JP4967253B2 - 光学装置及び投射装置 - Google Patents
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Description
この投射装置においては、所望の波長帯域を有するレーザやLED(Light Emitting Diode)などを光源装置として用いることや、ランプなどの光源装置からの光を所望の波長帯域ごとに分離し、レンズなどを使うことで、多数の指向性光を得ることができる。そして、この各指向性光が光変調されることにより、例えばスクリーン上に映像を表示させる投射すなわち出力がなされる。
例えば、上述した光変調装置が液晶により構成される場合には、液晶内の一部で形成される、液晶の配向特性を規定するためのプレチルト角によって、本来光変調の必要がない指向性光に対しても光変調がなされてしまう。また例えば、上述した指向性光が光路幅を有する所謂スキュー光である場合には、光変調装置の入射面に対して垂直な光軸を有する指向性光を導入しても、例えば集光に伴って、入射面に対して垂直でない成分を一部含むために、この一部が非変調成分となってしまう。すなわちこれらの場合には、光変調装置からの指向性変調光は、所望の変調光とは異なる偏光成分を含んでしまう。
この構成によれば、例えば図8に示すように、光源装置104からの指向性光を、偏光分離部102及び補償部103による光学装置101を経て光変調装置105に導入し、変調された指向性光を再び補償部103を経て偏光分離部102で反射させることによって、所望の投射すなわち出力が図られている。
この構成によれば、投射装置の偏光分離部を例えば所謂MacNeilleプリズムによって構成した場合に必要とされるスキュー光の補償が可能とされる。
例えば、上述の特許文献1に記載の発明による場合には、図9に示すように、補償部103の界面における反射によって生じる指向性光の反射成分が、偏光分離部102に入射することにより出力映像のコントラストが低下するなど、光学特性における問題が生じる。
本発明に係る光学装置の第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る光学装置1の一例の構成を示す概略構成図である。
また、本実施形態においては、光学装置1の主たる構成部である偏光分離部2及び補償部3とは別に、これら偏光分離部2及び補償部3によって光路を規定される指向性光の光源装置4と、光源装置4からの指向性光の光軸に対して略垂直な入射面を有する、例えば液晶による光変調装置5とが設けられる。
この偏光分離部2は、MacNeilleプリズムなど他の部材によって構成することもできるが、MacNeilleプリズムはs偏光とp偏光の分離に特化した構成とされているためにスキュー光入射に対する補償が別途必要となるのに対し、ワイヤーグリッド偏光子は、偏光子を構成するワイヤーの、平行方向と垂直方向のそれぞれに対する偏光を分離する構成とされているために補償の必要がないことに加え、特に高いコントラストを得ることが可能であることから、ワイヤーグリッド偏光子によって偏光分離部2を構成することが好ましい。また、偏光分離部2の偏光選択性は、光源装置4からの指向性光を透過し、透過した後に生じる、光変調装置5による変調及び補償部3による補償がなされた指向性変調光L1を反射するように、選定ならびに設計することが好ましい。
この補償部3は、後述するように、光変調装置5を構成する液晶からの指向性変調光L1の、複屈折による偏光回転や位相変化を補償するものであり、例えば、光変調装置5を構成する液晶内の一部に形成される、液晶の配向特性を規定するプレチルト角や、光変調装置5に入射する指向性光の、光変調装置の入射面に対して垂直でない成分などに基づいて生じる偏光成分に対応して設けられる。なお、指向性光の光軸に対する補償部3の傾斜角度は必ずしも偏光分離部2の傾斜角度と同じにする必要はなく、構成する材料の屈折率などとともに、主として光変調装置5を構成する液晶に対応させた上で、後述するように光軸に対して角度選定することが好ましい。
光軸に対する補償部3の傾斜角度は、偏光分離部2及び光変調装置5との距離や、指向性光及び指向性変調光の光路幅、スキュー光としての幅や角度、ならびに偏光分離部2の傾斜角度に応じて選定することができるが、通常、光路幅は偏光分離部2との距離に比して小さいことから、補償部3の傾斜角度は極端に大きくなくとも良い。なお、偏光分離部2とは異なる傾斜角度に選定することにより、反射光Lが補償部3に戻って再び指向性変調光L2に混ざることを、より確実に回避することができる。
