JP5021408B2 - バイオセンサー - Google Patents

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Description

本発明は、保存安定性に優れたバイオセンサーに関する。
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすることなく、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術である。SPR測定技術はチップの金属膜に接する有機機能膜近傍の屈折率変化を反射光波長のピークシフト又は一定波長における反射光量の変化を測定して求めることにより、表面近傍に起こる吸着及び脱着を検知する方法である。QCM測定技術は水晶発振子の金電極(デバイス)上の物質の吸脱着による発振子の振動数変化から、ngレベルで吸脱着質量を検出できる技術である。また、金の超微粒子(nmレベル)表面を機能化させて、その上に生理活性物質を固定して、生理活性物質間の特異認識反応を行わせることによって、金微粒子の沈降、配列から生体関連物質の検出ができる。
上記した技術においては、いずれの場合も、生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、生体分子間の相互作用を分析するため、生理活性物質を固定化する表面が重要である。
一般に、生理活性物質を固定化可能な官能基を有する検出表面として、例えば特許第2815120号に、ヒドロゲルの製造法が詳細に開示されている。具体的には、メルカプト基と直鎖アルキルを有する化合物が金膜へ層状に結合することでバリアー層を形成する。さらに、前記化合物の官能基を利用して水溶性ポリマーを結合させ、生理活性物質の固定量を向上させている。しかし、メルカプト基は酸素により酸化され、バリアー層、あるいは水溶性ポリマー層が金膜から剥離してしまう問題があった。この現象は、アルキル基が短くなるほど顕著である。
特許第2815120号公報
本発明は上記した従来技術の問題を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は保存安定性に優れたバイオセンサーを提供することを課題とした。具体的には、本発明は、一定時間の保存後における親水性高分子の金属基板からの剥離を抑制したバイオセンサーを提供することを課題とした。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、金属基板の表面上に被覆した自己組織化膜の上に、第一の親水性高分子層が固定されており、前記第一の親水性高分子層の上に少なくとも1層の第二の親水性高分子層が被覆されているバイオセンサーにおいて、前記第一の親水性高分子層及び前記第二の親水性高分子層の合計の乾燥時の膜厚が20nm以上100nm以下にすることによって、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、金属基板の表面上に被覆した自己組織化膜の上に、第一の親水性高分子層が固定されているバイオセンサーにおいて、前記第一の親水性高分子層の上に第二の親水性高分子層が被覆されており、前記第一の親水性高分子層及び前記第二の親水性高分子層の合計の乾燥時の膜厚が20nm以上100nm以下であることを特徴とするバイオセンサーが提供される。
好ましくは、第一の親水性高分子層及び第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子は多糖類である。
好ましくは、自己組織化膜が、メルカプト基を有する化合物により形成されたものである。
好ましくは、自己組織化膜は、下記一般式A−1で表される化合物により形成されたものである。
(式中、nは3から20の整数を示し、Xは親水性高分子を結合するための官能基を示す。)
好ましくは、自己組織化膜が、炭素数4以上10以下の直鎖アルキル基を有する化合物の水溶液を金属基板の表面上に被覆することによって形成されたものである。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、非電気化学的検出に使用される。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、表面プラズモン共鳴分析に使用される。
本発明により、一定時間の保存後における親水性高分子の金属基板からの剥離を抑制した、保存性が良好であるバイオセンサーを提供することが可能となった。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のバイオセンサーは、金属基板の表面上に被覆した自己組織化膜の上に、第一の親水性高分子層が固定されているバイオセンサーであって、前記第一の親水性高分子層の上に第二の親水性高分子層が被覆されており、前記第一の親水性高分子層及び前記第二の親水性高分子層の合計の乾燥時の膜厚が20nm以上100nm以下であることを特徴とするバイオセンサーである。
本発明では、第一の親水性高分子層及び前記第二の親水性高分子層の合計の乾燥時の膜厚は20nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは20nm以上50nm以下である。本発明では、膜厚を上記の範囲内に設定することによって、経時させても第一の親水性高分子の残存率が高く、多量の生理活性物質を固定できるという効果が達成される。なお、第二の親水性高分子の層の数は少なくとも1層以上であれば特に限定されず、2層以上の複数の層としてもよいが、好ましくは1層である。第一の親水性高分子層のみで、乾燥時に20nm以上100nm以下の膜厚とすることでも、上記効果を得ることができる。
本発明において、「乾燥時の膜厚」とは、「乾湿球温度差5℃以上で30分以上静置した時の膜厚」を意味する。ここで、好ましくは乾湿球温度差は7℃以上であり、最も好ましくは10℃以上である。
