(実施の形態1)
図1から図5を参照して、本発明に基づく実施の形態1における接続導体およびインバータ装置について説明する。本実施の形態における接続導体は、インバータ装置に配置されている。
本実施の形態におけるインバータ装置は、ハイブリッド自動車に搭載されるインバータ装置である。ハイブリッド自動車は、エンジンに加えて、モータを動力とする自動車である。ハイブリッド自動車は、エンジンを駆動することにより動力を得るとともに、二次電池などを含む直流電源からの電力を交流電力に変換してモータを駆動することにより動力を得る自動車である。
図1は、本実施の形態におけるインバータ装置の電気回路図である。インバータ装置18は、インバータ本体20と、コンデンサ収容部21とを備える。インバータ装置18は、制御装置30と、電源ラインPLと、接地ラインSLと、出力ラインUL,VL,WLとを備える。インバータ本体20は、電源ラインPLおよび接地ラインSLを介してバッテリBに接続されている。インバータ本体20は、出力ラインUL,VL,WLを介して電気負荷であるモータジェネレータMGに接続されている。
インバータ本体20は、スイッチングモジュールを含む。スイッチングモジュールは、スイッチング素子としてのnpn型のトランジスタQ1〜Q6を有する。それぞれのnpn型トランジスタQ1〜Q6は、たとえばIGBTからなる。スイッチングモジュールは、接続点52aにて電源ラインPLに接続されている。スイッチングモジュールは、接続点52bにて接地ラインSLに接続されている。
スイッチングモジュールは、U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26を含む。U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26は、電源ラインPLと接地ラインSLとの間にバッテリBと並列に接続されている。
U相アーム22は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ1,Q2を含み、V相アーム24は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ3,Q4を含み、W相アーム26は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ5,Q6を含む。また、npn型トランジスタQ1〜Q6のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すためのダイオードD1〜D6がそれぞれ接続されている。
各相のアームにおけるnpn型トランジスタの接続点は、出力ラインUL,VL,WLを介してモータジェネレータMGのU,V,W各相コイルの反中性点側にそれぞれ接続されている。出力ラインUL,VL,WLは、それぞれ3相交流のU相、V相およびW相の電気を出力する。
インバータ装置18によって駆動されるモータジェネレータMGは、たとえば3相交流同期電動機である。モータジェネレータMGは、インバータ本体20から出力ラインUL,VL,WLを介して受ける交流電力によって駆動力を発生する。回生制動時においては、モータジェネレータMGは、交流電力を発電して、発電した交流電力を出力ラインUL,VL,WLを介してインバータ本体20に出力する。
バッテリBは、直流電源である。バッテリBは、たとえば、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池を含む。バッテリBは、発生した直流電力を電源ラインPLを介してインバータ本体20へ供給する。または、バッテリBは、回生制動時において、電源ラインPLを介してインバータ本体20からの直流電圧によって充電される。
本実施の形態におけるコンデンサC1は、平滑コンデンサである。平滑コンデンサは、電圧波形の無用な振動成分を除去して、波形を滑らかにするためのコンデンサである。平滑コンデンサには、大容量の電解コンデンサ等が用いられる。本実施の形態におけるコンデンサC1は、コンデンサ収容部21に配置されている。
コンデンサC1は、電源ラインPLと接地ラインSLとの間に接続されている。コンデンサC1は、電圧変動に起因するバッテリBおよびインバータ本体20への影響を低減する。コンデンサC1は、スイッチング素子を含むスイッチングモジュールの回路に並列に接続されている。コンデンサC1は、接続点51aで電源ラインPLに接続されている。コンデンサC1は、接続点51bで接地ラインSLに接続されている。
