分散分光観測においては、屈折率の波長分散特性(屈折率分散)が異なる複数個のプリズムを組み合わせた直視分散プリズム(図1に示すアミチ(Amici)分光器のプリズム等)やグリズム(直視回折格子)等の分散光学素子が用いられてきた。
なお、アミチ分光器のプリズム100は、図1に示すように、屈折率の波長分散特性がそれぞれ異なる2種類のプリズムである第1プリズム102(屈折率:na(λ))と第2プリズム104(屈折率:nb(λ))とを組み合わせて構成されている(na(λ)≠nb(λ))。
プリズムの多くは、光学ガラスや透明な結晶および樹脂等の媒質の屈折率分散が可視光線において短波長の方が大きく、得られるスペクトルが波長や波数に対して線形ではないために計測の効率が悪いということが指摘されていた。
また、グリズム等の回折格子は波長に対してほぼ線形のスペクトルが得られるが、広い波長領域を同時に計測する場合には最大効率波長(ブレーズ波長)をピークとして効率が低下し、また、整数倍の波長のスペクトルが同じ位置に重なってしまうという欠点が指摘されていた。
こうした回折格子の欠点を改善するために、特許文献1として提示する特開平9−127321号公報、特許文献2として提示する特開平9−127322公報、特許文献3として提示する特開2002−062418号公報に開示されているように、異なる材質の回折格子を組み合せることにより比較的広い波長範囲において高い効率が得られるようにした分散光学素子が提案されている。
しかしながら、特許文献1と2と3の回折格子は高い加工精度と多くの工数を必要とするために、極めて高価な分散光学素子であるという問題点があった。
特に、回折限界の光学系で使用する場合には、波長の1/20程度以下の波面精度で加工する必要があり、大口径の回折格子を製作することが困難であるという問題点もあった。
さらに、複数の回折格子を整列して使用する場合には、波面の位相に加えて格子を整合するように配置しなければならないために、実現が極めて困難であることも指摘されていた。
なお、本願発明者等が提案した特願2007−176655に開示された分散光学システムは、レンズによって分散特性を変えるために専用の光学系が必要であり、撮像光学系と切り替えることは困難であった。

こうした背景から、角度分散は小さくても良いが、1/20波長以下の波面精度の達成が容易な回折限界用の分散光学素子たる分散プリズムの開発が望まれていた。

特開平9−127321号公報 特開平9−127322号公報 特開2002−062418号公報
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点や要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の回折格子よりも高い効率を得ることができ、しかも、回折格子と比べて製造が容易であり、かつ、コストを低減することができるようにした分散プリズムを提供しようとするものである。
また、本発明の目的とするところは、波長の1/20程度の波面精度を比較的容易に達成することができるようにした分散プリズムを提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、屈折率分散が異なる少なくとも3種類以上のプリズムを組み合せたものであり、上記3種類以上のプリズムのなかの1種類以上のプリズムは、誘電体の屈折率を求める波長のベキ乗の分散式
n(λ)=A+Aλ−2+Aλ−4
によって任意の波長範囲においてフィッティングした場合にA/Aの絶対値が最小のプリズムより2倍以上大きくなるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記1種類以上のプリズムは、樹脂よりなるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記樹脂は、少なくとも1種類がポリカーボネートまたはフッ素系樹脂であるようにしたものである。

従って、本発明による分散プリズムによれば、従来の回折格子よりも高い効率を得ることができ、しかも、回折格子と比べて製造が容易であり、かつ、コストを低減することができる。
また、回折限界の光学系に使用する光学素子は波長の1/20程度の波面精度が必要であるが、本発明による分散プリズムによれば、波長の1/20程度の波面精度を比較的容易に達成することができる。
なお、回折限界の光学系において複数の分散プリズムを整列させて使用する場合には、その配置に高い精度が要求されないため分散プリズム同士の透過波面を揃えれば、大口径であっても対応することができる。
本発明は、以上説明したように構成されているので、従来の回折格子よりも高い効率を得ることができ、しかも、回折格子と比べて製造が容易であり、かつ、コストを低減することができるようになるという優れた効果を奏する。
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、波長の1/20程度の波面精度を比較的容易に達成することができるようなるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による分散プリズム(以下、「線形角度分散プリズム」と適宜に称する。)の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
この本発明による線形角度分散プリズムは、屈折率分散が異なる3種類以上のプリズムを組み合せることによって任意の波長範囲において、出射角の角度分散が波長に対してほぼ線形で、高い効率が得られる分散光学素子を安価に提供できるものである。
なお、以下に説明する実施の形態においては、屈折率分散が異なる3種類のプリズムを組み合わせて本発明による線形角度分散プリズムを構成する場合について説明する。

