本発明は、ターボチャージャ付き内燃機関における、タービンのタービンホイールへの排気の流れを制御する排気流制御手段と内燃機関の気筒への吸気の流れを制御する吸気流制御手段との働きあるいは作動により、蓄圧容器内に排気回収を行うことを可能にする構成を有する。かかる構成により、本発明は、排気通路に連通可能な蓄圧容器を備えたターボチャージャ付き内燃機関で、積極的に動力を発生しているときでも、排気を蓄圧容器へ適切に回収することを可能にする。
具体的には、本発明は、ターボチャージャ付き内燃機関において、従来、機関出力を調整するべくタービンの回転速度を下げるように例えばウエストゲート弁を開けたりあるいはターボチャージャのタービンの可変ノズルベーンの開度(VN開度)を開き側にしたりしていたときに、蓄圧容器内に排気回収を行うことを可能にする構成を有する。そのようなときに、排気回収をする場合、タービン上流側の排気通路の圧力を上げるようにウエストゲート弁を閉じたりあるいはVN開度を絞ったりして、タービンの回転速度を上昇させ、過給圧を過度に上昇させるようにする。しかし、実際に、過給圧が過度に上昇したのでは機関出力が運転者の望まない大きさになってしまうので、これを回避するべく、スロットル弁やスワールコントロール弁等を通常時に比べて閉じ側に制御することなどで、気筒内への吸気の流入量を制限し、機関出力を調節する。
本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。まず、第1実施形態を説明する。第1実施形態が適用された車両の内燃機関システム10の概略構成を図1に示す。内燃機関10は、燃料である軽油を燃料噴射弁12から圧縮状態にある燃焼室内に直接噴射することにより自然着火させる型式の内燃機関、すなわちディーゼル機関である。
気筒14の燃焼室に臨むと共に吸気通路16の一部を区画形成する吸気ポートは、シリンダヘッドに形成されていて、吸気弁によって開閉される。シリンダヘッドには、吸気通路16の一部を区画形成する吸気マニホールド18が接続され、さらにその上流側には同じく吸気通路16の一部を区画形成する吸気管20が接続されている。吸気管20の上流端側には、吸気通路16に導かれる空気中の塵埃などを除去するべくエアクリーナ22が設けられている。また、スロットルアクチュエータ24によって開度が調整されるスロットル弁26が、吸気通路16の途中に設けられている。
他方、気筒14の燃焼室に臨むと共に排気通路28の一部を区画形成する排気ポートは、シリンダヘッドに形成されていて、排気弁によって開閉される。シリンダヘッドには、排気通路28の一部を区画形成する排気マニホールド30が接続され、さらにその下流側には同じく排気通路28の一部を区画形成する排気管32が接続されている。なお、排気浄化触媒が充填された触媒コンバータ34が排気通路28の途中に設けられている。
上記吸気弁および上記排気弁の駆動機構である動弁機構は、図示しないが、吸気弁および排気弁を、コンロッドを介してピストンが連結されているクランクシャフトの回転に同期して、個別に任意の開度およびタイミングで制御することが可能な可変動弁機構である。それ故、この動弁機構は、吸排気弁の各々の弁タイミングおよびリフト量の少なくとも一方を可変とすることができる。具体的には、動弁機構は、吸気弁と排気弁とにそれぞれ個別に設けられたソレノイドを含んでいる。そして、動弁機構は、吸気弁と排気弁とが同時に開くバルブオーバーラップを実現可能である。なお、このような構成に代えて、動弁機構として、例えば単一の弁に適用される複数種類のカムを油圧によって切り替えることによって弁タイミングおよびカムプロフィールを任意に変更できる可変弁タイミング機構(VVT; Variable Valve Timing mechanism)を用いることもできる。
さらに、排気により回転駆動されるタービンホイール36を含むタービン38が排気通路28に設けられている。これに対応して、タービン38のタービンホイール36に回転軸40を介して同軸で連結され、タービンホイール36の回転力で回転するようにしたコンプレッサホイール42を含むコンプレッサ44が吸気通路16に設けられている。すなわち、内燃機関10は、排気エネルギーを取り出すタービン38と、タービン38に連結されてタービン38により取り出された排気エネルギーによって内燃機関10に過給するコンプレッサ44とを有するターボチャージャ46が設けられている、ターボチャージャ46付き内燃機関である。そして、コンプレッサ44により圧縮された空気を冷却すべく、インタークーラ48がコンプレッサ44下流側に設けられている。
このターボチャージャ46は、タービン38に複数の可変ノズルベーン(VN;ベーン)50を配設した可変ノズルターボチャージャである。すなわちタービンホイール36の周りであるタービン38の排気入口部には、タービンホイール36を取り巻くように、複数のベーン50が配設されている。複数のベーン50を駆動するためのベーン駆動機構として、ロッド52、駆動リング54、アクチュエータ56などが備えられている。複数のベーン50の角度は、ロッド52および駆動リング54を介してアクチュエータ56により一斉に調節される。複数のベーン50の角度により定められる流路の開度(VN開度)が閉側になるように、それらベーン50の角度を閉じ側に調整することで、複数のベーン50上流側の圧力は高くなり、タービンホイール36に導入される排気の流速は速くなる。他方、そのVN開度が開側になるようにベーン50の角度を開き側に調整することで、複数のベーン50の上流側の圧力は低くなり、タービンホイール36に導入される排気の流速は遅くなる。すなわち、複数のベーン50の角度が可変である(VN開度が可変である)ので、タービン38内部に形成される流路の有効面積が可変する。
ここでは、複数のベーン50駆動用作動軸であるロッド52を駆動するアクチュエータ56が、負圧式アクチュエータとされている。アクチュエータ56によりロッド52が駆動されると、駆動リング54が回転軸40を中心に所定角度だけ回転され、この駆動リング54の回転に基づいて複数のベーン50が全て一律に同じ角度になるように動かされる。このようなロッド52および駆動リング54を含む各部材によるリンク機構に介しては種々の機構が周知であり、ここでの説明は省略される。また、アクチュエータ56は、大気室と、負圧源から負圧を導入可能な負圧室と、該負圧室への負圧導入量を調整するための負圧導入弁と、気密に上記負圧室や上記大気室を隔成させてロッド52に連結されたダイヤフラムと、このダイヤフラムを負圧室から大気圧室に向けて押圧する付勢力を発するスプリングとを有して構成される既知のアクチュエータである。なお、アクチュエータ56の負圧室に導入される負圧に応じて、そのダイヤフラムが変位する。そして、作動軸であるロッド52はその変位に伴って、複数のベーン50を一斉に双方向に駆動することができる。
排気通路28の内、タービン38上流側の排気通路Jには、管部材60により区画形成された管路62が連通され、その管路62により排気通路Jと蓄圧容器64内とは連通可能にされている。なお、蓄圧容器64は、排気通路Jであればいずれの場所、例えば排気マニホールド30に直接的に連通可能にされてもよい。管路62の径は排気通路28の径に比べて小さい。蓄圧容器64内と排気通路Jとの連通状態の調節用に、管路62に流量調節弁66が設けられている。なお、流量調節弁66が開弁することで蓄圧容器64内と排気通路28とは連通し、他方、流量調節弁66が閉弁することで蓄圧容器64内と排気通路28との連通は遮断され、蓄圧容器64内は概略的に密閉状態になる。ただし、流量調節弁66はアクチュエータ68により駆動される。なお、ここでは流量調節弁66はポペット式弁である。
