JP4986429B2 - 主として未反応セルロースからなる微小異物の少ないセルロースエステル、その製造方法および当該セルロースエステルからなる成形体 - Google Patents

主として未反応セルロースからなる微小異物の少ないセルロースエステル、その製造方法および当該セルロースエステルからなる成形体 Download PDF

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本発明は、短い反応時間で主として未反応セルロースからなる微小異物が少ないセルロースエステルを得ることができるセルロースエステルの製造方法、該製造方法により製造されたセルロースエステル、および該セルロースエステルを用いてフィルム等の成形体にしたときに、光学的な欠点がほとんど見られず、光学フィルムや偏光板保護フィルム、光学補償フィルムや位相差フィルム等に適したセルロースエステルからなる成形体、に関する。
また、本発明は、短い反応時間で主として未反応セルロースからなる微小異物が少なく重合度の高いセルロースエステルを得ることができるセルロースエステルの製造方法、該製造方法により製造されたセルロースエステル、および該セルロースエステルを用いてフィルム等の成形体にしたときに、光学的な欠点がほとんど見られず、光学フィルムや偏光板保護フィルム、光学補償フィルムや位相差フィルム等に適したセルロースエステルからなる成形体、に関する。
セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステルは、繊維、プラスチック、コーティング剤やフィルム等幅広い用途に用いられている。また、セルロースエステルは光学的等方性が高く、複屈折が小さいため、写真感光材料の支持体、液晶表示装置の光学補償フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムとして多く利用され、特にセルロースアセテートは液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)における偏光層の保護膜として用いられている。
LCD部材は、一般的に偏光層を保護膜(セルロースアセテート等)、視野角拡大膜および位相差膜で覆う構造となっているが、ラミネート工程においてゴミや空気が入ってしまうという問題を解決し、工程そのものを減らして工業的にコストダウンすることを目的として、保護膜と位相差膜や視野角拡大膜の機能を1枚の膜で達成することが要求されている。
そのような膜を達成するためには、フィルムにした時の面内のレタデーション(Re)、厚み方向のレタデーション(Rth)の発現性に優れ、同時に、偏光層との接着性が良好で、さらに、湿度及び物理的外力から偏光層を保護するために適度な疎水性及び物理的強度を有するフィルムの材料が要求される。偏光層との接着性が良好で、湿度及び物理的外力から偏光層を保護するために適度な疎水性及び物理的強度を有するという要求のみに応えるための光学フィルム材料を得るため、例えばセルロースアセテートにおける置換位置に対するアシル基の影響について検討されており、アセチル置換度の合計が2.67以上(例えば2.77以上)であり、かつ2位および3位のアセチル置換度の合計が1.97以上(2.96以下)であるセルロースアセテートを含むフィルムが開示されている(特許文献1)。この文献においては、上記セルロースアセテートを用いると冷却溶解法により安定な溶液を調整でき、流延法により厚み方向のレタデーション値が小さく偏光板保護膜として適したフィルムが得られることが記載されている。
また、セルローストリアセテートについて検討し、目的の特性を有する位相差フィルムが得られた例もある(特許文献2)。しかし、セルロースアセテートは延伸性に乏しく、延伸に伴って延伸ムラが発生し、そのため位相差ムラが生じて光学フィルムとして要求される品質を満たさない場合がある。
そこで、セルロースアセテート以外に、前述の要求に応える光学フィルムの材料として、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)等について検討が行われている。
例えば、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換基をA、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をBとしたとき、2.0≦A+B≦3.0、A<2.4であり、所定のレタデーション値を有する光学フィルムが開示されている(特許文献3)。
しかし、CAPやCABにおいては、酢酸より分子の大きなプロピオン酸や酪酸若しくはこれらの酸無水物をセルロースの残存水酸基に導入するため、立体障害の影響によりセルロースアセテートに比べて効率的にエステル化することが難しい。このため、反応後に未反応セルロースが細かい繊維状(あるいは筒状乃至筒状断片)の微小異物として比較的多く残ってしまうという問題がある。この異物は、直交状態(クロスニコル)に配置した2枚の偏光子の間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光子の外側から光を当て、他方の偏光子の外側から顕微鏡で観察すると、異物部分で光が漏れ、輝点となって見えることから、輝点異物と呼ばれることもある(特許文献4)。このような繊維状の微小異物は、複屈折を有するため、フィルムにした時に偏光状態に影響を与え、光漏れなどを起こして各種フィルムとしての品質が実用に耐えられないものとなってしまうこともある。
