JP4956367B2 - 耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナおよび溶接構造体 - Google Patents

耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナおよび溶接構造体 Download PDF

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Description

本発明は、突合せ溶接部を有する垂直部材と水平部材とからなるT型溶接構造体を補強するために用いられるスティフナ、および、そのスティフナを用いた溶接構造体、例えば、船舶、海洋構造物、低温タンク、ラインパイプ、土木・建築構造物等の溶接構造体に関するもので、特に、大型のコンテナ船やバルクキャリアなどの上甲板付近の縦通し部材の溶接構造に関するものである。
大型コンテナ船やバルクキャリアにおける脆性破壊の発生メカニズムとしては、一般には上甲板付近の縦通し部材で実施された突合せ溶接の際に発生した溶接欠陥を起点として脆性き裂が溶接部に沿って進展し、き裂の長さがある限度を超えると脆性破壊に至ると考えられている。
このため、万一溶接部で脆性き裂が発生した場合においても、脆性破壊に至ることがないように、確実に脆性き裂を停止させることが必要となってくる。これに対しては、縦通し部材や上甲板に、一定以上のアレスト性を備えた鋼板を用いておけば問題ないとされてきた。
しかしながら、特に、縦通し部材および上甲板に板厚の厚い鋼板を用いた場合、縦通し部材の溶接部で発生した脆性き裂は停止することなく上甲板に達し、さらに停止することなく上甲板中を進展する可能性があることが最近の研究でわかってきた。
このため、縦通し部材の溶接部で発生した脆性き裂を確実にかつ安定的に停止させる技術の開発が望まれていた。
特許文献1には、溶接構造体において、突合せ溶接部に交差するように配置された骨材に、表層部および裏層部において3mm以上の厚み領域にわたり、0.5〜5μmの平均円相当粒径を有すると共に板厚面に平行な面において(100)結晶面のX線面強度比が1.5以上である鋼板を用い、前記突合せ溶接部と骨材とが交差する領域のうち、少なくとも突合せ溶接部のビード幅以上の幅で、かつ骨材の表面または裏面から板厚の70%以上の長さを有する範囲を溶接した溶接構造体が開示されており、脆性き裂を選択的に骨材に導入させることでエネルギ吸収を行い、クラックアレスタとして脆性き裂が停止できるとしている。
しかしながら、上記のように部分的に溶接条件を変化させることは大規模な構造物では作業効率の低下を招き、著しく経済性が悪化することが懸念される。
一方、破壊力学では、脆性き裂が進展中の動的な応力拡大係数Kdの値が、材料固有の脆性き裂伝播停止係数Kcaの値以下になるとき、脆性き裂が停止すると考えられている。しかしながら、Kdの値を算出することは困難であることから、静的な応力拡大係数(以下「静的応力拡大係数」という。)KTとKcaを比較することによって停止の可否を判定することが多い。
KTは下記式(1)で示すように、一様引張応力σにより決まる応力拡大係数Kσだけでなく、補強物(アレスタ)および溶接残留応力の影響を含めて決まることが知られている(非特許文献1参照)。
KT=Kσ+KA+Kr … 式(1)
ここで、KAは、アレスタによる応力拡大係数への影響度合い(<0)、Krは、溶接残留応力による応力拡大係数への影響度合いである。
なお、長大き裂の場合は、|Kr|は|Kσ|に比べて無視できるほどに小さくなるため、KTは、一様応力で決まるKσに、アレスタの影響度合い(KA)のみを考慮した、Kσ+KAで近似することができる。
上記非特許文献1には、図1に示すようなT型溶接継手において、垂直部材1の突合せ溶接部4に交差させて、水平部材2の上方にスティフナ3を配置して得られるアレスタ効果(脆性き裂進展抑制効果)については、スティフナの幅方向長さBやスティフナ厚みの垂直部材に対する厚み比(t/tv)の影響などが開示されている。
しかしながら、垂直部材1の溶接部4に発生した脆性き裂の進展を確実に停止させるためには、スティフナ3の板厚tおよび水平部材からの取り付け距離aをも精度良く決定する必要がある。しかしながら、上記非特許文献1を含め、従来これらの値を簡便かつ精度良く決定する方法は存在しなかった。したがって、過剰設計とすることなく、脆性き裂の進展を確実に停止しうるスティフナを提供することは困難であった。
町田進、青木満,「クラックアレスターに関する基礎的研究(第7報) : 長大クラックの阻止とアレスターの設計について」,日本造船学会論文集,社団法人日本船舶海洋工学会,1972年6月,第131号,p.367−378 特開2005−111501号公報
