JP4998310B2 - 固体撮像素子およびそれを用いた撮像装置 - Google Patents
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Description
一方、各色光の受光部に対応したカラーフィルタの赤色、緑色、青色の各色フィルタの厚みを赤色>緑色>青色のように設定することにより、固体撮像素子における感度低下を抑制し、色バランスを改善することが提案されている(特許文献1、2)。また、受光部上方の屈折率差のある媒質の境界面形状を各色毎に異なるように設定することにより、カラーフィルタの各色フィルタ毎の色収差を補正することが提案されている(特許文献3)。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、各色光毎の焦点距離が均一であり色シェーディングが抑制された固体撮像素子とこれを用いた撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の撮像装置は、上述の本発明の固体撮像素子を備えるような構成とした。
本発明の撮像装置は、斜め入射に起因するケラレ等のロスが少なく、入射光量に対しての効率分布の少ない高品位のものであり、小型化、薄型化が可能である。
[固体撮像素子]
図1は本発明の固体撮像素子の一実施形態を示す概略構成図である。また、図2は図1に示される固体撮像素子を構成するカラーフィルタ、上平坦化層、マイクロレンズを示す概略構成図である。図1において、固体撮像素子1は、一定の配置ピッチで2次元配置された複数の受光部3と転送電極4を備える基板2と、基板2上に絶縁層5を介して順次設けられた遮光層6、パッシベーション層7、下平坦化層8、カラーフィルタ9、上平坦化層10、および、マイクロレンズアレイ11を有している。
絶縁層5は、例えば、CVD法で成膜した酸化珪素等の透明膜からなり、受光部3と転送電極4を被覆するように形成されている。遮光層6は、個々の受光部3に対応して配置された複数の開口部を有するものであり、遮光性の金属層(例えば、Al、Al/Si/Cu合金等)で形成することができる。また、パッシベーション層7は窒化珪素、二酸化珪素等で形成することができ、下平坦化層8は樹脂材料で形成することができる。このような絶縁層5、下平坦化層8は、屈折率の波長依存性がほとんど無視できる程度である。また、パッシベーション層7は、屈折率の波長依存性が認められるが、膜厚が0.2μm程度と薄いので、マイクロレンズの集光性への影響は無視できる。
尚、本発明において屈折率は分光エリプソメータにより測定する。
まず、マイクロレンズアレイ11に入射した外光は各マイクロレンズ12により集光される。上述のように、マイクロレンズ12の赤色主波長における屈折率nMLr、緑色主波長における屈折率nMLg、青色主波長における屈折率nMLbとの間には、nMLb>nMLg>nMLrの関係が成立する。したがって、各主波長(例えば、赤主波長=620nm、緑主波長=540nm、青主波長=450nm)毎のマイクロレンズ12の焦点距離の大小を比べると、図3に示すように、赤色>緑色>青色の関係となる。
図6は、本発明の固体撮像素子の他の実施形態を示す図2相当の概略構成図である。この実施形態では、赤色フィルタ9Rの中央部膜厚Dr1と周縁部膜厚Dr2、緑色フィルタ9Gの中央部膜厚Dg1と周縁部膜厚Dg2、青色フィルタ9Bの中央部膜厚Db1と周縁部膜厚Db2とに、Db2−Db1>Dg2−Dg1>Dr2−Dr1の関係が成立する。これにより、上述した赤色フィルタ9Rにおける集光性の低下傾向が低減され、逆に、青色フィルタ9Gにおける集光性の低下傾向が増大されるので、上述の図4に示される状態から図5に示される状態への焦点距離の修正をより正確に行うことができる。
上述の固体撮像素子の実施形態は例示であり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図12は、本発明の撮像装置の一実施形態を示す概略断面図である。図12において、本発明の撮像装置21は、本発明の固体撮像素子22を備えた基板23と、固体撮像素子22の外側に配した封止用部材24と、この封止用部材24を介して固体撮像素子22と所望の間隙を設けて対向するように配設された保護材25とを備えている。また、固体撮像素子22は配線26、表裏導通ビア27を介して外部端子28に接続されている。このようなセラミックパッケージ型の撮像装置21は、種々のデジタルカメラ、ビデオカメラ等に使用することができ、カメラの高感度化、小型化、薄型化が可能である。
本発明の撮像装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、固体撮像素子として本発明の固体撮像素子を備えるものであればよく、従来の種々の撮像装置の構成をそのまま採用することができる。
[実施例1]
