JP4953964B2 - 精密駆動用シームレスベルト - Google Patents

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Description

本発明は、精密駆動用に用いられるシームレスなベルトに関する。
精密駆動が求められる用途では、通常、シームレスなタイミングベルト(歯付ベルト)が用いられる。しかし、医療用の画像形成装置等では、タイミングベルトのかみ合わせによる振動も問題視されるため、精密駆動するシームレスな平ベルトが必要になる。
ところが、例えば帆布とゴムを組み合わせた一般的な平ベルトでは、強度および緩和特性は問題ないものの、厚み精度に問題があり、回転ムラが生じるという問題がある。
そのため、現在、精密駆動用途では、スチールやポリイミド樹脂からなるシームレスな平ベルト(シームレスベルト)が用いられている。これらのベルトのうち、スチールからなるシームレスベルト(いわゆるスチールベルト)は、精密駆動に要求される性能は満たしている。
しかしながら、スチールベルトは高価であると共に、金属製であるために屈曲疲労を受けやすく、寿命が短い。例えば特許文献1には、塑性加工が可能な金属からなる円筒状素管を、薄肉化処理により所定の肉厚まで薄肉化した後、当該薄肉化された円筒状素管を所望の幅に切断して、リング状に形成した金属製無端ベルトが記載されている。この文献によると、この金属製無端ベルトは高精度な伝動を可能とし、長寿命であると記載されている。
しかしながら、画像形成装置では、ベルトを小プーリ径、高張力という条件で使用する場合も多い。このため、特許文献1に記載されているベルトを、前記条件で使用した場合には、柔軟性に劣るスチールベルトの寿命は大きく低下してしまう。
一方、特許文献2には、ポリイミド管状体の製造方法が記載されており、得られた管状体は、精密駆動ベルト等に用いることができると記載されている。
しかしながら、ポリイミド樹脂からなるシームレスベルトは、回転ムラおよび低緩和特性は要求特性を満たすものの、表面摩擦係数(μ)が低いという問題がある。一般に、表面摩擦係数(μ)が低いベルトは必要伝達力を得るために高張力に設定する必要があるが、これはベルトに対する負荷および機械設計上、望ましくない。
特開2001−330081号公報 特開2003−1651号公報
本発明の課題は、高強度、高摩擦係数および低緩和特性等を有する精密駆動用シームレスベルトを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)一対のプーリ間に張設されるシームレス状の精密駆動用ベルトであって、前記プーリに当接する裏面層と、この裏面層上に積層される表面層とを備え、前記裏面層がイミド変性エラストマーからなり、前記表面層がポリイミド樹脂からなることを特徴とする精密駆動用シームレスベルト。
(2)一対のプーリ間に張設されるシームレス状の精密駆動用ベルトであって、イミド変性エラストマーからなることを特徴とする精密駆動用シームレスベルト。
(3)前記イミド変性エラストマーは、イミド変性ポリウレタンエラストマーである前記(1)または(2)記載の精密駆動用シームレスベルト。
(4)前記イミド変性ポリウレタンエラストマーは、下記一般式(I):
Figure 0004953964
[式中、R1は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示す。R2は、重量平均分子量100〜10,000の2価の有機基を示す。R3は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示す。R4は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示す。nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。]で表される前記(3)記載の精密駆動用シームレスベルト。
(5)破断強度(TB)が100MPa以上である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の精密駆動用シームレスベルト。
(6)前記イミド変性エラストマーの表面摩擦係数(μ)が0.3以上である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の精密駆動用シームレスベルト。
(7)応力保持率が80%以上である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の精密駆動用シームレスベルト。
なお、本発明における前記「イミド変性エラストマー」とは、イミド成分を有するエラストマーのことを意味し、前記イミド成分の割合(イミド分率)によって樹脂も含む概念である。
本発明によれば、精密駆動用シームレスベルトを構成する成分としてイミド変性エラストマーを用いる。該イミド変性エラストマーは、分子鎖中のイミド分率を変化させることによって、強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等を所望の値にコントロールすることができる。よって、このイミド変性エラストマーを用いた精密駆動用シームレスベルトは、高強度、高摩擦係数および低緩和特性等を示すことができるという効果がある。
しかも、前記(1)のように、精密駆動用シームレスベルトがプーリに当接する裏面層と、この裏面層上に積層される表面層とを備え、前記裏面層がイミド変性エラストマーからなり、前記表面層がポリイミド樹脂からなる場合には、イミド変性エラストマーによる効果(すなわち高摩擦係数等)と、ポリイミド樹脂による効果(すなわち高強度、低緩和特性等)とが相まって、精密駆動に要求される性能を確実に満たすようになる。また、このようなポリイミド樹脂を基材とした2層ベルトにおいて、表面摩擦係数(μ)を上げる場合には、表面形状の変更、低硬度樹脂(例えばシリコーン等)との積層も考えられる。しかし、前者は振動の発生、後者はイミド樹脂との接着性という問題が発生する。これに対し、イミド変性エラストマーは、イミド樹脂との接着性が良好なため、積層材料に適している。
