JP5009636B2 - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に具備される光走査装置、及び、その光走査装置を備えたデジタル複写機、レーザプリンタ、レーザプロッタ、レーザファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、デジタル複写機、レーザプリンタ、レーザプロッタ、レーザファクシミリ、あるいはこれらの複合機等として実用化されているが、これらの電子写真方式の画像形成装置においては、近年、カラー化、高速化が進み、感光体を複数(主流は4つ)有するタンデム方式のカラー画像形成装置が普及してきている。
しかし、タンデム方式の画像形成装置に具備される光走査装置においては、各感光体に対応して光源数が増えるため、部品点数の増加によるコストアップ、複数光源間の波長差に起因する色ずれ等が生じるという課題がある。
一般的に、光走査装置内で光源部のコストは、半導体レーザを変調させるための基盤などが含まれるために高価であり、装置全体の低コスト化、及び小型化を狙う場合において弊害となる。
また、光走査装置の故障原因として、光源として用いられる半導体レーザの劣化が挙げられ、光源数が増えると故障の確率が増えリサイクルに不利となる。
タンデム方式に対応する光走査装置において、光源の数を増やさない工夫がなされている例として、特許文献1に記載の光走査装置が提案されている。この従来技術では、ピラミダルミラー、または平板ミラーを用いて、共通の光源からの光ビームが異なる被走査面を走査するようにしている。しかし、この方法では光源数は低減できるが、偏向ミラーの面数は最大2面までとなり、高速化に対して課題が残る。
上記課題を解決するため、本発明は共通の光源からの光ビームが異なる被走査面を走査する手段として、位相をずらして2段に重ねた多面鏡(ポリゴンミラー)を有する偏向手段を用いる物である。なお、本発明に類似する技術としては、特許文献2に記載の従来技術が開示されている。しかし、この従来技術では走査幅の増大が目的となっており、異なる被走査面を走査するためのものではない。
さらに最近では、カラー画像形成装置の光走査装置において、特許文献3に記載の従来技術の如く、光偏向器の偏向反射面に副走査方向に角度を持って光ビームを入射(斜め入射)させる斜入射光学系が知られている。この斜入射光学系は、複数の光ビームがそれぞれ偏向反射面で偏向反射された後に、各々対応する被走査面(感光体)に、折返しミラーなどで分離され導かれる。この時、それぞれの光ビームの副走査方向の角度(光偏向器に斜め入射する角度)は、前記ミラーで各光束が分離可能な角度に設定されている。
しかし、斜め入射方式には「走査線曲がり」の発生、「波面収差劣化」によるビームスポット径の像高間偏差増大、という問題がある。この走査線曲がり発生量は、前記各光ビームの副走査方向の斜め入射角により異なり、各々の光ビームで描かれた潜像を各色のトナーにより重ね合わせ可視化した際に、色ずれとなって現れてしまう。また、斜め入射することにより、光束が走査レンズにねじれて入射することで、波面収差も増大し、特に周辺の像高で光学性能が著しく劣化し、ビームスポット径が太ってしまい、高画質化を妨げる要因となる。
斜め入射方式に固有の「大きな走査線曲がり」を補正する方法として、走査結像光学系に「副走査断面内におけるレンズ面の固有傾きを、走査線曲がりを補正するように主走査方向へ変化させたレンズ面を有するレンズ」を含める方法(特許文献4)や、走査結像光学系に「副走査断面内における反射面の固有傾きを、走査線曲がりを補正するように主走査方向へ変化させた反射面を有する補正反射面」を含める方法(特許文献5)等が提案されている。
また、特許文献6に記載の従来技術においては、斜め入射される光束を走査レンズの軸外を通し、走査レンズの子線の非球面量を主走査方向に沿って変化させる面を用いて走査線の位置を揃える方法が提案されている。この特許文献6に記載の従来技術では、1枚の走査レンズにて補正を行う例を挙げており、前記走査線曲がりの補正は可能であるが、以下に説明する波面収差増大によるビームスポット径の劣化については記述されていない。
斜め入射方式における今1つの問題は、光線スキューにより周辺像高(走査線の両端部近傍)で波面収差の大きな劣化が発生し易いことである。このような波面収差が生じると、周辺像高で光スポットのスポット径が大径化してしまう。つまり、ビームスポット径の像高間偏差が生じてしまう。この問題を解決できないと、近来強く要請されている「高画質化」を実現できない。上記特許文献6に記載の光走査装置では、斜め入射方式に特有の大きな走査線曲がりが良好に補正されているが、上記波面収差の補正は十分といえない。
斜め入射方式の問題点といえる上記の「走査線曲がりと波面収差の劣化」を良好に補正できる光走査装置として、走査結像光学系に複数の回転非対称レンズを含め、これら回転非対称レンズのレンズ面の子線頂点を結ぶ母線形状を副走査方向に湾曲させたものが提案されている(特許文献7)。
しかし、上記「子線頂点を結ぶ母線形状を副走査方向に湾曲させたレンズ面」を有するレンズは母線を湾曲させることで諸問題を解決しており、入射光束に対応した個別の走査レンズが必要となるため、タンデム型の走査光学系に適用する場合、走査レンズの枚数が増大してしまう。すなわち、同一のレンズに異なる被走査面に向かう複数の光束を入射させた場合、母線形状を湾曲させることにより一方の光束に対しては諸問題の解決がなされるが、他方の光束については走査線曲がりや波面収差を低減させることは難しい。
また、副走査方向に曲率を持つため、組み付け誤差、加工誤差、環境変動等の影響により、同レンズに入射する光束が副走査方向にシフトした場合、副走査方向のレンズの屈折力の影響を受け、走査線曲がりの形状が変化し、カラー画像における初期の(または設計時の)色ずれ抑制の効果は得られず、色ずれが発生してしまうという課題がある。
さらに波面収差の補正においても、曲率を持つ面においては入射光束のぶれにより光束のスキュー状態の変化が大きく、良好なビームスポット径を安定して得ることは難しい。
先に例を上げた斜め入射方式である特許文献3に記載の従来技術においても、特許文献7と同様の面を用い走査線曲がりの補正を実施している。しかし、前記説明の如く、良好なビームスポット径を安定して得ることは難しい。
特開2002−23085号公報 特開2001−83452号公報 特開2003−5114号公報 特開平11−14932号公報 特開平11−38348号公報 特開2004−70109号公報 特開平10−73778号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、光源数を減らし低コスト化を達成しつつ、高速な画像出力を可能とする光走査装置の実現を第1の目的とする。
また、本発明は、光源の誤動作を防ぎ良好な画像出力を実現可能な斜め入射方式の光走査装置における走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正することができる、新規な構成の光走査装置の実現を第2の目的とする。
さらに本発明は、故障率の減少、及びリサイクル性の向上、及び低消費電力などの環境を考慮した光走査装置の提供を第3の目的とする。
さらに本発明は、上記の第1から第3の目的を達成することができる光走査装置を備えた新規な構成の画像形成装置の実現を第4の目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような技術的手段を採っている。
本発明の第1の手段は、変調駆動される光源と、共通の回転軸に多面の反射鏡を複数段有する偏向手段と、共通の光源からの光ビームを分割して前記偏向手段の異なる段の反射鏡に分割された光ビームを入射させる光束分割手段と、複数の被走査面と、前記偏向手段により走査された光ビームを前記対応する被走査面に導く走査光学系を有し、前記分割された光ビームは異なる被走査面を走査する光走査装置において、前記異なる段の多面の反射鏡は互いに回転方向の角度がずれており、前記光束分割手段は、ハーフミラー面と全反射面とを備え、前記光束分割手段に入射した光ビームは前記ハーフミラー面に入射して透過光と反射光とに分割され、該透過光は前記光束分割手段から出射され、該反射光は前記全反射面により更に反射された後に前記光束分割手段から出射され、前記ハーフミラー面と前記全反射面との副走査方向に対する角度は異なり、前記光束分割手段により分割された、前記共通の光源から光ビームは、前記多面の反射鏡の法線に対し各々副走査方向に異なる符合の角度を持つことを特徴とする。
