JP4972029B2 - 衝撃吸収部材とその形成方法 - Google Patents

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この発明は、自動車や鉄道などの輸送車両に用いられる、中空構造部材に多孔質部材を充填した衝撃吸収部材の形成方法とそれを用いた衝撃吸収部材に関する。
自動車や鉄道などの高速移動する輸送機器では、衝突事故の可能性が潜在している。このため、衝突による衝撃力から輸送機内の搭乗者および車体や車両などの本体を保護するために、これらの輸送機には、例えば、自動車のバンパーに装着されるクラッシュボックスなど、衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材が取り付けられている。この衝撃吸収部材に用いられる衝撃吸収材として発泡金属が採用される傾向にある。例えば、特許文献1では、中空状の構造部材の内部に多孔質金属からなる成形体を充填し、この構造部材と成形体とを発泡樹脂層により結合することにより、構造部材の内部に成形体を容易に充填して構造部材に対して成形体を安定して固定し、十分な衝撃吸収性能を確保するようにした、自動車の車体構造部材に用いられる衝撃吸収部材が開示されている。また、特許文献2では、成型された金属発泡体と薄肉筒状の形材とを組み合わせて複合部材を形成する金属発泡体複合部材で、この形材の筒軸方向と直交する方向の断面が、金属発泡体の断面よりも小さくなるように変形させた筒壁に抗して金属発泡体を形材内に圧入し、筒壁の復元力を利用して金属発泡体を形材内に固定することによって、金属発泡体を簡便に形材内に一体化し、構造部材として要求される強度を安定して確保できるようにした金属発泡体複合部材の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3では、管体の中空部に発泡金属が充填されるエネルギ吸収部材で、発泡金属に、管体が受ける軸方向圧縮力と垂直をなす面上で、互いに直交する2つの方向の圧縮力を加えて事前に圧縮成形を施すことにより、プラトー域(ほぼ一定の荷重で変形が推移する領域)での荷重を大きくすることができ、エネルギ吸収特性を大幅に向上させるようにしたエネルギ吸収部材が開示されている。
特開2005−199737号公報 特開2005−349990号公報 特開2003―028224号公報
前記特許文献1〜3では、発泡金属または多孔質金属として、発泡アルミニウム(ポーラスアルミ)が用いられており、この発泡アルミニウムは、超軽量であり、圧縮負荷時の変形挙動から、優れたエネルギ吸収特性を発現する注目すべき材料である。しかし、単体では剛性が低いため、特許文献1〜3に記載されたように、中空状の構造部材に充填して複合化することにより、衝撃吸収材料としての特性の向上が図られている。この発泡アルミニウムは、鋳造法や粉末冶金法など多くの方法によって製造が可能である。例えば、鋳造法により製造される場合、平均のポーラス径(気孔径)の10倍程度の径を有する粗大な気孔が存在する場合がある。このため、粉末冶金法や焼結法などの他の製造方法によって、平均ポーラス径がより均一な素材の製作が検討されているが、これらの方法によって製作される発泡金属の大きさは、高々30mm立方相当程度の小さなものであるため、現状では、平均ポーラス径がより均一な素材を実用部材に適用することは難しい。一方、鋳造法によれば、1m立方程度の大きさの発泡金属を製造することができるが、このような大型の発泡金属では、その部位によって密度が異なるため、機械的特性、とくに圧縮特性が部位によって大きく異なる可能性がある。このため、大型の発泡金属を長尺の衝撃吸収部材のフレーム部(中空状の構造部材)に充填する素材として用いる場合には、その長さ方向に密度変化が存在する傾斜構造になる。
一般に、発泡金属を用いた構造部材の設計を行なう場合、その見かけ密度が機械的特性に大きく影響することから、見かけ密度が部材強度管理や素材選択の目安とされるが、大型の発泡金属を素材として用いると、上記のように、密度変化による部分的な強度差異が原因で構造部材として所要の性能を発揮できない可能性がある。また、所定の密度を有する素材を選別するとすれば、素材の歩留が低下し、部材製造のコストアップをもたらす結果になるという問題がある。