特に、前記(3)によれば、イミド変性エラストマーがポリウレタンをエラストマー成分とするイミド変性ポリウレタンエラストマーなので、より優れた強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等を示すことができる。しかも、前記(4)のような一般式(I)で表されるイミド変性ポリウレタンエラストマーは、主鎖に連続したイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合(イミド分率)で導入することができるので、強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等を所望の値に簡単かつ確実にコントロールすることができる。
以下、本発明の精密駆動用シームレスベルトにかかる一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる精密駆動用シームレスベルトを示す概略説明図である。図2は、図1のA−A線部分拡大断面図である。
同図に示すように、本実施形態にかかる精密駆動用シームレスベルト(以下、「ベルト」と言う。)1は、一対のプーリ間、すなわち駆動プーリ10と従動プーリ11との間に張設され、プーリ10,11に当接する裏面層2と、この裏面層2上に積層される表面層3とを備えたいわゆる2層ベルトである。なお、プーリの構成は、前記構成に限定されるものではなく、例えば張設力をコントロールするための他のプーリを含んでいてもよい。
ここで、本実施形態にかかるベルト1は、裏面層2がイミド変性エラストマーからなり、表面層3がポリイミド樹脂からなる。これにより、イミド変性エラストマーによる効果と、ポリイミド樹脂による効果とが相まって、ベルト1は精密駆動に要求される性能、すなわち高強度、高摩擦係数および低緩和特性等を確実に満たすようになる。また、裏面層2,表面層3は、いずれもイミド成分を有するので、両者の親和性が高まり、よって両者が剥離することによる耐久性の低下を抑制することもできる。これに対し、ベルト1が前記構成とは逆の構成、すなわち裏面層2がポリイミド樹脂からなり、表面層3がイミド変性エラストマーからなる場合には、裏面層2の表面摩擦係数(μ)が低く、よって伝達力に劣る。
裏面層2を構成する前記イミド変性エラストマーとしては、そのエラストマー中に以下に示すエラストマー成分と、イミド成分とを有するのが好ましい。すなわち、前記エラストマー成分としては、例えばポリウレタン、不飽和オレフィン系オリゴマー、アクリル系オリゴマー、フッ素ゴム系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー等が挙げられ、前記イミド成分としては、例えば脂環式モノマー、複素環式モノマー、フェニルエーテル系モノマー、アルキル側鎖モノマー等が挙げられる。
本実施形態では、前記で例示したイミド変性エラストマーのうち、ポリウレタンをエラストマー成分とするイミド変性ポリウレタンエラストマー(以下、「ポリイミドウレタンエラストマー」や「PIUE」とも言う。)が好ましく、特に、前記一般式(I)で表されるPIUE(以下、「PIUE(I)」とも言う。)が好ましい。
PIUE(I)は、ポリウレタン(ポリウレタンプレポリマー)をエラストマー成分として含有すると共に、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合(イミド分率)で導入することができるので、強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等を所望の値に簡単かつ確実にコントロールすることができる。また、PIUE(I)は、分子鎖中にイミドユニットを持つことから、イミド樹脂との良好な接着性が期待できる。かかるPIUE(I)は文献未記載の新規化合物である。
具体的には、前記一般式(I)において前記R1は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(A)に従ってポリウレタンプレポリマー(c)を合成する際に用いるジイソシアナート(a)の残基等が挙げられる。
前記R2は、重量平均分子量100〜10,000、好ましくは300〜5,000の2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば反応行程式(A)に従ってポリウレタンプレポリマー(c)を合成する際に用いるポリオール(b)の残基等が挙げられる。
前記R3は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(B)に従ってポリウレタン−ウレア化合物(e)を合成する際に用いるジアミン化合物(d)の残基等が挙げられる。前記脂肪族鎖は、炭素数1のものも含む。
前記R4は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(C)に従ってイミド変性エラストマー(I)を合成する際に用いるテトラカルボン酸二無水物(f)の残基等が挙げられる。
前記nは1〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。前記mは2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。
前記一般式(I)で表されるPIUEの具体例としては、下記式(1)で表されるPIUE等が挙げられる。
Figure 0004953964
[式中、nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。xは10〜100の整数を示す。]
前記一般式(I)で表されるPIUEは、ジイソシアナートとポリオールから得た分子両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーをジアミン化合物でウレア結合により鎖延長し、テトラカルボン酸二無水物でウレア結合部にイミドユニットを導入したブロック共重合体であるのが好ましい。このようなPIUEは、例えば以下に示すような反応工程式(A)〜(C)を経て製造することができる。
[反応行程式(A)]
Figure 0004953964
[式中、R1,R2,nは、前記と同じである。]
(ポリウレタンプレポリマー(c)の合成)
前記反応行程式(A)に示すように、まず、ジイソシアナート(a)とポリオール(b)から分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマー(c)を得る。PIUE(I)は、このポリウレタンプレポリマー(c)をエラストマー成分とするので、ゴム状領域(室温付近)の弾性率が低くなり、よりエラスティックにすることができると共に、このポリウレタンプレポリマー(c)の分子量を制御することにより、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合で導入することが可能となる。