本発明の第2の手段は、第1の手段の光走査装置において、前記走査光学系を構成する少なくとも一枚の走査レンズの少なくとも1面は、主走査方向の周辺に向かい該走査レンズに入射する光束の前記多面の反射鏡の法線に対する副走査方向の角度を射出時に大きくする特殊面を有することを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第2の手段の光走査装置において、前記特殊面は、各々異なる被走査面に向かう全ての光ビームで共用されることを特徴とする。
本発明の第4の手段は、第1〜第3のいずれか1つの手段の光走査装置において、前記共通の光源から前記光束分割手段により光ビームの進路が偏向され分割される光ビームの、前記多面の反射鏡の法線に対する副走査方向の角度は、前記光束分割手段により光ビームの進路が偏向されない光ビームの前記多面の反射鏡の法線に対する副走査方向の角度より小さいことを特徴とする。
また、本発明の第の手段は、第1〜第のいずれか1つの手段の光走査装置において、前記光源を複数有し、各々の光源からの光ビームは、副走査方向に対称な角度で対応する共通の回転軸の多面の反射鏡に入射することを特徴とする。
本発明の第の手段は、第1〜第のいずれか1つの手段の光走査装置において、前記光源を複数有し、前記走査光学系は、前記複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズを有し、該複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズの少なくとも1面は、主走査方向に副走査方向のシフト偏芯量が異なる面であることを特徴とする。
また、本発明の第の手段は、第1〜第のいずれか1つの手段の光走査装置において、前記光源を複数有し、前記走査光学系は、前記複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズを有し、該複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズは、副走査方向にパワーを持たず、主走査方向に副走査方向のチルト偏芯量が異なる面を有することを特徴とする。
本発明の第の手段は、第1〜第のいずれか1つの手段の光走査装置において、前記光源として、複数の光ビームを射出するマルチビーム光源を用いたことを特徴とする。
また、本発明の第の手段は、第1〜第のいずれか1つの手段の光走査装置において、複数の光源に対応する異なる被走査面は、少なくとも4つの感光体で構成されることを特徴とする。
本発明の第10の手段は、電子写真プロセスを実行することによって画像を形成する画像形成装置において、前記電子写真プロセスの露光プロセスを実行する手段として、第1〜第のいずれか1つの手段の光走査装置を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、共通の光源からの光ビームを光束分割手段で2つの光ビームに分割し、多段の多面鏡を有する偏向手段で偏向して異なる被走査面を同時に走査するので、例えば2つの光源を用いて4つの被走査面を同時に走査することができ、光源数を減らしながらも、高速かつ良好な画像出力を可能にする光走査装置を実現することができる。従って、本発明によれば、光走査装置の部品点数の低減、低コスト化が実現でき、ユニット全体の故障率が減少し、リサイクル性が向上する。また、本発明では、走査光学系を構成する走査レンズの面形状を工夫しているので、斜め入射方式の光走査装置における走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正することができ、異なる被走査面(感光体面)を走査するビーム間の品質の差異を低減することができる。
さらに、本発明によれば、光源としてマルチビーム光源を用いることにより、同一の被走査面に1度の走査で複数の走査線を形成することが可能であり、画像形成装置の高速、高密度化を実現することができる。また、本発明によれば、適切な濃度で、濃度むらの少ない画像出力が可能な画像形成装置を実現することができる。また、設定光量の調整により、色再現性の優れた画像出力が可能な画像形成装置を実現することができる。
以下、本発明の具体的な構成、動作及び作用効果を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
[実施例1(第1の手段の実施例)]
図1は本発明の一実施例を示す光走査装置の概略要部構成図である。同図において符号1−1,1−2は光源としての半導体レーザ(LD)、2はLD(半導体レーザ)ベース、3−1,3−2はカップリングレンズ、4は光束分割手段としての光束分割素子(図示の例ではハーフミラープリズム)、5−1,5−2はシリンドリカルレンズ、6は防音ガラス、7は偏向手段としての多段の多面鏡(ポリゴンミラー)7a,7bを有する光偏向器、8は第1走査レンズ、9はミラー、10は第2走査レンズ、11a,11bは被走査面としての感光体、12は開口絞り(アパーチャ)をそれぞれ示す。半導体レーザ1−1,1−2から出射した2本の発散光束はカップリングレンズ3−1,3−2により、弱い収束光束、または平行光束、または弱い発散光束に変換される。カップリングレンズ3−1,3−2を出た光ビームは被走査面上でのビーム径を安定させるための開口絞り12を通過し、ハーフミラープリズム4に入射する。ハーフミラープリズム4に入射した共通の光源(半導体レーザ1−1または1−2)からの光ビームは上下段に2分割されて出射されるので、ハーフミラープリズム4を出射する光ビームは全部で4本の光ビームとなる。
なお、図1では、光偏向器7以降の光学系は2系統のみ図示し、被走査面としての感光体11a,11bも2つのみ図示してあるが、光走査装置を後述のタンデム型の画像形成装置に搭載する場合には、図5(b)あるいは図9(b)に示すように、被走査面として4つの感光体11Y,11M,11C,11Kが配置され、走査光学系も4系統となる。なお、図5(b)は片側走査方式の例、図9は対向走査方式の例である。
図2(a)は本発明に係る光束分割手段の一実施例である光束分割素子(ハーフミラープリズム)4の副走査断面図である。図2(a)に示すハーフミラープリズム4は光束分割手段として働き、断面が3角形の部分41と、平行4辺形の部分42とからなっている。部分41と42の接着面4aがハーフミラーとなっており、透過光と反射光を1:1の割合で分離する。また、平行4辺形の部分42の接着面4aに対向する面4bは全反射面であり、光ビームの方向を変換する機能を有している。ここでは、光束分岐手段としてハーフミラープリズム4を用いているが、単体のハーフミラーと通常のミラーを用いて同様の系を構成しても良い。また、ハーフミラーの分離の割合は1:1で有る必要はなく、他の光学系の条件に合わせて設定してももちろん構わない。また、平行4辺形の部分42の形状は、平行4辺形以外の四角形としてもよく、例えば図2(b)に示すような形状(ハーフミラー面4aと全反射面4bの傾斜角度が異なる形状)として、分割される光束の光束分割手段からの射出時の副走査方向の角度を各々任意に異ならせても良い。なお、この場合の効果は後で説明する。
図1において、ハーフミラープリズム4を出射した光ビームは上下段それぞれに配備されるシリンドリカルレンズ5−1,5−2により、偏向反射面の近傍にて主走査方向に長い線像に変換される。ここで、偏向手段である光偏向器7は、上下段にそれぞれ単体のポリゴンミラー7a,7bが同心で配置され、互いに回転方向の角度を所定の角度θずらしてある。両ポリゴンミラー7a,7bは同形で、原理的には任意の面数の多角形からなる(図示の例では四角形であるが、四角形に限らない)。一方の多角形の1辺の中心角をほぼ2等分する角度に他方の多角形の頂点が対応するように重ねてある。それぞれの多角形の頂点から時計回りに隣接する相手側の多角形の頂点を見たとき、両頂点間のそれぞれに対する中心角をφ、φ' (ただし、0<φ≦φ' )とすれば、両者が任意の頂点に対して対称配置であれば、φ=φ' となる。実用的には4面のポリゴンミラーが最も使いやすいので、ここでは4面のポリゴンミラーをφ=φ' =45degとしている。このφおよびφ' をずれ角と称する。なお、上下段のポリゴンミラー7a、7bは一体的に形成されても良いし、別体として、組み付けても良い。
