JP5023761B2 - エアバッグ - Google Patents
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Description
(1)Nf/Nw≧1.05
ここで、
Nw:タテ糸の織密度(本/2.54cm)、
Nf:ヨコ糸の織密度(本/2.54cm)。
(2)EC1≧200N、EC2≧200N
ここで、
EC1:ASTM D6479−02によるタテ方向の滑脱抵抗力(N)、
EC2:ASTM D6479−02によるヨコ方向の滑脱抵抗力(N)。
(3)0.85≦EC2/EC1≦1.15
(4)JIS L 1096で規定するフラジール形法に基づいて試験差圧19.6kPaで測定したときの通気量が0.1L/cm2・min以下。
すなわち、織機による製織時に、ヨコ糸は開口運動により上下するタテ糸の間をタテ糸よりも大きな張力で打ち込まれるため、織物においてヨコ糸は比較的、ぴんと張っているのに対し、タテ糸は比較的、織物の表裏を往復するように曲がりくねった構造となる傾向にある。
ヨコ糸が張ってタテ糸が曲がりくねった構造において、ヨコ糸がその長手方向から見て脇(タテ方向)に動かされる際の抵抗力はタテ糸の曲がりくねりによる接触長が支配的となり、タテ糸がその長手方向から見て脇(ヨコ方向)に動かされる際の抵抗力は接触点の数が支配的となる傾向にあると考える。
このことに着目してみると、ヨコ密度リッチ織物のタテ方向の滑脱抵抗力については、織密度対称織物に比べて、タテ糸の曲がり構造を大きくすることができ、タテ糸とヨコ糸との接触長が大きくなることから、ヨコ糸がピンによって動かされる際の抵抗力が増し、タテ方向の滑脱抵抗力が向上すると考える。また、ヨコ密度リッチ織物のヨコ方向の滑脱抵抗力については、織密度対称織物に比べて、タテ糸とヨコ糸との接触点の数が増えることから、タテ糸がピンによって動かされる際の抵抗力が増し、ヨコ方向の滑脱抵抗力も向上すると考える。
一方、タテ密度リッチ織物のタテ方向の滑脱抵抗力については、ヨコ糸の打ち込み本数が少ない分、タテ糸の曲がり構造が織密度対称織物に比べても大きくないため、タテ糸とヨコ糸との接触長が短く、ヨコ糸がピンによって動かされる際の抵抗力に乏しく、タテ方向の滑脱抵抗力の向上に寄与しにくい。また、タテ密度リッチ織物のヨコ方向の滑脱抵抗力については、織密度対称織物に比べて、タテ糸とヨコ糸との接触点の数が少なく、タテ糸がピンによって動かされる際の抵抗力に乏しく、ヨコ方向の滑脱抵抗力の向上にも寄与しにくいと考える。
CF1=(Dw×0.9)1/2×Nw
CF2=(Df×0.9)1/2×Nf 。
0.85≦EC2/EC1≦1.15
そうすることで、エアバッグが膨張展開して乗員を拘束する際の縫製部の目ズレを極力抑え、エアバッグの内圧を保持することができる。本来エアバッグは上下左右に等方的に展開するため、EC1とEC2とが上記関係を満足しないと、滑脱抵抗力の低い方向に縫製部の目ズレが発生し、エアバッグの内圧が保持できない。
(1)織物厚さ
JIS L 1096:1999 8.5に則り、試料の異なる5か所について厚さ測定機を用いて、23.5kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。
JIS L 1096:1999 8.6.1に基づき測定した。
試料を平らな台上に置き、不自然なしわや張力を除いて、異なる5か所について2.54cmの区間のタテ糸およびヨコ糸の本数を数え、それぞれの平均値を算出した。
JIS L 1096:1999 8.4.2に則り、20cm×20cmの試験片を3枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)で表した。
ブランク試料として、樹脂を塗布しなかった以外は同様の条件で処理したものを作成した。上記(3)により、ブランク試料の目付けを測定し、コート布帛の目付とブランク試料の目付けとの差をコート量として求めた。
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るまでの最大荷重を測定し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した。
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、これら試験片の中央部に100mm間隔の標線を付け、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るときの標線間の距離を読み取り、下記式によって、破断伸度を算出し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した。
E=[(L−100)/100]×100
ここに、E:破断伸度(%)、
L:切断時の標線間の距離(mm)。
JIS K 6404−4 6.試験方法B(シングルタング法)に準じ、長辺200mm、短辺76mmの試験片をタテ、ヨコ、両方にそれぞれ5個の試験片を採取し、試験片の短辺の中央に辺と直角に75mmの切込みを入れ、定速緊張型の試験機にてつかみ間隔75mm、引張速度200mm/minで試験片が引ききるまで引裂き、その時の引裂き荷重を測定した。得られた引裂き荷重のチャート記録線より、最初のピークを除いた極大点の中から大きい順に3点選び、その平均値をとった。最後にタテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、平均値を算出した。
JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて、試験差圧19.6kPaで試験したときの通気量を測定した。試料の異なる5か所から約20cm×20cmの試験片を採取し、口径100mmの円筒の一端に試験片を取り付け、取り付け箇所から空気の漏れが無いように固定し、レギュレーターを用いて試験差圧19.6kPaに調整し、そのときに試験片を通過する空気量を流量計で計測し、5枚の試験片についての平均値を算出した。
ASTM D−6478−02に則り測定した。
ASTM D6479−02に則り測定した。
金井工機(株)製チェックマスター(登録商標)(形式:CM−200FR)を用い、織機稼動中に経糸ビームとバックローラーとの中間において、タテ糸一本当たりに加わる張力を測定した。
JIS Z 8803に基づきB型粘度計で測定した。
以上の測定方法によって得られたタテヨコの滑脱抵抗力の値が、200N以上を必須条件とし、その上でパッカビリティーが1600cm3以下を満足する場合、「○」、前者のみの値を満足する場合を「△」、前者の値を満足しなかった場合を「×」と評価した。
(タテ糸・ヨコ糸)
ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度2.6dtex、フィラメント数136、総繊度350dtex、無撚りで、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%の合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。