具体的には、前記ジイソシアナート(a)としては、例えば2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ポリメリックMDI(Cr.MDI)、ジアニシジンジイソシアナート(DADL)、ジフェニルエーテルジイソシアナート(PEDI)、ピトリレンジイソシアナート(TODI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、リジンジイソシアナートメチルエステル(LDI)、メタキシリレンジイソシアナート(MXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアナート(DDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)(IPCI)、シクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアナート(水添TDI)、TDI2量体(TT)等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよく、減圧蒸留したものを用いるのが好ましい。
前記ポリオール(b)としては、例えばポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリマーポリオール等のポリエーテルポリオール;アジペート系ポリオール(縮合ポリエステルポリオール)、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリエステルポリオール;ポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
ポリオール(b)は、70〜90℃、1〜5mmHg、10時間〜30時間程度の条件で減圧乾燥したものを用いるのが好ましい。また、ポリオール(b)の重量平均分子量は100〜10,000、好ましくは300〜5,000であるのが好ましい。前記重量平均分子量は、ポリオール(b)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
反応は、前記で例示したジイソシアナート(a)とポリオール(b)とを所定の割合で混合した後、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、室温で1時間〜5時間程度反応させればよい。ジイソシアナート(a)とポリオール(b)との混合比(モル)は、ジイソシアナート(a):ポリオール(b)=1.1:1.0〜2.0:1.0の範囲にするのが好ましい。これにより、得られるポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量を、下記で説明する所定の値にすることができる。
得られるポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量は、300〜50,000、好ましくは500〜45,000であるのがよい。この範囲内でポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量を制御して、イミドユニットを所望の割合で導入すると、強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等に優れるPIUE(I)を得ることができる。
また、ポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量が、前記範囲内において小さいほど、ハードなPIUE(I)を得ることができる。これに対し、前記分子量が300より小さいと、PIUE(I)がハードになりすぎ、表面摩擦係数(μ)が低下するおそれがあり、50,000より大きいと、ソフトになりすぎ、強度、緩和特性が低下するおそれがあるので好ましくない。前記重量平均分子量は、ポリウレタンプレポリマー(c)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
[反応行程式(B)]
Figure 0004953964
[式中、R1〜R3,n,mは、前記と同じである。]
(ポリウレタン−ウレア化合物(e)の合成)
前記で得られたポリウレタンプレポリマー(c)を用いて、反応行程式(B)に従ってイミド前駆体であるポリウレタン−ウレア化合物(e)を合成する。すなわち、ポリウレタンプレポリマー(c)をジアミン化合物(d)でウレア結合により鎖延長してポリウレタン−ウレア化合物(e)を得る。
具体的には、前記ジアミン化合物(d)としては、例えば1,4−ジアミノベンゼン(別名:p−フェニレンジアミン、略称:PPD)、1,3−ジアミノベンゼン(別名:m−フェニレンジアミン、略称:MPD)、2,4−ジアミノトルエン(別名:2,4−トルエンジアミン、略称:2、4−TDA)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(別名:4,4’−メチレンジアニリン、略称:MDA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(別名:4,4’−オキシジアニリン、略称:ODA、DPE)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(別名:3,4’−オキシジアニリン、略称:3,4’−DPE)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:o−トリジン、略称:TB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:m−トリジン、略称:m−TB)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(略称:TFMB)、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド(別名:o−トリジンスルホン、略称:TSN)、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド(別名:4,4’−チオジアニリン、略称:ASD)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(別名:4,4’−スルホニルジアニリン、略称:ASN)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(略称:DABA)、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン(n=3,4,5、略称:DAnMG)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン(略称:DANPG)、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン(略称:DA3EG)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(略称:FDA)、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(略称:TPE−Q)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(別名:レゾルシンオキシジアニリン、略称:TPE−R)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(略称:APB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(略称:BAPB)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(略称:BAPP)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(略称:BAPS)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(略称:BAPS−M)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(略称:HFBAPP)、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(略称:MBAA)、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン(別名:4,6−ジアミノレゾルシン)、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:3,3’−ジヒドロキシベンジジン、略称:HAB)、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル(別名:3,3’−ジアミノベンジジン、略称:TAB)等の炭素数6〜27の芳香族ジアミン化合物;1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1,8−オクタメチレンジアミン(OMDA)、1,9−ノナメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン(DMDA)、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサンジアミン等の炭素数6〜24の脂肪族または脂環式ジアミン化合物;1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシリコーン系ジアミン化合物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
特に、1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を用いるのが、強度に優れるPIUE(I)を得ることができるうえで好ましい。また、前記で例示したジアミン化合物(d)の選択によっても、PIUE(I)の強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等を所望の値に調整することができる。
反応は、ウレタンプレポリマー(c)と、前記で例示したジアミン化合物(d)とを等モル、好ましくはNCO/NH2比が1.0程度の割合で混合した後、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、室温〜100℃、好ましくは50〜100℃において、2時間〜30時間程度で溶液重合反応または塊状重合反応させればよい。
前記溶液重合反応に使用できる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−ヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン等が挙げられ、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−ヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドンが好ましい。これらの溶媒は、1種または2種以上を混合して用いてもよく、定法に従い脱水処理したものを用いるのが好ましい。
[反応行程式(C)]
Figure 0004953964
[式中、R1〜R4,n,mは、前記と同じである。]
(PIUE(I)の合成)
前記で得られたポリウレタン−ウレア化合物(e)を用いて、反応行程式(C)に従ってPIUE(I)を合成する。すなわち、テトラカルボン酸二無水物(f)でウレア結合部にイミドユニットを導入してブロック共重合体であるPIUE(I)を得る。
具体的には、前記テトラカルボン酸二無水物(f)としては、例えば無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、m(p)−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
反応は、ポリウレタン−ウレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)とのイミド化反応である。該イミド化反応は、溶媒下、無溶媒下のいずれであってもよい。溶媒下でイミド化反応を行う場合には、まず、ポリウレタン−ウレア化合物(e)と、前記で例示したテトラカルボン酸二無水物(f)とを所定の割合で溶媒に加え、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、100〜300℃、好ましくは135〜200℃、より好ましくは150〜170℃において、1時間〜10時間程度反応させて、下記式(g)で表されるポリウレタンアミド酸(PUA)を含む溶液(PUA溶液)を得る。
