JP5028831B2 - 表面形状定量化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プレスにより加工される製品の表面形状を客観的に評価するために、該表面形状を定量化することができる表面形状定量化方法に関する。
プレス加工製品の外観不具合に、いわゆる、ドローマーク(形状痕)がある。ドローマークとは、プレス加工時に絞り等で付く線状の凹凸ラインである。ドローマークは、すべり傷と、ショックラインとに大別される。
すべり傷とは、成形初期にシワ押さえ面上にあった素板がR部で摺動した際の表面損傷の跡である。ショックラインとは、静摩擦状態での引っ張り曲げ加工により加工硬化した跡、または、R部で引っ張り曲げ加工を受け加工硬化した跡である。
上記のようなドローマークが製品外表面に現れた場合、程度によっては外観不良となってしまう。これに鑑みて、素板のうち製品形状以外の部分、いわゆる余肉にドローマークを発生させて、余肉を切除する手法がある。この手法によれば、ドローマーク発生部分が完全に排除されるため、きれいな製品外表面が得られる。しかし、この手法では、切除される余肉部分を大きくする必要があり、歩留まりが悪化するという問題がある。
この問題を解決するものとして、素材流入が始まる瞬間に素材に加える衝撃を可能な限り小さくして、ショックラインを抑制する技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平10−258326号公報
しかし、上記特許文献1記載の発明では、ショックラインの抑制はできるものの、どの程度まで抑制できているのかは製品を確認するまでは判断できない。したがって、製品形状を確認したときに、ショックラインの程度が予想以上に大きく、所望の仕上がりになっていない可能性がある。
これでは、さらなる金型の調整等、莫大な修正費が必要となり得る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ショックラインなどのドローマークをシミュレーションにより定量化して、金型等の作成前に製品表面を客観的に評価可能とする表面形状定量化方法を提供することを目的とする。
表面形状定量化方法は、プレス加工時に素材が工具の角部と接触しながら流入することによって素材表面に生じる形状痕をシミュレーションする工程と、シミュレーション結果に基づいて、前記形状痕と該形状痕以外の領域との表面粗さの誤差、および、前記形状痕と該形状痕以外の領域との段差を測定する工程と、前記表面粗さの誤差および前記段差を変数とする評価式に基づいて、前記形状痕を含む前記製品の表面形状を具体的な評価値として定量化する工程とを含む。
また、他の表面形状定量化方法は、プレス加工時に素材が工具の角部と接触しながら流入することによって素材表面に生じる形状痕をシミュレーションする工程と、シミュレーション結果に基づいて、前記形状痕と該形状痕以外の領域との段差を測定する工程と、前記段差を変数とする評価式に基づいて、前記形状痕を含む前記製品の表面形状を具体的な評価値として定量化する工程とを含む。
本発明に係る表面形状定量化方法によれば、製品の表面形状を具体的な評価値として定量化するので、該評価値に基づいて、製品の出来上がり形状を、金型等の設備を準備する前に評価できる。したがって、製品の表面形状が「良」と判断されるまで、評価式の変数を調整することによって金型を設計できる。結果として、金型作成後に、その変更などの必要が生じることがなく、製造コストを低減できる。しかも、製品の出来上がり形状として問題がない形状痕を残すことも可能にすることができるので、形状痕が全く残らないように素材に余肉を多く設ける必要がなく、歩留まりが向上される。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態では、製品の表面に形成されるドローマークを定量化する。定量化は、シミュレーションにより達成される。したがって、本実施形態は、実際に金型を製作し、素材を加工する前に行われる。
説明の容易のために、まず、最初にドローマークが素材の表面に形成される過程について説明する。
図1〜3は、プレス加工時の素材の流入の様子を示す概略断面図である。
素材(製品)10が、ダイ(工具)20およびポンチ(工具)30によってプレスされることによって、素材10が所望の形状に加工される。