セルロースエステル中に含まれる繊維状の微小異物を減少させる手段としては、溶解したドープをフィルターでろ過することや(特許文献4)、焼結金属のフィルターを直列に配することにより輝点異物を減少させる技術が開示されているが(特許文献5)、ろ過によっても完全に除去できるものではなく、また、輝点異物をろ過するためにろ過の目開きを小さくすればろ過効率が低下することから、生産性を阻害し、実用性に乏しいという問題がある。
特開平11−5851号公報 特開2002−62430号公報 特開2003−240955号公報 特開2003−221455号公報 特開2004−113897号公報
したがって、本発明の目的は、延伸可能で、光学フィルムとして所定の品質を達成するために有用な、主として未反応セルロースからなる微小異物の少ない(若しくは含まない)セルロースエステルを、迅速かつ効率的に製造するための製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、延伸可能で、光学フィルムとして所定の品質を達成するために有用な、重合度が高く主として未反応セルロースからなる微小異物の少ない(若しくは含まない)セルロースエステルを、迅速かつ効率的に製造するための製造方法を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、上記製造方法により製造された、主として未反応セルロースからなる微小異物の少ないセルロースエステル、およびこれからなる位相差フィルム、光学補償フィルム、偏光板保護フィルム等の光学フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に達した。すなわち、本発明は以下の[1]〜[9]に関する。
[1]セルロースを、セルロースに対し質量で1〜300倍の水を含む水系媒質中で、スラリー状態にして活性化処理する工程を含むことを特徴とするセルロースエステルの製造方法
[2]活性化処理工程が、セルロースに対し質量で1〜300倍の水を含む水系媒質中にセルロースを添加し、スラリー状態にして、0℃〜100℃で0.01時間以上72時間以下処理することを特徴とする[1]に記載のセルロースエステルの製造方法
[3]水系媒質が水であることを特徴とする[1]または[2]に記載のセルロースエステルの製造方法
[4]水系媒質が40%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[5]水系媒質が80%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[6]水系媒質が90%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[7] カルボン酸が酢酸であることを特徴とする [4]ないし[6]のいずれかに記載のセルロースエステルの製造方法
[8]前記[1]または[7]のいずれかに記載した製造方法により得られ、0.02重量%でジクロロメタンに溶解した溶液をアキュサイザーで測定した場合に、粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物が5000個以下であることを特徴とするセルロースエステル
[9]セルロースエステルが、炭素数4以上6以下の脂肪族アシル基を有する混合脂肪酸セルロースエステルであって、総アシル基の平均置換度が2〜3、グルコース単位の6位のアシル基の平均置換度が0.7〜1であり、粘度平均重合度が100〜400であるセルロースエステルであることを特徴とする[8]に記載のセルロースエステル
[10]セルロースエステルが、セルロースアセテートブチレートであることを特徴とする[8]または[9]に記載のセルロースエステル
[11]セルロースエステルがセルロースアセテートブチレートであり、アセチル基の置換度をA、ブチリル基の置換度をBとしたときに、下記式(1)〜(3)を満たし、かつ重合度が200〜400であることを特徴とする[8]〜[10]いずれかに記載のセルロースエステル
2.00≦A+B≦2.90 (1)
0.00≦ A ≦1.90 (2)
0.60≦ B ≦2.90 (3)
[12] セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネートであり、アセチル基の置換度をA、プロピオニル基の置換度をCとしたときに、下記式(4)〜(6)を満たし、かつ重合度が100〜400であることを特徴とする[8]〜[10]いずれかに記載のセルロースエステル
2.00≦A+C≦2.90 (4)
0.00≦ A ≦1.90 (5)
0.60≦ C ≦2.90 (6)
[13]上記[8]〜[12]のいずれかに記載のセルロースエステル組成物よりなる成形体
[14]光学フィルム、偏光板、位相差フィルムである[13]に記載の成形体
本発明によると、セルロースをエステル化する前に、セルロースに対し質量で1〜300倍の水を含む水系媒質中で、スラリー状態にしてセルロースを前処理(活性化処理)することにより、セルロースが膨潤し、効果的にアシル化することが可能となる。セルロースがシート状のときには、この前処理に先立ち、適当な方法で解砕処理を行っていても良いし、シート状のセルロースに対してこの前処理を行い、同時にせん断力を与えることでシート状のセルロースを離解させることでも良い。湿潤して軟らかくなるため、解砕(離解)もスムーズに行うことができるようになる。