Figure 0004953964
[式中、R1〜R4,n,mは、前記と同じである。]
ここで、ポリウレタン−ウレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)との混合は、ポリウレタン−ウレア化合物(e)の合成で使用したジアミン化合物(d)とテトラカルボン酸二無水物(f)との混合比(モル)が、ジアミン化合物(d):テトラカルボン酸二無水物(f)=1:2〜1:2.02の範囲となる割合で混合するのが好ましい。これにより、確実にウレア結合部にイミドユニットを導入することができる。
使用できる溶媒としては、前記反応行程式(B)の溶液重合反応に使用できる溶媒で例示したものと同じ溶媒を例示することができる。なお、反応行程式(B)において溶液重合反応でポリウレタン−ウレア化合物(e)を得た場合には、該溶媒中でイミド化反応を行えばよい。
ついで、前記で得たPUA溶液を例えば円筒金型に注入して、100〜300℃、好ましくは135〜200℃、より好ましくは150〜170℃において、100〜2,000rpm、30分〜2時間程度で円筒金型を回転させながら、遠心成形によりPUAをシート状に成膜する。
ついで、シート状のPUAを加熱処理(脱水縮合反応)することにより、シート状のPIUE(I)を得ることができる。加熱処理は、PUAが熱分解しない条件であるのが好ましく、例えば減圧条件下において150〜450℃、好ましくは150〜250℃、1時間〜5時間程度であるのがよい。
一方、無溶媒下でイミド化反応を行う場合には、通常の攪拌槽型反応器の他、排気系を有する加熱手段を備えた押出機の中でも行うことができるので、得られるPIUE(I)を押し出して、そのままシート状に成形することができる。
前記のようにして得られるPIUE(I)は、ガラス転移温度(Tg)が、通常、−30〜−60℃であると共に、高い弾性を有し、かつゴム状弾性領域の温度範囲が広いものになる。この理由として、以下の理由が推察される。すなわち、前記で説明した通り、PIUE(I)は、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合(イミド分率)で導入することができるので、このイミドユニットからなるハードセグメントの凝集が均一かつ強固なものになる。このため、PIUE(I)は、より均一かつ強固なミクロ相分離構造を形成し、ガラス転移温度が低くなることで、ゴム状弾性領域の温度範囲が広くなる。
PIUE(I)の重量平均分子量は10,000〜1000,000、好ましくは50,000〜800,000、より好ましくは50,000〜500,000であるのがよい。これに対し、前記重量平均分子量が10,000より小さいと、強度および緩和特性等が低下するおそれがあり、前記重量平均分子量が1000,000より大きいと、表面摩擦係数(μ)および成形性が低下するので好ましくない。前記重量平均分子量は、前記式(g)で表されるPUAを含むPUA溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値から導き出した値である。なお、PIUE(I)ではなく、PUA溶液をGPCで測定するのは、PIUE(I)は、GPCの測定溶媒に不溶なためである。
ここで、前記した通りPIUE(I)は、イミド分率(イミド成分含有率)、すなわちイミド変性エラストマー中のイミド成分の割合を調整することによって、強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等を所望の値に調整することができる。具体的には、前記イミド分率としては、5重量%以上、好ましくは10〜80重量%であるのがよい。これにより、強度、表面摩擦係数(μ)および緩和特性等を後述する特定の数値範囲にすることが可能になる。これに対し、前記イミド分率が5重量%より小さいと、強度および緩和特性が低下するおそれがあり、80重量%を超えると、表面摩擦係数(μ)が低下するおそれがあるので好ましくない。
前記イミド分率は、原料、すなわちジイソシアナート(a)、ポリオール(b)、ジアミン化合物(d)およびテトラカルボン酸二無水物(f)の仕込み量から算出される値であり、より具体的には、下記式(α)から算出される値である。
Figure 0004953964
また、前記イミド分率を調整してPIUE(I)の弾性率を所望の値に調整することもできる。これにより、優れた柔軟性および屈曲性等を示すことができる。調整される弾性率としては、通常、1.0×106〜1.0×109Pa程度であるのが好ましい。前記弾性率は、動的粘弾性測定装置を用いて測定して得られる50℃での貯蔵弾性率E’の値である。
表面層3を構成する前記ポリイミド樹脂としては、特に限定されるものではなく、一般に、酸無水物とジアミン化合物から合成されたポリアミド酸を熱および触媒等によってイミド化することで得られる。具体的には、前記酸無水物としては、例えば無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2’−ヘキサフルオロイソプロピリジン)ジフタル酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、前記ジアミン化合物としては、例えば1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5’−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン等が挙げられ、例えば特許第2560727号公報に記載されているものが挙げられる。前記ポリイミド樹脂は熱硬化性であるのが好ましい。
ここで、上記したイミド変性エラストマーからなる裏面層2と、ポリイミド樹脂からなる表面層3とを備えたベルト1は、精密駆動に要求される性能、すなわち高強度、高摩擦係数および低緩和特性等を満たす。具体的には、前記高強度とは、例えばベルト1の破断強度(TB)が100MPa以上、好ましくは100〜400MPaである場合を意味する。破断強度(TB)を100MPa以上とするには、例えばイミド変性エラストマーのイミド分率を前記所定値にしたり、ポリイミド樹脂の組成、後述するベルト1の厚み等によって達成することができる。前記破断強度(TB)は、ベルト1を3号ダンベルで打ち抜き、標線間20mm、500mm/分の条件で、JIS K6251に準拠して引張試験を行うことにより得られた値である。