ここで、プレスが開始されると、図1に示すように、素材10は、ダイ20とポンチ30によって挟まれ、ダイ20の形状に沿ってダイ20とポンチ30との隙間内に流入する。流入に伴って、素材10は、まずポイントAにおいてダイ20と接触する。さらに、図2に示すように、ダイ20が下死点に近づけられると、素材10の成形が進み、ポイントAの部位が図面中右の方向に引き込まれる。素材10は、ポイントAから常にダイ20の角部と接触しつつ流入することになる。
図3に示すように、ポンチ30が下死点に到達すると、ポイントAは、たとえば、工具の中腹まで移動する。素材10には、現在ダイ20の角部と接触しているところからポイントAの部位までドローマークが形成される。図示のように製品部分と廃棄部分が決められている場合、製品部分の端部からポイントAの部位まではドローマーク残存部分が存在することになる。
本実施形態では、このようなドローマークの外観を定量化する。
ドローマークは、すべり傷と、ショックラインとに大別される。すべり傷とは、成形初期にシワ押さえ面上にあった素材がR部で摺動した際の表面損傷の跡である。ショックラインとは、静摩擦状態での引っ張り曲げ加工により加工硬化した跡、または、R部で引っ張り曲げ加工を受け加工硬化した跡である。
すべり傷が発生した場合と、ショックラインが発生した場合とでは、定量化の手法が異なる。まず、それぞれについて、定量化のためにどのような要素が考えられるかについて説明する。
(すべり傷の定量化のための要素)
すべり傷がどのような損傷であるかを確認するために、まず、プレス成形による一般的なパネル(素材)表面の損傷について説明する。
図4は成形度と表面粗さの関係を示す図である。
プレス成形の成形度が小さい場合、パネルの表面は平滑化する。一方、それ以上に成形度が大きくなると、パネルの表面は金型との擦れによって損傷され、平滑化から、軽かじり、中かじり、重かじりと、表面粗さが次第に大きくなる。
図5は一般的なプレス成形時のパネル表面の損傷を示す図、図6はすべり傷内外のSEM撮影結果を示す図、図7は図6のA−A線およびB−B線に沿った断面の表面測定結果を示す図である。
図5に示すように、パネルの未加工の表面に比べて、平滑化された表面は表面粗さが小さい。軽かじりは、より平坦化が進み、中かじりでは表面が粗くなっている。重かじりでは、表面は非常に粗い。
図6に示すSEM撮影結果と、図5に示す各段階の表面を比較すると、すべり傷(ドローマーク)内のパネル表面は、平坦化段階のパネル表面と同等であることがわかる。
図7に示す表面の凹凸の測定結果を参照すると、すべり傷内の表面の方が、すべり傷外(素材本来の表面)よりも、表面の高さが小さく、凹凸間のピッチも小さいことがわかる。概略イメージは次の通りである。
図8はすべり傷内外の表面を示す概略図である。
図8に示すように、すべり傷内の表面高さをRt1、すべり傷外の表面高さをRt2、それらの段差をΔRとする。これらの関係は、ΔR=Rt1−Rt2で表すことができる。このように、すべり傷内外では、段差ΔRが生じることから、この段差ΔRを、すべり傷の定量化のための要素として扱う。
図9はすべり傷ができる前後の素材表面の凹凸形状のピッチを示す概略図、図10はすべり傷内外での素材表面の凹凸形状のピッチを示す概略図である。
図9では、初期形状、すなわち、すべり傷ができる前の素材表面を点線で示している。すべり傷ができた後の素材表面は実線で示している。すべり傷ができる前の表面の凹凸形状と、すべり傷ができた後の凹凸形状とでは、図9に示すように、山頂同士のピッチ、すなわち表面粗さが異なる。すべり傷ができる前の方が、できた後よりも、山頂ピッチが大きく、表面粗さが粗い。すべり傷ができると、山頂が平滑化されるからである。
図10に示すように、すべり傷内の表面粗さをRs1、すべり傷外の表面粗さをRs2、それらの誤差を表面粗さ誤差ΔRとする。すると、表面粗さ誤差ΔR=Rs1−Rs2で表すことができる。このように、すべり傷内外では、山頂ピッチの誤差ΔRが生じることから、この誤差ΔRを、すべり傷の定量化のための要素として扱う。
(ショックラインの定量化のための要素)
図11および図12は、金型のビード部およびダイR部で引っ張り曲げ加工を行う場合の例を示す図である。
図11および図12において、円で囲んだ範囲では、R部が引っ張り曲げ加工を受けている。このような加工を受けて、加工硬化した跡が、ショックラインとなる。