制御装置30は、インバータ本体20の入力電圧、モータジェネレータMGのモータ電流およびトルク指令値などの信号に基づいて、モータジェネレータMGを駆動するための制御信号を生成し、その制御信号をインバータ本体20へ出力する。なお、インバータ本体20の入力電圧およびモータジェネレータMGのモータ電流は、図示されないセンサーによって検出される。
このように、インバータ装置18は、バッテリBから電源ラインPLおよび接地ラインSLを介して直流電力を受け、直流電力をスイッチングモジュールにて交流電力に変換し、出力ラインUL,VL,WLを通じて交流電力をモータジェネレータMGに出力する。また、インバータ装置18は、モータジェネレータMGによって発電された交流電力を出力ラインUL,VL,WLを通じて受けて、交流電力を直流電力に変換して、電源ラインPLおよび接地ラインSLを介してバッテリBを充電する。
図2に、本実施の形態におけるインバータ装置の概略分解斜視図を示す。本実施の形態におけるインバータ装置は、内部に平滑コンデンサが配置されたコンデンサ収容部21を備える。本実施の形態におけるコンデンサ収容部21は、直方体状に形成されている。
インバータ装置18は、内部にスイッチングモジュールが配置されたインバータ本体20を備える。本実施の形態におけるインバータ本体20は、直方体状に形成されている。インバータ本体20は、コンデンサ収容部21との電気的な接続を行なうための端子部11,12を有する。端子部11,12は、スイッチングモジュールに電気的に接続されている。端子部11は、正極側の端子である。端子部12は、負極側の端子である。端子部11,12は、バスバーに形成されたそれぞれの接続部1c,2cに対応するようにインバータ本体20の側面から突出している。
本実施の形態におけるインバータ装置18は、コンデンサ収容部21と、インバータ本体20とを電気的に接続するための接続導体を備える。接続導体は、一の極に接続されるための第1の導電体としての正極側バスバー1を備える。接続導体は、他の極に接続されるための第2の導電体としての負極側バスバー2を備える。
本実施の形態における接続導体は、正極側バスバー1および負極側バスバー2が銅で形成されている。それぞれの導電体は、銅に限られず任意の導電材料で形成することができる。たとえば、それぞれの導電体は、アルミニウムで形成されていても構わない。
正極側バスバー1は、接続部1cを有する。負極側バスバー2は、接続部2cを有する。矢印61に示すように、インバータ本体20に対して、コンデンサ収容部21を近接させる。それぞれのバスバーの接続部1c,2cを、たとえば、固定部材としてのボルトにより端子部11,12に固定する。接続部1cが端子部11に固定され、接続部2cが端子部12に固定されることにより、それぞれのバスバーと端子部とが電気的に接続される。
図3に、本実施の形態における接続導体の概略斜視図を示す。正極側バスバー1および負極側バスバー2は、それぞれが、板状に形成されている。本実施の形態における正極側バスバー1および負極側バスバー2は、それぞれが、板状の導電材を曲げることにより形成されている。
正極側バスバー1は、U字部1eを有する。U字部1eは、断面形状がU字形に形成されている。正極側バスバー1は、先端に接続部1cを有する。接続部1cは、インバータ本体20の端子部11に固定可能に形成されている。本実施の形態における接続部1cには、ねじを通すための開口部が形成されている。
本実施の形態における負極側バスバー2は、断面形状が、正極側バスバー1とほぼ同じ形状を有する。負極側バスバー2は、U字部2eを有する。U字部2eは、断面形状がU字形に形成されている。負極側バスバー2は、先端に接続部2cを有する。接続部2cは、インバータ本体20の端子部12に固定可能に形成されている。本実施の形態における接続部2cには、ねじを通すための開口部が形成されている。
図4に、本実施の形態におけるコンデンサ収容部を接続導体が配置されている側から見たときの概略平面図を示す。コンデンサ収容部21の内部には、第1コンデンサとしてのコンデンサC1が配置されている。
正極側バスバー1は、延在部1dを有する。延在部1dは、U字部1eからコンデンサC1の一方の端面に向かって延びるように形成されている。延在部1dは、コンデンサC1の一の極に電気的に接続されている。負極側バスバー2は、延在部2dを有する。延在部2dは、U字部2eからコンデンサC1の他方の端面に向かって延びるように形成されている。延在部2dは、コンデンサC1の他の極に電気的に接続されている。