そこで、この発明の課題は、発泡金属素材の歩留低下や部材製造のコストアップを伴わずに、自動車や鉄道などの輸送車両に装備される衝撃吸収部材を、中空状の構造部材に発泡金属素材を充填して、衝撃エネルギを効率的かつ効果的に吸収する安定したエネルギ吸収特性を発現できるように形成する方法とそれを用いた衝撃吸収部材を提供することである。
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
請求項1に係る衝撃吸収部材の形成方法は、中空部を有する薄肉構造部材に発泡金属素材を充填し、この発泡金属素材と前記薄肉構造部材が結合した、衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材の形成方法であって、前記薄肉構造部材の中空部の深さ寸法に適合した長さを有し、密度のバラツキを±5%以下に管理した発泡金属素材を長さ方向に複数に分割し、この分割した発泡金属素材を組み合わせて前記中空部に充填することを特徴とする。
このように、密度のバラツキを±5%以下に収まるように密度を管理した発泡金属素材を、衝撃吸収部材の長さに対応した前記中空部の深さ寸法に対し、複数に分割してこの中空部に充填するようにすれば、衝突事故等によって前記衝撃吸収部材に対して衝撃力が加わった際の、この衝撃吸収部材の変形初期の応力変動が抑制されて、安定したエネルギ吸収性能を発揮することができる。一般に、素材の軸方向寸法が長い方が外力の作用によって座屈しやすいため、発泡金属素材を分割して充填した方が、各素材の軸方向寸法が短くなり、衝撃による圧縮力に対する耐座屈性が向上する。この耐座屈性の向上が、前記変形初期の応力変動の抑制に寄与する。
請求項2に係る衝撃吸収部材の形成方法は、前記複数に分割した各発泡金属素材の端面が金属鋸切断面であり、前記組み合わせた状態が、各金属鋸切断面で接触界面が形成された状態であることを特徴とする。
このように、各発泡金属素材の金属鋸切断面を接触させて界面を形成すると、各鋸切断面のポーラス構造すなわち凹凸構造が絡み合って、各発泡金属素材間の固定力が増加するため、衝撃力の作用による変形初期のみならず、変形中の応力を安定化させることができる。
請求項3に係る衝撃吸収部材の形成方法は、前記発泡金属素材が、0.1〜0.7g/cmの密度を有するアルミニウム金属からなる軽金属素材であることを特徴とする。
発泡アルミニウム金属は、超軽量であり、かつ、優れたエネルギ吸収特性を有する。この発泡アルミニウム金属の密度が0.7g/cmを超えると、良好なエネルギ吸収に必要な空隙率が確保されなく、また、密度が0.1g/cm未満の発泡アルミニウム金属は、空隙率が大きくなり過ぎて、実用材料として製造することが困難である。このように、密度が0.1〜0.7g/cmの範囲の発泡アルミニウム金属であれば、高延性であるため、エネルギ吸収特性が良好であるのみならず、前記薄肉構造部材の中空部の断面寸法に対して±5%程度の寸法偏差があっても、容易に充填することが可能である。
請求項4に係る衝撃吸収部材は、中空部を有する薄肉構造部材に発泡金属素材が充填され、この発泡金属素材と前記薄肉構造部材が結合した、衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材であって、前記発泡金属素材が、密度のバラツキが±5%以下に管理された発泡金属素材であり、前記薄肉構造部材の中空部の深さ寸法に適合した長さを有し、その長さ方向に複数に分割され、この分割された発泡金属素材が組み合わされて前記中空部に充填されていることを特徴とする。
この発明では、薄肉構造部材の中空部に発泡金属素材を充填した、衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材を形成するにあたり、この中空部深さ寸法に適合した長さを有し、密度のバラツキを±5%以下に管理した発泡金属素材を長さ方向に複数に分割し、この分割した発泡金属素材を組み合わせて前記中空部に充填するようにしたので、この衝撃吸収部材に衝撃力が加わった際の変形初期の応力変動が抑制されて、安定したエネルギ吸収性能を発揮することができる。このように発泡金属素材を長さ方向に複数分割して充填することにより、衝撃による圧縮力に対する耐座屈性が向上して、前記の応力変動の抑制に寄与する。さらに、各分割素材の金属鋸切断面を接触させて界面を形成するようにしたので、この各分割素材間の固定力が増加し、衝撃力の作用による変形初期のみならず、変形中の応力を安定化させることができる。