親水性高分子層の乾燥時の膜厚の測定方法は特に限定されず、例えば、AFM、エリプソメトリーなどで評価することができる。具体的には、AFMでの測定法としては、タッピングモードによる塗布/未塗布部分の相対値を膜厚とし、測定を行うことができる。また、エリプソメトリーでは、反射した偏光ビームの相対的な位相の変化を測定することによって膜厚を算出することができる。
本発明におけるバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
本発明の金属基板としては、好ましくは金属又は基材上に配置された金属膜を用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基材と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
本発明で使用することができる基材としては、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィン高分子などのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基材は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。ここで、「基材上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明の基材の好ましい屈折率は1.4以上1.7以下である。特に表面プラズモン共鳴を用いて水溶液中における生理活性物質と化合物との親和性を計測する場合、基板の屈折率が低いと共鳴による暗線が反射光として得られない、屈折率が高いと基板に対する光源の入射角および反射角を小さくする必要があり装置を構成するのに障害となる場合が発生するといった問題を生じる。
上記の基板は、センサーユニットの誘電ブロックに固定され、一体化されて測定チップを構成しており、この測定チップが交換可能に形成されていてもよい。以下にその例を示す。
図1は、SPRを利用した測定に用いられるセンサーユニット10の分解斜視図である。センサーユニット10は、透明な誘電体である全反射プリズム(誘電ブロック)20と、この全反射プリズム20の上に取り付けられる流路部材30とで構成される。流路部材30は、図中奥側に位置する第1流路31と、図中手前側に位置する第2流路32との2種類の流路を有している。詳細は後述するが、センサーユニット10を用いて測定を行う際には、これら2つの流路31、32を1組として、1つの試料の測定が行われる。流路部材30には、各流路31、32が、それぞれ長手方向に6つずつ設けられており、1つのセンサーユニット10で6つの試料を測定できるようにしている。なお、各流路31、32の数は、6つに限ることなく、5つ以下でもよいし7つ以上でもよい。
全反射プリズム20は、長尺な台形柱状に形成されたプリズム本体21と、このプリズム本体21の一端に設けられた把持部22と、プリズム本体21の他端に設けられた突出部23とからなる。この全反射プリズム20は、例えば、押し出し法などによって型成形されるものであり、プリズム本体21、把持部22、突出部23の各部は、一体に成形されている。
プリズム本体21は、下底よりも上底の方が長い略台形の縦断面を有しており、底面側面から照射された光を上面21aに集光する。プリズム本体21の上面21aには、SPRを励起するための金属膜(薄膜層)25が設けられている。金属膜25は、流路部材30の各流路31、32と対面するように、長方形状をなしており、例えば、蒸着法などによって成形される。この金属膜25としては、例えば、金や銀などが使用され、その膜厚は、例えば、50nmである。なお、金属膜25の膜厚は、金属膜25の素材や測定時に照射される光の波長などに応じて適宜選択される。
金属膜25の上には、高分子膜26が設けられている。高分子膜26は、生理活性物質を固定させるための結合基を有するものであり、この高分子膜26を介して金属膜25上に生理活性物質が固定される。
本発明において金属膜は、自己組織化膜形成分子で被覆された後(以下、適宜、「自己組織化膜形成分子被覆工程」と称する。)、活性エステル化されたカルボキシル基を含有する親水性高分子(以下、「親水性高分子活性化工程」と称する。)を上記有機層と反応させることにより、生理活性物質を固定化し得る親水性高分子層を基板に設けることができる(以下、適宜、「親水性高分子設置工程」と称する。)。本発明においては、このようにして得られた基板上の親水性高分子層に、必要に応じて生理活性物質を固定させ(以下、適宜、「生理活性物質固定工程」と称する。)、さらに第二の親水性高分子を添加することにより(以下、適宜、「安定化剤添加工程」と称する。)、保存安定性に優れる、生理活性物質を固定した基板を得ることができる。
<自己組織化膜形成分子被覆工程>
本発明において自己組織化膜形成分子とは、金属膜と第一の親水性高分子層とをつなぐ役目を有している。以下、自己組織化膜形成分子を有してなる、自己組織化膜(SAMs)について説明する。
自己組織化膜(SAMs)を用いた金属膜の被覆法は、ハーバード大のWhitesides教授らにより精力的に展開されており、その詳細は例えばChemical Review, 105, 1103-1169 (2005)に報告されている。金属として金を用いた場合、自己組織化膜形成分子として一般式A−1(一般式A−1において、nは3から20の整数を示し、Xは官能基を示す)に示すアルカンチオール誘導体を用いることにより、Au-S結合とアルキレン鎖同士のvan der Waals力に基づき、配向性を持つ単分子膜が自己組織的に形成される。自己組織化膜は、アルカンチオール誘導体の溶液中に金基板を浸漬するという極めて簡便な手法で作成される。本願においては、末端にアミノ基を有していることが好ましく、一般式A−1においてX=NH2である分子を用いて自己組織化膜を形成させることで、アミノ基を有する自己組織化膜で金表面を被覆することが可能となる。