図3および図4を参照して、それぞれの平板部1a,2aは、コンデンサ収容部21の表面から立設するように形成されている。それぞれの平板部1a,2aは、コンデンサ収容部21の表面とほぼ垂直な方向に延びるように配置されている。本実施の形態における正極側バスバー1と負極側バスバー2とは、互いに並んで配置されている。
正極側バスバー1は、2つの平板部1aと、平板部1a同士の間に介在する湾曲部1bとを有する。平板部1aは、それぞれが平板状に形成されている。平板部1aは、面積が最大となる面積最大面同士が、互いにほぼ平行になるように配置されている。2つの平板部1aは、延びる方向が互いにほぼ平行になるように配置されている。湾曲部1bは、断面形状が円弧状に形成されている。
負極側バスバー2は、2つの平板部2aと、平板部2a同士の間に介在する湾曲部2bとを有する。平板部2aは、それぞれが平板状に形成されている。平板部2aは、面積が最大となる面積最大面同士が、互いにほぼ平行になるように配置されている。2つの平板部2aは、延びる方向が互いにほぼ同じになるように配置されている。湾曲部2bは、断面形状が円弧状に形成されている。
本実施の形態における接続導体は、正極側バスバー1の平板部1aの表面と、負極側バスバー2の平板部2aの表面とが互いにほぼ平行になるように配置されている。平板部1aと平板部2aとが同じ方向に延びるように形成されている。
また、本実施の形態においては、U字部1eの向きとU字部2eの向きとが、互いに逆向きになるように配置されている。すなわち、U字部1e,2eの開口の向きが、互いに逆向きになるように配置されている。
本実施の形態におけるスイッチング素子としてのトランジスタは、短い時間の間に電気回路を接続したり切断したりする。本実施の形態におけるトランジスタは、たとえば、メガヘルツのオーダでスイッチング動作を行なう。
図15を参照して、本実施の形態におけるスイッチング素子は、断続的に電圧が変化している。すなわち、スイッチング素子が接続状態になることにより電圧が大きくなり、所定の時間は一定になる。この後に、スイッチング素子が回路を切断することにより、電圧が下降してほぼ0の値で所定の時間は一定になる。この後に、再びスイッチング素子が電気回路を接続することが繰返される。
スイッチング素子が動作して電気回路が接続されている状態から切断されている状態に移行するときには、サージ電圧が生じる。サージ電圧のうち定常的な電圧からの電圧増分ΔVは、配線のインダクタンスをL、電流をi、および時間をtとしたときに、以下の式で表わされる。
ΔV=L・(di/dt) …(1)
たとえば、メガヘルツのオーダの高周波で、スイッチング素子の接続および切断を行なう電気回路においては、式(1)におけるdtが小さい。このため、発現するサージ電圧が大きくなる。サージ電圧を小さくするためには、配線インダクタンスによるインダクタンスLを小さくすることが好ましい。
本実施の形態における接続導体は、正極側バスバー1と負極側バスバー2とを備え、それぞれのバスバーにはU字部が形成されている。このため、それぞれの極の導電体の表面積を大きくすることができる。接続導体におけるインダクタンスLを小さくすることができてサージ電圧を小さくすることができる。たとえば、図13に示す従来の技術における接続導体と比較して、それぞれの極の導電体の表面積を大きくすることができる。本実施の形態における接続導体は、従来の技術における接続導体と比較して表面積をほぼ2倍にすることができる。
特に、高周波のように駆動周波数が大きくなると、電流は、表皮効果により表面近傍を流れる。電流は、導電体の中心部には流れなくなる。スイッチング素子が高周波で駆動する電気回路においては、導電体を板状に形成することにより、表面積を大きくすることができ、このような高周波の電流を流したときのインダクタンスを小さくすることができる。また、それぞれの導電体がU字部を有することにより、表面積をさらに大きくすることができ、よりインダクタンスLを小さくすることができる。
本実施の形態における接続導体は、第1の導電体および第2の導電体が、共にU字部を含んでいるが、この形態に限られず、第1の導電体および第2の導電体のうち、一方がU字部を含んでいてもよい。
図5に、平行平板の作用を説明するための接続導体の概略斜視図を示す。図5に示す接続導体は、バスバー41およびバスバー42を有する。バスバー41,42は、それぞれが、平板状に形成されている。バスバー41,42は、それぞれの面積が最大となる面積最大面同士が、ほぼ平行になるように配置されている。すなわち、バスバー41,42は、互いに一の方向に延びるように配置されている。バスバー41は、正極および負極のうち、一の極のバスバーであり、バスバー42は他の極のバスバーである。
