JP5002208B2 - 金属酸化物ナノ結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属酸化物ナノ結晶の製造方法に関するものである。
金属酸化物ナノ粒子等の、粒子径が数十ナノメートル以下の超微粒子(ナノ粒子)は、ポリマー材料等の有機材料との複合化による機能の向上を実現する添加剤として注目されている。中でも、前記のように添加剤として使用した場合には、特に光学的、電磁気的、機械的物性を飛躍的に向上させるものとして期待されている。また、量子サイズ効果による超高機能性や新物性の発現など、ナノ化により獲得される新たな物性にも大きな期待が寄せられている。
しかしながら、ナノ粒子を実用化するためには、単にナノ粒子を合成するだけでなく、ナノ粒子の結晶子径を精密に制御することが求められている。これは、各種の物性が、結晶子径と密接な関係に有るためであり、例えば、10nmより小さい結晶子径になると、光学的、電磁気的な物性が得られない場合がある。その具体例を挙げると、チタン酸バリウムなどでは、高い誘電率を生かしたさまざまな電磁気的用途が考えられているが、60nm以下の結晶子径において誘電率の最大値が存在し、10nmより小さいとその誘電率は急激に減少する。
また、従来、有機と無機の複合化、ナノ粒子合成、ナノ粒子の表面修飾と分散性の制御に関して多くの報告がなされているが、複合化可能な無機粒子で分散性と結晶性との両面で満足のいくものは得られていないのが実状である。これは、無機粒子の合成と有機材料の複合化とを同時に行なう、いわゆるin−situ法を利用しているためである。
このin−situ法では、金属酸化物粒子の分散性は良いものが得られるが、金属酸化物粒子はほとんどが非晶質として存在する。すなわち、金属酸化物の結晶化には高温を用いるが、in−situ法では有機材料の耐熱性の観点から結晶化に十分な熱エネルギーを与えることが不可能であったため、分散性と結晶性とを満足した金属酸化物を有機材料と複合化することは困難であった。
また、比較的低温で合成できる金属酸化物を選択した場合でも、通常、金属酸化物前駆体として金属アルコキシドなどが使用されるため、アモルファス部分が大量に存在し、金属酸化物との複合化による性能・機能の付与、特に電磁気的、光学的機能の付与は困難であった。
一方、複合化を前提にせず、ナノ粒子の合成に目を向ければ、従来から多くの合成法(噴霧熱分解法、共沈法、逆ミセル法、ホットソープ法、ゾルゲル法など)が提案、検討されている。M.Niederburgerらは、これを更に改良して、ナノ粒子合成に適用した(例えば、非特許文献1,2)。
M. Niederberger, G. Garnweitner, N. Pinna, M. Antonietti, J. Chem. Soc., 2004, 126, 9120-9126. M. Niederberger, M. H. Bartl, G. D. Stucky, Chem. Mater, 2002, 14, 4364-4370.
非特許文献1,2に記載された方法は、広範な種類の、結晶性を有する金属酸化物ナノ粒子(即ち、金属酸化物ナノ結晶)の合成に適用可能で、比較的低温で合成できるという点で優れている。しかしながら、得られる金属酸化物ナノ結晶の成長が十分行なわれず、比較的結晶子径の小さな粒子しか得られない場合があった。
本発明は、上記の課題を解決するべく創案されたもので、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径を数ナノメートル刻みで精密に制御できる金属酸化物ナノ結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行なった結果、金属酸化物前駆体を、含酸素有機溶媒、及び、金属酸化物前駆体のモル数に対して15〜50倍の水を共存させてソルボサーマル法に供し金属酸化物ナノ結晶を得ることにより、結晶子径の大きさを数ナノメートル刻みで精密に制御できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、金属酸化物前駆体を、含酸素有機溶媒及び前記金属酸化物前駆体のモル数に対して15〜50倍の水を共存させて、かつ前記含酸素有機溶媒中の前記金属酸化物前駆体の濃度が0.1mol/L以上でソルボサーマル法に供し、金属酸化物を得ることを特徴とする、金属酸化物ナノ結晶の製造方法に存する(請求項1)。
このとき、前記金属酸化物前駆体が、金属塩化物、金属アセテート、金属アルコキシド及び金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項2)。
また、前記含酸素有機溶媒が、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、エステル類及びシロキサン類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項3)。