このように、発泡金属素材の密度管理と分割充填を行なうことにより、発泡金属の歩留低下や部材製造コストアップを伴わずに、衝撃エネルギを効率的かつ効果的に吸収する安定したエネルギ吸収特性を発揮できる衝撃吸収部材の実現が可能となる。
以下に、この発明の実施形態を、添付の図1から図5に基づいて説明する。
図1は、薄肉構造部材1の中空部1aの深さ寸法Hdに適合した長さの発泡金属素材2を、この薄肉構造部材1の中空部1aに充填して、衝撃吸収部材を形成する工程を簡略化して模式的に示したものである。発泡金属素材2として、純アルミ系またはAl−Zn−Mg合金系などの発泡アルミニウムを用いることができ、また、薄肉構造部材1として、Al−Si―Mg系などのアルミニウム合金を用いることができる。前記発泡アルミニウムは、例えば、鋳造法により作製することが可能である。すなわち、アルミニウム溶湯にカルシウムを添加し、大気中で攪拌することにより酸化物を生成させ、溶湯中に分散させる増粘工程により増粘させる。この増粘した溶湯を鋳型に注湯し、鋳型内で、水素化チタンなどの発泡剤を添加し強攪拌することにより溶湯内に均一に分散させる。そして、発泡剤から解離したガスにより、溶湯は発泡し10倍以上に膨張して鋳型内に充満する。発泡剤が分解して生成する気泡の上昇および結合による気泡の消失を抑制するために、溶湯の粘性を増加させる前記増粘工程が必要である。その後、強制空冷により前記溶湯を凝固させて、発泡アルミニウム(素材)を得ることができる。前記増粘工程におけるカルシウム添加量を最適化することなどにより、気泡分布の均一度を改善することができる。さらに、溶湯温度を調節すること、および発泡時間を調節することなどの手段により、密度のバラツキが±5%以下になるように、発泡金属ブロック(発泡金属鋳塊)を作製する。この発泡金属ブロックの各部位の密度を測定することにより、発泡金属ブロック全体の密度分布を把握することができる。そして、この発泡金属ブロックの、予め操業実績から把握した密度分布の良好な部位から、すなわち密度のバラツキが±5%以下の部位から、機械加工により、前記薄肉構造部材1の中空部1aの深さHdおよび内径Diに適合するように、図1に示した発泡金属素材2を作製する。なお、上記の密度のバラツキが±5%以下とは、密度の良好な部位全体の平均密度に対して、各部位の密度が+5%〜−5%の範囲にあることを意味する。この密度分布の良好な部位は予め操業実績から把握することができ、したがって、この部位から作製した発泡金属素材2を2分割または3分割などに分割した各分割素材間の密度のバラツキも、±5%以下の範囲に収まる。
このように、密度管理した発泡金属素材2を、帯鋸などの金属鋸により、中空部1aの深さHdや直径Diなどに対応して、長さ方向に複数に分割、例えば、図2に示したように、その長さ方向に中心軸と直交するように切断することにより、2分割または3分割などの複数分割をする。図1には、2分割した場合の接触界面Csを破線で例示した。例えば、2分割した各発泡金属素材2aおよび2bの切断面SaおよびSbは、この金属鋸で切断されたままの状態で組み合わせて接触界面Csが形成される。3分割した各発泡金属素材2a、2bおよび2cの切断面Sa、SbおよびScについても、金属鋸で切断されたままの状態で組み合わせて接触界面Csがそれぞれ形成される。これらの素材2a、2b、または2a、2b、2cを、前記のように組み合わせて薄肉構造部材1の中空部1aに充填し、素材2a、2bまたは2a、2b、2cと薄肉構造部材1とを、薄肉構造部材1の内面に、例えば、シリコン系接着剤などの接着剤を塗布しておくことにより結合させて、素材2a、2bまたは2a、2b、2cを薄肉構造部材1にそれぞれ固定し、その両端面に、例えば、この薄肉構造部材1と同じ材質の蓋(図示省略)を溶接またはボルト接合などにより固定して、衝撃吸収部材が形成される。