ここでは、バスバー41に矢印62に示す向きに電流が流れ、バスバー42に矢印64に示す向きに電流が流れているとする。バスバー41に流れる電流の向きとバスバー42に流れる電流の向きは互いに逆向きである。
たとえば、バスバー41に矢印62に示す向きに電流が流れることにより、周りに矢印63に示す向きの磁界が生じる。また、バスバー42に矢印64に示す向きに電流が流れることにより、周りに逆向きの磁界が生じる。バスバー41とバスバー42とによって生成されるそれぞれの磁界は、互いに打消されて、バスバー41,42を含む接続導体のインダクタンスは小さくなる。このように、平行平板の構成を有する接続導体は、インダクタンスの相互打消し効果を得ることができ、インダクタンスLを小さくすることができる。
図3および図4を参照して、本実施の形態における正極側バスバー1と負極側バスバー2とは、平板部1aと平板部2aとが、互いにほぼ平行になるように配置されている。このため、インダクタンスの相互打消し効果を得ることができ、接続導体におけるインダクタンスを小さくすることができる。この結果、サージ電圧を抑制することができる。
また、本実施の形態における接続導体は、それぞれのバスバーの平板部同士の距離を小さくすることができる。すなわち、容易に平板部同士を近接させることができ、インダクタンスの大きな相互打消しを得ることができる。
または、本実施の形態におけるインバータ装置においては、インダクタンスLを小さくすることができるため、たとえば、上記の式(1)における(di/dt)の値を大きくすることができる。すなわち、図15における電圧が変化している時間Δtを短くすることができる。時間Δtのおいては電力が損失している。この時間Δtを短くすることにより、電力損失を小さくすることができる。たとえば、インバータ装置が、自動車に搭載されている場合においては、燃費の向上を図ることができる。
本実施の形態における接続導体は、平滑コンデンサを含むコンデンサ収容部とインバータ本体とを接続する電気回路に用いられているが、この形態に限られず、電圧が変化する電気回路に用いることにより、サージ電圧を低減することができる。
たとえば、図1を参照して、本実施の形態においては、コンデンサC1から、接続点51a,51bまでの回路にU字部を含む接続導体を用いているが、この形態に限られず、矢印66に示すコンデンサC1から接続点52a,52bまでの回路において、本実施の形態における接続導体を用いることにより、同様の作用および効果を得ることができる。
たとえば、図2を参照して、インバータ本体20のそれぞれの端子部11,12から、内部のスイッチング素子を含むスイッチングモジュールまでの回路に、本実施の形態における接続導体を用いることにより、サージ電圧の低減を図ることができる。
本実施の形態における接続導体は、断続的に電圧が変化する電気回路の接続導体として用いられているが、この形態に限られず、連続的に電圧が変化する電気回路に本発明を適用することができる。また、本実施の形態においては、インバータ装置を例に取上げて説明したが、この形態に限られず、任意の電気機器に本発明を適用することができる。
(実施の形態2)
図6から図12を参照して、本発明に基づく実施の形態2における接続導体およびインバータ装置について説明する。本実施の形態におけるインバータ装置は、自動車に搭載されるインバータ装置である。
図6は、本実施の形態におけるインバータ装置の電気回路図である。本実施の形態におけるインバータ装置19は、平滑コンデンサとしてのコンデンサC1に加えて、スナバコンデンサとしてのコンデンサC2を備える。コンデンサC2は、サージ電圧を低減する機能を有する。コンデンサC2は、電源ラインPLと接地ラインSLとの間に接続されている。コンデンサC2は、スイッチングモジュールと並列に接続されている。コンデンサC2は、バッテリBと並列に接続されている。
図7に、本実施の形態におけるインバータ装置の概略分解斜視図を示す。インバータ装置19は、内部にスイッチングモジュールが配置されたインバータ本体20を備える。インバータ本体20には、スイッチングモジュールに電気的に接続されている端子部13,14を有する。端子部13,14は、後述するバスバーに形成されたそれぞれの接続部に対応するようにインバータ本体20の側面から突出している。