即ち、図2には、本発明による線形角度分散プリズムの実施の形態の一例の概念構成説明図が示されている。
この線形角度分散プリズム10は、屈折率の波長分散特性がそれぞれ異なる第1プリズム12(屈折率:n1(λ))と第2プリズム14(屈折率:n2(λ))と第3プリズム16(屈折率:n3(λ))とを組み合わせて構成されている(n1(λ)≠n2(λ)≠n3(λ))。
ここで、第1プリズム12は、例えば、ポリカーボネート(Polycarbonate)などの樹脂により構成することができ、第2プリズム14ならびに第3プリズム16は、例えば、ガラスにより構成することができる。
なお、この実施の形態においては、第1プリズム12としてポリカーボネートを用い、第2プリズム14として株式会社オハラ製の光学ガラスであるS−TIM39(商標)を用い、第3プリズム16として株式会社オハラ製の光学ガラスであるS−FSL5(商標)を用いた場合について説明する。

こうした線形角度分散プリズム10は、低分解能の分光計測にはそのまま分散光学素子として用いると好適であり、また、線形角度分散プリズム10は、高次回折光を利用して広い波長範囲を同時に高分解能観測するエシェル(Echelle)分光器の次数分離用垂直分散光学素子としても有効である。
さらに、高分解能の分光計測にはフーリエ分光器用干渉光学系の波長帯域を分割してS/Nを向上させるための分散光学素子として用いると好適である。
特に線形角度分散プリズム10は、宇宙望遠鏡や補償光学を搭載した地上望遠鏡のように回折限界が達成できる次世代大型望遠鏡の分光観測装置用の大口径分散光学素子として有効である。
例えば、口径10mの望遠鏡は波長500nmにおいて回折限界が0.0126”(秒角)であり、シーイング(大気揺らぎによる像の広がり)が1.0”である場合には像サイズが回折限界の約80倍に広がってしまう。
従って、回折限界の場合には分光器のスリット幅をシーイング限界の1/80にすることが出来るので、同じ分散素子であっても80倍の分解能が得られるようになる。
即ち、宇宙望遠鏡や補償光学を搭載した地上望遠鏡あるいは横モードが単一なレーザーのように回折限界の光学系で使用する場合には、線形角度分散プリズム10は、回折格子および従来の分散プリズムの欠点を克服した理想的な分散光学素子となる。

次に、上記した第1プリズム12の屈折率n1と第2プリズム14の屈折率:n2と第3プリズム16の屈折率:n3とについて、以下に詳細に説明することとする。
まず、屈折率の分散についてであるが、誘電体の屈折率は、波長のベキ乗の分散式
n(λ)=A+Aλ+Aλ−2+Aλ−4+Aλ−6+Aλ−8 ・・・ (1)
によってフィッティングすることができる。
ここで、上記式(1)において、λは光の波長[μm]であり、n(λ)は屈折率であり、A、A、A、A、AおよびAは定数である。
多くのガラスや結晶、樹脂等の屈折率分散は、透明な領域においてλ−2の項Aが支配的であり、λ−4の項Aを加えることにより実用的な屈折率の波長特性値が得られる。
即ち、上記式(1)は、
n(λ)=A+Aλ−2+Aλ−4 ・・・ (2)
によってフィッティングすることができる(図3を参照する。)。
図3には、光学ガラスおよび樹脂の波長500nmにおいて規格化された屈折率が示されており、実線は定数、波長の−2および−4乗のベキでフィッティングしたものであり、マーカーについては、ポリカーボネート(Polycarbonate)が実測値であり、株式会社オハラ製の光学ガラスであるS−TIM39(商標)およびS−FSL5(商標)がカタログ値である(セルマイヤーの分散式)。

