JP4983771B2 - 油中希釈燃料分離装置 - Google Patents
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Description
上記特許文献1には、内燃機関の潤滑回路内に設けられたオイルヒータにより、潤滑オイルの温度を上昇させて、潤滑オイルに混入した燃料や潤滑オイルに混入しようとする燃料のうち気化する燃料成分を増やすことが開示されている。
また、上記特許文献2には、オイルパン内の潤滑油を加熱するためのヒータをオイルパン底部に設けて潤滑油の温度調整を行い、燃料を気化させることが開示されている。
しかも、いずれの場合も潤滑回路内のオイル全体を加熱するようにしているので、ヒータが大掛かりな構成になり、気化分離に必要なエネルギーも大きなものとなってしまう。
1.内燃機関の潤滑オイルを貯留するオイル貯留部と、
前記内燃機関のクランク室内に前記オイル貯留部の潤滑オイルの一部を含む減圧空間を形成する壁部と、
前記減圧空間と前記内燃機関の吸気系の負圧発生部とを連絡する連絡路と、
前記連絡路に設けられ、且つ、前記負圧発生部で発生する負圧を蓄える負圧タンクと、
前記連絡路に設けられ、且つ、前記負圧タンクに蓄えられた負圧の前記減圧空間への供給・停止を切り替える切替弁と、を備えることを特徴とする油中希釈燃料分離装置。
2.前記連絡路には、前記内燃機関の可変吸気システムを構成する可変吸気バルブを開閉させる負圧アクチュエータに連なるサブ連絡路の一端側が接続されており、前記切替弁は、前記連絡路及び前記サブ連絡路の連絡部に配設されていると共に、前記負圧タンクに蓄えられた負圧の前記減圧空間及び前記負圧アクチュエータへの供給・停止を切り替えるように構成されている上記1.記載の油中希釈燃料分離装置。
3.前記減圧空間には、前記内燃機関の吸気系を構成する吸気管に連なるブローバイガス通路の一端側が接続されている上記1.又は2.に記載の油中希釈燃料分離装置。
4.前記減圧空間内又は前記減圧空間の下方側には、前記オイル貯留部の潤滑オイルを前記内燃機関の被潤滑部に供給するためのオイル供給路の一端側が配設されている上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の油中希釈燃料分離装置。
5.前記内燃機関の被潤滑部を潤滑した潤滑オイルを前記オイル貯留部の所定部に案内するオイル案内部を更に備え、該オイル貯留部の所定部から離間した他の所定部には、前記オイル貯留部の潤滑オイルを前記内燃機関の被潤滑部に供給するためのオイル供給路の一端側が配設されており、該オイル貯留部の所定部と他の所定部との間には前記減圧空間が配設されている上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の油中希釈燃料分離装置。
また、前記連絡路には、負圧アクチュエータに連なるサブ連絡路の一端側が接続されており、前記切替弁は、前記連絡路及び前記サブ連絡路の連絡部に配設されていると共に、前記負圧タンクに蓄えられた負圧の前記減圧空間及び前記負圧アクチュエータへの供給・停止を切り替えるように構成されている場合は、可変吸気システムとの間で負圧タンクを兼用することができ、構造をより簡素化することができる。
また、前記減圧空間には、ブローバイガス通路の一端側が接続されている場合は、減圧空間内で気化分離された燃料成分を既存のブローバイガス通路を利用して吸気管に送ることができる。そのため、装置全体の構造をより簡素化することができると共に、気化分離された燃料成分の潤滑オイルへの再混入をより確実に防止することができる。
また、前記減圧空間内又は前記減圧空間の下方側には、オイル供給路の一端側が配設されている場合は、減圧空間内とその外側のオイル貯留部内との間で潤滑オイルを円滑に流入させることができ、燃料成分の気化分離後の潤滑オイルを内燃機関の被潤滑部に円滑に供給することができる。
さらに、オイル案内部を更に備え、該オイル貯留部の所定部から離間した他の所定部には、オイル供給路の一端側が配設されており、該オイル貯留部の所定部と他の所定部との間には前記減圧空間が配設されている場合は、オイル貯留部内で所定部から減圧空間を介して他の所定部に向かうオイル流れが発生される。そのため、減圧空間内とその外側のオイル貯留部内との間で潤滑オイルを円滑に流入させることができ、燃料成分の気化分離後の潤滑オイルを内燃機関の被潤滑部に円滑に供給することができる。