インバータ装置19は、コンデンサ収容部29を有する。本実施の形態におけるコンデンサ収容部29は、直方体状に形成されている。コンデンサ収容部29の内部には、第1コンデンサとしてのコンデンサC1と、第2コンデンサとしてのコンデンサC2が配置されている。このように、本実施の形態においては、第1コンデンサと第2コンデンサとが、一の筐体の内部に配置されている。
本実施の形態におけるインバータ装置19は、接続導体を備える。接続導体は、第1の導電体としての正極側バスバー3と、第2の導電体としての負極側バスバー4とを含む。正極側バスバー3および負極側バスバー4は、コンデンサ収容部29の表面に対して垂直な方向に立設するように配置されている。
図8に、本実施の形態における接続導体の概略斜視図を示す。正極側バスバー3はU字部3hを有する。U字部3hは、互いに対向する平板部3a,3bと、平板部3a,3b同士を接続する湾曲部3cとを有する。本実施の形態における湾曲部3cは、正極側バスバー3の先端部に形成されている。
負極側バスバー4は、U字部4hを有する。U字部4hは、互いに対向する平板部4a,4bと、平板部4a,4b同士を接続する湾曲部4cとを有する。本実施の形態における湾曲部4cは、負極側バスバー4の先端部に形成されている。
正極側バスバー3は、インバータ本体20の正極側の端子部13と接続するための接続部3dを有する。負極側バスバー4は、インバータ本体20の負極側の端子部14と接続するための接続部4dを有する。接続部3d,4dは、それぞれの平板部3a,4aの端部から、突出するように形成されている。それぞれの接続部3d,4dは、開口部を有し、接続固定を行なうための固定部材が挿入可能なように形成されている。
本実施の形態における正極側バスバー3は、湾曲部3cに形成された切欠き部3eを有する。切欠き部3eは、平板部3a,3bが延びる方向に沿って延びるように形成されている。切欠き部3eは、平板部3a,3bの電流が流れる方向に沿って延びるように形成されている。切欠き部3eが形成されることにより、平板部3aの一部分と平板部3bの一部分とが分離されている。
本実施の形態における負極側バスバー4は、湾曲部4cに形成された切欠き部4eを有する。切欠き部4eは、平板部4a,4bが延びる方向に沿って延びるように形成されている。切欠き部4eは、平板部4a,4bの電流が流れる方向に沿って延びるように形成されている。切欠き部4eが形成されることにより、平板部4aの一部分と平板部4bの一部分とが離れている。
図9に、本実施の形態におけるコンデンサ収容部をバスバーが配置されている側から見たときの概略平面図を示す。コンデンサ収容部29の内部には、コンデンサC1およびコンデンサC2が配置されている。スナバコンデンサは、たとえば、容量が数μFである。スナバコンデンサとしてのコンデンサC2は、平滑コンデンサとしてのコンデンサC1よりも容量が小さい。コンデンサC2は、コンデンサC1よりも小型である。
コンデンサC2は、平面視したときに、接続導体の一方の側に配置されている。コンデンサC1は、平面視したときに、接続導体の他方の側に配置されている。それぞれのコンデンサC1,C2は、接続導体に近接するように配置されている。
負極側バスバー4のU字部4hは、正極側バスバー3のU字部3hの内側に配置されている。U字部4hとU字部3hとは、表面同士が、ほぼ平行になるように配置されている。本実施の形態においては、U字部3hの湾曲部3cとU字部4hの湾曲部4cとが、同じ側に配置されている。
図10に、本実施の形態における接続導体およびコンデンサの概略平面図を示す。正極側バスバー3は、平板部3aから延びるように形成された延在部3fを有する。延在部3fは、コンデンサC1の一の極に電気的に接続されている。負極側バスバー4は、平板部4aから延びるように形成された延在部4fを有する。延在部4fは、コンデンサC1の他の極に電気的に接続されている。
図11に、平滑コンデンサが配置されている側から見たときの平滑コンデンサと接続導体との概略斜視図を示す。図10および図11を参照して、正極側バスバー3の延在部3fと負極側バスバー4の延在部4fとは、互いに交差するように配置されている。延在部3f,4fは、それぞれが板状に形成されている。
図12に、スナバコンデンサが配置されている側から見たときのコンデンサと接続導体との概略斜視図を示す。図10および図12を参照して、正極側バスバー3は、平板部3bから延びるように形成された延在部3gを有する。延在部3gは、板状に形成されている。延在部3gは、コンデンサC2の一の極に電気的に接続されている。負極側バスバー4は、平板部4bから延在するように形成された延在部4gを有する。延在部4gは、板状に形成されている。延在部4gは、コンデンサC2の他の極に電気的に接続されている。
