JP5002807B2 - 新規窒素酸化物還元触媒および窒素酸化物還元除去方法 - Google Patents

新規窒素酸化物還元触媒および窒素酸化物還元除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、トルエンを還元剤とでき、酸素・水蒸気共存下での窒素酸化物還元反応に高い活性を示す触媒に関する。
炭化水素を還元剤とする酸素・水蒸気共存下での窒素酸化物(NO)の還元は燃焼排気中の浄化のために広く研究されている。困難であった内燃機関のリーンバーン(酸素過剰)領域での選択還元(SCR)に有効な触媒も開発されている。
トルエンは、溶剤などに由来して工場などの排気あるいは内燃機関の排気に含まれることも多い。Pt/AlやPt/SiOを触媒としてトルエンを還元剤とした場合の結果が公表されているが(例えば、非特許文献1)、性能の高いものではなかった。また、排気中に多く含まれるトルエンを還元剤としたとき(例えば、非特許文献2)には523 K(250℃)程度の低温で充分な活性を示す触媒は見出されていない。
トルエンによってNOを低温で還元できる触媒が見出されれば、幅広く応用でき、例えば、内燃機関のコールドスタート時に触媒が完全に暖められる前に到達したNOを、コールドスタート時に多く排出されるトルエンを用いて還元除去するシステムなどが実現すると期待される。
なお、本発明の触媒の一要素として下記実施例等で使用しているPd/HPW/SiOはメタンを還元剤としたときにはPt/Alなどより非常に高い活性を示すNO還元触媒であることが知られている(特許文献1)。
特開2005−230736号公報 R.Burch, D. Ottery, Appl. Catal. B, 13, 105 (1997) N.R.Burke, D.L. Trimm and R.F.Howe, Appl. Catal. B, 46, 97 (2003)
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、低温でトルエンを還元剤としてNOを除去することが可能な触媒、および該触媒を使用した窒素酸化物還元除去方法を提供することを目的とする。
本発明は、低温でトルエンを還元剤としてNOを除去することが可能な触媒として、Pdをどちらか一方または両者に担持した、多孔質シリカ担持ヘテロポリ酸とゼオライトとを混合してなる窒素酸化物還元触媒に関する。
まず、Pdを担持した多孔質シリカ担持ヘテロポリ酸(以下、「Pd/ヘテロポリ酸/SiO」と表す)について説明する。
前記多孔質シリカは、ヘテロポリ酸を含有させ、かつパラジウムを担持させるために、例えば比表面積が100m/g以上、好ましくは150m/g以上あり、細孔容積が0.5cm/g以上であるものを使用するようにする。このような多孔質シリカとしては、例えば日揮化学社製のN−602A(比表面積が290m/g、細孔容積が0.8cm/g)が入手可能である。多孔質シリカの形状は、粒状、ペレット状、ハニカム状などの任意の形状でよい。
ヘテロポリ酸としては、バナジウム酸、モリブデン酸、タングステン酸のような無機オキソ酸を含む種々のものを用いることができるが、例えばHSiW1240,HPMo1240またはHPW1240が好ましい。より好ましくはHPMo1240またはHPW1240、最も好ましくはHPW1240(以下、「HPW」と略す)である。
ヘテロポリ酸は、ヘテロポリ酸/(ヘテロポリ酸+多孔質シリカ)重量比0.2〜0.4の範囲で多孔質シリカに含有させるようにする。
パラジウムは、パラジウム/(パラジウム+ヘテロポリ酸含有多孔質シリカ)重量比0.001〜0.1、好ましくは0.002〜0.02の範囲でヘテロポリ酸含有多孔質シリカに担持されるように調整し使用する。
Pd/ヘテロポリ酸/SiOは、例えば次のような方法により製造することができる。Pdを担持させないでヘテロポリ酸/SiOとして使用する場合は、下記のPd担持工程を行なう前のヘテロポリ酸/SiOを使用すればよい。
