JP4997504B2 - ポリ乳酸の分解方法、ポリ乳酸分解組成物及びそれに用いる微生物 - Google Patents

ポリ乳酸の分解方法、ポリ乳酸分解組成物及びそれに用いる微生物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ乳酸の分解方法、ポリ乳酸分解組成物及びそれに用いる微生物に関する。
近年、プラスチックの使用量が増加するにつれて、環境への配慮から天然環境下で分解可能な生分解性プラスチックの開発が進められている。例えばポリ乳酸は、水系環境下で加水分解可能な高分子であり、その分解には酵素が用いられることもある。またポリ乳酸を直接分解する微生物についてもいくつか同定されている。
ポリ乳酸分解能を有する微生物としては、例えば、土中から30℃で分離されたアミコラトプシス属放線菌、サッカロスリクス属放線菌、ストレプトマイセス属放線菌が知られている(例えば、特許文献1〜4)。また分子構造中にエステル結合を有するプラスチックの分解能を有するペニバチルス属細菌も、土中から30℃で分離されている(特許文献5)。これらの菌は、30℃4時間程度の処理でポリ乳酸を分解する。また、特許文献6〜7には、土中から50℃で分離されたバチルス・ズブチリス、バチルス・サーキュランス、バチルス・ステロサーモフィラス、アクチノマデュラ属放線菌、スタフィロコッカス属細菌が記載されている。これらの菌は、50℃における2週間程度の処理でポリ乳酸を分解する。
特開平9−37776号公報 特開2000−60540号公報 特開2001−128693号公報 特開平10−108669号公報 特開2004−166542号公報 特開平11−4680号公報 特開平11−46755号公報
しかしながら、プラスチックの分解処理速度は一般に温度に依存して速くなるが、微生物の生育適温を超えると微生物による分解活性が低下する。一方、微生物のポリ乳酸の分解能は、その微生物種によって異なる。
従って、本発明は、ポリ乳酸を効率よく分解可能な、ポリ乳酸の分解方法、ポリ乳酸分解組成物及びこれに利用可能な微生物を提供することを目的とする。
本発明のポリ乳酸の分解方法は、ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを含むものである。
また、本発明のポリ乳酸分解組成物は、ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ又はその破砕物を含むものである。
上記ポリ乳酸の分解方法及び分解組成物において利用可能な本発明の微生物は、ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアT16−4 (Actinomadura atraherbacea T16-4、受託番号FERM P−21063)である。
本発明によれば、ポリ乳酸を効率よく分解可能なポリ乳酸分解方法、ポリ乳酸分解組成物及びこれに利用可能な微生物を提供することができる。
本発明のポリ乳酸の分解方法は、ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアT16新種株又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを含むものである。
また本発明のポリ乳酸分解組成物は、ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセア T16新種株又はその破砕物を含むものである。
本発明におけるポリ乳酸としては、乳酸を主成分とする重合体であればよく、ポリL−乳酸及びポリD−乳酸のようなホモポリマー、ポリL/D−乳酸、これらと他の成分から構成される共重合を挙げることができる。共重合体である場合には、乳酸成分は重量比率が10%以上のものであることが好ましい。また共重合体を構成する他の成分としては、ε−カプロラクトン、グリコリド、デプシペプチド等を挙げることができる。これらの他の成分は1種であっても、2種以上であってもよい。
本発明によって分解可能ポリ乳酸の分子量には特に制限はないが、例えば数平均分子量10,000〜100,000、分解速度の観点から好ましくは50,000〜300,000とすることができる。
本発明における放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアは、ポリ乳酸分解能を有する新菌種である。
このアクチノマデュラ・アツラハバセアT16、特に、アクチノマデュラ・アツラハバセア T16−4株(茨城県つくば市東1−1−1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター、受番号FERM P−21063、2006年10月19日付受領にて寄託)であることが分解活性の高さから好ましい。
アクチノマデュラT16−4は、後述するように、森林土壌から、50℃の温度条件下でポリ乳酸を分解可能な微生物として分離された菌であり、グラム陽性を示し、TSB(Trypticase Soy Broth, Becton Dickinson)寒天培地、50℃で培養した菌は幅約1μmの糸状の菌であり、トゲを有する球形胞子が10〜15個連結する胞子鎖を形成する(図2)。また、鋸歯状の円形コロニーを形成し、その表面にはしわがあり、光沢はなく、ポリ乳酸の分解について優れた能力を有する。
