JP5026759B2 - ワイヤグリッド偏光板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細凹凸格子を有するワイヤグリッド偏光板及びその製造方法に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルの周期を有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。このように非常に狭い周期のパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である。
例えば、基材と、この基材上に特定のピッチで互いに平行に立設された金属ワイヤとを含む構造体は、そのピッチが入射光、例えば可視光の波長400nmから700nmに比べて大きければ、回折格子となる。逆に、そのピッチが可視光の波長よりもかなり小さいピッチ、例えば2分の1以下であれば、金属ワイヤが、金属ワイヤの長手方向に平行に振動する電場ベクトル成分をほとんど反射し、金属ワイヤの長手方向に垂直に振動する電場ベクトル成分はほとんど透過するため、単一偏光を作り出す偏光板としてこの構造体を使用することができる。実際、そのような構造体は、ワイヤグリッド偏光板(ワイヤグリッド偏光子とも呼ばれる)として、各種の液晶表示装置、偏光ビームスプリッター、偏光反射鏡、光アイソレータに利用されている。ワイヤグリッド偏光板は、反射板などを用いることで透過しない光を再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
近年、非常に狭い周期の周期的な格子状凸部を有するワイヤグリッド偏光子が開発されている。例えば、特許文献1によるワイヤグリッド偏光子は、基板とグリッド導電素子との間に、基板の屈折率より屈折率が低く厚さが制御された領域を設けることで、「レイリー共鳴」と呼ばれる、光の透過特性と反射特性との間で急激に変化する共鳴現象の最長波長の共鳴ポイントを可視光領域より短波長へシフトさせ、これによって共鳴効果が発生しない可視波長の帯域を広げることで、グリッド導電素子のピッチが200nmで可視光用のワイヤグリッド偏光子を実現している。
このワイヤグリッド偏光子の製造工程においては、透明基板の表面上に透明誘電体の膜を堆積させ、次いでホログラフィ干渉リソグラフィを使用してフォトレジスト内に微細な格子構造を形成し、次いでこの構造を金属膜に転写して平行なグリッド導電素子のアレイを前記基板上に形成する。その後、このグリッド導電素子をマスクとして基板をエッチングして、導電素子を支持するリブを作製する。
また、特許文献2には、格子パターンを有する型を作製し、基材上に金属薄膜とポリマーとを所定の順序で形成し、前記型を利用してエンボス技法によりポリマーに格子パターンを転写し、そのパターンをマスクにして金属薄膜をエッチングして金属格子パターンを形成し、その後ポリマーを除去することにより、ピッチが120nm以下のワイヤグリッド偏光子を製造する方法が開示されている。
特表2003−502708号公報 特開2006−84776号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたワイヤグリッド偏光子は、共鳴効果の影響を避けるために、使用できる誘電体の種類が限定されるというだけでなく、現在のフォトリソグラフィー技術を用いて作製しているため、ワイヤグリッドのピッチが150nm以下の格子状凸部を有するワイヤグリッド偏光子を安価に製造することができず、可視光の低波長域(約400nmの領域)において十分な偏光度が得られない。
また、特許文献2に開示されたワイヤグリッド偏光子は、型を用いてエンボス技法を利用しており、その型を現在のフォトリソグラフィー技術で作製しているため、単位寸法が100cm以上の、150nm以下のピッチを有するワイヤグリッド偏光子を得ることは困難である。さらに、特許文献2に開示されたワイヤグリッド偏光子は、基板上に直に金属ワイヤが密着した形態であるので、基板と金属ワイヤとの間の密着強度が低く、金属ワイヤが安定して立設されないという問題もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、金属ワイヤが150nm以下のピッチで安定して立設されており、可視光領域の広帯域にわたって優れた偏光度と光線透過率を両立するワイヤグリッド偏光板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、透明な樹脂平面基材と、前記樹脂平面基材上に設けられ、前記樹脂平面基材を構成する材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する無機誘電体で構成された誘電体層と、前記誘電体層上に、互いに平行で等間隔に立設された複数の金属ワイヤを有する金属ワイヤ層と、を具備し、前記誘電体層が前記樹脂平面基材上全面に設けられ、前記金属ワイヤ層は、高さが120nm〜220nmであり、アスペクト比が2〜5の範囲であることを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記基材が、シクロオレフィンポリマーであることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記金属ワイヤ層は、表面に100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で、前記長手方向と略平行な方向に一軸延伸することにより得られた延