上記タテ糸・ヨコ糸を用い、ウォータージェットルームにて、タテ糸の織密度が53本/2.54cm、ヨコ糸の織密度が59本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、タテ糸張力を147cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
上記の織物を、80℃の熱水槽に通過させ、引き続きピンテンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で160℃にて1分間の熱セット加工を施した。
上記の熱セットした織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、前記熱セットした織物と前記せき板ナイフとの接圧を9N/cmに保ち、樹脂付着量が20g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
(タテ糸・ヨコ糸)
実施例1で用いたのと同様のものをタテ糸・ヨコ糸とした。
上記タテ糸・ヨコ糸を用い、実施例1で用いたのと同様のウォータージェットルームにて、タテ糸の織密度が53本/2.54cm、ヨコ糸の織密度が50本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、タテ糸張力を147cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
上記の織物に、実施例1と同様にして精錬・熱セット加工を施した。
上記の熱セットした織物に、実施例1と同様にしてコーティングおよび加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
(タテ糸・ヨコ糸)
実施例1で用いたのと同様のものをタテ糸・ヨコ糸とした。
上記タテ糸・ヨコ糸を用い、実施例1で用いたのと同様のウォータージェットルームにて、タテ糸の織密度が53本/2.54cm、ヨコ糸の織密度が53本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはリングテンプルを設置して織物を把持し、タテ糸張力を69cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
上記の織物に、実施例1と同様にして精錬・熱セット加工を施した。
上記の熱セットした織物に、実施例1と同様にしてコーティングおよび加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
(タテ糸・ヨコ糸)
ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度3.5dtex、フィラメント数136、総繊度470dtex、無撚りで、強度8.6cN/dtex、伸度23.4%の合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。
上記タテ糸・ヨコ糸を用い、実施例1で用いたのと同様のウォータージェットルームにて、タテ糸の織密度が43本/2.54cm、ヨコ糸の織密度が49本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、タテ糸張力を147cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした
(精練・熱セット工程)
上記の織物を、80℃の熱水槽に通過させ、引き続きピンテンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で160℃にて1分間の熱セット加工を施した。
上記の熱セットした織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、前記熱セットした織物と前記せき板ナイフとの接圧を9N/cmに保ち、樹脂付着量が20g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
(タテ糸・ヨコ糸)
実施例2で用いたのと同様のものをタテ糸・ヨコ糸とした。
上記タテ糸・ヨコ糸を用い、ウォータージェットルームにて、タテ糸の織密度が49本/2.54cm、ヨコ糸の織密度が43本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、タテ糸張力を147cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
上記の織物に、実施例2と同様にして精練・熱セット加工を施した。
上記の熱セットした織物に、実施例2と同様にしてコーティングおよび加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
(タテ糸・ヨコ糸)
実施例2で用いたのと同様のものをタテ糸・ヨコ糸とした。
上記タテ糸・ヨコ糸を用い、ウォータージェットルームにて、タテ糸の織密度が46本/2.54cm、ヨコ糸の織密度が46本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはリングテンプルを設置して織物を把持し、タテ糸張力を69cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした
(精錬・熱セット工程)
上記の織物に、実施例2と同様にして精練・熱セット加工を施した。
上記の熱セットした織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、前記熱セットした織物と前記せき板ナイフとの接圧を3N/cmに保ち、樹脂付着量が20g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
Claims (6)
- 同じ合成繊維糸をタテ糸およびヨコ糸としてなる織物の少なくとも片面に樹脂がコーティングされてなり、以下の要件を満たすことを特徴とするエアバッグ用コート布帛を縫製してなるエアバッグ。
(1)Nf/Nw≧1.05
ここで、
Nw:タテ糸の織密度(本/2.54cm)、
Nf:ヨコ糸の織密度(本/2.54cm)。
(2)EC1≧200N、EC2≧200N
ここで、
EC1:ASTM D6479−02によるタテ方向の滑脱抵抗力(N)、
EC2:ASTM D6479−02によるヨコ方向の滑脱抵抗力(N)。
(3)0.85≦EC2/EC1≦1.15
(4)JIS L 1096で規定するフラジール形法に基づいて試験差圧19.6kPaで測定したときの通気量が0.1L/cm2・min以下 - 前記合成繊維糸の単繊維繊度が1〜7dtexである、請求項1に記載のエアバッグ。
- 前記合成繊維糸の総繊度が100〜700dtexである、請求項1または2記載のエアバッグ。
- さらにNf/Nw≧1.10を満たす請求項1〜3のいずれか記載のエアバッグ。
- タテ糸のカバーファクターCF1およびヨコ糸のカバーファクターCF2がいずれも700〜1250である、請求項1〜4のいずれか記載のエアバッグ。
ここで、
CF1=(Dw×0.9)1/2×Nw、
CF2=(Df×0.9)1/2×Nf、
Dw:タテ糸の総繊度、
Df:ヨコ糸の総繊度。 - 前記樹脂の付着量が5〜40g/m2である、請求項1〜5のいずれか記載のエアバッグ。
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