JP4988125B2 - 二枚貝の養殖関連作業のためのシステム - Google Patents
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Description
発明の属する分野
本発明は、養殖施設での二枚貝の養殖に関連して使用する装置に関し、この装置は、水中の、たとえばムラサキイガイ等の二枚貝の収穫、間引きに使用され、この装置はまた、水中の、二枚貝が付着した二枚貝採取装置のクリーニングにも利用できる。養殖施設は、ひとつまたは複数の二枚貝採取装置を備え、各二枚貝採取装置は引網、つまり漁網に似たネット、好ましくは、ただし必ずしもそれでなくてもよいが、粗い網目のネットで構成される。使用位置において、二枚貝採取装置、好ましくは複数の二枚貝採取装置は、以下の説明においては二枚貝用ネットと呼ぶが、水中の表面層において、好ましくは鉛直に、あるいはほぼ鉛直に、好ましくは二枚貝用ネットの長さ全体にわたって広げられ、二枚貝用ネットの上側部分あるいはヘッドラインまたはサポートラインは、水表面にあるひとつまたは複数の浮き具によって支持され、下側部分あるいはフットラインまたはボトムラインは、たとえば適当な錘または沈錘手段によって重量により引き下げられ、張られる。
【0002】
発明の背景
二枚貝用ネットは通常、海水の動きに追従し、しばらくすると永久的な生育場所に定着する二枚貝の浮遊卵を捕獲するために海中に設置される。この場合、永久的な生育場所とは、ひとつまたは複数の二枚貝用ネットで構成される二枚貝の卵を捕獲、養殖する施設である。こうした二枚貝採取装置は、たとえばムラサキイガイ等、各種の二枚貝の養殖に使用することができる。
【0003】
公知の二枚貝養殖施設に関連して、二枚貝は、養殖された二枚貝が付着した、たとえばロープまたは1枚の引網等の生育場所を海岸に戻してから収穫、間引きするというのが一般的な意見であり、現実的である。このような操作にはいくつもの欠点が伴い、その多くは、養殖された二枚貝の収穫と間引き、おそらくは二枚貝採取装置のクリーニングが水中で実行できれば回避または軽減可能であり、本発明は、水中、好ましくは海中での養殖された二枚貝の収穫と間引きおよび二枚貝用ネットのクリーニングに伴う技術的問題を解決しようとするものである。
【0004】
公知技術
水中、通常は海中で、二枚貝を収穫、間引きし、関係する二枚貝用ネットをクリーニングする装置はわずかに知られている。
【0005】
公知の養殖形態では、二枚貝は通常、養殖された二枚貝が付着する生育場所を海岸に戻してから収穫、間引きされる。
【0006】
このような養殖形態において、二枚貝の養殖は、たとえばホタテ稚貝が、フロートから海中に吊り下げられた多数のロープに沿って等間隔に付着され、浮遊する微生物およびその他の栄養素を餌として育成されている日本から、とりわけ紹介され、知られている。生育場所、つまり二枚貝採取装置も、上に設置されたフロートから海中に鉛直に吊り下げられた、あるいは海面付近の2つの固定点の間で曲面状に取り付けられた、ひとつまたは複数のロープで単純に構成してもよい。ロープの代わりに、二枚貝採取装置は、1枚または複数の引網(漁網に似たネット)で構成することもできる。浮遊する二枚貝の卵が二枚貝採取装置上に付着し、生育する面積は、各引網に沿って、ネットの網目に1本または複数のロープを通すことで、さらに拡張することができる。二枚貝採取装置として、細かい網目の引網も使用してみた。
【0007】
公知技術の欠点
二枚貝採取装置を海岸に戻してから二枚貝を収穫、間引きし、二枚貝採取装置をクリーニングする方法には多数の欠点がある。良好な生育条件では、二枚貝は通常急速に成長し、しばらくすると、重量、体積が大幅に増える。養殖施設のひとつまたは複数の二枚貝採取装置に付着した二枚貝を、収穫または間引きのために水中から引き上げようとする場合、二枚貝採取装置は、この装置を水中に設置したときよりずっと重くなり、かさばる。したがって、二枚貝採取装置を、より扱いやすい小さなユニットに分けることが妥当ではあるものの、二枚貝が付着した二枚貝採取装置、またはそのユニット全体を海岸に戻す作業では、二枚貝採取装置またはそのユニット全体を、たとえば魚運搬船等、適当な船または装置に乗せるために、高荷重に耐えるリフティング機器と比較的大きな荷積み領域が必要となる。さらに、リフティング装置や二枚貝採取装置の荷物運搬コンポーネント(ロードキャリイング・コンポーネント:load-carrying component)はすべて、水中から引き上げられる時に、二枚貝採取装置にかかる採取重量負荷および水中における成長期の二枚貝の成長による重量の増加に耐えられるように構成し、そのようなサイズにしなければならない。二枚貝が付着した二枚貝採取装置を水中から出した後で、二枚貝を収穫、間引きし、おそらく、二枚貝採取装置をしばしば手作業でクリーニングするが、二枚貝はしばしば複数の二枚貝が塊となって成長し、その後分離しなければならず、また、たとえばヒトデ等、その他の生物および、たとえはビニール袋や流木といった不要な浮遊物も手作業で取り除かなければならないため、これは時間のかかる作業である。このため、二枚貝の養殖に関する一部の作業をより効率化し、大幅に自動化する必要がある。
【0008】
細かい網目の引網を使用した場合には、引網の網目の幅が狭いことから、養殖された二枚貝が短期間でしっかり密着して成長し、酸素と栄養素を豊富に含む水が二枚貝採取装置の中を自由に流れなくなり、養殖された二枚貝が必要な成育状態を得られないことになる、という影響がある。
【0009】
発明の目的
本発明による装置は、二枚貝養殖に関し、二枚貝の収穫と間引き、および関連する二枚貝用ネットのクリーニングに利用できるはずであり、これによって二枚貝養殖業界には、水中、好ましくは海中で、二枚貝を収穫、間引きし、関連する二枚貝用ネットをクリーニングし、一部の作業をより効率化、自動化し、前述の欠点を回避または実質的程度まで軽減することのできる方法が提供される。
【0010】
目的の実現
本発明の目的は、二枚貝養殖に関し、以下、二枚貝収穫器と呼ぶ装置の使用によって実現され、この二枚貝収穫器は、水中、好ましくは海中で二枚貝を収穫、間引きし、関連する二枚貝用ネットをクリーニングするのに使用される。その使用位置において、二枚貝用ネットは、好ましくは水の表面層で二枚貝用ネットの水平長さ全体にわたって張られ、二枚貝ネットのヘッドラインまたは運搬ラインには、とりわけ、水表面またはその付近に浮く、好ましくはフローティングチューブまたはフローティングホースという形態による、ひとつまたは複数の浮き具が備えられる。二枚貝用ネットはまた、好ましくは鉛直、またはほぼ鉛直方向に広げられ、二枚貝用ネットのフットラインまたはボトムラインは、たとえば適当な錘または沈錘手段によって張られ、重量によって引き下げられる。
【0011】
二枚貝用ネット付近の、たとえばボートまたは筏または筏状の装置、おそらくは陸上に設置された装置等、適当な船または装置は、好ましくは流体圧式機械的装置およびおそらくは、たとえば電気的操作制御装置によって、水中で二枚貝収穫器を設置、操作するのに使用され、その操作制御は、好ましくは携帯式制御パネルで行われる。
【0012】
二枚貝収穫器を水中に設置するために、二枚貝収穫器は、船または装置から、あるいは海岸から引き上げられ、二枚貝用ネットおよびその浮き具の上に設置される。浮き具は、好ましくは、1本の長いフローティングチューブまたはフローティングホースであり、以下、フローティングチューブと呼ぶ。
【0013】
原則として、二枚貝収穫器は、その長さ方向軸を中心として回転可能な、少なくともひとつの収穫ローラ、あるいはその長さ方向軸を中心として回転可能な、少なくともひとつの間引きまたはクリーニングローラを備えるフレームで構成される。二枚貝を収穫、間引きする際、あるいは二枚貝用ネットがクリーニングされる際、関連するローラが回転しながら二枚貝または二枚貝ネットに触れるよう設置される。
【0014】
このようなフレームは、たとえば相互に固定して接続されたフレームコンポーネントで構成され、フレームは、水中の二枚貝用ネットに永久的に配置され、関連するローラを備えたフレームは、たとえば水中に設置される際、二枚貝用ネットとその浮き具の上を通過する。反面、このようなフレームを使った方法は、たとえば二枚貝収穫器のメンテナンスと上記のローラの交換が難しいため、現実的でなく、柔軟性があるとはいえない。
【0015】
より現実的で柔軟性のあるフレームを使った方法として、フレームを使用位置において、好ましくは最上部がヒンジまたはヒンジ装置によって回動可能に接続された2つのフレーム部品によって構成する。各ヒンジまたはヒンジ装置は、相互接続されている2つのヒンジ部品によって構成され、好ましくは共通の旋回軸を中心として回動可能である。2つ以上のヒンジを使用する場合、ヒンジの旋回軸は共通の軸線であるべきである。水中において、ヒンジまたはヒンジ装置の軸線は、上記フローティングチューブに平行、あるいはほぼ平行である。
【0016】