図3は2段のポリゴンミラー7a,7bによる光走査を説明するための図である。同図において符号14は遮光部材を示している。同図(a)に示すように、共通の光源から入射され、上段のポリゴンミラー7aで反射した光ビームが被走査面である感光体11aを走査しているときは、下段のポリゴンミラー7bで反射した光ビームは被走査面上に到達しないようにし、望ましくは遮光部材14により遮光するようにする。また、同図(b)に示すように、共通の光源から入射され、下段のポリゴンミラー7bで反射した光ビームが上段とは異なる感光体11bを走査しているときは、上段のポリゴンミラー7aで反射した光ビームは被走査面に到達しないようにし、望ましくは遮光部材14により遮光するようにする。さらに、変調駆動のほうも上段と下段のポリゴンミラー7a,7bでタイミングをずらし、上段のポリゴンミラー7aに対応する感光体11aを走査するときは、上段のポリゴンミラー7aに対応する色(例えばブラック)の画像情報に基づき、光源の変調駆動を行い、下段のポリゴンミラー7bに対応する感光体11bを走査するときは、下段のポリゴンミラー7bに対応する色(例えばマゼンタ)の画像情報に基づき、光源の変調駆動を行う。
図4は複数色用の露光のタイミングチャートの一例を示す図である。同図において縦軸は光量、横軸は時間をそれぞれ表す。共通の光源によりブラックとマゼンタの露光を行い、なおかつ、有効走査領域において、それぞれ全点灯する場合のタイムチャートを同図に示す。実線がブラックに相当する部分、点線がマゼンタに相当する部分を示す。ブラック、マゼンタにおける書き出しのタイミングは、感光体の有効走査幅外に配備される同期検知用の受光手段で走査ビームを検知することにより決定される。なお、同期検知用の受光手段は図示されていないが、通常はフォトダイオード等が用いられる。
通常、画像形成装置に用いる半導体レーザは光量自動制御(Auto Power Control:以下APCと称す)を行い、光出力の安定化を図っている。APCとは半導体レーザの光出力を受光素子によりモニタし、半導体レーザの光出力に比例する受光電流の検出信号により、半導体レーザの順方向電流を所望の値に制御する方式のことである。
半導体レーザが端面発光半導体レーザの場合、上記受光素子はカップリングレンズに向かって出射する方向と逆方向に出射した光をモニタするフォトダイオードを用いることが多いが、APCを行なう際に、余計なゴースト光が入射すると、上記受光素子で検出する光量が増加してしまう。例えば、上段のポリゴンミラー7aへの光ビームの入射角が0のとき、そのポリゴンミラー7aの反射面が光源方向に正対しているので、この位置でAPCを行なうと、上段のポリゴンミラー7aでの反射ビームが光源に戻り、受光素子で検出する光量が増加してしまう。そのため、書込みを実施している下段のポリゴンミラー7bからのレーザ出力が狙いより少ない発光出力となってしまい、画像濃度が薄くなってしまったり、濃度むらが発生する。同様に、下段のポリゴンミラー7bへの光ビーム入射角が0になったとき、上段のポリゴンミラー7aからのレーザ出力に関して同様の問題を生ずる。
そこで本発明においては、共通の光源(半導体レーザ1−1または1−2)から分割された光ビームは、前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対し各々副走査方向に角度を持つ構成とすることで前記問題を解消している。前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bに入射する全ての光ビームが前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対し各々副走査方向に角度を持つ構成となっていることで、例えば、上段の反射鏡(ポリゴンミラー)7aへの光ビームの入射角が0のときにおいても、上段の反射鏡(ポリゴンミラー)7aでの反射ビームが光源に戻る事はなく副走査方向に距離をもって遠ざかる。このため、受光素子で検出する光量が増加することは無く、書込みを実施している下段の反射鏡(ポリゴンミラー)7bからのレーザ出力が狙いより少ない発光出力となってしまい、画像濃度が薄くなってしまったり、濃度むらが発生するという問題は生じない。
また、下段の反射鏡(ポリゴンミラー)7bへの光ビーム入射角が0になったときも、上段の反射鏡(ポリゴンミラー)7aからのレーザ出力に関して同様に、反射ビームが光源に戻る事はなく、受光素子で検出する光量も安定し、画像濃度が薄くなってしまったり、濃度むらが発生するという問題は生じない。
[実施例2(第2、第3の手段の実施例)]
前記斜め入射方式(多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対し各々副走査方向に角度を持ち入射)を用いたときの光学性能面での課題について説明する。
従来の水平入射に対し副走査方向に斜め入射させる本方式では、「走査線曲がり」が大きいという問題がある。この走査線曲がり発生量は、前記各光ビームの副走査方向の斜め入射角により異なり、各々の光ビームで描かれた潜像を各色のトナーにより重ね合わせて可視化した際に、色ずれとなって現れてしまう。また、斜め入射することにより、光束が走査レンズにねじれて入射することで、波面収差も増大し、特に周辺の像高で光学性能が著しく劣化し、ビームスポット径が太ってしまい、高画質化を妨げる要因となる。
ここで、図5を参照して斜入射光学系における走査線曲がりの発生について説明を加える。例えば、走査光学系を構成する走査レンズ、特に副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズ(図5では第2走査レンズL2)の入射面の主走査方向の形状が、光偏向器(ポリゴンミラー)7の偏向反射面の光ビームの反射点を中心とする円弧形状でない限り、主走査方向のレンズ高さにより光偏向器7の偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離は異なる。通常、走査レンズを前記形状にすることは、光学性能を維持する上で困難である。つまり、図5に示すように、通常の光ビームは、光偏向器7により偏向走査され、各像高にて主走査断面(図5(a))において、レンズ面に対し垂直入射することはなく、主走査方向にある入射角を持って入射する。また、図5(b)に示すように、副走査方向に角度を持っている(斜め入射されているため)ことにより、光偏向器7により偏向反射された光ビームは、像高により光偏向器7の偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離は異なり、走査レンズへの副走査方向の入射高さが周辺に行くほど中心より高い位置、もしくは低い位置(光ビームの副走査方向にもつ角度の方向により異なる)に入射される。この結果、副走査方向に屈折力を持つ面を通過する際に、副走査方向に受ける屈折力が異なり走査線曲がりが発生してしまう。通常の水平入射であれば、偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離が異なっても、光ビームは走査レンズに対し水平に進行するため、走査レンズ上での副走査方向の入射位置が異なることはなく、走査線曲がりの発生が生じない。なお、図5では一般的な走査光学系を用いて説明しており、本発明に係る光束分割素子は図示していない。
次に斜入射光学系における、波面収差劣化について説明する。先の説明の如く、走査光学系を構成する走査レンズ入射面の主走査方向の形状が、偏向反射面の光ビームの反射点を中心とする円弧形状でない限り、像高により光偏向器7の偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離は異なる。通常、走査レンズを前記形状にすることは、光学性能を維持する上で困難である。つまり、通常の光ビームは、光偏向器7により偏向走査され、各像高にて主走査断面において、レンズ面に対し垂直入射することはなく、主走査方向にある入射角を持って入射する。