末端にアミノ基を有するアルカンチオールは、アルキレン鎖を介してチオール基とアミノ基が連結している分子(一般式A−2)(一般式A−2において、nは3から20の整数を示す)でもよく、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオール(一般式A−3、A−4)(一般式A−3においてnは3から20の整数を示し、一般式4においてnはそれぞれ独立に1から20の整数を示す)と大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させた分子でもよい。末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールと大過剰のヒドラジドまたはジアミンとの反応は、溶液状態で行ってもよく、また、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールを基板表面に結合した後、大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させてもよい。
A-2〜A-4のアルキレン基の繰返し数は、3以上20以下が好ましく、さらに3以上16以下が好ましく、4以上8以下が最も好ましい。アルキレン鎖が短いと自己組織化膜を形成しにくく、アルキレン鎖が長いと水溶性が低下し、ハンドリングが困難になる。また、上記一般式A−4において、エチレンオキシド基の繰り返し数mは、それぞれ独立に1〜20の整数を示し、3〜20の整数が好ましく、3〜16の整数がさらに好ましく、4〜8の整数が最も好ましい。
本発明に用いるジアミンとしては、任意の化合物を用いることが可能であるが、例えば、バイオセンサー表面に用いる場合、水溶性ジアミンが好ましい。水溶性ジアミンとしては具体的に、エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4’−ジアモノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン酸等の芳香族ジアミンが挙げられる。基板表面の親水性を向上させるという観点から、2つのアミノ基をエチレングリコールユニットで連結した化合物(一般式A−5)を用いることも可能である。本発明に用いるジアミンとしては、好ましくはエチレンジアミンまたは一般式A−5(一般式A−5において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)で表される化合物であり、より好ましくは、エチレンジアミンまたは1,2-ビス(アミノエトキシ)エタン(一般式A−5において、n=2,m=1)である。
アミノ基を有するアルカンチオールは、単独で自己組織化膜を形成することも可能であり、また、他のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成することも可能である。基板表面に用いる場合、他のアルカンチオールとしては、生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な化合物を用いることが好ましい。生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な自己組織化膜に関しては、前述のWhitesides教授らにより詳細に検討されており、親水性基を有するアルカンチオールから形成された自己組織化膜が非特異吸着抑制に有効であることが報告されている(Langmuir,17,2841-2850, 5605-5620, 6336-6343 (2001))。本発明において、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールは、前記論文に記載された分子を好ましく用いることが可能である。非特異吸着抑制能に優れ、入手が容易であることから、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールとしては、水酸基を有するアルカンチオール(一般式A−6)あるいはエチレングルコールユニットを有するアルカンチオール(一般式A−7)(一般式A−6において、nは3から20の整数を示し、一般式A−7において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)を用いることが好ましい。
アミノ基を有するアルカンチオールを他のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成する場合、A-2〜A-4のアルキレン基の繰返し数は、4以上20以下が好ましく、さらに4以上16以下が好ましく、4以上10以下が最も好ましい。また、A-6,A-7のアルキレン基の繰返し数は、3以上16以下が好ましく、さらに3以上12以下が好ましく、3以上8以下が最も好ましい。
本発明において、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールは、任意の割合で混合することが可能であるが、アミノ基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には活性エステル化されたカルボキシル基含有高分子の結合量が低下し、親水性基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には非特異吸着抑制能が減少する。それゆえ、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールの混合比は、1/1以上1/100万以下の範囲であることが好ましく、1以上1/1000以下の範囲であることがより好ましく、1以上1/10以下の範囲であることがさらに好ましい。活性エステル化されたカルボキシル基を含有する高分子と反応する場合の立体障害低減の観点から、アミノ基を有するアルカンチオールの分子長は、親水性基を有するアルカンチオールの分子長よりも長いことが好ましい。