本発明における水系媒質中でのスラリー状態にしてのセルロースの前処理(活性化処理)では、水系媒質がセルロース繊維中に十分に行き渡り、セルロース分子間及び分子内の静電的相互作用(水素結合)を弱めるため、この状態を経由した後に当該水系媒質を反応に使用するカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、ラク酸など)に置換し、酸無水物及び触媒を加えて反応を開始することで、驚くほど反応が速やかに進行し、同時に、限られた量の活性化処理剤での不均一な前処理に由来する未反応セルロース繊維の残存量を著しく減少させることができる。
また、シート状のセルロースを乾式で解砕処理を行い、本発明の活性化処理を行う場合には、乾式解砕時の機械的な衝撃と発熱により分子間または分子内で強固な水素結合を形成することで不活性化されていたセルロースの反応部位(水酸基)が回復されるという効果(反応性回復効果)も得られ、大きなプロピオニル基やブチリル基の効率的かつ均一な導入が達成される。これにより、非常に短い反応時間で、主として未反応セルロースからなる微小異物が少なく、均一にアシル化されたセルロースエステルを得ることができ、光学特性に優れた光学フィルム等の材料として利用できる。また、本発明の活性化処理を行った場合にはセルロース繊維の反応が速やかになることから、触媒及び酸無水物の量を低減することも可能である。
[活性化剤]
本発明において、活性化剤として用いられる水を含む水系媒質の量は、セルロースに対して質量で1〜300倍の範囲から選択でき、膨潤効果、反応性回復効果、および非劣化解砕の効果を充分に得るためには、通常5〜100倍、好ましくは10〜50倍、更に好ましくは15〜40倍、最も好ましくは20〜30倍である。活性化剤がセルロースに対して質量で1倍以下であると、活性化剤として膨潤効果や反応性回復効果を充分に発揮できず、セルロースの短時間での均一かつ効率的なアシル化を行うことができない。一方、加える活性化剤の量がセルロースに対して質量で300倍を超えると、活性化剤を除去するための負担が大きくなり、工業的に現実的ではない。
本発明の活性化処理において、水を含む水系媒質は、カルボン酸を含む水系媒質であってもよく、活性化処理に続く反応に先立ち反応で使用するカルボン酸を用いてセルロース原料から水系媒質を置換することを考慮すると、経済的には多くのカルボン酸を用いることが好ましいが、他方、カルボン酸濃度が90%を越えると活性化効果は急激に低下し、例えば、100%のカルボン酸を用いた場合には本発明の目的とするセルロースエステルは得られない。カルボン酸としては、たとえば炭素数1〜6の(脂肪族)カルボン酸を用いることができるが、分子が小さいほどセルロース内部に入り易く、より効果的にセルロースを活性化させることができるため、炭素数1〜4のカルボン酸を用いることがより好ましい。例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の脂肪族カルボン酸が好ましいものとして挙げられ、このうち、入手容易性や回収容易性の観点からギ酸、酢酸が特に好ましい。
また、活性化剤として好ましいものは、水単独、水と酢酸等であり、コストや膨潤の効果、活性化剤除去の容易さから、水単独または水と酢酸との組み合わせが好ましい。
本発明における活性化剤として、水単独ではなくカルボン酸や親水性溶媒とともに用いる場合、その混合割合としては、水とカルボン酸の混合物の場合、前者/後者が100/0〜10/90、好ましくは80/20〜15/85、更に50/50〜15/85の範囲であることが望ましい。
活性化処理は、上記活性化剤中に原料セルロースをスラリー状に添加して行う。活性化処理の温度は0℃〜100℃の範囲で行うことができるが、工業的な負荷をかけずに活性化処理を行うことが好ましく、通常10℃〜40℃で行われ、15℃〜35℃がより好ましい。また、活性化処理時間は0.1時間〜72時間の範囲で選択できるが、0.01時間よりも短いと活性化の効果が不充分か均一に処理を行うために不適当であり、72時間以上では工業的製造に適さない。活性化処理時間は通常、0.1時間〜3時間、好ましくは0.2時間〜2時間で行われる。
[セルロースエステル]
本発明におけるセルロースエステルは、炭素数4以上6以下の脂肪族アシル基を有する混合脂肪酸セルロースエステルであって、総アシル基の平均置換度が2〜2.9、グルコース単位の6位のアシル基の平均置換度が0.7〜1であり、粘度平均重合度が100〜400であるセルロースエステルである。上記セルロースエステルのうち、特に、光学用フィルムとしての良好な特性を発揮できることから、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートが好ましい。この中でも入手しやすさやコストの面、光学フィルムとしての良好な特性を得られることなどから、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートが特に望ましい。
セルロースエステルとしてセルロースアセテートブチレートを選択する場合、その置換度は、アセチル基の置換度をA、ブチリル基の置換度をBとしたときに、下記式(1)〜(3)を満たすものが有用である。
2.00≦A+B≦2.90 (1)
0.00≦ A ≦1.90 (2)
0.60≦ B ≦2.90 (3)
一方、セルロースエステルとしてセルロースアセテートプロピオネートを選択する場合、その置換度は、アセチル基の置換度をA、プロピオニル基の置換度をCとしたときに、下記式(4)〜(6)を満たすものが有用である。
2.00≦A+C≦2.90 (4)
0.00≦ A ≦1.90 (5)
