JP4957176B2 - 窒素酸化物浄化触媒及び窒素酸化物浄化方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、低温から高温までの広い温度範囲で効率的に窒素酸化物を浄化する触媒性能を有する鉄シリケート触媒、及びそれを用いた窒素酸化物の浄化方法を提供するところにある。
鉄シリケートは一般的に、
M((2x+2y)/n)O・xFe2O3・yAl2O3・zSiO2・wH2O
(但し、nは陽イオンMの原子価、x、y、z、はそれぞれFe2O3、Al2O3、SiO2のモル分率を表し、x+y+z=1である。wは0以上の数である)
の組成を有し、X線回折などで確認される結晶構造で分類、特定することができる。
合成用原料は、シリカ源、アルミニウム源、鉄源、SDA原料および水から基本的に構成される。シリカ源としてコロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、アルミノシリケートゲルなどを、アルミナ源として硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミノシリケートゲル、金属アルミニウムなどを、鉄源として硝酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄などを用いることができ、他の成分と十分均一に混合できる形態のものが望ましい。SDA原料としてはテトラエチルアンモニウムカチオンを有するテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、更にはオクタメチレンビスキヌクリジウム、α,α’−ジキヌクリジウム−p−キシレン、α,α’−ジキヌクリジウム−m−キシレン、α,α’−ジキヌクリジウム−o−キシレン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,3,3,N,N−ペンタメチル−6−アゾニウムビシクロ[3,2,1]オクタン又はN,N−ジエチル−1,3,3−トリメチル−6−アゾニウムビシクロ[3,2,1]オクタンカチオンを含む化合物の群の少なくとも一種以上を使用することができる。
SiO2/Al2O3モル比 15〜30000
SiO2/Fe2O3モル比 30〜300
H2O/SiO2モル比 5〜50
SDA/SiO2モル比 0.1〜5
本発明の触媒は、シリカ、アルミナ及び粘土鉱物等のバインダーと混合し成形して使用することもできる。成形する際に用いられる粘土鉱物として、カオリン、アタパルガイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アロフェン、セピオライトが例示できる。また、コージェライト製或いは金属製のハニカム基材にウォッシュコートして使用することもできる。
水酸化テトラエチルアンモニウム35%水溶液(以下TEAOH)235gに、水酸化アルミニウム1.26g、硝酸鉄8.36g、東ソーシリカ製の無定形シリカ粉末(商品名:ニップシールVN−3)62.8gおよび水172gを加え、十分に撹拌混合した。反応混合物の組成は90SiO2:Al2O3:Fe2O3:54TEAOH:1800H2Oであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、150℃で96時間加熱して結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であった。これを固液分離し、十分量の純水で洗浄し、110℃で乾燥した。その乾燥粉末を空気流通下、600℃で焼成し、β型鉄シリケート―1を得た。X線回折よりβ型鉄シリケート―1は表1のX線回折パターンを有し、ICP発光分析におけるSiO2/Al2O3モル比は64、SiO2/Fe2O3モル比は69であった。
β型鉄シリケート―1を触媒1として触媒反応試験に供した。
結晶化させる反応混合物の組成比を60SiO2:Al2O3:0.33Fe2O3:36TEAOH:1200H2Oに変えたこと以外はβ型鉄シリケート―1と同様の操作で反応混合物を調製した。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、150℃で96時間加熱して結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であった。これを固液分離し、十分量の純水で洗浄し、110℃で乾燥した。その乾燥粉末を空気流通下、600℃で焼成し、β型鉄シリケート―2を得た。X線回折よりβ型鉄シリケート―2は表1のX線回折パターンを有し、ICP発光分析におけるSiO2/Al2O3モル比は45、SiO2/Fe2O3モル比は126であった。
β型鉄シリケート―2を触媒2として触媒反応試験に供した。
結晶化させる反応混合物の組成比を90SiO2:Al2O3:1.8Fe2O3:63TEAOH:1800H2Oに変えたこと以外はβ型鉄シリケート―1と同様の操作で反応混合物を調製した。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、150℃で192時間加熱して結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であった。これを固液分離し、十分量の純水で洗浄し、110℃で乾燥した。その乾燥粉末を空気流通下、600℃で焼成し、β型鉄シリケート―3を得た。X線回折よりβ型鉄シリケート―3は表1のX線回折パターンを有し、ICP発光分析におけるSiO2/Al2O3モル比は69、SiO2/Fe2O3モル比は46であった。
β型鉄シリケート―3を触媒3として触媒反応試験に供した。
結晶化させる反応混合物の組成比を40SiO2:Al2O3:0.13Fe2O3:12TEAOH:640H2Oに変えたこと以外はβ型鉄シリケート―1と同様の操作で反応混合物を調製した。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、150℃で72時間加熱して結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であった。これを固液分離し、十分量の純水で洗浄し、110℃で乾燥した。その乾燥粉末を空気流通下、600℃で焼成し、β型鉄シリケート―4を得た。X線回折よりβ型鉄シリケート―4は表1のX線回折パターンを有し、ICP発光分析におけるSiO2/Al2O3モル比は38、SiO2/Fe2O3モル比は213であった。