また、前記含酸素有機溶媒及び前記金属酸化物前駆体の混合物を、密閉容器に封入し、加熱することが好ましい(請求項4)。
また、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径が10nm以上60nm以下であることが好ましい(請求項5)。
また、前記金属酸化物がチタン酸バリウムであることが好ましい(請求項6)。
本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法によれば、結晶子径を数ナノメートル刻みで精密に制御した金属酸化物ナノ結晶を得ることができる。
以下、本発明について実施形態を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[I.金属酸化物ナノ結晶の製造方法]
本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」という)では、金属酸化物前駆体を、含酸素有機溶媒および金属酸化物前駆体のモル数に対して15〜50倍以下の水を共存させてソルボサーマル法に供し、金属酸化物を得る。ここで、ソルボサーマル法とは、所定の溶媒の存在下で、高温高圧の環境下において粒子を製造する方法である。
まず、本発明の製造方法では、金属酸化物前駆体と、含酸素有機溶媒と、所定量の水を共存させることにより、反応液を用意する。なお、反応液には、本発明の効果を著しく損なわない限りその他の成分が含有されていてもよい。例えば、必要に応じて、その他の添加剤を含有させてもよい。これにより、この反応系は、通常、含酸素有機溶媒中に、金属酸化物前駆体、水及びその他の成分が溶解又は分散した組成物として用意される。
[I−1.金属酸化物前駆体]
本発明の製造方法において、金属酸化物前駆体としては、所望の金属酸化物ナノ結晶が得られる限り任意の物質を使用することができる。したがって、製造しようとする金属酸化物ナノ結晶に含有される金属元素を含有する金属単体や金属化合物から適切なものを任意に選択して使用することができる。
金属酸化物前駆体に含有される金属元素の種類のうち好適なものを例示すると、周期律表の2A族から4B族の金属及びランタノイドの金属が挙げられ、中でも好ましくは、Ba、Sr、Y、Ti、Zr、Ce、Co、Hf、Zn、Al、In、Si、Sn等の金属が挙げられる。したがって、金属酸化物前駆体としては、これらの金属元素を含有するものが好適である。
金属酸化物前駆体の例を挙げると、金属塩化物、金属アセテート、金属アルコキシド、金属水酸化物などが挙げられる。これらの中でも、副生する不純物(例えば塩化物など)の観点から、金属アルコキシド、金属アセテート、金属水酸化物が好適に用いられる。この中でも特に、化学式Mx(OR)y(ここで、Mは金属元素を表わし、Rはアルキル基を表わし、x、yはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表わす。)で示される金属アルコキシド、化学式Mx(OH)y・nH2O(ここで、Mは金属元素を表わし、x、yはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表わし、nは1以上の整数を表わす。)で示される金属水酸化物、並びに、前記の金属アルコキシド及び/又は金属水酸化物を含有する化合物が好ましい。
以下、金属酸化物前駆体の具体例を挙げる。ただし、金属酸化物前駆体は、ここで例示したものに限定されない。
チタンを含有する金属酸化物前駆体としては、例えば、チタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウム−ジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウム−ジイソプロポキシド(ビスエチルアセトアセテート)、チタニウム−n−ブトキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムメトキシプロポキシド、チタニウム−n−ノニロキシド、チタニウム−n−プロポキシド、チタニウムステアリルオキシド、チタニウムトリイソステアリルイソプロポキシド、チタニウムトリメチルシロキシドなどが挙げられる。
ジルコニウムを含有する金属酸化物前駆体としては、例えば、ジルコニウム−n−ブトキシド、ジルコニウム−t−ブトキシド、ジルコニウム−ジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウム−ジ−イソプロポキシド(ビス−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウム−2−エチルヘキソキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウム−2−メチル−2−ブトキシド、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウムトリメチルシロキシドなどが挙げられる。
バリウムを含有する金属酸化物前駆体としては、例えば、バリウムエトキシド、バリウムイソプロポキシド、バリウムメトキシプロポキシド、バリウム−2,4−ペンタンジオネート水和物、バリウムチタンダブルアルコキシド、バリウムジルコニウムダブルアルコキシド、水酸化バリウム8水和物などが挙げられる。
ハフニウムを含有する金属酸化物前駆体としては、例えば、ハフニウム−n−ブトキシド、ハフニウム−t−ブトキシド、ハフニウムエトキシドなどが挙げられる。
ストロンチウムを含有する金属酸化物前駆体としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)ストロンチウム水和物、ストロンチウムチタンダブルアルコキシド、ストロンチウムジルコニウムダブルアルコキシド、水酸化ストロンチウム、ストロンチウムアセテート、ストロンチウム−2−エチルヘキサノエート、ストロンチウムイソプロポキシド、ストロンチウムメトキシプロポキシドなどが挙げられる。
セリウムを含有する金属酸化物前駆体としては、例えば、セリウムアセテート水和物、セリウム−t−ブトキシド、セリウム−2−エチルヘキサノエート、セリウムイソプロポキシド、セリウムメトキシエトキシド、セリウム−2,4−ペンタンジオネート水和物、セリウム−2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、水酸化セリウムなどが挙げられる。
イットリウムを含有する金属酸化物前駆体としては、例えば、イットリウムアセテート4水和物、イットリウム−2−エチルヘキサノエート、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムオキサレート9水和物、イットリウム−2,4−ペンタンジオネート、イットリウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどが挙げられる。
なお、金属酸化物前駆体は、金属酸化物ナノ結晶の組成に応じて、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
金属酸化物前駆体は、反応系中においてどのような状態で存在していても良い。ただし、通常は、金属酸化物前駆体は含酸素有機溶媒中に溶解した状態で存在する。
一方、金属酸化物前駆体が含酸素有機溶媒に全部又は一部が溶解しない場合もありえる。その場合には、反応液はスラリー状態になる。この際には、溶解していない金属酸化物前駆体は、粒径が小さいことが好ましい。
[I−2.含酸素有機溶媒]
含酸素有機溶媒は、金属酸化物前駆体が金属酸化物ナノ結晶へと変化する反応の反応媒として機能すると共に、金属酸化物前駆体に酸素を供給する酸素供給源としても機能する。この含酸素有機溶媒は、酸素を含有する有機溶媒であれば他に制限は無く任意のものを使用することができる。
ただし、含酸素有機溶媒としては、水と相溶性を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。金属酸化物ナノ結晶の生成反応を円滑に進行させるためである。含酸素有機溶媒が水を溶解させる程度は金属酸化物ナノ結晶が得られる限り任意であるが、含酸素有機溶媒は、25℃、1気圧の環境下において、通常10g/L以上、好ましくは20g/L以上、より好ましくは30g/L以上だけ水を溶解させうるものが好適である。
含酸素有機溶媒の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。含酸素有機溶媒の炭素数が大きすぎると、水の溶解度が小さくなることがあるからである。
含酸素有機溶媒の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常32以上、好ましくは50以上、より好ましくは70以上、また、通常500以下、好ましくは400以下、より好ましくは300以下である。含酸素有機溶媒の分子量が小さすぎると反応における圧力上昇が大きくなることがあり、大きすぎると水の溶解度が小さくなることがあるからである。
含酸素有機溶媒の沸点は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上である。含酸素有機溶媒の沸点が低すぎると反応における圧力上昇が大きくなることがあるからである。なお、上限は、通常300℃以下、好ましくは270℃以下、より好ましくは250℃以下である。
含酸素有機溶媒の例を挙げると、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、エステル類、シロキサン類などが挙げられる。また、これらの含酸素有機溶媒の1分子中に含まれる酸素原子の個数は、1個以上であれば特に限定されない。