また、高摩擦係数とは、例えばイミド変性エラストマーの表面摩擦係数(μ)が0.3以上、好ましくは0.5〜1.0である場合を意味する。前記表面摩擦係数(μ)を0.3以上とするには、例えばイミド変性エラストマーのイミド分率を前記所定値にすること等によって達成することができる。前記表面摩擦係数(μ)は、表面摩擦測定装置を用い、荷重200g、試験速度10mm/分で測定を行った結果、得られる動摩擦係数の値である。なおサンプルサイズは幅20mm、長さ70mm、対象物はステンレス鋼(SUS)板である。
前記低緩和特性とは、例えばベルト1の応力保持率が80%以上、好ましくは80〜100%である場合を意味する。前記応力保持率を80%以上とするには、例えばイミド変性エラストマーのイミド分率を前記所定値にしたり、ポリイミド樹脂の組成、後述するベルト1の厚み等によって達成することができる。前記応力保持率は、ベルト1を2%伸長させた時点の引張応力M1と、伸長後、1時間保持した後の引張応力M2とを、式:(M2/M1)×100に当てはめて算出して得た値である。
また、ベルト1の総厚みは、通常、50〜300μm程度、好ましくは100〜200μmであるのがよい。これにより、精密駆動に要求される性能を満たすことができる。これに対し、ベルト1の総厚みが前記した厚みよりも薄いと、強度および緩和特性が低下するおそれがあり、前記した厚みよりも大きいと、プーリ屈曲部での変形によって、ベルト1表面に応力が集中してクラックが発生するおそれがある。
特に、裏面層2の厚みは20〜150μm、好ましくは40〜80μmであるのがよい。これにより、精密駆動に要求される性能のうち、高摩擦係数を満たすことができる。また、表面層3の厚みは50〜250μm、好ましくは100〜250μmであるのがよい。これにより、精密駆動に要求される性能のうち、特に低回転ムラおよび低緩和特性を満たすものになる。
上記のようなベルト1は、精密駆動用途として好適に用いることができる。具体的には、例えば医療用にかかる画像形成装置の駆動部分、画像形成装置の印刷部、印刷体の搬送装置の駆動部分等が挙げられる。
次に、ベルト1の製造方法の一実施形態について、イミド変性エラストマーに前記したPIUE(I)を用いた場合を例に挙げて説明する。
シームレスなベルト1は、例えば遠心成形法により得ることができる。遠心成形法では、まず、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸のワニス(ポリイミドワニス)と、上記で説明したPUA溶液とを調製する。ポリイミドワニスは、特に限定されるものではなく、ポリアミド酸を適当な溶剤に加えてワニス化したものの他、市販のものを用いてもよく、具体例としては、宇部興産(株)社製の商品名「UワニスA」等が挙げられる。このポリイミドワニスの固形分量としては、例えば10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%、より好ましくは18重量%程度であるのがよい。また、PUA溶液の固形分量としては、例えば10〜30重量%、好ましくは20重量%程度であるのがよい。
ポリイミドワニスおよびPUA溶液は、それぞれ攪拌機を用いて30分〜2時間、好ましくは1時間程度攪拌しながら脱泡処理を行うのが好ましい。前記攪拌機としては、例えば密閉式攪拌機、ロールミル、ビーズミル、ホモジナイザー等が挙げられ、さらに例示したこれら以外の公知の攪拌機を用いてもよい。
そして、前記で調製したポリイミドワニスおよびPUA溶液のうち、まず、ポリイミドワニスを遠心成形機に投入する。ポリイミドワニスの投入は、遠心成形機を110〜130℃、好ましくは120℃程度に加熱し、かつ400〜600rpm、好ましくは500rpm程度で回転させた状態で投入するのが好ましい。これにより、ポリイミドワニスをドラム全体に充分に延伸させることができる。遠心成形機のドラム内面には離型処理を施す、離型剤を塗布する、あるいは離型性を有する樹脂層を形成する等の表面処理を施しておくのが好ましい。これにより、得られる管状の積層シートを遠心成型機から簡単に取り外すことができる。
ポリイミドワニスを遠心成形機に投入した後、遠心成形機の回転数を900〜1,100rpm、好ましくは1,000rpm程度に上げ、20〜40分間、好ましくは30分間程度で熱処理をした後、50〜70℃、好ましくは60℃程度にまで冷却して、ドラム内面にシート(すなわち硬化前の表面層3)を形成する。
ついで、ドラムを400〜600rpm、好ましくは500rpm程度で回転させながら、PUA溶液を上記シート内面に注入し、その後回転数を50〜200rpm、好ましくは100rpm程度で回転させると共に、110〜130℃、好ましくは120℃程度に加熱し、30〜60分間、好ましくは45分間程度で熱処理を行ことで管状の積層シートを形成する(すなわち硬化前の裏面層2,表面層3)。
この積層シートを室温まで冷却した後、該積層シートをドラムから取り外し、収縮による変形を防ぐため、表面離型処理を施した金型にセットする。ついで、減圧条件下で300〜400℃、好ましくは350℃程度で20〜40分間、好ましくは30分間程度で熱処理を行った後、管状の積層シートを適切な大きさにスリットして裏面層2,表面層3を備えたシームレスなベルト1を得る。
なお、効率よくシームレスなベルト1を得る上で、遠心成形法により連続して裏面層2、表面層3を得る場合について説明した。この場合、熱処理はドラムから取り外した後に金型にセットして行ってもよいし、ドラムごと熱処理を行ってもよい。また裏面層2を成形後、熱処理を行った後に表面層3を成形してもよい。
次に、本発明のベルトにかかる他の実施形態について詳細に説明する。本実施形態にかかるベルトは、前記した一実施形態と同様に、一対のプーリ間に張設されるシームレス状のベルトであって、イミド変性エラストマーからなるいわゆる単層ベルトである。このような構成のベルトであっても、前記したイミド変性エラストマーを用いるので、精密駆動に要求される性能を満たす。