多孔質シリカをヘテロポリ酸の水またはアルコール溶液に浸漬して、その多孔質シリカの気孔にヘテロポリ酸の溶液を含浸させた後、加熱して溶媒を揮散させる。これにより、多孔質シリカにヘテロポリ酸が含有される。このヘテロポリ酸含有多孔質シリカを、酢酸パラジウムのトルエン溶液に浸漬し、その多孔質シリカの気孔に酢酸パラジウムのトルエン溶液を含浸させる。その後、加熱してトルエンの揮散、酢酸パラジウムの分解を行うことにより、ヘテロポリ酸含有多孔質シリカにパラジウムを担持させることができる。酢酸パラジウムの他に、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化テトラアミンパラジウムを用いてもよい。なお、パラジウムの担持量は、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、塩化パラジウムまたは塩化テトラアミンパラジウムの量を変えることにより調整可能である。
次に、Pdを担持したゼオライトについて説明する。
ゼオライトは、M2/n・T・xSiOと一般に表記される結晶性シリケートである。ここで、Tはゼオライト骨格中の元素で、アルミニウム、鉄、ホウ素等の3価の金属が一般的であり、また、xは通常2以上の整数である。ゼオライトは、TO四面体とSiO四面体がO/(Si+T)比が2となるように、酸素原子を介して規則正しく三次元的に配列した結晶性化合物である。Tが3価のカチオンであるためTOは負電荷を帯び、このためこの負電荷を中和するために正の電荷をもつMが必要となる。したがって、Mはゼオライトの骨格構造を維持するためにはカチオン種でありさえすればよく、プロトン、アルカリ金属、アルカリ土類金属が一般的である。nはMが1価のカチオンであれば1であり、2価、3価のカチオンであればそれぞれ2、3となる。このようにゼオライトの基本構造は、TO,SiO四面体からなるものであり、Mはイオン交換することができる。
本発明においては、Mがアルカリ金属、好ましくはリチウム、ナトリウム、セシウム、より好ましくは、リチウム、ナトリウム、最も好ましくはナトリウムであるゼオライトを用いるようにする。Tやxには特に制限はない。用いるゼオライトの結晶構造に特に制限はなく、MFI型、MOR型、BEA型、FAU型いずれでもよいが、MFI型、MOR型、BEA型、FAU型の順に好ましい。なお、天然ゼオライトとして知られているものの中には合成することができるものもあるが、合成されたものが使用できることは言うまでもない。また、ゼオライトは一般にアルカリ型ゼオライトとして入手されるため、本発明においては、そのまま用いてもまた所望のアルカリカチオンにイオン交換して用いても良い。
特に、Mがアルカリ金属であるアルカリゼオライト、好ましくはアルカリMFI型ゼオライト、より好ましくはNaまたはLiMFI型ゼオライト、最も好ましくはNaMFI型ゼオライトが好適に使用できる。
上記のようなゼオライトに、Pdを担持するには、従来知られている方法を使用すればよく、例えば、ゼオライトに相当量の塩化テトラアンミンパラジウムを含む水溶液を含浸後、室温で乾燥させる方法、また、相当量の塩化テトラアンミンパラジウムを含む水溶液中で攪拌後、濾過して得られた固体を乾燥させるイオン交換法等の方法を適用すればよい。
パラジウムの担持量は、塩化テトラアンミンパラジウムの量を変えることにより0.1〜5重量%の範囲で調整可能である。
本発明の触媒は、Pdをどちらか一方または両者に担持した、多孔質シリカ担持ヘテロポリ酸とゼオライトとを混合してなる。以下、単に「本発明の混合触媒」ということもある。
例えば、Pd/ヘテロポリ酸/SiOとゼオライトの混合は、単に両者を混合し、軽く振り混ぜるだけでもよいが、適度に粉砕混合を行うことが好ましい。例えば、乳鉢を使用して、両者を混合粉砕する場合、長時間粉砕混合を行うと、かえって触媒活性が低下することが解っている。Pd/ヘテロポリ酸/SiOとPd担持ゼオライトの混合、ヘテロポリ酸/SiOとPd担持ゼオライトの混合の場合も同様である。