伸部材の微細凹凸格子を転写して作製されたスタンパを用いて、前記誘電体層上に設けられた金属層から作製されたことが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記金属ワイヤのピッチが150nm以下であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記無機誘電体は、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、及びそれらの複合物からなる群より選ばれたもので構成されていることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、前記金属ワイヤは、アルミニウム又はその合金で構成されていることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板においては、単位寸法が100cm以上であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、透明な樹脂平面基材上の全面に、前記樹脂平面基材を構成する材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する無機誘電体で構成された誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に金属層を形成する工程と、表面に100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で、前記長手方向と略平行な方向に一軸延伸することにより得られた延伸部材の微細凹凸格子を転写してスタンパを作製する工程と、前記スタンパを用いて、前記金属層を、互いに平行で等間隔に立設され高さが120nm〜220nmであり、アスペクト比が2〜5の範囲である複数の金属ワイヤを有する金属ワイヤ層にする工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、前記金属層を金属ワイヤ層にする工程は、前記金属層上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層に前記スタンパの微細凹凸格子を転写する工程と、前記樹脂層に転写された微細凹凸格子をマスクとして前記金属層をエッチングすることにより前記金属ワイヤ層を形成する工程と、を含むことが好ましい。
本発明によれば、基材と金属ワイヤ層との間に誘電体層を設けているので、基材と誘電体層との間及び誘電体層と金属ワイヤ層との間で十分な密着力があり、結果として狭ピッチの金属ワイヤを安定して立設することができると共に、可視光領域の広帯域にわたって優れた偏光度と透過率を両立することができる。また、現在のフォトリソグラフィー技術だけを用いるのではなく、延伸によってピッチを縮小して作製した型を用いるので、金属ワイヤのピッチを150nm以下で、100cm以上の大面積のワイヤグリッド偏光板を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について、(1)本発明のワイヤグリッド偏光板、(2)本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法において用いる型の作製方法、(3)本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法の順で添付図面を参照して詳細に説明する。
(1)本発明のワイヤグリッド偏光板
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の一部を示す概略断面図である。図1に示すワイヤグリッド偏光板は、基材1と、この基材1上に設けられ、基材1を構成する材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する無機誘電体で構成された誘電体層2と、誘電体層2上に、互いに平行で等間隔に立設された複数の金属ワイヤ3を有する金属ワイヤ層と、から主に構成されている。
基材1としては、可視光領域で実質的に透明な基材を用いることができる。基材1としては、液晶パネルに組み込みしやすくするためのフレキシブル性、大型化する際の軽量化のしやすさ、安価に大量に製造することなどを考慮すると、可視光領域で実質的に透明な樹脂であることが好ましい。可視光領域で実質的に透明な樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂;アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、基材1としては、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂で構成された樹脂基材と、ガラス基板などの無機基板、上記熱可塑性樹脂基材、トリアセテート樹脂基材とを組み合せた積層基材を用いることもできる。
本発明に係るワイヤグリッド偏光板においては、ワイヤグリッドの周期(金属ワイヤのピッチp)が可視光の波長に比べて十分に小さいことから、誘電体層2の屈折率については制限がない。すなわち、誘電体層2及び誘電体層2を含む厚さの領域の屈折率は、基材1を構成する材料の屈折率よりも高くても、低くても、あるいは同じであっても良い。しかしながら、誘電体層2の厚みを薄くすることができる、誘電体層2の構造強度が一般的に高くなる、ということから、誘電体層2の屈折率は、基材1を構成する材料の屈折率よりも高く設定する。