0.60≦ C ≦2.90 (6)
尚、置換度は慣用の方法で測定でき、例えば、酢化度はASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度に準じて単位重量あたりのアシル基のモル数を測定するとともに、さらに、ケン化によって遊離した各アシル基の比率を液体クロマトグラフィーで測定することにより算出できる。また、置換化度は、1H−NMR、13C−NMRで分析することもできる。
アシル基の置換度分布は、13C−NMRなどの公知の方法で測定できる。また、測定方法については、手塚ら(Carbohydr.Res.273(1995)83−91)および特開2002−338601号公報を参照できる。
本発明におけるセルロースエステルの重合度は、セルロースアセテートプロピオネートの場合、粘度平均重合度100〜400、好ましくは150〜350、さらに好ましくは170〜300程度であり、セルロースアセテートブチレートの場合、粘度平均重合度200〜400、好ましくは220〜380、さらに好ましくは250〜350程度である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。その際、溶媒は適宜選択できる。例えば、メチレンクロライド/エタノール=9/1(重量比)の混合溶液に変性セルローストリアセテートまたはそれからなる光学フィルムを溶解し、所定の濃度c(2.00g/dl)の溶液を調製する。この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間(秒)tを測定する。尚、光学フィルムの場合は一般に添加剤を含んでいるのでセルロースエーテルアセテートの貧溶媒に溶解し、添加剤を溶出した上で粘度を測定する。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間(秒)t0を測定し、下記式に従って、粘度平均重合度を算出できる。
η r e l =t/t0
[η]=(lnη r e l )/c
DSester=[η]/(6×10- 4
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液の変性セルローストリアセテート濃度(g/dl)、η r e l は相対粘度、[η]は極限粘度、DSesterは平均重合度を示す)。また、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶媒を用いたとき、変性セルローストリアセテートの6重量%溶液粘度は、例えば、150〜700cps、好ましくは200〜600cps、特に250〜500cps程度である。
[セルロースエステルの製造方法]
セルロースエステルは、本発明における活性化処理を施した後、硫酸触媒の存在下、セルロースをアシル化剤でアシル化した後、必要により部分中和し、脱アシル化(加水分解又は熟成)することにより製造することができる。より詳細には、混合脂肪酸セルロースエステルは、通常、セルロースを活性化処理後、硫酸触媒を用いてアシル化剤(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等)によりトリアシルエステルを調製し(アシル化工程)、酸無水物を分解しカルボン酸/水系で加水分解又は熟成によりアシル化度を調整する(ケン化・熟成工程)ことにより製造できる。なお、セルロースエステルの製造方法については、「木材化学」(右田ら、共立出版(株)1968年発行、第180頁〜第190頁を参照できる。
前記セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)や綿花リンター等が使用できる。これらのセルロースは、単独または2種以上を組み合わせてもよく、例えば、針葉樹パルプと綿花リンターまたは広葉樹パルプとを併用してもよい。
アシル化に用いる硫酸触媒の使用量は、通常、セルロース100重量部に対して1〜15重量部程度の範囲から選択でき、好ましくは3重量部〜15重量部、より好ましくは5〜10重量部程度である。アシル化剤としては、酢酸クロライドなどの有機酸ハライドであってもよいが、通常、無水酢酸や無水プロピオン酸、無水酪酸等のアルカンカルボン酸無水物などが使用できる。これらのアシル化剤は2種類以上組み合わせて用いることもできる。好ましいアシル化剤は、炭素数2〜4のアルカンカルボン酸無水物、例えば無水酢酸、無水酢酸と無水プロピオン酸、無水酢酸と無水酪酸の組み合わせ等である。なお、複数のアシル化剤のうち、特定のアシル化剤でアシル化した後、他方のアシル化剤と反応させて混合脂肪酸エステルを得ることもできる。
アシル化工程でのアシル化剤の使用量は、例えばセルロースの水酸基に対して1.1〜4当量、好ましくは1.1〜2当量、さらに好ましくは1.3〜1.8当量程度である。
アシル化工程において、通常、溶媒又は希釈剤として有機カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸等)が使用される。有機カルボン酸の使用量は、例えばセルロース100重量部に対して50〜700重量部、好ましくは100〜600重量部、さらに好ましくは200〜500重量部程度である。なお、アシル化反応は、慣用の条件、例えば0℃〜50℃程度の温度で行うことができる。
アシル化反応により、セルローストリアシレートを得ることができる。所定のアシル化度に到達した後、所定量の水及び/またはアルコールを添加して酸無水物を分解しながら反応系中に水及び/またはアルコールを存在させ、硫酸成分(総硫酸を含む)を熟成触媒として利用して脱アシル化(加水分解または熟成)する。この反応において、エステル化に利用した硫酸の一部は中和してもよい。