本発明で用いるアルカンチオールは、Northwestern大学のGrzybowski教授らによる総説(Curr. Org. Chem., 8, 1763-1797(2004). )およびその引用文献に基づいて合成された化合物を用いても良く、また市販の化合物を用いてもよい。これらの化合物は、同仁化学(株)、Aldrich社、SensoPath Technologies社、Frontier Scientific Inc.社等から購入可能である。本発明においてアルカンチオールの酸化生成物であるジスルフィド化合物は、アルカンチオールと同様に用いることが可能である。
上記した自己組織化膜形成分子は、有機溶媒(例えば、エタノールなど)、水、または有機溶媒と水との混合溶媒に溶解して用いることができる。好ましくは、上記した自己組織化膜形成分子は、水に溶解して用いることができる。
<第一の親水性高分子層を形成する親水性高分子の活性化工程>
金属基板の表面上に被覆した自己組織化膜の上に固定されている第一の親水性高分子層を形成する親水性高分子としては、カルボキシル基含有合成高分子およびカルボキシル基含有多糖類を用いることが可能である。カルボキシル基含有合成高分子としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの共重合体、例えば特開昭59−53836号第3頁右上第2行目〜第6頁左下第9行目、特開昭59−71048号第3頁左下第1行目〜第5頁左上第3行目に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合、水酸基を有する高分子に酸無水物を付加させたものなどが挙げられる。カルボキシル基含有多糖類は、天然植物からの抽出物、微生物発酵の生産物、酵素による合成物、または化学合成物の何れであってもよく、具体的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デルマタン酸硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セロウロン酸、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン等が挙げられる。カルボキシル基含有多糖類は、市販の化合物を用いることが可能であり、具体的には、カルボキシメチルデキストランであるCMD、CMD−L、CMD−D40(名糖産業社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム(和光純薬社製)、等を挙げることができる。
第一の親水性高分子層を形成する親水性高分子は、好ましくはカルボキシル基を含有する多糖類であり、より好ましくはカルボキシメチルデキストランである。
本発明に用いるカルボキシル基を含有する高分子の分子量は特に制限されないが、平均分子量が1000〜5000000であることが好ましく、平均分子量が10000〜2000000であることがより好ましく、この範囲より平均分子量が小さい場合には生理活性物質の固定量が小さくなってしまい、この範囲より平均分子量が大きい場合には高い溶液粘度のため取り扱いが困難となる。
カルボキシル基を含有する高分子を活性化する方法としては、公知の手法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)単独、または、EDCとN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化する方法を好ましく用いることができる。この手法で活性化されたカルボキシル基を含有する高分子を、アミノ基を有する基板と反応させることで、本発明の基板を製造することが可能となる。
また、カルボキシル基を含有する高分子を活性化する方法として含窒素化合物を用いる方法があり、具体的には、下記一般式(Ia)又は(Ib)[式中、R1及びR2は、互いに独立して置換基を有しても良いカルボニル基、炭素原子、窒素原子を表し、R1及びR2は結合により5〜6員環を形成しても良く、Aは置換基を有する炭素原子またはリン原子を表し、Mは(n-1)価の元素を表し、Xはハロゲン原子を表す]に示される含窒素化合物を用いることもできる。
ここで、R1及びR2は、互いに独立して置換基を有しても良いカルボニル基、炭素原子、窒素原子を表すが、好ましくはR1及びR2は結合により5〜6員環を形成する。特に好ましくは、ヒドロキシコハク酸、ヒドロキシフタル酸、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3、4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1、2、3−ベンゾトリアジン、及びその誘導体が提供される。
また、好ましくは下記化合物7で示される含窒素化合物を用いることもできる。
また好ましくは、含窒素化合物としては、下記一般式(II)[式中、Y及びZは、互いに独立してCH、または窒素原子を表す]で表される化合物を用いることもできる。
具体的には、下記の化合物などを用いることができる。
また好ましくは、含窒素化合物としては、下記の化合物を用いることもできる。
また好ましくは、含窒素化合物としては、下記一般式(III)[式中、Aは置換基を有する炭素原子またはリン原子を表し、Y及びZは、互いに独立してCH、または窒素原子を表し、Mは(n-1)価の元素を表し、Xはハロゲン原子を表す]を用いることもできる。
ここで、Aで表される炭素原子またはリン原子の置換基としては、置換基を有するアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基やピロリジノ基の様なジアルキルアミノ基が好ましい。Mで表される(n-1)価の元素は、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子などが挙げられるが、好ましくはリン原子があげられる。Xで表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、好ましくはフッ素原子が挙げられる。
