以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明を適用したインクジェットプリンタの一例として、印刷対象面に沿った直行二軸のうち、一軸を印刷媒体移動、他の一軸をプリンタヘッド移動としたタイプを採り上げ、紫外光の照射を受けて硬化する紫外線硬化型のインク(いわゆるUVインク)を使用するUV硬化インクジェットプリンタ(以下、プリンタ装置と称する)に適用した構成例について説明する。本実施形態のプリンタ装置Pを斜め前方から見た斜視図を図2に示し、斜め後方から見た斜視図を図3に示すとともに、このプリンタ装置Pにおける装置本体1の要部構成を図4に示しており、まず、これらの図面を参照してプリンタ装置Pの全体構成について概要説明する。なお、以降の説明では、図2中に付記する矢印F,R,Uの指す方向を、それぞれ前方、右方、上方と称して説明する。
プリンタ装置Pは、大別的には、描画機能を果たす装置本体1、装置本体1を支持する支持部2の前後に設けられロール状に巻かれた未加工状態の印刷媒体Mを送り出す送り出し機構3、描画が終了した印刷媒体Mを巻き取る巻き取り機構4などから構成される。
装置本体1は、躯体を形成するフレーム10の上下中間部に印刷媒体Mを前後に挿通させる横長窓状のメディア挿通部15が形成され、このメディア挿通部15の下側に位置する下部フレーム10Lに、印刷媒体Mを支持するプラテン20、及びプラテン20に支持された印刷媒体Mを前後に移動させるメディア移動機構30が設けられ、メディア挿通部15の上側に位置する上部フレーム10Uに、プリンタヘッド60を保持するキャレッジ40、及びキャレッジ40を左右に移動させるキャレッジ移動機構50が設けられている。装置本体1には、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動、キャレッジ移動機構50によるキャレッジ40の左右移動、プリンタヘッド60によるインクの吐出、後述するインク供給装置100によるインクの供給など、プリンタ装置Pの各部の作動を制御するコントロールユニット80が設けられ、操作パネル88が装置本体1の前面に配設されている。
プラテン20は、メディア挿通部15下側を前後に延びて下部フレーム10Lに設けられており、プリンタヘッド60による左右帯状の描画領域には、印刷媒体Mを水平に支持するメディア支持部21が形成されている。メディア支持部21には、小径の吸着孔が多数開口形成されてその下側に設けられた減圧室(不図示)に繋がっており、真空発生器の作動等により減圧室を負圧に設定したときに、印刷媒体Mがメディア支持部21に吸着保持され、プリントやカッティング等の加工中に印刷媒体Mの位置がずれないようになっている。
メディア移動機構30は、上部周面がプラテンに露出して配設され左右に延びる円筒状の送りローラ31と、この送りローラ31をタイミングベルト32を介して回転駆動するローラ駆動モータ33などからなり、送りローラ31の上方には、各々前後に回動自在なピンチローラ36を有するローラアッセンブリ35が左右に並んで複数設けられている。ローラアッセンブリ35は、ピンチローラ36を送りローラ31に押しつけるクランプ位置と、送りローラ31から離隔させたアンクランプ位置とに設定可能に構成されており、ローラアッセンブリ35をクランプ位置に設定して印刷媒体Mをピンチローラ36と送りローラ31との間に挟み込んだ状態でローラ駆動モータ33を回転駆動することにより、印刷媒体Mが送りローラ31の回転角度(コントロールユニット80から出力される駆動制御値)に応じた送り量で前後に搬送される。なお、図4では、ローラアッセンブリ35をクランプ位置に設定した状態とアンクランプ位置に設定した状態の両方を併記している。
キャレッジ40は、送りローラ31と平行に延びて上部フレーム10Uに取り付けられたガイドレール45に、図示省略するスライドブロックを介して左右に移動自在に支持されており、次述するキャレッジ駆動機構50により駆動される。キャレッジ40には、UVインクを吐出するプリンタヘッド60が設けられ、ヘッド下端のノズル面がプラテン20のメディア支持部21と所定ギャップを隔てて対向配置される。
プリンタヘッド60は、一般的には、プリンタ装置Pで用いるインクの数量に応じた数のプリンタヘッドが左右に並んで配設され、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の基本4色のUVインクについて、各色1本ずつインクカートリッジを使用するプリンタ装置の場合には、図5にキャレッジ周辺の斜視図を示すように、各インクカートリッジに対応した4つのプリンタヘッド60(第1プリンタヘッド60C,第2プリンタヘッド60M,第3プリンタヘッド60Y,第4プリンタヘッド60K)が設けられる。キャレッジ40には、後に詳述するインク供給装置100のサブタンク120(第1サブタンク120C,第2サブタンク120M,第3サブタンク120Y,第4サブタンク120K)が各プリンタヘッド60C,60M,60Y,60Kに対応して設けられている。なおプリンタヘッド60の駆動形態(インク微粒子の吐出方式)は、サーマル方式またはピエゾ方式のいずれであってもよい。