硫酸の一部を中和するための代表的な塩基としては、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等の炭酸塩、酢酸ナトリウムや酢酸カリウム等の有機酸塩など)、アルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、酢酸カルシウム等の有機酸塩など)が挙げられる。これらの塩基は、単独でまたは2種類以上組み合わせて使用してもよい。
部分中和のための総塩基量は、硫酸触媒1当量に対して、0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、さらに好ましくは0.3〜0.7当量程度の範囲から選択できる。
通常のアシル化反応では、グルコース単位の6位のヒドロキシル基は硫酸エステルを形成しやすい。一方、硫酸エステル基の含有量が多くなると、生成したセルロースエステルの耐熱安定性や耐加水分解性なども低下しやすい。硫酸エステル基濃度を低減するため、脱アシル化工程において、反応系に所定量の塩基を連続的または複数回に分けて間欠的(または段階的)に添加して部分中和し、脱アシル化反応及び脱硫酸エステル反応を行うのが有利である。なお、水溶液等の液体や粉体など所定の形態で、塩基を反応系に短いインターバルをおいて滴下または添加することにより、塩基を実質的に連続して添加できる。塩基を分割して添加する場合、塩基の添加回数は、複数回であればよく、例えば、3回以上、好ましくは4回以上、さらに好ましくは5回以上であってもよい。工業的に有利に脱アシル化を行うためには、3〜50回(例えば3〜20回)、好ましくは4〜25回程度である場合が多い。
前記塩基の添加様式は特に制限されず、等量の塩基を反応系に連続的または間欠的に添加してもよく、脱アシル化工程の初期に塩基の添加量を多くし、後期に至るにつれて塩基の添加量を連続的または段階的に低減してもよく、脱アシル化工程の初期に塩基の添加量を少なくし、後期に至るにつれて塩基の添加量を連続的または段階的に増加させてもよい。塩基の添加量は、通常、脱アシル化工程の後期よりも初期での塩基の添加量を多くする場合が多い。
脱アシル化反応(熟成または加水分解工程)は、例えば、20℃〜90℃の温度、好ましくは25℃〜80℃、さらに好ましくは30℃〜70℃程度で行うことができる。脱アシル化反応は、必要であれば、他の酸触媒(プロトン酸、ルイス酸)を使用してもよいが、通常、残存硫酸を脱アシル化反応の触媒として使用する場合が多い。脱アシル化反応は、不活性ガス雰囲気中で行ってもよく、空気雰囲気中で行ってもよい。
上記のような脱アシル化反応によりアシル化度と置換基分布を調整し、所定のセルロースエステルを得ることができる。
尚、アシル化工程での触媒硫酸量や脱アシル化工程での水および/またはアルコール含有量により、グルコース単位または骨格の6位の平均置換度をコントロールできる。例えば、アシル化工程での触媒硫酸量を増加すると、グルコース単位または骨格の6位の平均置換度を低減できる。また、脱アシル化反応を所定量の水またはアルコールの共存下で行うと、グルコース単位または骨格の6位の平均置換度を低減できる。すなわち、特開2002−338601号公報に記載のように、アシル化剤(またはアシル基供与体)に対する水またはアルコールの割合が少ない条件で脱アシル化反応を行うと、グルコース単位または骨格の2位、3位、6位のアシル基の平均置換度を調整できるとともに、6位の平均置換度を高めることができ、脱アシル化反応での水および/またはアルコール含有量を多くすると、グルコース単位の6位の平均置換度を低減できる。これらのことを利用して、グルコース単位の6位の平均置換度を制御することもできる。さらに、グルコース単位の6位の平均置換どの調整については、特開平9−286801号公報に記載の方法(トリチル化剤で6位の水酸基を保護してエステル化した後、脱トリチル化する方法)を参照することもできる。
前記脱アシル化反応の後、必要により前記塩基で構成された中和剤(好ましくはアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、特に少なくともカルシウム化合物)を添加してもよい。また、反応性生物を水または酢酸水溶液などに投入して生成したセルロースエステルを分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去してもよい。なお、水洗の際に中和剤を使用することもできる。
[主として未反応セルロースからなる微小異物]
本発明にかかる活性化処理を行って得られるセルロースエステルは、主として未反応セルロースからなる微小異物が少なく、光学材料、特に光学フィルムを成形するのに有用である。本発明における活性化処理を行うことにより、主として未反応セルロースからなる微小異物の量は、アキュサイザーで測定した場合に、粒径1〜10μmのジクロロメタン不要物が5000個以下となる。このような繊維状の微小異物は、複屈折を有するため、フィルムにした時に偏光状態に影響を与え、光漏れなどを起こして各種フィルムとしての品質が落ちてしまう原因になるため、より好ましくは3000個以下、特に0個であることが好ましい。