β型鉄シリケート―4を触媒4として触媒反応試験に供した。
水酸化テトラエチルアンモニウム35%水溶液(以下TEAOH)237gに、硝酸鉄2.53g、東ソーシリカ製の無定形シリカ粉末(商品名:ニップシールVN−3)63.3gおよび水177gを加え、十分に撹拌混合した。反応混合物の組成は400SiO2:Al2O3:1.33Fe2O3:280TEAOH:8000H2Oであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、150℃で192時間加熱して結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であった。これを固液分離し、十分量の純水で洗浄し、110℃で乾燥した。その乾燥粉末を空気流通下、600℃で焼成し、β型鉄シリケート―5を得た。X線回折よりβ型鉄シリケート―5は表1のX線回折パターンを有し、ICP発光分析におけるSiO2/Al2O3モル比は298、SiO2/Fe2O3モル比は205であった。
β型鉄シリケート―5を比較触媒1として触媒反応試験に供した。
特開平2−293021号公報に開示されている方法を参照してβ型ゼオライトを合成した。攪拌状態にあるオーバーフロータイプの反応槽(実容積4.8リットル)に珪酸ソーダ水溶液(SiO2;130g/l、Na2O;41.8g/l、Al2O3;0.05g/l)及び硫酸アルミニウム水溶液(Al2O3;21.3g/l、SO4;240g/l)をそれぞれ18.2リットル/Hr及び4.5リットル/Hrの流量で同時に供給し、攪拌下で反応させ、スラリー状生成物を得た。この時スラリーの平均滞在時間は12.5分であった。また、反応中反応槽のpHは6〜8となるように、珪酸ソーダ水溶液の供給方量を調整した。反応槽からオーバーフローしたスラリー状生成物は、ヌッチェで脱水した後、水洗して粒状無定型アルミノ珪酸塩を得た。
β型ゼオライト―1を比較触媒2として触媒反応試験に供した。
SiO2/Al2O3モル比が40の東ソー製β型ゼオライト(商品名:HSZ−940NHA)を乾燥空気気流下、600℃で焼成し、β型ゼオライト−2を得た。X線回折よりβ型ゼオライト―2は表1のX線回折パターンを有し、ICP発光分析におけるSiO2/Al2O3モル比は40であった。
β型ゼオライト―2を比較触媒3として触媒反応試験に供した。
鉄担持量が3重量%になるように精秤されたFe(NO3)3・9水和物の水溶液を用いて、比較例3で得られたβ型ゼオライト−2に鉄を含浸担持した。500℃で空気焼成した鉄担持β型ゼオライト−1を比較触媒4として触媒反応試験に供した。
鉄担持量が1重量%になるように精秤されたFe(NO3)3・9水和物の水溶液を用いて、比較例3で得られたβ型ゼオライト−2に鉄を含浸担持した。500℃で空気焼成した鉄担持β型ゼオライト−2を比較触媒5として触媒反応試験に供した。
Journal of Catalyisis,232(2005)318-334を参照してZSM−5型鉄シリケートを調製した。水酸化テトラプロピルアンモニウム10%水溶液(以下TPAOH)131gに、水酸化アルミニウム0.87g、硝酸鉄5.80g、東ソーシリカ製の無定形シリカ粉末(商品名:ニップシールVN−3)43.5g、48%水酸化ナトリウム10.8g、および水288gを加え、十分に撹拌混合した。反応混合物の組成は90SiO2:Al2O3:Fe2O3:9TPAOH:18NaOH:3240H2Oであった。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、175℃で120時間加熱して結晶化した。結晶化後のスラリー状混合物は白色であった。これを固液分離し、十分量の純水で洗浄し、110℃で乾燥した。その乾燥粉末を空気流通下、600℃で焼成し、ZSM−5型鉄シリケート(Na型)を得た。得られたZSM−5型鉄シリケート(Na型)は、0.1M塩化アンモニウム水溶液を用いてイオン交換操作を繰り返し3回行い、NH4型とした後、110℃で乾燥した。ZSM−5型鉄シリケート(NH4型)乾燥粉末を空気流通下、600℃で焼成し、H型のZSM−5型鉄シリケートを得た。ICP発光分析におけるSiO2/Al2O3モル比は85、SiO2/Fe2O3モル比は85であった。
ZSM−5型鉄シリケートを比較触媒6として触媒反応試験に供した。
実施例1〜4及び比較例1〜6で調製した触媒をプレス成形後、破砕して12〜20メッシュに整粒した。整粒した各触媒1.5ccを常圧固定床流通式反応管に充填した。触媒層に表2の組成のガスを1500cc/minで流通させながら、100〜500℃の任意の温度で定常的な窒素酸化物の除去活性を評価した。
(数1)
XNOx={([NOx]in−[NOx]out)/[NOx]in}×100
ここで、XNOxは窒素酸化物の浄化率(%)、[NOx]inは入りガスの窒素酸化物濃度、[NOx]outは出ガスの窒素酸化物濃度を示す。
表3、表4に触媒1〜4、および比較触媒1〜6の任意の温度における窒素酸化物浄化率を示す。
Claims (4)
- β骨格構造を有する結晶性アルミノシリケートのアルミニウムの一部が鉄によって置換されたものであって、骨格のSiO 2 /Al 2 O 3 モル比が30〜180であり、かつ骨格のSiO2/Fe2O3モル比が30〜300である鉄シリケートからなり、還元剤としてアンモニア、尿素、有機アミン類の少なくとも一つを反応させることによって、排ガス中の窒素酸化物を選択的に還元する機能を発揮することを特徴とする窒素酸化物浄化触媒。
- 骨格のSiO2/Fe2O3モル比が50〜180である鉄シリケートからなる請求項1に記載の窒素酸化物浄化触媒。
- 骨格のSiO2/Fe2O3モル比が60〜150である鉄シリケートからなる請求項1または2に記載の窒素酸化物浄化触媒。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の窒素酸化物浄化触媒を用い、還元剤としてアンモニア、尿素、有機アミン類の少なくとも一つを反応させることによって、排ガス中の窒素酸化物を選択的に還元することを特徴とする窒素酸化物浄化方法。
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