JP4981979B2 - 高反射率化させためっき皮膜を有するled用部品材料およびled用部品 - Google Patents
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Description
リードフレームを用いたLEDの場合、銅条などの素材をプレスやエッチング加工により、抜き形状とした後に銀や金/パラジウムなどのめっきが施されて使用される。
また、封止材との密着性を向上させることでリードフレーム材の酸化等の腐食を抑制することが求められている。リードフレーム材が経時変化により反射率が劣化するとLEDの輝度が著しく低下する。これはLEDの寿命に直接関わるため、封止材との密着性に優れるリードフレーム材の研究が進められている。
リードフレーム材が経時変化により反射率が劣化することを抑えるために、反射率が高い金属と耐候性に優れた金属との合金化などの手法が取られる事があるが、反射率の低下が避けられない。特に銀やアルミニウムなど元から反射率が高い金属においては合金化による反射率の低下は顕著である。そのため、封止材のガス透過性を低くしつつ、リードフレーム材と封止材の密着性を向上させることで、リードフレーム材の経時変化による反射率の劣化を抑制する手法が検討されている。
リードフレームと封止材との密着性が悪いと、発生した剥離部よりガスが浸透し、銀などのリードフレーム表面は変色し、反射率が低下してしまう。封止材の密着性を向上させたリードフレームが求められる。
しかしながら、特許文献1のように、銀またはその合金皮膜を単純に形成しただけの場合、特に近紫外域における反射率の低下が大きく、可視光域の約400nm付近から300nm付近の反射率低下が避けられないことが分かった。
特許文献2のように、銀または銀合金の皮膜の結晶粒径を0.5μm〜30μmとすると、可視光域の反射率は良好であり、全体的な反射率改善効果は認められる。しかし、特許文献2の図8および図9に見られるように、近紫外域、特に355nm付近に吸収ピークが見られており、375nmのLEDチップを使用するとわずかながら可視光領域よりも反射率が低い部分に相当することがわかる。
特許文献3では銀合金反射膜の表面粗さを2.0nm以下とすることで400〜450nmの波長領域の反射率の改善をしている。しかし近紫外域における吸収ピークに関しての記述が無い。また、合金化により加熱時の劣化を抑えているが、リードフレーム材として使用するために必要な封止材との密着性を向上させることには至っていない。
リードフレーム材の反射皮膜の合金化、結晶粒径といったものでは、反射率を十分に満足できず課題を解決できない。LEDの発光効率は年々改善されているものの未だに20%程度であるので、反射率が10%低いことは輝度の大幅な低下を意味する。近紫外域から可視光域(340〜800nm)の反射率改善が必要とされる。また、単に平滑にするだけでは、封止材との密着性が不十分であり課題を解決できない。高い反射率を長期に渡って保持するためにリードフレーム材と封止材との密着性を向上させる必要がある。
本発明におけるマクロな表面粗さとは、触針式表面粗さ計の測定距離で得られる表面粗さのことである。具体的には基材自体の微小なうねりなどが数値として現れる。測定距離は数mm〜数十mmの間が適切であり、実験の結果より4mmの測定距離がマクロな表面粗さを最も良く表し、樹脂密着性との相関があることが分かった。JIS B 6010−2001に基づく方法により表面粗さRaを求め、圧延方向、垂直方向の2方向をそれぞれ5点測定し、その平均値をマクロな表面粗さとした。
本発明におけるミクロな表面粗さとは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)の観察視野で得られる表面粗さのことである。このミクロな表面粗さは、マクロな表面粗さでは測定することができないが、反射率に大きく影響する。具体的にはめっき上がりのデンドライト状の析出の頻度などがこの数値として現れる。表面の数十nmオーダーの凹凸が反射率を低減させる原因であることを見いだした。このミクロな表面粗さを測定するためには、AFMを用い、数ミクロン〜数十ミクロン視野内にて測定することが適切であり、実験の結果より6.16ミクロン×6.16ミクロンの視野による測定がミクロな表面粗さを最も良く表わし、反射率との相関があることが分かった。AFMを用い、6.16ミクロン×6.16ミクロンの視野にてnmオーダーの微細な凹凸の表面粗さSaを求めた。なお、リードフレームの大きな表面キズ、圧延筋の影響を小さくするため、リードフレームの任意の5点において測定し、その平均値をミクロな表面粗さとした。
マクロな表面粗さを残しながら、ミクロな表面粗さを極力押さえることで、波長340〜400nmの近紫外域と400nm付近〜800nm付近の可視光領域の光両方に対して反射率に優れながら、高い樹脂密着性を有する半導体装置用リードフレームを得ることを見出した。この知見に基づき本発明をなすに至った。
ミクロな表面粗さは、めっき後の最表面に微細粒子を用いた機械的な研磨などの処理を施すことで変化させることが出来る。例えば機械的な研磨の場合は、番手や研磨時間などを変えることでミクロな表面粗さを変えることが可能である。また非接触な研磨として、化学研磨、電解研磨などの手法を用いても良い。
また、圧延などの塑性加工において、ミクロな表面粗さとマクロな表面粗さを同時に制御することも工業的に有用である。例えば、基材にめっき等で反射皮膜層を形成した後に圧延することにより、圧延条件を適宜設定することでマクロな表面粗さを制御しながら、表面粗度を小さくした平滑ロールにてミクロな表面粗さを制御することも可能である。