本実施形態における補償部3は、偏光回転や位相変化を補償する所謂ワイヤーグリッド偏光子による板状構成を有するが、例えば下地部材上に複屈折材料層が形成された、すなわち互いに異なる材料による多層構造の少なくとも一部が、光変調装置5の入射面に対して略垂直とされる指向性光及び指向性変調光の光軸(図示せず)に対して、垂直な面内異方性を有していることが好ましい。すなわち、補償部3を指向性光の光軸に対して傾斜させて配置する場合には、補償部3の複屈折材料の異方性の主軸を、光軸に対応して選定することが好ましい。
本発明に係る光学装置の第2の実施形態を説明する。この第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。説明を省略する部分は、第1実施形態と同様であることとする。また、説明上、第1実施形態と重複する構成要素には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
上述の第1の実施形態に係る光学装置による場合、すなわち補償部3を指向性変調光L2の光軸に対して傾斜させて配置する場合には、偏光の補償が図られるものの、非点収差が生じるおそれがあり、場合によっては指向性変調光L3を更に補正する必要が生じてくる。
しかしながら、本実施形態におけるように、偏光分離部2と補償部3とによって指向性光の光路を規定する場合に、偏光分離部2を構成する反射分離構造、例えばワイヤーグリッド偏光子の偏光分離面を、補償部3とは反対側すなわち例えば光源装置4側に設け、更に偏光分離部2と補償部3とを、互いにねじれの位置になるように、例えば偏光分離部2がy軸及びz軸に対し傾斜を有し、補償部3がx軸及びz軸に対し傾斜を有するように、それぞれ指向性光の光軸に対して傾斜させて配置することによって、この非点収差の補正を行うことができる。
これは、指向性変調光の、補償部3内の通過が一度だけであるのに対して、偏光分離部2内の通過は反射の前後二度、つまり往復であるためである。具体的には、例えば偏光分離部2と補償部3とを、互いにねじれの位置になるように、それぞれ指向性変調光の光軸に対して45°の傾斜で配置する場合に、補償部3の厚さを偏光分離部2の厚さの略2倍とすることによって、偏光分離部2と補償部3とを互いにねじれの位置に配置するのみの場合に比べ、より確実に非点収差を取り除くことができる。
本発明に係る光学装置の第3の実施形態を説明する。この第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。説明を省略する部分は、第1実施形態と同様であることとする。また、説明上、第1実施形態と重複する構成要素には、同一の符号を付して重複説明を省略する。
上述の第1の実施形態に係る光学装置による場合、すなわち補償部3を指向性変調光L2の光軸に対して傾斜させて配置する場合には、偏光の補償が図られるものの、指向性変調光に対する反射自体を完全に抑制することは難しいため、指向性変調光の光学特性例えば輝度の低下が発生するおそれがある。
しかしながら、本実施形態におけるように、補償部3に入射する指向性変調光に基づいて補償部3の界面で発生する屈折光の光軸と反射光の光軸とが90°となるように補償部3の傾斜角度θを選定し、角度θがp偏光に対するブリュースター角もしくはその近傍の角度になるように、つまりブリュースター角を基に選定することにより、指向性変調光のp偏光の反射率を選択的に低減させることができ、投射におけるコントラストのみならず、例えば輝度を向上させることができる。具体的には、例えば、補償部3を屈折率1.52のガラスで構成した場合、ブリュースター角は56°となる。
本発明に係る投射装置の実施形態を説明する。
図7は、本実施形態に係る投射装置の構成を示す概略構成図である。
本実施形態において、投射装置60は、光源装置61と、光変調装置62と、投影光学部63と、光学装置64とを有する。
第1のダイクロイックミラー42の反射側には、光路を例えば90°変換された光軸上にミラー41が設けられ、ミラー41の光出射側には、赤色光用フィールドレンズ27R、偏光分離部33Rが配置され、偏光分離部33Rにより光路を例えば90°変換された光軸上に赤色光に対応する反射型の液晶パネル28Rが配置される。
また、第3のダイクロイックミラー44の透過側にフィールドレンズ27Bを介して偏光分離部33Bが配置され、偏光分離部33Bにより光路を例えば90°変換された位置に、青色光に対応する反射型の液晶パネル28Bが配置される。