特に、本実施形態では、前記一実施形態にかかるPIUE(I)において、イミド分率を30重量%以上、好ましくは50〜80重量%とするのがよい。これに対し、前記イミド分率が30重量%より小さいと、強度および緩和特性が低下するおそれがあり、80重量%を超えると、表面摩擦係数(μ)が低下するおそれがあるので好ましくない。
すなわち、本実施形態にかかるベルトは、前記一実施形態のようにイミド変性エラストマーからなる層上にポリイミド樹脂からなる層を設けないので、イミド分率の割合を前記一実施形態よりも高めることによって、精密駆動に要求される強度および緩和特性を満たすようにする必要がある。よって、本実施形態にかかるイミド分率は、前記一実施形態にかかるイミド分率の値よりも高い、特定の値に調整するのが好ましい。
その他の構成は、前記した一実施形態にかかるベルト1と同様であるので、説明を省略する。
以下、合成例および実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の合成例および実施例のみに限定されるものではない。
<合成例1>
PUA溶液を下記式に基づいて合成した。
Figure 0004953964
[式中、nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。xは5〜100の整数を示す。]
(ポリウレタンプレポリマー(j)の合成)
まず、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)(h)[日本ポリウレタン工業(株)社製]を減圧蒸留した。また、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(i)[保土谷化学(株)社製の商品名「PTMG1000」、重量平均分子量:1,000]を80℃、2〜3mmHg、24時間の条件で減圧乾燥した。
ついで、前記MDI(h)23.8gと、PTMG(i)76.2gとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、80℃で2時間攪拌して、分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマー(j)を得た。このポリウレタンプレポリマー(j)をGPCで測定した結果、ポリスチレン換算した値で重量平均分子量は4.6×104であった。
(ポリウレタン−ウレア化合物(l)の合成)
前記で得たポリウレタンプレポリマー(j)10gを脱水処理したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)60mlに溶解させたものと、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)(k)0.378gを脱水処理したNMP20mlに溶解させたものとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、室温(23℃)で24時間攪拌して、ポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液を得た。
(PUA溶液の合成)
前記で得たポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液中に、無水ピロメリット酸(PMDA)(m)0.831gを加え、アルゴンガス雰囲気下、150℃で2時間攪拌して、PUA溶液を得た。
ちなみに、このPUA溶液を遠心成形機に流し込み、150℃で1,000rpm、1時間遠心成形してPUAシートを得、このPUAシートを減圧デシケータ内で200℃、2時間加熱処理(脱水縮合反応)すると、厚さ100μmのシート状のPIUE(1)が得られた(イミド分率:15重量%)。前記イミド分率は、前記式(α)から算出して得た値である。得られたPIUE(1)について、ATR法にてIRスペクトルを測定した結果、1780cm-1、1720cm-1および1380cm-1にイミド環に由来する吸収が観察された。
<合成例2>
MDI(h)23.8gを27.3gにし、PTMG(i)76.2gを72.7gにした以外は、上記合成例1と同様にして、重量平均分子量が2.5×104のポリウレタンプレポリマー(j)を得た。ついで、MDA(k)0.378gを0.721gにした以外は、上記合成例1と同様にして、ポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液を得た。このポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液中に加えるPMDA(m)0.831gを1.586gにした以外は、上記合成例1と同様にしてPUA溶液を得た。
ちなみに、このPUA溶液を、上記合成例1と同様にして脱水縮合反応すると、厚さ100μmのシート状のPIUE(1)が得られた(イミド分率:25重量%)。得られたPIUE(1)について、上記合成例1と同様にしてIRスペクトルを測定した結果、1780cm-1、1720cm-1および1380cm-1にイミド環に由来する吸収が観察された。
<合成例3>
MDI(h)23.8gを36.0gにし、PTMG(i)76.2gを64.0gにした以外は、上記合成例1と同様にして、重量平均分子量が0.8×104のポリウレタンプレポリマー(j)を得た。ついで、MDA(k)0.378gを1.586gにした以外は、上記合成例1と同様にして、ポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液を得た。このポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液中に加えるPMDA(m)0.831gを3.489gにした以外は、上記合成例1と同様にしてPUA溶液を得た。
ちなみに、このPUA溶液を、上記合成例1と同様にして脱水縮合反応すると、厚さ100μmのシート状のPIUE(1)が得られた(イミド分率:45重量%)。得られたPIUE(1)について、上記合成例1と同様にしてIRスペクトルを測定した結果、1780cm-1、1720cm-1および1380cm-1にイミド環に由来する吸収が観察された。
<シームレスベルトの作製>
まず、ポリアミド酸溶液(宇部興産(株)社製の商品名「UワニスA」)を、遠心成形機を用いて120℃、1000rpmで90分間遠心成形して、筒状のアミド酸シートを得た。このアミド酸シートを、成形ドラムごと熱オーブンを用いて、320℃で1時間加熱処理し、厚さ80μmのポリイミド樹脂シートを得た。