二枚貝収穫器は、二枚貝用ネットの浮き具、たとえばフローティングチューブによって水中に浮くよう配置されることがある。しかしながら、フローティングチューブと二枚貝用ネットの両方に、水中の二枚貝収穫器の重さが負荷としてかかるため、浮かせる方法は現実的ではない。浮かせる方法として別の例は、二枚貝収穫器に浮き具を取り付け、水中でそれを、たとえば筏または筏状の装置で囲むものである。別の方法は、二枚貝収穫器のフレーム部品の少なくともひとつを、少なくともひとつの浮き具として構成するか、これに少なくともひとつの浮き具を備えるもので、各フレーム部品に、使用時にフレーム部品の上側部分に設置された、たとえばフロート等、たとえばひとつまたは複数の浮き具を備え、この浮き具が二枚貝収穫器に、水中で必要な浮揚力を与える。浮き具、あるいは周囲を囲む浮き具はさらに、たとえば、ロープ、チェーン、平鉄、プレートその他の形態の適当な数のスペーサによって、鉛直方向に、二枚貝収穫器に関して相対的に調整できるよう配置し、二枚貝収穫器を水中の関連する深さにある二枚貝用ネットの周辺に設置できるようにすることも可能である。二枚貝収穫を水中の開かれた位置に設置すると、フレーム部品の好ましくは下側部分が、たとえばフレーム部品同士の間に設置された、少なくともひとつの流体圧式シリンダによって押し開けられるように配置される。その開いた状態において、二枚貝収穫器は、二枚貝用ネット周辺に、好ましくは二枚貝用ネット、二枚貝用ネットのいずれかの側のひとつのフレーム部品の上に設置される。次に、好ましくは2つのフレーム部品の下側部分が、たとえば上記の流体圧式シリンダによって、一緒に引っ張られてロック位置になり、好ましくはこれらが少なくともひとつの解除可能なロック装置によってまとめてロックされる。使用中、閉じてロックされた状態で、二枚貝収穫器のフレーム部品は、二枚貝用ネットのヘッドラインとフットラインを含む鉛直またはほぼ鉛直長さ全体および特定の水平長さにわたって、二枚貝用ネットを囲むよう配置される。これにより、二枚貝用ネットの領域または面積が二枚貝収穫器のフレーム部品によって完全に囲まれ、養殖された二枚貝の収穫または間引き、あるいは二枚貝用ネットのクリーニングを、好ましくは二枚貝用ネットの一方の端から開始することができる。次に、水中の二枚貝用ネットに沿って、推進装置により二枚貝収穫器を適当な速度で移動し、二枚貝用ネットに付着した二枚貝を収穫または間引きし、あるいは二枚貝用ネットをクリーニングする。収穫された二枚貝、あるいは回収された廃棄生物または廃棄物はその後、船、装置、あるいはこれより稀ではあるが、海岸に、好ましくはポンプで送り出され、回収される。回収された廃棄生物または廃棄物は、条件が許せば、水中に直接送り出す、あるいは直接投棄してもよい。
【0017】
好ましくは正方形または長方形の、二枚貝収穫器の2つのフレーム部品は、共動可能に、回転可能に接続され、各フレーム部品には、使用位置においてフレーム部品の上側部分を構成するそれぞれの接合辺部、あるいは接合部分と、使用位置においてフレーム部品の下側部分を構成する反対辺部、あるいは反対部分とが備えられ、これらの辺部または部分は、接続辺部、あるいは接続部分によって分離され、また接続され、フレーム部品はそれぞれの接合辺部、あるいは接合部分に沿って回転可能に接続される。前述のように、フレーム部品の接合辺部または接合部分は、使用位置において一緒にヒンジで留められ、共通の水平、またはほぼ水平の軸線を中心として、相互に関して相対的に回転可能とし、フレーム部品の他の面または部分が、それにより、たとえば上記の流体圧式シリンダによって開閉されるようにすることができる。
【0018】
フレーム部品の少なくともひとつには、その長さ方向軸に沿って回転可能な、少なくともひとつの収穫ローラまたは間引きローラ、おそらくは少なくともひとつのクリーニングローラが備えられ、長手方向軸は、使用位置において接合辺または接合部分と反対辺または反対部分との間で鉛直に、またはほぼ鉛直に延びる。あるいは、少なくとも1組の共動するローラのペアを使用することができ、この場合、ローラのペアは、使用位置において、各ローラが二枚貝用ネットの両側にそれぞれ位置するよう設置され、特に、二枚貝の収穫において、2つの共動する収穫ローラまたは1対の収穫ローラを使用できるという利点がある。二枚貝の間引きにおいて、たとえば二枚貝のストックの間引きを行う際、二枚貝用ネットの片側のひとつの間引きローラだけを使用してもよい。
【0019】
前述のように、これらのローラは、その長さ方向軸を中心として回転可能であり、モータによって回転され、あるいは共動するローラのひとつのペアのうち、少なくともひとつのローラがモータによって回転され、あるいは共動するローラの各ペアの両方のローラがそれぞれひとつのモータによって回転され、このようなモータは、好ましくは無限可変可逆式のものである。使用位置において、モータはローラに配置され、好ましくはその直下に配置され、モータは、たとえば電気的または流体圧的に駆動される。さらに、各ローラは、好ましくは取り外し可能な支持装置によってそのフレーム部品に固定され、たとえば収穫ローラを間引きローラまたはクリーニングローラに交換する等、1つのタイプのローラを別のタイプのローラに容易に交換できるようにする。
【0020】
ローラの外側形状は、ローラが養殖二枚貝の収穫、間引きにおいてどのような仕事を行うかによって異なる。したがって、収穫ローラは、たとえば切出しリブ(プロファイルド・リブ:profiled rib)、歯、ストリング、スレッドまたはブラシを備えて構成する、またはこれらを備えることができる。一方、間引きローラまたはクリーニングローラには、好ましくはスレッド、ストリングまたはブラシを備え、間引きローラは、たとえばワイヤを備えて構成し、クリーニングローラは、別の、より柔らかいタイプのスレッドを備えて構成し、間引きまたはクリーニングローラは、フレーム部品に静止して設置された、あるいは別の、ただし補完的な間引きまたはクリーニングブラシと共動し、このブラシは、たとえば補完的ローラのそれに対応するタイプのスレッドを備えて構成され、たとえばヒトデ等の不要な生物およびその他の廃棄物を二枚貝用ネットから取り除くことができる。
【0021】
二枚貝収穫器が使用位置において閉じられ、ロックされると、二枚貝収穫器は、適当な推進装置によって推進方向に移動される。このような推進装置は、直接または間接的に、二枚貝収穫器に配置することができる。二枚貝収穫器に直接設置される推進装置は、たとえば、その長さ方向軸を中心として回転可能な、少なくともひとつの推進ローラによって構成することができ、この長さ方向軸は、使用位置において、少なくともひとつのフレーム部品の接合辺部または接合部分と反対辺部または反対部分との間で鉛直に、またはほぼ鉛直に延びる。推進ローラは、二枚貝用ネットに押し付けられ、それと同時に、推進ローラが回転し、これによって、二枚貝収穫器は、二枚貝用ネットに沿って推進方向に移動する。二枚貝収穫器に間接的に設置される推進装置は、たとえば、ケーブル、ワイヤまたはロープおよびタックルからなる装置によって構成することができ、ケーブル、ワイヤまたはロープの一端は、二枚貝収穫器に設置され、もう一端は、たとえば海岸に設置された、たとえばウィンチに固定され、ウィンチは、二枚貝収穫器を二枚貝用ネットに沿って所望の方向に引っ張る。二枚貝収穫器は、あるいは、たとえば筏または筏状の装置等、これを囲む浮き具を備えてもよく、この装置はまた、たとえばひとつまたは複数の適当なホイールまたはローラによって二枚貝用ネットのフローティングチューブに取り付けられる推進装置に配置され、装置、ひいては二枚貝収穫器が二枚貝用ネットに沿った所望の推進方向に移動される。
【0022】
二枚貝収穫器そのものに配置されたひとつまたは複数のローラが使用されると、少なくともふたつの共動する推進ローラ、つまり1組の推進ローラのペアを使用することが有利であり、このローラのペアは、その使用位置において、ひとつのローラが二枚貝用ネットの片側に来て、ローラが相互に、また中間にはさまれる二枚貝用ネットに十分な強度で押し付けられ、同時に、ローラが回転され、二枚貝収穫器が二枚貝用ネットに沿って所望の移動方向に移動するように位置付けられる。収穫、間引きまたはクリーニングローラの場合と同様に、推進ローラは、対応するモータによって回転され、推進ローラのペアのうち少なくともひとつのローラはモータによって回転され、あるいは共動するローラの各ペアの両方のローラが各モータによって回転される。同様に、その使用位置において、モータは、ローラの直下に配置でき、ローラは、好ましくは関連するフレーム部品に取り外し可能に支持され、それによって交換、入れ替えが容易となるようにすることができる。推進ローラの外側表面には、たとえば円柱形で均等に形成されたゴム膜を備えてもよく、この表面には、ゴム製のノブ、またはおそらくは突起した歯を備えてもよい。
【0023】
推進ローラのひとつまたは複数のペアが二枚貝収穫器の推進に使用される場合、推進ローラは、移動方向に関して、収穫、間引きまたはクリーニングローラの後方に設置し、推進ローラが、これによって、付着した二枚貝ではなく、二枚貝用ネットに押し付けられるようにすべきである。二枚貝収穫器は、上から見た場合に、二枚貝用ネットの移動方向の右側の推進ローラが反時計回りに回転され、二枚貝用ネットの左側の推進ローラが時計回りに回転されることによって推進される。同時に、二枚貝用ネットの右側にある収穫、間引きまたはクリーニングローラは、時計回りに回転され、二枚貝用ネットの左側にある収穫、間引きまたはクリーニングローラは、反時計回りに回転され、二枚貝用ネットの両側のローラは、好ましくは同じ周速で回転される。これによって、推進ローラと収穫、間引きまたはクリーニングローラとの間にある二枚貝用ネットは、引っ張られた状態で保持され、二枚貝の収穫または間引き、おそらくは二枚貝用ネットのクリーニングは、二枚貝用ネットがこのように引っ張られた状態でない場合より容易に進められる。前述のように、推進ローラのペアの両方の推進ローラは、それぞれのモータによって回転することができるが、各推進ローラは、好ましくは等しい周速で回転すべきである。あるいは、好ましくはローラのペアの推進ローラの一方だけをモータによって回転されるようにし、この推進ローラが駆動推進ローラとなり、2つの推進ローラを相互に押し付けることにより、もう一方の推進ローラを受動的に回転運動に追随するようにする。