キャレッジ40の左右側部に、プリンタヘッドから印刷媒体Mに吐着されたUVインクに紫外光を照射して硬化させるUV光源が設けられている。UV光源は、キャレッジ40の左側部に設けられた左UV光源70Lと、キャレッジ40の右側部に設けられた右UV光源70Rとからなり、これら左右のUV光源70L,70Rがキャレッジ40に設けられた第1〜第4プリンタヘッド60C,60M,60Y,60Kを左右外側から挟みこむように配設される。左UV光源70L及び右UV光源70Rは、波長λ=100〜380nm程度の紫外光を出射する光源、例えば、UVランプやUV−LED等を用いて構成される。左右のUV光源70L,70Rの点滅作動は、キャレッジ駆動機構50によるキャレッジ40の移動およびプリンタヘッド60からのインクの吐出に応じて、コントロールユニット80により制御される。
キャレッジ移動機構50は、ガイドレール45を挟んでフレーム10の左右側部に設けられた駆動プーリ51及び従動プーリ52と、駆動プーリ51を回転駆動するキャレッジ駆動モータ53、駆動プーリ51と従動プーリ52との間に巻き掛けられた無端ベルト状のタイミングベルト55などから構成される。キャレッジ40はタイミングベルト55に連結固定されており、キャレッジ駆動モータ53を回転駆動することにより、ガイドレールに支持されたキャレッジ40が、キャレッジ駆動モータ53の回転角度(コントロールユニット80から出力される駆動制御値)に応じた移動量でプラテン20の上方を左右に移動される。
コントロールユニット80は、プリンタ装置の各部の作動を制御する制御プログラムが書き込まれたROM81、印刷媒体Mに描画する印刷プログラム等を一時記憶するRAM82、RAM82から読みこまれた印刷プログラムや操作パネル88から入力された操作信号等について演算処理を行い、制御プログラムに従って各部の作動を制御する演算処理部83、プリンタ装置Pの作動状態等を表示する表示パネル及び各種操作スイッチが設けられた操作パネル88などを備え、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動、キャレッジ移動機構50によるキャレッジ40の左右移動、インク供給装置100によるインクの供給、プリンタヘッド60の各ノズルからのインク吐出、インク供給装置100によるインクの供給などを制御する。
例えば、コントロールユニット80に読み込まれた印刷プログラムに基づいて印刷媒体Mに描画を行う場合において、メディア移動機構30による印刷媒体の前後移動Mと、キャレッジ移動機構50によるキャレッジ40の左右移動とを組み合わせて印刷媒体Mとプリンタヘッド60とを相対移動させ、各プリンタヘッド60から印刷媒体Mにインクを吐出させるとともに、キャレッジ40の移動方向後方に位置するUV光源(例えば、キャレッジ右動時には左UV光源70L)を点灯させて、印刷プログラムに応じた情報を描画する。
このように、概要構成されるプリンタ装置Pにあって、キャレッジ40に設けられたプリンタヘッド60にインク供給装置100によりUVインクが供給される。図1にインク供給装置100の系統図、図6にサブタンク120の外観斜視図、図7にインク供給装置100の概要ブロック図を示す。
インク供給装置100は、プリンタヘッド60に接続されたサブタンク120、このサブタンク120に接続されサブタンクに供給するUVインクが貯留されたメインタンク110、サブタンク120の内圧を負圧状態に減圧するサブタンク減圧部140、サブタンク120の内圧を正圧状態に加圧するサブタンク加圧部150、メインタンク110に貯留されたUVインクをサブタンク120に移送するインク移送部115などからなり、サブタンク減圧部140及びサブタンク加圧部150が一台の気送ポンプ160により構成される。
メインタンク110は、このプリンタ装置Pにおける単位時間当たりのインク消費量に応じた容量のUVインクを貯留し得るように設定される。本実施形態では、前述したC,M,Y,Kの4色について、各色500ml程度の容量のカートリッジ式のメインタンク110(第1メインタンク110C,第2メインタンク110M,第3メインタンク110Y,第4メインタンク110K)を用い、これらのメインタンク110を装置本体1の背面に着脱可能に配設した構成例を示す(図3を参照)。なお、メインタンク110の形態は、円筒容器状や柔軟性のある袋状など他の形態であってもよく、インクタンクの配設位置は、装置本体1の前面側や上部、あるいは装置本体1と別置きなど、適宜に配設することができる。
サブタンク120は、図6に示すように、一側方(右方)に開口し、側面視において上下に長い薄型矩形箱状の容体部材121と、この容体部材121の開口面を覆って閉止される蓋部材122とからなり、蓋部材122の閉止によって形成されるタンク内部に、UVインクを貯留するインク貯留室123が形成され、このインク貯留室123の後部に上下に延びる溝状のフロート収容部124が形成されている。フロート収容部124には、中心部にマグネットが固着されUVインクに浮揚する円盤状のフロート134が上下移動自在に収容される。