誘電体層2は、可視光領域で透明あるいは非透明であって実質的に厚みが薄く、可視光が十分透過するものであれば良い。また、誘電体層2は、基材1を構成する材料及び/又は金属ワイヤ3を構成する金属との間の密着性が高い無機誘電体であることが重要である。このような無機誘電体としては、例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物を用いることができる。好ましくは、無機誘電体は、酸化珪素もしくはその複合物、又は誘電体層2の屈折率あるいは誘電体層2を含む厚さの領域の屈折率が、基材1を構成する材料の屈折率よりも高くなる珪素もしくは上記金属の酸化物、窒化物の単体又はその複合物であり、さら好ましくは、無機誘電体は、酸化珪素、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム又はそれらの複合物である。
本発明のワイヤグリッド偏光板において、基材1を構成する材料及び/又は金属ワイヤ3を構成する金属との間の十分な密着性を得るために誘電体層2が設けられている。基材1が樹脂基材である場合においては、樹脂基材上に直接金属ワイヤを立設すると、樹脂基材と金属ワイヤとの間の接触部分が有機材料と無機材料の接触になるので、相対的に密着力が弱く、安定して基材上に金属ワイヤを立設することが困難である。本発明のワイヤグリッド偏光板においては、基材1上全面に誘電体層2を設けているので、基材1が樹脂基材であっても、基材1と誘電体層2との間の接触面積が相対的に大きいので、両者間で密着力を発揮することができる。また、基材1上全面に誘電体層2を設けているので、樹脂基材から発生する低分子量揮発物を抑制する点からも有利である。さらに、誘電体層2は無機誘電体で構成されているので、誘電体層2上に形成される金属ワイヤ3との間は無機材料と無機材料の接触になり、両者間で密着力を発揮することができる。
このように、基材1と誘電体層2との間、誘電体層2と金属ワイヤ3との間の密着性が向上することにより、誘電体層2上に安定して金属ワイヤ3を立設することができ、誘電体層2上に金属ワイヤ3を高く積層しても、ワイヤグリッドの外力に対する構造強度を高く保つことが可能となる。
誘電体層2の厚さは、基材1及び誘電体層2の屈折率を踏まえ、偏光度や光線透過率などの光学的特性が最適となるように適宜設定する。誘電体層2の断面形状は、基材1の断面形状、誘電体層2の積層方法/条件、金属ワイヤ3のエッチング方法/条件などにより決まる。良好な光学特性と、金属ワイヤ3の台座として金属ワイヤ3と高い密着強度を得るためには、さらに基材1が樹脂基材である場合のフレキシブル性を考慮すると、その誘電体層2の厚さHは、1nm〜200nm、好ましくは20nm〜150nmであり、さらに好ましくは60nm〜120nmである。また、基材1の厚さと誘電体層2の厚さとの間の合計の厚さは、100nm〜300nmであることが好ましく、さら好ましくは150nm〜250nmである。
金属ワイヤ3を構成する金属は、可視光領域で光の反射率が高く、かつ誘電体層2を構成する材料との間の密着性が高い材料を挙げることができる。好ましくは、複素屈折率の観点からアルミニウムあるいはその合金、銀あるいはその合金であり、この中で価格の安いアルミニウムあるいはその合金が好ましい。
金属ワイヤ3を構成する材料の種類(元素、化学組成、純度)、断面形状(金属ワイヤ3の高さHと幅w)及びワイヤグリッドのピッチpに対する金属ワイヤ3の幅wとの比率(Duty比)は、基材1や誘電体層2の種類や厚さに比べて、ワイヤグリッド偏光板の光学特性に大きな影響を与える。具体的には、アルミニウムの場合バルクの複素屈折率に近いことが光学特性の観点から好ましく、また、断面形状、Duty比にも下記に示すような適正範囲が存在する。
金属ワイヤ3の高さHは、光学特性、積層に要する処理時間、エッチングに要する処理時間、金属ワイヤ3と誘電体層2との間の密着強度、ワイヤグリッド偏光板の構造強度を考慮すると、120nm〜220nm、好ましくは140nmから200nmである。
金属ワイヤ3の幅wは、ワイヤグリッドのDuty比から、ワイヤグリッドのピッチの0.3倍から0.6倍であり、好ましくは0.4倍から0.5倍である。また、金属ワイヤ3の幅wに対する金属ワイヤ3の高さHの比(アスペクト比)は、2〜5が好ましく、さらに好ましくは2〜4である。
金属ワイヤ3を誘電体層2に立設する方法としては、表面に100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で、前記長手方向と略平行な方向に一軸延伸することにより得られた延伸部材の微細凹凸格子を転写して作製されたスタンパを用いる。すなわち、金属ワイヤ層は、前記スタンパを用いて、誘電体層2上に設けられた金属層から作製する。なお、本発明の金属ワイヤ3のピッチpは、可視光領域の広帯域にわたる偏光特性を考慮すると、特に通常のフォトリソグラフィー技術では対応できない120nm以下であり、好ましくは80nm〜120nmである。ピッチが小さくなるほど偏光特性が良くなるが、可視光に対しては80nm〜120nmのピッチで十分な偏光特性が得られる。また、400nm近傍の短波長光の偏光特性を重視しない場合は、ピッチを150nm程度まで大きくすることもできる。
(2)本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法において用いる型(スタンパ)の作製方法