また一般式(III)で表される含窒素化合物の具体例としては、下記の化合物などが挙げられる。
また好ましくは、含窒素化合物としては、下記一般式(IV)[式中、Aは置換基を有する炭素原子またはリン原子を表し、Mは(n-1)価の元素を表し、Xはハロゲン原子を表す]を用いることもできる。
具体的には、下記の化合物などを用いることができる。
活性化剤としての上記含窒素化合物の混合比は、この用途で用いられる一般的な量をそのまま適用可能であるが、充分にポリマーを固定化するという観点から、ポリマー層26中の官能基、例えばカルボキシ基に対する含窒素化合物の混合モル比は、1×10-7〜1であることが好ましい。
また、フェノール誘導体としては、充分にポリマーを固定化するという観点から電子吸引性基を有するフェノール誘導体であることが好ましく、更に電子吸引性基のσ値が0.3以上であることが充分にポリマーを固定化するという観点から好ましい。具体的には、下記化合物16などを用いることができる。なお、(VI−4)中X-はアニオンを表す。)
活性化剤としてのフェノール誘導体の混合比は、この用途で用いられる一般的な量をそのまま適用可能であるが、充分にポリマーを固定化するという観点から、ポリマー層26中の官能基、例えばカルボキシ基に対するフェノール誘導体の混合モル比は、1×10-4〜1であることが好ましい。
更に、カルボキシル基を含有する高分子を活性化する方法では、別にカルボジイミド誘導体物を併用することができ、好ましくは、水溶性カルボジイミド誘導体を併用する事ができ、更に好ましくは下記の化合物、(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide, hydrochloride)を併用することができる。
上記のカルボジイミド誘導体及び、含窒素化合物、またはフェノール誘導体は併用して使用するだけではなく、所望により、夫々、単独で用いることもできる。好ましくはカルボジイミド誘導体と含窒素化合物との併用である。
また、カルボキシル基を含有する高分子を活性化する方法として、下記化合物を用いることもできる。該化合物は単独で用いることもできるが、カルボジイミド誘導体、含窒素化合物、フェノール誘導体と併用してもよい。
<第一の親水性高分子層形成工程>
本発明において第一の親水性高分子層を形成する親水性高分子は、活性エステル化されたカルボキシル基を含有する高分子であることが好ましい。活性エステル化されたカルボキシル基を含有する高分子は、溶液として基板と反応させてもよく、また、スピンコート等の手法を用いて基板上の薄膜を形成させた状態で反応させてもよい。好ましくは、薄膜を形成させた状態での反応である。
第一の親水性高分子層の乾燥時(乾燥条件は本明細書中上記の通り)の膜厚は、好ましくは0.1〜100nmであり、より好ましくは0.5〜50nmであり、特に好ましくは1〜30nmである。
上記の通り、本発明において活性エステル化されたカルボキシル基を含有する高分子は、薄膜状態で基板と反応させることが好ましい。基板上に薄膜を形成させる方法は、公知の方法を用いることが可能であるが、具体的には、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、スライドビードコート法、スリットアンドスピン方式、スリットコート方式、ダイコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、フローコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート方式、転写印刷法、等を用いることが可能である。これらの薄膜形成法については、「コーティング技術の進歩」原崎勇次著、総合技術センター(1988)、「コーティング技術」技術情報協会(1999)、「水性コーティングの技術」シーエムシー(2001)、「進化する有機薄膜 成膜編」住べテクノリサーチ(2004)、「高分子表面加工学」岩森暁著、技報堂出版(2005)、等に説明されている。膜厚制御された塗布膜を簡便に作成可能であることから、本発明において基板上に薄膜を形成させる方法としては、スプレーコート法またはスピンコート法が好ましく、スピンコート法がさらに好ましい。
スプレーコート法とは、微細化された高分子溶液を基板に吹きつけた状態で、基板を移動させることで、基板上に高分子溶液を均一塗布する方法である。スプレーガンの引き金を引くと空気バルブとニードルバルブが同時に開き、ノズルから高分子溶液が霧状に噴出し、ノズル先端にある空気キャップから噴出する空気で霧状の高分子溶液がさらに微細化される。微細化された高分子溶液による塗布膜を基板表面に形成させた後、溶媒を蒸発させることで、膜厚の制御された高分子フイルムが容易に作成される。高分子溶液濃度、基板の移動速度等により、高分子薄膜の膜厚制御が可能となる。
スピンコート法とは、水平に設置した基板上に高分子溶液を滴下した後に高速回転させ、遠心力によって基板全体に高分子溶液を均一塗布する方法である。遠心力による高分子溶液の飛散と溶媒の蒸発に伴い、膜厚の制御された高分子フイルムが容易に作成される。回転数、高分子溶液濃度、溶剤の蒸気圧等により、高分子薄膜の膜厚制御が可能となる。本発明においてスピンコート時の回転数は特に制限されないが、回転数が低すぎる場合には基板上に溶液が残存し、回転数が高すぎる場合には使用可能な装置が制限されてしまう。それゆえ本発明においてはスピンコート時の回転数は、500rpm〜10000rpmであることが好ましく、1000rpm〜7000rpmであることがさらに好ましい。
<第二の親水性高分子層形成工程>
本発明において、第一の親水性高分子層の上には直接第二の親水性高分子層が形成されている。ここで「直接」とは、第一の親水性高分子層と第二の親水性高分子層との間に生理活性物質などを有していないことを指す。本発明において、第二の親水性高分子層は、酸素などが透過し、自己組織化膜が酸化され、剥がれなどが生じることを抑止する。本発明における「第一の親水性高分子層の上に被覆されている第二の親水性高分子層」は、自己組織化膜の酸化、剥離を抑制する目的で使用することができる。また、先述の通り、第一の親水性高分子層のみで乾燥時に20nm以上100nm以下の膜厚とすることでも、上記効果を得ることができる。