また、反射率に影響を及ぼすミクロな表面粗さだけに注目し表面を平滑にするだけでなく、基材の小さなうねりなどに対応するマクロな表面粗さをあえて粗くすることで樹脂密着性を向上させることを明らかにした。表面平滑化は2つの表面粗さをバランスさせることで決まり、近紫外域から可視光域における反射率が良好で、高輝度かつ封止材との密着性に優れたリードフレームを提供することを可能にした。
(1) 金属基材上の、少なくとも片面もしくは両面に、一部もしくは全面に、電析によりめっき皮膜を析出させた後に、前記めっき皮膜の表面平滑化を加工して得られる、LED用部品材料において、触針式表面粗さ計による測定での表面粗さRaを0.010μm以上0.060μm以下であり、かつ原子間力顕微鏡による測定での表面粗さSaが50nm以下であることで、反射率と封止材との密着性が向上したことを特徴とするLED用部品材料。
(2) 前記めっき皮膜がAu、Ag、Cu、Pt、Rh、Alのいずれか、またはそれらの合金からなることを特徴する(1)項に記載のLED用部品材料。
(3)前記金属基材上に金属層がn層(nは1以上の整数)設けられ、かつ前記めっき皮膜が前記金属基材上に、直接、または前記金属層の少なくとも1層を介して設けられることを特徴する(1)または(2)項に記載のLED用部品材料。
(4) 前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載のLED用部品材料を用いることを特徴とするLED用部品。
金属基材としては特に制限はないが、銅または銅基合金、または鉄または鉄基合金等が用いられる。金属基材の最終圧延時のロール粗度を変えることでマクロな表面粗さを変化させることが出来る。マクロな表面粗さは触針式表面粗さ計で測定することが出来る。マクロな表面粗さは好ましくはRaが0.010μm以上、より好ましくは0.020μm以上、より好ましくは0.030μm以上であるようにすることで樹脂密着性が向上する。また、マクロな表面粗さが0.100μmを超えると、基材表面の起伏が大きくなるため封止材が起伏の谷に十分に入り込まない。本質的な樹脂密着性が低下する分けではないが、接触面積が減少するため、結果として樹脂密着性が減少する。これによりマクロな表面粗さは0.060μm以下が好ましい。
金属基材上の、少なくとも片面もしくは両面に、一部もしくは全面に、電析によりめっき皮膜を析出させた後に、前記めっき皮膜の表面を加工して得られるLED用部品材料において、ミクロな表面の粗さを規制する。ミクロな表面粗さは原子間力顕微鏡による視野角6.16μm×6.16μmでの測定で得る。ミクロな表面粗さRaは、好ましくは50nm以下で、より好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下とすることでLED用部品材料の反射率が向上する。
また、ミクロな表面粗さが2.0nm程度以下になると、マクロな表面粗さに関係なく樹脂密着力が低下するため、ミクロな表面粗さは3.0nm以上が好ましい。
本発明において、マクロな表面粗さは、はんだ濡れ性、樹脂密着性に寄与して、LEDに好適な特性を付与するとともに、優れた平滑性を維持する。ミクロな表面粗さの制御は、反射率に直接寄与し、この粗さが小さい方ほど反射率が向上する。
[電解脱脂]
脱脂液:NaOH 60g/リットル
脱脂条件:2.5A/dm2、温度60℃、脱脂時間60秒
[酸洗]
酸洗液:10%硫酸
酸洗条件:30秒 浸漬、室温
[銀ストライクめっき]
めっき液:KAg(CN)2 4.45g/リットル、KCN 60g/リットル
めっき条件:電流密度 5A/dm2、温度 25℃
[銀めっき]
めっき液:AgCN 50g/リットル、KCN 100g/リットル、K2CO3 30g/リットル
めっき条件:電流密度 1A/dm2、温度 30℃
AFM(Mobile S:製品名、Nanosurf)でミクロな表面粗さSaを測定した。視野角は6.16μm×6.16μmである。
◎:全くハガレが無い(優)
○:端に浮きが見られる(良)
△:多少の剥離が認められる(可)
×:剥離してしまう(不可)
圧延加工率を変えることでマクロな表面粗さとミクロな表面粗さを同時に変えることが可能である。圧延に使用するロール粗度を変化させることで、ある程度ミクロな表面粗さを制御することが可能である。同じ圧延加工率においてもロール粗度が小さければミクロな表面粗さは小さくなる。
Claims (4)
- 金属基材上の、少なくとも片面もしくは両面に、一部もしくは全面に、電析によりめっき皮膜を析出させた後に、前記めっき皮膜の表面平滑化を加工して得られる、LED用部品材料において、触針式表面粗さ計による測定での表面粗さRaを0.010μm以上0.060μm以下であり、かつ原子間力顕微鏡による測定で表面粗さSaが50nm以下であることで、反射率と封止材との密着性が向上したことを特徴とするLED用部品材料。
- 前記めっき皮膜がAu、Ag、Cu、Pt、Rh、Alのいずれか、またはそれらの合金からなることを特徴とする請求項1に記載のLED用部品材料。
- 前記金属基材上に金属層がn層(nは1以上の整数)設けられ、かつ前記めっき皮膜が前記金属基材上に、直接、または前記金属層の少なくとも1層を介して設けられることを特徴する請求項1または請求項2記載のLED用部品材料。
- 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED用部品材料を用いることを特徴とするLED用部品。
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