光偏向器7により偏向反射された光ビームの光束は、主走査方向にある幅を持っており、光束内で主走査方向の両端の光ビームは、光偏向器7の偏向反射面から走査レンズ入射面までの距離が異なり、副走査方向に角度を持っている(斜め入射されているため)ことにより、走査レンズにねじれた状態で入射することになる。この結果、波面収差が著しく劣化し、ビームスポット径が太る。図5(a)に示すように、主走査方向の入射角は、周辺像高に行くほどきつくなり、光束の主走査方向両端の光ビームの副走査方向の走査レンズへの入射位置は大きくずれるため、光束のねじれは大きくなり、周辺に行くほど波面収差の劣化によるビームスポット径の太りは大きくなる。
そこで本発明においては、波面収差補正を主走査方向の周辺に向かい走査レンズに入射する光束の副走査方向の角度を射出時に大きくする特殊面にて行っている。
特殊面の一例として、共用レンズ(図5の第1走査レンズL1)の1面を、主走査方向に応じて副走査方向の曲率が変化する面で、且つ、同面の主走査方向の周辺に向かい負の屈折力が強くなる面で構成される面について説明する。
先の説明の通り、走査レンズへの主走査方向の入射角は、周辺像高に行くほどきつくなり、光束のねじれは大きくなり、周辺像高に行くほど波面収差の劣化によるビームスポット径の太りは大きくなる。波面収差の劣化は、特に副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズへの入射時に、光束がねじれることにより大きく発生する。波面収差の補正のためには、前記副走査方向に強い屈折力を持つ走査レンズへの入射高さを補正し、被走査面上で一点に集光するようにする必要がある。このため、波面収差の補正を行うために用いる特殊面は、副走査方向に最も強い屈折力を持つ走査レンズ(図5の第2走査レンズL2)より、光偏向器側のレンズ(図5の第1走査レンズL1)に設けることが望ましい。第1走査レンズL1で周辺の光ビームを跳ね上げ、第2走査レンズL2の高い位置に入射させることで、波面収差の劣化(光束のねじれ)を補正可能となり、被走査面11で各光ビーム(同一光束内)を一点に集光することができる。
上記の第1走査レンズL1の特殊面は以下の形状式で表されるが、この特殊面は、主走査方向に応じて副走査方向の曲率が変化する面で、且つ、同面の主走査方向の周辺に向かい負の屈折力が強くなる面である。ただし、この発明の内容は以下の形状式に限定されるものではなく、同一の面形状を別の形状式を用いて特定することも可能である。
第一走査レンズL1の特殊面の面形状は、光軸を含み、主走査方向に平行な平断面である「主走査断面」内の近軸曲率半径をRY、光軸から主走査方向の距離をY、高次係数をA,B,C,D・・・とし、主走査断面に直交する「副走査断面」内の近軸曲率半径をRZとすると、以下の形状式によって表せる。
X(Y,Z)=Y・Cm/{1+√[1-(1+K)・(Y・Cm)]}
+A・Y+B・Y+C・Y+D・Y10+E・Y12+・・・
+(Cs(Y)・Z)/{1+√[1-(Cs(Y)・Z)]}
但し、
Cm=1/RY
Cs(Y)=1/RZ+a・Y+b・Y+c・Y+d・Y+e・Y+f・Y
+g・Y+h・Y+i・Y+j・Y10・・・
とする。
前述のように、本特殊面は第1走査レンズL1に採用される。この特殊面は、主走査方向に応じて副走査方向の曲率が変化する面で、且つ、同面の主走査方向の周辺に向かい負の屈折力が強くなる面により、透過される光ビームは主走査方向周辺に向かい光ビームを副走査方向に跳ね上げることが可能となる。その結果、先に説明した如く副走査方向に強い屈折力を持つ第2走査レンズL2への副走査方向の入射高さを調整可能となり、良好に波面収差補正が実施可能となる。
前記説明の如く、光ビームの第2走査レンズL2への入射位置を変化させ波面収差補正を実施する場合、特殊面の光軸(基準軸)上を光ビームが通過する構成では、結像位置が変化するのみで、第2走査レンズL2への副走査方向の入射高さの調整を実施することは困難である。そこで、特殊面の主走査方向への副走査方向の曲率変化を用い、更に光ビームを基準軸外を透過させることにより、光ビームの進路を偏向可能となる。
次に、第1走査レンズL1に用いる共用レンズについて説明する。第1走査レンズL1に共用レンズを使用するメリットは、複数の被走査面(例えば図5(b)の感光体11Y,11M,11C,11K)に向かう光ビームごとに走査レンズを設ける場合に対し、走査レンズの枚数を減らすことができ、低コストな光走査装置が提供できるからである。光偏向器7に近い第1走査レンズL1を、異なる被走査面に向かう光ビームで共用し、斜め入射角をできるだけ小さく設定することで、波面収差の発生、走査線曲がりの発生を抑制する事が可能となる。波面収差は前記の特殊面で補正可能であるが、その補正量が小さいほうが良いことは言うまでも無い。斜め入射角を小さく設定するためには対向走査方式として、共用する光ビームの数を減らし、斜め入射角を小さくすることが有利である。しかし、全ての光ビームを共用することで、走査レンズの枚数は最も少なくすることができ、低コストに有利になる。これは走査光学系に求められるスペックによりどちらも選択可能である。
前記第1走査レンズL1を共有しない場合、異なる光源装置からの光ビーム毎、つまり異なる感光体11Y,11M,11C,11Kに向かう光ビーム毎に対応する走査レンズを副走査方向に並べて配置する必要がある。対向走査方式では少なくとも2段重ね、片側走査方式においては4段重ねが必要となる。この時、各走査レンズは、各光束に対応するレンズ面の有効範囲外にリブが必要となり、副走査方向に隣り合う光ビーム間の距離が離れて斜め入射角が増大し、光学性能の劣化が大きくなってしまう。斜め入射角を変えずに隣り合う光ビームの間隔を広げるためには、第1走査レンズL1を光偏向器7から遠ざける必要があり、特に主走査方向においては屈折力を上げる必要があるためレンズの肉厚が厚くなり、走査レンズが大型化しコストアップとなってしまう。更に、重ねるレンズの固定のための接着工程、精度良い位置決めなど、組み付けにおける課題も生じてしまう。
また、共有されたレンズを一体的に成形することで部品点数を減らすことができ、部品間のばらつきを小さく抑えることが可能となる。例えば、図5(b)のような片側走査方式においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各被走査面としての感光体11Y,11M,11C,11Kに向かう光ビームの全てを単一のレンズで共有することで走査レンズを大幅に減らすことが可能となる。また、対向走査方式においては、図9に示すように2色分の光ビームで第1走査レンズL1を共有することで走査レンズの数を減らすことができる。つまり、各色に対応する光ビーム間での部品公差のばらつきを低減でき、各色間で安定した光学性能を得ることができる。また、本発明の如く、第1走査レンズL1を共用し、共用レンズの副走査方向の基準軸外を複数の光ビームが透過する構成とすることで、後に説明する前記特殊面の効果により、波面収差の補正が可能となる。
なお、先に述べたように、特殊面には基準軸外に光ビームを透過させる必要があり、共用レンズに特殊面を用いることで、斜入射光学系で課題となる波面収差補正を達成できるだけでなく、コンパクトな光学系、低コストな光学系の達成も可能となる。また、レンズ枚数が低減されることで、部品ばらつきの影響を低減でき、安定した光学性能を実現することが可能となる。
[実施例3(第、第、第の手段の実施例)]
共通の光源1−1(または1−2)から分割された光ビームは、前記光偏向器7の多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対し各々副走査方向に異なる符合の角度を持ち、共通の光源から光束分割手段により光ビームの進路が偏向され分割される光ビームの、前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対する副走査方向の角度は、光束分割手段により光ビームの進路が偏向されない光ビームの前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対する副走査方向の角度より小さいことが望ましい。