図13はショックラインの板厚方向の断面図、図14は図13に示す断面図の測定結果を示す概略図である。
図13および図14に示すように、ショックライン内のパネル表面は、ショックライン外のパネル表面から次第に傾斜して段差を形成する境界部12を含む。一例の測定結果では、42.7μmの段差ができていた。境界部12は、ショックライン外の素材表面に対して、1.00°の傾斜角であった。
図15は、ショックライン内外の形状の比較を示す概略図である。
図15に示すように、ショックラインが形成されると、ショックライン内とショックライン外とでは、ショックライン内の方が段差Pだけ低い。したがってこの段差Pを、ショックラインの定量化のための要素として扱う。また、ショックライン内の境界部12の傾斜角Pθも、ショックラインが形成されなければ生じない要素なので、ショックラインの定量化のための要素として扱える。さらに、境界部12の幅Pも、ショックラインが形成されなければ生じない要素なので、ショックラインの定量化のための要素として扱える。
上記のように、すべり傷およびショックラインについて、定量化のための要素が特定できる。これらの要素を変数として、すべり傷およびショックラインを定量化するための演算式を決定する一手法について説明する。
(すべり傷の定量化式について)
図16は、すべり傷の定量化式を示す図である。
図16では、上述のすべり傷を定量化するための要素、すなわち、表面粗さ誤差ΔRをX座標値、段差ΔRをY座標値としてXY座標系にプロットしている。ここでプロットされるX,Y値は、サンプル材料を実際に測定したものである。プロットの際には、官能評価によりサンプルの表面形状(すべり傷)が製品表面として許容されるかどうかを判断する。許容される場合のXY座標値をOK、許容されない場合のXY座標値をNGとしてグループ化する。そして、グループ化された許容範囲および非許容範囲を二分する関数を求める。該関数が、すべり傷の定量化式となる。たとえば、次のような式である。
Z=α−β×ΔR−γ×ΔR … 定量化式(1)
ここで、αは定数項、βおよびγは比例定数である。
上記定量化式(1)には、金型を用いて製品を成形する工程をコンピュータ上でシミュレーションして得られるΔR値およびΔR値が代入される。これにより、ΔR値およびΔR値から、すべり傷を定量化したZ値が得られる。定量化されたZ値を評価することによって、金型を実際に製造しなくても、すべり傷が、製品にとって許容されるか否かの判断が可能となる。
なお、すべり傷の定量化について、表面粗さ誤差ΔRをY座標値、段差ΔRをX座標値としてXY座標系にプロットしてもよい。
(ショックラインの定量化式について)
図17は、ショックラインの定量化式を示す図である。
図17では、上述のショックラインを定量化するための要素のうち、傾斜角PθをX座領値、段差PをY座標値として、XY座標系にプロットしている。プロットの際には、官能評価によりサンプルの表面形状(ショックライン)が製品表面として許容されるかどうかを判断する。許容される場合のXY座標値をOK、許容されない場合のXY座標値をNGとしてグループ化する。そして、グループ化された許容範囲および非許容範囲を二分する関数を求める。該関数が、すべり傷の定量化式となる。たとえば、次のような式である。
Z=δ−ε×P … 定量化式(2)
ここで、δは定数項、εは比例定数である。
ここで、定量化式(2)に傾斜角Pθ値が含まれないのは、図17を参照すると明らかなように、許容範囲となるかどうかについて、Pθ値の影響は小さく、近似的に無視できるからである。
上記定量化式(2)には、金型を用いて製品を成形する工程をコンピュータ上でシミュレーションして得られるP値が代入される。これにより、P値から、ショックラインを定量化したZ値が得られる。定量化されたZ値を評価することによって、金型を実際に製造しなくても、ショックラインが、製品にとって許容されるか否かの判断が可能となる。
なお、ショックラインの定量化について、傾斜角PθをY座領値、段差PをX座標値として、XY座標系にプロットしてもよい。さらに、ショックラインを定量化する要素としては、上述のように、傾斜角Pθ、段差Pの他に、幅Pもある。したがって、これらの3つの要素のうちいずれか一つをX座標値、残りのいずれか一方をY座標値として、XY座標系にプロットできる。そして、上記手法により定量化式を決定できる。
上記定量化式は、次のような手順において利用できる。
