JP4984825B2 - 音響発生装置及び音響発生システム - Google Patents
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Description
また、本発明の別の好適な態様である音響発生装置は、聴取者まで複数の伝搬経路を形成する複数の反射面であって当該反射面で反射する音波の少なくとも一部が他の反射面で2次反射する位置に設けられた複数の反射面により構成される空間内に設置され、供給される音響信号に応じた音波を前記複数の反射面のうち少なくとも一つの反射面に向けて放出するスピーカユニットを複数有する指向性制御可能なスピーカと、供給されるパラメータに基づいて遅延処理を施した音響信号を前記複数のスピーカユニットのそれぞれに供給する指向性制御手段と、前記少なくとも一つの反射面上の所定の位置で、前記複数のスピーカユニットのそれぞれから放出される音波が互いに振幅を高め合う位相関係となるような遅延時間を示すパラメータであって、それぞれ対応する所定の位置が異なるパラメータを複数記憶するパラメータ記憶手段と、前記パラメータ記憶手段に記憶された複数のパラメータを所定のアルゴリズムに基づいて切り換えながらいずれか一つを読み出し、前記指向性制御手段に供給するパラメータ供給手段とを具備することを特徴としている。
また、上述の態様において、前記複数のスピーカユニットは、面状に配置されてもよい。
また、上述の態様において、前記所定のアルゴリズムは、予め定められた単位時間が経過する毎に前記記憶手段から読み出すパラメータを切り換えるアルゴリズムであってもよい。
また、この態様において、前記パラメータは、前記複数のスピーカのそれぞれから放出される音波が前記反射面上の所定の位置で互いに振幅を高め合う位相関係となるような遅延時間及び利得を示すパラメータであり、前記指向性制御手段は、供給されるパラメータに基づいて音響信号に遅延処理を施すとともに、供給されるパラメータに応じた利得で当該音響信号を増幅し、前記複数のスピーカのそれぞれに供給してもよい。
この態様において、前記反射面は、前記所定の位置で反射した音波を前記聴取者に向けて反射させる反射面を含んでもよい。
この態様において、前記反射面を具備してもよい。
図1は、この発明の一実施形態である音響発生装置1を説明するための図である。この音響発生装置1は、1チャネルのオーディオ信号(音響信号)の再生を行う装置である。図において、アレイスピーカ20は、供給されるオーディオ信号(音響信号)に応じた音波を放出する複数のスピーカユニット211,212,…,21nを有するアレイスピーカであり、側壁10aに向けて放音する方向で空間S内に配置されている。アレイスピーカ20は、複数のスピーカユニット211,212,…,21nが水平方向に並べて配置されて構成されており、スピーカユニット211,212,…,21nのそれぞれに供給される音響信号の遅延時間が調節されることによって、水平方向における放音の指向性が制御される。空間Sは、側壁10a,10b,10c,10dを有する空間である。側壁10a,10b,10c,10dは、音を反射させる部材で形成されている。
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、側壁10a,10b,10c,10dを各々区別する必要がない場合には、これらを「側壁10」と称して説明する。また、スピーカユニット211,212,…,21nを各々区別する必要がない場合には、これらを「スピーカユニット21」と称して説明する。また、この実施形態では、アレイスピーカ20が有するスピーカユニット21の数を「n」として説明する。
同様にして、遅延パラメータP2が遅延量補正回路32に供給されると、アレイスピーカ20から放出される音波は、側壁10a上の位置p2で最も音圧の高いものとなる。また、遅延パラメータP3が遅延量補正回路32に供給されると、アレイスピーカ20から放出される音波は、側壁10a上の位置p3で最も音圧の高いものとなる。
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、このように音圧が最も高くなる位置を音の「焦点」と呼ぶ。
上述した構成によるこの実施形態の動作は以下のとおりである。音響信号が入力I/F31に入力されると、入力I/F31は、入力された音響信号を遅延量補正回路32に出力する。また、パラメータ供給部50は、予め定められた単位時間毎に、遅延パラメータ記憶領域41に記憶された遅延パラメータを切り換えて読み出し、遅延量補正回路32に出力する。具体的には、パラメータ供給部50は、遅延量補正回路32に供給する遅延パラメータを単位時間毎に1度ずつずらしていく。
具体的には、例えば、小鳥のさえずりを表す音響信号が音響発生装置1に供給された場合には、音の焦点が側壁10a上を移動することにより、あたかも小鳥が側壁10a上を移動しているかのような小鳥のさえずりを聴取者2に聞かせることができる。