そこで本実施例では、図6に示すように光束分割手段として光束分割素子4を用いた構成とし、全ての光ビームを多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対し副走査方向に角度を持たせて入射させる。ここでは、片側走査方式を用いて説明する。この時、共通の光源1−1(または1−2)から分割された光ビームは、前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対し各々副走査方向に異なる符合(+または−)の角度を持たせることで、光偏向器7の多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bにより偏向反射された各々の光ビームにおいて、多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対する副走査方向の角度を最も小さく設定可能となる。つまり、例えば図6(b)に示すように、光源1−1からの光ビームは、副走査方向に図中反時計回りに大きな角度を、分割された光ビームは時計回りに小さな角度を持っている。このため光偏向器7の多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bによる偏向反射後の副走査方向に隣接する光ビーム間の間隔は図6(c)に示すようになり、各々対応する被走査面に分離され折り返されるためのミラーの設置スペースが必要となる。このため、各光ビームは光偏向器7より反射、射出される際に隣接する光ビームの副走査方向の間隔が広がるように設定されることが、前記副走査方向の角度を小さく設定しつつ、隣接する光ビーム間の間隔を各々対応する被走査面に分離され折り返されるためのミラーの設置スペースを確保するために必要となる。本来、中心の2つの光ビームは水平であることが前記副走査方向の角度を最も小さくすることが可能となるが、前に説明した如く光源への戻り光が発生し画像劣化が生じるため全ての光ビームが副走査方向に角度を持つことが望ましい。
さらに、共通の光源1−1(または1−2)から光束分割素子4により光ビームの進路が偏向され分割される光ビームの、前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対する副走査方向の角度は、光束分割素子4により光ビームの進路が偏向されない光ビームの前記多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bの法線に対する副走査方向の角度より小さく設定するのが良い。副走査方向の角度変化が光学性能に与える影響は大きく、その角度が大きいほど光学性能劣化は大きくなる。そこで本発明では、光束分割素子4のハーフミラーなどで折り返される側の光ビームの副走査方向の角度を小さく設定し、公差による変動項目が増えた場合にも光学性能の劣化を小さくすることを達成している。
また、タンデム対応の光走査装置においては、通常4つの感光体11Y,11M,11C,11Kに対応するために、光源を複数(本実施例では2つ)持ち、各々の光源1−1,1−2からの光ビームは、副走査方向に対称な角度で対応する共通の回転軸の多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bに入射する構成であることが望ましい。本構成により、図7の如く、走査レンズへの入射が光軸に対し副走査方向に対称な形状となり同一の特殊面による波面収差補正が可能となる。もちろん、各光ビーム毎、または、例えば図8(a)または(b)に示すように、光軸に対し副走査方向の上側(2ビーム)と、下側(2ビーム)、もしくは、上段外側と内側(2ビーム)、下段外側と内側(2ビーム)で特殊面を分割しても良い。
ここまでは、2枚構成の走査レンズ(第1走査レンズL1と第2走査レンズL2)を例に挙げて説明したが、1枚構成の走査レンズの場合は副走査方向に最も強い屈折力を持つ面より光偏向器側に特殊面を設ければ同様の効果が得られる。
また、光偏向器7に近い走査レンズに特殊面を形成することで、特に主走査方向の光束幅が広いため、特殊面の形状設定、波面収差の補正が良好に達成可能となる。波面収差補正のためには、光束内での光線の副走査方向の角度を偏向する必要がある。前に説明したように、特殊面により補正(光線の副走査方向の偏向)を実施するわけだが、光束の幅が小さいとその補正は困難になる。つまり、主走査方向の光束幅が絞られている位置、つまり被走査面(感光体)に近い位置に特殊面を導入しても、光束の方向を変えることはできるが、光束内の光線を副走査方向に偏向することは難しい。
つまり、光偏向器に最も近い走査レンズを複数の光ビームで共用し、その入射面に特殊面を用いることが、良好な波面収差補正、安定した光学性能、低コストな光走査装置を実現する上で最も望ましいこととなる。しかし、本発明は本実施例に限られるものではなく、同様の効果が得られれば、本発明の範疇である。
[実施例4(第2の手段の別の実施例)
次に第1走査レンズL1の特殊面の別の実施例について説明する。副走査方向にパワーを持たず、主走査方向に副走査方向のチルト偏芯量が異なる面(以下、特殊チルト面)を用いることで、実施例2で説明した特殊面と同様の効果が得られる。
第1走査レンズL1の特殊面の面形状は、以下の形状式による。ただし、この発明の内容は以下の形状式に限定されるものではなく、同一の面形状を別の形状式を用いて特定することも可能である。
第1走査レンズL1の特殊面の面形状は、光軸を含み、主走査方向に平行な平断面である「主走査断面」内の近軸曲率半径をRY、光軸から主走査方向の距離をY、高次係数をA,B,C,D・・・とし、主走査断面に直交する「副走査断面」内の近軸曲率半径をRZとすると、以下の形状式によって表せる。
X(Y,Z)=Y・Cm/{1+√[1-(1+K)・(Y・Cm)]}
+A・Y+B・Y+C・Y+D・Y10+E・Y12+・・・
+(Cs(Y)・Z)/{1+√[1-(Cs(Y)・Z)]}
+(F0+F1・Y+F2・Y+F3・Y+F4・Y+・・)Z
但し、
Cm=1/RY
Cs(Y)=1/RZ
とする。
なお、(F0+F1・Y+F2・Y+F3・Y+F4・Y+・・)Zは、チルト量を表す部分であり、チルト量を持たないときは、F0,F1,F2,・・・は全て0である。また、F1,F2,・・・が0で無いとき、チルト量は、主走査方向に変化することになる。
さらに、第1走査レンズL1の特殊チルト面の副走査方向の形状を曲率を持たない平面形状としている理由について説明する。
副走査方向に曲率を付けた場合、副走査方向の高さ毎に主走査方向の形状が大きく変化し、温度変動、光学素子の組み付け誤差により副走査方向に光ビームの入射位置がずれた場合に倍率誤差変動が大きく発生し、カラー機においては、各色間でのビームスポット位置がずれ、色ずれが発生してしまう。そこで、本発明の如く特殊面の副走査方向の面形状は、曲率を持たない平面形状とすることで、副走査方向の高さ毎に主走査方向の形状誤差を小さくでき、副走査方向に光ビームの入射位置がずれた場合の倍率誤差変動を小さくすることができ、色ずれの発生を抑えることができる。
実際には、特殊面を用いることで主走査形状は副走査方向の高さにより変化するが、その量は僅かであり、副走査方向に曲率を付けた場合に比べ主走査形状の変化を小さくできる。この結果、温度分布発生による光ビーム間での倍率変動の差は小さくでき、同期を取ることで書き出し位置と書き終わり位置を各光ビームで一致させたときの中間像高での色ずれを低減することができる。
また、図7(b)に示すが如く、入射光線が副走査方向にシフトした場合、特殊面は屈折力を持たないため光線の進行方向もシフトするのみで、その方向の変化は小さい。副走査方向に曲率を持つ、つまり屈折力を持つ面では、図7(a)の如く、入射光線が副走査方向にシフトした場合、屈折力が変わることにより光線の進行方向が変わる。各像高でこの進行方向の変化量が異なると、走査線曲がりが大きく発生してしまう。また、光束のスキューが発生し波面収差の劣化、ビームスポット径の劣化が生じる。以上の理由から、特殊面における副走査方向の形状は、曲率を持たない平面形状とする必要がある。