【0024】
1対のローラを構成するローラの締付け力と、これによる各ローラと二枚貝用ネットとの間の締付け力は、たとえばローラとこれに関連するフレーム部品との距離を調整することによって所望の締付け力になるよう調整でき、各ローラは、好ましくは各ローラのそれぞれのフレーム部品より二枚貝用ネットの近くに設置される。これは、たとえば流体圧式シリンダまたはその他のスプリング装置、あるいはひとつまたは複数の機械的スペーサ、おそらくは同様の装置をフレーム部品と関連するローラの支点との間に設置することによって実現される。これによって、1対のローラを構成するローラの締付け力、そして各ローラと二枚貝用ネットとの間の締付け力は、必要に応じて調整でき、好ましくは二枚貝収穫器を水中で使用している時に、たとえば二枚貝がつぶれるのを防止し、また、二枚貝用ネットとローラの間の所望の摩擦力を実現できる。この目的で流体圧式シリンダを使用することにより、シリンダの締付け力は、既知の制御テクニック、たとえば、その制御テクニックを使用するための、その他の必要な制御装置を配置した、少なくともひとつの圧力センサによって、調整可能することができる。
【0025】
好ましくは、収穫、間引きまたはクリーニングローラのペアを使用している時、ローラのペアを構成するローラは、相互に関して、これに平行に、また二枚貝用ネットの長さ方向に、ほぼ互い違いに配置すべきである。二枚貝収穫器が使用位置において、閉じ、ロックされると、収穫および間引きローラは、原則的に、二枚貝用ネット上の二枚貝に十分な強さで鉛直に押し付けられ、あるいはクリーニングローラは、二枚貝用ネットに押し付けられ、ローラのペアを構成するローラは、二枚貝用ネットの両側にそれぞれ配置される。これにより、ローラは、相互に直接的な締付け力を加えないため、収穫または間引き中に二枚貝がつぶれず、また、クリーニング中に、二枚貝用ネットが不必要に磨耗しない。
【0026】
二枚貝用ネットから分離された二枚貝は、次に、ローラの長さ全体またはその一部に沿って収穫ローラを完全に、または部分的に囲む、たとえばネット、スリーブまたは相互接続されたプレート等の捕獲装置によって捕獲される。捕獲装置は、使用位置において、ローラと共動し、これと平行に走る、たとえば2つの等しい、あるいはほぼ等しい捕獲セクションに分割することができ、この捕獲セクションは、それぞれフレーム部品に設置され、二枚貝収穫器が開いた状態になると、2つのセクションが相互に分離する。二枚貝の間引き中、あるいは二枚貝用ネットのクリーニング中、廃棄生物または廃棄物は、二枚貝の収穫時と同様な方法で、間引きまたはクリーニングローラの長さ全体、またはその一部に沿って、捕獲装置の中に捕獲される。あるいは、捕獲装置は、二枚貝収穫器から一時的に取り外し、それが適当であれば、廃棄生物または廃棄物を直接周囲の水中に投棄することもできる。
【0027】
使用位置において、捕獲装置は、好ましくは、少なくとも2つの端部または部分で開いた状態であり、これらの端部または部分は、好ましくは二枚貝収穫器の下側部分に設置され、たとえばファンネル等の輸送装置を通じて配置されたパイプの開口部を有する。このパイプに直接または間接的に設置されたポンプ装置により、二枚貝および二枚貝の塊、おそらくは廃棄生物または廃棄物を含む水が、捕獲装置、さらにはパイプの下流に送り出される。たとえばコンベアパイプ等のパイプは、二枚貝および二枚貝の塊、おそらくは廃棄生物その他の廃棄物を含む水の流れを、さらに船または装置、おそらくは海岸に輸送する。前述のように、二枚貝の間引き中、あるいは二枚貝用ネットのクリーニング中、廃棄生物およびその他の廃棄物は、それが適当であれば、海中等、水中に直接投棄できる。
【0028】
上記のパイプは、たとえば、いわゆるばらしパイプ(デバンチング・パイプ:debunching pipe)を有してもよい。このばらしパイプは、たとえば捕獲装置のすぐ近くの下流に設置することができる。あるいは、ばらしパイプは、たとえば船または適当な装置、おそらくは海岸に設置してもよい。その名前からわかるように、ばらしパイプは、二枚貝が二枚貝用ネットの上でしばしば群れ(塊)状になって生育するため、こうした二枚貝の群をばらばらにする、つまりばらす(デバンチ:debunch)ために使用される。このような養殖二枚貝の群は、通常、その後の二枚貝の包装、輸送、販売を容易にするために、ばらばらにしなければならない。
【0029】
ばらしパイプは、好ましくは直線の長い形状であり、使用位置において、たとえば二枚貝収穫器の2つのフレーム部品のうちの一方の下に設置、固定され、水中で二枚貝収穫器が推進される際、ばらしパイプが二枚貝用ネットのフットラインの下を、邪魔されることなく移動することができるようにする。ばらしパイプは、ばらし装置(デバンチング・デバイス:debunching device)の内部に配置され、この装置は、たとえば、好ましくは隣接するロータ部分と共動して二枚貝の塊を壊すステータ部品を有し、2つの共動部品は以下、ばらしユニット(デバンチング・ユニット:debunching unit)と呼ばれ、長さ方向に、ばらしパイプにはおそらく、このようなばらしユニットがひとつまたは複数備えられる。
【0030】
上記のようなばらしユニットがひとつまたは複数使用されると、ステータとロータ部品にはそれぞれ、たとえば適当な形状、サイズ、材料のベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドが備えられ、十分な数だけ設置される。ステータ部品は、ばらしパイプの内側表面に固定された、好ましくは取り外し可能に固定されたベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドで形成され、ロータ部品は、ばらしパイプの中心線に沿って設置された回転アクスルに固定された、好ましくは取り外し可能に固定されたベーン、ブレード等で形成される。残りについては、ばらしパイプは、2つの好ましくは同様の取り外し可能な二分割で形成し、回転アクスル、またはひとつまたは複数のばらしユニット、あるいは個々のベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドを交換、あるいは修理するために、簡単に分離できるようにすることができる。
【0031】
ステータおよびロータ部品のベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドは、好ましくはばらしパイプの中心線を中心に放射状に配置され、好ましくは、ベーン、ブレード等が共通の想像上の円周上に、同一の角距離で分散するようにする。その固定点と反対側では、ベーン、ブレード等は、おそらく円形リングに沿って等間隔で固定し、このリングに沿ったベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドの自由端が相互に接続されるようにでき、このような接続は、個々のベーン、ブレード等が片側だけ固定されている場合より確実で強力である。
【0032】
前述のように、その使用位置において、ばらしユニットのステータ部品は、ロータ部品と共動し、ロータ部品は、ロータ部品が取り付けられている回転アクスルが回転する際、ステータ部品に十分に近く、好ましくは隣接して配置される。二枚貝の群が水流によってロータ部品とステータ部品のベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドとの間の隙間に運ばれると、二枚貝の塊は、ロータ部品とステータ部品の相対的な動きにより、より小さな二枚貝の塊と個々の二枚貝に分けられる。ばらし過程(デバンチング・プロセス:debunching process)で二枚貝がつぶれない、または傷つかないようにするために、ベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドの全部または一部に、全体または部分的に比較的柔らかい材料、たとえば適当なゴム材を備えるか、その全体または一部をこうした材料で構成することができる。さらに、たとえば二枚貝の種類または二枚貝の大きさに応じて、異なるタイプ、おそらくは異なる形状または組み合わせのベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドをロータ部品およびこれと共動するステータ部品に使用してもよい。
【0033】