含酸素有機溶媒の具体例を挙げると、エタノール、メタノール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、アセトン、ベンズアルデヒド、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ジフェニルエーテル、ヘキサメチルジシロキサンなどが挙げられる。中でも、ベンジルアルコール、メトキシエタノールが好ましい。
なお、含酸素有機溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
含酸素有機溶媒の使用量に制限は無い。ただし、含酸素有機溶媒中の金属酸化物前駆体の濃度が、通常0.1mol/L以上、好ましくは0.3mol/L以上、より好ましくは0.5mol/L以上、また、通常1.0mol/L以下、好ましくは0.8mol/L以下、より好ましくは0.6mol/L以下となるようにする。含酸素有機溶媒が少なすぎるとゲル化が生じることがあり、多すぎると収量が低くなることがあるからである。
[I−3.水]
反応に際しては、水を、金属酸化物前駆体及び含酸素有機溶媒と共存させるようにする。共存させた水の存在状態に制限は無いが、通常は、例えばイオン交換水、脱塩水などの液体の水を用いる。また、例えば金属酸化物前駆体等として水和物を使用した場合には、当該水和物由来の水も、金属酸化物前駆体及び含酸素有機溶媒と共存する水として取り扱う。
本発明の製造方法においては、水は、金属酸化物前駆体のモル数に対して、15倍以上、好ましくは20倍以上、また、50倍以下、好ましくは40倍以下、より好ましくは35倍以下だけ用いるようにする。水の共存量が少なすぎると、実質的に、従来のソルボサーマル法で得られるものと同程度の大きさ(結晶子径が10nm未満)の小さい金属酸化物ナノ結晶しか得られない。一方、水の共存量が多すぎると従来の水熱合成法で得られるものと同程度の大きさ(結晶子径が60nmより大きい)の大きい金属酸化物ナノ結晶が凝集した凝集粒子しか得られない。これに対して、前記のような適切な範囲の量の水を共存させることにより、初めて、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径を、従来は製造が困難であった大きさ(結晶子径が10nm〜60nm)で、晶子径を数ナノメートル刻みで精密に制御しながら製造することが可能となる。
[I−4.その他の成分]
所望の金属酸化物ナノ結晶が得られる限り、上述した金属酸化物前駆体、含酸素有機溶媒及び水以外の成分を共存させても良い。その他の成分としては、例えば、添加剤を共存させても良い。添加剤の例としては、カルボン酸類、含酸素有機溶媒以外の溶媒、ホスフィン類、アミン類などが挙げられる。
カルボン酸類、含酸素有機溶媒以外の溶媒、ホスフィン類、アミン類などの添加剤を共存させると、金属酸化物ナノ結晶の表面にカルボン酸類由来の有機分子を結合させることが可能になるため、有機酸化物ナノ結晶の分散性等の物性を改良することが可能である。
なお、その他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[I−5.反応液を用意する際の操作]
金属酸化物前駆体、含酸素有機溶媒及び水、並びに、必要に応じて用いるその他の成分を共存させて反応液を用意する場合には、その混合順は金属酸化物ナノ結晶が得られる限り制限は無いが、通常、上述した金属酸化物前駆体を含酸素有機溶媒に分散させた後、所定量の水並びにその他の成分を混合する。
例えば金属酸化物前駆体として金属アルコキシドを用いた場合には、含酸素有機溶媒に金属アルコキシドを分散する前に金属アルコキシドと水とを混合すると瞬時に加水分解が進行するために好ましくない。そこで、通常は、金属酸化物前駆体として金属アルコキシドを用いた場合には、金属アルコキシドを含酸素有機溶媒に溶解させた後に所定量の水を混合する。金属アルコキシドは加熱分解によって分子レベルまで細かく分散するため、使用する原料である金属酸化物前駆体の形状(例えば、粒子径)によらず、本発明のような、結晶子径が10nm〜60nmのナノ粒子を製造することが可能となる。この場合、水を混合する前又は後に添加剤としてアミン類を混合し、一種のミセルを形成させることが好ましい。
例えば、金属酸化物前駆体としてバリウムチタンダブルメタルアルコキシドを用いてチタン酸バリウムを合成する場合には、含酸素有機溶媒に前記金属酸化物前駆体を溶解させた後、1級アミンを混合し、さらにここに所定量の水を混合して反応液を調製する。また、例えば、金属酸化物前駆体として金属アルコキシドと金属水酸化物或いは水和物との両方を用いてチタン酸バリウムを合成する場合には、含酸素有機溶媒に所定量のチタニウムアルコキシドを溶解させた液を予め準備し、別に準備しておいた所定量の水および含酸素有機溶媒に溶解した水酸化バリウム・8水和物などを混合、攪拌後、必要に応じてアミン類などの添加剤を更に混合して反応液を調製する。
このようにして調製された反応液は、スラリー状態、又は、適切な添加剤を用いた場合には見かけ上透明な液として調製される。何れの状態で得られた反応液からでも、共存させた水の量に応じて結晶子径が制御された金属酸化物ナノ結晶を得ることができる。