本微生物は、後述するように、形態的性質、培養的性質、生理学的性質、16S rDNA配列の相同性および、DNA−DNAハイブリダイゼイションの観点から、他の近縁菌種とは区別可能な菌であり、ポリ乳酸を分解すると共にセルロースおよび澱粉の分解能、マンノースの資化性および60℃での生育能という共通の性質を有しているものである。
本発明に用いられる微生物は、通常用いられる条件下で培養して、維持・増殖させることができる。このような培養条件としては、pH4〜10、生育速度の観点から好ましくはpH6.0〜8.0のpH、40〜60℃、生育速度の観点から好ましくは45〜55℃の培養温度とすることができる。
本発明に係る微生物を維持可能な培養用の基本培地(以下、単に「培地」という)としては、窒素源として例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなど、その他無機塩類としては、例えばリン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウム、塩化マンガンなどを、それぞれ含むものであって、通常利用される固体又は液体培地であればいずれも好ましく使用できる。なお、培地には、上記成分の他、微生物の成育を促進させるための各種ビタミン、ミネラル、その他の栄養成分を含ませてもよい。
本微生物は、種々の形態でポリ乳酸の分解に用いられる。このような形態としては、微生物菌体、菌体の破砕物及び微生物の培養上清などの各形態から適宜選択することができる。菌体の場合には、その培養物から遠心分離等の集菌操作によって得られる生菌体、菌体を凍結乾燥した乾燥粉末、微生物を含む培養液のいずれであってもよい。破砕物としては、物理的手段又は化学的手段によって破砕されたものであればよく、物理的手段としては、物理的手段としては、超音波粉砕機、グラスビーズを用いた細胞破砕機などを挙げることができ、化学的手段としては、リゾチームなどの容菌酵素を挙げることができる。物理的手段又は化学的手段を用いて菌体を破砕する場合には、それぞれ破砕物の分解活性を損なわない穏和な条件下で行うことが好ましい。培養上清としては、前述した液体培地中で微生物を培養したものであればよく、培養上清における分解活性の強さから、好ましくは培養2日目以降、更に好ましくは培養3日以降の培養上清を使用することができる。
ポリ乳酸の分解処理は、適当な形態に調製された上記微生物又はその破砕物を、好気条件下、処理されるべきポリ乳酸と接触させることによって行われる。分解処理時のpHは、pH4〜10、分解速度の観点から好ましくはpH6.0〜8.0とすることができる。また分解処理時の温度は、40℃〜60℃、ポリ乳酸の処理速度の観点から好ましくは45〜55℃とすることができる。処理時間は、2日間〜10日間、処理効率の観点から好ましくは3日間〜7日間とすることができる。
また、ポリ乳酸の分解処理を行う際のポリ乳酸の形態は、フィルム(シート)、成型体、破砕物、粉末、懸濁液などを挙げることができ、これらのいずれであってもよい。また分解処理時のポリ乳酸は、上述したようなポリ乳酸単独であってもよく、他のプラスチックとの混合物であってもよい。
分解処理におけるポリ乳酸の量は、対象となるポリ乳酸の形態及び処理に用いる微生物の形態によって異なるが、本菌培養液に100mlに対して、0.1〜5.0グラムとすることができ、分解速度の観点から0.5〜1.0グラムとすることができる。
処理は、培養槽に、基本培地、処理対象のポリ乳酸、分解能を有する微生物又はその破砕物を配合した粉末、錠剤、培養液を添加することによって行ってもよく、微生物を活性汚泥及びコンポストに組み込むことによって行ってもよい。
本発明にかかるポリ乳酸分解組成物は、上記微生物、その破砕物又はこれらの混合物を含んでいればよく、微生物又はその破砕物のみで構成された乾燥形態又は、適当な液体担体に混合された液体形態であってもよい。
液体形態を構成するために用いられる液体担体としては、この用途に通常用いられるものであれば特に制限されず、水、緩衝液等を挙げることができる。この液体担体のpHは、6.0〜9.0であればよく、分解活性の観点から好ましくは7.0〜8.0とすることができる。
この他、ポリ乳酸の分解に適用可能な条件としては、本発明にかかる微生物の活性を損なわない限り、既知の条件をそのまま適用可能である。
以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。
[実施例1]
1. ポリ乳酸(PLA)を分解する微生物の分離
(1) 表1に示す組成のポリ乳酸(PLA)含有基本培地を400ml調製し、それを等量に分け、一つには寒天を6g添加し加熱滅菌(120℃、20分間)する。加熱滅菌後、寒天を添加していない培地に16mlのジククロロメタンで溶解したPLA(レイシアH400、住友化学)を加え、超音波破砕機を用いて十分に乳化(10分間)させた。この乳化したPLAを、寒天を添加した培地に加え十分攪拌後、シャーレに分注し、PLA乳化寒天培地を作製した。