上記のようなばらしユニットは複数使用してもよく、ばらしユニットは相互に分離され、連続するばらしユニット同士の距離、あるいは各ばらしステップの距離は、同じ、あるいは、好ましくはばらしパイプ内を流れる水の下流方向に見て、短くなっていくようにすることができる。原則として、二枚貝の塊は、二枚貝がばらしパイプから出る時には、完全に、あるいはほぼ完全に個々の二枚貝に分離されているはずである。したがって、2つ以上のばらしステップで二枚貝の塊を十分に分離し、最終的には、最大限に二枚貝をひとつひとつばらばらにするためには、このようなばらしユニットを複数使用することが必要な場合もある。これを実現するために、異なるタイプ、おそらくは異なる形状または組み合わせのベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドを、連続するばらしステップのそれぞれ、おそらくはいくつかにおいて、あるいは個々のばらしユニット内で使用することができる。二枚貝の間引きまたは二枚貝用ネットのクリーニングにおいて、おそらく、たとえば、回転アクスルおよび、ベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドの全部、おそらくは一部を取り除くか、あるいは間引きおよびクリーニングにより適した別の適当なタイプのベーン、ブレード、ストリングまたはスレッドと交換してもよい。また、回転アクスルを単純に作動させないままにしてもよい。
【0034】
ロータ部品が固定された回転アクスルは、好ましくは、たとえば無限可変可逆式の、流体圧または電気的に駆動されるモータによって移動、回転することができ、このモータは、おそらく船または装置上の移動式制御パネルから、あるいは海岸から制御できる。このモータは、好ましくは回転アクスルに、好ましくはその下流の終端に設置される。
【0035】
分離された二枚貝または二枚貝の塊、あるいは回収された廃棄生物または廃棄物は、さらに、ポンプ装置によって水流中を輸送され、船または装置、あるいはより稀ではあるが、海岸まで延びる、適当な種類とサイズのコンベアによって下流方向に輸送される。
【0036】
二枚貝または二枚貝の塊、あるいは廃棄生物または廃棄物を含む水を送り出すポンプ装置は、捕獲装置の下流に設置されるパイプに配置しなければならない。このようなポンプ装置は、原則として、このパイプに沿った、または関連するどこにでも設置でき、たとえば、ばらしパイプのすぐ下流または船または装置、あるいは、より稀ではあるが、海岸に設置してもよい。ポンプ装置は、たとえばポンプおよび関連する駆動モータ、たとえば遠隔操作可能な無限可変の流体圧または電気駆動モータで構成される。このようなポンプ装置の例としては、インジェクタポンプ、真空ポンプ、遠心ポンプがあるが、これらに限定されない。
【0037】
船または装置において、次に、二枚貝は、たとえば魚貝類運搬船上または回収用囲い(コレクティング・エンクロージャ:collecting enclosure)内のたとえばケース、保管タンクまたはウェル等の適当なコンテナの中に回収され、その後、さらに加工または輸送されてから、二枚貝は、販売あるいは消費される。たとえばヒトデ等の不要な生物およびその他の廃棄物は、前述のように、適当な保管用コンテナの中に回収されるか、それが適当であれば、水中または海中に投棄できる。
【0038】
発明によって実現される利点
本発明のもっとも明白な利点は、二枚貝用ネットという形態の二枚貝採取装置に付着した養殖二枚貝が、水中、好ましくは海中におけるその自然の生育場所で収穫、間引きでき、あるいは水中で二枚貝用ネットをクリーニングできる点である。これにより、二枚貝を収穫、間引きする、あるいは二枚貝用ネットをクリーニングするために、二枚貝採取装置の全体または一部を外してから海岸に引き上げる、または適当な船または装置の上に乗せる必要性が回避される。こうした収穫および間引き、おそらくはクリーニングは通常、時間がかかり、しばしば手作業で行われる。おそらくは、二枚貝採取装置およびこれに付着された養殖魚貝類の全部または一部の重量物を引き上げるために、高負荷のリフティング装置を使用する必要性が回避される。このような重量物の引き上げは、二枚貝用ネットと二枚貝を損傷する可能性がある。収穫と間引き、あるいはクリーニングが水中で実行できるという事実により、すべてのリフティング装置と二枚貝採取装置の重量物運搬コンポーネントを、二枚貝採取装置とこれに付着した二枚貝を水中から出さなければならない場合と比較し、より小さな重量負荷に耐えられるよう形成し、このようなサイズとすることができる。こうした二枚貝収穫器の使用によって、作業時間の短縮、効率化、および大幅に自動化された二枚貝の収穫、間引き、おそらくは二枚貝用ネットのクリーニングが実現する。これにより、たとえば、二枚貝を船、装置、魚貝類運搬船または回収用囲いから、さらに加工、輸送、販売するために、十分に、またはほぼ十分に準備ができた状態で運ぶことができ、あるいは廃棄物または廃棄生物を、船または装置から、完全に回収された状態で運ぶことができ、おそらくは、それが適当であれば、これらの廃棄物を水中に投棄することができる。
【0039】
発明の実施形態の説明
以下の説明と図1〜9の参照において、使用時の二枚貝収穫器の限定的でないひとつの実施例と、二枚貝収穫器に備えられるローラの実施例が示され、ひとつの特定の参照番号は、すべての図面における同じ要素を指し、これらの要素は、以下の図面で特定される。すべての図面は、サイズと距離において実際のものと相異している。
本発明そのものに関係しないものの、本発明の実施に必要な条件である、またはその可能性のある機器および装置については、以下の実施形態例においては特に詳しく説明しない。
【0040】
上記の機器または装置は、図には示されていない、たとえばボートまたは筏あるいは筏状の装置等の船または装置を備え、このボート等から、二枚貝収穫器2が水中4、好ましくは海中に沈められ、水中4からそのボート等に引き上げられ、そのボート等から収穫器2の操作が行われ、そのボート等から、またはそのボート等に収穫された二枚貝6または二枚貝の塊8、おそらくは、たとえばヒトデ、ビニール袋または流木等の廃棄物が運ばれる。船または装置には、たとえば巻き上げ装置、流体圧または電気補助および制御システム、機器といったその他の必要な装置、および二枚貝用ネット10上の養殖二枚貝6(以下、二枚貝6という)の収穫と間引きの実施、あるいは二枚貝用ネット10のクリーニングのために必要なその他の機器が備えられている。二枚貝用ネット10、この場合は粗い網目の二枚貝用ネット10が水中4にあることはまた、本発明の実施のための絶対条件であり、二枚貝用ネット10は、その長さ全体にわたって水中4に伸ばされ、水中4に鉛直に、またはほぼ鉛直に吊り下げられ、二枚貝用ネット10の上部には、二枚貝用ネット10の長さ全体にわたって延び、二枚貝用ネット10に必要な浮揚力を与える、連続するフローティングチューブ14に接続されたヘッドライン12(サポートライン)が備えられている。二枚貝用ネット10の下部、またはフットライン15(ボトムライン)は、適当な錘16によって重さで引き下げられ、引っ張られる。
【0041】
二枚貝収穫器2は、ヒンジで接続され、共動する2つのフレーム部品18と20で構成され、フレーム部品18と20は、正方形または長方形であり、各フレーム部品18または20は、ひとつの上側辺部22または24とひとつの反対の下側辺部26または28で構成され、これらは、使用位置において、水平またはほぼ水平であり、各フレーム部品18または20はさらに、ペアとして配置され、間隔が空けられた2つの鉛直またはほぼ鉛直な接続辺部、それぞれ30,30’および32,32’で構成される。フレーム部品18の接続辺部30および30’は、フレーム部品20の接続辺部32,32’より短い。さらに、フレーム部品18は、2つのアンギュラーステー33,33’によって配置される、後述のばらしパイプ192を有し、アンギュラーステー33,33’は、使用位置において、フレーム部品18の下に位置付けられ、それぞれ、後述の解除可能なロッキング装置によってそこに取り付けられている。
【0042】
上側辺部22,24に沿って、フレーム部品18,20の各々は、そこに設置され、間隔が空けられた2つの接続ステー、それぞれ34,35および34’,35’を有し、接続ステー34,35と接続ステー34’,35’は、たとえば水平に、その上側辺部22,24と垂直に突出している。接続ステー34,34’および接続ステー35,35’のペアには、それぞれヒンジ36,37が備えられ、ヒンジ36,37は間隔が空けられている。ヒンジ36,37の各々は、ペアで接続された、それぞれ2つのヒンジ部品38,38’と40,40’で構成される。ヒンジ部品38,38’は接続ステー34,34’、ヒンジ部品40,40’は接続ステー35,35’を有する。ヒンジ部品38,38’は、相互に関し、ヒンジ36の中に設置された共通の旋回アクスル42を中心として旋回可能に設置され、ヒンジ部品40,40’は、相互に関し、ヒンジ37の中に設置された共通の旋回アクスル44を中心として旋回可能に設置される。旋回アクスル42,44は、使用位置において、水中4の前記フローティングチューブ14に平行またはほぼ平行に延びる共通の軸線を有する。これによって、フレーム部品18,20は、相互に関して旋回可能で、二枚貝収穫器2は、二枚貝用ネット10の周辺で開閉できる。
【0043】
各ヒンジ部品38,38’,40,40’は、半円形の断面を有する円柱の二分割部分として形成される。このため、ヒンジで留められた2つの共動するヒンジ部品38,38’,40,40’は、二枚貝用ネット10のフローティングチューブ14の周辺で閉じることができ、その閉じた状態で、円柱形となる。ヒンジ36のヒンジ部品38,38’には、その内側表面上に、フローティングチューブ14に対して長手方向に、長手方向に滑る4つのストリップ46,48,50,52が備えられている。これに対応して、ヒンジ37には、その内側表面に、フローティングチューブ14に対して長手方向に、長手方向に滑る4つのストリップ46’,48’,50’,52’が備えられる。滑降ストリップ46,48,50,52およびストリップ46’,48’,50’,52’の終端部分は、楔形となっており、二枚貝収穫器2が前進する際、その終端が二枚貝用ネット10に絡みつかないようになっている。あるいは、前記ストリップ46,48,50,52およびストリップ46’,48’,50’,52’は、たとえば、ヒンジ部品38,38’,40,40’の内側表面に適当に設置された、図示されていない適当な数のローラと置き換えてもよい。