サブタンク120は、容体部材121の開口縁面にシーラントまたは接着剤を塗布して蓋部材122を閉止することにより一体に接合されるとともに、図示省略するネジ等の締結手段により強固に結合され、インク貯留室123が密閉状態に保持される。蓋部材122及び容体部材121の少なくともいずれか一方は、透明または半透明の材料を用いて形成され、インク貯留室123のUVインクの貯留状態、及びUVインク中のフロート134の浮遊状態等を外部から目視確認可能に構成される。
サブタンク120の下面側には、容体部材121の底壁121bから下方に突出してプリンタヘッド60と嵌脱可能に接続される短円柱状のコネクタ部125が形成され、その上方に、底壁121bからインク貯留室123内を上方に延びるブロック状のダクト部126が形成されている。そして、底壁121bを上下に貫通してインク貯留室123の底面とコネクタ部125とを繋ぐ第1導出路127aが形成され、ダクト部126及び底壁121bを上下に貫通してダクト部126の上面126aとコネクタ部125とを繋ぐ第2導出路126bが形成されている。そのため、サブタンク下面のコネクタ部125をプリンタヘッド60に嵌合接続すると、サブタンク120のインク貯留室123とプリンタヘッド60のインク室とが、第1導出路126a及び第2導出路126bを介して接続される。なお、キャレッジ40を非印刷時の基準位置(いわゆるホームポジション)に位置させた状態において、プリンタヘッド60(60C,60M,60Y,60K)の下方に、UVインクを受け止めるバット状のインクトレイ180が設けられている。
サブタンク120の後面側に、インク貯留室123のUVインクの貯留状態を検出するサブタンク貯留検出部130が設けられる。サブタンク貯留検出部130は、フロート収容部124に上下移動自在に収容されてインク貯留室内のUVインクの液面とともに上下移動するフロート134と、このフロート134を検出することによりUVインクの液面高さを検出する液面検出基板135とから構成される。
容体部材121の後方壁121rには、上下に延びる蟻溝状の基板装着部131が形成されており、この基板装着部131に、磁気センサ136(136H,136L)が実装された液面検出基板135が装着固定される。すなわち、液面検出基板135は、後方壁121rを挟んでフロート124と対向配置されており、インク貯留室123内のフロート134に固着されたマグネットを磁気センサ136で検出することにより、フロート134の高さ位置、すなわち、インク貯留室123に貯留されたUVインクの液面高さを検出可能になっている。
本実施形態では、磁気センサ136として、インク貯留室123にUVインクが充填されてUVインクの液面が充填基準高さであることを検出するHi検出センサ136Hと、インク貯留室123内のUVインクが消費されて所定量以下であることを検出するLo検出センサ136Lの二つを液面検出基板135に設けた構成例を示す。なお、磁気センサ136は、三つ以上であってもよく、インク貯留室内の液面高さの変化を磁力変化に基づいて連続的に検出可能な構成としてもよい。液面検出基板135の出力信号はコントロールユニット80に入力されている。
サブタンク120の前面側には、上下中間の所定高さ位置に、容体部材121の前方壁121fを前後に貫通するインク導入路が形成され、このインク導入路に接続するチューブコネクタ128が設けられている。また、サブタンク120の上面側には、容体部材121の天井壁121tを上下に貫通する気体導入路が形成され、この気体導入路に接続するチューブコネクタ129が設けられている。
インク移送部115は、メインタンク110とサブタンク120との間を結ぶメイン供給回路116により形成される。メイン供給回路116は、一端がメインタンク110に接続され他端が液送ポンプ118の吸入口に接続されたインク吸入ライン117a、一端が液送ポンプ118の吐出口に接続され他端がサブタンク120のチューブコネクタ128に接続されたインク送出ライン117b、メインタンク110とサブタンク120との間に位置して装置本体1に設けられ、メインタンク110に貯留されたUVインクをインク吸入ライン117aを介して吸入し、インク送出ライン117bを介してサブタンク120に供給する液送ポンプ118などから構成される。
液送ポンプ118は、インク吸入ライン117aがUVインクで満たされず、空気が混入した状態であっても、メインタンク110からUVインクを吸い上げてサブタンク120に圧送し得るとともに、インク吸入ライン117a側またはインク送出ライン117b側から作用する圧力を遮断可能な形態のポンプが用いられ、例えば、チューブポンプやダイヤフラムポンプが好適に用いられる。
