JP5021857B2 - 帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂予備発泡粒子およびその型内発泡成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は帯電防止性を有するポリエチレン系樹脂予備発泡粒子およびその型内発泡成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体(以下、発泡成形体)は、家電用品などの電気機器部品や一般機器部品などの緩衝包装材として広く用いられている。近年、電化製品のなかでも、液晶やパソコン、半導体部品といったエレクトロニクス関連製品の緩衝包装材としての需要が広がっている。一般にエレクトロニクス関連製品は埃や静電気を嫌うが、ポリエチレン系樹脂それ自体は絶縁体であるため熱や摩擦で帯電しやすく、埃を吸着したり、エレクトロニクス関連製品を静電気により破壊する場合がある。そこで発泡成形体に帯電防止性能を付与する試みがなされている。
【0003】
この問題を解決するために、界面活性剤等の帯電防止剤を塗布したポリエチレン系樹脂予備発泡粒子(以下、予備発泡粒子)を用いて発泡成形体とする方法や発泡成形体に界面活性剤等の帯電防止剤を塗布する方法、帯電防止剤を含浸させた予備発泡粒子を用いて発泡成形体とする方法により、発泡成形体の表面固有抵抗を低下させて帯電を防止する方法が採られている。しかし、これらの方法では使用中の剥離等により帯電防止効果の持続性が乏しかったり、発泡成形体の破断面では帯電防止効果が全く発現しないか著しく低下する。また、工程が煩雑となり製造コストが高くなる問題がある。一方、あらかじめ帯電防止剤を練り込んだ樹脂粒子から予備発泡粒子および発泡成形体を製造する方法も知られている。例えば、特開平3−28239号公報には平均分子量が250〜1000で、HLB値が4〜8の帯電防止能を有するノニオン系界面活性剤を0.1〜5重量%練り込んで使用することが提案されている。
【0004】
また、特開平8−113667号公報には炭素数15〜23の高級脂肪酸と、3〜7個の水酸基を有する多価アルコールとのエステルが0.2〜5.0重量%含有させていることを特徴とする直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂発泡成形体が開示されているが、その目的とするところは直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂発泡成形体の収縮回復、寸法精度、表面平滑性の改善であって、後述する本発明の目的である光学系部品を汚染することなく、良好な帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の提供に関する記述は一切されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記の特開平3−28239号公報に記載の帯電防止剤を用いれば必ず良好な帯電防止性能を有する発泡成形体が得られるわけではなく、使用する帯電防止剤によって帯電防止性能に差があるのが実状である。また、使用する帯電防止剤の種類によっては発泡成形体をコンパクトディスクなどに使用される光学系部品の緩衝包装材、通函に使用した場合、輸送途中に光学系部品中のハーフミラーやミラー、ポリゴンモーター反射鏡などを汚染(表面に白点が多数生じる)し、輸送する製品の機能を著しく低下させることがあり、改善が求められている。かかる汚染は発泡成形体と非接触であるにも関わらず発生する。
【0006】
よって本発明は、光学系部品中のハーフミラーなどを汚染することなく、良好な帯電防止性能(表面固有抵抗が1×1012Ω/□未満)を有するポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究の結果、特定の脂肪酸グリセリンエステルを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、HLB値が3以上4未満かつ融点が35℃以上75℃以下の脂肪酸グリセリンエステルを0.3重量%以上3重量%以下含有することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子(請求項1)、脂肪酸グリセリンエステルがモノステアリン酸グリセリンエステルとジステアリン酸グリセリンエステルの混合物であることを特徴とする、請求項1記載のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子(請求項2)、および、請求項1または2に記載のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子より得られることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体(請求項3)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、帯電防止剤としてHLB値が3以上4未満かつ融点が35℃以上75℃以下の脂肪酸グリセリンエステルを使用する。