そこで、本発明は、鋼板を突合せ溶接してなる垂直部材を水平部材にT型溶接してなる溶接構造体において、過剰設計とすることなく、垂直部材の溶接部に発生した脆性き裂の進展を確実に停止しうるスティフナ、および、それを用いた溶接構造体を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、鋼板の左右端部同士を突合せ溶接してなる垂直部材の上下端部のいずれか一方を水平部材にT型溶接してなる溶接構造体において、該溶接構造体を補強するために、前記垂直部材の突合せ溶接部に交差するように、前記水平部材と平行に溶接して用いられるスティフナであって、前記垂直部材の突合せ溶接部の、T型溶接をしていない方の端部に発生した脆性き裂が、該突合せ溶接部を伝播し、前記スティフナを通過して前記水平部材に到達したときの、その到達位置における前記突合せ溶接部の有効応力拡大係数Keffの値が、前記水平部材の材料固有の脆性き裂伝播停止応力拡大係数Kcaの値以下になるように、該スティフナの板厚tと、該スティフナの前記水平部材からの距離aとが調整されてなることを特徴とする、耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナである。
請求項2に記載の発明は、下記式を満たす、請求項1に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナである。
式 Keff=980.665[(9.10×10−4×t−1.15)a+563]
ここに、Keffの単位はN/mm1.5、tおよびaの単位はmmである。
請求項3に記載の発明は、前記垂直部材の垂直方向の長さが1.2m以下のものに使用される、請求項2に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナである。
請求項4に記載の発明は、前記垂直部材に沿う方向の長さLが7.5t以上である、請
求項2または3に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナである。
請求項5に記載の発明は、前記垂直部材に沿う方向の長さLが7.5t未満であって、下記式を満たす、請求項1に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナである。
式2 Keff=(1.25−0.0328×L/t)×9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563]
ここに、Keffの単位はN/mm1.5であり、L、tおよびaの単位はmmである。
請求項6に記載の発明は、当該スティフナの前記垂直部材に垂直な方向の幅をBとしたとき、下記式を満たす、請求項1に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナである。
式 Keff=(B/200)−0.117×9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563]
ここに、Keffの単位はN/mm1.5であり、B、tおよびaの単位はmmである。
請求項7に記載の発明は、鋼板の左右端部同士を突合せ溶接してなる垂直部材の上下端部の少なくとも一方を水平部材にT型溶接してなる溶接構造体であって、前記垂直部材の突合せ溶接部に交差するように、前記水平部材と平行に、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスティフナを溶接してなることを特徴とする、耐脆性き裂伝播特性に優れた溶接構造体である。
本発明によれば、垂直部材の突合せ溶接部に発生した脆性き裂が該突合せ溶接部を伝播し、スティフナを通過して水平部材に到達したときの、その到達位置における前記突合せ溶接部の有効応力拡大係数Keffの値が、前記水平部材の脆性き裂伝播停止応力拡大係数Kcaの値以下になるように、該スティフナの板厚tと、該スティフナの前記水平部材からの距離aとを調整することで、過剰設計とすることなく、垂直部材の溶接部に発生した脆性き裂の進展を確実に停止しうるスティフナ、および、それを用いた溶接構造体を提供できるようになった。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施形態〕
本発明に係る溶接構造体は、図1に示すように、鋼板の左右端部同士を突合せ溶接して形成した垂直部材1の下端部を、水平部材2にT型溶接して形成する。そして、該溶接構造体を補強するために、垂直部材1の突合せ溶接部4に交差するように、水平部材2と平行に、本発明に係るスティフナ3を溶接する。
そして、垂直部材1の突合せ溶接部4に発生した脆性き裂が、該突合せ溶接部4を伝播し、スティフナ3を通過して水平部材2に到達したときの、その到達位置における、前記突合せ溶接部の有効応力拡大係数Keffの値が、水平部材2の材料固有の脆性き裂伝播停止応力拡大係数Kcaの値以下になるように、スティフナ3の板厚tと、スティフナ3の水平部材2からの距離aとが調整されている。
ここで、有効応力拡大係数Keffは、例えば、下記式(2)で推定することができる。
Keff=9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563] …
式(2)
ここに、tおよびaの単位はmm、Keffの単位はN/mm1.5である。
以下、上記式(2)の導出過程を説明する。
先ず、図1に示す溶接構造体をモデル化して、有限要素法による数値解析にて静的な応力拡大係数KTの算出を試みた。
始めに、垂直部材1の垂直方向の長さ(高さ)Wv=700mm、垂直部材1の厚みtv=60mm、水平部材2の幅Wh=400mm、水平部材2の板厚th=60mm一定とした。そして、スティフナ3の板厚tおよびスティフナ3の水平部材からの設置距離aを種々変更して、垂直部材1に対して水平方向に一様引張応力256MPaを付与し、垂直部材1の突合せ溶接部4の最上端(すなわち、T型溶接をしていない方の端部)で発生したき裂が突合せ溶接部4を伝播してスティフナ3を通過し、水平部材2に到達したとき(図2参照;ただし、同図は、スティフナを設置していない場合を示している。)の、その到達位置における、静的応力拡大係数KTを、上記数値解析により求めた。なお、スティフナ3の水平部材2からの設置距離aは、図1に示すように、水平部材2の上表面から、スティフナ3の厚みの中心位置までの距離をいう。
しかしながら、非特許文献1で述べられているように、長大き裂の伝播停止特性に上記線形破壊力学の考え方をそのまま適用することはできないことが知られている。このため、同文献で示されている、静的応力拡大係数KTから長大き裂の有効K値(本願では「有効応力拡大係数」と呼ぶ。)Keffを推定するための補正式である下記の式(3)を用いて、上記数値解析で算出した静的応力拡大係数KTから、有効応力拡大係数Keffを求めた。
KT≦200のとき
Keff=KT
200<KT≦1400のとき
Keff=−2.78×10−4(KT−1400)+600
1400<KTのとき
Keff=600 ・・・ 式(3)
ただし、KTおよびKeffの単位は、kgf/mm・√mmである。
そして、上記のようにして求めたKeff(kgf/mm・√mm)と、スティフナの板厚t(mm)およびスティフナの水平部材からの距離a(mm)との関係についてまとめると図3のようになる。
図3に示した、tおよびaとKeffとの関係から、簡易式として下記式(2’)の関係が成り立つことがわかった。
Keff=(9.10×10−4×a−1.15)t+563 … 式(2’)
ただし、Keffの単位はkgf/mm・√mm、tよびaの単位はmmである。
上記式(2’)中のKeffの単位をSI単位に換算することで、下記に再掲する式(2)が得られる。なお、1kgf/mm・√mm=980.665N/mm1.5である。
Keff=980.665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563] …
再掲式(2)
ただし、Keffの単位はN/mm1.5、tおよびaの単位はmmである。
つまり、上記式(2)(または式(2’))の簡易式で算出されたKeffの値が、Kcaの値以下になるとき、脆性き裂は停止するといえる。
したがって、厚みtおよび水平部材2からの設置距離aがKca>Keffを満たすようにスティフナ3を設計することで、過剰設計とすることなく、垂直部材1の突合せ溶接部4に発生した脆性き裂の進展を確実に停止しうるスティフナ3を提供することができる。
そして、このようなスティフナ3を設置した溶接構造体を用いることで、耐脆性破壊性に優れた溶接構造体が低コストで提供できるようになった。
ところで、上記式(2’)より、スティフナ設置による有効応力拡大係数Keffの低減効果ΔKeff(kgf/mm・√mm)は、下記式(4)のように、tおよびaの関数として推定できる。
ΔKeff=−(9.10×10−4×a−1.15)t … 式(4)
そこで、上記有限要素法による数値解析結果を用いて、静的応力拡大係数KTについても同様してスティフナ設置によるKTの低減効果ΔKT(kgf/mm・√mm)を求めると、上記式(4)と同じくtおよびaの関数として下記式(5)が得られる。
ΔKT=−(2.14×10−3×a−3.41)t … 式(5)
ここで、スティフナ3の厚みtおよび水平部材2からの設置距離aは、施工上の制約から、t≦100mm、a≧100mmの範囲で設定するのが一般的である。そこで、スティフナ3設置によるKTの低減効果ΔKTの実用上の最大値は、上記式(5)にt=100mm、a=100mmを代入して得られた、ΔKTmax=320(kgf/mm・√mm)と推算される。