サブタンク減圧部140は、サブタンク120と気送ポンプ160の吸入口161との間を結ぶ負圧回路141により形成される。負圧回路141は、その主要構成機器を図1中に枠Aで囲んで示すように、気密容器により構成されるエアチャンバー142、負圧回路141の圧力を検出する圧力センサ144、負圧回路141を開閉する負圧制御弁145、及びこれらの機器を接続して気送ポンプの吸入口161とサブタンク120との間を結ぶチューブにより形成されるライン147(147a,147b,147c,147d)などから構成される。なお、図1中に枠Cで囲まれた部分がキャレッジ40に設けられ、枠外の部分が装置本体1に設けられる機器である。
エアチャンバー142は、ライン147aを介して気送ポンプの吸入口161と接続されており、気送ポンプ160の作動によりチャンバー内の空気が排気されて負圧状態に減圧される。エアチャンバー142の容積は、気送ポンプ160の一工程当たりの吸排気量の1/10〜1/50程度に設定される。例えば、気送ポンプ160の一行程当たりの吸排気量が2ccである場合に、50ccのエアチャンバーを用いることにより、ポンプ作動による吸気の脈動を1/25以下に低減することができる。エアチャンバー142には、負圧状態に減圧されたチャンバー内に空気を導入する空気導入ライン147iが設けられており、この空気導入ライン147iを通って流入する空気の流量を調整する流量調整弁143a、導入される空気を除塵するエアフィルタ143bが設けられている。
流量調整弁143aは、気送ポンプ160とサブタンク120が負圧回路141を介して接続された状態において、エアチャンバー142に流入する空気の流量を調整することによりエアチャンバー142の内圧を定圧化し、これにより、インク貯留室123の内圧が、ノズル部におけるメニスカス形成に適宜な−1〜−2kPa程度の所定の負圧(例えば−1.2kPaの負圧:以下「設定負圧」という)になるように設定される。このように、エアチャンバー142は、気送ポンプ160の作動による吸気の脈動を吸収するとともに、サブタンク120の内圧が一定の設定負圧になるように保持するバッファータンクとして機能する。
負圧制御弁145は、エアチャンバー142とサブタンク120との間に位置してキャレッジ40に設けられており、エアチャンバー142側のライン147cとサブタンク120側のライン147dとを連通状態と遮断状態とに切り替える電磁弁である。本実施形態においては、負圧制御弁145として三方弁を用いた構成を例示しており、負圧制御弁145のコモンポート(COM)にライン147c、ノーマルオープンポート(NO)にライン147dが接続され、ノーマルクローズポート(NC)はライン147x及びサイレンサ148を介して大気に開放されている。
このため、負圧制御弁145がオフのとき(印刷中や待機中など通常の稼働時)には、ライン147cとライン147dとが接続されて負圧回路141が連通状態に設定され、気送ポンプ160の吸入口161とサブタンク120とが後述する合流回路171を介して接続される。一方、負圧制御弁145がオンのとき(インク充填時やクリーニング時等)には、ライン147cとライン147dの接続が切り離されて負圧回路141が遮断されるとともに、ライン147cがライン147xに繋がり、気送ポンプ160の吸入口側の回路が大気に開放される。負圧制御弁145はコントロールユニット80に接続されており、コントロールユニット80によりオン/オフ制御される。
圧力センサ144は、±5kPa程度の検出領域を有し、エアチャンバー142と負圧制御弁145の間に設けられたゲージ圧タイプの圧力センサであり、サブタンク近傍のライン147の圧力を検出する。具体的には、負圧制御弁145がオフ設定とされ、気送ポンプ160とサブタンク120とが負圧回路141により接続された状態において、前述した設定負圧に、サブタンク120までのラインの圧力損失を加味した圧力(例えば−1.3kPa程度の圧力)が圧力センサ144において検出される。逆説的には、この圧力センサ144によって検出される圧力が上記圧力値になるように、流量調整弁143aを調整設定(初期設定)しておくことによりインク貯留室123の内圧が設定負圧に設定される。従って、圧力センサ144の検出圧力を監視することにより、インク貯留室123の圧力が設定負圧に設定されたか否かを検出することができる。圧力センサ144の検出信号は、コントロールユニット80に入力されている。
サブタンク加圧部150は、サブタンク120と気送ポンプ160の吐出口162との間を結ぶ正圧回路151により形成される。正圧回路151は、この回路を構成する主要構成機器を図1中に枠Bで囲んで示すように、正圧回路151を流れる空気の流量を調整する流量調整弁153a、サブタンク120に向かう空気を除塵するエアフィルタ153b、正圧回路141の圧力を検出する圧力センサ154、正圧回路151を開閉する正圧制御弁155、及びこれらの機器を接続して気送ポンプの吐出口162とサブタンク120との間を結ぶチューブにより形成されるライン157(157a,157b,157c,157d)などから構成される。