まず、プレス加工時に素材が工具の角部と接触しながら流入することによって素材表面に生じるすべり傷(形状痕)をシミュレーションする。シミュレーション結果に基づいて、すべり傷とすべり傷以外の領域との表面粗さの誤差ΔR、および、すべり傷とすべり傷以外の領域との段差ΔRを測定する。そして、表面粗さの誤差ΔRおよび段差ΔRに基づいて、すべり傷を含む製品の表面形状を具体的な評価値として定量化する。
定量化した数値に基づいて、表面形状の良否を判定する。判定した表面形状がNGの場合、段差ΔRや誤差ΔRが異なる値となるように、すなわち、Rs1、Rs2、Rt1、Rt2が変わるように、工具のパラメータを変更して、変更後の値を評価式に代入する。そして、製品の表面形状がOK(良品)となるまで、パラメータを変更して、表面の仕上がりの許容を満たすパラメータを探す。
形状痕がショックラインの場合、シミュレーションにより、ショックライン内外の高さの段差P、ショックライン内の境界部12の傾斜角Pθ、境界部12の幅Pを測定する。そして、これらの値により、ショックラインを定量化し、評価する。表面形状がNGの場合、段差P、傾斜角Pθ、幅Pが異なる値となるように、工具のパラメータを変更して、変更後の値を評価式に代入する。そして、製品の表面形状がOK(良品)となるまで、パラメータを変更して、表面の仕上がりの許容を満たすパラメータを探す。
以上のように、定量化式(1)、(2)を予め用意しておき、該定量化式(1)、(2)に、プレス加工のシミュレーション値を代入することによって、プレス加工により成形される製品の表面形状を具体的な評価値として定量化できる。該評価値に基づいて、製品の出来上がり形状を、金型等の設備を準備する前に評価できる。したがって、評価値がOKとなるまで、評価式の変数を調整して、金型を設計できる。結果として、金型作成後に、その変更などの必要が生じることがなく、製造コストおよびサイクルを低減できる。しかも、製品の出来上がり形状として問題がないように、形状痕を残すので、形状痕が全く残らないように素材に余肉を多く設ける必要がない。歩留まりが向上される。
図18はドローマークを評価する箇所の一例を示す図である。
ドローマークの評価を必要とする箇所については、たとえば、製品が車体の場合、図18に示すような箇所が考えられる。図示するように、車体全体の外表面パネルについても、ドローマークの評価を行い、製品として許容されるドローマークしか現れないように、設備を設計できる。これにより、歩留まり向上効果が得られ、車両原価を低減できる。
(実施例)
次に、具体的な金型を想定して、できる製品のドローマークを評価した実施例について説明する。
図19は具体的に想定した金型の例を示す図、図20は成形時の素材の流入を示す図である。
本実施例では、図19に示す形状の金型により製品を成形することを想定して、ドローマークの評価を行った。図19では、ダイとポンチを重ねた状態を示している。ダイとポンチからなる各部を次のように定義する。
点Poは、ドローマークの発生予測部位において、ポンチ底と30度線との接点である。高さHaは、絞り深さを示す。幅Laは、ポンチのしわ押さえ面を除いた成形面の幅を示す。Raは、製品延長面とプレス成形棚上面との交点を示す。θaは、ダイRおよびプレス成形棚部Rに接する線としわ押さえ面の延長線とのなす角度を示す。θbは、製品延長面とプレス成形棚面とのなす角度を示す。θcは、製品延長面もしくはポンチ立壁面としわ押さえ面とのなす角度を示す。
上記工具を用いて素材を成形した場合、図20に示すように、工具(ダイ)のA部位およびB部位を起点として、ドローマークが発生する。A部位で素材が擦れて発生するドローマークは、工具が下死点に到達したときに、A部位からA’の位置まで形成される。B部位で素材が擦れて発生したドローマークは、工具が下死点に到達したときに、B部位からB’の位置まで形成される。ここで、B部位から形成されるドローマークの方が、A部位から形成されるドローマークよりも長い。これは、素材が工具に接触するタイミングがA部位よりもB部位の方が早いからである。
このように、図19に示す工具形状を採用した場合、実験的にA部位およびB部位の2箇所でドローマークが形成されることがわかっている。
図19に示す上記工具形状および上述の評価式(1)、(2)に基づいて重回帰分析を行った結果として、次の式(3)〜(8)が得られた。本実施例では、下記式をドローマークの評価に用いる。評価式(3)および(4)は、ドローマークがすべり傷かショックラインかを判別する。評価式(5)〜(8)は、ドローマークの程度を定量化する。