脂肪酸グリセリンエステルは脂肪酸とグリセリンのエステルである。かかる脂肪酸の例として、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、コハク酸、クエン酸などが挙げられる。脂肪酸グリセリンエステルは、これら脂肪酸が1種以上とグリセリンとのエステルであり、モノエステル、ジエステル、トリエステル或いはそれらの混合物である。それらの中でも工業的に製造され、モノエステルからトリエステルまで容易に入手可能なステアリン酸グリセリンエステルが好ましい。
【0010】
これらの脂肪酸グリセリンエステルを使用することにより光学系部品中のハーフミラーなどの汚染を防止することができる。
【0011】
本発明者らは、帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン等の含窒素化合物を使用した場合に光学系部品の汚染が多く見らることを見出している。これは、光学系部品はチタン、クロム、ニッケル或いはそれらの化合物で表面処理されることが多く、不対電子対を有する含窒素帯電防止剤の場合、該金属或いは金属化合物に配位し易いために汚染が多く見られるものと思われる。つまり、脂肪酸グリセリンエステルの場合、上記金属或いは金属化合物への配位性向が低いために光学系部品を汚染し難いものと考えられる。
【0012】
本発明で使用する帯電防止剤のHLB値は3以上かつ4未満である。ここでHLB値とは、Griffinの方法により、脂肪酸グリセリンエステルのケン化価をS、該脂肪酸グリセリンエステルを構成する脂肪酸の中和価Aを用いて、
HLB値=20(1−S/A)から算出される。脂肪酸グリセリンエステルが同一脂肪酸から構成される場合にはグリセリンへの脂肪酸の結合数が増えるとHLB値は小さくなり、脂肪酸の結合数が同じ場合には脂肪酸のアルキル鎖長が長くなるとHLB値は小さくなる。つまり、脂肪酸グリセリンエステルが同一の脂肪酸から構成される場合であっても、モノエステル、ジエステル、トリエステルの混合比率でHLB値は変化し、脂肪酸の結合数が同じ場合には脂肪酸の種類とその組成比によってHLB値は変化する。
【0013】
HLB値が3未満の場合、ブリードアウトした帯電防止剤が十分な親水性を有していないために良好な帯電防止性能を発揮しない。HLB値が4以上となると帯電防止性能に問題はないが、予備発泡粒子表面の付着分散剤量が多くなる不具合を発生する。一般にポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、密閉容器内で樹脂粒子を水系分散媒中に分散させ、攪拌混合しながら加熱して発泡剤を含浸させた後、該密閉容器内圧より低圧雰囲気下に放出する(予備発泡工程)方法により製造される。上記水系分散媒には樹脂粒子同士の融着を防止するために分散剤として第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の難水溶性無機化合物を添加するが、該分散剤が予備発泡粒子表面に多く付着していると後の成形工程において融着不良等の不具合を引き起こす。
【0014】
脂肪酸グリセリンエステルのHLB値は前記のごとく、 Griffinの方法により算出されるが、多くの場合、モノエステルで4〜7、ジエステルで1〜4、トリエステルで0.5〜2程度の値をとる。これらを混合することにより所望のHLB値に調整して使用することができる。
【0015】
また、使用する帯電防止剤のHLB値が3以上4未満であっても十分ではなく、その融点が35℃以上75℃以下、より好ましくは40℃以上70℃以下である必要がある。融点が35℃以下では使用時にベタツキが発生し易く、埃等が発泡成形体表面に付着して外観を損なうばかりでなく、帯電防止性能を低下させる場合がある。融点が75℃を超えると帯電防止性能が著しく低下したり、帯電防止性能発現までに長時間を要する場合がある。これは、発泡成形体は成形後に収縮を回復させるため及び乾燥のために養生されるが、養生温度が70℃より低い温度では収縮の回復に時間が長くかかり、80℃を超えると逆に収縮が大きくなる場合があるために通常70℃〜80℃で養生されており、帯電防止剤はかかる養生工程でブリードアウトし帯電防止性能を発揮するためと考えられる。つまり、帯電防止剤の融点が養生温度より高いと帯電防止性能発揮に必要な帯電防止剤が十分にブリードアウトし得ないためと思われる。