本発明において第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子は、水溶液で基板上の第一の親水性高分子層上に添加することが好ましい。添加方法としては、公知の方法を用いることが可能であるが、具体的には、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、スライドビードコート法、スリットアンドスピン方式、スリットコート方式、ダイコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、フローコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート方式、転写印刷法、等を用いることが可能である。膜厚制御された塗布膜を簡便に作成可能であることから、本発明において基板上に薄膜を形成させる方法としては、スプレーコート法またはスピンコート法が好ましく、スピンコート法がさらに好ましい。
第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子の塗布液濃度は塗布性、生理活性物質を含む層への浸透の問題がない範囲で特に限定されないが、0.1重量%以上5重量%以下であることが好ましい。また、塗布液は、塗布性、pH調整の観点で界面活性剤、緩衝剤、有機溶剤、塩などを添加してもよい。
第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子としては、常温常圧で不揮発性のものが好ましく、平均分子量が350より大きく500万より小さいものが好ましく、さらに好ましくは1200以上200万以下であり、最も好ましくは1200以上7万以下である。第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子は糖類が好ましく、糖類は、単糖、多糖類でも良い。n糖類の場合nが4以上1200以下であることが好ましく、さらに好ましくはnが20以上600以下である。
基板上に固定した自己組織化膜の劣化を抑制する目的で、第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子は、デキストラン骨格、又はポリエチレンオキシド骨格を有することが好ましく、本発明の目的を達成する範囲において、どの置換基を使用してもよい。また、基板上に固定した自己組織化膜の劣化を抑制する目的で、解離性基を有しないノニオン性化合物であることが好ましい。また、前記第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子は水分子との親和性の高い化合物が好ましく、水とn-オクタノールとの分配係数LogP値が1以上であることが好ましい。LogP値は、JIS規格のZ7260−107(2000)「分配係数(1-オクタノール/水)の測定―振とう法」などに記載の方法で測定することができる。
具体的な第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子としては、ポリエチレングリコールなど多価アルコース類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、デンプン、セルロース、アルギン酸、デキストランなど多糖類、ポリエチレンオキシド、プルロニックなどポリエチレンキシ-ポリプロピレンオキシド縮合物などのポリエーテル類、トゥイーン20、トゥイーン40、トゥイーン60、トゥイーン80などの2種以上の残基から成る化合物、またはこれら化合物の誘導体および重合体などが挙げられる。特に、デキストラン、セルロース、トゥイーン20、トゥイーン40、トゥイーン60、トゥイーン80が好ましい。また、これらの第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子は、使用している第一の親水性高分子層を形成する親水性高分子の基本骨格と実質同一であることが好ましい。ここで、基本骨格とは、例えば、糖の環構造のことをいい、官能基や長さが異なっていても、環構造が同一であれば、実質同一であるという。
基板上の、第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子の含有量としては、平均分子量の比で、第一の親水性高分子層を形成する親水性高分子の平均分子量に対する前記第二の親水性高分子の平均分子量の割合が0.005以上0.2以下であることが好ましい。割合がこれよりも低い場合は第二の親水性高分子が結晶化しやすく、高い場合は第一の親水性高分子層への浸透が困難であり、この範囲内に設定することでこれらの問題を解消し、自己組織化膜の剥離抑制効果をより高く得ることができる。
第二の親水性高分子層の乾燥時(乾燥条件は本明細書中上記の通り)の膜厚は、好ましくは1〜100nmであり、より好ましくは2〜100nmであり、特に好ましくは5〜100nmである。本発明においては、第一の親水性高分子層及び前記第二の親水性高分子層の合計の乾燥時の膜厚は、20nm以上100nm以下であり、好ましくは20nm〜50nmである。
本発明において、生理活性物質の固定は、第一の親水性高分子層と第二の親水性高分子層を形成した後に行う。この時、第一の親水性高分子層と第二の親水性高分子層は化学的に結合しておらず、物理的な接触であるため、生理活性物質を含む溶液に接触(浸漬)すると、第二の親水性高分子層は基板からはがれ、第一の親水性高分子層のみが基板上に残る。ここで、第二の親水性高分子層は、生理活性物質を含む溶液に接触させずとも、純水などで基板を洗浄する、などの態様においても、基板上からはがすことが可能である。