さらに、排気通路28には、排気絞り弁70が設けられている。排気絞り弁70は、ここではタービン38下流側かつ触媒コンバータ34上流側の排気通路に設けられているが、排気通路28の他の箇所に設けられてもよい。ただし、本第1実施形態のように、排気絞り弁70上流側の排気通路に蓄圧容器64内が連通可能にされる。ここでは排気絞り弁70はバタフライ式弁であり、アクチュエータ72により駆動される。排気絞り弁70は、その閉弁時には排気通路28を流れる排気すなわち既燃ガス(燃焼ガスを含む。)や空気である流体を効果的にせき止め、そのような流体の排気絞り弁70下流側への流れを概ね遮断する遮断弁として機能する。なお、排気絞り弁70は、他の構成を有する弁であってもよく、例えば閉弁時に、その箇所を完全に閉塞するような構成を有する弁であってもよい。
なお、後述するように排気通路28の圧力(圧力エネルギー)すなわちその圧力を有する排気は、管路62を介して排気の移動を伴いつつ排気通路28から蓄圧容器64内に回収される。他方、蓄圧容器64内に蓄えられた圧力すなわち排気は、管路62を介して、蓄圧容器64内から排気通路28に放出されて利用に供される。すなわち、本第1実施形態では、蓄圧容器64内への排気回収およびそこからの排気放出は、同じ管路62を介して行われる。
そして、ここでは、蓄圧容器64内に回収された排気は、加速要求があったときに、特に加速初期に管路62を介して排気通路Jへ放出される。放出された排気すなわち圧力はタービンホイール36の回転駆動に用いられる。これにより、ターボチャージャ46の応答性向上、換言すると過渡性能向上が図られる。ただし、蓄圧容器64内の排気をこのようにターボチャージャ46の作動補助に用いる場合、蓄圧容器64内の排気は、排気通路J以外の排気通路を含む、タービンホイール36上流側の排気通路Kに供給されるとよい。
内燃機関10は、電子制御ユニット(ECU)80に、各種値を求める(検出あるいは推定)するための信号を電気的に出力する各種センサ類を備えている。ここで、その内のいくつかを具体的に述べる。吸入空気量を検出するためのエアフローメーター82が吸気通路16に備えられている。また、エアフローメーター82近傍に吸入空気(吸気)の温度を検出するための吸気温度センサ84が、そしてインタークーラ48下流側にも温度を検出するための吸気温度センサ86が備えられている。また、吸気圧すなわち過給圧を検出するための圧力センサ88が設けられている。また運転者によって操作されるアクセルペダル90の踏み込み量に対応する位置、すなわちアクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ92が備えられている。また、スロットル弁26の開度を検出するためのスロットルポジションセンサ94も備えられている。また、ピストンが往復動する、シリンダブロック(あるいはその近傍)には、コンロッドを介してピストンが連結されているクランクシャフトのクランク回転信号を検出するためのクランクポジションセンサ96が取り付けられている。ここでは、このクランクポジションセンサ96は機関回転速度(機関回転数)を検出するための機関回転速度センサとしても利用される。さらに、排気通路Jの圧力を検出するための圧力センサ98が備えられている。また、蓄圧容器64内の圧力を検出するための圧力センサ100も備えられている。さらに、内燃機関10の冷却水温を検出するための温度センサ102が備えられている。さらに、車速を検出するための車速センサ104も備えられている。
ECU80は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器、入力インタフェース、出力インタフェース等を含むマイクロコンピュータで構成されている。入力インタフェースには、前記各種センサ類が電気的に接続されている。これら各種センサ類からの出力信号(検出信号)に基づき、予め設定されたプログラムにしたがって円滑な内燃機関10の運転ないし作動がなされるように、ECU80は出力インタフェースから電気的に作動信号(駆動信号)を出力する。こうして、吸排気弁の弁タイミングやリフト量、燃料噴射弁12の作動、スロットル弁26、流量調節弁66、排気絞り弁70の各開度、ベーン50の角度などが制御される。ただし、ECU80は、スロットル弁26、流量調節弁66、排気絞り弁70の各開度やベーン50の角度を制御するため、各アクチュエータ24、68、72、56に作動信号を出力する。
なお、本第1実施形態では、吸気流制御手段は、スロットル弁26と、アクチュエータ24およびECU80の一部を含むスロットル弁制御手段とを含んで構成される。また、排気流制御手段は、複数のベーン50と、これらベーン50の角度を変更可能にするようにアクチュエータ56およびECU80の一部を含むベーン駆動機構とを含んで構成される。また、要求負荷判定手段は、ECU80の一部を含んで構成される。
内燃機関10では、エアフローメーター82からの出力信号に基づいて求められる吸入空気量、クランクポジションセンサ96からの出力信号に基づいて求められる機関回転速度など、すなわち機関負荷および機関回転速度で表される機関運転状態に基づいて、通常
は、燃料噴射量(燃料量)等が設定される。そして、それら燃料噴射量等に基づいて、燃料噴射弁12からの燃料の噴射が行われる。
ただし、内燃機関10では、クランクポジションセンサ96からの出力信号に基づいて求められる機関回転速度が所定回転速度(燃料カット回転速度)以上であり、かつ、アクセル開度センサ92からの出力信号に基づいて求められるアクセル開度が0%、すなわちアクセルペダル90が踏まれていないときに、燃料噴射弁12からの燃料噴射が停止(燃料カット)されるように設定されている。すなわち、車両の走行中に機関回転速度が予め設定された所定回転速度領域にありかつアクセル開度全閉状態にあるときに、燃料カットが行われる。ただし、このような燃料カット状態が続いて、機関回転速度が低下して別の所定回転速度(燃料カット復帰回転速度)に達すると、燃料噴射は再開される。また、上記の条件を満たすが故に内燃機関10が燃料カット状態にあるときに、アクセルペダル90が踏まれてアクセル開度が開き側に大きくなって0%を超えるようになった場合にも、燃料噴射は再開される。なお、内燃機関10が燃料カット状態にあるときは、概ね減速時に対応する。
また、スロットル弁26は内燃機関10の始動時は全開に制御され、他方、内燃機関10の停止時は全閉に制御される。そして、通常走行時には、機関回転速度、過給圧、機関負荷および/または吸入空気量等により定められ得る機関状態および冷却水温などに応じて、スロットル弁26の開度は適切な開度になるように制御される。
さらに、複数のベーン50の角度すなわちVN開度は、機関運転状態に基づいて制御さ
れる。例えば、機関運転状態に応じて設定される、制御上目標とされる過給圧(目標過給圧)に、スロットル弁26下流側の吸気通路に設けられた圧力センサ88からの出力信号に基づいて求められる過給圧が一致するように、複数のベーン50の角度は制御される。あるいは、機関運転状態に応じて設定される、制御上目標とされる吸入空気量(目標吸入空気量)に、エアフローメーター82からの出力信号に基づいて求められる吸入空気量が一致するように、複数のベーン50の角度は制御される。ここでは、機関運転状態が属する運転領域が高負荷高回転側にあるほど、それが低負荷低回転側にあるときに比べて流路を拡げるように、VN開度は大きくされる。ただし、アクセルペダル90が踏まれて車両が加速される過渡期には、VN開度を一旦小さくして排気の流速を速くしてタービンホイール36の回転速度を上昇させるように、機関運転状態に基づいて求められたVN開度は補正される。ここでは、車両が加速される過渡期には、VN開度が一旦全閉になるように、複数のベーン50の角度は制御される。なお、VN開度が全閉であるときの複数のベーン50により定められる流路面積は、完全に閉鎖されずに最大に開いたときの流路面積の例えば数%である。
ところで、通常走行時、排気絞り弁70は全開の開状態に保持制御されているので、排気通路28を流れる排気は全て触媒コンバータ34を通過して外気に放出される。これに対して、排気回収の第1所定条件が満たされたとき、排気絞り弁70は閉状態になるように制御され、排気通路28を流れる排気は概ねせき止められる。そして、このようにしてせき止めた排気を有効に活用して排気回収(圧力エネルギー回収)すなわち蓄圧容器64へのガス充填が行われる。