本特殊面を共用レンズに採用する場合は、光ビーム毎に特殊面を設定することが望ましい。実施例2の特殊面では曲率を持つ面であったため、走査レンズに入射する副走査方向の角度が異なっても入射高さも異なるため同一の面での波面収差補正が可能であった。また、副走査断面を非円弧形状とすれば、より良好な補正が可能となった。しかし、本実施例では、共通の特殊面では副走査方向の角度ごとに最適な副走査方向のチルト量の設定が困難である。
そこで、図9に示すような対向走査方式の光走査装置の走査レンズL1に本特殊面を採用することで、2段の特殊面を用いればよく、低コストな走査レンズで対応可能となる。また、このときは、同一の光源1−1(または1−2)から光束分割素子4で分割される各光ビームは同じ角度でも構わない。また、走査レンズL1も一体に限る物ではなく、2段重ねによる物でも構わない。
もちろん、図5(b)に示したような片側走査方式の光走査装置においても、第1走査レンズL1に各光ビーム毎の特殊面を設定しても構わない。
[実施例5(第の手段の実施例)]
斜入射光学系のもう一つの課題となる走査線曲がりについては、第1走査レンズ(共用レンズ)L1を通過後に、異なる被走査面(感光体11Y,11M,11C,11K)に向かう光ビームごとに配置される第2走査レンズL2により補正可能である。
例えば、図5(b)に示すような、異なる被走査面(感光体11Y,11M,11C,11K)に向かう光ビームごとに配置される第2走査レンズL2を、副走査方向にシフト偏芯しても良いし、チルト偏芯してもよい。このようなことにより、走査線曲がりが改善されるのは公知である。なお、走査線曲がりの発生については、前述したためここでは割愛する。
本発明によれば、複数の光源装置からの光ビーム毎に配置されるレンズの少なくとも1面を主走査方向に副走査方向のシフト偏芯量が異なる面とすることで、主走査方向、つまり各像高における像点位置を副走査方向に補正し、前記走査線曲がりの補正を可能としている。
前記面を用いることで、光ビームの進路を副走査方向に変化させることができる。つまり、副走査方向のシフト偏芯量を主走査方向に最適に与えることで、主走査方向に走査される光ビームを所望の方向(副走査)に偏向可能となり、走査線曲がりを補正することが可能となる。
走査線曲がりを補正するための面は、最も被走査面側の走査レンズ(図5では第2走査レンズL2)に使用することが望ましい。光束は被走査面11(感光体11Y,11M,11C,11K)に近づく程その大きさ(光束径)は小さくなる。このため、走査線曲がり補正のために光束の進行方向を変化させても光束内への影響は小さく、光偏向器7に近い走査レンズ(図5では第1走査レンズL1)の特殊面で波面収差を補正した状態を劣化させることを防ぐことができる(補正後の光束を大きくスキューさせ波面を乱すことはない)。
つまり、波面収差補正のためには、光束径が大きく光束内の光ビームの進行方向を補正しやすい光偏向器7に近い走査レンズ(図5では第1走査レンズL1)が有効となる。
更に、被走査面11に近い走査レンズ(図5では第2走査レンズL2)では、各像高に向かう光ビームがより分離されており、隣り合う光ビームの重なりが小さい。このため、副走査方向のシフト偏芯量を細かく設定可能で、走査線曲がりの補正を良好に補正することが可能となる。
被走査面11に近い走査レンズ(図5では第2走査レンズL2)の面形状について説明を加える。この走査レンズの面形状は、以下の形状式による。ただし、この発明の内容は以下の形状式に限定されるものではなく、同一の面形状を別の形状式を用いて特定することも可能である。
この走査レンズの面形状は、光軸を含み、主走査方向に平行な平断面である「主走査断面」内の近軸曲率半径をRY、光軸から主走査方向の距離をY、高次係数をA,B,C,D・・・とし、主走査断面に直交する「副走査断面」内の近軸曲率半径をRZとすると、以下の形状式によって表せる。
X(Y,Z)=Y・Cm/{1+√[1-(1+K)・(Y・Cm)]}
+A・Y+B・Y+C・Y+D・Y10+E・Y12+・・・
+(Cs(Y)・[Z-Z0(Y)])/{1+√[1-Cs(Y)・(Z-Z0(Y))]}
+(F0+F1・Y+F2・Y+F3・Y+F4・Y+・・)Z
但し、
Cm=1/RY
Cs(Y)=1/RZ+a・Y+b・Y+c・Y+d・Y+e・Y+f・Y
+g・Y+h・Y+i・Y+j・Y10・・・
Z0(Y)=D0+D1・Y+D2・Y+D3・Y+D4・Y+・・・
とする。
なお、(F0+F1・Y+F2・Y+F3・Y+F4・Y+・・)Zは、チルト量を表す部分であり、チルト量を持たないときは、F0,F1,F2,・・・は全て0である。また、F1,F2,・・・が0で無いとき、チルト量は、主走査方向に変化することになる。
Z0(Y)=D0+D1・Y+D2・Y+D3・Y+D4・Y+・・・は、副走査方向のシフト量を表す部分であり、Dの係数を持つ場合、シフト量は、主走査方向に変化することになる。
Cs(Y)=1/RZ+a・Y+b・Y+c・Y+d・Y+e・Y+f・Y
+g・Y+h・Y+i・Y+j・Y10・・・
は、主走査方向に副走査方向の曲率が変化することを意味する。
但し、副走査方向の形状が平面の場合、シフト偏芯しても(Dの係数を設定しても)面形状は変わらない。このときは、本発明の範疇ではない。
すなわち走査光学系は、複数の光源装置からの光ビーム毎に配置される被走査面に近い走査レンズ(図5では第2走査レンズL2)の少なくとも1面を前記主走査方向に副走査方向のシフト偏芯量が異なる面とすることで、良好な走査線曲がり補正が可能となる。
[実施例6(第の手段の実施例)]
次に走査線曲がり補正の別の実施例について説明する。母線湾曲面の変わりに、副走査方向にパワーを持たず、主走査方向に副走査方向のチルト偏芯量が異なる面(以下特殊チルト面)を用いることで、より良好に走査線曲がりの補正が可能となる。
すなわち、主走査方向に副走査方向のチルト偏芯量を変化させることで、光ビームの進路を副走査方向に変化させることができる。このチルト量を主走査方向に異ならせ最適に与えることで、主走査方向に走査される光ビームを所望の方向(副走査)に偏向可能となり、走査線曲がりを補正可能となる。先の実施例3で説明した、母線湾曲面と同様に、特殊チルト面も最も被走査面側の走査レンズに使用することが望ましい。その理由は、前述の実施例5で述べたとおりであるため、ここでは説明を割愛する。
特殊チルト面の面形状は、以下の形状式による。ただし、この発明の内容は以下の形状式に限定されるものではなく、同一の面形状を別の形状式を用いて特定することも可能である。
特殊チルト面の面形状は、光軸を含み、主走査方向に平行な平断面である「主走査断面」内の近軸曲率半径をRY、光軸から主走査方向の距離をY、高次係数をA,B,C,D・・・とし、主走査断面に直交する「副走査断面」内の近軸曲率半径をRZとすると、以下の形状式によって表せる。
X(Y,Z)=Y・Cm/{1+√[1-(1+K)・(Y・Cm)]}
+A・Y+B・Y+C・Y+D・Y10+E・Y12+・・・
+(Cs(Y)・Z)/{1+√[1-(Cs(Y)・Z)]}
+(F0+F1・Y+F2・Y+F3・Y+F4・Y+・・)Z
但し、
Cm=1/RY
Cs(Y)=1/RZ
とする。
なお、(F0+F1・Y+F2・Y+F3・Y+F4・Y+・・)Zは、チルト量を表す部分であり、チルト量を持たないときは、F0,F1,F2,・・・は全て0である。また、F1,F2,・・・が0で無いとき、チルト量は、主走査方向に変化することになる。
さらに、特殊チルト面の副走査方向の形状を曲率を持たない平面形状としている理由については前述のとおりなので説明は割愛する。
[実施例7(第の手段の実施例)]
近年、光走査装置、画像形成装置の高速化、高密度化が進んでいる。光偏向器7としてポリゴンスキャナを使う場合、多面の反射鏡(ポリゴンミラー)7a,7bを高速で回転させることで、高速化、高密度化への対応は可能である。しかし、回転数には限界があり、ポリゴンスキャナの回転数を上げることなく高速化、高密度化を図る手段として、本発明では複数の光ビームで同一の被走査面を走査する。
本発明に係る光走査装置において、光源を、例えば複数の発光点を有する半導体レーザアレイや、単数の発光点もしくは複数の発光点を有する光源を複数用いたマルチビーム光源装置とし、複数の光ビームを感光体表面に同時に走査するように構成するとよい。こうすることにより、高速化、高密度化を図った光走査装置および画像形成装置を構成することができ、かかる光走査装置および画像形成装置を構成した場合も、これまで説明してきた効果と同様の効果を得ることができる。