生理活性物質は、第二の親水性高分子層の剥離後、第一の親水性高分子層上に固定される。
<生理活性物質固定工程>
上記の方法により基板に設置された、第一の親水性高分子層を形成しているカルボキシル基を含有する高分子は、公知の方法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)単独、又は、EDCとN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化され、アミノ基を有する生理活性物質を固定化することが可能となる。本発明のバイオセンサーには、上記のようにして生理活性物質を固定したものでもよいし、あるいは生理活性物質を固定しない状態のものでもよい。生理活性物質を固定しない状態のものを使用する場合は、使用の直前に、所望の生理活性物質を固定して用いることができる。
カルボン酸を活性化する手法としては、特願2004−238396号(特開2006−58071号公報)「0011」〜「0022」に記載の方法(即ち、基板の表面に存在するカルボキシル基を特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体のいずれかの化合物を用いて活性化することによりカルボン酸アミド基を形成する方法)、並びに特願2004−275012号(特開2006−90781号公報)「0011」〜「0019」に記載の方法(即ち、基板の表面に存在するカルボキシル基を、カルボジイミド誘導体又はその塩で活性化し、水酸基を有する含窒素ヘテロ芳香族化合物、電子吸引性基を有するフェノール誘導体又はチオール基を有する芳香族化合物のいずれかの化合物でエステルとした後に、アミンと反応させることによりカルボン酸アミド基を形成する方法)を好ましく用いることもできる。
なお、上記した特願2004−238396号(特開2006−58071号公報)における特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体とは、下記一般式1で表されるウロニウム塩、下記一般式2で表されるホスホニウム塩、又は下記一般式3で表されるトリアジン誘導体を示す。
(一般式1において、R1とR2はそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基を示すか、又は互いに一緒になって炭素数2から6のアルキレン基を形成してN原子と共に環を形成し、R3は炭素数6から20の芳香環基又は少なくとも1以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基を示し、X-はアニオンを示す。一般式2において、R4とR5はそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基を示すか、又は互いに一緒になって炭素数2から6のアルキレン基を形成してN原子と共に環を形成し、R6は炭素数6から20の芳香環基又は少なくとも1以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基を示し、X-はアニオンを示す。一般式3において、R7はオニウム基を示し、R8及びR9はそれぞれ独立に電子供与基を示す。)
本発明の基板に固定できる生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111、157 などに対する抗体等を使用することができる。
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
本発明において基板に固定する生理活性物質として、タグ分子(特定のリガンドと特異的な親和力を形成する分子)と、Kd(解離定数)が10-12M以下の結合を形成するリガンドであることが好ましく、具体的にはプロテインA、プロテインG、アビジン類、カルモデュリン、抗体が好ましい。タグ分子と、Kdが10-12M以下の結合を形成するリガンドを結合基として、タグ分子で修飾した特定の生理活性物質を活性の低下を抑えて基板上に固定することが可能となる。タグ分子/リガンドの組み合わせとしては、ビオチン/ビオチン結合蛋白質、ジゴキシゲニン/ジゴキシゲニン抗体、さらにはSCIENCE,280,708-711(1998)に記載のD-Ala-D-Ala誘導体/バンコマイシン3量体誘導体などを挙げることができる。ビオチン結合蛋白質の具体例としては、アビジン類(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン又はそれらの改変体など)を挙げることができ、基板上の安定性、低いKd値の点で特に好ましい。
これらの生理活性物質を含む溶液は水溶液であることが好ましく、濃度は0.001〜10mg/mlが好ましく、0.002〜5mg/mlがより好ましく、0.005〜1mg/mlが特に好ましい。また場合によって界面活性剤やpH調整剤などの添加剤を使用してもよい。
上記のようにして生理活性物質を固定化した基板は、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
本発明では、基板に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の基板は、例えば、透明基材上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(本出願人による特願2000−398309号参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
本発明のバイオセンサーを表面プラズモン共鳴分析に使用する場合、上記したような各種の表面プラズモン測定装置の一部として適用することができる。