本発明のワイヤグリッド偏光板は、単位寸法が100cm以上であることが好ましい。ピッチp(周期)が150nm以下であるにもかかわらず、単位寸法が100cm以上という大きなワイヤグリッド偏光板を得るのは、以下に示す一連の特徴を有する製造方法を用いて作製した型を用いたことによる。本発明で用いる型を得る方法は、本出願人の特願2006−2100号に記載の方法を用いる。この内容はすべてここに含めておく。
図2は、本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法において用いる型の作製方法を示す図である。まず、レーザ光を用いた干渉露光法や切削法などで形成した、100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する金型4を用いて、被延伸基材6にその凹凸格子の形状を熱プレスなどの方法で転写する(2a)〜(2c)。これにより、表面に100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する延伸部材7を得る。
なお、干渉露光法とは、特定の波長のレーザ光を角度θ’の2つの方向から照射して形成される干渉縞を利用した露光法であり、角度θ’を変化させることで使用するレーザの波長で制限される範囲内で色々なピッチを有する凹凸格子の構造を得ることができる。干渉露光に使用できるレーザとしては、TEM00モードのレーザに限定され、TEM00モードのレーザ発振できる紫外光レーザとしては、アルゴンレーザ(波長364nm,351nm,333nm)や、YAGレーザの4倍波(波長266nm)などが挙げられる。
ここで、被延伸部材とは、本発明に用いる樹脂基材として前記した非晶性熱可塑性樹脂や結晶性熱可塑性樹脂で構成された板状体、フィルム状体、シート状体などの樹脂基材を挙げることができる。この被延伸部材の厚さや大きさなどについては、自由端一軸延伸処理が可能な範囲であれば特に制限はない。
次いで、表面にピッチが100nm〜100μmの凹凸格子を有する被延伸部材7を、前記凹凸格子の長手方向(格子状凸部の格子と平行な方向)と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で前記長手方向と略平行な方向に自由端一軸延伸加工する。この結果、前記被延伸部材の凹凸格子の凸部のピッチが縮小され、ピッチが150nm以下の微細凹凸格子を有する樹脂基材8(延伸済み部材と呼ぶ)が得られる(2d)。被延伸部材のピッチは、100nm〜100μmの範囲に設定するが、要求する延伸済み部材のピッチや延伸倍率に応じて適宜変更することができる。
次いで、このようにして得られた延伸済み部材8に対して、導電化処理、メッキ処理、樹脂基材の除去処理を順次施すことにより、表面にピッチが150nm以下の微細凹凸格子を有する金型Aを作製する。次いで、この金型Aの表面に酸化皮膜処理を行った後、再度メッキ処理を施し、金型Aの微細凹凸格子を反転した形状で、かつ表面にピッチが150nm以下の微細凹凸格子を有する金型Bを作製する。さらに、紫外線に対してほぼ透明とみなせる紫外線透明基材で構成された板状体、フィルム状体、シート状体などに、この金型Bの形状を熱プレスなどで転写することで型Cを作製する。図2には、金型B及び型Cをスタンパ5として示した(2e)。本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法で用いる型は、金型B又は型Cであり、金型Bは、熱硬化性樹脂を用いてピッチが150nm以下の微細凹凸格子を有する樹脂マスクを作製する場合に使用し、型Cは、紫外線硬化性樹脂を用いてピッチが150nm以下の微細凹凸格子を有する樹脂マスクを作製する場合に使用する。
なお、自由端一軸延伸処理は、先ず前記被延伸部材の幅方向(凹凸格子の長手方向と直交する方向)は自由にした状態で、前記被延伸部材の凹凸格子の長手方向を一軸延伸処理装置に固定する。続いて、被延伸部材が軟化する適当な温度まで加熱し、その状態で適当な時間保持した後、前記長手方向と略平行な一方向に適当な延伸速度で、目標とする微細凹凸格子のピッチに対応する延伸倍率まで延伸処理する。最後に、延伸状態を保持した状態で材料が硬化する温度まで被延伸部材を冷却することにより、ピッチが150nm以下の格子状凸部を有する樹脂基材を得る方法である。この自由端一軸延伸処理を行う装置としては、通常の一軸延伸処理を行う装置を用いることができる。また、加熱条件や冷却条件については被延伸部材を構成する材料に応じて適宜決定する。
(3)本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、基材上に、前記基材を構成する材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する無機誘電体で構成された誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に金属層を形成する工程と、表面に100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で、前記長手方向と略平行な方向に一軸延伸することにより得られた延伸部材の微細凹凸格子を転写してスタンパを作製する工程と、前記スタンパを用いて、前記金属層を、互いに平行で等間隔に立設された複数の金属ワイヤを有する金属ワイヤ層にする工程と、を具備する。
また、金属層を金属ワイヤ層にする工程においては、前記金属層上に樹脂層を形成し、前記樹脂層に前記スタンパの微細凹凸格子を転写し、前記樹脂層に転写された微細凹凸格子をマスクとして前記金属層をエッチングすることにより前記金属ワイヤ層を形成する。