ここで、AとAとの項の比率が異なる材質のプリズムを組み合せて頂角を調節することにより、出射角を波長の1次関数、即ち、波長や波数に対して線形に近い角度分散にすることができる。
具体的には、A/Aの絶対値が最も小さいプリズムより2倍以上大きい材質のプリズムを1種類以上用いるものであり、それ以外のプリズムはA/Aの絶対値が最大と最小のプリズムの中間である材質を用いればよい。

多くの光学ガラスや結晶に対して屈折分散が大きく異なるポリカーボネート等の樹脂を組み合せた本発明による線形角度分散プリズムは、光学ガラスや結晶をのみを組み合せた従来の分散プリズムより素子の厚さを薄くすることができる。
上記した線形角度分散プリズム10においては、第1プリズム12としてポリカーボネートを用い、第2プリズム14および第3プリズム16として光学ガラスを用いた場合について説明したが、こうした組み合わせに限られるものではない。
例えば、ポリカーボネートに代えて旭硝子株式会社製のアモルフォスフッ素樹脂であるサイトップ(Cytop)(商標)などのフッ素系樹脂等を用いてもよく、また、光学ガラスに代えて石英やフッ化カルシウム、PMMA(アクリル樹脂)などを用いてもよい。
このように、線形角度分散プリズム10において、第1プリズム12としてフッ素系樹脂等を用いるとともに、第2プリズム14および第3プリズム16として石英やフッ化カルシウム、PMMAを用いた場合には、その組み合わせにより紫外線用の線形角度分散プリズムを実現することができる。
また、ZnSやZnSe、GaAs、シリコン等の結晶同士やガラスあるいは樹脂との組み合わせにより、赤外線用の線形角度分散プリズムを実現することも可能である。
さらに第一のプリズム12、第2プリズム14および第3プリズム16は材質と頂角を保ったまま、適宜順序を変えても概ね同等の特性を得ることが出来る。
また、各プリズムの境界は光学接着や光学的密着(Optical contoct)であっても、反射防止膜等の表面処置を施して適宜間隔を保っても、概ね同等の効率と特性を得ることができる。
ここで、線形角度分散プリズム10を分散光学素子として使用する場合には、複数の幅が広い線形角度分散プリズム10を格子状に配列することにより、厚さを薄くすることが可能になり、大口径の分光装置にも対応することができる。
また、線形角度分散プリズム10は効率が高いため、線形角度分散プリズム10を複数のプリズムを積層して、より大きな分散を得ることも可能となる。

上記した本発明の線形角度分散プリズム10は、任意の波長範囲において従来の分散プリズムより波長に対してほぼ線形の角度分散が得られる。
即ち、ポリカーボネート、光学ガラスのS−TIM39(商標)およびS−FSL5(商標)の波長400〜1000nmの屈折率を波長500nmの値で規格化して、上記(2)式でフィッティングした場合の分散式は、それぞれ以下に示す通りである。
ポリカーボネートの屈折率=0.981+0.00293λ−2+0.000488λ−4 ・・・ (3)
S−TIM39(商標)の屈折率=0.976+0.00549λ−2+0.000145λ−4 ・・・ (4)
S−FSL5(商標)の屈折率=0.989+0.00305λ−2−0.0000768λ−4 ・・・ (5)
また、A/Aの値は、ポリカーボネートが「A/A=0.165」であり、S−TIM39(商標)が「A/A=0.0264」であり、S−FSL5(商標)が「A/A=−0.0252」である。
図3に示すように、ポリカーボネートの屈折率分散はS−TIM39(商標)と似ているものの、長波長では屈折率の変化がより小さく、短波長ではより大きくなるような硝材とは異なる屈折率分散を持つ。
また、S−FSL5(商標)はAが負の値である。
ポリカーボネートとS−TIM39(商標)とS−FSL5(商標)を使用した場合には、プリズムの吸収がほとんど無い波長領域(400〜2000nm)において最短波長の約2倍の波長までの範囲、例えば、波長400〜800nmあるいは波長500〜1000nmの範囲において、ほぼ線形な角度分散を実現することができる。