本発明にかかるセルロースエステルには、必要に応じて慣用の添加剤、例えば可塑剤、安定化剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、対光安定剤など)、着色剤(染料、顔料など)、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、分散剤、流動化剤、ドリッピング防止剤、抗菌剤などが含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。さらに、セルロースエステルの物性を損なわない限り、セルロースエステル以外の樹脂が含まれていてもよい。
本発明におけるセルロースエステルは、延伸性を有するとともに、主として未反応セルロースからなる微小異物が少ないため光学特性に優れる。そのため、種々の成形体を成形するのに有用であるが、中でも光学材料、特に光学フィルムを形成するのに有用である。
本発明におけるセルロースエステルから光学フィルムを製造する方法としては、溶融製膜方法(射出成形等)および溶液製膜方法(流延法)のいずれであってもよい。
溶液製膜方法においては、セルロースエステルと有機溶媒とを含むドープ(または有機溶媒溶液)を剥離性支持体に流延し、生成した膜を剥離性支持体から剥離して乾燥することによりフィルムを得ることができる。この場合、剥離性支持体は通常、金属支持体(ステンレススチール等)であり、ドラム状やエンドレスベルト状であってもよい。支持体の表面は、通常、鏡面仕上げされ平滑である。
ドープを調整するための有機溶媒は、塩素系有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム等であってもよく、また、非塩素系有機溶媒であってもよい。非塩素系有機溶媒としては、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等)などが例示できる。これらの溶媒は単独または二種以上混合して使用することができ、塩素系溶媒と非塩素系溶媒とを混合指定使用することもできる。
ドープには、前述した慣用の添加剤を添加してもよい。また、レタデーション上昇剤(特開2001−139621号公報)、剥離剤(特開2002−309009号公報)などを添加してもよい。
尚、ドープは、慣用の方法、例えば高温溶解法、冷却溶解法等を利用して調製することができる。ドープ中のセルロースエステル濃度は、10〜35重量%、好ましくは15〜25重量%程度であってもよい。
フィルムは、流延ダイ等を利用してドープを支持体上に流延し、乾燥することにより製造することができる。通常、ドープを支持体上に流延し、予備乾燥した後、有機溶媒を含む予備乾燥膜を乾燥することによりフィルムが製造される。
溶融製膜法においては、射出成形、押出成形、真空成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形、ガス注入成形、T−ダイ成形、インフレーション成形、カレンダー成形などによって各種成形品に成形することができる。これらの成形方法のうち、例えば、フィルムへの加工は、インフレーション法、T−ダイ法等、従来の各種の成形方法により成形してフィルムに加工することができる。
上記製法により得られたフィルムは、1軸または2軸延伸してレタデーションを制御することができる。また、得られたフィルムの厚みは用途に応じて選択することができ、例えば5〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜120μmである。
本発明におけるセルロースエステルとこれからなるフィルムは、主として未反応セルロースからなる微小異物が少なく、光学特性に優れるため、偏光板保護フィルムや位相差フィルム、光学補償フィルム等種々の光学フィルムとして利用することができる。本発明にかかるセルロースエステルからなるフィルムは、種々の液晶表示モード(Twisted Nematic(TN)方式、Super Twisted Nematic(STN)方式、Optically Compensated Bend(OCB)方式、Axially Symmetric Aligned Microcell方式、Ferroelectric Liquid Crystal方式等)の液晶表示装置に使用することができる。特に、視野角を拡大させるためのVertical Alignment(VA)方式やIn−Plane Switchingの液晶表示装置に好適に適用することができる。
また、本発明にかかるフィルムは、例えば、偏光板の保護フィルムや液晶表示装置用光学補償フィルムとして有用であるだけでなく、レタデーションが大きなセルロースエステルフィルムを選択して使用することにより、光学補償機能を兼ね備えた偏光板保護フィルムとして使用することも可能となる。このような光学補償機能を兼ね備えた偏光板保護フィルムを用いると、OCB方式などの液晶表示装置において複屈折を補償するために使用されていた光学補償フィルムを用いる必要がなく、液晶表示ユニットの構造を簡素化できる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、3000重量部の水に浸漬し、室温で90分間攪拌膨潤させた。G3ガラスフィルター上でアスピレーターを用いて吸引脱液し、含水セルロース330重量部を得た。得られた含水セルロースを3000重量部の氷酢酸に浸漬させ、室温で90分間攪拌した。酢酸浸漬させたセルロースをG3ガラスフィルター上でアスピレーターを用いて吸引脱液し水を酢酸で置換した。この酢酸浸漬操作を4回繰り返し、最終的に水0.2重量部、酢酸216重量部を含むセルロース100重量部を得た。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸789重量部、酢酸30重量部、酪酸753重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度を外部冷却/加温によって、反応開始から50分間10℃以下に保持し、30℃に直線的に20分間かけて昇温し、さらに200分間30℃に保持した。このようにしてセルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成)合成したセルロースアセテートブチレートの溶液に46.6質量%の酢酸水溶液671重量部及び24%質量%酢酸マグネシウム水溶液22重量部を加え、温度を60℃に上げて、120分間保持してセルロースアセテートブチレートを熟成した。