Pdをどちらか一方または両者に担持したヘテロポリ酸/SiOとゼオライトの混合は、ヘテロポリ酸/SiOの1に対してゼオライトを1(重量比)程度混合することで十分である。ゼオライトを、それ以上添加することを制限するものではないが、触媒活性の向上は添加に見合う活性向上が期待できず、体積が増加するのみである。ゼオライトの添加量が1(重量比)程度より低くなればなるほど、活性も低くなるので、理想的には1:1(重量比)程度である。
「Pdをどちらか一方または両者に担持した、ヘテロポリ酸/SiOとゼオライトとを混合する」とは、混合前に、所定量のPdをヘテロポリ酸/SiOあるいはゼオライトまたはその両者に担持させておいて、その両者を混合すればよいということである。
混合を、粉砕を加えずに単に振り混ぜる程度の混合条件では、ゼオライト側にPdの所定量の50〜80重量%を担持させたものと、残りのPdを担持させたPd/ヘテロポリ酸/SiOとを混合することが好ましい傾向にあるが、例えば乳鉢を使用するような粉砕混合方法を採る場合は、Pdをどちらかの担体に特定量予め担持させておいた方がよい、といった条件は特にない。
Pdの担持量は、混合してなる本発明の混合触媒の全量に対して約0.5重量%以上の量となるように、Pdをヘテロポリ酸/SiOまたはゼオライトのどちらか一方または両者に担持させるようにする。上限は特に制限するものではないが、増加分に見合う活性の向上は見られず、また、Pdは高価であることから、その使用量は少ないほど望ましい。
本発明の混合触媒は、トルエンを還元剤として、Pd/ヘテロポリ酸/SiO単独の場合と比較して、非常に高いNO還元活性を示し、しかもその活性を示す温度が500〜580K程度と低い。従来知られているPt/Alに比べても高い活性を示す。
(1)触媒の調製
メタノール中でHPW(和光純薬製)の重量比(HPW/(HPW+SiO))が30 重量%となるように、含浸法によってHPWをSiO(日揮化学製;N602−A)に担持後、該担持体を393Kで一晩乾燥させた。
得られた担持体を、Pd(AcO)(和光純薬製)のトルエン溶液に、重量比(Pd/(Pd+HPW+SiO)が1重量%となるように、含浸させ、393Kで一夜乾燥させ、Pd/HPW/SiO触媒を得た。
上記で得られたPd/HPW/SiO触媒をゼオライト(商品名HSZ−820NAA;東ソー株式会社製)と混合してめのう乳鉢を用いて粉砕、攪拌した。
(2)活性の測定
標準的には得られた触媒0.2gを反応管に入れ、NO 500mol ppm(0.05mol%)、トルエン700mol ppm(0.07mol%)、O 5mol%,HO 10mol%を含むHe(残り)気流(常圧、全流速200cm min−1)を流通させ、所定の反応温度で出口気体の組成を分析した。
なお、HOを導入するのは燃焼排気などの実用条件に近づけるためである。NOの定量にはNO計(堀場CLA−510SS)を用い、トルエン、CO、Nの定量にはTCD(熱伝導度検出器)式ガスクロマトグラフ(日立163)を用いた。通常の手順では前処理なしで気体を流通させ、所定の温度まで昇温し、その温度に達してから数時間経過して転化率・収率が安定した時点の値を評価した。
結果を、NO転化率、N収率、トルエン転化率で示した。
NO転化率 = 1−出口NO濃度/入口NO濃度;
収率 = 出口N濃度/入口NO濃度;
トルエン転化率 = 1−出口トルエン濃度/入口トルエン濃度
目的反応が100%選択的に進行した場合、N収率はNO転化率の1/2となるはずである。ただし実際にはNの定量には若干の誤差があるので参考程度の値である。また目的反応の選択率が高く、副反応(トルエンの酸素による燃焼)の進行が遅いほど、トルエン転化率/NO転化率が低いはずなので、この数値が選択性の指標である。ただし化学反応式(トルエン分子中の7つの炭素原子と9つの水素原子のうち最大いくつがNOの還元に関わるか)が確立されていないので、数値を元に選択率を決定することはできない。