流量調整弁153aは、気送ポンプ160とサブタンク120とが正圧回路151により接続された状態において、正圧回路151を流れる空気流量を調整することによりインク貯留室123の内圧が所定以上に上昇しないように調整するバルブであり、サブタンク120の内圧が20kPa程度になるように調整設定される。
正圧制御弁155は、流量調整弁153aとサブタンク120との間に位置してキャレッジ40に設けられており、ライン157cとライン157dとを連通状態と遮断状態とに切り替える電磁弁である。本実施形態においては、正圧制御弁155として三方弁を用いた構成を例示しており、正圧制御弁155のコモンポート(COM)にライン157c、ノーマルクローズポート(NC)にライン157dが接続され、ノーマルオープンポート(NO)はライン157x及びサイレンサ158を介して大気に開放されている。
このため、正圧制御弁155がオフのとき(印刷中や待機中など通常の稼働時)には、ライン157cとライン157dの接続が切り離されて正圧回路151が遮断されるとともに、ライン157cがライン157xに繋がり、気送ポンプ160の吐出口側の正圧回路が大気に開放される。一方、正圧制御弁155がオンのとき(インク充填時やクリーニング時等)には、ライン157cとライン157dとが接続されて正圧回路151が連通状態に設定され、気送ポンプ160の吐出口162とサブタンク120が合流回路171を介して接続される。正圧制御弁155はコントロールユニット80に接続されており、コントロールユニット80によりオン/オフ制御される。
圧力センサ154は、±50kPa程度の検出領域を有してキャレッジ40に設けられたゲージ圧タイプの圧力センサであり、サブタンク近傍のライン157の圧力を検出する。具体的には、正圧制御弁155がオン設定とされ、気送ポンプ160とサブタンク120とが正圧回路151により接続された状態において、サブタンク120に印加される圧力が検出される。従って、圧力センサ154の検出圧力を監視することにより、インク貯留室123の圧力が所定の正圧状態に設定されたか否かを検出することができる。圧力センサ154の検出信号は、コントロールユニット80に入力されている。
気送ポンプ160は、吸入口161に接続された負圧回路141から空気を吸入し、吸入した空気を吐出口162に接続された正圧回路151に圧送するポンプであり、吐出口162及び吸入口161に所定の正負圧力を発生する形態のポンプが用いられる。すなわち、負圧回路141が締め切られた状態において吸入口161に所定圧力の負圧を発生させ、正圧回路151が締め切られた状態において吐出口162に所定圧力の正圧を発生させる。このようなポンプとして、例えば、±40kPA程度の正負圧力を発生させるダイヤフラムポンプが好適に用いられる。
このように、負圧回路141及び正圧回路151は、ともに基端側が気送ポンプ160に接続され、サブタンク減圧部140及びサブタンク加圧部150が一台の気送ポンプ160の吸入及び吐出作用を利用して構成される。このため、サブタンク減圧部140及びサブタンク加圧部150の両者の構成を簡明化し、インク供給装置全体を合理的に簡明化、小型化できるとともに、サブタンク減圧部140及びサブタンク加圧部150ごとにポンプの起動・停止制御を行う必要がなく制御負担を軽減することができる。さらに、ポンプに対する保守作業は、一台の気送ポンプ160に対して行えばよく、メンテナンス工数を削減することが可能となる。
負圧回路141と正圧回路151とは、サブタンク120に向かう途上で合流し、合流回路171が形成される。合流回路171は、負圧回路のライン147d及び正圧回路のライン157dが合流して形成され、サブタンクに接続されるライン177と、このライン177に設けられて合流回路171を開閉する合流回路開閉弁175とから構成される。合流回路開閉弁175は、サブタンク120に対応して設けられており、本実施形態においては、この合流回路開閉弁175において合流回路171(ライン177)が4つに分岐され、分岐された各合流回路(ライン177C,177M,177Y,177K、一部符番を省略)を個々に開閉可能に構成される。
すなわち、合流回路開閉弁175は、ライン177に接続された共通の入力ポートと、4つのサブタンクに対応して設けられた4つのバルブ及び出力ポートを有するマニホールドタイプの電磁開閉弁であり、第1〜第4サブタンク120C,120M,120Y,120Kに対応した第1〜第4合流回路開閉弁175C,175M,175Y,175Kが各々独立して合流回路171を開閉可能になっている。このような構成により、キャレッジ40に設けられる配管部材を削減してプリンタヘッド周辺をシンプルに構成できるとともに、任意のサブタンク(プリンタヘッド)を単数または複数選択して、加圧または減圧することができる。合流回路開閉弁175の作動はコントロールユニット80により制御される。
なお、合流回路171の分岐数はプリンタヘッド60の配設数量に応じて任意に設定することができ、例えば、プリンタヘッド60が単一のヘッド構成である場合には、合流回路開閉弁175は単一バルブの電磁開閉弁を用いればよく、プリンタヘッドを8つ備えるプリンタ装置においては、図1に示すように、8連タイプの電磁開閉弁を用いて(あるいは4連タイプの電磁開閉弁を二つ用いる等により)構成することができる。