(後処理)熟成後、24質量%酢酸マグネシウム水溶液57重量部を加えて攪拌した。得られて溶液を激しく攪拌しながら30質量%酢酸水溶液10000重量部を加え、得られた沈殿を濾別、流水洗浄、そして熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
(セルロースアセテートブチレートの分析)製造したセルロースアセテートブチレートについて、置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。測定結果は表1に示す。置換度は1H−NMRを用いて実施した。1H−NMRの測定条件は以下の通りである。
装置:日本電子JNM−A500
測定周波数:500MHz
測定溶媒:CDCl3
試料濃度:15mg/0.6ml
測定温度:40.0℃
積算回数:16
PD:10−ACQTMsec.
PW1:6.25μsec.
照射モード:NON
データポイント:16384
アセチルメチルのプロトンシグナルは1.81ppmから2.43ppmの領域に現れ、ブチリルメチルのプロトンシグナルは0.78ppmから1.07ppmと1.81ppmから2.43ppmの領域に現れる。また、グルコース環メチン、メチレンのプロトンシグナルは3.20ppmから5.50ppmの領域に現れる。それぞれのシグナル強度からアセチル置換度およびブチリル置換度を求めた。その結果、得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.00、ブチリル置換度は1.90であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、192であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数はアキュサイザーで測定した。測定条件は以下の通りである。
装置:AccuSizer780/SISシリンジインジェクションサンプラー Part icle Sizing Systems(インターナショナルビジネス社)
測定溶媒:特級試薬ジクロロメタン
測定濃度:200ppm
キャリブレーションカーブ:水系で作成したものを使用、Sum. Sensorモード0 .50um〜100um
Volume of Syringe: 10ml
Time between Pulls: 1sec
Flow Rate: 30ml/min
Number of Pulls: 3
Volume of Pulls: 8ml
Tale Volume: 1ml
Prime Volume: 1ml
得られたセルロースアセテートブチレートの粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数2793個であった。

実施例2
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、3000重量部の水に浸漬し、室温で90分間攪拌膨潤させた。ブフナー漏斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液し、含水セルロース530重量部を得た。得られた含水セルロースを1500重量部の氷酢酸に浸漬させ、室温で90分間攪拌した。酢酸浸漬させたセルロースをブフナー漏斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液し水を酢酸で置換した。この酢酸浸漬操作を2回繰り返し、最終的に水17.7重量部、酢酸295重量部を含むセルロース100重量部を得た。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸1034重量部、酢酸54重量部、酪酸387重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度を外部冷却/加温によって、反応開始から75分間10℃以下に保持し、25℃に直線的に20分間かけて昇温し、さらに35分間25℃に保持した。このようにしてセルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成)合成したセルロースアセテートブチレートの溶液に20質量%の酢酸水溶液147重量部を加え、温度を60℃に上げて、240分間保持してセルロースアセテートブチレートを熟成した。
(後処理)熟成後、24質量%酢酸マグネシウム水溶液125重量部を加えて攪拌した。得られて溶液を激しく攪拌しながら30質量%酢酸水溶液10000重量部を加え、得られた沈殿を濾別、流水洗浄、そして熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