以下、排気回収について、図2のフローチャートにしたがって詳細に説明する。ただし、図2のフローチャートは、所定時間毎に、例えばおよそ8ms毎に繰り返されるものである。なお、以下の記載から明らかになるように、図2のフローチャートにしたがって蓄圧容器78内に回収される排気は主に空気から構成される。
ただし、以下で図2に基づいて説明される制御は、燃料カット中に、排気通路28の排気絞り弁70を閉じて、排気絞り弁70上流側の排気通路の圧力が蓄圧容器64内の圧力以上になったときに、流量調節弁66を介して、蓄圧容器64内へ排気すなわちこの排気の有する圧力エネルギーを回収することを具体化した例である。
内燃機関10が起動されると、まずECU80は、ステップS201において、回収フラグが「1」、すなわちONであるか否かを判定する。ここで、回収フラグが「1」ということは、排気回収の第1所定条件が満たされていることを表す。これに対してそれが「0」ということは、排気回収の第1所定条件が満たされていないことを表す。初期状態では同回収フラグはリセットされているためここでは否定判定される。なお、本第1実施形態において、排気回収の第1所定条件が満たされるとは、以下の記載から明らかなように、内燃機関10が燃料カット状態であること(燃料カット中であること)、蓄圧容器64内の圧力が所定圧以下であることの2つの要件が満たされることである。
ステップS201で否定判定されると、次ぐステップS203で、燃料カット中か否かが判定される。ここでは、具体的には、燃料カット中か否かは、燃料噴射量が「0」とされているか否かで判定される。ただし、例えば上記した燃料カット実行条件が満たされているか否かの判定で代替されてもよい。なお、通常走行時には、概して、内燃機関10により所定出力を生み出すべく、「0」より大きな燃料噴射量が上述の如く導かれて燃料噴射が行われている。それ故、そのようなときには、ステップS203において否定判定される。
上記ステップS203で燃料カット中として肯定判定されると、次ぐステップS205で、蓄圧容器64内の圧力(図2では容器内圧)が、蓄圧容器64に許容される圧力であって、所定圧である予め決められてROMに記憶されている上限圧以下か否かが判定される。これは1つには、蓄圧容器64内に十分な量の圧力すなわち排気が蓄えられているときに、さらに排気回収が行われることを防ぐためである。蓄圧容器64内の圧力は圧力センサ100からの出力信号に基づいて求められる。ただし、ここでは、上限圧として、ゲージ圧で400kPaという値が設定されているが、他の圧力値が用いられてもよい。
そして、ステップS205で肯定判定されると、排気回収の第1条件が満たされているとして、ステップS207で回収フラグが「1」にされる。これにより、上記通常時の制御よりも、排気回収用の制御が優先して行われるようになる。
次ぐステップS209では、スロットル弁26が通常走行時の開度(通常開度)ではなく排気回収用の開度(回収開度)になるように、ここでは全開にまで開くようにアクチュエータ24へ作動信号が出力される。また、流量調節弁66が閉弁するようにアクチュエータ68へ作動信号が出力される。さらに、排気絞り弁70が閉弁するようにアクチュエータ72へ作動信号が出力される。こうして、該ルーチンは終了する。
ステップS207で回収フラグが「1」にされた後のルーチンのステップS201では、回収フラグが「1」であるので肯定判定される。ステップS201で肯定判定されると、次ぐステップS211で、上記ステップS203と同様に燃料カット中か否かが判定される。ここで肯定判定されると次ぐステップS213で、上記ステップS205と同様に蓄圧容器64内の圧力が上記上限圧以下か否かが判定される。なお、ステップS211、S213での判定が行われるのは、ステップS207で回収フラグが「1」にされた後、排気回収の第1所定条件が満たされなくなったときに、排気回収を終了するための制御をするためである。
さてステップS213で肯定判定されると次ぐステップS215で、蓄圧容器64内の圧力が、排気絞り弁70上流側の排気通路の圧力(図2中の「背圧」)以下か否かが判定される。このとき既に、排気絞り弁70が閉弁制御されているので、時間の経過につれて、排気絞り弁70によってせき止められた排気の圧力(圧力エネルギー)は高くなる。そして、その圧力が排気回収が可能な程度にまで高まっているのかを調べるために、ステップS215での判定が行われる。ステップS215で否定判定される場合には次ぐステップS217で、流量調節弁66が閉弁するようにアクチュエータ68に作動信号が出力される。これは、既に流量調節弁66が閉じられている場合には、流量調節弁66がそのまま閉弁状態に維持されることを意味している。他方、ステップS215で肯定判定される場合には次ぐステップS219で、流量調節弁66が開弁するようにアクチュエータ68に作動信号が出力される(開弁制御される)。これにより、排気絞り弁70上流側の排気通路の高められた圧力を有する排気は、連通路62を介して、蓄圧容器64内に回収されるようになる。この排気回収は、上記ステップS211あるいはステップS213で否定判定されない限りは概ね続けて行われる。
排気回収中に、ステップS211あるいはステップS213のいずれかで否定判定されると、排気回収を終了するための制御が行われる。それらのいずれかで否定判定されると次ぐステップS221で、スロットル弁26が通常開度になるように制御されるようになる。また、流量調節弁66が閉弁するように、アクチュエータ68へ作動信号が出力される。さらに、排気絞り弁70が開弁するようにアクチュエータ72へ作動信号が出力される。そして、次ぐステップS223で回収フラグが「0」にされて、該ルーチンは終了する。この結果、内燃機関10は排気回収を行わない通常の制御状態に復帰される。
ところで、一般的なターボチャージャにおいて、機関回転速度が低回転域に属するときには、排気の流量が少ないためにターボチャージャの回転速度が低いので、そのときにアクセルペダル90が踏まれると、アクセルペダル90が踏み込まれてから吸入空気の過給効果が現れるまでに時間的な遅れすなわちタイムラグが生じる。そこで、アクセルペダル90が踏み込まれて車両が加速される過渡期に、速やかに過給圧を高めるべく、ターボチャージャ46の作動アシストが行われる。このターボチャージャ46の作動アシストに関して図3のフローチャートにしたがって詳細に説明する。ただし、図3のフローチャートは、所定時間毎、例えばおよそ8ms毎に繰り返されるものである。
ただし、以下で図3に基づいて説明される制御は、加速要求があったとき、タービン回転速度の上昇率を上げてターボチャージャ46の応答性向上を図るべく、タービン38のタービンホイール36へ向けて蓄圧容器64内から排気を供給することを具体化した例である。
まず、ECU80は、ステップS301において、上記回収フラグが「0」、すなわちOFFであるか否かを判定する。初期状態では同フラグはリセットされているためここでは肯定判定される。なお、ステップS301で否定判定されると、当該ルーチンは終了する。
ステップS301で肯定判定されると、次ぐステップS303では、アシストフラグが「1」、すなわちONであるか否かが判定される。ここで、アシストフラグが「1」であるということは、ターボチャージャ46の作動アシスト条件が満たされていることを表し、これに対してそれが「0」であるということは、そのターボチャージャ46の作動アシスト条件が満たされていないことを表す。初期状態では同アシストフラグはリセットされているためここでは否定判定される。
ステップS303で否定判定されると、次ぐステップS305では、機関回転速度が所定回転速度以下か否かが判定される。機関回転速度が所定回転速度より高いときには、ターボチャージャ46の作動に関してアシストの必要がないので、機関回転速度が上記所定回転速度を越えているときにはステップS305で否定判定されて、当該ルーチンは終了する。他方、ステップS305で機関回転速度が所定回転速度以下であるとして肯定判定されると、ステップS307へ進む。例えば、ステップS305の判定での所定回転速度は3000rpmである。