【0016】
ここで帯電防止剤の融点は、示差走査熱量計により5〜10mgの帯電防止剤を0℃から120℃まで昇温速度10℃/minで昇温した時に得られるDSC曲線において、吸熱ピークのピーク温度として測定される。
【0017】
本発明における帯電防止剤の添加量は0.3重量%以上3重量%以下好ましくは0.5重量%以上2重量%以下である。0.3重量%未満では十分な帯電防止性能が発揮されない。3重量%を超えると前記予備発泡工程において分散不良を起こす場合がある事、付着分散剤が多くなる場合がある事から好ましくない。
【0018】
本発明に用いるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種類以上混合して用いることができる。これらの樹脂の中でも、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、特に密度が0.920〜0.935g/cm3、メルトインデックスが0.5〜3g/10分、コモノマーがヘキセン、4−メチルペンテン又はオクテンである直鎖状低密度ポリエチレンが良好な成形性を得る上で好ましい。これらポリエチレン系樹脂には、着色顔料、セル造核剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、結晶核剤などを添加することができる。その添加量は、予備発泡粒子のセル径の微細化、不均一化が起こらないように3重量%以下、より好ましくは1重量%以下とするほうがよい。
【0019】
これらのポリエチレン系樹脂は、あらかじめ押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状で、その粒子の粒重量が0.2〜10mg、好ましくは0.5〜6mgの樹脂粒子に加工される。この際、帯電防止剤を添加するが、通常は帯電防止剤濃度が5〜20重量%のマスターバッチを帯電防止剤が所望の濃度となる様に添加する。
【0020】
本発明では、従来から知られている方法、すなわち、密閉容器内に、樹脂粒子、分散剤および分散助剤を含む水系分散媒ならびに揮発性発泡剤を仕込み、攪拌しながら昇温して一定圧力、一定温度として樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、密閉容器内圧より低圧雰囲気下に放出する方法により、予備発泡粒子が製造される(予備発泡工程)。使用する密閉容器には特に限定はなく、予備発泡工程における圧力、温度に耐えられるものであればよいが、例えばオートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
【0021】
分散剤として例えば第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の難水溶性無機化合物、分散助剤としては例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ等のアニオン系界面活性剤が使用される。これらの中でも第三リン酸カルシウムとn−パラフィンスルホン酸ソーダの使用が良好な分散性を得る上で好ましい。これら分散剤及び分散助剤の使用量は、その種類や用いるポリエチレン系樹脂の種類・量などによって異なるが、通常、水100重量部に対して無機分散剤0.2〜3重量部、分散助剤0.0005〜0.1重量部である。
【0022】
前記揮発性発泡剤の例としては、たとえばイソブタン、ノルマルブタン、ノルマルペンタン、プロパン、二酸化炭素、窒素などがあげられるが、これらに限定されるものではなく、その使用量としては、通常、樹脂100重量部に対して5〜50重量部である。
【0023】
また、予備発泡工程における温度・圧力は、使用するポリエチレン系樹脂の種類や目的とする発泡倍率によって異なるが、使用するポリエチレン系樹脂の軟化点以上の温度で、通常、100〜130℃、圧力は1〜3MPa程度であり、予備発泡倍率としては5〜40倍程度である。
【0024】
上記のようにして得た予備発泡粒子を型内発泡成形体にするには例えば(イ)予備発泡粒子を無機ガスで加圧処理して予備発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定の内圧を付与した後、金型に充填し、蒸気等で加熱融着させる方法、(ロ)予備発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し予備発泡粒子の回復力を利用して、蒸気等で加熱融着させる方法、(ハ)特に前処理することなく金型に充填し、蒸気等で加熱融着させる方法、等が利用しうるが、特別な設備を必要としない(ハ)の方法が好ましい。
