JP4989207B2 - インクジェット記録システムおよび記録装置 - Google Patents
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Description
微小径の吐出ノズルから微小インク液滴を安定して吐出するためには、目詰まりを生じないことが重要であり、調製後にインク中のゴミ及び不純物が精密濾過により除去されたインクジェット記録用インクを使用する必要がある。
また、特許文献3には、インクと接するニッケル、リン酸化処理ニッケル等を用いた部分の腐食を防止するために、ホットメルト型インクに、アジン系着色剤と金属腐食防止用リン化合物とを含有させる技術、特許文献4には、p−tert−ブチル安息香酸カリウムをインクに添加し、ニッケル合金やニッケル表面に保護膜を形成することによって、金属イオンの溶出を抑制する技術、特許文献5には防錆剤として、1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物を添加したインクが開示されている。
しかし、これらのインクジェット記録用インクを用いても、プリントヘッド内でのインクの詰まりを抑制するには充分とは言い難い。
(1)ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、前記圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムであって、前記インクが、テトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸を金属イオン捕捉剤として含むことを特徴とするインクジェット記録システム。
(2)前記テトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸は、1,4,7,10‐テトラアザシクロドデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(DOTA)、1,5,9,13‐テトラアザシクロヘキサデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(HETA)、1,4,7,10‐テトラアザシクロトリデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(TRITA)、および1,4,8,11‐テトラアザシクロテトラデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(TETA)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)に記載のインクジェット記録システム。
(3)前記インクは、前記金属イオン捕捉剤を0.01重量%以上を含んでいることを特徴とする(1)または(2)に記載のインクジェット記録システム。
(4)前記インクは、グリセリンを10重量%以上、2‐ピロリドンを5重量%以上を含み、前記インク中の遊離多価金属イオン総量が100ppm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
(5)前記インクジェット記録ヘッドは、複数のドット形成部からなり、該ドット形成部は前記加圧室とそれに連通する前記ノズルを有し、前記加圧室は基板と内部に共通電極が形成された前記圧電素子とから構成されており、前記圧電素子に駆動電圧を印加するための個別電極が前記圧電素子の前記加圧室に対向する位置に配設されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
(6)少なくとも、着色剤および溶剤からなり、さらにテトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸を金属イオン捕捉剤として含むことを特徴とするインクジェット記録システム用のインク。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドはノズルを500個以上有し、前記記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に対して直交する水平方向に2個以上配置してなるインクジェット記録システムを用いたことを特徴とする記録装置。
本発明のインクジェット記録システムは、ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、この圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えており、前記インクは金属イオン捕捉剤としてテトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸を含有する。前記テトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸は、少なくとも下記式で表される1,4,7,10‐テトラアザシクロドデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(DOTA)、1,5,9,13‐テトラアザシクロヘキサデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(HETA)、1,4,7,10‐テトラアザシクロトリデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(TRITA)、1,4,8,11‐テトラアザシクロテトラデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(TETA)のいずれか1種であるのが好ましい。前記金属イオン捕捉剤は好ましくは0.01重量%以上含有するのがよい。また、前記インクは、好ましくはグリセリンを10重量%以上、2−ピロリドンを5重量%以上含有し、前記インク中の遊離金属イオン量が100ppm以下の記録用水系インクを用いるのが好ましい。
これら多価金属イオンは、インクを構成する成分やプリントヘッドの構成部材によって還元される結果、インク流路内での金属イオンによる流路閉塞に加えて、圧電素子表面への付着により、更に一層吐出安定性が低下するといった問題が生じている。そのため、これら遊離金属イオンの活性を低減させるために、有機配位子を利用して安定な錯塩を形成させる必要がある。