ドローマークはA部位およびB部位で発生する。したがって、各部位ごとの評価式が必要である。
タイプ判別式
A部位を起点として発生するドローマークのタイプ判別式
X=a−b×Ha+c×Ra+d×θa+e×θb … 評価式(3)
ここで、aは定数項、b、c、d、eは比例定数である。
B部位を起点として発生するドローマークのタイプ判別式
X=f+g×La−h×Ha+i×θc … 評価式(4)
ここで、fは定数項、g、h、iは比例定数である。
評価式(3)および評価式(4)によって、X>0であれば、“すべり傷”、X≦0であれば、“ショックライン”と判定する。
定量化式
A部位を起点として発生するドローマークで、タイプが“すべり傷”の場合
Y=j+k×θa+l×θb … 評価式(5)
ここで、jは定数項、k、lは比例定数である。
A部位を起点として発生するドローマークで、タイプが“ショックライン”の場合
Y=m+n×θb … 評価式(6)
ここで、mは定数項、nは比例定数である。
B部位を起点として発生するドローマークで、タイプが“すべり傷”の場合
Y=p+q×La−r×Ha … 評価式(7)
ここで、pは定数項、q、rは比例定数である。
A部位を起点として発生するドローマークで、タイプが“ショックライン”の場合
Y=m+n×θb … 評価式(8)
ここで、mは定数項、nは比例定数である。
図21は、ドローマークの判定手順を示すフローチャートである。図22は車体製品の歩留まり決定ポイントの一例を示す図、図23は余肉の削減による歩留まり効果を示す図である。
まず、歩留まり決定ポイントが選別される(ステップS1)。歩留まり決定ポイントとは、素材の余肉を削減することによって、歩留まり向上が図れるポイントである。歩留まり決定ポイントにおいて、製品表面に許容範囲のドローマークしか残らないように、成形工具を設計すれば、素材の余肉を削減できる。歩留まり決定ポイントは、たとえば、図22に示すように、車両ボディの一部である。
次に、歩留まり決定ポイントの断面形状が、予め用意されているデータベースから取得される(ステップS2)。ここでは、該断面形状を形成するための工具(ダイ、ポンチなど)の形状も取得される。たとえば、図1〜3および図19に示すような工具形状が取得される。
そして、工具形状およ歩留まり決定ポイントの断面形状に基づいて、ドローマークの位置が予測される(ステップS3)。すなわち、工具をシミュレーションにより動かし、ドローマークがどのように形成さるかが予測される。たとえば、図20に示すように、A部位からA’まで、B部位からB’までドローマークが形成され、該表面にドローマークの一部が露出することが予測される。
そして、余肉の削減がシミュレーションされる(ステップS4)。余肉の削減とは、図23に示すように、素材の大きさを低減することである。従来では、製品表面に全くドローマークが残らないように、製品表面とならない素材の範囲が大きかった。しかし、本手法では、製品の外観を損なわない程度にドローマークを調整可能であるので、その分余肉を削減できる。たとえば、図23に示すように、余肉部分を削減すれば、余肉削減前が33.39kgで削減後が33.04kgなので、車両一台当り0.7kgの素材を削減できる。
ドローマークの発生起点A、Bごとにドローマークのタイプが判別される(ステップS5)。ドローマークのタイプ判別には、たとえば、上述の評価式(3)、(4)が用いられる。
さらに、ドローマークが定量化される(ステップS6)。ドローマークのタイプに基づいて、上述の評価式(5)〜(8)のうち適当なものが選択され、Y値が算出される。ここでは、図19に示す工具形状のパラメータPo、Ha、Ra、θa、θb、θcが適宜、評価式に代入され、Y値が算出される。このY値は、ドローマークを定量的に示す評価値となる。
Y値に基づいて、ドローマークの程度が製品表面として許容されるか否かが判断される(ステップS7)。許容されるか否かは、事前の実験により決定された閾値との比較によりなされる。
ドローマークが許容されない場合(ステップS7:NO)、評価式(5)〜(8)に代入したパラメータPo、Ha、Ra、θa、θb、θcが任意に変更される(ステップS8)。そして、ステップS5に戻って、変更したパラメータHa、Ra、θa、θb、θcを有する工具により素材が加工された場合のドローマークが評価される。許容されるドローマークとなるまで、パラメータの変更およびステップS5〜7のドローマークの評価が行われる。