このように、負圧回路141と正圧回路151とが気送ポンプ160に接続されて一本の連続した回路が形成され、両回路の先端側が集合されて閉ループ状の加減圧回路が形成される。そして両回路が集合された合流回路171が合流回路開閉弁175を介してサブタンク120に接続され、負圧制御弁145と正圧制御弁155を切り替え制御することにより、サブタンクのインク貯留室123を減圧状態と加圧状態とに変更設定可能に構成される。
以上のように構成されるインク供給装置100にあって、液送ポンプ118、負圧制御弁145、正圧制御弁155、気送ポンプ160の作動がコントロールユニット80によって以下のように制御される。なお、これまでの説明から明らかなように、UVインクの供給系については4つの系統(C,M,Y,K)について同様であるため、各系統に共通する事項については、これらの添え字を省略して説明する。
(通常運転時の制御)
プリンタ装置Pのメイン電源がオンされると、コントロールユニット80はROM81に記憶された制御プログラムを読み出し、読み出された制御プログラムに基づいてプリンタ装置各部の作動を制御する。インク供給装置100については、気送ポンプ160に電力を供給して回転駆動状態とし、すべての合流回路開閉弁175をオンにする。このとき、負圧制御弁145及び正圧制御弁155は、ともにオフのままとする。これにより負圧回路141では、ライン147cとライン147dとが連通して気送ポンプ160の吸入口161とサブタンク120のインク貯留室123とがライン147及びライン177により接続され、正圧回路151では、ライン157cとライン157xとが接続されて気送ポンプ160の吐出口側の回路が大気に開放される。
このため、気送ポンプの吸入口161に接続されたライン147内の空気が吸引されてエアチャンバー142が負圧に減圧され、流量調整弁143aにより調整された流入空気流量と気送ポンプ160により吸引される空気量とのバランスで定まる略一定の圧力で安定する。前述したように、この圧力は、プリンタヘッド60のノズル部におけるメニスカス形成に適宜な−1〜−2kPa程度の所定の負圧(例えば−1.2kPaの設定負圧)に設定されており、4つのサブタンクのインク貯留室123の内圧が、すべて同一の設定負圧に設定された状態で安定保持される。
このとき、正圧回路151では気送ポンプ160の吐出口側の回路が大気に開放されており、負圧回路141から吸引された空気がエアフィルタ158を介して大気に開放される。このため、正圧回路151の圧力(背圧)が上昇して気送ポンプ160の吸気効率が低下するようなことがなく、負圧状態を安定的に保持可能になっている。
インク貯留室123の内圧が設定負圧に保持されているか否かは、圧力センサ144からコントロールユニット80に入力される検出信号により判断することができ、圧力センサ144により検出される圧力が、設定負圧から一定以上外れているとき、例えば、検出圧力が設定負圧に対して±20%の範囲を超えていると判断されるときに、コントロールユニット80が、その旨(負圧回路の圧力異常)のアラーム表示を行うように構成することができる。この場合、負圧回路の各部について異常の有無を確認したうえ、異常がない場合には流量調整弁143aを調整することにより、適正な設定負圧にすることができる。
なお、通常運転時にあっては、サブタンク120のインク貯留室123にある程度UVインクが貯留されている。但し、インク貯留室123に貯留されたUVインクは、印刷プログラムの実行等によりプリンタヘッド60のノズルから吐出されて消費され、貯留されたUVインクが徐々に減少する。そこで、インク供給装置100にはサブタンク貯留検出部130が設けられており、インク貯留室123に貯留されたUVインクが所定量以下になったときに、メインタンク110に貯留されたUVインクがインク移送部115によりサブタンクに供給されてUVインクが補充される。
具体的には、インク貯留室123に貯留されたUVインクが減少し、UVインクの残留量が所定量以下となったときに、UVインクの液面とともに上下するフロート134が液面検出基板135に設けられたLo検出センサ136Lに検出される。液面検出基板135からLo検出センサ136Lの検出信号を受けたコントロールユニット80は、インク貯留室123が負圧状態に減圧された状態で液送ポンプ118を起動する。メインタンク110から液送ポンプにより送り出されたUVインクは、ライン117bを通ってチューブコネクタ128からインク貯留室123に供給され、室内の貯留インク量が増大する。そして、フロート134がHi検出センサ136Hにより検出されたときに液送ポンプ118を停止させることにより、インク貯留室123にUVインクが補充される。