(3)Pd/HPW/SiO触媒単独の場合の触媒活性
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%)を0.1g反応管に入れ、その他の条件は上記(2)活性の測定に記載した条件と同様に測定を行った。結果を図1に示した。
473以上でNOの転化が見られ、573Kまでは反応速度が増加した。573Kで最大のNO転化率34%が得られ、このときトルエン転化率はほぼ100%に達した。さらに温度が上がるとトルエン転化率は高く保たれたままNO転化率が低下し、トルエンが燃焼する副反応が主となっていることがわかる。N収率は反応温度によらずNO転化率の半分程度で、NOがNに量論的に転化されたことがわかる。このようにPd/HPW/SiO単独でも活性を示す。
(4)Pt/Al触媒単独の場合の触媒活性
Pt/Alを0.1g反応管に入れ、その他の条件は上記(2)活性の測定に記載した条件と同様に測定を行った。結果を図2に示した。
図1と図2を比較すると、Pd/HPW/SiOとPt/Alの両者は、473〜573Kでは同じレベルの活性、より高温ではPt/Alの方が高い選択性を示した。これらの触媒は同じ重量のPtあるいはPdを含んでおり、これら貴金属が触媒コストのほとんどを占める。PtよりPdの方が安価なので経済的に有利ではあるが、以上の結果からは、Pd/HPW/SiOの方がPt/Alより高性能であるとは言い難い。
(5)Pd/HPW/SiOおよびNa−ZSM−5との混合触媒活性(混合時間の影響)
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%)0.1gにNa−ZSM−5 0.1gを加え、乳鉢で粉砕・混合した後の523,573KでのNO転化率を図3に示す。図中にはPd/HPW/SiOのみの活性を矢印で示し、混合時間0は乳鉢を用いず、Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5粉末を反応管に入れて軽く振り混ぜた後の結果を示している。
Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5を軽く振り混ぜただけでもPd/HPW/SiOのみの場合と比べて活性は少し向上しているが、5〜60分間乳鉢で混合すると活性が著しく向上した。混合時間が長すぎると活性は低下した。この混合は手作業で行っており、時間そのものには特段の物理的意味はなく、適度に混合すると高い活性が得られることを示していると考えられる。
(6)Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5との混合触媒活性の温度依存性
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%)0.1gにNa−ZSM−5 0.1gを加え30分間乳鉢で混合した混合触媒の転化率・収率の温度依存性を図4に示す。
低温の523KでPd/HPW/SiO 0.1gだけの場合(図1)に比べて非常に高い転化率・収率が得られた。従来知られているPt/Al(図2)に比べても高い活性を示した。またN収率はNO転化率のほぼ半分で、NOが量論的にNに転化されていることがわかった。
(7)Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5との混合触媒活性のNa−ZSM−5の添加量依存性
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%)の量を0.1gに固定し、Na−ZSM−5の添加量を変えた場合の触媒活性を測定(523K,573K)した。なお、このときの、混合時間は5分間である。結果を図5に示した。