本実施形態1.に係る油中希釈燃料分離装置は、以下に述べるオイル貯留部、壁部、連絡路、負圧タンク及び切替弁を備える。
なお、上記「潤滑オイルの一部を含む減圧空間」とは、クランク室内をオイル貯留部内の潤滑オイルの一部を含むように区画された空間を意図する。
この場合、例えば、上記ブローバイガス通路の一端側には流量制御バルブ(「PCVバルブ」とも呼ばれる。)が設けられており、このブローバイガス通路の流量制御バルブより先端側が2以上に分岐された分岐部とされており、少なくとも1つの分岐部の先端側が上記減圧空間に接続されており、少なくとも1つの他の分岐部の先端側がクランク室に接続されていることができる(図1参照)。これにより、構造をより簡素化できると共に、燃料成分の潤滑オイルへの再混入をより確実に防止できる。なお、上記2以上の分岐部の先端側は、通常、減圧空間内の潤滑オイルの液面レベルより上方側に接続されている。
この場合、上記切替弁は、例えば、内燃機関の回転数が所定の設定値未満(又は所定の設定値以上)のときに、負圧タンクの負圧を減圧空間に供給せず且つ負圧アクチュエータに供給すると共に、内燃機関の回転数が所定の設定値以上(又は所定の設定値未満)のときに、負圧タンクの負圧を減圧空間に供給し且つ負圧アクチュエータに供給しないように構成されていることができる。
上記「内燃機関」としては、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、バイオ燃料エンジン等を挙げることができる。したがって、上記実施形態1.に係る油中希釈燃料分離装置により分離される燃料としては、例えば、ガソリン、ディーゼル燃料、バイオ燃料等を挙げることができる。
(1)エンジンの構成
本実施例1に係るエンジン1は、図1に示すように、気筒2が形成されたシリンダブロック1aと、このシリンダブロック1aの上部に固定されたシリンダヘッド1bとを備えている。このシリンダブロック1aの気筒2内には、ピストン3が往復動自在に支持されている。また、シリンダブロック1aの下部には、クランクシャフト4を回転自在に支持してなるクランクケース1cが固定されている。このクランクシャフト4は、コネクティングロッド5を介してピストン3に連結されている。このピストン3の上方には、ピストン3の頂面とシリンダヘッド1bの壁面と気筒2の壁面とに囲まれた燃焼室6が形成されている。
本実施例1に係る油中希釈燃料分離装置30は、図1に示すように、オイルパン31(本発明に係る「オイル貯留部」として例示する。)、壁部32、連絡路33、負圧タンク34及び切替弁35を備えている。このオイルパン31とエンジン1の被潤滑部(例えば、クランクシャフト、コネクティングロッド、ピストン、カムシャフト、駆動系等)とは、図示しないオイル循環経路を介して連絡されている。
次に、上記構成の油中希釈燃料分離装置30の作用について説明する。
エンジン1の低回転域(例えば、5000rpm未満)では、切替弁35により負圧タンク34の負圧が負圧アクチュエータ23に供給される。すると、負圧アクチュエータ23の作動により可変吸気バルブ22でサージタンク21が閉鎖されて吸気管7aの長さ(有効吸気管長)が実質上長くされ低回転域での吸気効率が向上される。一方、エンジン1の高回転域(例えば、5000rpm以上)では、切替弁35により負圧タンク34の負圧が負圧アクチュエータ23に供給されない。すると、可変吸気バルブ22でサージタンク21が開放されて吸気管7aの長さ(有効吸気管長)が実質上短くされ高回転域での吸気効率が向上される。
なお、エンジン1の低回転域では、還元流路16を介して吸気管7aのスロットルバルブ12の上流を流れる新気がシリンダヘッドカバー1d内の空間13に吸い込まれ、その空間13内のブローバイガスが換気されることとなる。
以上より、本実施例1の油中希釈燃料分離装置30では、クランク室14内に減圧空間38を形成する壁部32を設け、この減圧空間38と吸気管7aとを連絡する連絡路33に負圧タンク34及び切替弁35を設けたので、吸気管7aで発生する負圧が負圧タンク34に蓄えられ、切替弁35により負圧タンク34に蓄えられた負圧が減圧空間38に供給され、減圧空間38内が減圧されて減圧空間38内のオイル中に含まれる燃料成分は、その沸点が下げられて気化分離される。これによって、潤滑オイル中の燃料成分の気化分離が促進され、従来に比べて少ないエネルギーにて、燃料成分の気化分離を行うことにより内燃機関の潤滑油の劣化を抑制することができる。また、従来のようにヒータで燃料成分を気化分離させるものに比べ、構造を簡素化できる。