このように、サブタンク120に対するUVインクの補充が、インク貯留室123を減圧した状態で行われるため、小型の液送ポンプでも確実にUVインクを移送することができ、またUVインクの補充時にプリンタヘッド60のノズルからUVインクが漏洩するようなことがない。なお、インク貯留室123の容量とエアチャンバー142の容量との関係によりインク補充時にインク貯留室123の圧力が上昇するような場合には、当該インク補充時に、圧力センサ144の検出圧力に応じて気送ポンプ160の回転数を増加させ、若しくは流量調整弁143aの弁開度を減少させ、またはこれら両方を実行することにより、インク貯留室123の圧力を上昇させることなく一定に制御することも可能である。
こうしてプリンタ装置Pが起動すると、以降、気送ポンプ160は継続運転され、印刷プログラムの実行中、待機中を問わずサブタンク120の内圧が常時設定負圧に保持される。従って、液送ポンプ118の揚程の範囲内で大型のメインタンクを装置本体1の任意の位置に配設することができ、プリンタPの小型化とインク交換作業の容易化とを両立させることができる。また、図5及び図6に示されるように、サブタンク120は、左右に薄く側面視において上下に長い矩形箱状に形成され、プリンタヘッド60の直上に位置して設けられている。このため、キャレッジ40の左右移動に伴う液面変化が少なく、キャレッジの加速・減速に伴う加速度の影響をほとんど受けることがない。従って、キャレッジ40を高速のスキャンスピードで左右移動させても、プリンタヘッド60から安定したインク吐出を実現することができ、これによりスループットを向上させることができる。
(インク充填時の制御)
UVインクの初期充填時や、洗浄液を用いたノズルクリーニング後の立ち上げ時などにおいては、プリンタヘッド60のインク室や、メイン供給回路のライン117内にUVインクが存在せず、また一定期間放置後の再立ち上げ時やメインタンク交換後の再立ち上げ時等においてUVインクに気泡が混入している場合がある。そこで、このような場合に、操作パネル88からコントロールユニット80に入力されるインク充填指令に基づいて、以下のようにインク充填制御が実行される。このインク充填制御に関しROM81に設定記憶されたインク充填プログラムPGのフローチャートを図8に示す。
操作パネル88において、例えばファンクションキーの選択等により、「インク充填」処理が選択され、コントロールユニット80にプリンタヘッド60を特定してインク充填の実行指令が入力されると、演算処理部83は、インク充填プログラムに従い、ステップS10においてサブタンク内圧を通常運転時における設定負圧に保持した状態(すなわち、負圧制御弁145及び正圧制御弁155がともにオフの状態)で、インク充填を実行すべきプリンタヘッドに該当する合流回路開閉弁をオンのまま保持し、他の合流回路開閉弁をオフとする処理(負圧維持処理)を実行してステップS20に進む。例えば、操作パネル88において第1プリンタヘッド60Cについてのみインク充填が選択された場合には、第1プリンタヘッド60に対応する第1合流回路開閉弁175Cのみをオンのまま維持し、第2〜第4プリンタヘッドに対応する第2〜第4合流回路開閉弁175M,175Y,175Kをオフにする(以下この場合について説明する)。
ステップS20では、減圧された第1サブタンク120Cに、第1メインタンク110CからUVインクを移送して第1サブタンク120Cにインクを補充する(インク補充処理)。すなわち、第1サブタンク120Cに対応する液送ポンプ118Cのみを起動して第1メインタンク110Cに貯留されたUVインクを第1サブタンク120Cに供給し、フロート134がHi検出センサ136Hにより検出されたときに液送ポンプ118Cを停止させる。これにより、第1サブタンク120Cのインク貯留室123に十分な量のUVインクが貯留される。なお、このインク補充処理の実行開始時に、既にフロート134がHi検出センサ136Hにより検出されており、UVインクが充填基準高さまで貯留されていると判断される場合には、このステップを飛ばしてステップS30に進む。
次に、ステップS30では、負圧回路141を遮断してサブタンク加圧部150により第1サブタンク120Cの内圧を正圧状態に加圧し、第1サブタンク120Cに貯留されたUVインクの一部を第1プリンタヘッド60Cから流出させる(プリンタヘッドインク充填処理)。具体的には、コントロールユニット80は、負圧制御弁145をオンにしてライン147cとライン147dとの連通を遮断し、ライン147cをライン147xに接続して気送ポンプ160の吸入側回路を大気に開放する。また、正圧制御弁155をオンとし、ライン157cとライン157dとを連通させて気送ポンプの吐出口162と第1サブタンク60cのインク貯留室123とを接続する。