ステップS307では、加速か否かすなわち加速要求の有無が判定される。この判定は、要求負荷判定手段での内燃機関10への要求負荷が増加したか否かの判定に含まれる。加速か否かの判定は、加速開始時期を求めることに等しく、アクセル開度に基づいて行われる。アクセル開度が所定値以上であり、かつ、アクセル開度が大きくなる方へ変化したときであって単位所定時間におけるその変化量すなわちその開き速度(アクセル開度開き速度)が所定速度を超えたときに、ECU80は加速、すなわち加速要求有りと判断する。より具体的には、ECU80は、アクセル開度センサ92からの出力信号に基づいてアクセル開度を求め、そのアクセル開度が例えば20%開度以上であり、かつ、それのアクセル開度開き速度が、予め設定されてROM等の記憶装置に記憶されている基準速度である上記所定速度を超えたとき、加速と判断する。なお、異なる値や基準等を用いてステップS307での判定が行われてよい。ステップS307で肯定判定されると、次いでステップS309での判定が行われる。なお、ステップS307で否定判定されると、当該ルーチンは終了する。
ステップS309では、蓄圧容器64内の圧力が所定圧以上か否かが判定される。この所定圧とは、ターボチャージャ46の作動アシストを行うのに最低限必要とされる排気量に相当する圧力のことであり、予め実験により求められてROMに記憶されている。そして、ステップS309で否定判定されると、該ルーチンは終了する。
他方、ステップS309で肯定判定されると、次ぐステップS311でターボチャージャ46の作動アシスト条件が満たされているとしてアシストフラグが「1」にされる。そして次ぐステップS313で流量調節弁66が開弁するように、アクチュエータ68へ作動信号が出力される(流量調節弁66が開弁制御される)。このようにして、ターボチャージャ46の作動アシストが開始される。
流量調節弁66が開弁することで、蓄圧容器64内の排気がタービンホイール36上流側の排気通路Kに供給される。この蓄圧容器64内からの排気の供給によりタービン回転速度の上昇が促される。したがって、ターボラグを低減することが可能になる。なお、蓄圧容器64内の排気中の酸素成分が多い場合、このような蓄圧容器64内からの排気の供給により気筒14からの排気中の未燃燃料の燃焼が促される。それ故、タービンホイール36にさらに高い圧力を有すると共に高い膨張エネルギーを有する排気を供給することが可能になる。したがって、タービンホイール36の回転速度を急激に上昇させることが可能になり、ターボラグをより確実に低減することが可能になる。
他方、次回以降のルーチンでは、回収フラグが「0」であり、かつ、アシストフラグが「1」であるので、上記ステップS301およびステップS303でそれぞれ肯定判定される。次ぐステップS315では、上記ステップS305と同様に、機関回転速度が所定回転速度以下か否かが判定される。
そして、ステップS315で肯定判定されると、次ぐステップS317で、アシスト時間が経過していないか否かが判定される。ここで、判定対象となる時間は、流量調節弁66が開かれて管路62が開通したときからの経過時間である。ここではECU80は、内蔵するタイマ手段で、ステップS311に至ったときからの時間を計測し、この時間を判定対象の時間と擬制して採用する。また、判定基準となるアシスト時間は、予め実験により求められて設定された所定時間であり、ここでは変数ではなく固定値とされて、ROM等の記憶装置に記憶されている。ただし、ステップS317での判定に用いられるアシスト時間は可変とされてもよく、加速要求があったときの機関運転状態や、タービンホイール36上流側の排気通路Kの圧力などに基づいて定められ得る。
ステップS317でアシスト時間が経過していないとして肯定判定されると、次ぐステップS319で、上記ステップS309と同様に、蓄圧容器64内の圧力が上記所定圧以上か否かが判定される。そして、ここで肯定判定されると、当該ルーチンは終了する。
上記ステップS315から上記ステップS319のいずれかで否定判定されることで、ターボチャージャ46の作動アシストを終了するための制御が行われる。ステップS315からステップS319のいずれかで否定判定されると、ステップS321で流量調節弁66が閉弁するようにアクチュエータ68へ作動信号が出力される。そして、次ぐステップS323でアシストフラグが「0」にされる。これにより、該ルーチンは終了する。なお、これにより、タイマ手段はリセットされる。
ただし、一旦、ターボチャージャ46の作動アシストが開始された後、それを終了するか否かの判定には、上記ステップS315からステップS319の判定の全てあるいはいずれかの他、さらに、加速(要求)が継続されているか否かの判定が加えられてもよい。加速が継続されていないときには、もはやターボチャージャ46の作動アシストを行う必要はないからである。具体的には、アクセル開度が加速要求有りと判定されたときのアクセル開度から所定量分閉じ側に変化したり、あるいはアクセル開度開き速度が負になってその大きさが所定量以上になったりしたとき、加速が継続されていないとして、作動アシストを終了するための上記制御(ステップS321およびステップS323)が行われ得る。
このようにターボチャージャ46の作動アシストを行うことで、図4に実線αで示すように、タービン38上流側の排気通路Jの圧力を迅速に高めて、ターボチャージャ46の過渡応答性を向上させ、速やかに目標過給圧まで吸気通路16の圧力を高めることができる。なお、図4のグラフは、タービン38上流側の排気通路Jの圧力の時間に対する変化例を概念的に表したものである。実線の線αは、時刻t1で加速が開始されて流量調節弁66が開弁されてターボチャージャ46の作動アシストが開始されて時刻t2までその作動アシストが行われると共に複数のベーン50を上記の如く制御した際の、排気通路Jの圧力変化を表している。これに重ねて表された線βは、上で説明したターボチャージャ46の作動アシストを行わずに、ターボチャージャ46の自然な立ち上がりにまかせた場合の、排気通路Jの圧力変化例を概念的に表している。図4の線αと線βとを比較することで明らかなように、その作動アシストにより、時間t1−t3のタイムラグを低減してターボチャージャ46の過渡応答性を改善し、内燃機関10に対する要求負荷増大に迅速に対処することが可能になる。
ところで、このとき、目標過給圧に実際の過給圧を一致させるように、あるいは、目標吸入空気量に実際の吸入空気量を一致させるように、上記の如く複数のベーン50の角度が制御される。例えば、ターボチャージャ46の負荷が高くなったとき、複数のベーン50の開度を制御することで、排気通路Jの圧力を過度に上昇させないように、排気通路の流路断面積が拡げられる。
そこで、ここでは、タービン38による排気エネルギー回収に実質的に用いられない過度の圧力を、蓄圧容器64内に回収する。このような内燃機関の負荷が高いときの排気の回収に関して、図5のフローチャートにしたがって説明する。ただし、図5のフローチャートは、所定時間毎、例えばおよそ8ms毎に繰り返されるものである。
ただし、以下で図5に基づいて説明される制御は、内燃機関で混合気の燃焼によりある程度の出力を生み出しているときすなわち積極的に動力を発生しているときに、内燃機関の出力を実質的に変えないようにしつつタービン36上流側の排気通路Jの圧力上昇を促進させて、排気通路Jの圧力が蓄圧容器64内の圧力以上になったときに、流量調節弁66を介して、排気通路Jから蓄圧容器64へ排気すなわちこの排気の有する圧力を回収することを具体化した例である。例えば、こうして蓄圧容器64内に回収される排気の有する圧力は、図4の線αを時刻t4時点から延出させた線γで囲まれる部分の圧力であり、その量は図4の面積Sに相当する。