図5に示されているように、Na−ZSM−5の添加量が0.1gまでは、転化率が向上し、それ以上加えてもあまり変化がなかった。Na−ZSM−5を0.1g以上(言い換えるとNa−ZSM−5 : Pd/HPW/SiO重量比1以上)添加量を増しても反応速度は向上せず、Na−ZSM−5の製造に要するコストと触媒層の体積が増すばかりであるので、添加量としてはNa−ZSM−5:Pd/HPW/SiO重量比1が望ましいと言える。
(8)Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5との混合触媒活性の混合比依存性
混合後の物質の体積当たりの触媒活性を評価する観点から、総重量を一定(0.2g)とし、Pd/HPW/SiO(Pd1重量%)とNa−ZSM−5の重量比を変えて、活性を測定した。結果を図6に示した。なお、この時の触媒調製混合時間は30分である。
図6の左端の点はPd/HPW/SiOを0.2g用いた場合のNO転化率を示し、523Kにおいては0.1gの場合(図1)より高かった。しかしNa−ZSM−5を混合すると、貴金属成分であるPdを減らしているにもかかわらず活性は向上し、重量比0.5 : 0.5(等量)で最大の活性を示し、やがて減少した。以上から、Pd/HPW/SiOにNa−ZSM−5を混合すると触媒活性が向上することが明らかである。またNa−ZSM−5が多すぎると活性が低下したことから、Na−ZSM−5とPd/HPW/SiOの複合効果によって高い触媒活性が発現したことも明らかである。
(9)Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5との混合触媒活性の経時変化
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%,0.1g)とNa−ZSM−5(0.1g)との混合触媒活性の523Kでの経時変化を評価した。結果を図7に示した。なお、この時の触媒調製混合時間は30分である。
本発明の混合触媒は反応の初期に活性が向上し、その後少なくとも10時間程度は安定な活性を示した。
なお、図1〜図6に示されている結果は転化率・収率がほぼ安定した時間、すなわち200分付近のものを示している。
(10)Pd/HPW/SiO+ゼオライト混合触媒活性のゼオライト結晶構造の影響
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%,0.1g)と結晶構造の異なるNa型ゼオライト(MFI型、MOR型、BEA型、FAU型)(0.1g)との混合触媒の523K、573Kでの触媒活性を評価した。結果を図8に示した。なお、この時の触媒調製混合時間は5分である。
図8に示されているように、Na型ゼオライトを加えるといずれも加えなかった場合(523KでNO転化率21%,573Kで34%(図1))より高活性を示した。
Na型の中ではMFI型(ZSM−5)を加えた場合が最も高活性を示し、続いてMOR,BEA,FAUの順に活性が強いことがわかる。
(11)Pd/HPW/SiO+ゼオライト混合触媒活性のゼオライトのアルカリ金属種の影響
(イオン交換率)
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%,0.1g)と含有Na量が異なるゼオライト(MFI型)(ZSM−5)(0.1g)との混合触媒の523K、573Kでの触媒活性を評価した。結果を図9に示した。なお、この時の触媒調製混合時間は5分である。
Na型をH型にイオン交換したゼオライトを使用すると、523Kでの活性がやや低下した(図9)。
(アルカリ金属種)
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%,0.1g)と含有アルカリ金属種が異なるゼオライト(MFI型)(ZSM−5)(0.1g)との混合触媒の523K、573Kでの触媒活性を評価した。結果を図10に示した。なお、この時の触媒調製混合時間は5分である。
カチオン種を変えると、10%のNaをLiにイオン交換したLiNa−ZSM−5が低温でNa−ZSM−5とほぼ同等の活性を示した。LiもNaもほぼ同等の効果を持つことがわかった。Na,Liに続いてCs,Hの順で活性があることもわかった。