なお、前記発泡金属素材2の分割数は必ずしも2分割または3分割に限らず、衝撃吸収部材の寸法に対応した薄肉構造部材1の深さや内径寸法などに対し、必要に応じて4分割以上の複数分割を行なって、この薄肉構造部材1に充填することもできる。また、分割は必ずしも等分割に限らず、必要に応じて、図3に、2分割および3分割の場合の他の一例を示したように、発泡金属素材2を、2d、2e、または2d、2e、2fにそれぞれ不等分割を行なうことができる。さらに、前記中空部2aを有する薄肉構造部材1として、必ずしも断面形状が円形の部材に限らず、正方形または長方形などの多角形やハット(帽子)形状など他の形状の部材も使用することができる。発泡金属素材2の断面形状についても同様である。そして、発泡金属素材2a、2b、または2a、2b、2cと薄肉構造部材1との結合・固定は、必ずしも接着剤を用いる必要はなく、発泡金属素材2a、2bが超軽量かつ高延性である発泡アルミニウムの場合、発泡金属素材2a、2bの直径Dsを、中空部2aの直径Diに対して5%程度を上限として大きく作製して中空部2aに押込み充填することにより、結合・固定することもできる。また、例えば、Aピラーなどの長尺の自動車部品に前記発泡金属素材2を充填して衝撃吸収部材を形成する場合には、薄肉構造部材1として用いる一対の薄肉成形パネルに発泡金属素材を挟み込んでから溶接接合する形成方法を用いることができる。したがって、発泡金属素材の薄肉構造部材への充填方法も、必ずしも押込み充填に限るものではない。
図4は、密度(見かけ密度)ρaが、基準とした密度ρs=0.235g/cmから異なる、合計5水準の密度ρaの発泡金属から、断面が角形状の薄肉構造部材の深さおよび断面寸法に適合するように、50mm角×高さ100mmの発泡金属素材を切り出し、切断時に発生した両端面のバリを、ベルトサンダーにより除去して平面となるように整えた後、これらの素材を供試材として、インストロン型万能試験機を使用して、圧縮速度5mm/minで静的圧縮試験を行なった結果を示したものである。密度ρaが基準密度ρs=0.235g/cmと近い密度範囲にあるρa=0.234〜0.242の素材では、全歪範囲で応力(公称応力)―歪(公称ひずみ)曲線は、ほぼ一致し、同様の圧縮特性を示す。これに対し、基準密度ρsからの偏差が5%を超えた密度ρa=0.221の素材では、歪(公称ひずみ)が45%近辺から大きくなる範囲と、変形初期の歪の小さい範囲では、前記ρa=0.234〜0.242の素材の応力―歪曲線との差異が認められる。このことは、密度ρaに5%を超える大きな変動があると、圧縮特性に明瞭な変化が現れることを示している。
前述のように、密度バラツキが±5%以下となるように密度管理を行なった純アルミニウム系の発泡金属から、実施例1の場合と同様の、密度ρa(見かけ密度)が0.235g/cmの50mm角×高さ100mmの発泡金属素材を3本切り出し、その中の2本について、木工用のバンドソー(帯鋸)により、図2に示した場合と同様に、長さ方向すなわち高さ方向に2等分と3等分の複数分割を行なった。2分割した場合の切断面Sa、Sb、3分割した場合の切断面Sa、Sb、Scはいずれも、帯鋸切断面の状態であり、これらの切断面が接触界面Csを形成するように、分割素材2a、2b、および同2a、2b、2cをそれぞれ組み合わせて複数分割発泡金属素材を形成した。その際に、圧縮試験治具と接触する各試験片の上面S1および下面S2のみ、ベルトサンダーにより、切断時に発生したバリを除去し、平面となるように整えた。これらの、分割なし(単一素材)、2分割および3分割の発泡金属素材を供試材とし、エネルギ吸収特性を把握・評価するために、インストロン型万能試験機を使用して、圧縮速度5mm/minで静的圧縮試験を行なった。