なお、本第1実施形態では、以下の説明から明らかなように、タービン38上流側の排気通路Jの圧力上昇は、気筒14内への吸気の流入を妨げるべくスロットル弁26の開度を制御することに関連して作動される複数のベーン50により促される。より具体的には、スロットル弁26の開度をそれまでの通常時の開度(通常開度)よりも閉じ側に制御することで、スロットル弁26下流側の吸気通路の目標過給圧と、その吸気通路の実際の圧力すなわち実際の過給圧との差を大きくさせるようにして、より過給圧を向上させようとターボチャージャ46の出力を高めさせるようにすることで、ここでは排気通路Jの圧力上昇を促す。換言すると、複数のベーン50を閉じ側に制御することで排気通路Jの圧力上昇を促すが、これにより過給圧が過度に高くならないように、スロットル弁26が閉じ側に制御される。
まず、ステップS501では、第2回収フラグが「1」、すなわちONであるか否かが判定される。ここで、第2回収フラグが「1」ということは、内燃機関10で積極的に動力を発生しているときに排気回収を行うための排気回収の第2所定条件が満たされていることを表す。これに対してそれが「0」ということは、その第2所定条件が満たされていないことを表す。初期状態では同第2回収フラグはリセットされているためここでは否定判定される。
ステップS501で否定判定されると、次ぐステップS503で、蓄圧容器64内の圧力(図5では容器内圧)が、上記ステップS205での上限圧よりも低い圧力であって、所定圧である予め決められてROMに記憶されている下限圧以下か否かが判定される。この下限圧は、蓄圧容器64内への排気回収の必要があるかどうかを判断可能なように予め実験により定められ得る。なお、この下限圧は、コンプレッサ44でのサージング制限とターボチャージャ46の過回転制限とを考慮して定められるとよい。蓄圧容器64内の圧力は圧力センサ100からの出力信号に基づいて求められる。ただし、ここでは、下限圧を判定の基準圧として用いるが、他の圧力値、例えば上記ステップS205での上限圧がステップS503での判定の基準圧として用いられてもよい。
そして、ステップS503で肯定判定されると、次ぐステップS505でスロットル弁26下流側の吸気通路の圧力である過給圧が所定圧である必要最大過給圧を超えているか否かが判定される。この判定は、内燃機関10の負荷が高いか否か、ここでは特にターボチャージャ46の負荷が所定負荷よりも高いか否かの判定の具体例である。なお、この判定は、要求負荷判定手段での判定に含まれる。必要最大過給圧は、図6に表したマップ化されたデータに基づいて求められる。図6は、機関回転速度に対して最大過給圧を表したグラフである。その時々で、クランクポジションセンサ96を用いて求められた機関回転速度で図6に表した如きマップ化されたデータを検索することで必要最大過給圧が求められる。そして圧力センサ88からの出力信号に基づいて求められた過給圧と、その必要最大過給圧とを比較することで、ステップS505での判定が行われる。
ステップS505で肯定判定されると、排気回収の第2所定条件が満たされているとして、ステップS507で第2回収フラグが「1」にされる。そして、ステップS509で、スロットル弁26の開度の制御上目標とされる開度(目標スロットル開度)として、上記の如く機関状態等に基づいて設定されるベースとなる開度(上記通常開度に対応)よりも閉じ側の所定開度(閉補正スロットル開度)が設定される。そして、その閉補正スロットル開度にスロットル弁26の開度が一致するようにアクチュエータ24に作動信号が出力される。このような制御は、第2回収フラグが「1」にされている間、行われる。
これにより、閉じ側に補正されるスロットル弁26の開度の補正量すなわちオフセット開度は、図7に表したマップ化されたデータに基づいて求められる。オフセット開度は、その時々の機関回転速度で図7に表した如きマップ化されたデータを検索することで求められる。図7は、スロットル弁26のオフセット開度と機関回転速度との関係を表したグラフである。ただし、図7のグラフでは、コンプレッサ44でのサージング制限とターボチャージャ46の過回転制限から、低回転速度域と高回転速度域でのオフセット開度が「0」にされている。
このようにスロットル弁26の開度が閉じ側にオフセットされることで、通常時よりも吸気が絞られるようになり、つまり気筒14へ至るように吸気通路16を流れる吸気の流れが妨げられるようになり、スロットル弁26下流側の吸気通路の圧力が低下するようになる。この状態のままでは目標過給圧に実際の過給圧を一致させることができなくなってしまうので、よりその過給圧を高めようとターボチャージャ46の作動が助長される。
このようにスロットル弁26の開度が通常開度から閉じ側の開度にオフセットされている間、より過給圧を高めようとターボチャージャ46の作動を助長させるように、具体的にはよりタービン38の回転速度を高めるように、複数のベーン50の開度が通常時(排気回収を行わないとき)のそれまでの開度よりも閉じ側の開度に制御される。この結果、タービンホイール36への排気の流れが制御されるので、タービン38の回転速度の上昇が促される。そして、タービン38の回転速度の上昇に伴って、コンプレッサ44の過給能が向上するので、過給圧を目標過給圧にまで高めることが可能になる。こうして、スロットル弁26の開度を目標過給圧と対応関係にあるスロットル開度と上記のように異ならせても、スロットル弁26下流側の吸気通路の圧力を目標過給圧に一致させることが可能になる。
また、上記のようにタービン38の回転速度が上昇するように複数のベーン50の開度が閉じ側に制御されるので、排気通路Jに至った排気の流れが複数のベーン50で妨げられるようになり、排気通路Jの圧力を高めることが可能になる。故に、タービン38上流側の排気通路Jの圧力を高めて、後述するようにして排気を蓄圧容器64内へ回収することが可能になる。なお、このときの複数のベーン50の開度は、ベーン50の通常時の開度(通常開度)よりも所定量分閉じ側の開度である。ただし、この所定量はエアフローメーター82からの出力信号に基づいて求められる吸入空気量および/または圧力センサ88からの出力信号に基づいて求められる過給圧に基づいてその都度可変とされ得る。この所定量は、固定値とされてもよい。
次回以降のルーチンのステップS501では第2回収フラグが「1」であるので肯定判定され、次のステップS511では加速中か否かが判定される。これは、ターボチャージャ46の負荷が所定負荷よりも高いか否かを判断することに含まれる。具体的には、アクセル開度が所定開度以上であることなどにより加速要求が継続されているか否かの判定が行われる。なお、このような判定の代わりに、上記ステップS505での判定が行われてもよい。
ステップS513で肯定判定されると、次ぐステップS513で蓄圧容器64内の圧力が上記ステップS213での上限圧以下か否かが判定される。なお、ここで判定基準となる圧力値は、この上限圧に限定されず、他の圧力値であってもよい。
なお、ステップS511、S513での判定が行われるのは、ステップS507で第2回収フラグが「1」にされた後、排気回収の終了時期を判断するためである。
さてステップS513で肯定判定されると次ぐステップS515で、図2のステップS215と同様の理由から、同様の判定が行われる。ステップS515での判定結果に応じて、上記図2のステップS217、S219にそれぞれ対応するステップS517、S519のいずれかのステップが行われる。蓄圧容器64内の圧力が排気通路Jの圧力以下であるのでステップS515で肯定判定されて、ステップS519で流量調節弁66が開かれることで、排気が蓄圧容器64内に回収されるようになる。この排気回収は、上記ステップS511あるいはステップS513で否定判定されない限りは概ね続けて行われる。