ところが、スティフナ3設置後のKTが1400(kgf/mm・√mm)を超える場合、上記式(3)より明らかなように、Keffは600(kgf/mm・√mm)一定となり、スティフナ3設置によるアレスト効果が十分に得られなくなる。したがって、スティフナ3設置前のKTが、KT>1400+ΔKTとなる場合には、スティフナ3設置により、KTがΔKTだけ減少しても、スティフナ3設置後のKTが1400(kgf/mm・√mm)を超えるため、スティフナ3設置によるアレスト効果が減殺されることとなる。上述したように、KTの低減効果ΔKTの実用上の最大値ΔKTmaxは320(kgf/mm・√mm)と推定されるので、スティフナ3設置前のKTが1400+ΔKTmax=1720(kgf/mm・√mm)を超える場合には、スティフナ3設置によるアレスト効果が実用上減殺されることとなる。
そこで、スティフナ3を設置していない場合における、垂直部材の長さWvとKTとの関係を上記有限要素法による数値解析で求め、図4に示す。同図より、WvとKTとの関係は、下記式(6)で近似することができる。
KT=1.23×Wv+267 … 式(6)
上記式(6)の左辺に1720(kgf/mm・√mm)を代入すると、Wv=1180mmが得られる。したがって、Wvが1180mm(≒1.2m)を超えると、スティフナ3を設置していないときのKTが1720(kgf/mm・√mm)を超え、ス
ティフナ3設置の効果が実用上減殺されることになる。よって、垂直部材1の上端部に他の部材(例えば上端部にも水平部材)が接合されていない、本実施形態のようなT型溶接構造体の場合には、垂直部材1の垂直方向の長さ(高さ)Wvが1.2m以下のものに対して、上記式(2)に基づいて設計したスティフナ3を用いることが望ましい。
上記有限要素法による数値解析においては、スティフナ3の長さ(垂直部材1に沿う方向の長さ)L=600mm、およびその幅(垂直部材1に垂直な方向の幅)B=200mmに固定して有効応力拡大係数Keffの推定を行ったが、さらに、これらのパラメータLおよびBを変化させたときのKeffの推定値に及ぼす影響を調査した。
先ず、スティフナ3の幅B=200mm、その板厚t=60mm、およびスティフナ3の水平部材からの設置距離a=240mmにそれぞれ固定し、スティフナ3の長さLを順次変更して、有効応力拡大係数Keffの推定計算を行った。その結果、図5に示すように、L/tが7.5未満では、Lの増加に伴ってKeffがほぼ直線的に減少するが、L/tが7.5以上になるとKeffはほぼ一定値となることがわかった。そして、上記スティフナ3の長さL=600mmおよびその幅B=200mmに固定して行った解析では、tは40〜80mmの範囲で変化させたことから(図3参照)、L/tは10〜15の範囲にある。よって、L/t≧7.5では、上記式(2)をそのまま適用することができる。
一方、L/t<7.5では、上述のとおり、KeffはL/tの増加に伴ってほぼ直線的に変化するので、L/tの影響を加味した下記式(7)を用いるのがより好ましい。
Keff=(1.25−0.0328×L/t)×9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563] … 式(7)
ここに、Keffの単位はN/mm1.5であり、L、tおよびaの単位はmmである。
次に、スティフナ3の長さL=600mm、その板厚t=60mm、およびスティフナ3の水平部材からの設置距離a=240mmにそれぞれ固定し、スティフナ3の幅Bを順次変更して、有効応力拡大係数Keffの推定計算を行った。その結果、図6に示すように、Bの増加に伴ってKeffが指数関数的に減少することがわかった。
したがって、KeffはBの影響を加味した下記式(8)を用いるのがより好ましい。
Keff=(B/200)−0.117×9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563] … 式(8)
ここに、Keffの単位はN/mm1.5であり、B、tおよびaの単位はmmである。
(変形例)
上記実施形態では、垂直部材1の下端部に水平部材2をT型溶接したものを例示したが、垂直部材1の下端部に代えて、垂直部材1の上端部に水平部材2をT型溶接したものを用いてもよい。
図1に示す溶接構造体において、垂直部材1に用いる母材としてKcaが−10℃で398(kgf/mm・√mm)(≒3900N/mm1.5)の鋼板を、水平部材2の母材としてKcaが−10℃で510(kgf/mm・√mm)(≒5000N/mm1.5)の鋼板を、それぞれ用いる場合における、スティフナ3の最適構造を設計した。
この溶接構造体は、−10℃において脆性き裂が水平部材2に突入しないことを設計要件とする。
先ず、施工性の観点等を考慮して、スティフナ3の幅Bを200mm、長さLを500mmとし、板厚tを60mmに設定する。次に、脆性き裂が停止する条件は、水平部材2のKcaが510(kgf/mm・√mm)であることから、上記式(2’)を用いることで、下記式(9)に示す不等式の関係で表される。