図5は、各供試材についての、変形量(公称ひずみ)F(%)(F=(Hs1−Hs2)/Hs1×100;Hs1、Hs2:試験片の初期および圧縮後の高さ)と変形応力(公称応力)との関係を示したものである。分割をしない単一試験片の場合、矢印Aで示した変形初期において、塑性降伏による10%程度の変形応力の低下が認められる。一方、2分割試験片および3分割試験片では、いずれも塑性降伏後に変形応力は大きく低下していない。塑性降伏後に変形応力が低下した以降の変形中の応力は、いずれの試験片でも大きく変動することはなく、一定の応力状態が保持されている。このように、2分割または3分割の複数分割試験片で、塑性降伏後の応力低下が抑制されているのは、前述のように、試験片素材を分割したことによる耐座屈性の向上、および分割素材の接触界面を帯鋸切断面の状態にしたことによる分割素材間の固定力の増加による。本圧縮試験では、試験片として、分割前の高さ(長さ)Hs=100mmにおける高さ(長さ)方向の密度のバラツキが±5%以下に管理された発泡金属素材を選択したため、図4および図5に示したように、塑性降伏後の変形中の応力がほぼ一定状態に保たれる結果が得られている。しかし、分割前の高さ(長さ)Hs=100mmの試験片での見かけ密度ρaが同じでも、部分的に±10%程度の密度のバラツキが存在する場合には、変形中の応力が大きく変動することが判明している。一方、発泡金属素材における密度のバラツキが±5%程度以内であれば、図4および図5に示したように、塑性降伏後の変形中の応力状態がほぼ一定状態に保たれるなど、衝撃吸収部材として安定した特性が得られることも判明している。このような、密度のバラツキが±5%程度以内にある発泡金属素材は、実生産ラインで、発泡金属素材の密度を1つ1つ計測することは生産性の面から困難であることから、前述の増粘工程におけるカルシウム添加量を最適化することや溶湯温度を調節すること、および発泡時間を調節すること、および予め操業実績から把握した密度分布の良好な部位から切り出すことなどの手段によって得ることができる。したがって、発泡金属素材の密度のバラツキを予め±5%以下に管理し、そして、前述のように発泡金属素材を複数分割することにより、歩留低下や、所要のエネルギ吸収特性を満たさない不良品の発生などによる部材製造のコストアップを伴わずに、衝撃エネルギを効率的かつ効果的に吸収する安定したエネルギ吸収特性を発現できる衝撃吸収部材を製造することができる。
衝撃吸収部材を形成する工程を模式的に示す説明図である。 実施形態の複数分割した発泡金属素材の一例を示す説明図である。 実施形態の複数不等分割した発泡金属素材の一例を示す説明図である。 素材密度が異なる発泡金属素材の圧縮過程における公称ひずみと公称応力との関係を示す説明図である。 複数分割した発泡金属素材の圧縮過程における公称ひずみと公称応力との関係を示す説明図である。
符号の説明
1:薄肉構造部材 1a:中空部 2:発泡金属素材
2a〜2f:分割発泡金属素材

Claims (4)

  1. 中空部を有する薄肉構造部材に発泡金属素材を充填し、この発泡金属素材と前記薄肉構造部材が結合した、衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材の形成方法であって、前記薄肉構造部材の中空部の深さ寸法に適合した長さを有し、密度のバラツキを±5%以下に管理した発泡金属素材を長さ方向に複数に分割し、この分割した発泡金属素材を組み合わせて前記中空部に充填することを特徴とする衝撃収部材の形成方法。
  2. 前記複数に分割した各発泡金属素材の端面が金属鋸切断面であり、前記組み合わせた状態が、各金属鋸切断面で接触界面が形成された状態であることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収部材の形成方法。
  3. 前記発泡金属素材が、0.1〜0.7g/cmの密度を有するアルミニウム金属からなる軽金属素材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝撃吸収部材の形成方法。
  4. 中空部を有する薄肉構造部材に発泡金属素材が充填され、この発泡金属素材と前記薄肉構造部材が結合した、衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収部材であって、前記発泡金属素材が、密度のバラツキが±5%以下に管理された発泡金属素材であり、前記薄肉構造部材の中空部の深さ寸法に適合した長さを有し、その長さ方向に複数に分割され、この分割された発泡金属素材が組み合わされて前記中空部に充填されていることを特徴とする衝撃吸収部材。
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