排気回収中に、ステップS511あるいはステップS513のいずれかで否定判定されると、排気回収を終了するための制御が行われる。それらのいずれかで否定判定されると次ぐステップS521で、目標スロットル開度としてベースとなる開度が設定されるようになり、スロットル弁26の開度が上記の如くしてベースとなる開度すなわち通常開度に制御されるようになる。また、流量調節弁66が閉弁するように、アクチュエータ68へ作動信号が出力される。そして、次ぐステップS523で第2回収フラグが「0」にされて、該ルーチンは終了する。この結果、内燃機関10は排気回収を行わない通常の制御状態に復帰される。
以上、説明したように、混合気の燃焼によりある程度の出力を生み出しているとき、特にターボチャージャ46の負荷が高いときに、気筒14内への吸気の流入を妨げるべくスロットル弁26を閉じ側に制御することで、複数のベーン50の開度が閉じ側に制御される。したがって、タービン38上流側の排気通路Jの圧力を高めることが可能になり、蓄圧容器64内に排気を回収することが可能になる。故に、例えば、ターボチャージャ46に対して蓄圧容器64内の排気を使用した後、蓄圧容器64内に排気を回収充填することができるので(図4参照)、蓄圧容器64内のガスの使用機会を増やすことが可能になる。つまり、複数のベーン50をより閉じ側に駆動可能である場合には、スロットル弁26を閉じ側に制御することで、複数のベーン50を閉じ側に制御して、タービン38上流側の排気通路Jの圧力を高めることが可能になり、蓄圧容器64内に排気を回収することが可能になる。
なお、ステップS505での判定基準は、必要最大過給圧でなくてもよい。内燃機関の負荷が所定負荷よりも高いことを判定可能にする他の基準が用いられてもよく、また、その所定負荷は種々の負荷であり得る。また、上記ステップS505では、コンプレッサ44下流側の吸気通路の圧力に基づいて判定がなされたが、吸入空気量に基づいて判定が行われてもよい。吸入空気量で判定が行われる場合、判定基準として必要最大吸入空気量や種々の吸入空気量を用いることができる。なお、必要最大吸入空気量は、不図示のマップ化されたデータを機関回転速度で検索することでその都度求められるとよい。
なお、上記第1実施形態では、図5でのフローチャートに基づく排気回収制御において、目標過給圧に実際の過給圧つまりスロットル弁26下流側の吸気圧を一致させるように、VN開度を調整した。しかしながら、上記説明から理解可能なように、目標吸入空気量に実際の吸入空気量、エアフローメーター82を用いて求められる吸入空気量を一致させるように、VN開度が調整されてもよい。
なお、上記第1実施形態では、ターボチャージャ46の負荷が高いとき以外の、燃料カット中にも図2のフローチャートに基づいて排気を蓄圧容器64内に回収した。しかしながら、このような燃料カット中の排気回収は行われなくてもよい。この場合には、排気絞り弁70を省略することができる。
なお、上記第1実施形態では、ターボチャージャ46は可変ノズルターボチャージャであったが、これ以外の形式のターボチャージャであってもよい。例えば、ターボチャージャ46を、ウエストゲート弁を備えたターボチャージャとしてもよい。この場合について第2実施形態として以下説明する。
本第2実施形態の内燃機関システムは、上記第1実施形態のそれと、ターボチャージャ46に複数のベーン50が設けられる代わりに、タービンホイール36上流側の排気通路Kとタービンホイール36下流側の排気通路とをつなぐようにタービンホイール36を迂回するバイパス通路にウエストゲート弁が設けられていて、そのウエストゲート弁の駆動用にECU80により制御されるアクチュエータがある点を除いて、概ね同じである。それ故、ここでは、第2実施形態の内燃機関システムの図示を省略し、上記第1実施形態で説明した構成要素と同様の構成要素に同じ符号を付して、それら構成要素の説明を省略する。ただし、本第2実施形態では、排気流制御手段は、ウエストゲート弁と、このウエストゲート弁制御用のアクチュエータおよびECU80の一部を含むウエストゲート弁制御手段とを含んで構成される。
なお、本第2実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、図2、5のフローチャートに基づく排気回収制御が行われる。また、同様に、図3のフローチャートに基づく排気利用制御が行われる。本第2実施形態の、内燃機関10で積極的に動力を発生しているときの排気回収制御は、図5のフローチャートに基づいて行われるが、目標スロットル開度として閉補正スロットル開度が設定されたときに目標過給圧を実現するように制御される対象が上記ウエストゲート弁である点で上記第1実施形態のそれと相違する。この点に関することのみ以下説明する。ただし、本第2実施形態も、上記第1実施形態と同様の効果を奏し、かつ、上記第1実施形態に対するのと同様の変更が許容される。
ターボチャージャ46のタービンホイール36を迂回するように、タービンホイール36上流側の排気通路と、タービンホイール36下流側かつ触媒コンバータ34上流側の排気通路とをつなぐバイパス通路に、ウエストゲート弁が設けられている。そのウエストゲート弁は、図5のフローチャートに基づく排気回収を行わないとき、通常時は、ECU80により作動されるアクチュエータにより、必要量以外の排気がタービン38に供給されないように制御される。具体的には、過給圧が所定圧力を超えたときに、あるいは、所定流量を吸入空気量が超えたときに、それまで閉弁状態にあったウエストゲート弁は開かれる。すなわち、ウエストゲート弁は、過給圧が必要最大過給圧を超えたとき、通常は、開かれる。
これに対して、蓄圧容器64内に排気回収可能なほど余裕があり(上記ステップS503で肯定判定)、かつ、過給圧が必要最大過給圧を超えたとき(上記ステップS505で肯定判定)、上記ウエストゲート弁は、そのように通常時は開いている開度(通常開度)よりも閉じ側の所定開度である閉補正開度にまで閉じられる。こうすることで、スロットル弁26がある程度の開度である閉補正スロットル開度にまで閉じられても(上記ステップS509参照)、ターボチャージャ46の作動が助長されて目標過給圧を達成することが可能になる。これに加えて、ウエストゲート弁が通常開度よりも閉じ側の開度に制御されることで、排気通路Jの圧力を十分に高めることが可能になる。したがって、上記のように、蓄圧容器64内へ排気を回収することが可能になる。
具体的には、第2回収フラグが「1」にされているのでスロットル開度が閉補正スロットル開度にされている間、ウエストゲート弁の開度が通常開度から閉じ側に補正される分の所定開度すなわちオフセット開度は、図8に表した如きマップ化されたデータに基づいてその都度設定されるとよい。この図8を、機関回転速度に基づいて検索することでウエストゲート弁のオフセット開度が求められる。なお、オフセット開度と機関回転速度との関係を表したマップ化された図8のデータは、コンプレッサ44でのサージング制限とターボチャージャ46の過回転制限とを考慮して定められている。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。本第3実施形態が適用された車両の内燃機関システムは、ターボチャージャの点で、上記第1実施形態の内燃機関システムとは相違する。しかしながら、これ以外の点では、両実施形態の内燃機関システムは概ね同じであるので、以下では、その構成上の相違点を説明すると共に、この構成上の相違により生じる制御上の相違点を説明する。なお、以下では、上で既に説明した構成要素と概ね同じ構成要素には同じ符号を付して、それらの説明を省略する。ただし、本第3実施形態も、上記第1、2実施形態と同様の効果を奏し、かつ、上記第1、2実施形態に対するのと同様の変更が許容される。
本第3実施形態のターボチャージャ46は、一部の構成要素を省いた内燃機関システムの構成要素間の関係を模式的に表した図9から明らかなように、多段式ターボチャージャになっている。ここでは、多段式ターボチャージャは、2つのターボチャージャ、すなわち低圧段ターボチャージャ46Aと、高圧段ターボチャージャ46Bとから構成されている。しかし、3つ以上のターボチャージャが含まれることを本発明は許容する。