なお、多価金属イオンとは、ニッケル、クロム、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、鉛をいう。これらの金属イオンは、原子吸光定量分析およびICP定性分析によって容易に測定することができる。
しかし、これらの配位子は鎖状であるため、金属の配位力は充分でなく、或る遊離金属イオンと金属錯塩を形成したとしても、より配位結合力の強い金属イオンと接触すると、交換反応を生じてしまうため、効率的に遊離金属イオンを集積させることができない。
また、EDTA、DPTAの無水物を用いた場合には、金属イオンとの配位子であるカルボン酸部分の一部が、インク流路内の壁面や圧電素子表面との結合に使用されるため、二官能性キレート配位子を用いる方法に比べて、金属との配位力が低下する。
そこでより強い金属捕捉能を有する二官能性キレート配位子として、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイテイ(J. Am. Chem. Soc., 1988, 110, 6266)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイテイ・ケミカル・コミュニケーション[J. Chem. Soc., Chem. Commun., 794, 797 (1989), 1739 (1990)]に記載されている大環状キレート配位子を挙げることができる。
本発明におけるインクは、少なくとも、水、着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤からなり、その他に必要に応じてpH調整剤、防腐防カビ剤等を添加することができる。
有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、金属錯体系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ベリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系の各顔料が挙げられる。無機顔料としては、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられる。例えば、三菱化学株式会社製のカーボンブラックとして、♯20B、♯40、MA100などが挙げられる。デグサ社製のカーボンブラックとして、カラーブラックFW18、カラーブラックS170、スペシャルブラック250等が挙げられる。コロンビアカーボン社製のカーボンブラックとして、コンダクテックスSC、ラーベン1255などが挙げられる。キャボット社製のカーボンブラックとして、モナーク700、モナーク880、エルフテックス12などが挙げられる。
更に、水性媒体に不溶であれば、油溶染料、分散染料等を用いることもできる。具体的には、黄色系としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、65、83が挙げられる。また、赤色系としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、49、50、51、52、53、55、60、64、83、87、88、89、90、112、114、123、163等が挙げられる。青色系としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、22、25等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物やエタノールアミン、プロパノールアミン、メチルエタノールアミン等のアルコールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、各種の脂肪族アミンなどが挙げられる。
本発明の顔料分散体は、分散時での異物やゴミ、粗大粒子等を除去するために遠心分離装置を使用したり、フィルターをして濾過することも好ましく行われる。
次に、記録用インクの調製法について説明する。本発明のインクは、水性媒体中に少なくとも有機顔料とアルカリ可溶性樹脂から成る顔料分散剤とその中和剤とを分散させ、得られた分散液を水性媒体で希釈することにより得られる。
分散処理及び希釈は従来公知の方法に従って行うことが出来る。上記の分散処理で使用する分散機としては、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル等の分散機が挙げられる。これらの中では、高速度のサンドミルが好ましく、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノミル、パールミル、コボルミル(何れも商品名)等が好適に使用される。得られた高濃度の分散液は、通常2〜10重量倍に希釈されて所望の濃度の記録用インクとされる。
製造時において記録用インク中に遊離する金属イオン量は、公知の方法で調整することができる。例えば、陽イオン交換樹脂(弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂)としては、多価金属イオンを除去し得る限りその種類は制限されず、市販品の中から適宜選択することが出来る。具体的には、「DIAION WK 10」、「DIAION WK 11」、「DIAION WK 20」、「DIAION PA 406」、「DIAION PA 408」、「DIAION PA 412」、「DIAION PA 416」、「DIAION PA 418」、「DIAION PK 208」、「DIAION PK212」、「DIAION PK 216」、「DIAION PK 220」、「DIAION PK 228」(三菱化学株式会社製)、「アンバーライト IR−118H」、「アンバーライト IR−120B」、「アンバーライト IR−122」、「アンバーライト IR−124」、「アンバーライト252」、「アンバーライト 201CT」、「アンバーライト 200C」、「アンバーライト IRC−50」、「アンバーライト IRC−84」(オルガノ社製)が挙げられる。