ここで、上記型を用いて作製された本発明のワイヤグリッド偏光板を製造する方法について図を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の製造方法を説明するための断面図である。また、図1は、本発明の製造方法によって得られるワイヤグリッド偏光板の概略断面図である。
・基材1に誘電体層2を形成する工程
図3に示すように、基材1表面に無機誘電体を被覆して誘電体層2を形成する(3a),(3b)。誘電体層2を基材1上に形成する方法としては、基材1と誘電体層2との間で十分な密着強度が得られるような方法を適宜選択する。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を挙げることができる。例えば、酸化アルミニウム、窒化珪素などの無機誘電体をスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティングなどの物理的な蒸着法により厚さ1nm〜200nmで基材1上に被覆する。このような方法の中で、密着強度、生産性の観点からスパッタリング法が好ましい。積層にあたり、それぞれの方法において積層条件を調整することが重要である。
・誘電体層2上に金属層を形成する工程
次いで、誘電体層2上に金属層を形成する(3c)。誘電体層2上に金属層を形成する場合には、誘電体層2を構成する材料及び/又は金属ワイヤ3を構成する金属との間の十分な密着強度が得られ、上記した金属ワイヤ3の断面の大きさ、金属バルクの複素屈折率に近い値が得られるように適宜選択する。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を挙げることができる。例えば、アルミニウムをスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティングなどの物理的な蒸着法により厚さ120nm〜220nmで誘電体層2上に積層する。このような方法の中で、密着強度、生産性の観点からスパッタリング法が好ましい。積層にあたり、それぞれの方法において積層条件を調整することは誘電体層2の形成の場合と同じように重要である。
・金属層上に150nm以下の格子状凸部を有する樹脂マスクを形成する工程
次いで、金属層上に熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂(マスク用樹脂)を塗布して塗膜4を形成する(3d)。この場合、例えば、バーコーター法、スプレー法やスピンコート法で均一に塗工する。次いで、マスク用樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合は上記金型Bを用い、マスク用樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いた場合は型Cを用いて、それぞれのマスク用樹脂の表面と型5との間に隙間が生じないように密着させて押し付けながら(3e)、型を通して加熱するか又は紫外線を照射してマスク用樹脂を硬化させた後、型を剥離し、金属層上に150nm以下の格子状凸部を有する樹脂マスクを形成する(3f)。
・金属ワイヤを形成する工程
次いで、前述した金属層上に150nm以下の格子状凸部を有する樹脂マスクをエッチングマスクとして用い、金属層が現れ、金属層上に樹脂マスクの格子パターンが生じるまでエッチング処理Aを行う(3g)。マスク用樹脂のエッチング処理Aとしては、例えば酸素プラズマエッチングなどのRIE(Reactive Ion Etching)やエキシマレーザーを用いたエッチング処理などが挙げられる。これらのドライエッチングによれば、樹脂マスクの厚みの違いを利用した樹脂の分解/灰化の違いにより、樹脂マスクの格子パターンを得ることができる。
次いで、樹脂マスクの格子パターンをエッチングマスクとして、誘電体層2が現れ、誘電体層2上に金属ワイヤ3の格子パターンが生じるまで金属層にエッチング処理Bを行う(3h1),(3h2)。このとき、(3h2)に示すように、金属ワイヤ3の上部にマスク用樹脂が残った場合、再度エッチング処理Aを行ってマスク用樹脂を除去することが好ましい。金属層のエッチング処理Bとしては、例えばアルミニウムの場合、四塩化炭素などのハロゲン系反応性ガスを用いたRIEなどが挙げられる。これらのドライエッチングでは、反応性ガス、誘電体の種類、処理条件などの要因で誘電体層2の一部もエッチングされる場合もあるが、本発明における方法ではこのような場合も含まれるものとする。このようにして図1に示す本発明のワイヤグリッド偏光板が得られる。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法においては、フォトリソグラフィーで微細凹凸格子を作り込むのではなく、被延伸部材を自由端一軸延伸処理して微細凹凸格子を作り込んでいるので、フォトリソグラフィーでは困難である150nm以下の狭いピッチの微細凹凸格子を実現することができ、さらにその単位寸法が100cm以上である比較的大きいワイヤグリッド偏光板を得ることができる。この場合において、それぞれの金属ワイヤ3は、実質的に約10cm以上の長さを有し、幅方向に6×10本/cm以上のピッチで光学的にほぼ平行に配列されていることが好ましい。このように、単位寸法が大きいワイヤグリッド偏光板を得られることで、大画面のディスプレイに使用する場合においても接合するワイヤグリッド偏光板の数を少なくすることができる。なお、本ワイヤグリッド偏光板を接合する場合、接合部分の接合線を100nm〜100μmの線幅で、光を透過しない構造とすることが好ましい。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(周期的な格子状凸部を有する型Cの作製)