【0044】
フレーム部品18,20の開閉は、それぞれヒンジ36,37に接続された2つの、たとえば、遠隔操作される複動流体圧シリンダ54,56によって影響を受ける可能性がある。この実施例において、シリンダ54,56はそれぞれ、使用位置において、上方に延びる2つのステー58,58’および60,60’の間に設置され、シリンダ54とシリンダ56の各々の端部は、それぞれのステー58,58’またはステー60,60’の上端に回動可能に接続される。各ステー58と58’または各ステー60,60’は、ヒンジ36のヒンジ部品38,38’およびヒンジ37のヒンジ部品40,40’に固定される。その収縮位置において、流体圧シリンダ54,56は、図1のように、フレーム部品18,20を相互に関して開かせ、その延長位置において、流体圧シリンダ54,56は、図4、図5のように、フレーム部品18,20を相互に関して閉じさせる。
【0045】
上記の装置により、二枚貝収穫器2は、水中4の二枚貝用ネット10の上に開いた状態で設置され、二枚貝収穫器2は、ワイヤ62から吊り下げられる。図1において、ワイヤ62の一端は、二枚貝収穫器2の吊り上げラグ64に固定され、反対の端は、図示されていない隣接する船または装置の巻き上げ装置に接続される。次に、二枚貝収穫器2は、二枚貝収穫器2のフレーム部品18,20が二枚貝用ネット10、そのヘッドライン12およびフットライン15、その錘16およびフローティングチューブ14の周辺で、完全に閉じるよう、水中の十分な深さまで下ろされる。
【0046】
フレーム18,20は次に、2つの合同の、解除可能なロッキング装置によって閉じた状態に相互にロックされ、一方のロッキング装置は、アンギュラーステー33とフレーム部品18の下側辺部26との間に、またもう一方のロッキング装置は、アンギュラーステー33’とフレーム部品18の下側辺部26との間に、それぞれ設置される。ロッキング装置はそれぞれ、旋回可能なロッキングフック66または67で構成され、それぞれに、たとえば遠隔操作される複動流体圧シリンダ68,69が設置されている。流体圧シリンダ68,69は、それぞれの取り付けプレート70,72によってフレーム部品18に旋回可能に設置され、ロッキングフック66,67は、それぞれの取り付けプレート70’,72’によってフレーム部品18に旋回可能に設置されている。二枚貝収穫器2のフレーム部品18,20は、流体圧シリンダ68,69の押し付けによって閉じた状態で相互にロックされ、これによってロッキングフック66,67が旋回されて、それぞれ相補的に形成されたフックリテーナ74,75と噛み合い、フックリテーナ74は、アンギュラーステー33に固定され、フックリテーナ75は、アンギュラーステー33’に固定される。図4,5参照。フックリテーナ74,75は、それぞれプレート76,77と同時に形成され、これらは、使用位置において鉛直であり、アンギュラーステー33,33’内で上方に延びるプレート76,77は、合口面となり、フレーム部品18をフレーム部品20と閉じようとする時、フレーム部品18がこの面に接合する。あるいは、図1において、ロッキングフック66は、開いて外れた状態で示されている。
【0047】
二枚貝用ネット10上に設置された二枚貝収穫器2は、各フレーム部品18,20に設置された2つのフロート78,80によって水中4に浮いた状態に保たれ、フロート78,80の各々は、それぞれ取り付けプレート81または84および、図示されていないが、ストラップ、固定バンドまたは同様の固定具によって、フレーム部品18,20に固定されている。二枚貝用ネット10が水面下の特定の深度に浮いた状態に保たれると、ストラップ、固定バンドまたは同様の固定具を鉛直の長さ方向に調整し、二枚貝収穫器2が二枚貝用ネット10に関して所望の深さで浮くようにすることができる。あるいは、調整装置は図に示されていない。さらに、フロート78,80は、浮力調整(バラスティッド:ballasted)してもよい。
【0048】
二枚貝収穫器2は、閉じてロックされた状態で、適当な速度で、移動方向に、二枚貝用ネット10に沿って、好ましくは二枚貝用ネット10の一端から移動しながら、二枚貝用ネット10に付着した二枚貝6を収穫または間引き、たとえば間引きし、あるいは二枚貝用ネット10をクリーニングする。
【0049】
二枚貝収穫器2の移動方向に見て、二枚貝収穫器2の推進および二枚貝6の収穫または間引き、あるいは二枚貝用ネット10のクリーニングは、ローラの1組の前方ペアと1組の後方ペアによって行われ、ローラの各ペアは、その使用位置において、二枚貝用ネット10の両側にローラが1個ずつ位置し、各ペアのローラおよびその間のペアは、ローラが相互に平行になると、共動する。ローラの前方および後方ペアは、二枚貝用ネット10付近に同じ高さ(または深さ)に設置される。二枚貝収穫器2の推進は、2つの共動する推進ローラ86,88によって構成される後方のローラペアによって実行され、二枚貝6の収穫、またおそらくは二枚貝6の間引き、あるいは二枚貝用ネット10のクリーニングは、2つの共動する収穫ローラ90,92、またおそらくは2つの間引きまたはクリーニングローラ94,96によって構成される前方のローラペアによって実行される。二枚貝6の間引き、またおそらくは二枚貝用ネット10のクリーニングは、1個のみの間引きまたはクリーニングローラ94または96でも行うことができ、この場合、二枚貝用ネット(10)の片側だけが間引き、またおそらくはクリーニングされる。
【0050】
二枚貝収穫器2の推進は、それぞれフレーム部品18,20に固定された2つの共動する推進ローラ86,88によって提供される。各推進ローラ86,88は長く、その長手方向軸を中心として回転可能であり、推進ローラ86,88は、その使用位置において、フレーム部品18,20の上側辺部22,24から反対の下側辺部26,28へと鉛直に、またはほぼ鉛直に延びる。二枚貝収穫器2がその使用位置において閉じてロックされると、推進ローラ86,88は十分にしっかりと押圧され、間にある二枚貝用ネット10に関して、相互に垂直である。この実施形態における推進ローラ86,88の外側表面には、円柱形で均等に形成されたゴム膜98,98’が構成されている。図6参照。あるいは、各推進ローラ86または88には、その外側表面に、たとえば図7のように、ゴム製のノブ100、あるいはたとえば突出した歯を備えてもよい。2つの推進ローラ86,88は、回転中、相互に、また二枚貝用ネット10に押し付けられるため、これらの間に十分な摩擦が生じ、二枚貝収穫器2が二枚貝用ネット10に沿って所望の方向に移動する。したがって、上から見た場合、二枚貝用ネット10の移動方向右側にある推進ローラ88は、反時計回りに回転しなければならず、二枚貝用ネット10の左側にある推進ローラ86は、時計回りに回転しなければならない。長さ方向に、各推進ローラ86,88にはそれぞれ、回転可能な中心アクスル102,104が備えられ、各中心アクスル102,104は、その端部で、2つの円形取り付けプレート106,108によって各々の推進ローラ86,88に固定され、取り付けプレート106,108には、それぞれ中心穴110,112があり、この中を中心アクスル102または104が通る。図6,7参照。必要な回転運動を提供するために、各中心アクスル102,104は、使用位置において、その下端部に、それぞれ流体圧モータ114,116を備えており、これはたとえば、遠隔操作される無限可変可逆式のものである。その他、図示されていないが、推進ローラ86,88の一方だけが流体圧モータ114または116によって駆動される。使用時において、各推進ローラ86,88は、好ましくは等しい周速で駆動される。モータ114,116は、それぞれスペーサ118,120に固定され、これらは、それぞれの取り付けプレート122,124に設置され、各取り付けプレート122,124は、各フレーム部品18,20に配置されている。さらに、各推進ローラ86,88の上端は、各軸受台126,128に取り外し可能に支持され、軸受台は、各スペーサ130,132に固定され、スペーサ130,132は、それぞれ取り付けプレート134,136によって、各フレーム部品18,20に配置される。推進ローラ86,88は、軸受台126,128の各々に配置された、図示されていないロック可能なヒンジリッドによって、フレーム部品18,20に、たとえば取り外し可能に支持される。これにより、推進ローラ86,88の一方または両方、または収穫ローラ90,92の一方または両方、あるいはおそらくは間引きまたはクリーニングローラ94,96の一方または両方は、必要に応じて交代、交換できる。推進ローラ86,88の間の圧縮力は、スペーサ118,120とスペーサ130,132を調整することで、該当する推進ローラ86または88と関連するフレーム部品18または20との間の距離を調整することによって調整できる。これは、たとえば、図示されていない流体圧シリンダ、または図示されていないスプリング装置、あるいは図示されていないひとつまたは複数の機械的スペーサ、あるいは図示されていない同様の装置を、図示されていないが、フレーム部品18と推進ローラ86およびフレーム部品20と推進ローラ88の支点の間、おそらくはフレーム部品18と収穫ローラ90およびフレーム部品20と収穫ローラ92の支点の間、おそらくはフレーム部品18と間引きまたはクリーニングローラ94およびフレーム部品20と間引きまたはクリーニングローラ96との間に設置することによって実現できる。これにより、必要であれば、たとえば推進ローラ86,88の間の締付け力、そして、二枚貝用ネット10と推進ローラ86,88との間の摩擦力は調整可能であり、また、二枚貝用ネット10に付着した二枚貝6と収穫ローラ90または92との間の締付け力は調整可能であり、また、たとえば二枚貝用ネット10と間引きまたはクリーニングローラ94または96との間の締付け力は調整可能である。