[I−6.反応]
反応液を用意したら、当該反応系を所定の反応条件に保持し、反応を進行させ、反応系内において金属酸化物ナノ結晶を得るようにする。
反応時の温度(反応温度。ここでは、反応液の温度)は、金属酸化物ナノ結晶が得られる限り任意である。ただし、本発明の製造方法は、比較的低い温度で金属酸化物ナノ結晶を得られることを利点の一つとしている。したがって、反応温度は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常240℃以下、好ましくは200℃以下に保持して反応を進行させる。反応温度が低すぎると結晶性を有する金属酸化物ナノ粒子(即ち、金属酸化物ナノ結晶)が得られなくなることがある。一方、反応温度が高すぎると、有機物の分解による副生物の量が多くなり、金属酸化物ナノ結晶の品質低下を招くことがある。
なお、反応温度は一定でも変動していても良い。また、反応液の温度が、上述した反応温度の範囲に継続的に収まっていても良く、断続的に収まっていても良い。さらに、反応液内の温度は均一でも不均一でも良い。したがって、金属酸化物ナノ結晶が得られる限り、例えば反応液内の一部が上記反応温度の範囲外となっていても構わない。
反応を進行させる際の圧力条件は、金属酸化物ナノ結晶が得られる限り任意である。ただし、通常は、圧力条件は自圧以下である。なお、ここで自圧とは、含酸素有機溶媒の当該温度における蒸気圧を指す。
反応時間は、金属酸化物ナノ結晶を得ることができる限り任意である。ただし、本発明の製造方法においては、金属酸化物前駆体、含酸素有機溶媒及び水を反応系に共存させたことにより、従来よりも短時間で金属酸化物ナノ結晶を得ることができることを利点の一つとしている。このため、本発明の製造方法においては、反応時間は、通常48時間以下、好ましくは24時間以下である。
反応時の雰囲気も、金属酸化物ナノ結晶を得ることができる限り任意である。ただし、反応は不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。ここで不活性雰囲気とは、金属酸化物前駆体、含酸素有機溶媒及び水のいずれもが雰囲気と反応しないことを表わす。不活性雰囲気を構成する雰囲気ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。なお、不活性雰囲気には、単独の不活性ガスを用いても良く、2種以上の不活性ガスを用いても良い。
上記の反応条件を満たすためには、例えば、反応液を密閉容器内において上記所定の反応温度に保持するようにすればよい。具体的には、反応液を不活性雰囲気下で密閉容器(オートクレープ容器等)に封入し、当該密閉容器内で加熱して上記所定の反応温度に保持するようにすればよい。
なお、反応液の用意と反応の進行とは、一連の工程として行なうことも可能である。例えば、予め所定の反応条件を整えておいた環境で、金属酸化物前駆体、含酸素有機溶媒及び水並びに必要に応じて添加剤等を混合すれば、反応液の用意と反応の進行とを、互いに区別しない一連の工程として行なうことが可能となる。
[1−7.本発明の製造方法の利点及びそれが得られる理由]
本発明の製造方法により、金属酸化物ナノ結晶を得ることができる。この際、金属酸化物ナノ結晶は、結晶子径が精密に制御されたスラリーとして得られる。非特許文献1,2に記載のような従来技術では、結晶子径を広範に制御できなかったが、本発明の製造方法によれば、これを解決することができる。この点は、本発明の大きな利点の一つである。
従来、金属酸化物結晶合成のために水熱合成法が広く用いられてきた。水熱合成方法では、多量に存在する溶媒としての水のために生成した粒子の成長が加速度的に促進され、結晶子径がサブミクロンからミクロンサイズまで大きくなることがほとんどであった。一方、従来のソルボサーマル法では、ナノサイズの粒子は合成できるものの、結晶成長促進剤としての水が存在せず、また、存在したとしても溶媒に含まれる極微量の水分であるために、結晶子径を制御し、数十ナノメートルのサイズの結晶子径を数ナノメートル刻みで制御することができなかった。この点は、非特許文献1,2記載の技術においても、同様であった。
これに対し、本発明の製造方法は、反応系に水を共存させると共に、その水の量を制御することにより、数十ナノメートルのサイズの結晶子径を数ナノメートル刻みで制御することが可能となったものである。
このように優れた利点が得られる理由は定かでないが、本発明者らの検討によれば、以下の理由によるものと推察される。
本発明の製造方法では、反応系に水を共存させることにより、結晶成長を促進できるようになっているものと考えられる。したがって、本発明の製造方法においては水は結晶子径制御剤として作用し、水の量を制御することで結晶の成長を制御することが可能となっているものと推察される。つまり、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径が、10nm以上60nm以下の範囲という、水熱合成方法よりは小さく、ソルボサーマル法よりは大きな結晶子径で精密に制御できるのは、反応液中に存在する水の量を制御したことによると考えられる。