・凹凸格子形状の転写シートの作製
ピッチが230nmで、凹凸格子の高さが230nmである凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを準備した。この凹凸格子は、レーザ干渉露光法を用いたパターニングにより作製されたものであり、その断面形状は正弦波状で、上面からの形状は縞状格子形状であった。また、その平面寸法は縦横ともに500mmであった。このニッケルスタンパを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mm、縦横がそれぞれ520mmのシクロオレフィンポリマー(以下、COPと略す)板の表面に凹凸格子形状を転写し、凹凸格子形状の転写シートを作製した。このCOPのガラス転移温度(Tg)は105℃であった。
具体的に、熱プレスは次のように行った。まず、プレス機の系内を真空排気し、ニッケルスタンパ及びCOP板を190℃まで加熱した。ニッケルスタンパ及びCOP板が190℃に達した後、プレス圧2MPa、プレス時間4分でニッケルスタンパの凹凸格子をCOP板に転写した。さらに、プレス圧を2MPaに保持したままニッケルスタンパ及びCOP板を40℃まで冷却した後、真空開放し、続けてプレス圧を開放した。このとき、ニッケルスタンパ及びCOP板は、プレス圧を開放したときに容易に離型した。電界放出型走査型電子顕微鏡(以下、FE−SEMと略す)で、凹凸格子形状の転写シートの表面形状を観察したところ、ニッケルスタンパの凹凸格子形状が忠実に転写されていた。
・自由端一軸延伸による延伸済み部材の作製
次いで、この凹凸格子形状の転写シートを520mm×460mmの長方形に切り出し、被延伸用部材とした。このとき、520mm×460mmの長手方向(520mm)と縞状格子の長手方向とが互いに略平行になるように切り出した。
次いで、この被延伸用部材の表面に、スプレーによりシリコーンオイルを塗布し、約80℃の循環式空気オーブン中に30分放置した。次いで、被延伸用部材の長手方向の両端10mmを延伸機のチャックで固定し、その状態で113±1℃に温度調節された循環式空気オーブン中に被延伸用部材を10分間放置した。その後、250mm/分の速度でチャック間の距離が5倍延伸したところで延伸を終え、20秒後に延伸済み部材を室温雰囲気下に取り出し、チャック間の距離を維持したまま冷却した。延伸を終えた延伸済み部材の中央部分約40%は、ほぼ均一にくびれており、最も幅が縮小されている部分は200mmになっていた。同様にして、チャック間の距離のみを3.5倍、2.5倍に変えて延伸したところ、それぞれ延伸済み部材中央部の最小幅は、240mm、280mmになっていた。この延伸済み部材3種の表面と断面を、FE−SEMにて観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、100nm/95nm(ピッチ/高さ)、120nm/113nm、140nm/133nmであり、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっており、実質的に延伸前の凹凸格子形状と相似で縮小されていた。
・金型A、金型Bの作製
得られた、100nmピッチ、120nmピッチ及び140nmピッチの延伸済み部材表面に、それぞれ導電化処理として金をスパッタリングにより30nm被覆した後、それぞれニッケルを電気メッキし、厚さ0.3mm、縦300mm、横180mmの微細凹凸格子を表面に有するニッケル製の金型Aを作製した。続いて、この金型Aの表面に酸化皮膜処理を行った後、再度メッキ処理を施し、金型Aの微細凹凸格子を反転した形状で、かつ表面に100nmピッチ、120nmピッチ及び140nmピッチの微細凹凸格子を有する、縦300mm、横180mmのニッケル製の金型Bを作製した。
・型Cの作製
次いで、前記凹凸格子形状の転写シートの作製と同様にして、この金型Bを用いて、熱プレス法により厚さ0.5mm、縦320mm、横200mmのCOP板の表面に100nmピッチ、120nmピッチ及び140nmピッチの微細凹凸格子形状を転写し、本実施例用のCOP樹脂製の型Cを得た。FE−SEMにより、その表面と断面観察したところ、微細凹凸格子のピッチと高さがそれぞれ、100nm/95nm(ピッチ/高さ)、120nm/113nm、140nm/133nmであり、その断面形状が正弦波状で、上面からの形状が縞状格子状となっていた。また、比較例2用のCOP樹脂製の型として、ピッチが230nmで、凹凸格子の高さが230nmである凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパを用いて作製した凹凸格子形状の転写シートを、一軸延伸によるピッチの縮小をせずに、その表面を導電化処理、メッキ処理、樹脂基材の除去処理を順次施し、ピッチが230nm、凹凸格子の高さが230nmである凹凸格子を表面に有するニッケルスタンパの複製金型を作製した。次いで、この複製金型の表面に酸化皮膜処理を行った後、再度メッキ処理を施し、複製金型の微細凹凸格子を反転した形状の微細凹凸格子を有する比較例2用金型Bを作製した。さらに、実施例用の型Cと同様にして、COP板に、この比較例2用金型Bの形状を熱プレスで転写して比較例2用の型Cを作製した。
(ワイヤグリッド偏光板の作製:実施例1〜8)
・スパッタリング法を用いた誘電体層の形成