Kca=510(kgf/mm・√mm)≧Keff=(9.10×10−4×a−1.15)×60+563 … 式(9)
したがって、同式より、スティフナ3と水平板2との距離aは、
a≦{(510−563.)/60.+1.15}/(9.10×10−4)=290mm
の範囲で、施工性等を考慮して決定すればよいこととなる。
本発明に係るスティフナおよびそれを用いた溶接構造体の構成を示す斜視図である。 垂直部材の突合せ溶接部に発生した脆性き裂が水平部材に到達したときの状態を示す、有限要素法による数値解析で計算された変形図である。 スティフナの厚みtおよびスティフナの水平部材からの距離aと有効応力拡大係数Keffとの関係を示すグラフ図である。 スティフナを設置していない場合における、垂直部材の垂直方向の長さWvと静的応力拡大係数KTとの関係を示すグラフ図である。 スティフナの長さLと厚みtの比L/tと有効応力拡大係数Keff(相対値)との関係を示すグラフ図である。 スティフナの幅B(相対値)と有効応力拡大係数Keff(相対値)との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1…垂直部材
2…水平部材
3…スティフナ
4…突合せ溶接部

Claims (7)

  1. 鋼板の左右端部同士を突合せ溶接してなる垂直部材の上下端部のいずれか一方を水平部材にT型溶接してなる溶接構造体において、該溶接構造体を補強するために、前記垂直部材の突合せ溶接部に交差するように、前記水平部材と平行に溶接して用いられるスティフナであって、
    前記垂直部材の突合せ溶接部の、T型溶接をしていない方の端部に発生した脆性き裂が、該突合せ溶接部を伝播し、前記スティフナを通過して前記水平部材に到達したときの、その到達位置における前記突合せ溶接部の有効応力拡大係数Keffの値が、前記水平部材の材料固有の脆性き裂伝播停止応力拡大係数Kcaの値以下になるように、該スティフナの板厚tと、該スティフナの前記水平部材からの距離aとが調整されてなることを特徴とする、耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナ。
  2. 下記式を満たす、請求項1に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナ。
    式 Keff=9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563]
    ここに、Keffの単位はN/mm1.5、tおよびaの単位はmmである。
  3. 前記垂直部材の垂直方向の長さが1.2m以下のものに使用される、請求項2に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナ。
  4. 前記垂直部材に沿う方向の長さLが7.5t以上である、請求項2または3に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナ。
  5. 前記垂直部材に沿う方向の長さLが7.5t未満であって、下記式を満たす、請求項1に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナ。
    式 Keff=(1.25−0.0328×L/t)×9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563]
    ここに、Keffの単位はN/mm1.5であり、L、tおよびaの単位はmmである。
  6. 当該スティフナの前記垂直部材に垂直な方向の幅をBとしたとき、下記式を満たす、請求項1に記載の耐脆性き裂伝播特性に優れたスティフナ。
    式 Keff=(B/200)−0.117×9.80665[(9.10×10−4×a−1.15)t+563]
    ここに、Keffの単位はN/mm1.5であり、B、tおよびaの単位はmmである。
  7. 鋼板の左右端部同士を突合せ溶接してなる垂直部材の上下端部の少なくとも一方を水平部材にT型溶接してなる溶接構造体であって、前記垂直部材の突合せ溶接部に交差するように、前記水平部材と平行に、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスティフナを溶接してなることを特徴とする、耐脆性き裂伝播特性に優れた溶接構造体。
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JP4537683B2 (ja) * 2003-10-06 2010-09-01 新日本製鐵株式会社 耐脆性破壊特性に優れた溶接構造体
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