以上から、Pd/HPW/SiOにゼオライトを混合すると触媒活性が向上し、また混合するゼオライトとしてはどのような種類でも活性は向上するが、中でもMFI型構造(ZSM−5)が適しており、さらにはNaおよびLi型が適していることがわかった。
Na−ZSM−5が他のNa型ゼオライトに比べて高い性能を有するのは、図14に示すように反応温度に近い550K程度までトルエンを吸着保持する能力を持つためと推測される。なお、図14は各種ゼオライトおよびPd/HPW/SiO上にトルエンを吸着させ、その後昇温させて観測される昇温脱離(TPD)スペクトルである。
(12)Pd担持ゼオライトを使用混合した混合触媒
Pdの全てをあらかじめHPW/SiOに担持し、該Pd/HPW/SiOにゼオライトを混合することに代えて、Pdの総量を固定し、Pdの一部あるいは全部をゼオライトの側に担持してから混合を行った。
すなわち、Pd担持量が混合触媒総量の0.5重量%となるように、(Pd)/HPW/SiO(0.1g)と(Pd)/Na−ZSM−5(0.1g)とを混合し混合触媒を調製し、523Kでの触媒活性を評価した。結果を図11に示した。なお、この時の乳鉢による触媒調製混合時間は5分である。
同時に、乳鉢により混合を行わず、圧縮成形したPd/HPW/SiOの粉末を粉砕し、ふるい分けして得た見かけ直径1/30〜1/50インチの粒子と、同様に圧縮成形、粉砕、ふるい分けしたNa−ZSM−5の粒子を軽く1秒程度振り混ぜた場合(図中、「混合なし」)の触媒活性も示した。
図11に示されているように、乳鉢による混合をしないときには50〜80%のPdをNa−ZSM−5側に担持してから加えた方が高活性であった。したがってNa−ZSM−5上のPdが何らかの役割を果たしていると考えられる。Pdを100%Na−ZSM−5側に担持した実験は行っていないが、Pd/Na−ZSM−5だけでは触媒活性が低い(図12)ことから、本反応にはPd/HPW/SiOが中心的な役割を果たしていると推察される。したがって、Pd/HPW/SiOとPd/Na−ZSM−5がそれぞれ役割を分担しており、両者の共存が必要と考えられる。
ところがこれらの試料を乳鉢で5分混合すると混合前のNa−ZSM−5上のPdの比率に関わらずほぼ等しい活性を示した。したがって、混合によってPdがHPW/SiOとNa−ZSM−5の間で分配されるか、混合によってHPW/SiOとNa−ZSM−5粒子が近づくためにあらかじめ担持したのと同等の役割が果たせるようになったと考えられる。
以上から、本発明の混合触媒を調製するに際しては、Na−ZSM−5側に50〜80 %のPdを担持してからPd/HPW/SiOとPd/Na−ZSM−5を混合するか、あるいはHPW/SiOとゼオライトのどちらか一方または両者にあらかじめ所定量のPdを担持し、Pd/HPW/SiOとPd/Na−ZSM−5を乳鉢で混合すればよいことがわかった。
(13)Pd担持量の触媒活性に及ぼす影響
Pd/HPW/SiO0.1gにNa−ZSM−5 0.1gを加え、乳鉢で30分粉砕・混合してなる混合触媒の523,573KでのNO転化率を図13に示す。
Pdの担持量が、混合触媒全量に対して0.5重量%以上であれば、高い活性がもたらされることがわかった。Pdは高価なので経済的にはその使用量が低いほど望ましい。
(14)高活性作用機構の考察
以上から、Pdをどちらかに担持したシリカ担持タングストリン酸(HPW1240)とゼオライト(特にNaあるいはLi型ZSM−5)を適当な時間をかけて乳鉢で混合した触媒、あるいは一部のPdをNa−ZSM−5側に担持してから混合した触媒は、トルエンを還元剤とする酸素・水蒸気共存下での窒素酸化物還元反応に高い活性を示すことがわかった。