図8から図10を参照して、本実施の形態における接続導体は、平板部3a、平板部4a、平板部4bおよび平板部3bが、この順に、並ぶように配置されている。それぞれの平板部3a,3b,4a,4bは、互いにほぼ平行に延びるように配置されている。それぞれの平板部3a,3b,4a,4bは、面積最大面が互いにほぼ平行になるように配置されている。
本実施の形態における接続導体においても、導電体の表面積を大きくすることができ、インダクタンスを小さくすることができる。この結果、サージ電圧を抑制することができる。
図9から図12を参照して、4つの平板部3a,3b,4a,4bは、電流が流れる向きに垂直な面で切断したときに、一の方向に沿って、コンデンサC1の一の極、コンデンサC1の他の極、コンデンサC2の他の極、およびコンデンサC2の一の極に、この順で接続されている。また、それぞれの平板部の一部を電気的に分離するように、切欠き部3e,4eが形成されている。
平板部3aと平板部4aとは、互いに同じ方向に延びるように形成され、コンデンサC1に接続されている。平板部3aと平板部4aとは平行平板の構成を有する。このため、平板部3a,4aにおいて、インダクタンスを互いに打消す効果を得ることができる。
また同様に、平板部3bと平板部4bとは、互いに同じ方向に延びるように形成され、コンデンサC2に接続されている。すなわち、平板部3bと平板部4bとは平行平板の構成を有する。このため、平板部3b,4bにおいて、インダクタンスを互いに打消す効果を得ることができる。
図6を参照して、本実施の形態においては、コンデンサC1,C2と電源ラインPLおよび接地ラインSLとを接続する部分に本実施の形態における接続導体が配置されている。すなわち、コンデンサC1,C2と接続点51aとの間の回路に本実施の形態における接続導体が配置されている。本実施の形態における接続導体が有用な回路の区間としては、この形態に限られず、たとえば、矢印66,67に示すコンデンサC1,C2とスイッチングモジュールとを接続する区間に、接続導体を用いることにより、同様の作用および効果を得ることができる。
本実施の形態においては、それぞれの導電体に、切欠き部が形成されているが、この形態に限られず、切欠き部は形成されていなくてもよい。また、本実施の形態においては、2個のコンデンサが配置されているが、この形態に限られず、任意の個数および任意の電気素子を接続するための接続導体に本発明を適用することができる。
本実施の形態においては、正極側の導電体のU字部の内側に負極側の導電体のU字部が配置されているが、この形態に限られず、負極側の導電体のU字部の内側に正極側の導電体のU字部が配置されていても構わない。また、U字部の湾曲部が互いに同じ向きになるように導電体が配置されているが、この形態に限られず、U字部の湾曲部が互いに逆向きになるように配置されていても構わない。
その他の構成、作用および効果については実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には、同一の符号を付している。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 正極側バスバー、1a 平板部、1b 湾曲部、1c 接続部、1d 延在部、1e U字部、2 負極側バスバー、2a 平板部、2b 湾曲部、2c 接続部、2d 延在部、2e U字部、3 正極側バスバー、3a,3b 平板部、3c 湾曲部、3d 接続部、3e 切欠き部、3f,3g 延在部、3h U字部、4 負極側バスバー、4a,4b 平板部、4c 湾曲部、4d 接続部、4e 切欠き部、4f,4g 延在部、4h U字部、5 正極側バスバー、5a 接続部、6 負極側バスバー、6a 接続部、11〜16 端子部、18,19 インバータ装置、20 インバータ本体、21,28,29 コンデンサ収容部、22 U相アーム、24 V相アーム、26 W相アーム、30 制御装置、41,42 バスバー、51a,51b,52a,52b 接続点、61〜64,66,67 矢印、C1,C2 コンデンサ、D1〜D6 ダイオード、MG モータジェネレータ、Q1〜Q6 npn型トランジスタ、B バッテリ、PL 電源ライン、SL 接地ライン、UL,VL,WL 出力ライン。