これら液晶表示パネル28R、28G及び28Bによって、画像情報に対応して光を変調する光変調装置62が、それぞれ構成される。
各液晶パネル28R、28G及び28Bが反射された光の光軸上の、偏光分離部33R、33G及び33Bを介した位置にクロスプリズム29が配置され、その出射側に投影レンズ30等が配置されて投影光学部63が構成される。
例えば、ミラー41の分離波長を575nmとし、これより長波長側の光を出射させ、短波長側の光を光路から分離する構成とする。つまりこの場合、第1のダイクロイックミラー42と対向する側の面においては、575nm程度以上の波長の光を反射する特性とする。
また、第1のダイクロイックミラー42においては、例えば分離波長を570nm程度とし、570nm程度以上の赤色光を反射する構成とする。
そして、上述したように光量を調整された赤色光は、赤色光を変調するフィールドレンズ27R、偏光分離部33Rを介して液晶パネル28Rによって、目的とする画像情報に対応して変調される。
Claims (14)
- 指向性光の光路を規定する偏光分離部と、
前記指向性光の光路を規定し、前記指向性光が光変調装置により変調されて指向性変調光として入射すると、前記指向性変調光の複屈折による偏光回転及び位相変化を補償する補償部と、を備え、
前記偏光分離部及び前記補償部が、前記指向性光の光軸に対してそれぞれ傾斜を有して配置され、
前記補償部は、互いに異なる材料による多層構造とされ、少なくとも1つの層が、前記指向性光の光軸に対して略垂直な面内異方性軸を有することを特徴とする光学装置。 - 前記偏光分離部及び前記補償部の、前記光軸に対する傾斜の角度が、互いに異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記偏光分離部と前記補償部とが、互いにねじれの位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記指向性光が、前記偏光分離部の、前記補償部とは反対側の面で反射される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記指向性光の、前記偏光分離部内における光路長が、前記補償部内における光路長の略2倍である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記光軸に対する前記補償部の傾斜角が、ブリュースター角を基に選定される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記偏光分離部が、ワイヤーグリッド偏光子である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記補償部が、複屈折材料よりなる
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記補償部の少なくとも一部が、前記光軸に対して略垂直な面内異方性軸を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記指向性光が、前記偏光分離部通過後に、前記補償部に導入される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 前記指向性光が、前記補償部経由後にのみ、前記偏光分離部で反射される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 - 少なくとも、光源装置と、光学装置と、光変調装置とを有し、
前記光学装置は、
指向性光の光路を規定する偏光分離部と、
前記指向性光の光路を規定し、前記指向性光が光変調装置により変調されて指向性変調光として入射すると、前記指向性変調光の複屈折による偏光回転及び位相変化を補償する補償部と、を備え、
前記偏光分離部及び前記補償部が、前記指向性光の光軸に対してそれぞれ傾斜を有して配置され、
前記補償部は、互いに異なる材料による多層構造とされ、少なくとも1つの層が、前記指向性光の光軸に対して略垂直な面内異方性軸を有することを特徴とする投射装置。 - 前記光変調装置が、液晶装置である
ことを特徴とする請求項12に記載の投射装置。 - 前記光変調装置が、反射型の液晶装置である
ことを特徴とする請求項12に記載の投射装置。
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