ドローマークが許容される場合(ステップS7:YES)、許容されるドローマークが達成される金型のパラメータHa、Ra、θa、θb、θcに基づいて、金型が作成される(ステップS9)。
以上のように、上記手法では、工具のパラメータを評価式に代入して、ドローマークを定量化した上で、ドローマークの良否を判定している。したがって、実際に金型を作成する前に、ドローマークを定量的に評価できる。
さらに、定量化されたドローマークが、許容範囲でない場合には、ドローマークが良品となるまで工具のパラメータが変更される。したがって、金型を作成して、実際に製品を製造した後に、許容範囲外のドローマークが発見されることがない。したがって、金型の変更などの莫大な修正費の発生を回避できる。
許容範囲のドローマークを製品表面に残すので、ドローマークを全く残さない場合に比べて、素材の余肉を低減できる。結果として、歩留まりを向上できる。
プレス加工時の素材の流入の様子を示す概略断面図である。 プレス加工時の素材の流入の様子を示す概略断面図である。 プレス加工時の素材の流入の様子を示す概略断面図である。 成形度と表面粗さの関係を示す図である。 一般的なプレス成形時の素材表面の損傷を示す図である。 すべり傷内外のSEM撮影結果を示す図である。 図6のA−A線およびB−B線に沿った断面の表面測定結果を示す図である。 傷内外の表面を示す概略図である。 はすべり傷ができる前後の素材表面の凹凸形状のピッチを示す概略図である。 すべり傷内外での素材表面の凹凸形状のピッチを示す概略図である。 R部で引っ張り曲げ加工の例を示す図である。 R部で引っ張り曲げ加工の例を示す図である。 ショックラインの板厚方向の断面図である。 図13に示す断面図の測定結果を示す概略図である。 ショックライン内外の形状の比較を示す概略図である。 すべり傷の定量化式を示す図である。 ショックラインの定量化式を示す図である。 ドローマークを評価する箇所の一例を示す図である。 具体的に想定した金型の例を示す図である。 成形時の素材の流入を示す図である。 ドローマークの判定手順を示すフローチャートである。 車体製品の歩留まり決定ポイントの一例を示す図である。 余肉の削減による歩留まり効果を示す図である。
符号の説明
10…素材、
12…境界部、
20、30…工具。

Claims (5)

  1. プレス加工時に素材が工具の角部と接触しながら流入することによって素材表面に生じる形状痕をシミュレーションする工程と、
    シミュレーション結果に基づいて、前記形状痕と該形状痕以外の領域との表面粗さの誤差、および、前記形状痕と該形状痕以外の領域との段差を測定する工程と、
    前記表面粗さの誤差および前記段差を変数とする評価式に基づいて、前記形状痕を含む前記製品の表面形状を具体的な評価値として定量化する工程と、
    を含むことを特徴とする表面形状定量化方法。
  2. プレス加工時に素材が工具の角部と接触しながら流入することによって素材表面に生じる形状痕をシミュレーションする工程と、
    シミュレーション結果に基づいて、前記形状痕と該形状痕以外の領域との段差を測定する工程と、
    前記段差を変数とする評価式に基づいて、前記形状痕を含む前記製品の表面形状を具体的な評価値として定量化する工程と、
    を含むことを特徴とする表面形状定量化方法。
  3. 前記評価値に基づいて、前記製品の表面形状の良否を判断する工程をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面形状定量化方法。
  4. 前記製品の表面形状が「否」と判断された場合、前記変数の値を変更し、前記評価式に代入して、再度、前記製品の表面形状の良否を判断する工程をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の表面形状定量化方法。
  5. 前記形状痕が、すべり傷かショックラインかを判定する工程をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面形状定量化方法。
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