まず、画素受光部ピッチ5.7μm、画素数2592個×1944個のフォトダイオードからなるCMOSセンサーを形成したウェハを用意した。
次に、上記のウェハ上に、以下のようにして、下平坦化層、カラーフィルタ、上平坦化層、および、マイクロレンズアレイを形成した。
パッシベーション層上に、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 CT−2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って下平坦化層(厚み1.2μm)を形成した。この下平坦化層について、各主波長(赤主波長=620nm、緑主波長=540nm、青主波長=450nm)での屈折率を測定した結果、赤主波長および緑主波長における屈折率は1.51であり、青主波長における屈折率は1.52であり、波長依存性は無視できるものであった。
ネガ型感光性の赤色材料(R用材料)、緑色材料(G用材料)、青色材料(B用材料)として以下の材料を用意した。
R用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SR−4000L
G用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SG−4000L
B用材料:富士マイクロエレクトロニクスマテリアルズ(株)製 SB−4000L
G、R、Bの形成順序で、上記材料をスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、ポストベークを行って、カラーフィルタを形成した。すなわち、まず、下平坦化層上にG用材料を塗布し、露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、市松状に表面が平坦な緑色フィルタ(中央部膜厚1.0μm)を形成した。次に、この緑色フィルタを被覆するようにR用材料を塗布し、露光波長では解像しないような微細なドットパターンで階調を表現したフォトマスク(図11に示すようなフォトマスクよりも階調を弱くしたフォトマスク)を用いて露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、表面が平坦な赤色フィルタ(中央部膜厚0.7μm)を形成した。次いで、赤色フィルタ、緑色フィルタを被覆するようにB用材料を塗布し、露光波長では解像しないような微細なドットパターンで階調を表現したフォトマスク(図11に示したフォトマスクの1画素内の遮光部と光透過部を反転し、かつ、階調を弱くしたフォトマスク)を用いて露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、表面が平坦な青色フィルタ(中央部膜厚1.3μm)を形成した。これにより、図1、図2に示されるようなカラーフィルタを形成した。
形成したカラーフィルタの各色フィルタについて、各主波長(赤主波長=620nm、緑主波長=540nm、青主波長=450nm)での屈折率を測定した。その結果、赤色フィルタの赤色主波長における屈折率nr=1.70、緑色フィルタの緑色主波長における屈折率ng=1.60、青色フィルタの青色主波長における屈折率nb=1.55であった。
上平坦化層に、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製 MFR401Lをスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、後露光、ポストベークによるメルトフローを行って、マイクロレンズ(高さ1.23μm)を形成した。尚、現像液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の1.19%液を使用した。
上記の露光において使用したフォトマスクは、画素受光部ピッチ5.7μmに対し、有効撮像領域中心を中心として99.9887%の微小スケーリングを掛けてマイクロレンズパターンを配置した設計とした。
次いで、ウェハのダイシングを行い、パッケージ組立を行って、本発明の固体撮像素子を作製した。
このように作製した固体撮像素子にF2.8のカメラレンズを組み合わせ、赤色、緑色、青色の各色光間の感度差を測定した結果、主光線入射角度0°では1.1%であり、主光線入射角度10°では0.7%であり、色シェーディングが抑制されていることが確認できた。
カラーフィルタを下記のように形成した他は、実施例1と同様に、固体撮像素子を作製した。
(カラーフィルタの形成)