(セルロースアセテートブチレートの分析)得られたセルロースアセテートブチレートは実施例1と同様に置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.03、ブチリル置換度は1.62であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、190であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数をアキュサイザーで測定した。その結果、1908個であった。

実施例3
実施例1と同様の活性化処理操作において、3000重量部の水に代えて80%酢酸(20%含水)を使う以外は、実施例1と同じ処理を行い、表1に示す組成の活性化処理済みセルロースを得た。実施例と1同様の合成操作において、表1に示す温度条件を取った以外には、実施例1と同じ処理を行い、表1に示すセルロースアセテートブチレート(アセチル置換度0.99、ブチリル置換度1.93、平均重合度249、粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶物個数(アキュサイザー測定)1002個であった。

比較例1
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、76重量部の氷酢酸を噴霧し、室温で一時間活性化処理を行った。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸885重量部、酢酸170重量部、酪酸646重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度プロファイルは実施例1と同様にして、セルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成、後処理)実施例1と同様に熟成および後処理を行い、セルロースアセテートブチレートを得た。
(セルロースアセテートブチレートの分析)得られたセルロースアセテートブチレートは実施例1と同様に置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.01、ブチリル置換度は1.92であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、139であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数をアキュサイザーで測定した。その結果、8665個であった。

比較例2
(活性化処理)解砕したセルロース100重量部に対し、76重量部の氷酢酸を噴霧し、室温で一時間活性化処理を行った。
(セルロースアセテートブチレートの合成)活性化処理したセルロースに予め冷却した無水酪酸958重量部、酢酸274重量部、酪酸471重量部および硫酸11.6重量部を加え混合した。反応温度を外部冷却/加温によって、反応開始から75分間10℃以下に保持し、25℃に直線的に20分間かけて昇温し、さらに175分間25℃に保持した。このようにしてセルロースアセテートブチレートを合成した。
(セルロースアセテートブチレートの熟成、後処理)実施例2と同様に熟成および後処理を行い、セルロースアセテートブチレートを得た。
(セルロースアセテートブチレートの分析)得られたセルロースアセテートブチレートは実施例1と同様に置換度、重合度および粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数を測定した。得られたセルロースアセテートブチレートのアセチル置換度は1.11、ブチリル置換度は1.53であった。平均重合度は、前述した宇田らの極限粘度法により測定した。その結果、148であった。粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶解物個数をアキュサイザーで測定した。その結果、5796個であった。

比較例3
実施例3と同様の活性化処理操作において、3000重量部の80%酢酸に代えて氷酢酸を使う以外は、実施例1と同じ処理を行い、表1に示す組成の活性化処理済みセルロースを得た。実施例と1同様の合成操作において、表1に示す温度条件を取った以外には、実施例1と同じ処理を行い、表1に示すセルロースアセテートブチレート(アセチル置換度1.00、ブチリル置換度1.92、平均重合度119、粒径1〜10μmのジクロロメタン不溶物個数(アキュサイザー測定)12146個)を得た。

以上の結果を表1に示す。
Figure 0004986429

Claims (3)

  1. セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートの製造方法であり、
    セルロースを、セルロースに対し質量で15〜40倍の水を含む水系媒質で、スラリー状態にして、10℃〜40℃で0.2時間以上2時間以下活性化処理する工程
    前記の含水セルロースをカルボン酸に浸漬させる工程
    前記のカルボン酸を含む含水セルロースを吸引脱液させ水をカルボン酸で置換する工程
    からなる前処理工程を含むことを特徴とするセルロースエステルの製造方法
  2. 水系媒質が80%以下のカルボン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルの製造方法
  3. カルボン酸が酢酸であることを特徴とする請求項1ないし2に記載のセルロースエステルの製造方法
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