(2) 森林土壌から、マイクロスパーテルを用いて少量の土壌サンプルを採取し、試験管に分注してある3mlの滅菌水に懸濁する。次に超音波洗浄機で試験管を30秒間処理して、さらに攪拌機を用いて十分(3分間)に懸濁する。この懸濁液0.1mlを、上記PLA乳化寒天培地に塗抹し、50℃で培養した。この結果、寒天培地上にPLA分解によるクリアゾーンを形成する株を11株得た。そのうちの1つをT16−4株と名付けた。
2.本実施例にかかる菌株の各種性質
(1)T16−4の形態的、培養的、生理学的性質
本発明にかかる新種菌T16−4株の形態的性質及び培養的性質、生理学的性質を表2に示す。生育培地としては、イースト・麦芽寒天培地(ISP培地No.2)、オートミール寒天培地(ISP培地No.3)、スターチ・無機塩寒天培地(ISP培地No.4)、グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP培地No.5)を用いた。
なお、新種菌T16−4株の性質が明確となるように、近縁菌アクチノマデュラ・ヴィリヂルテア(A.vilidilutea NBRC 14480)及びアクチノマデュラ・ルブロブルネア(A.rubrobrunea NBRC 15275)と比較した。
(2)T16−4の菌体脂質組成
次に、T16−4の脂肪酸組成分析は、MIDIシステムを用いたMillerの方法(放線菌の分類と同定、日本放線菌学会編、p72〜76、日本学会事務センター)に従って行った。簡単に説明すれば、菌体脂肪酸をアルカリメタノール及び塩酸メタノールを用いて脂肪酸メチルエステルとし、ガスクロマトグラフィーにて分析する。結果を表3に示す。
なお、表中のアクチノマデュラ・ヴィリヂデュテの菌体脂肪組成は、Kroppenstedt,R.M. et al., (1990) System.Appl.Microbiol., Vol.13, pp148-160を参照した。またアクチノマデュラ・ルブロブルネの菌体脂肪組成は、Agre and Guzeva (1975) Mikrobiologiya. Vol.44, pp518-522 を参照した。
(3)16S rDNAによる分類同定
次に、T16−4の16S rDNA配列に基づく分類同定を、下記のように常法に従って行った。なお、近縁菌の16S rDNAは次のものを用いた:アクチノマデュラ・ルブロブルネア(Actinomadura rubrobrunea)[GenBank Accession No. AF134069]、アクチノマデュラ・ヴィリヂルテア(Actinomadura viridilutea)[GenBank Accession No. D86943]、アクチノマデュラ・オリゴスポーラ(Actinomadura oligospora)[GenBank Accession No. AF163118]、アクチノマデュラ・ヒビスカ(Actinomadura hibisca)[GenBank Accession No. AJ293705]、アクチノマデュラ・アトラメンタリア(Actinomadura atramentaria)[GenBank Accession No. AJ420138]、アクチノマデュラ・ナミビエンシス(Actinomadura namibiensis)[GenBank Accession No. AJ420134]、アクチノマデュラ・キヤニアタ(Actinomadura kijaniata)[GenBank Accession No. X97890]。
T16−4を始めとする対象菌を、TSB(Becton Dickinson)平板培地に画線し、50℃にて24時間培養した。コロニーを楊枝でピックアップし、20μlの滅菌蒸留水に懸濁した。楊枝の先で、押しつぶしながら混ぜ、180μlのInstaGene Matrix(BIO-RAD社製)を加えた。手で軽く攪拌し、100℃で15分間加熱した。加熱後、10秒間以上攪拌し、12,000rpm(13,000×g)で2〜3分間遠心した。上澄み20μlを50μlスケールのPCRテンプレートとして用いた。
T16−4株の16Sr DNA遺伝子の増幅は、後述する表4に記載した9F(配列番号1)及び1541R(配列番号2)をプライマーとして行った。サーマルサイクラーは、TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Standard(タカラバイオ株式会社)を使用した。ポリメラーゼには、Hot Star Taq DNA polymerase(株式会社キアゲン)を使用した。反応液はマニュアルに準じて調製した。PCR反応を、96℃5分間を1サイクル、97℃45秒間、50℃30秒間、74℃1分間の一連の処理を5サイクル、96℃45秒間、50℃30秒間、74℃1分間の一連の処理を25サイクルとして行い、PCR産物は、PCR Purification Kit -Spin Type- (BIONEX社製)を用いて精製した。