次に、本実施例2に係る油中希釈燃料分離装置50について説明する。なお、本実施例2に係る油中希釈燃料分離装置50において、上記実施例1の油中希釈燃料分離装置30と略同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略する。
本実施例2に係る油中希釈燃料分離装置50は、図3に示すように、エンジン1の被潤滑部を潤滑した潤滑オイルをオイルパン51の側壁51a側(本発明に係る「オイル貯留部の所定部」として例示する。)に案内する板状のオイル案内部52を備えている。また、オイルパン51の側壁51aと離間して対向する対向壁51b側(本発明に係る「オイル貯留部の他の所定部」として例示する。)には、オイルパン51のオイルをエンジン1の被潤滑部に供給するためのオイル供給路53の一端側のオイルストレーナ54が配設されている。
次に、上記構成の油中希釈燃料分離装置50の作用について説明する。なお、本実施例2では、オイル案内部52を備え、減圧空間56及びオイルストレーナ54を上述の特定の配置関係とすることによって、オイルパン51内に側壁51a側から減圧空間56を介して対向壁51b側へ向かうオイル流れF’が発生することとなる。
以上より、本実施例2の油中希釈燃料分離装置50では、上記実施例1の油中希釈燃料分離装置30と略同様の作用・効果を奏することに加えて、オイルパン51の側壁51a側に潤滑後のオイルを案内するオイル案内部52を更に備え、オイルパン51の側壁51a側から離間した対向壁51b側にオイル供給路53の一端側のオイルストレーナ54を配設し、オイルパン51の側壁51a側と対向壁51b側との略中間部に減圧空間56を配設したので、オイルパン51内において側壁51a側から減圧空間56を介して対向壁51b側に向かうオイル流れF’が発生される。そのため、減圧空間56内とその外側のオイルパン51内との間でオイルを円滑に流入させることができ、燃料成分の気化分離後のオイルをエンジン1の被潤滑部に円滑に供給することができる。
Claims (5)
- 内燃機関の潤滑オイルを貯留するオイル貯留部と、
前記内燃機関のクランク室内に前記オイル貯留部の潤滑オイルの一部を含む減圧空間を形成する壁部と、
前記減圧空間と前記内燃機関の吸気系の負圧発生部とを連絡する連絡路と、
前記連絡路に設けられ、且つ、前記負圧発生部で発生する負圧を蓄える負圧タンクと、
前記連絡路に設けられ、且つ、前記負圧タンクに蓄えられた負圧の前記減圧空間への供給・停止を切り替える切替弁と、を備えることを特徴とする油中希釈燃料分離装置。 - 前記連絡路には、前記内燃機関の可変吸気システムを構成する可変吸気バルブを開閉させる負圧アクチュエータに連なるサブ連絡路の一端側が接続されており、前記切替弁は、前記連絡路及び前記サブ連絡路の連絡部に配設されていると共に、前記負圧タンクに蓄えられた負圧の前記減圧空間及び前記負圧アクチュエータへの供給・停止を切り替えるように構成されている請求項1記載の油中希釈燃料分離装置。
- 前記減圧空間には、前記内燃機関の吸気系を構成する吸気管に連なるブローバイガス通路の一端側が接続されている請求項1又は2に記載の油中希釈燃料分離装置。
- 前記減圧空間内又は前記減圧空間の下方側には、前記オイル貯留部の潤滑オイルを前記内燃機関の被潤滑部に供給するためのオイル供給路の一端側が配設されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の油中希釈燃料分離装置。
- 前記内燃機関の被潤滑部を潤滑した潤滑オイルを前記オイル貯留部の所定部に案内するオイル案内部を更に備え、該オイル貯留部の所定部から離間した他の所定部には、前記オイル貯留部の潤滑オイルを前記内燃機関の被潤滑部に供給するためのオイル供給路の一端側が配設されており、該オイル貯留部の所定部と他の所定部との間には前記減圧空間が配設されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の油中希釈燃料分離装置。
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