発明者らの研究によれば、HPWはNOを活性化し、HPW上のPdはNO由来の活性種と炭化水素由来の活性種の間の反応を促進していると考えられる。一方、ゼオライトにはトルエンを吸着する性質があり、また前述のようにゼオライト上のPdにも役割があると推測されることから、ゼオライトに吸着されたトルエンがPd/ゼオライト上で活性化され、これがPd/HPW/SiO上で反応するためにNO還元速度が高まったと推測される。乳鉢で混合すると活性が高くなったことから、PdがHPW/SiOとゼオライト間で分配される可能性に加え、分子が移動できる程度の近い距離にこれらの異なる役割を持つ活性種が存在することが活性を高めると考えられる。
(15)活性に及ぼす混合時間の影響に対する考察
Pd/HPW/SiO(Pd1重量%)0.1gにNa−ZSM−5 0.1gを加え、乳鉢で粉砕・混合し、混合時間の異なる混合触媒の全細孔容積を窒素吸着法によって測定した。結果を図15に示した。
全細孔容積は混合時間が長くなるにつれゆっくりと低下したが、ミクロ細孔容積はあまり減らなかった。したがって、ゼオライト結晶外表面やHPW/SiO粒子表面に由来するメゾ・マクロ細孔の容積が減少したと言える。これは、主としてメゾ・マクロ細孔をHPW/SiOの粒子が閉塞することによって起きたと推測され、HPW/SiO, ゼオライトともに外表面に反応物が接触しにくくなって活性が低下したものと考えられる。
本発明の触媒は、トルエンを還元剤とする酸素・水蒸気共存下での窒素酸化物還元に使用することができる。
具体的には、トルエンを排ガス成分に含有する内燃機関のNO還元除去するシステムの触媒として使用することができる。
Pd/HPW/SiO触媒単独の触媒活性の温度依存性を示すグラフ。 Pt/Al触媒単独の触媒活性の温度依存性を示すグラフ。 Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5との混合触媒の混合時間影響性を示すグラフ。 Pd/HPW/SiO+Na−ZSM−5の触媒活性の温度依存性を示すグラフ。 Pd/HPW/SiO+Na−ZSM−5の触媒活性のNa−ZSM−5添加量依存性を示すグラフ。 Pd/HPW/SiOとNa−ZSM−5との混合触媒活性の総重量一定下の混合比依存性を示すグラフ。 Pd/HPW/SiO+Na−ZSM−5の触媒活性の経時変化を示すグラフ。 Pd/HPW/SiO+ゼオライト混合触媒活性のゼオライト結晶構造の影響を示すグラフ。 Pd/HPW/SiO+Na−ZSM−5の触媒活性のZSM−5ゼオライトにおけるH−Naイオン交換率の影響を示すグラフ。 Pd/HPW/SiO+Na−ZSM−5の触媒活性のZSM−5ゼオライトにおけるカチオン種の影響を示すグラフ。 Pd担持ゼオライトを使用混合した混合触媒の活性を示すグラフ。 Pd/Na−ZSM−5触媒単独の触媒活性の温度依存性を示すグラフ。 Pd/HPW/SiO+Na−ZSM−5の触媒活性のPd担持量の影響を示すグラフ。 各種担体のトルエン昇温脱離スペクトル。 Pd/HPW/SiO+Na−ZSM−5の混合触媒の細孔容積の混合時間依存性を示すグラフ。

Claims (6)

  1. Pdをどちらか一方または両者に担持した、多孔質シリカ担持ヘテロポリ酸とNaまたはLiMFI型ゼオライトとを混合してなるトルエンを還元剤とする窒素酸化物還元触媒。
  2. ヘテロポリ酸が、HPW1240である請求項1に記載の触媒。
  3. Pdの担持量が、触媒の全量に対して0.5重量%以上の量である、請求項1〜いずれかに記載の触媒。
  4. 混合が、粉砕工程を含む、請求項1〜いずれかに記載の触媒。
  5. 少なくともトルエン、酸素、水蒸気および窒素酸化物を成分として含む排ガスの窒素酸化物を除去する方法において、該排ガスを請求項1〜いずれかに記載の触媒に通して窒素酸化物を還元除去することを特徴とする、窒素酸化物還元除去方法。
  6. 窒素酸化物の還元温度が、500〜580Kで行われる、請求項に記載の窒素酸化物還元除去方法。
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