DNAの配列決定はダイターミネーター法により行った。塩基配列の決定には、ABI PRISM 3100 DNA Sequencer(Applied Biosystems社)を使用した。サイクルシークエンス、シークエンシング産物の精製、シークエンス条件についてはマニュアルの方法に従い、以下の方法で行った。
1)シーケンスサンプルの調製
シーケンスサンプルの調製は、専用キットBigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を使用し、シーケンスには、表4に記載した9F、1541R、785F(配列番号3)、802R(配列番号4)を使用した。サイクルシークエンス条件及びサンプル調製方法はマニュアルの方法を一部改変し、反応液をマニュアルに準じて調製し、PCR反応を行った。PCR条件は、96℃1分間を1サイクル、96℃10秒間、50℃5秒間、60℃4分間の一連の処理を25サイクルとした。
2)シークエンシングサンプルの精製
上記で得られたサンプルに、Clean SEQ(Agencourt社製)10μlを混ぜながら添加した。62μlの85%エタノールを添加して、ピペッティング後、磁気プレート上に置き、3分間静止した。透明になっていることを確認して溶液を廃棄した。85%エタノールを100μl添加し、30秒静置した。溶液を廃棄し、同操作を繰り返した。37℃で10分間インキュベートし、0.1mM EDTA(pH8.0)を40μl加えて、5分間静置した。
16S rDNA部分塩基配列の決定は以下のとおりに行った。各プライマーから得られた塩基配列は、Genetix-ATGC ver.10.1(Software development 社製)で編集し、16S rDNA部分塩基配列を決定した(配列番号5:1450bp、図1参照)。決定された塩基配列を、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 日本DNAデータバンク(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp/)よりBLAST検索を行った。
なお、この16S rDNAによる分類同定法では、99.8%以上の相同性で同一種と推定できる。
結果を表5に示す。
表5に示されるように、T16−4と99%以上の相同性を示す菌はなく、最も相同性が高かったアクチノマデュラ・ルブロブルネア及びアクチノマデュラ・ヴィリデュテに対してもそれぞれ98.0%及び97.9%であった。
(4)DNA−DNA相同性試験
次に、T16−4のDNA−DNA相同性に基づく分類同定を、江崎らの蛍光法(放線菌の分類と同定、日本放線菌学会編、p134〜137、日本学会事務センター)に従って行った。簡単に説明すれば、全DNAを抽出後、常法に従ってマイクロプレートへ全DNAを固定し、フォトビオチン(ベクターラボラトリーズ株式会社、#SP−1000)を添加後、水銀ランプで照射して、DNAを標識する。標識済DNAと他方のDNAとをハイブリダイズさせた後に、ストレプトアビジン−酵素(β−ガラクトシダーゼ)溶液を所定量添加し、次いで蛍光基質(4−MUF−β−D−ガラクトプラノシド)を反応させて、蛍光強度をマイクロプレートリーダで測定し、蛍光強度に基づいて相同性を計算する。
DNAの調製は、Instagene Matrix (Bio-Rad社)を用いて行った。なお、近縁菌としては、上記の16S rDNAによる分類同定法によって約98%以上の相同性を示したアクチノマデュラ・ルブロブルネア(Acrinomadura rubrobrunea NBRC 15275)、アクチノマデュラ・ヴィリヂルテア(Actinomadura Viridilutea NBRC 14480)を使用した。
このDNA−DNA相同性試験では、70%以上のDNA相同性であれば同一菌種であり、60〜70%の類似度で亜種と推定できる。
結果を表6に示す。
表6に示されるように、16S rDNAによる分類同定法において最も相同性が高く近縁種と思われる2菌株に対しても、それぞれ50%以下の相同性であった。
これらのことから、T16−4株は、以下の特徴的な性質を有していることが明らかとなった。
(1)好気性、グラム陽性、非抗酸/抗アルコール性、非運動性の放線菌である。
(2)ISP−2、4及び5においてクリーム−黄色の基生菌糸を形成し、ISP−5において拡散性色素を生産しない。
(3)気菌糸は稀であるが、存在する場合には、ISP−4では緑−灰色、ISP−2及び3では白である。
(4)T16−4の走査型顕微鏡写真像(図2)では、フミン酸ビタミン(HV)寒天培地における生育後に短い螺旋鎖のトゲを有する球形胞子を示す。
(5)30℃〜60℃、6%NaClの存在下で生育する。
(6)セルロース、でんぷん、オートミール及びポリ乳酸を分解可能であり、硝酸塩を亜硝酸に還元する。
(7)ペプチドグリカンのキーアミノ酸ではmeso−DAPである。
(8)細胞加水分解物には、ガラクトース、グルコース、マデュロース、マンノース及びリボースが含まれ、リン脂質には、ジホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール及びホルファチジルイノシトールマンノシドが含まれる。