エアクリーナ22とインタークーラ48との間の吸気通路には、低圧段ターボチャージャ46Aのコンプレッサ44Aと、これよりも下流側の吸気通路に位置付けられた高圧段ターボチャージャ46Bのコンプレッサ44Bとが設けられている。そして、このコンプレッサ44Bのコンプレッサホイールを迂回するように設けられたバイパス通路にコンプレッサバイパス弁44Bvが設けられている。コンプレッサバイパス弁44BvはECU80により制御されるアクチュエータ44Baによって駆動される。
他方、機関本体10aと触媒コンバータ34との間の排気通路には、低圧段ターボチャージャ46Aのタービン38Aと、これよりも上流側の排気通路に位置付けられた高圧段ターボチャージャ46Bのタービン38Bとが設けられている。そして、このタービン38Bのタービンホイールを迂回するように設けられたバイパス通路にタービンバイパス弁38Bvが設けられている。タービンバイパス弁38BvはECU80により制御されるアクチュエータ38Baによって駆動される。なお、コンプレッサ44Aとタービン38Aとは回転軸40Aを介して同軸で連結され、コンプレッサ44Bとタービン38Bとは回転軸40Bを介して同軸で連結されている。
そして、蓄圧容器64は、本第3実施形態でも排気通路Jに連通するようにされている。ただし、本第3実施形態では、排気通路Jは、高圧段ターボチャージャ46Bのタービン38B上流側の排気通路である。
低圧段ターボチャージャ46Aによる過給のみで足りるとき、通常、コンプレッサバイパス弁44Bvもタービンバイパス弁38Bvも開けられている。そして、低圧段ターボチャージャ46Aによる過給のみでは不十分なとき、すなわちそれによる過給圧をより高めるべく高圧段ターボチャージャ46Bによる過給をも必要とするとき、通常、コンプレッサバイパス弁44Bvは閉じられ、タービンバイパス弁38Bvも閉じられる。これに対して、ターボチャージャ46の負荷が高いとき、例えば低圧段および高圧段ターボチャージャ46A、46Bによる過給圧が必要最大過給圧を超えたとき、通常、コンプレッサバイパス弁44Bvもタービンバイパス弁38Bvも開けられる。
他方、本第3実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、図2、5のフローチャートに基づく排気回収制御が行われる。また、同様に、図3のフローチャートに基づく排気利用制御が行われる。本第3実施形態の、内燃機関10の負荷が高いときの排気回収制御は、図5のフローチャートに基づいて行われるが、目標スロットル開度として閉補正スロットル開度が設定されたときに目標過給圧を実現するように制御される対象がコンプレッサバイパス弁44Bvおよび/またはタービンバイパス弁38Bvである点で上記第1実施形態のそれと相違する。この点に関することのみ以下説明する。なお、本第3実施形態では、排気流制御手段は、タービンバイパス弁38Bvと、アクチュエータ38BaおよびECU80の一部を含む制御手段とを含んで構成される。
蓄圧容器64内に排気回収可能なほど余裕があり(上記ステップS503で肯定判定)、かつ、過給圧が必要最大過給圧を超えたとき(上記ステップS505で肯定判定)、上記コンプレッサバイパス弁44Bvおよび/またはタービンバイパス弁38Bvは、そのように通常時は開いている開度(通常開度)よりも閉じ側の所定開度である閉補正開度にまで閉じられる。こうすることで、スロットル弁26がある程度の開度である閉補正スロットル開度にまで閉じられても(上記ステップS509参照)、ターボチャージャ46Bの作動が助長されて目標過給圧を達成することが可能になる。そして、これにより、排気通路Jの圧力を十分に高めることが可能になる。したがって、上記のように、蓄圧容器64内へ排気を回収することが可能になる。
具体的には、第2回収フラグが「1」にされているのでスロットル開度が閉補正スロットル開度にされている間、タービンバイパス弁38Bvの開度が通常開度から閉じ側に補正される分の所定開度すなわちオフセット開度分は、縦軸をタービンバイパス弁38Bvのオフセット開度に置き換えた図8に表した如きマップ化されたデータに基づいてその都度設定されるとよい。このデータを、機関回転速度に基づいて検索することでタービンバイパス弁38Bvの開度のオフセット開度が求められる。なお、そのデータは、コンプレッサでのサージング制限とターボチャージャの過回転制限とを考慮して定められる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本第4実施形態は、上記第1〜第3実施形態の各々と、第2回収フラグが「1」にされている間、閉じ側に補正される対象がスロットル弁26ではなく、スワールコントロール弁(SCV)である点で相違する。しかしながら、SCVが各気筒14の吸気通路に設けられている以外、本第4実施形態が適用された車両の内燃機関システムは、上記第1〜第3実施形態で説明されたのと概ね同じである。そこで、以下、その構成上の相違点およびこれに基づく制御上の相違点に関してのみ説明する。なお、以下では、上で既に説明した構成要素と概ね同じ構成要素には同じ符号を付して、それらの説明を省略する。ただし、本第4実施形態も、上記第1、2、3実施形態と同様の効果を奏し、かつ、上記第1、2、3実施形態に対するのと同様の変更が許容される。ただし、本第4実施形態では、吸気流制御手段は、SCVと、SCV制御用のアクチュエータおよびECU80の一部を含むSCV制御手段とを含んで構成される。
本第4実施形態が適用された車両の内燃機関システムでは、図示しないが、各気筒14に対して2つに隔てられた吸気通路が連通されていて、それらの一方にSCVが設けられている。なお、ここでは、各気筒14に対する吸気マニホール18によって区画形成された吸気通路は2つに分けられていて、その一方を開閉可能にSCVは吸気マニホールド18に設けられている。SCVは、通常は機関状態に基づいて設定された開度(通常開度)になるように、ECU80により制御されるアクチュエータによって駆動される。具体的には、機関回転速度が低回転域に属するときには気筒14内のスワールを強めるようにSCVは閉じられる。これに対して、機関回転速度が高回転域に属するときにはSCVは開けられる。
そして、蓄圧容器64内に排気回収可能なほど余裕があり(上記ステップS503で肯定判定)、かつ、吸入空気量が最大空気量を超えたとき(上記ステップS505に置き換えられるステップで肯定判定)、SCVの開度の目標開度(目標SCV開度)として、上記通常時の開度(通常開度)よりも閉じ側の所定開度(閉補正SCV開度)が設定される(上記ステップS509に相当)。そして、その閉補正SCV開度にSCVの開度が一致するようにアクチュエータに作動信号が出力される。このような制御は、第2回収フラグが「1」にされている間、行われる。
このときのSCVの開度の通常開度からの閉じ側への補正量すなわちオフセット開度は、縦軸をSCVのオフセット開度に置き換えた図7に表した如きマップ化されたデータに基づいて求められる。つまり、SCVのオフセット開度は、その時々の機関回転速度でそのデータを検索することで求められる。なお、当該データは、コンプレッサ44でのサージング制限とターボチャージャ46の過回転制限を考慮して定められる。
こうすることで、吸気通路16から気筒14内への吸気の流れが妨げられるので、目標吸入空気量を達成するように、ターボチャージャ46の作動が促される。このターボチャージャ46の作動の促進は、上記第1から第3実施形態に関して説明したように、ターボチャージャ46の構成に応じて、複数のベーン50の開度を閉じ側に制御したり、ウエストゲート弁の開度を閉じ側に制御したり、あるいはタービンバイパス弁38Bvの開度を閉じ側に制御したりすることなどで、達成され得る。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本第5実施形態は、上記第1〜第3実施形態の各々と、第2回収フラグが「1」にされている間、吸気通路16を流れる吸気の流れを妨げるように働く対象が吸気弁である点で相違する。しかしながら、本第5実施形態が適用された車両の内燃機関システムは、上記第1〜第3実施形態で説明されたのと概ね同じであるので、以下、それに基づく制御上の相違点に関してのみ説明する。なお、以下では、上で既に説明した構成要素と概ね同じ構成要素には同じ符号を付して、それらの説明を省略する。ただし、本第5実施形態も、上記第1〜4実施形態と同様の効果を奏し、かつ、上記第1〜4実施形態に対するのと同様の変更が許容される。なお、本第5実施形態では、吸気流制御手段は、吸気弁と、ECU80の一部を含む吸気弁駆動用の可変動弁機構とを含んで構成される。