【0025】
本発明の好ましい実施の態様としては、酸化防止剤、セル造核剤を含む直鎖状低密度ポリエチレンと、HLB値が3以上4未満かつ融点が35℃以上75℃以下の脂肪酸グリセリンエステルのマスターバッチを脂肪酸グリセリンエステルの最終濃度が0.3重量%以上3重量%以下となるよう混合し、押出機よりストランド状に押出し、冷却後このストランドをカットして1〜5mgの円筒状樹脂粒子とする。オートクレーブ型耐圧容器にこの樹脂粒子(融点Tm℃)100重量部に対して、水150〜500重量部、分散剤として第3リン酸カルシウム0.08〜2.5重量部、分散助剤としてn−パラフィンスルフォン酸ソーダ0.0005〜0.01重量部および揮発性発泡剤としてイソブタンを5〜30重量部仕込み、昇温して(Tm−10)〜(Tm+10)℃、1〜3MPaで一定温度、一定圧力として樹脂粒子に発泡剤を含浸させたのち、大気圧下に放出して予備発泡粒子とする。この予備発泡粒子を金型内に充填し、0.09〜0.12MPaの蒸気で加熱融着させ発泡成形体とした後、70〜80℃の乾燥室内で18〜24時間養生する方法が挙げられる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明を更に詳しく説明する。
実施例1〜6及び比較例1〜9
メルトフローインデックスが2g/10分、融点が122.4℃、コモノマーが4−メチルペンテンの直鎖状低密度ポリエチレンに対して表1記載のHLB値、融点をもつ帯電防止剤(モノステアリン酸グリセリンエステルとジステアリン酸グリセリンエステルの混合物)を表1記載の濃度となる様にマスターバッチで混合し、押出機で練り込み、一粒の重量が1.3mgのペレットを作製した。容量約0.2m3のオートクレーブ中に、このペレットを100重量部(50Kg)、水300重量部、第三リン酸カルシウム2重量部、n−パラフィンスルフォン酸ソーダ0.001重量部、イソブタン20重量部を仕込み114.0℃まで昇温した後、イソブタンを圧入してオートクレーブ内圧を1.82MPaに10分間保持した後、イソブタン蒸気でオートクレーブ内圧を保持しながら4.0mmのオリフィスを通して大気圧下に放出し予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は発泡直後に濃度30ppmのメタリン酸ソーダ(太平化学工業社製)水溶液で洗浄し、60℃の熱風で乾燥させた。この予備発泡粒子を300×300×60mmのプランク金型に充填し、加熱蒸気圧力0.1MPaで成形し、75℃の雰囲気下で24時間養生した。
予備発泡粒子及び発泡成形体の性状については以下の方法により評価した。結果を表1に示す。
(アグロメ粒子量)予備発泡粒子5Lを目開き4mmのメッシュに篩い分け、メッシュ上に残った予備発泡粒子の重量分率を測定し、以下の基準で評価した。
○:0.2%未満
△:0.2%以上1.0%未満
×:1.0%以上
(付着分散剤)メタバナジン酸アンモニウム0.022重量%、モリブデン酸アンモニウム0.54重量%、硝酸3重量%を含む水溶液(比色液)50.0mLとW(g)の予備発泡粒子(通常約0.5g)をコニカルビーカーに採り1分間攪拌したのち、10分間放置した。えられた液相を光路長1.0cmの石英セルに採り、分光光度計により410nmでの吸光度Aを測定した。
【0027】
同一の比色液について、予め測定しておいた第3リン酸カルシウムの410nmでの吸光度係数ε(g/L・cm)を用いて、下式より付着分散剤量(ppm)を求め、以下の基準で評価した。
【0028】
【数1】
○:2000ppm未満
×:2000ppm以上
(ベタツキ)前記プランク型成形体を養生終了後、30分間室温下で放置し、触感により、以下の基準で評価した。
○:粘着感、ヌメリ感を感じない
×:粘着感、ヌメリ感がある
(融着性)前記プランク型成形体を養生終了後24時間以上室温下で放置した後、発泡成形体の表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れ、このクラックに沿って成形体を割り、破断面を観察して以下の基準で評価した。
○:粒子が破断している割合が60%以上
×:粒子が破断している割合が60%未満
(表面固有抵抗)前記プランク型成形体を養生終了後、温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室内に24時間放置した後、超絶縁抵抗計(アドバンテスト社製TR8601)を用いて500V、1分の条件で表面固有抵抗を測定し、以下の基準で評価した。