次に、図4には、波長400nmと波長800nmにおいて出射角の差が0.3°になるように構成した場合における、線形角度分散プリズム10を含む各種プリズムおよび回折格子などの分散光学素子の角度分散特性のグラフが示されている。
図4に示すグラフにおける実線は、屈折率分散が異なる3種類のプリズムを組み合わせた本発明による線形角度分散プリズム10の角度分散特性を示している。
なお、第1プリズム12として頂角が22.71°のポリカーボネートを用い、第2プリズム14として頂角が−27.28°のS−TIM39(商標)を用い、第3プリズム16として頂角が7.75°のS−FSL5(商標)を用いた。
次に、図4に示すグラフにおける一点鎖線は、従来の分散プリズム100の角度分散特性を示している。
なお、第1プリズム102として頂角が−10.688°のS−TIM39(商標)を用い、第2プリズム104として頂角が12°のS−FSL5(商標)を用いた。
また、図4に示すグラフにおける破線は、格子間隔80μm(12.5本/mm)の透過型回折格子の角度分散特性を示している。
図4に示すように本発明による線形角度分散プリズム10は上記した範囲の前後においても従来の分散プリズム100より概ね線形に近い角度分散を実現することができる。
波長400nmの近傍において透明で現在入手可能な光学ガラスは、A/Aの値がポリカーボネートより小さいために、例えば、株式会社オハラ製のS−TIH6(商標)、S−FTM16(商標)、S−FPL53(商標)の組み合わせの場合には、図4において実線で示す線形角度分散プリズム100と同等の特性を得ることが可能であるが、厚さが約2倍になってしまう。
一方、A/Aの値が大きい素材を用いることによって、より薄い線形角度分散プリズム100を実現することも可能である。

次に、図5には、波長200nmと波長600nmにおいて出射角の差が0.3°になるように構成した場合における、線形角度分散プリズム10を含む分散光学素子の角度分散特性のグラフが示されている。
図5に示すグラフにおける実線は、屈折率分散が異なる3種類のプリズムを組み合わせた本発明による線形角度分散プリズム10の角度分散特性を示している。
なお、第1プリズム12として頂角が10.88°のサイトップ(商標)を用い、第2プリズム14として頂角が−24.97°のフッ化カルシウムを用い、第3プリズム16として頂角が15.44°の合成石英(SiO)を用いた。
次に、図5に示すグラフにおける一点鎖線は、従来の分散プリズム100の角度分散特性を示している。
なお、第1プリズム102として頂角が6.5°の合成石英を用い、第2プリズム104として頂角が7°のフッ化カルシウムを用いた。
また、図5に示すグラフにおける破線は、格子間隔90μm(11.1本/mm)の透過型回折格子である。

なお、上記において説明したように、ポリカーボネート、S−TIM39(商標)ならびにS−FSL5(商標)の波長500nmにおいて規格化された屈折率は、上記した式(3)〜(5)で与えられるが、ポリカーボネートの代わりに上記した式(2)において、A=0.984、A=0.000、A=0.001(A/A=∞)の材質(A:0,A:0.001)について検討した。
図6に示すグラフにおける破線が、材質(A:0,A:0.001)の屈折率を表している。
その結果、第1プリズム12として頂角が12.3°の材質(A:0,A:0.001)を用い、第2プリズム14として頂角が−23°のS−TIM39(商標)を用い、第3プリズム16として頂角が12°のS−FSL5(商標)を用いた組み合わせによる線形角度分散プリズム10では、図7のグラフに示すように、第1プリズム12として頂角が10°のポリカーボネートを用い、第2プリズム14として頂角が−40°のS−TIM39(商標)を用い、第3プリズム16として頂角が25°のS−FSL5(商標)を用いた組み合わせによる線形角度分散プリズム10の約2/3の厚さで、同等以上の特性が得られることが分かった。
なお、図7のグラフにおいて、材質(A:0,A:0.001)の値は、図6に示す値を1.5948(ポリカーボネートの波長500nmにおける屈折率)倍して計算に用いられている。