また、本発明のインクジェット記録システムにおいて使用するインクは、必要に応じ、陰イオン交換樹脂(弱塩基性陰イオン交換樹脂、中塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂)による処理を併用しても良い。この場合、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂による処理は、任意の順序で行うことが出来、また、両者の混合樹脂で処理しても良い。
上記のイオン交換樹脂による処理は、イオン交換処理塔やカラム装置に通過させる方法、イオン交換樹脂との単なる機械的な混合と攪拌、その他の任意の方法を採用することが出来る。
本発明のインクジェット記録ヘッドの一例において、図1に積層圧電素子8と個別電極9とを含む圧電アクチュエータを取り付ける前の状態を示す。
図の例におけるインクジェット記録ヘッドは、1枚の基板1上に、加圧室2とそれに連通するノズル3とを含むドット形成部を複数個、配列したものである。
また図2(a)は、上記例のインクジェット記録ヘッドにおいて、圧電アクチュエータを取り付けた状態での、1つのドット形成部を拡大して示す断面図、図2(b)は1つのドット形成部を構成する各部の重なり状態を示す透視図である。図3は図2(a)のノズル3付近の拡大図である。
各ドット形成部は、基板1の、図2(a)において上面側に形成した、矩形部の幅方向の中央部に中心を有し、径が幅長さと等しく、かつ水平断面形状が半円形である端部を前記矩形部の長手方向の両端に備えた、平板形状を有する加圧室2と、上記基板1の下面側の、加圧室2の一端側の端部の半円と中心が同じで円錐台形のノズル3とを、前記端部の半円と中心が同じで同径の円柱形のノズル流路4を介して連通させると共に、上記加圧室2の他端側の端部の半円と中心が同じである円柱形の供給口5を介して、加圧室2を、基板1内に、各ドット形成部と連通させるように形成した共通流路6に繋ぐ構成となっている。
またノズル3は、図3に示すように、インク滴吐出側の先端の開口30を、基板1の下面側である第4基板1dの下側の表面1eに円形に形成してある。それと共にノズル3は、この先端側の開口30が、加圧室2側の開口31よりも小さくなるように、テーパー状(円錐状)に形成してある。
インクジェット記録ヘッドへのインクの初期充填においては、図1に示すように、インクは、インクカートリッジ(図示しない)からの配管とこの配管を接続するためのジョイント部11との間に、ポンプ(図示しない)を配置しジョイント部11を介して、前記記録ヘッドに供給が行われる。ポンプは、チューブポンプやギヤポンプ、電磁ポンプなど目的に合わせて使用することができる。
まず、原料として、純度99%以上のチタン酸ジルコン酸鉛を含有する圧電セラミックス粉末、チタン酸鉛を含有する圧電セラミックス粉末、またはチタン酸バリウムを含有する圧電セラミックス粉末に、水系バインダーとしてブチルメタクリレート、分散剤にポリカルボン酸アンモニウム塩、溶剤にイソプロピルアルコールと純水を各々添加して混合し、このスラリーをドクタープレード法によりキャリアフィルム上に、厚さ30μmのシート形状に成形してグリーンシートをそれぞれ作製する。
(インクジェット記録ヘッドの作製)
図1および図2(a)、(b)に示す構造を有し、なおかつ加圧室2の面積が0.2mm2、幅が2200μm、深さが100μm、ノズル流路4の直径が200μm、長さが800μm、供給口5の直径が30μm、長さが40μm、ノズル3の長さが30μm、インク吐出側の開口30および加圧室2側の開口31の形状がそれぞれ半径10μmおよび20μmの円形であると共に、この各部位から構成されるドット形成部が1列あたり166個、全体(4列)で664個のドット形成部が基板1上に配列されたインクジェット記録ヘッドを用いた。
同一列内のドット形成部間のピッチは150dpiとし、また隣り合う各列を1/2ピッチずつずらすことで、全体として600dpiとした。
サンドミルに表1に記載の成分を入れて分散処理し、得られた分散液40部に、グリセリン9部、イオン交換水45部を添加した後に遠心分離処理して粗大粒子を除去し、更に、グリセリン9部、イオン交換水86部添加した。次いで、上記で得られた分散液に3%相当量の陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製「DIAION PK212」)を添加し、常温で1時間撹拌処理し、2−ピロリドンを10部、サーフィノール465を1部、DOTAを0.06部添加した。
実施例1と同様のインクジェット記録システムを用い、インクを下記のように調製した。
サンドミルに表1に記載の成分を入れて分散処理し、得られた分散液40部に、グリセリン14部、イオン交換水40部を添加した後に遠心分離処理して粗大粒子を除去し、更に、グリセリン14部、イオン交換水81部添加した。次いで、上記で得られた分散液に3%相当量の陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製「DIAION PK212」)を添加し、常温で1時間撹拌処理し、2−ピロリドンを10部、サーフィノール465を1部、HETAを0.01部添加した。
実施例1と同様のインクジェット記録システムを用い、インクを下記のように調製した。
サンドミルに表1に記載の成分を入れて分散処理し、得られた分散液40部に、グリセリン14部、イオン交換水40部を添加した後に遠心分離処理して粗大粒子を除去し、更に、グリセリン14部、イオン交換水70部添加した。次いで、上記で得られた分散液に3%相当量の陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製「DIAION PK212」)を添加し、常温で1時間撹拌処理し、2−ピロリドンを20部、サーフィノール465を1部、TRITAを0.01部添加した。
実施例1と同様のインクジェット記録システムを用い、インクを下記のように調製した。
サンドミルに表1に記載の成分を入れて分散処理し、得られた分散液40部に、グリセリン14部、イオン交換水40部を添加した後に遠心分離処理して粗大粒子を除去し、更に、グリセリン14部、イオン交換水70部添加した。次いで、上記で得られた分散液に2%相当量の陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製「DIAION PK212」)を添加し、常温で1時間撹拌処理し、2−ピロリドンを20部、サーフィノール465を1部、HETEを0.01部添加した。