実施例1と同様の材料を使用し、G、R、Bの形成順序で、上記材料をスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、ポストベークを行って、カラーフィルタを形成した。すなわち、まず、下平坦化層上にG用材料を塗布し、露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、市松状に表面が平坦な緑色フィルタ(中央部膜厚1.0μm)を形成した。次に、この緑色フィルタを被覆するようにR用材料を塗布し、露光波長では解像しないような微細なドットパターンで階調を表現した図11に示すようなフォトマスクを用いて露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、表面が凸形状の赤色フィルタ(中央部膜厚0.7μm、中央部から半径2.85μmの距離の周縁部膜厚0.61μm)を形成した。次いで、赤色フィルタ、緑色フィルタを被覆するようにB用材料を塗布し、露光波長では解像しないような微細なドットパターンで階調を表現したフォトマスク(図11に示したフォトマスクの1画素内の遮光部と光透過部を反転したフォトマスク)を用いて露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、表面が凹形状の青色フィルタ(中央部膜厚1.3μm、中央部から半径2.85μmの距離の周縁部膜厚1.50μm)を形成した。これにより、図6に示されるようなカラーフィルタを形成した。
カラーフィルタを、各色フィルタの厚みが1.0μmとなるように形成し、このカラーフィルタ上に厚み1.0μmの上平坦化層を形成した他は、実施例1と同様に、固体撮像素子を作製した。
このように作製した固体撮像素子にF2.8のカメラレンズを組み合わせ、赤色、緑色、青色の各色光間の感度差を測定した結果、主光線入射角度0°では1.6%であり、主光線入射角度10°では1.1%であり、色シェーディングが発生していることが確認された。
カラーフィルタを構成する赤色フィルタと青色フィルタを入れ換えて形成(赤色フィルタの厚み1.3μm、青色フィルタの厚み0.7μm)した他は、実施例1と同様に、固体撮像素子を作製した。
このように作製した固体撮像素子にF2.8のカメラレンズを組み合わせ、赤色、緑色、青色の各色光間の感度差を測定した結果、主光線入射角度0°では2.1%であり、主光線入射角度10°では1.4%であり、色シェーディングが発生していることが確認された。
上平坦化層の形成材料として、マイクロレンズ材料(JSR(株)製 MFR401L)を使用して、波長450nm、540nm、620nmでの屈折率が、それぞれ1.62、1.61、1.60である上平坦化層を形成した他は、実施例1と同様に、固体撮像素子を作製した。
このように作製した固体撮像素子にF2.8のカメラレンズを組み合わせ、赤色、緑色、青色の各色光間の感度差を測定した結果、主光線入射角度0°では3.0%であり、主光線入射角度10°では2.4%であり、色シェーディングが発生していることが確認された。
2…基板
3…受光部
4…電極
5…絶縁層
6…遮光層
7…パッシベーション層
8…下平坦化層
9…カラーフィルタ
9G…緑色フィルタ
9R…赤色フィルタ
9B…青色フィルタ
10…上平坦化層
11…マイクロレンズアレイ
12…マイクロレンズ
21,31…撮像装置
Claims (3)
- 2次元配置された複数の受光部と、下平坦化層と、個々の前記受光部に対応させて赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタが該下平坦化層に配列されてなるカラーフィルタと、該カラーフィルタを被覆するように配設された上平坦化層と、個々の前記受光部に対応させて複数のマイクロレンズが該上平坦化層に2次元配置されてなるマイクロレンズアレイとを少なくとも備え、
前記赤色フィルタの赤色主波長における屈折率nr、前記緑色フィルタの緑色主波長における屈折率ng、前記青色フィルタの青色主波長における屈折率nbとの間に、nr>ng≧nbの関係があり、かつ、屈折率nr、ng、nbは対応する波長での前記上平坦化層の屈折率よりも大きく、
前記赤色フィルタの中央部膜厚Dr1、前記緑色フィルタの中央部膜厚Dg1、前記青色フィルタの中央部膜厚Db1との間に、Db1>Dg1>Dr1の関係があり、
前記マイクロレンズの赤色主波長における屈折率nMLr、緑色主波長における屈折率nMLg、青色主波長における屈折率nMLbとの間に、nMLb>nMLg>nMLrの関係があり、かつ、屈折率nMLr、nMLg、nMLbは対応する波長での前記上平坦化層の屈折率よりも大きいことを特徴とする固体撮像素子。 - 前記赤色フィルタの中央部膜厚Dr1と周縁部膜厚Dr2、前記緑色フィルタの中央部膜厚Dg1と周縁部膜厚Dg2、前記青色フィルタの中央部膜厚Db1と周縁部膜厚Db2は、Db2−Db1>Dg2−Dg1>Dr2−Dr1の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
- 請求項1または請求項2に記載の固体撮像素子を備えることを特徴とする撮像装置。
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