ここで、一例として交差方式マルチビーム光源装置について説明する。図10はマルチビーム光源装置を構成する光源ユニットの一例を示す分解斜視図である。
図10において、光源である2つの半導体レーザ(LD)403,404は、各々ベース部材405に形成された嵌合孔405−1,405−2にベース部材の裏側から個別に嵌合されている。上記嵌合孔405−1,405−2は主走査方向に所定角度、本実施形態では約1.5°微小に傾斜していて、この嵌合孔に嵌合された半導体レーザ403,404も主走査方向に約1.5°傾斜している。半導体レーザ403,404は、その円筒状ヒートシンク部403−1,404−1に切り欠きが形成されていて、押え部材406、407の中心丸孔に形成された突起406−1,407−1を上記ヒートシンク部403−1,404−1の切り欠き部に合わせることによって発光源の配列方向が合わせられている。押え部材406,407はベース部材405にその背面側からネジ412で固定されることにより、半導体レーザ403,404がベース部材405に固定されている。また、コリメートレンズ408,409は各々その外周をベース部材405の半円状の取り付けガイド面405−4,405−5に沿わせて光軸方向の調整を行い、発光点から射出した発散ビームが平行光束となるよう位置決めされ接着されている。
なお、図10に示す例では、各々の半導体レーザからの光線が主走査面内で交差するように設定するため、光線方向に沿って嵌合孔405−1,405−2および半円状の取り付けガイド面405−4,405−5を傾けて形成している。
また、ベース部材405の円筒状係合部405−3をホルダ部材410に係合し、ネジ413を貫通孔410−2に通してベース部材405のネジ孔405−6,405−7に螺合することによって、ベース部材405がホルダ部材410に固定され、光源ユニットを構成している。
上記光源ユニットのホルダ部材410は、その円筒部410−1が光学ハウジングの取り付け壁411に設けた基準孔411−1に嵌合され、取り付け壁411の表側よりスプリング611を挿入してストッパ部材612を円筒部突起410−3に係合することで、取り付け壁411の裏側に密着して保持され、これによって上記光源ユニットが光学ハウジングに保持されている。スプリング611の一端を取り付け壁411の突起411−2に引っ掛け、スプリング611の他端を光源ユニットに引っ掛けることで、光源ユニットに円筒部中心を回転軸とした回転力を発生している。この光源ユニットの回転力を係止するように設けた調節ネジ613を具備していて、この調節ネジ613により、光軸の周りであるθ方向にユニット全体を回転してビームピッチを調節することができるように構成されている。光源ユニットの前方にはアパーチャ415が配置され、アパーチャ415には半導体レーザ毎に対応したスリットが設けられ、光学ハウジングに取り付けられて光ビームの射出径を規定するように構成されている。
以上、マルチビーム光源装置の一例を示したが、上記の半導体レーザとして、複数の発光点を持つ半導体レーザアレイ(LDアレイ)を用いてもよく、その場合には、更なるマルチビーム化が可能となる。
[実施例8(第、第10の手段に対応する実施例)]
次に、本発明に係る光走査装置を用いた画像形成装置の一実施例を図11を参照しながら説明する。
本実施例は、本発明に係る光走査装置(例えば図5(b)に示すような片側走査方式の光走査装置)をタンデム型フルカラーレーザプリンタに適用した例である。図11において、装置内の下部側には水平方向に配設された給紙カセット23から給紙される記録材(例えば転写紙)Sを搬送する搬送ベルト27が設けられている。この搬送ベルト27上にはイエロー(Y)用の感光体11Y,マゼンタ(M)用の感光体11M,シアン(C)用の感光体11C及びブラック(K)用の感光体11Kが、転写紙Sの搬送方向上流側から下流側に向けて順に等間隔で配設されている。なお、以下、符号に対する添字Y,M,C,Kを適宜付けて区別するものとする。これらの感光体11Y,11M,11C,11Kは全て同一径に形成されたもので、その周囲には、電子写真プロセスにしたがって各プロセスを実行するプロセス部材が順に配設されている。感光体11Yを例に採れば、帯電チャージャ18Y、光走査装置19の走査結像光学系19Y、現像装置20Y、転写チャージャ21Y、クリーニング装置22Y等が順に配設されている。なお、他の感光体11M,11C,11Kに対しても同様である。
本実施例では、感光体11Y,11M,11C,11Kの表面を各色毎に設定された被走査面(または被照射面)とするものであり、各々の感光体11Y,11M,11C,11Kに対して光走査装置19の走査結像光学系19Y,19M,19C,19Kが1対1の対応関係で設けられている。
但し、光偏向器7と、第1走査レンズL1は、4つの走査結像光学系19Y,19M,19C,19Kで共通使用しており、第2走査レンズL2と各光学系の光路を折り返す折り返しミラーM1,M2は、各光学系にそれぞれ設けられている。なお、図示を省略しているが、光走査装置19の光偏向器7の入射側には、図1に示したような複数の光源1−1,1−2、カップリングレンズ3−1,3−2、開口絞り12、光束分割素子4、シリンドリカルレンズ5−1,5−2等が設けられている。
搬送ベルト27は駆動ローラ28と従動ローラ29に支持されて図中の矢印の方向に回転され、その周囲には、感光体11Yよりも上流側に位置させてレジストローラ26と、ベルト帯電チャージャ30が設けられ、感光体11Kよりもベルト27の回転方向下流側に位置させてベルト分離チャージャ31、ベルト除電チャージャ32、ベルトクリーニング装置33等が順に設けられている。また、ベルト分離チャージャ31よりも転写紙搬送方向下流側には加熱ローラ34aと加圧ローラ34bからなる定着装置34が設けられ、排紙トレイ36に向けて排紙ローラ35で結ばれている。
このような概略構成のレーザプリンタにおいて、例えば、フルカラーモード(複数色モード)時であれば、各感光体11Y,11M,11C,11Kを帯電チャージャ18Y,18M,18C,18Kで帯電した後、各感光体11Y,11M,11C,11Kに対してY,M,C,K用の各色の画像信号に基づき光走査装置19の各々の走査結像光学系19Y,19M,19C,19Kによる光ビームの光走査で、各感光体表面に、各色信号に対応した静電潜像が形成される。これらの静電潜像は各々の対応する現像装置20Y,20M,20C,20KでY,M,C,Kの各色のトナーにより現像されてトナー像となる。この画像形成プロセスにタイミングを合わせて給紙カセット23内の転写紙Sが給紙ローラ24と搬送ローラ25により給紙され、レジストローラ26により搬送ベルト27に送り出される。搬送ベルト27に給紙された転写紙Sは、ベルト帯電チャージャ30の作用により搬送ベルト27に静電的に吸着されて感光体11Y,11M,11C,11Kに向けて搬送され、各感光体11Y,11M,11C,11K上の画像が転写紙S上に順次転写されることにより重ね合わせられ、転写紙S上にフルカラー画像が形成される。このフルカラー画像が転写された転写紙Sはベルト分離チャージャ31により搬送ベルト27から分離されて定着装置34に搬送され、定着装置34でフルカラー画像が転写紙Sに定着された後、排紙ローラ35により排紙トレイ36に排紙される。
本実施例では、上記のような構成の画像形成装置の光走査装置19を、前述の実施例1〜7で説明した光走査装置の構成とすることで、走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正し、色ずれが無く、高品位な画像再現性が確保できる画像形成装置を実現することができる。
なお、ここでは片側走査方式の光走査装置19を例に上げて説明したが、この他、図9に示したような構成の対向走査方式の光走査装置としても良く、その場合には、光偏向器7を中央に配置し、その光偏向器7を挟んで一方の側にY用とM用の走査結像光学系(走査レンズ、ミラー等)を配置し、他方の側にC用とK用の走査結像光学系(走査レンズ、ミラー等)を配置すれば、一つの光偏向器7で4つの光ビームを2方向に振り分けて同時に偏向走査することができる。また、この場合にも、各色の走査結像光学系を前述の実施例1〜7で説明した光走査装置の構成とすることで、走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正し、色ずれが無く、高品位な画像再現性が確保できる画像形成装置を実現することができる。