以上説明したこの実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)この実施形態によれば、連続的に遅延時間を制御して音の焦点を側壁10上で連続的に移動させることにより、複数のスピーカを複数地点に設置することなく、1台のスピーカ装置(アレイスピーカ20)を用いるだけで、空間S内の聴取者2に音像の動きを感じさせることができる。また、複数の反射音を反射面より時々刻々異なる方向から生成することで、音に包み込まれるサラウンド効果を与えることができ、複数のスピーカを設置する必要がない。また、音像を移動させるためにスピーカ本体を移動させる必要も勿論ない。
特に、正面方向の音像については、側壁10の反射音を利用して作ることができるから、従来のステレオ効果を利用した場合の音像が左右のスピーカの間に限定されることと比較すると、広い聴取エリアで音像の位置の移動を実現することができる。
特にこの実施形態では、連続した遅延制御を行うことにより、2次反射以降では音場の無指向化が更に広まり、音に包まれた印象を作り出すことができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)上述した実施形態では、複数のスピーカユニット21のそれぞれから放出される音波が側壁10a上の所定の位置で同位相となるような遅延時間を示すパラメータを用いた。複数のスピーカユニット21のそれぞれから放出される音波は、側壁10a上の所定の位置で正確に同位相となる必要はなく、音波の振幅を互いに補うように遅延処理を行う構成であってもよい。要するに、遅延パラメータは、複数のスピーカユニット21のそれぞれから放出される音波が側壁10a上の所定の位置で相互に振幅を高め合う位置関係となるような遅延時間を示すパラメータであればよい。
また、例えば、図10に示すように、照明器具3とアレイスピーカ20Dとを一体として構成してもよい。このようにすれば、アレイスピーカがより目立たなくなる。
また、スピーカユニットの配置態様は1列に限らず、複数のスピーカユニットが面状(曲面・平面など)に配置されて構成されたアレイスピーカを用いてもよい。
図11において、音響発生装置1E,1F,1Gのそれぞれのアレイスピーカ20E,20F,20Gは、側壁10に向けて、垂直方向に並べて配置されている。音響信号供給部60は、音響発生装置1E,1F,1Gのそれぞれに対して異なる音響信号を供給する。音響発生装置1E,1F,1Gは、供給される音響信号に応じて、側壁10上で音の焦点を移動させながら放音する。
例えば、音響信号供給部60が、音響発生装置1Eには小鳥の囀りを表す音響信号を供給し、音響発生装置1Fには木々の葉音を表す音響信号を供給し、音響発生装置1Fには小川のせせらぎを表す音響信号を供給して、それぞれ信号の種類に応じて異なる高さの装置に供給したとする。このとき、音響発生装置1Eが音の焦点を側壁10上で水平方向に移動させることによって、小鳥が水平方向に移動しているかのように聴取者に感じさせることができる。また、音響発生装置1Fが、例えば、常に空間Sの図中右方から図中左方に向けて音の焦点を移動させるようにすれば、空間S内にいる聴取者2に、図中右方から左方に向けて小川のせせらぎが知覚させることができる。
更に、側壁10で、アレイスピーカ20E,20F,20Gのそれぞれから放出された音が2次反射、3次反射することにより、アレイスピーカ20E,20F,20Gのそれぞれが配置されている高さの空間S11,S12,S13で、それぞれ異なる音場が形成される。すなわち、空間を複数のレイヤに分けて、レイヤ毎に音響を分けることができる。具体的には、例えば、空間S11では、小鳥の囀りの音場が形成され、空間S12では、木々の葉音が聴こえ、また、空間S13では、小川のせせらぎの音場が形成される。このように、音場のレイヤを異なる高さに形成することができ、音に包まれているような印象を聴取者に与えることができる。
また、上述した実施形態では、パラメータ供給部50が、遅延量補正回路32に供給する遅延パラメータを1度ずつずらすように遅延パラメータを切り換えることにより、側壁10a上で焦点を直線的に移動させる構成としたが、側壁10a上で焦点が移動する軌跡は直線に限らない。例えば、楕円形、円形、波形などの形状の軌跡を、側壁10a上で焦点が描くように焦点を移動させる構成としてもよい。この場合には、垂直方向にもスピーカユニットを配置したアレイスピーカを使用すれば、垂直方向への指向性制御が可能である。
また、焦点を側壁10a上で連続的に移動させる必要はなく、焦点を離散的に移動させてもよい。また、例えば、時間帯によって、焦点を連続的に移動させたり、離散的に移動させたり、というように、組み合わせて用いる構成としてもよい。