(9)主要な脂肪酸メチルエステルはイソC16:0及びイソC17:0である。
(10)主要なメナキノン類は、MK−9(H)、MK−9(H)及びMK−9(H)である。
(11)G+C含量は72mol%。
この結果、T16−4は、16S rDNA配列の相同性および、DNA−DNAハイブリダイゼイションの観点から、他の近縁菌種とは区別可能な菌であり、ポリ乳酸を分解すると共にセルロースおよび澱粉の分解能、マンノースの資化性および60℃での生育能を根拠として、新菌種(New Species)と決定し、アクチノマデュラ・アツラハバセアT16−4sp. nov. (Actinomadura atraherbacea T16-4 sp. nov)とした。
3.T16−4株によるPLA分解−1
上記で得られたT16−4株のPLA分解能を調べた。
上記1で使用した0.1%PLA乳化寒天培地に、T16−4株を移植し、50℃で培養した。結果を表7及び図3に示す。50℃5日間後の培地には、T16−4株による直径約3cmのクリアゾーンが形成された(図3参照)。
また、50℃3日間の培養では、T16−4株はPLA乳化寒天培地上に直径約2cmのクリアゾーンが形成した。
従来のPLA分解活性性微生物(ストレプトアロテイカス・ヒンズスタヌス、サッカロモノスポラ・アズレア、キブデロスポランギウム・アリズム、サッカロポリスポラ・エリスラエ、サッカロポリスポラ・ホルデイ、ストレプトアロテイカス・ヒンズスタヌス、レントゼア・アルビドカピラタ、アクチノキネオスポラ・リパリア、アクチノポリスポラ・ハロフィラ、アクチノポリスポラ・モルチバリス、アクチノマデュラ・ビィリディス、ストレプトマイセス・ビオァセウスニガー、ストレプトマイセス・シアネス、アミコラトプシス・メディテラネイ)が3cm程度のクリアゾーンを形成するのに2週間かかることから、T16−4株によるPLA分解活性は従来の菌株よりも優れていることがわかる。
[実施例2]
TSB(Becton Dickinson)寒天斜面培地から一白金耳量のT16−4株の菌体を5mlのTSB培地(試験管、φ18mm)に植菌し、50℃で振とう培養(180rpm、20時間)した。この培養液0.1mlを0.1gのPLAフィルムを含む5ml(試験管、φ18mm)のM229培地(0.5%酵母エキス、0.1%塩化カルシウム、pH7.3、PLAの最終濃度は0.5%)に植菌し、50℃で振とう培養(180rpm)した。
培養の結果、培地中のPLAは、T16−4によって72時間後に完全に分解された。
[実施例3]
PLA最終濃度0.1%PLA液体培地を用いた以外は実施例2と同様にして、T16−4のPLA分解能を評価した。その結果、PLAは1〜2日程度で完全に分解した。
従来の上記PLA分解菌では、0.1%PLA液体培地中のPLAを3週間以上かかっても完全に分解できないことから、T16−4株によるPLA分解活性は従来の菌株よりも優れていることがわかる。
このように本発明のPLA分解菌T16−4は、PLA分解能が高く、PLA分解が求められる分野において有用な微生物であることが明らかであった。
本発明のT16−4株の16S rDNA部分塩基配列である。 本発明のT16−4株の電子顕微鏡写真(9000倍)である。 本発明のT16−4株によるPLA分解活性を示す写真である。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセア又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを含むポリ乳酸の分解方法。
  2. 前記放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアが、放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアT16−4 (Actinomadura atraherbacea T16-4、受託番号FERM P−21063)である請求項1記載のポリ乳酸の分解方法。
  3. ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセア又はその破砕物を含むポリ乳酸分解組成物。
  4. 前記放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアが、放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアT16−4(Actinomadura atraherbacea T16-4、受託番号FERM P−21063)である請求項3記載のポリ乳酸分解組成物。
  5. ポリ乳酸分解能を有する放線菌アクチノマデュラ・アツラハバセアT16−4 (Actinomadura atraherbacea T16-4、受託番号FERM P−21063)。
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