以上、実施例に基づいて説明したように、本発明によれば、共通の光源1−1又は1−2からの光ビームを光束分割手段4で2つの光ビームに分割し、多段の多面鏡7a,7bを有する偏向手段7で偏向して異なる被走査面11a,11bを同時に走査するので、例えば2つの光源1−1,1−2を用いて4つの被走査面(感光体)11Y,11M,11C,11Kを同時に走査することができ、光源数を減らしながらも、高速かつ良好な画像出力を可能にする光走査装置を実現することができる。従って、本発明によれば、光走査装置の部品点数の低減、低コスト化が実現でき、ユニット全体の故障率が減少し、リサイクル性が向上する。また、本発明では、走査光学系を構成する走査レンズの面形状を前述の実施例のように工夫しているので、斜め入射方式の光走査装置における走査線曲がりと波面収差の劣化を有効に補正することができ、異なる被走査面(感光体面)を走査するビーム間の品質の差異を低減することができる。
さらに、本発明によれば、光源1−1,1−2としてマルチビーム光源を用いることにより、同一の被走査面に1度の走査で複数の走査線を形成することが可能であり、画像形成装置の高速、高密度化を実現することができる。また、本発明によれば、適切な濃度で、濃度むらの少ない画像出力が可能な画像形成装置を実現することができる。また、設定光量の調整により、色再現性の優れた画像出力が可能な画像形成装置を実現することができる。
本発明の一実施例を示す光走査装置の概略要部構成図である。 本発明に係る光束分割手段の一実施例である光束分割素子(ハーフミラープリズム)の構成説明図である。 図1に示す光走査装置の光偏向器(2段のポリゴンミラー)による光走査を説明するための図である。 複数色用の露光のタイミングチャートの一例を示す図である。 片側走査方式の光走査装置で斜入射光学系を用いた場合の説明図である。 斜入射光学系の光走査装置に光束分割手段を用いた場合の説明図である。 光学素子への入射光線が副走査方向にシフトした場合に、光学素子の面が副走査方向に屈折力を持つ場合と持たない場合の走査線曲がりとビーム径劣化の説明図である。 走査レンズの特殊面の説明図である。 対向走査方式の光走査装置で斜入射光学系と光束分割手段を用いた場合の説明図である。 マルチビーム光源装置を構成する光源ユニットの一例を示す分解斜視図である。 本発明に係る光走査装置を用いた画像形成装置の一実施例を示す図であって、タンデム型カラーレーザプリンタの概略構成図である。
符号の説明
1−1,1−2:光源(半導体レーザ)
2:LD(半導体レーザ)ベース
3−1,3−2:カップリングレンズ
4:光束分割手段としての光束分割素子(ハーフミラープリズム)
5−1,5−2:シリンドリカルレンズ
6:防音ガラス
7:偏向手段としての光偏向器
7a,7b:多面の反射鏡(ポリゴンミラー)
8,L1:第1走査レンズ
9,M1,M2:折り返しミラー
10a,10b,L2:第2走査レンズ
11:被走査面
11a,11b:被走査面としての感光体
11Y,11M,11C,11K:被走査面としての感光体
12:開口絞り(アパーチャ)
14:遮光部材
18Y,18M,18C,18K:帯電チャージャ
19:光走査装置
20Y,20M,20C,20K:現像装置
21Y,21M,21C,21K:転写チャージャ
22Y,22M,22C,22K:クリーニング装置
23:給紙カセット
24:給紙ローラ
25:搬送ローラ
26:レジストローラ
27:搬送ベルト
28:駆動ローラ
29:従動ローラ
30:ベルト帯電チャージャ
31:ベルト分離チャージャ
32:除電チャージャ
33:ベルトクリーニング装置
34:定着装置
35:排紙ローラ
36:排紙トレイ
S:転写紙

Claims (10)

  1. 変調駆動される光源と、共通の回転軸に多面の反射鏡を複数段有する偏向手段と、共通の光源からの光ビームを分割して前記偏向手段の異なる段の反射鏡に分割された光ビームを入射させる光束分割手段と、複数の被走査面と、前記偏向手段により走査された光ビームを前記対応する被走査面に導く走査光学系を有し、前記分割された光ビームは異なる被走査面を走査する光走査装置において、
    前記異なる段の多面の反射鏡は互いに回転方向の角度がずれており、
    前記光束分割手段は、ハーフミラー面と全反射面とを備え、
    前記光束分割手段に入射した光ビームは前記ハーフミラー面に入射して透過光と反射光とに分割され、該透過光は前記光束分割手段から出射され、該反射光は前記全反射面により更に反射された後に前記光束分割手段から出射され、
    前記ハーフミラー面と前記全反射面との副走査方向に対する角度は異なり、
    前記光束分割手段により分割された、前記共通の光源から光ビームは、前記多面の反射鏡の法線に対し各々副走査方向に異なる符合の角度を持つことを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、
    前記走査光学系を構成する少なくとも一枚の走査レンズの少なくとも1面は、主走査方向の周辺に向かい該走査レンズに入射する光束の前記多面の反射鏡の法線に対する副走査方向の角度を射出時に大きくする特殊面を有することを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項2記載の光走査装置において、
    前記特殊面は、各々異なる被走査面に向かう全ての光ビームで共用されることを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記共通の光源から前記光束分割手段により光ビームの進路が偏向され分割される光ビームの、前記多面の反射鏡の法線に対する副走査方向の角度は、前記光束分割手段により光ビームの進路が偏向されない光ビームの前記多面の反射鏡の法線に対する副走査方向の角度より小さいことを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記光源を複数有し、各々の光源からの光ビームは、副走査方向に対称な角度で対応する共通の回転軸の多面の反射鏡に入射することを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記光源を複数有し、前記走査光学系は、前記複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズを有し、該複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズの少なくとも1面は、主走査方向に副走査方向のシフト偏芯量が異なる面であることを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記光源を複数有し、前記走査光学系は、前記複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズを有し、該複数の光源からの光ビーム毎に配置されるレンズは、副走査方向にパワーを持たず、主走査方向に副走査方向のチルト偏芯量が異なる面を有することを特徴とする光走査装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    前記光源として、複数の光ビームを射出するマルチビーム光源を用いたことを特徴とする光走査装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光走査装置において、
    複数の光源に対応する異なる被走査面は、少なくとも4つの感光体で構成されることを特徴とする光走査装置。
  10. 電子写真プロセスを実行することによって画像を形成する画像形成装置において、
    前記電子写真プロセスの露光プロセスを実行する手段として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光走査装置を具備したことを特徴とする画像形成装置。
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