なお、焦点をどのように移動させるかは、遅延量補正回路32に供給するパラメータをどのような順番で供給するかによって決まってくるから、焦点の移動の態様は、パラメータ供給部50の設計等に応じて変更可能である。
また、例えば、反射面の大きさと形状を示す反射面情報と空間におけるアレイスピーカと反射面との相対位置関係を示す位置情報とを記憶する位置情報記憶部を設ける構成とし、記憶された反射面情報と位置情報とに基づいて、遅延量補正経路に供給する遅延パラメータを算出する算出部を設ける構成としてもよい。
Claims (11)
- 聴取者まで複数の伝播経路を形成する複数の反射面であって当該反射面で反射する音波の少なくとも一部が他の反射面で2次反射する位置に設けられた複数の反射面により構成される空間内に設置され、供給される音響信号に応じた音波を前記複数の反射面のうち少なくとも一つの反射面に向けて放出する指向性制御可能なスピーカと、
前記スピーカの指向性を制御する指向性制御手段と、
前記少なくとも一つの反射面上の所定の位置で、前記スピーカから放出される音波が振幅を高め合う指向性にするパラメータであって、それぞれ対応する前記所定の位置が異なるパラメータを複数記憶するパラメータ記憶手段と、
前記パラメータ記憶手段に記憶された複数のパラメータを所定のアルゴリズムに基づいて切り換えながらいずれか一つを読み出し、前記指向性制御手段に供給するパラメータ供給手段と
を具備することを特徴とする音響発生装置。 - 聴取者まで複数の伝搬経路を形成する複数の反射面であって当該反射面で反射する音波の少なくとも一部が他の反射面で2次反射する位置に設けられた複数の反射面により構成される空間内に設置され、供給される音響信号に応じた音波を前記複数の反射面のうち少なくとも一つの反射面に向けて放出するスピーカユニットを複数有する指向性制御可能なスピーカと、
供給されるパラメータに基づいて遅延処理を施した音響信号を前記複数のスピーカユニットのそれぞれに供給する指向性制御手段と、
前記少なくとも一つの反射面上の所定の位置で、前記複数のスピーカユニットのそれぞれから放出される音波が互いに振幅を高め合う位相関係となるような遅延時間を示すパラメータであって、それぞれ対応する所定の位置が異なるパラメータを複数記憶するパラメータ記憶手段と、
前記パラメータ記憶手段に記憶された複数のパラメータを所定のアルゴリズムに基づいて切り換えながらいずれか一つを読み出し、前記指向性制御手段に供給するパラメータ供給手段と
を具備することを特徴とする音響発生装置。 - 前記複数のスピーカユニットは、1列に配置されることを特徴とする請求項2に記載の音響発生装置。
- 前記複数のスピーカユニットは、面状に配置されることを特徴とする請求項2に記載の音響発生装置。
- 前記所定のアルゴリズムは、予め定められた単位時間が経過する毎に前記記憶手段から読み出すパラメータを切り換えるアルゴリズムである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の音響発生装置。 - 前記パラメータは、前記複数のスピーカユニットのそれぞれから放出される音波が前記反射面上の所定の位置で互いに振幅を高め合う位相関係となるような遅延時間及び利得を示すパラメータであり、
前記指向性制御手段は、供給されるパラメータに基づいて音響信号に遅延処理を施すとともに、供給されるパラメータに応じた利得で当該音響信号を増幅し、前記複数のスピーカユニットのそれぞれに供給する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の音響発生装置。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の音響発生装置と、
前記反射面と
を具備することを特徴とする音響発生システム。 - 前記反射面は、前記所定の位置で反射した音波を前記聴取者に向けて反射させる反射面を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の音響発生システム。 - 反射面の大きさと形状を示す反射面情報と前記空間における前記スピーカと前記反射面との相対位置関係を示す位置情報とを記憶する位置情報記憶手段と、
前記位置情報記憶手段に記憶された反射面情報と位置情報とに基づいて、前記複数のパラメータを算出するパラメータ算出手段と
を具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の音響発生装置。 - 水平方向及び垂直方向の少なくともいずれか一方に複数配置された請求項1乃至6のいずれかに記載の音響発生装置と、
前記複数の音響発生装置のそれぞれに対して、相異なる音響信号を供給する音響信号供給手段と
を具備することを特徴とする音響発生システム。 - 前記反射面
を具備することを特徴とする請求項10に記載の音響発生システム。
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