縦300mm、横180mmで、厚み0.188mmのCOPフィルム(JSR株式会社製、アートンフィルム)上に、スパッタリング法を用い誘電体層を積層した。本実施例では、誘電体として窒化珪素、酸化アルミニウム、OH−5(キャノンオプトロン株式会社製)を用いた。このとき、層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なシリコンウエハを格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、シリコンウエハへの各誘電体層の厚みが80nmとなるように成膜を行った。窒化珪素の場合は、Arガス圧力0.67Pa、DCマグネトロンのスパッタリングパワー4W/cm、積層速度0.22nm/sにて誘電体層を形成した。
・スパッタリング法を用いた金属層の形成
次いで、誘電体層を設けたCOPフィルムの誘電体層上にスパッタリング法を用い金属層を形成した。本実施例では、金属としてアルミニウムを用いた。この場合、Arガス圧力0.67Pa、DCマグネトロンのスパッタリングパワー4W/cm、積層速度3.3nm/sとした。このとき、層厚み比較用サンプルとして表面が平滑なシリコンウエハを格子状凸部転写フィルムと同時に装置に挿入し、シリコンウエハへのアルミニウム層の厚みが所定の厚みとなるように成膜を行った。
・金属層上への格子状凸部を有する樹脂マスクの形成
前記金属層上にスピンコーターを用いて、紫外線硬化性樹脂(スリーボンド社製、TB3078D、屈折率1.41)を約0.03mmの厚みで塗布した。次いで、塗布面上に上記100nmピッチ、120nmピッチ、及び140nmピッチの微細凹凸格子を表面に有するCOP樹脂製の型Cを、型Cと紫外線硬化性樹脂との間に空気が入らないようにそれぞれ端部から載せ、型C側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cmで照射し、型Cの微細凹凸格子を紫外線硬化性樹脂の表面に転写した。次いで、紫外線硬化性樹脂の表面から型Cを剥離した後、さらに窒素雰囲気下で紫外線硬化性樹脂の表面に紫外線を500mJ/cmで照射し、紫外線硬化性樹脂の未硬化成分を硬化させて、金属層上に、100nmピッチ、120nmピッチ、及び140nmピッチの格子状凸部を有する紫外線硬化性樹脂マスクを作製した。
・金属ワイヤの形成、ワイヤグリッド偏光板の作製
金属層上の紫外線硬化性樹脂でできた100nmピッチ、120nmピッチ、及び140nmピッチの格子状凸部をエッチングマスクとして用い、金属層が現れ、金属層上に樹脂の格子パターンが生じるまで、エッチング処理Aとして、酸素を50cc/分流し、出力100WでRIE処理を行った。次いで、誘電体層が現れ、誘電体層上に金属ワイヤの格子パターンが生じるまで、エッチング処理Bとして、アルミニウムの金属層に対して、四塩化炭素ガスを用いて、ガス流量100cc/分、高周波電力密度0.2W/cm、全圧5PaでRIE処理を行った。このとき、アルミニウムワイヤ上部に樹脂が残ったため、再び、金属層上に樹脂が除去されるまで、再度、酸素を50cc/分流し、出力100WでRIE処理を行い、本発明のワイヤグリッド偏光板として、実施例1〜実施例8を得た。得られたワイヤグリッド偏光板における、各層の屈折率、金属ワイヤの幅/ピッチ、金属ワイヤのピッチ、誘電体層の厚さ、金属ワイヤの高さ・幅、金属ワイヤのアスペクト比については、それぞれ表1に示す通りである。
また、比較例1として、基材への誘電体層を積層する工程を省いた以外は、実施例2と同様にしてスパッタリング法を用いた金属層の形成、格子状凸部転写フィルムの作製、金属ワイヤの形成を行ったところ、偏光性能を発揮するのに必要なAlのワイヤが格子状凸部から部分的に剥離し、評価できるワイヤグリッド偏光板を作製することはできなかった。
さらに、比較例2として、実施例と同様に、ガラス(屈折率1.525)基材上に誘電体として弗化マグネシウム(屈折率1.38)をスパッタリングにより被覆し、その上に金属としてアルミニウムをスパッタリングにより被覆し、さらに紫外線硬化樹脂を塗布した後、比較例2用の型Cを用いてエッチングマスクとしての凹凸格子を転写し、酸素及び四塩化炭素のRIE処理によって、ガラス基板上に弗化マグネシウムの誘電体層を持つ、ピッチが230nmのワイヤグリッド偏光板を得た。
・分光光度計による偏光性能評価と形状評価
上記のようにして作製した実施例1から実施例8及び比較例2のワイヤグリッド偏光板について、分光光度計を用い直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコル状態での透過光強度を測定した。偏光度及び光線透過率は下記式より算出した。また、測定波長域は400nmから780nmとした。図4には、代表的な実施例及び比較例2の400nmから780nmにわたる偏光度の変化を示す。また、図5には、代表的な実施例及び比較例2の400nmから780nmにわたる光線透過率の変化を示した。さらに、全ての実施例及び比較例の低波長域(400nm)、中波長域(550nm)、高波長域(700nm)における偏光度、光線透過率を、ワイヤグリッド偏光板の構造と併せて表1に示す。
偏光度=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100 %
光線透過率=[(Imax+Imin)/2]×100 %
ここで、Imaxは平行ニコル時の透過光強度であり、Iminは直交ニコル時の透過光強度である。
Figure 0005026759