また、本発明により提供される基板は、例えば基板表面に導波路構造を保持した、屈折率変化を導波路を用いて検出するバイオセンサーにも用いることができる。屈折率変化を導波路を用いて検出する測定技術は、導波路に隣接する媒体の有効屈折率変化を光学変化で検出する技術である。この方式のバイオセンサーの構成については、例えば米国特許第 6,829,073号のcolumn6の31行目からcolumn7の47行目および第9図A,Bに記載されている。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)基板の作成
6-Amino-1-octanethiol, hydrochloride(同仁化学社製)の1mM水溶液を作成した。この溶液をA液と呼ぶ。
次に、ゼオネックス(日本ゼオン社製)を射出成型して得られたプラスチックプリズムの上面に以下の方法で金薄膜を製膜した。
スパッタ装置の基板ホルダにプリズムを取り付け、真空(ベースプレッシャー1×10−3-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、基板ホルダにRFパワー(0.5kW)を約9分間印加してプリズム表面をプラズマ処理(基板エする。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのCrターゲットにDCパワー(0.2kW)を約30秒間印加して2nmのCr薄膜を成膜する。次に。Arガスを止めて再び真空に引き、Arガスを再び導入し、(0.5Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、8inchのAuターゲットにDCパワー(1kW)を約50秒間印加して50nm程度のAu薄膜を成膜した。
上記で得られたAu薄膜を成膜したプラスチックプリズムを、A液に40℃1時間浸漬し、超純水で5回洗浄した。
(2)CMD(カルボキシメチルデキストラン)の活性エステル化
1重量%のCMD(名糖産業製:分子量100万)溶液20gを溶解した後、表1に記載の濃度のEDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride)を20ml加え、室温で1時間攪拌した。
(3)CMDの基板への結合反応
(1)で作成された基板の上に、(2)で作成されたCMDとEDCの混合溶液を1ml滴下し、1000 rpmで45 秒スピンコートし、室温で15分間静置させて反応させることで、アミノ基を有する基板上にカルボキシメチルデキストラン薄膜を固定させた。1 N NaOH水溶液に30分浸漬し、超純水で5回洗浄することで、CMD膜を成膜したセンサースティック(サンプル1から5)を得た。各CMD膜の厚さはエリプソメーターで測定した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で作成したサンプル2、4及び5のCMD膜に対して2重量%のデキストラン(名糖産業製:平均分子量10万)の水溶液を0.1mlキャストし、500rpmで45秒間スピンコートし、デキストランをオーバーコートしたセンサースティック(サンプル2、4及び5)を得た。デキストラン膜の厚さは、同様にエリプソメーター測定による塗布前後の差分で算出した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例3は、実施例1及び2で得られたセンサー試料に対する保存性に関するものである。実施例1及び2で作成した試料(サンプル1から5)をアルミ袋に入れ、窒素を充填した後密閉し、50℃で2週間経時させた。これを1N NaOH水溶液に15分浸漬し、超純水で5回洗浄したものをエリプソメーターで測定し、残存しているCMD膜厚を測定した。
各試料おけるCMDの残存量、および残存率を表1に示す。CMD固定量が多いほど生理活性物質を多く固定できるため好ましいが、総膜厚が20nm以上である本発明のセンサースティックは、ポリマー残存率が高く、強制的に経時させても生理活性物質を多く固定できることが分かる。
CMD:カルボキシメチルデキストラン
Dex:デキストラン
経時:50℃2週間
センサーユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
符号の説明
10 センサーユニット
20 全反射プリズム(光学ブロック)
21 プリズム本体
21a 上面
22 把持部
22a 溝
23 突出部
25 金属膜(薄膜層)
26 高分子膜
27 系合爪
28 係合部
28a 系合面
29a 基準平面
30 流路部材
31 第1流路
32 第2流路
33 本体部
34 取付部
35 系合孔
36 開口
SS1 センサー面
SS2 センサー面

Claims (6)

  1. 金属基板の表面上に被覆した自己組織化膜の上に、第一の親水性高分子層が固定されているバイオセンサーにおいて、前記第一の親水性高分子層の上に第二の親水性高分子層が被覆されており、前記第一の親水性高分子層及び前記第二の親水性高分子層の合計の乾燥時の膜厚が20nm以上100nm以下であり、第一の親水性高分子層を形成する親水性高分子がカルボキシル基含有多糖類であり、第二の親水性高分子層を形成する親水性高分子が、解離性基を有しないノニオン性化合物であることを特徴とするバイオセンサー。
  2. 自己組織化膜が、メルカプト基を有する化合物により形成されたものである、請求項に記載のバイオセンサー。
  3. 自己組織化膜が、下記一般式A−1で表される化合物により形成されたものである、請求項1又は2に記載のバイオセンサー。
    (式中、nは3から20の整数を示し、Xは親水性高分子を結合するための官能基を示す。)
  4. 自己組織化膜が、炭素数4以上10以下の直鎖アルキル基を有する化合物の水溶液を金属基板の表面上に被覆することによって形成されたものである、請求項1からの何れかに記載のバイオセンサー。
  5. 非電気化学的検出に使用される請求項1からの何れかに記載のバイオセンサー。
  6. 表面プラズモン共鳴分析に使用される、請求項1から請求項の何れかに記載のバイオセンサー。
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