【0051】
二枚貝6の収穫と間引き、あるいは二枚貝用ネット10のクリーニングは、ローラの前方ペアによって実行され、ローラの前方ペアは、2つの共動する収穫ローラ90,92、あるいは2つの共動する間引きまたはクリーニングローラ94,96によって形成される。以下の説明において、収穫ローラのペアの組み立てと機能を説明するが、間引きまたはクリーニングローラのペアの組み立てと機能は、収穫ローラのペアの組み立てと機能とほぼ同じである。
【0052】
二枚貝収穫器2がその使用位置において閉じてロックされると、収穫ローラ90,92は、二枚貝用ネット10に付着した二枚貝6に、これを壊さないように適度にしっかりと押し付けられる。二枚貝収穫器2における推進ローラ86,88の位置づけとは異なり、収穫ローラ90,92は、二枚貝収穫器2の移動方向に見て、相互に間隔を空けて平行に互い違いになり、収穫ローラ90,92が相互に締付け力を発生しないようにし、その一方で、二枚貝6と二枚貝用ネット10に締付け力が発生するようにする。二枚貝6の収穫は、その使用位置において、二枚貝収穫器2が推進ローラ86,88の移動方向に移動し、収穫ローラ90,92が所望の、好ましくは等しい周速で、二枚貝用ネット10の各側にある二枚貝6に対して所望の圧縮力を与えながら回転される。上から見ると、二枚貝用ネット10の移動方向右側にある収穫ローラ92は、時計回りに、また二枚貝用ネット10の左側にある収穫ローラ90は、反時計回りにそれぞれ回転しなければならない。推進ローラ86,88の回転運動に関して見た場合、収穫ローラ90,92の上記の回転運動は共動し、二枚貝用ネット10が前方および後方のローラペアによって反対方向に引っ張られ、これによって、二枚貝用ネット10は張られた状態に保たれる。同時に、この実施形態において、各収穫ローラ90,92は、図8のように表面から突出する切出しリブ(プロファイルド・リブ:profiled rib)138,138’を備える円柱表面上に形成される。収穫ローラ90,92が収穫中に回転すると、リブ138,138’は、二枚貝6を二枚貝用ネット10から掻き落とす。
【0053】
二枚貝6が間引きされている間、間引きローラ94,96の回転中に、二枚貝6は掻かれる、あるいは払われる。ヒトデ等の不要な生物を取り除くために、二枚貝6は、十分な強さで払われ、たとえばヒトデ等が二枚貝6から落ちやすくなるが、それによって二枚貝6が二枚貝用ネット10から外れることがないようにする。二枚貝のストックが間引きされる際、たとえば二枚貝用ネット10の片側にある二枚貝6の全部または一部が掻かれ、または擦られ、二枚貝6が落ちやすくなり、二枚貝用ネット10から落ちる。図9は、Fまたはクリーニングローラ94または96を示し、その外側表面には、ローラ94または96の表面から突出するスレッド140が設けられている。間引きまたは二枚貝用ネット10のクリーニングにおいて、間引きまたはクリーニングローラ94または96の回転中、スレッド140は、図9にあるように、共動可能に位置付けられた、静止した間引きまたはクリーニングブラシ142に対して掻かれ、または擦られ、ブラシ142は、スレッド146を有する長さ方向のストリップ144で構成されている。ブラシ142は、各間引きまたはクリーニングローラ94または96の長さ方向軸に対して長さ方向に平行して位置付けられ、ストリップ144はたとえば、その使用位置において、フレーム部品18または20に固定される。このように、たとえばヒトデ、ビニール袋、流木その他の有機または無機廃棄物は、二枚貝6または二枚貝用ネット10から取り除くことができる。たとえば、ヒトデを取り除く際、二枚貝6と間引きローラ94または96との間の距離は、二枚貝6が二枚貝用ネット10から落ちないように、同時に、二枚貝6がつぶれる、または損傷を受けないようにするのに必要な程度まで調整される。二枚貝のストックを間引きする時、または二枚貝用ネット10をクリーニングする時、二枚貝6、またおそらくは二枚貝用ネット10と間引きまたはクリーニングローラ94または96との距離は、二枚貝6または廃棄生物あるいは廃棄物が二枚貝用ネット10から落ちるのに必要な程度まで調整される。
【0054】
推進ローラ86,88の支持と動作と同様に、各収穫ローラ90,92、およびおそらくは各間引きまたはクリーニングローラ94,96には、長さ方向に回転可能な中心アクスル148,150が設けられ、中心アクスル148,150の各々は、その端部で、各々収穫ローラ90,92、おそらくは各々収穫またはクリーニングローラ94,96に、2つの円形取り付けプレート152,154によって固定され、取り付けプレートには、それぞれ中央穴156または158が設けられ、その中を中央アクスル148または150が通過する。図8,9参照。必要な回転運動を提供するために、各中央アクスル148,150の使用位置における下端部には、別々の流体圧モータ160,162が設けられ、このモータはたとえば、遠隔操作される無限可変可逆式である。あるいは、図示されていないが、収穫ローラ90,92の一方だけ、またおそらくは間引きまたはクリーニングローラ94,96のいずれかを流体圧モータ160または162で回転させる。使用時に、各収穫ローラ90,92.またおそらくは各間引きまたはクリーニングローラ94,96は、好ましくは等しい周速で回転される。モータ160,162はそれぞれ、距離素子(ディスタンス・エレメント:distance element)164,166に固定され、これらは、それぞれ取り付けプレート168,170に配置され、各取り付けプレート168,170は、それぞれフレーム部品18,20に配置される。さらに、各収穫ローラ90,92、またおそらくは各間引きまたはクリーニングローラ94,96は、その上端部において、各軸受台172,174に取り外し可能に支持され、軸受台は、それぞれ各スペーサ176,177に固定され、スペーサ176,177は、それぞれ取り付けプレート178,179によってフレーム部品18,20の各々に設置される。
【0055】
二枚貝用ネット10から分離した二枚貝6または廃棄生物あるいは廃棄物はその後、インレットマニホールド180によって捕獲され、マニホールド180は、その使用位置において、この実施形態においては、平面図において正方形の断面を有する鉛直の長いマニホールドファンネルによって形成される。長さ方向に、二枚貝用ネット10に平行して、インレットマニホールド180は、2つのたとえば同じ大きさのマニホールドの二分割部分184,184’に分割され、マニホールドの二分割部分184は、内部でフレーム部品18に固定され、マニホールドの二分割部分184’は、内部でフレーム部品20に固定される。その使用位置において、インレットマニホールド180は、収穫ローラ90,92、あるいは間引きまたはクリーニングローラ94,96、二枚貝6または廃棄物あるいはヒトデ等の不要な生物が付着した二枚貝用ネット10の部分を囲む。マニホールドの二分割部分184,184’は、マニホールドの二分割部分184,184’が二枚貝の収穫または間引き中、あるいは二枚貝用ネット10のクリーニング中に、二枚貝用ネット10に絡まらないよう、二枚貝用ネット10から十分な間隔を空けて設置される。したがって、その鉛直の反対の端部の各々に沿って、各マニホールドの二分割部分184,184’には、2つの鉛直および長さ方向のゴム製ストリップ186,186’および188,188’が設けられ、ゴム製ストリップ186,186’が二枚貝用ネット10の付近に、二枚貝用ネット10の反対側のゴム製ストリップ188,188’に向かって突出するようになっている。
【0056】
落ちやすくなった二枚貝6または廃棄物は、後述するポンプ装置による水流の中に吸い込まれ、基本的に、インレットマニホールド180の上側の開いた端部の中に、また一部は2つのマニホールドの二分割部分184,184’との間の隙間に入る。水4と、落ちやすくなった二枚貝6、またおそらくは廃棄物または不要な生物は、インレットマニホールド180の下側部分に設置されたマニホールドファンネル182を通じて、さらに下流に流れ、さらに、マニホールドファンネル182と交流する、いわゆるばらしパイプ192の上端部に形成された開口部190を通って流れる。インレットマニホールド180と同様に、マニホールドファンネル182は、2つの、たとえば同じ大きさのファンネルの二分割部分194,194’に分割され、ファンネルの二分割部分194は、マニホールドの二分割部分184に配置、接続され、ファンネルの二分割部分194’は、マニホールドの二分割部分184’に配置、接続される。ファンネルの二分割部分194’は、ばらしパイプ192の開口部190周辺に永久的に配置され、ファンネル194は、開口部190の周辺に取り外し可能に配置され、たとえばゴム製シール196を備えて形成され、シール196は、その使用位置において、ばらしパイプ192および、もう一方のファンネルの二分割部分194’の垂直の反対側の端部に押し付けられる。二枚貝収穫器2が使用されると、水4のほとんどは、インレットマニホールド180の上側部分の中に吸い込まれる。