イオン交換樹脂による接触と金属イオン捕捉剤の添加を省略した以外は、実施例1と同様にしてインクを調製した。
比較例1のインクに、金属イオン捕捉剤としてテトラエチレンジアミン・4酢酸(EDTA)を添加した以外は比較例1と同様にしてインクを調製した。
前記で得られたインクおよびインジェット記録ヘッド、そしてこれらを搭載した記録装置を用いて、インク液滴を連続的に吐出させ、吐出状態を調べた。評価は、以下のようにして行った。すなわち、表2に示す実施例1〜4、および比較例1〜3のインクのいずれかをピエゾ方式の圧電素子が組み込まれたライン型インクジェット記録ヘッドに、インクタンクからギヤポンプを使用し圧力200kPaで加圧充填し、駆動電圧18V、駆動周波数15kHzで吐出させて評価した。
前記インクジェット記録ヘッドに、インクを充填し、初期評価として全ノズルからインクが吐出するのを確認した後、1週間の放置と印字(即ち、1週間おきの印字)を6ヶ月行なった。結果を表2に示した。
評価基準は、下記に示すとおりである。
◎:6ヶ月後において、着弾ずれや不吐出は確認されなかった。
○:6ヶ月後において、不吐出は全くなく、着弾ずれは僅かにあったがヘッドクリーニングを行なうことによりによって容易に回復した。
△:6ヶ月後において、不吐出及び曲がりが僅かにあり、ヘッドクリーニングを行なったが回復しなかった。
×:6ヶ月後において、不吐出及び曲がりが多数あり、ヘッドクリーニングを行なったが回復しなかった。
実施例1〜4及び比較例1〜3の記録用インクを60℃に設定した恒温槽内で1ヶ月の間、静置保存した後の顔料粒子の粒径変化を400倍透過顕微鏡で観察し、評価した。結果を表2に示した。
評価基準は、下記に示すとおりである。
○:1ヶ月で粒径に変化無し。
△:1ヶ月で若干粒径変化が観察された。
×:1ヶ月で明らかに粒径が大きくなった。
金属イオン濃度は、原子吸光分析装置[(株)日立ハイテクノロジーズ社製Z−2000]及びICP発光分析装置[(株)島津製作所製ICPE-9000]を用いて測定した。
本発明に係る金属イオン捕捉剤を0.01重量%以上含み、且つ2−ピロリドンを5重量%以上、グリセリンを10重量%以上含み、遊離多価金属イオン総量が102ppm以下である、本発明のインクを用いた実施例1〜4では、吐出安定性および保存安定性はともに良好であった。
しかし、遊離金属イオン量が100ppm以上で、金属イオン捕捉剤を添加しなかった比較例1のインクと、インク中の金属イオン量が100ppm以上で、金属イオン捕捉剤として、EDTAを添加した比較例2のインクは、長期放置の間に、金属イオンの影響によって、顔料粒子径が大きくなったため、ノズルでの目詰まりが生じ、吐出安定性が好ましくなかった。また、比較例3のインクについては、インク中の遊離金属イオン量は100ppm以下であるが、金属イオン捕捉剤として、EDTAを使用した結果、実施例1〜4のインクと比較して、吐出安定性および保存安定性が劣るものであった。
2 加圧室
3 ノズル
4 インク流路
5 供給口
6 共通流路
7 共通電極
8 圧電素子
9 個別電極
11 ジョイント部
12 撥水層
30 開口
A1 領域
AC 圧電アクチュエータ
Claims (7)
- ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、前記圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムであって、前記インクが、テトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸を金属イオン捕捉剤として含むことを特徴とするインクジェット記録システム。
- 前記テトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸は、1,4,7,10‐テトラアザシクロドデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(DOTA)、1,5,9,13‐テトラアザシクロヘキサデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(HETA)、1,4,7,10‐テトラアザシクロトリデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(TRITA)、および1,4,8,11‐テトラアザシクロテトラデカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸(TETA)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録システム。
- 前記インクは、前記金属イオン捕捉剤を0.01重量%以上を含んでいることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録システム。
- 前記インクは、グリセリンを10重量%以上、2‐ピロリドンを5重量%以上を含み、前記インク中の遊離多価金属イオン総量が100ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
- 前記インクジェット記録ヘッドは、複数のドット形成部からなり、該ドット形成部は前記加圧室とそれに連通する前記ノズルを有し、前記加圧室は基板と内部に共通電極が形成された前記圧電素子とから構成されており、前記圧電素子に駆動電圧を印加するための個別電極が前記圧電素子の前記加圧室に対向する位置に配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
- 少なくとも、着色剤および溶剤からなり、さらにテトラアザシクロアルカン‐N,N',N'',N'''‐四酢酸を金属イオン捕捉剤として含むことを特徴とするインクジェット記録システム用のインク。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドはノズルを500個以上有し、前記記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に対して直交する水平方向に2個以上配置してなるインクジェット記録システムを用いたことを特徴とする記録装置。
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