例えば、金属酸化物ナノ結晶としてチタン酸バリウムを製造する場合には、水の使用により、金属酸化物ナノ結晶として生成するチタン酸バリウムの結晶子径は、X線回折測定の結果、数nm刻みで制御可能であることがわかった。X線回折測定の特定ピークの半価幅から見積もられる結晶子径は、水を金属酸化物前駆体のモル数に対して10倍共存させた場合、8.1nmであり、16倍共存させた場合、11nmであった。
このように、水が、金属酸化物ナノ結晶が好適な範囲の結晶子径を有する粒子となるように、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径の制御を行なっているものと考えられる。これにより、本発明の製造方法では、結晶子径が制御された金属酸化物ナノ結晶を製造することが可能となっていると推察される。
また、前記のように水が結晶成長を促進させると考えられるため、本発明の製造方法によれば、従来よりも低温で短時間に金属酸化物ナノ結晶を製造することも可能になると期待される。
[I−8.その他の工程]
本発明の製造方法においては、必要に応じ、上述した工程以外の工程を実施しても良い。
例えば、回収工程を行なってもよい。回収工程では、本発明の製造方法で得た金属酸化物ナノ結晶を単離し、回収する。回収の際の手法は任意であるが、金属酸化物ナノ結晶が液中に分散している場合には、例えば、遠心分離、フィルターろ過その他の通常の回収方法が適用できる。また、金属酸化物ナノ結晶が液中に溶解している場合には、例えば、金属酸化物ナノ結晶を含む組成物(反応液)と貧溶媒とを混合することにより、容易に沈殿が生じるので、金属酸化物ナノ結晶を沈殿として回収することができる。ここで、貧溶媒とは金属酸化物ナノ結晶に対する貧溶媒をいう。貧溶媒としては、例えばアルコールなどが挙げられる。なお、貧溶媒の使用により、金属酸化物ナノ結晶を洗浄することも可能となる。このため、金属酸化物ナノ結晶が液中に分散している場合にも、貧溶媒を使用して洗浄するようにしてもよい。また、沈殿した金属酸化物ナノ結晶の回収は、金属酸化物ナノ結晶が液中に溶解している場合においても、金属酸化物ナノ結晶が液中に分散している場合と同様の方法で行なうことができる。
[I−9.得られる金属酸化物ナノ結晶]
以上のようにして、金属酸化物ナノ結晶として、金属酸化物により形成された、結晶性を有する粒子を得ることができる。
金属酸化物ナノ結晶を形成する金属酸化物は、金属酸化物前駆体に応じた組成を有する。その例を挙げると、化学式Mxy(Mは金属を表わし、x、yはそれぞれ金属の価数によって決まる整数を表わす)、化学式M12x(M1、M2はそれぞれ金属元素を表わし、xは金属M1とM2の価数によって決まる1以上の整数を表わす)で示されるものが挙げられる。
金属酸化物ナノ結晶に含まれる金属としては、例えば、ジルコニウム、チタン、バリウム、亜鉛、ストロンチウム、セリウム、コバルト、インジウム、スズ、アルミニウム、ケイ素、ハフニウム、イットリウムなどが挙げられる。なお、これらの金属は、1種が含まれていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含まれていても良い。
金属酸化物ナノ結晶を形成する金属酸化物の具体例としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化インジウムスズ、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化スズなどが挙げられる。中でも、透明な有機材料に金属酸化物ナノ結晶を分散させて当該有機材料に光学的、電磁気的な性質を付与する目的のためには、チタン、ジルコニウム、バリウムから選ばれる少なくとも一種以上の金属元素を含有する金属酸化物が好ましい。
この中でも、特に、光学的、電磁気的な性質の観点から、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムなどが好適である。酸化ジルコニウムは、比較的屈折率(酸化ジルコニウムの屈折率は2.2)が高いため、有機成分と複合化して結晶性金属酸化物・有機複合体(後述する)とした場合に、屈折率制御用の結晶性金属酸化物・有機複合体として有用である。また、チタン酸バリウムは、誘電率、屈折率とも高いため、光学的にも電磁気的にも有機材料への性能付与に対して有用な結晶性金属酸化物・有機複合体とすることができる。
ただし、金属酸化物ナノ結晶を形成する金属酸化物は、ここに例示したものに限定されない。また、前記金属酸化物は、1種が単独で金属酸化物ナノ結晶を構成していても良いが、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で金属酸化物ナノ結晶を構成していても良い。