【0057】
ばらしパイプ192は、その使用位置において、二枚貝収穫器2の下側に、フローティングチューブ14と平行に設置された、長い水平のパイプで構成される。ばらしパイプ192は、二枚貝6がしばしば二枚貝用ネット10上で塊(群)状になって成長するため、二枚貝の塊8をばらばらにする、つまりばらすために使用され、収穫後、これらの塊8は、ポンプ装置によって、水4と一緒にばらしパイプ192の中に運ばれる。その一方の側面部に沿って、ばらしパイプ192は、2つの取り付けプレート198,200を通じてフレーム部品18に設置され、プレートの各々には、アンギュラーステー33,33’が設けられている。ばらしパイプ192のもう一方の側面部は、2つの取り付けプレート202,204によってフレーム部品20に設置され、プレートの各々には、各接続ステー206,208が配置されている。その使用位置において、ばらしパイプ192は、推進ローラ86,88および収穫ローラ90,92、またおそらくは間引きまたはクリーニングローラ94,96の下に設置され、ばらしパイプ192が水4の中を推進する際、二枚貝用ネット10のフットライン15の下を障害物に当たることなく移動できるようになっている。
【0058】
ばらしパイプ192はさらに、図示されないが、円柱形で2つの合同の取り外し可能な二分割部分で構成され、ばらし装置を備える。ばらし装置は、少なくともひとつのステータ部品210で構成され、これは、隣接するロータ部品212と共動して二枚貝の塊8をばらばらにし、2つの共動する部品210,212を以下、ばらしユニット(デバンチング・ユニット:debunching unit)と呼ぶ。この実施形態において、ばらしパイプ192は、長さ方向に5つのこうした共動するばらしユニット213,214,216,218,220を備える。各ステータ部品210は、ばらしパイプ192の内側マントルの二分割部分のひとつに、取り外し可能に固定され、各ローラ部品212は、ばらしパイプ192の中心線に沿って設置された回転アクスル222に取り外し可能に固定される。さらに、この実施形態において、各ばらしユニットのステータ部品210とロータ部品212には、ワイヤ224が設けられる。別の実施形態において、図示されていないが、ワイヤ224は、目標に応じて、ベーン、ブレードまたはストリング、あるいはおそらくは、その異なるアセンブリと交換するか、あるいはこれらと組み合わせられる。
【0059】
ばらしパイプ192は、回転アクスル222、またはステータ部品210、またはロータ部品212、またおそらくは個々のベーン、ブレード、ストリング、またはスレッドを交換、またおそらくは修理することが可能であるべきであるため、2つの部分で構成される。
【0060】
この例において、ステータ部品210とロータ部品212のワイヤ224は、ばらしパイプ192の中で、その中心線周辺に放射状に設置され、ワイヤ224は、共通の想像上の円周の上に等しい角度距離を有する。たとえば、二枚貝6と二枚貝の塊8の収穫中、回転アクスル222は回転され、ロータ部品212が共動するステータ部品210に関して回転する。水流中の二枚貝の塊8がステータ部品210とロータ部品212のワイヤ224同士の隙間に運ばれると、二枚貝の塊8は、ステータ部品210とロータ部品212の相対的移動の結果として、より小さな二枚貝の塊8および個々の二枚貝6に分割される。たとえばスレッドまたはストリングの代わりにベーンまたはブレードを使用し、二枚貝6がつぶれず、損傷を受けないようにすることを目的として、ベーンまたはブレードには、適当なゴムまたはプラスチック材またはこれに類するものを備えるか、あるいは全体的または部分的にこれで構成する。
【0061】
これに関連して、ベーン、ブレード、スレッドまたはストリングの材料または材料組成、構成または構成の組み合わせを特定するのは困難である。このような決定は、収穫することが望まれる二枚貝6の関連するタイプと数量、または二枚貝6の収穫に好ましい速度に応じて下さなければならないからである。
【0062】
実施形態において、5つのばらしユニット213,214,216,218,220がばらしパイプ192の長さに沿って、不均等に間隔を空けて設置され、連続するばらしユニットの距離は、ばらしパイプ192を通って流れる水4の下流方向に見た場合、減少する。いくつかのばらしステップにおいて、二枚貝の塊8を十分に分離するために、複数のこうしたばらしユニット213,214,216,218,220を使用することが必要な場合がある。原則として、二枚貝の塊8は、最後の下流のばらしステップの後には、完全に、またはほぼ完全に個々の二枚貝6に分離されているべきである。二枚貝6の間引き、またおそらくは二枚貝用ネット10のクリーニングにおいて、回転アクスル222とこれに固定されたロータ部品212およびステータ部品210は、取り外すべきである。
【0063】
回転アクスル222は、たとえば遠隔操作される、無限可変可逆流体圧モータ226によって回転され、モータ226は、下流側の端部で回転アクスル222に設置される。
【0064】
インレットマニホールド180とばらしパイプ192を流れる水4は、遠隔操作される、無限可変可逆流体圧駆動モータ230に接続された適当な流体圧ポンプ228によって駆動される。ポンプ228と駆動モータ230は、ばらしパイプ192のすぐ下流に設置される。最後のばらしステップの後、個々の二枚貝6はさらに、ばらしパイプ192の下流端部でガイドファンネル232を通る水流に、さらにポンプ228に、さらに適当なタイプと大きさのコンベアパイプ234を通じて、船または同様の装置へと運ばれる。船または装置の上では、二枚貝6は、たとえばケース等の適当なコンテナの中に収集され、おそらくは、さらに加工または輸送される。二枚貝6の間引き、またおそらくは二枚貝用ネット10のクリーニングにおいて、この実施形態においては、たとえばヒトデ等の不要な生物または廃棄物は、ばらしパイプ192、ポンプ228、コンベヤパイプ234から輸送され、生物または廃棄物が船または装置上で回収される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図2および3の断面IV−IVにおける二枚貝収穫器の図であり、二枚貝収穫器が開いた状態で、ワイヤに吊り下げられ、水中の二枚貝用ネット上に設置されようとしているところである。
【図2】 本発明による二枚貝収穫器の図3,図4,図5の断面II−IIにおける断面図であり、二枚貝収穫器は、水中の粗い網目の二枚貝用ネット上の使用位置に設置されており、二枚貝用ネットに付着した養殖された二枚貝が、水中で水平に、二枚貝用ネットに沿って移動する二枚貝収穫器によって収穫される。この図はまた、断面III−IIIの水平線と断面IV−IVおよびV−Vの鉛直線も示す。
【図3】 水中の養殖二枚貝を収穫している二枚貝収穫器の図2,図4,図5の断面III−IIIにおける断面図であり、二枚貝収穫器は、二枚貝収穫器の後部(推進方向に関して)で二枚貝用ネット周辺に設置された1対の推進ローラによって、二枚貝用ネットに沿って前進され、二枚貝の収穫は、二枚貝収穫器の前部で二枚貝用ネットの周辺に設置された1対の収穫ローラによって実行される。この図はまた、断面II−II、IV−IV、V−Vの鉛直線も示す。
【図4】 図1と同様に、図2および3の断面IV−IVにおける二枚貝収穫器の図であるが、二枚貝収穫器は、二枚貝用ネット周辺で閉じた状態にあり、ひとつの推進ローラは、二枚貝用ネットの片側にあり、これに押し付けられ、推進ローラのペアは、二枚貝収穫器を推進方向に移動させる。この図はまた、断面III−IIIの水平線と断面II−IIの鉛直線も示す。
【図5】 図2と図3の断面V−Vの鉛直線に沿って見た二枚貝収穫器の図であり、二枚貝収穫器は、二枚貝用ネット周辺で閉じた状態にあり、ひとつの収穫ローラは、二枚貝用ネットの片側にあり、二枚貝は、収穫ローラのペアによって収穫される。この図はまた、断面III−IIIの水平線と断面II−IIの鉛直線も示している。
【図6】 外側表面にゴム膜を有する推進ローラの一例を示す図である。
【図7】 外側表面にゴム製のノブを有する推進ローラの一例を示す図である。
【図8】 外側表面に切出しストリップ(プロファイルド・ストリップ:profiled strip)を有する収穫ローラの一例を示す図である。
【図9】 外部スレッドが設置された間引きまたはクリーニングローラの一例を示す図であり、間引きまたはクリーニングローラは、間引きまたはクリーニングブラシ上に、またこれに設置されたスレッドと共動的に設置され、間引きまたはクリーニングローラに付着した不要な生物およびおそらくはその他の不要な異物は、間引きまたはクリーニングローラの回転、およびローラに設置されたスレッドによって取り除かれ、これによって間引きまたはクリーニングブラシの回転しないスレッドを引っ掻く、または擦る。
Claims (22)
- 水中(4)でネット(10)に付着し、当該ネット上で成長する二枚貝(6)の養殖に関連して、