ついで、このポリイミド樹脂シートをドラムごと遠心成形機に戻し、ドラム内面に合成例1で得たPUA溶液(イミド分率:15重量%)を注入し、150℃、1000rpmで1時間遠心成形して、筒状の積層シートを得た。ついで、この積層シートを、ドラムごと熱オーブンを用いて200℃で1時間加熱処理し、冷却後ドラムから取り外して、イミド変性エラストマーからなる厚さ40μmの裏面層と、ポリイミド樹脂からなる厚さ80μmの表面層とを備えた厚さ120μmのシームレスベルト(2層ベルト)を得た。
合成例1で得たPUA溶液(イミド分率:15重量%)に代えて、合成例2で得たPUA溶液(イミド分率:25重量%)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてイミド変性エラストマーからなる厚さ40μmの裏面層と、ポリイミド樹脂からなる厚さ80μmの表面層とを備えた厚さ120μmのシームレスベルト(2層ベルト)を得た。
合成例1で得たPUA溶液(イミド分率:15重量%)に代えて、合成例3で得たPUA溶液(イミド分率:45重量%)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてイミド変性エラストマーからなる厚さ40μmの裏面層と、ポリイミド樹脂からなる厚さ80μmの表面層とを備えた厚さ120μmのシームレスベルト(2層ベルト)を得た。
[比較例1]
PUA溶液を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、厚さ80μmのシームレスベルト(すなわちポリイミド樹脂からなる単層ベルト)を得た。
前記実施例1〜3および比較例1で得た各シームレスベルトを表1に示す。
Figure 0004953964
<評価>
上記で得た各シームレスベルトについて、破断強度(TB)、表面摩擦係数(μ)および応力保持率を測定した。各測定方法を以下に示すと共に、結果を表2に示す。
(破断強度(TB)の測定方法)
シームレスベルトを3号ダンベルで打ち抜き、標線間20mm、500mm/分の条件で、JIS K6251に準拠して引張試験を行うことにより測定した。
(表面摩擦係数(μ)の測定方法)
表面摩擦測定装置(新東科学(株)社製の「HEIDON」)を用い、荷重200g、試験速度10mm/分の条件下で、幅20mm、長さ70mmに打ち抜いたベルトサンプルをSUS板上で移動させ、測定した荷重から動摩擦係数を計算し、これを表面摩擦係数(μ)とした。なお、測定は、ベルトサンプル4つについて行い、その平均値を算出した。
(応力保持率の測定方法)
幅10mm、長さ100mmに打ち抜いたベルトサンプルを、引張試験機を用いて2%伸張させ、伸張直後の引張応力M1と、1時間保持した後の引張応力M2とを、式:(M2/M1)×100に当てはめて算出した。
Figure 0004953964
表1および表2から明らかなように、本発明にかかる実施例1〜3のシームレスベルトは、破断強度(TB)、表面摩擦係数(μ)および応力保持率において優れた結果を示しているのがわかる。この結果から、本発明にかかるシームレスベルトは、高強度、高摩擦係数および低緩和特性を有すると言える。これに対し、ポリイミド樹脂からなる比較例1のシームレスベルトは、破断強度(TB)および応力保持率は優れているものの、表面摩擦係数(μ)が、実施例1〜3のシームレスベルトよりも著しく劣る結果を示した。
本発明の一実施形態にかかる精密駆動用シームレスベルトを示す概略説明図である。 図1のA−A線部分拡大断面図である。
符号の説明
1 精密駆動用シームレスベルト
2 裏面層
3 表面層
10 駆動プーリ
11 従動プーリ

Claims (5)

  1. 一対のプーリ間に張設されるシームレス状の精密駆動用ベルトであって、前記プーリに当接する裏面層と、この裏面層上に積層される表面層とを備え、前記裏面層がイミド変性エラストマーからなり、前記表面層がポリイミド樹脂からなるとともに、前記イミド変性エラストマーが下記一般式(I):
    Figure 0004953964
    [式中、R 1 は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示す。R 2 は、重量平均分子量100〜10,000の2価の有機基を示す。R 3 は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示す。R 4 は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示す。nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。]で表されるイミド変性ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする精密駆動用シームレスベルト。
  2. 一対のプーリ間に張設されるシームレス状の精密駆動用ベルトであって、イミド変性エラストマーからなるとともに、このイミド変性エラストマーが下記一般式(I):
    Figure 0004953964
    [式中、R 1 は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示す。R 2 は、重量平均分子量100〜10,000の2価の有機基を示す。R 3 は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示す。R 4 は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示す。nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。]で表されるイミド変性ポリウレタンエラストマーであり、破断強度(TB)が100MPa以上であることを特徴とする精密駆動用シームレスベルト。
  3. 破断強度(TB)が100MPa以上である請求項1記載の精密駆動用シームレスベルト。
  4. 前記イミド変性エラストマーの表面摩擦係数(μ)が0.3以上である請求項1〜のいずれかに記載の精密駆動用シームレスベルト。
  5. 応力保持率が80%以上である請求項1〜のいずれかに記載の精密駆動用シームレスベルト。
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