○:1×1012Ω/□未満
△:1×1012Ω/□以上1×1013Ω/□未満
×:1×1013Ω/□以上
(汚染性)前記プランク型成形体より外寸200mm×200mm×150mm、肉厚15mmの箱及びそのふたを作成した。その箱内部に片面が酸化チタンコートされたハーフミラーをコート面が壁面に接触しないように入れ、ふたをし、恒温恒湿チャンバー内で温度60℃、湿度90%RHの雰囲気に90時間放置した。この汚染テスト前後の酸化チタンコート面を顕微鏡観察し、以下の基準で評価した。
○:目立った付着物は観察されない
△:局所的に小さな斑状の付着物が観察される
×:全面に大きな斑状の付着物が観察される
実施例1〜6に示される通り、帯電防止剤としてHLB値が3以上4未満かつ融点が35℃以上75℃以下の脂肪酸グリセリンエステルを0.3重量%以上3重量%以下含有させることにより、予備発泡粒子におけるアグロメ粒子及び付着分散剤が少なく、発泡成形体におけるベタツキ及び融着性、表面固有抵抗、汚染性に問題が発生しない、つまり、光学系部品中のハーフミラーなどを汚染することなく、良好な帯電防止性能(表面固有抵抗が1×1012Ω/□未満)を有するポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。
【0029】
比較例1〜3のように含窒素帯電防止剤では汚染性に問題が生じやすい。
【0030】
実施例1〜4と比較例4〜7との対比から、同一脂肪酸グリセリンエステルであってもHLB値が3未満(ジエステル或いはトリエステル含量が多い)では良好な帯電防止性能が得られず(比較例4)、HLB値が4を超えると付着分散剤及び融着性に問題を生じる(比較例5)。また、HLB値が望ましい範囲にあっても、添加量が0.3重量%未満では十分な帯電防止性能が得られず(比較例6)、3重量%を超えると予備発泡工程において分散不良に起因するアグロメ粒子が発生した(比較例7)。
【0031】
比較例8〜10に示される通り、帯電防止剤の融点が35℃未満の場合、発泡成形体表面がベタツキつき易く、75℃を超えると十分な帯電防止性能が得られない。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
帯電防止剤としてHLB値が3以上4未満かつ融点が35℃以上75℃以下の脂肪酸グリセリンエステルを0.3重量%以上3重量%以下含有させたポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を用いると、光学系部品中のハーフミラーなどを汚染することなく、良好な帯電防止性能(表面固有抵抗が1×1012Ω/□未満)を有するポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。また上記帯電防止剤を使用すると、予備発泡粒子におけるアグロメ粒子量及び付着分散剤量が少なく、発泡成形体におけるベタツキ及び融着性に問題が発生しない。したがって、本発明の帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂予備発泡粒子より成形した発泡成形体は、電子部品とりわけ光学系部品を内蔵した電子部品の緩衝包装材として好適に使用することができる。特に蒸着やスパッタリングなどの真空処理方法により酸化チタンなどの金属化合物層を有する光学部品あるいはこれを内蔵した電子部品の緩衝包装材として好適に使用することができる。もちろん、CD−ROMドライブ、液晶表示装置、パソコンなどの部品でなく完成品の緩衝包装材としても使用することができる。
Claims (3)
- HLB値が3以上4未満かつ融点が35℃以上75℃以下の脂肪酸グリセリンエステルを0.3重量%以上3重量%以下含有することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
- 脂肪酸グリセリンエステルがモノステアリン酸グリセリンエステルとジステアリン酸グリセリンエステルの混合物であることを特徴とする、請求項1記載のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
- 請求項1または2に記載のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子より得られることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体。
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