本第5実施形態が適用された車両の内燃機関システムでは、吸気弁の閉じタイミングは、通常時、下死点過ぎの時期(通常閉時期)、例えば下死点後30°〜45°に設定されている。
そして、蓄圧容器64内に排気回収可能なほど余裕があり(上記ステップS503で肯定判定)、かつ、吸入空気量が最大空気量を超えたとき(上記ステップS505に置き換えられるステップで肯定判定)、吸気弁の閉じタイミングとして、上記通常閉時期よりも遅角側の所定時期(遅角補正時期)が設定される。そして、その遅角補正時期に吸気弁が閉じられるように、動弁機構が制御される。このような制御は、第2回収フラグが「1」にされている間、行われる。
このときの吸気弁の閉じタイミングの遅角側へのオフセット位相は、縦軸を吸気弁のオフセット位相に置き換えた図7に表した如きマップ化されたデータに基づいて求められる。ただし、そのデータでは、図中上に行く程、遅角量が増すように定められる。吸気弁のオフセッ位相は、その時々の機関回転速度でそのデータを検索することで求められる。なお、当該データは、コンプレッサ44でのサージング制限とターボチャージャ46の過回転制限を考慮して定められる。
こうすることで、吸気通路16から気筒14内への吸気の流れすなわち吸入が妨げられるので、目標吸入空気量を達成するように、ターボチャージャ46の作動が促される。このターボチャージャ46の作動の促進は、上記第1から第3実施形態に関して説明したように、ターボチャージャ46の構成に応じて、複数のベーン50の開度を閉じ側に制御したり、ウエストゲート弁の開度を閉じ側に制御したり、あるいはタービンバイパス弁38Bvの開度を閉じ側に制御したりすることなどで、達成され得る。
なお、上記第5実施形態では、排気を蓄圧容器64内へ回収するとき、吸気弁の閉じタイミングを遅角側へオフセットすることにしたが、例えば、吸気効率を低減するように吸気弁の閉時期が進角側へオフセットされてもよい。その他、本発明では、吸気効率を低減するように、吸気弁の弁タイミングおよびリフト量の少なくとも一方を変えることが許容される。
次に、本発明に関する参考例を説明する。上記第1〜第5実施形態では、吸気流制御手段により気筒14内への吸気の流れを妨げて、それによりターボチャージャ46の作動を促進して、排気回収を可能にした。しかし、これ以外の手段によっても、ターボチャージャ46の作動を促進して、排気回収を可能にすることができる。その手段としては、吸気通路の吸気の流れを制御する目標値を可変とする吸気流目標値可変手段がある。
例えば、吸気流目標値可変手段は、上記第1実施形態でスロットル開度を目標スロットル開度である閉補正スロットル開度にするところ、それに代えて、目標過給圧を高くしたり、目標吸入空気量を多くしたりする。目標過給圧を高くする場合について、以下説明する。ただし、この参考例の場合の車両の内燃機関システムの構成は上記第1実施形態のそれと概ね同じである。そして、この参考例の場合にも、図2、図3のフローチャートに基づく制御が上記第1実施形態の場合と同様に行われ得る。しかし、図5のフローチャートに基づく排気回収制御の点でこの参考例と上記第1実施形態とは相違する。そこで、以下では、上で説明した構成要素と同様の構成要素に同じ符号を付してそれらの説明を省略しつつ、その相違点に関することのみ説明する。
この参考例では、蓄圧容器64内に排気回収可能なほど余裕があり(上記ステップS503で肯定判定)、かつ、過給圧が必要最大過給圧を超えたとき(上記ステップS505で肯定判定)、ステップS505で用いられた必要最大過給圧を含む予め設定されているベースとなる過給圧(ベース過給圧)が所定量分高くされる。この所定量は、目標過給圧のオフセット圧力と機関回転速度との関係を表した図10のマップ化されたデータを機関回転速度で検索することで適宜に求められる。そして、この所定量がベース過給圧に加算されて、増補正過給圧が求められて、それが目標過給圧として設定される。
増補正過給圧が目標過給圧として設定されるので、その増大分の過給圧を実現するべく複数のベーン50が閉じ側に制御されることによりターボチャージャ46の作動が促進される。したがって、上記のように、タービン38上流側の排気通路Jの圧力が高められて、排気を回収することが可能になる。
以上、本発明に係る5つの実施形態およびそれらの変形例、加えてその参考例を説明したが、本発明はこれらに限定されない。本発明は、上記第1から第5実施形態およびその変形例、加えてその参考例の相互組み合わせやそれらの部分的な他の組み合わせ等を許容する。
上記した5つの実施形態およびそれらの変形例では、図5でのフローチャートに基づく排気回収制御において、気筒内への吸気を絞る吸気流制御に対して、目標過給圧に実際のスロットル弁26下流側の過給圧を一致させるように、あるいは、目標吸入空気量に実際のエアフローメーター82を用いて求められる吸入空気量を一致させるように、VN開度やウエストゲート弁の開度等を調整した。しかしながら、目標過給圧に実際の過給圧を一致させると共に目標吸入空気量に実際の吸入空気量を一致させるように、VN開度やウエストゲート弁の開度等が調整されてもよい。
また、上記した5つの実施形態では、加速するあるいは加速したときに、タービンホイール上流側の排気通路に蓄圧容器内のガスが供給されたり、排気通路から排気回収が行われたりしたが、このようなガスの利用や回収が行われる時期は加速するときに限られない。内燃機関に対する要求負荷が増加し、あるいは、内燃機関で積極的に動力を発生しているときであれば、それらは行われ得る。内燃機関に対する要求負荷が増加したときには、加速するとき、および、車両が上り坂に面して負荷が上昇した場合などの内燃機関への要求負荷が増加したときが含まれる。なお、本明細書において、「要求負荷」や「負荷」との表現における「負荷」とは、「トルク」や「出力」という概念を含む。また、内燃機関で積極的に動力を発生しているときは、例えば、VN開度やウエストゲート弁の開度等に、より閉じ側に調整できる余裕があるときであるとよい。
また、上記5つの実施形態では、種々の形式の弁を用いたが、本発明はこれらに限定されることなく、それ以外の形式の弁がそれらの弁として用いられ得る。例えば、排気絞り弁は、ポペット式弁、シャッタ式弁であり得る。なお、排気絞り弁として、排気ブレーキ用に設けられた弁が用いられてもよい。なお、上記した種々の弁を駆動するアクチュエータは電動モータや負圧式アクチュエータなど種々の形式のアクチュエータであり得る。なお、管路62が蓄圧容器64内へのガス回収のためだけに設けられている場合には、そこに設けられる弁は逆止弁であってもよい。
また、上記5つの実施形態では、蓄圧容器64を1つ設けることにしたが、それは複数個設けられてもよい。そして蓄圧容器64を2つ以上複数個設ける場合には、それら蓄圧容器64は車両に分散して配置され得る。
なお、上記5つの実施形態では、本発明をディーゼル機関に適用して説明したが、これに限定されず、本発明は、ポート噴射型式のガソリン機関、筒内噴射形式のガソリン機関等の各種の内燃機関に適用可能である。また、用いられる燃料は、軽油やガソリンに限らず、アルコール燃料、LPG(液化天然ガス)等でもよい。また、本発明が適用される内燃機関の気筒数などはいくつであってもよい。
なお、上記5つの実施形態およびその変形例等では本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。