金属酸化物ナノ結晶の結晶子径に特に制限は無いが、本発明の利点を有効に活用する観点からは、通常10nm以上、好ましくは13nm以上、より好ましくは15nm以上、また、通常60nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。ソルボサーマル法を用いた従来の技術では、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径は数nmであり、精密に制御することは困難であった。しかし、本発明の製造方法によれば、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径を前記の範囲に精密に制御することができる。
なお、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径は、X線回折測定により確認することができる。X線回折測定では、金属酸化物ナノ結晶が結晶性を有している場合、結晶型に応じて決まった位置にピークが出る。そして、このピークの半値幅からSherrerの式にしたがって結晶子径を計算することができる。
〔Scherrer式〕
結晶子サイズ(D)=K・λ/(β・cosθ)
ここで、KはScherrer定数でK=0.9であり、X線(CuKα1)波長(λ)=1.54056Å(1Å=1×10-10m)である。また、CuKα1線由来のブラッグ角(θ)および半価幅(βo)はプロファイルフィッティング法(Peason−XII関数又はPseud−Voigt関数)により算出する。さらに、計算に用いた半価幅βは予め標準Siにより求めておいた装置由来の半価幅βiから下記式を用いて補正する。
Figure 0005002208
金属酸化物ナノ結晶は、結晶性を有する。この際、結晶性の有無はXRDにより確認することができる。
[II.結晶性金属酸化物・有機複合体]
金属酸化物ナノ結晶は、何らからの化学種(分子、イオン、配位子等)で修飾し、結晶性金属酸化物・有機複合体として用いることも出来る。具体例を挙げると、金属酸化物ナノ結晶を有機成分で修飾すれば、金属酸化物ナノ結晶の有機化合物に対する分散性を向上させることができる。
修飾に用いる化学種の種類は任意である。例えば、有機成分で修飾する場合は、金属酸化物ナノ結晶を分散させようとする有機化合物の種類に応じて任意に有機成分の種類を選択すればよい。好適な有機成分の例を挙げると、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、金属アルコキシド基などを分子構造内に有するものが挙げられる。これらは、金属酸化物ナノ結晶と親水性相互作用、疎水性相互作用、イオン性相互作用、共有結合などを介して結合し、複合体(結晶性金属酸化物・有機複合体)を形成することができる。
修飾のための具体的な操作は任意である。例えば、金属酸化物ナノ結晶を、上記の化学種を含む化合物(以下適宜、「反応剤」という)と混合することにより、容易に複合体を形成させることができる。この際、反応直後の金属酸化物ナノ結晶を含む反応液に直接反応剤を作用させてもよく、回収工程で単離・回収した金属酸化物ナノ結晶を反応媒に再分散させて反応剤を作用させても良い。なお、再分散の際に使用する反応媒に制限は無いが、非極性溶媒が好ましく、具体的にはトルエンが好ましい。
具体的な操作の一例を、有機成分により修飾をする場合を例示して説明する。
まず、室温下、金属酸化物ナノ結晶と、金属酸化物ナノ結晶の1〜3倍モル程度の反応剤とを混合し、1〜2時間攪拌する。その後、貧溶媒であるアルコールなどを混合し、沈殿を生成させる。沈殿を遠心分離など通常の分離手段を用いて回収し、過剰の反応剤を洗浄除去することで結晶性金属酸化物・有機複合体を得ることができる。なお、金属酸化物ナノ結晶を修飾する化学種の割合は、使用する反応剤の量および洗浄回数などにより調節することができる。
以下に、実施例により本発明の実施態様を説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
金属酸化物前駆体である水酸化バリウム8水和物4.73mmolを、含酸素有機溶媒である20mLのメトキシエタノールに投入し、1時間攪拌溶解させた。含酸素有機溶媒である無水エタノール20mLに金属酸化物前駆体であるチタンテトライソプロポキシド4.3mmolを溶解させたチタン含有溶液を、先に調製した水酸化バリウムを含むメトキシエタノール溶液に室温状態で攪拌しながら滴下させた。このチタンとバリウムを含む混合溶液40mLに、さらに純水を2mL(0.11mmol)添加し、攪拌した後、混合溶液をテフロン(登録商標)製のオートクレーブ内容器に移し、ステンレス製のオートクレーブに格納し、240℃、6時間ソルボサーマル処理した。
なお、本実施例では水のモル数は、添加した純粋及び水酸化バリウム8水和物由来の水との合計で、0.148mmolである。一方、金属酸化物前駆体のモル数は、水酸化バリウム8水和物及びチタンテトライソプロポキシドの合計で9.03mmolである。よって、「水のモル数/金属酸化物前駆体のモル数」は16.3となっている。