(A)二枚貝(6)をネット(10)から収穫する作業、
(B)ネット(10)上の二枚貝(6)を間引きする作業、および
(C)不要物をネット(10)からクリーニングする作業
のうちの少なくとも1つの作業を実施するためのシステムであって、
前記(A)〜(C)の作業のうち少なくとも一つを実施する装置(2)と、
前記装置(2)が水中(4)で浮くように、当該装置(2)に連結された少なくとも1つの浮き具と、
前記装置(2)が水中(4)で水平に移動できるように、当該装置(2)に配置された少なくとも1つの推進装置と、
を有し、
前記装置(2)はフレームを備え、
前記フレームには、少なくとも1つの作業ローラ(90,92,94,96)が備えられ、前記作業ローラは、その長手方向軸を中心として回転可能で、水中(4)でネット(10)に平行に延びるよう配置可能であり、
前記作業ローラ(90,92,94,96)の外側表面には、ネット(10)から除去される物体に対応した少なくとも1つの引っ掻き装置、擦り取り装置、または払い落とし装置が備えられ、前記作業ローラ(90,92,94,96)がネット(10)に押し付けられて回転する際に、前記除去される物体がネット(10)から取り除かれ、
前記装置(2)はさらに、ネット(10)から除去された物体を捕獲するための捕獲装置を備え、
前記捕獲装置は、使用位置において、前記作業ローラ(90,92,94,96)の長手方向に沿った少なくとも一部分を囲むことが可能なネット、スリーブ、または互いに連結したプレートの形状を有し、
前記捕獲装置は、使用位置において水が通るよう構成されており、前記作業ローラ(90,92,94,96)の下に位置する出口用開口部を備え、
前記捕獲装置の前記出口用開口部は、ネット(10)から除去された前記物体を運び出すために、下流の輸送パイプ(234)とポンプ装置とに接続されている、
ことを特徴とするシステム。 - 請求項1に記載のシステムであって、
前記収穫する作業(A)または前記間引きする作業(B)を実施するために、二枚貝(6)の塊を分離するためのばらしパイプ(192)を備え、
前記ばらしパイプ(192)の入口用開口部は、前記捕獲装置の前記出口用開口部に接続されており、
前記ばらしパイプ(192)は、その内部にばらしユニットを備え、前記ばらしユニットは、前記ばらしパイプ(192)に入ってきた二枚貝(6)の塊を分離するよう協働するステータ部品(210)とそれに隣接するロータ部品(212)とを有し、
前記ばらしユニットで分離された二枚貝(6)を運び出すために、前記ばらしパイプ(192)の下流側端部は、前記輸送パイプ(234)とポンプ装置とに接続されている、
ことを特徴とするシステム。 - 前記ロータ部品(212)が、前記二枚貝(6)の塊を捉えて分離するためのワイヤ(224)、ベーン、ブレード、ストリング、またはスレッドを備える、請求項2に記載のシステム。
- 前記作業ローラ(90,92,94,96)と前記ネット(10)との間の締め付け力を調節する流体圧式シリンダまたはスプリング装置が、前記フレームと前記作業ローラ(90,92,94,96)との間に配置されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載のシステム。
- 前記収穫する作業(A)を実施するために少なくとも1つの収穫ローラ(90,92)を前記作業ローラとして備える、請求項1〜4のいずれか1つに記載のシステム。
- 前記収穫ローラ(90,92)の表面に、切出しリブ(138,138‘)、ストリップ、歯、スレッド、またはブラシが備えられた、請求項5に記載のシステム。
- 前記間引きする作業(B)または前記クリーニングする作業(C)を実施するために、少なくとも1つの間引きまたはクリーニングローラ(94,96)を前記作業ローラとして備える、請求項1〜4のいずれか1つに記載のシステム。
- 前記間引きまたはクリーニングローラ(94,96)の表面に、スレッド(140)、ストリング、またはブラシが備えられた、請求項7に記載のシステム。
- 請求項1〜8のいずれか1つに記載のシステムであって、
前記装置(2)の前記フレームは、互いに協働し且つ回動するよう接続された2つのフレーム部品(18,20)で構成され、
各フレーム部品(18,20)には、上側辺部(22,24)と反対側の下側辺部(26,28)が備えられ、上側辺部(22,24)と下側辺部(26,28)は、少なくともひとつの接続部(30,30’,32,32’)によって接続され、
上側辺部(22,24)は、使用位置において、ほぼ水平なピボット軸を有する少なくともひとつのヒンジ(36,37)によって回動可能に接続され、これによって、フレーム部品(18,20)は前記ネット(10)周辺で開閉でき、
少なくともひとつの作業ローラ(90,92,94,96)が、前記フレーム部品(18,20)の少なくともひとつに、前記上側辺部(22,24)から前記下側辺部(26,28)に延びて備えられている、
ことを特徴とするシステム。 - 各フレーム部品(18,20)のそれぞれに、少なくともひとつの前記作業ローラ(90,92,94,96)が備えられている、請求項9に記載のシステム。
- 請求項9または10に記載のシステムであって、
前記捕獲装置が2つの捕獲装置部品によって構成され、前記捕獲装置部品が使用位置において組み合わせられた時に前記捕獲装置が形成され、
各捕獲装置部品はそれぞれ、対応する前記フレーム部品(18,20)に連結されている、
ことを特徴とするシステム。 - 請求項10または11に記載のシステムであって、
少なくとも一対の作業ローラ(90,92,94,96)を備え、
対を形成している各作業ローラ(90,92,94,96)の各々が、対応する前記フレーム部品(18,20)に連結されており、
対を形成している作業ローラ(90,92,94,96)が、使用位置において、互いにごく近接して平行に延びるよう配置されている、
ことを特徴とするシステム。 - 請求項1〜12のいずれか1つに記載のシステムであって、
前記推進装置は、前記装置(2)の前記フレームに連結された少なくともひとつの推進ローラ(86,88)を備え、
前記推進ローラ(86,88)は、その長手方向軸を中心にして回転可能で、水中(4)のネット(10)に平行に延びるよう配置可能である、
ことを特徴とするシステム。 - 請求項1〜8のいずれか1つに記載のシステムであって、
前記装置(2)の前記フレームは、互いに協働し且つ回動するよう接続された2つのフレーム部品(18,20)で構成され、
各フレーム部品(18,20)には、上側辺部(22,24)と反対側の下側辺部(26,28)が備えられ、上側辺部(22,24)と下側辺部(26,28)は、少なくともひとつの接続部(30,30’,32,32’)によって接続され、
上側辺部(22,24)は、使用位置において、ほぼ水平なピボット軸を有する少なくともひとつのヒンジ(36,37)によって回動可能に接続され、これによって、フレーム部品(18,20)は前記ネット(10)周辺で開閉でき、
少なくともひとつの推進ローラ(86,88)が、前記フレーム部品(18,20)の少なくともひとつに、前記上側辺部(22,24)から前記下側辺部(26,28)に延びて備えられ、
前記推進ローラ(86,88)は、その長手方向軸を中心にして回転可能で、水中(4)のネット(10)に平行に延びるよう配置可能である、
ことを特徴とするシステム。 - 前記フレーム部品(18,20)の少なくともひとつには、前記上側辺部(22,24)から前記下側辺部(26,28)に延びる、少なくともひとつの推進ローラ(86,88)が備えられ、
前記推進ローラ(86,88)は、その長手方向軸を中心にして回転可能で、水中(4)のネット(10)に平行に延びるよう配置可能である、
請求項9〜12のいずれか1つに記載のシステム。 - 各フレーム部品(18,20)のそれぞれに、少なくともひとつの前記推進ローラ(86,88)が備えられている、請求項15に記載のシステム。
- 請求項16に記載のシステムであって、
少なくとも一対の推進ローラ(86,88)を備え、
対を形成している各推進ローラ(86,88)の各々が、対応のフレーム部品(18,20)に連結されており、
対を形成している推進ローラ(86,88)が、使用位置において、互いにごく近接して平行に延びるよう配置されている、
ことを特徴とするシステム。 - 前記推進ローラ(86,88)の表面が、
円柱形で平坦に形成されたゴム製膜(98,98’)、
ゴム製ノブ(100)を備える表面、および
突出する歯を備える表面
のうちのいずれか1つから成る、請求項13−17のいずれか1つに記載のシステム。 - 前記推進ローラ(86,88)が、前記少なくともひとつの作業ローラ(90,92,94,96)に対して追従位置に配置されている、請求項13〜18のいずれか1つに記載のシステム。
- 前記少なくとも1つの推進ローラ(86,88)が前記フレームに対して取り外し可能に連結されている、請求項13〜19のいずれか1つに記載のシステム。
- 前記少なくとも1つの作業ローラ(90,92,94,96)が前記フレームに対して取り外し可能に連結されている、請求項1〜12のいずれか1つに記載のシステム。
- 前記浮き具が、前記装置(2)の前記フレームに連結された少なくとも1つのフロート(78,80)を備える、請求項1〜21のいずれか1つに記載のシステム。
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