また、通常の光学のガラス(nd<1.6,νd>25)については、波長400〜1000nmの屈折率から試算した範囲では、A/Aの値が−0.025から0.027であった。
一方、樹脂のA/Aの値については、調査した材質の中ではポリカーボネートが0.167と最大であって、ポリスチレンが0.049と比較的大きく、PMMAが0.0089であり、通常の光学ガラスと同等であった。
従って、可視光用については、実際の応用を考慮すると、通常の光学ガラスと組み合せる樹脂は波長400〜1000nmの屈折率から求めた(2)式の分散式のA/Aの絶対値が0.04以上であることが好ましい。
一方、紫外線用については、波長200〜1000nmの屈折率から求めた(2)式の分散式のA/Aの値はサイトップが−0.020、フッ化カルシウムが0.0080、石英が0.0089であった。
なお、石英やフッ化カルシウム等と組み合わせる樹脂は使用する波長範囲においてA/Aの絶対値がサイトップのそれと同程度の値であればよい。
本発明は、分光分析、光学計測あるいはレーザー機器などに用いることができるものである。
より具体的には、例えば、同時に多数の色素を使用する生体の蛍光観察、植物の生育状況調査のためのカロチノイド等の成分分析、大気中のメタン等の濃度測定あるいは粉体や乳液等の粒度分布計測等に必要な広帯域かつ低分解能の分光装置用の分散光学素子、エシェル分光器(高次回折格子の分光器)の次数分離用の垂直分散光学素子やフーリエ分光装置のS/Nを向上させるための帯域幅分割用の分散光学素子、フェムト秒レーザーのパルス圧縮光学系の位相整合ユニット用の分散光学素子あるいは波長可変レーザーの波長選択光学ユニット用の分散光学素子などとして利用することができる。
図1は、アミチ分光器のプリズムの概念構成説明図である。 図2は、本発明による線形角度分散プリズムの実施の形態の一例の概念構成説明図である。 図3は、光学ガラスおよび樹脂の屈折率を示すグラフであり、グラフの横軸は波長(Wavelength)であり、グラフの縦軸は波長500nmで規格化した屈折率(Refractive Index(Normalized at 500nm))である。 図4は、波長400nmと波長800nmとにおいて出射角の差が0.3°になるように構成した場合における、線形角度分散プリズムを含む各種プリズムおよび回折格子などの分散光学素子の角度分散特性を示すグラフであり、グラフの横軸は波長(Wavelength)であり、グラフの縦軸は角度(Angle)である。 図5は、波長200nmと波長600nmとにおいて出射角の差が0.3°になるように構成した場合における、線形角度分散プリズムを含む各種プリズムおよび回折格子などの分散光学素子の角度分散特性を示すグラフであり、グラフの横軸は波長(Wavelength)であり、グラフの縦軸は角度(Angle)である。 図6は、材質(A:0,A:0.001)、光学ガラスおよび樹脂の屈折率を示すグラフであり、グラフの横軸は波長(Wavelength)であり、グラフの縦軸は波長500nmで規格化した屈折率(Refractive Index(Normalized at 500nm))である。 図7は、波長400nmと波長800nmとにおいて出射角の差が0.3°になるように構成した場合における、線形角度分散プリズムを含む各種プリズムおよび回折格子などの分散光学素子の角度分散特性を示すグラフであり、グラフの横軸は波長(Wavelength)であり、グラフの縦軸は角度(Angle)である。
符号の説明
10 線形角度分散プリズム
12 第1プリズム
14 第2プリズム
16 第3プリズム
100 アミチ分光器のプリズム
102 第1プリズム
104 第2プリズム

Claims (3)

  1. 屈折率分散が異なる少なくとも3種類以上のプリズムを組み合せたものであり、
    前記3種類以上のプリズムのなかの1種類以上のプリズムは、誘電体の屈折率を求める波長のベキ乗の分散式
    n(λ)=A+Aλ−2+Aλ−4
    によって任意の波長範囲においてフィッティングした場合にA/Aの絶対値が最小のプリズムより2倍以上大きい
    ことを特徴とする分散プリズム。
  2. 請求項1に記載の分散プリズムにおいて、
    前記1種類以上のプリズムは、樹脂よりなる
    ことを特徴とする分散プリズム。
  3. 請求項2に記載の分散プリズムにおいて、
    前記樹脂は、少なくとも1種類がポリカーボネートまたはフッ素系樹脂である
    ことを特徴とする分散プリズム。
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