処理後、反応物は4000rpm、30minの遠心分離処理をして溶液と沈殿物に分離し、沈殿物を純水で2回洗浄、エタノールで1回洗浄して60℃の空気中にて乾燥を行なった。得られた粉末をX線回折測定に供し、X線回折測定の2θ=31°付近の(110)面のピーク半価幅より下記のScherrer式を用いて結晶子径を計算した。
〔Scherrer式〕
結晶子サイズ(D)=K・λ/(β・cosθ)
ここで、KはScherrer定数でK=0.9であり、X線(CuKα1)波長(λ)=1.54056Å(1Å=1×10-10m)である。また、CuKα1線由来のブラッグ角(θ)および半価幅(βo)はプロファイルフィッティング法(Peason−XII関数又はPseud−Voigt関数)により算出した。さらに、計算に用いた半価幅βは予め標準Siにより求めておいた装置由来の半価幅βiから下記式を用いて補正した。
Figure 0005002208
結果を図1に示す。
[実施例2]
実施例1において、加える純水の量を3mLとした以外は実施例1と同様に行なった。結果を図1に示す。なお、本実施例において「水のモル数/金属酸化物前駆体のモル数」は23となっている。
[実施例3]
実施例1において、加える純水の量を4mLとした以外は実施例1と同様に行なった。結果を図1に示す。なお、本実施例において「水のモル数/金属酸化物前駆体のモル数」は28.6となっている。
[実施例4]
実施例1において、加える純水の量を6mLとした以外は実施例1と同様に行なった。結果を図1に示す。なお、本実施例において「水のモル数/金属酸化物前駆体のモル数」は40.7となっている。
[比較例1]
実施例1において、純粋を添加しない以外は同様の操作を行なった。結果を図1に示す。なお、本比較例において「水のモル数/金属酸化物前駆体のモル数」は4.2となっている。
[比較例2]
実施例1において、加える純水の量を1mLとした以外は実施例1と同様に行なった。結果を図1に示す。なお、本比較例において「水のモル数/金属酸化物前駆体のモル数」は10.3となっている。
[まとめ]
以上の結果から、本発明の製造方法によれば、金属酸化物ナノ結晶を得ることができる。また、図1から分かるように、水の共存量と結晶子径との間には相関が見られる。したがって、これを利用し、水の共存量を調整することにより、金属酸化物ナノ結晶の結晶子径を制御できることが分かった。
本発明は産業上の任意の分野で用いることができるが、特に高誘電率、高屈折率などが要求される情報電子機器分野で有用である。例えば、コンピューターなどの基板に内蔵可能なキャパシターとしては、その厚みが薄くなる傾向にあり、また、プロセス温度の低下などから有機無機複合材料が指向されている。こうした分野では本発明の製造方法により得られる結晶子径が10〜60nmに制御されたナノ粒子(例えばチタン酸バリウムなど)は、有機物と無機物を複合化する場合の添加剤として好適である。
本発明の実施例及び比較例の結果を表わすグラフである。

Claims (6)

  1. 金属酸化物前駆体を、含酸素有機溶媒及び前記金属酸化物前駆体のモル数に対して15〜50倍の水を共存させて、かつ前記含酸素有機溶媒中の前記金属酸化物前駆体の濃度が0.1mol/L以上でソルボサーマル法に供し、金属酸化物を得る
    ことを特徴とする、金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  2. 前記金属酸化物前駆体が、金属塩化物、金属アセテート、金属アルコキシド及び金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする、請求項1記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  3. 前記含酸素有機溶媒が、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、エステル類及びシロキサン類からなる群より選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  4. 前記含酸素有機溶媒及び前記金属酸化物前駆体の混合物を、密閉容器に封入し、加熱する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  5. 金属酸化物ナノ結晶の結晶子径が10nm以上60nm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  6. 前記金属酸化物がチタン酸バリウムである
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
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