実施例と比較例1とを比較すると、基材として特に樹脂を用いた場合、無機誘電体の有無が金属ワイヤとの密着強度の向上に大きな役割を有することが分かる。また、図4、図5及び表1から分かるように、本発明に係るワイヤグリッド偏光板は、比較例に比べ、可視光領域のほぼ全領域にわたって優れた偏光度と光線透過率を示した。このように、本発明に係るワイヤグリッド偏光板は、樹脂基材と誘電体層と金属ワイヤ層との間で十分な密着力があり、構成上の制約がなく、しかも可視光領域の広帯域にわたって優れた偏光度と透過率を両立するワイヤグリッド偏光板及びその製造方法を提供ものであることが分かった。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。また、上記実施の形態における偏光板については、板状の部材である必要はなく、必要に応じてシート状、フィルム状であっても良い。さらに、本発明で得られるワイヤグリッド偏光板は、液晶表示装置や偏光が必要とされる液晶表示装置以外のデバイスなどに適用することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の製造方法で用いる型の作製方法を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板及び比較例のワイヤグリッド偏光板の偏光度を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板及び比較例のワイヤグリッド偏光板の光線透過率を示す図である。
符号の説明
1 基材
2 誘電体層
3 金属ワイヤ
5 金型B,型C(スタンパ)
6 被延伸基材
7 被延伸部材
8 樹脂基材
9 金型

Claims (9)

  1. 透明な樹脂平面基材と、前記樹脂平面基材上に設けられ、前記樹脂平面基材を構成する材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する無機誘電体で構成された誘電体層と、前記誘電体層上に、互いに平行で等間隔に立設された複数の金属ワイヤを有する金属ワイヤ層と、を具備し、前記誘電体層が前記樹脂平面基材上全面に設けられ、前記金属ワイヤ層は、高さが120nm〜220nmであり、アスペクト比が2〜5の範囲であることを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記樹脂平面基材が、シクロオレフィンポリマーであることを特徴とする請求項1記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記金属ワイヤ層は、表面に100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で、前記長手方向と略平行な方向に一軸延伸することにより得られた延伸部材の微細凹凸格子を転写して作製されたスタンパを用いて、前記誘電体層上に設けられた金属層から作製されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 前記金属ワイヤのピッチが150nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  5. 前記無機誘電体は、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、及びそれらの複合物からなる群より選ばれたもので構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  6. 前記金属ワイヤは、アルミニウム又はその合金で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  7. 単位寸法が100cm以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  8. 透明な樹脂平面基材上の全面に、前記樹脂平面基材を構成する材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する無機誘電体で構成された誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に金属層を形成する工程と、表面に100nmから100μmピッチの凹凸格子を有する被延伸部材を、前記凹凸格子の長手方向と略直交する方向の前記被延伸部材の幅を自由にした状態で、前記長手方向と略平行な方向に一軸延伸することにより得られた延伸部材の微細凹凸格子を転写してスタンパを作製する工程と、前記スタンパを用いて、前記金属層を、互いに平行で等間隔に立設され高さが120nm〜220nmであり、アスペクト比が2〜5の範囲である複数の金属ワイヤを有する金属ワイヤ層にする工程と、を具備することを特徴とするワイヤグリッド偏光板の製造方法。
  9. 前記金属層を金属ワイヤ層にする工程は、前記金属層上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層に前記スタンパの微細凹凸格子を転写する工程と、前記樹脂層に転写された微細凹凸格子をマスクとして前記金属層をエッチングすることにより前記金属ワイヤ層を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項8記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
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