この切り替え制御により、気送ポンプ160と第1サブタンク120Cとは、負圧回路141を介した接続が遮断される一方、正圧回路151を介して接続され、気送ポンプ160の吐出口162から吐出された空気がライン157、ライン177及びライン177cを通って第1サブタンク120Cのインク貯留室123に供給される。前述したように、液送ポンプ118は、この液送ポンプ118を挟むインク吸入ライン117a側またはインク送出ライン117b側から作用する圧力を遮断可能なポンプが用いられている。このため、第1サブタンク120CのUVインクが第1メインタンク110Cに逆流することがなく、第1サブタンク120Cの内圧が上昇して流量調整弁153aの調整により設定された圧力(例えば20kPa程度)の正圧状態になる。その結果、第1サブタンク120Cのインク貯留室123に貯留されたUVインクが、タンク下端の第1導出路126a及び第2導出路126bから押し出されて第1プリンタヘッド120Cに供給され、第1プリンタヘッド120Cのノズルから流出してインクトレイ180に受け止められる。
この際、負圧回路141では気送ポンプ160の吸入側の回路が大気に開放されており、気送ポンプ160は吸入側にほとんど負荷がない状態で運転される。このため、気送ポンプの吸気圧が低下して吐出効率が低下するようなことがなく、確実に第1プリンタヘッド60Cのインク室にUVインクを充填することができる。さらに、気送ポンプ160を一定方向に回転作動させたまま、負圧制御弁145と正圧制御弁155をともにオンにする簡便な制御で、第1サブタンク120Cを減圧状態から加圧状態に簡単に切り替えることができる。
このステップS30は、第1プリンタヘッド60Cのインク室がカラの状態であった場合でも、インク室にUVインクが充満されヘッド下面のノズルからUVインクが流出するまで継続される。例えば、インク室がカラの状態の第1プリンタヘッド60Cに第1サブタンクの加圧によりUVインクを供給し、一定程度ノズルから流出させるのに要する時間に基づいて、このステップの継続時間をタイマー設定すること(時間設定)により規定し、あるいは、インク貯留室123に貯留されたUVインクが流出して、フロート134が液面検出基板135に設けられたLo検出センサ136Lに検出されるまでとすること(インク量)により規定することができる。
本ステップS30により、第1サブタンク120Cのインク貯留室123から第1プリンタヘッド60CのノズルまでUVインクが満たされ、この経路中に気泡が存在していた場合にはその気泡がノズルから押し流されて、第1サブタンク120Cから第1プリンタヘッド60CのノズルまでUVインクが満たされた状態になり、次のステップS40に進む。なお、このとき合流回路開閉弁175は、第1合流回路開閉弁175Cを除いて閉止状態にあり、第2〜第4サブタンクの内圧は初期の設定負圧に保持されている。
ステップS40では、正圧回路141を遮断してサブタンク減圧部140により第1サブタンク120Cの内圧を負圧状態に減圧し、減圧された第1サブタンク120Cにインク移送部115により第1メインタンク110Cからインクを移送して第1サブタンク120Cにインクを充填する(サブタンクインク充填処理)。すなわち、コントロールユニット80は、正圧制御弁155をオフにして、ライン157cとライン157dとの連通を遮断し、ライン157cをライン157xに接続して気送ポンプ160の吐出側回路を大気に開放する。また、負圧制御弁145もオフとし、ライン147cとライン147dとを連通状態として、気送ポンプ160の吸入口161と第1サブタンク120Cのインク貯留室123とを接続する。
この切り替え制御により、正圧回路151において気送ポンプ160と第1サブタンク120Cとの接続が遮断される一方、負圧回路141において気送ポンプ160と第1サブタンク120Cとが接続され、第1サブタンクのインク貯留室123の空気がライン177c、ライン177及びライン147を介して気送ポンプ160に吸引される。このため、第1サブタンク120Cの内圧が低下し、正圧状態から負圧状態に変化する。コントロールユニット80は、圧力センサ144によって検出される圧力が所定以下(例えば−0.8kPa以下)の負圧になったときに液送ポンプ118Cを起動し、フロート134がHi検出センサ136Hにより検出されたときに液送ポンプ118Cを停止させる。これにより第1メインタンク110Cに貯留されたUVインクが第1サブタンク120Cのインク貯留室123に供給され、第1サブタンク120Cのインク貯留室123に充填基準高さまでUVインクが充填される。
続くステップS50では、圧力センサ144により検出される第1サブタンク120Cの内圧が設定負圧近傍(例えば、−1.0kPa程度)に到達するまで減圧され、この圧力以下になったときに、それまで閉止されていた第2〜第4合流回路開閉弁175M,175Y,175Kをオンにしてバルブを開き、第1〜第4サブタンクのすべてが設定負圧の負圧状態に保持されるようにして(負圧維持処理)、ステップS60に進み、インク充填プログラムPGを終了する。これにより、操作パネル88において選択された第1プリンタヘッド60Cにインクが充填され、第1サブタンクを含む全てのサブタンクが所定の設定負圧に設定されて待機保持される。なお、インク充填処理が複数のプリンタヘッドについて実行される場合にも、処理が実行される合流開閉弁をオンとして上記同様に処理される。
このように、インク充填プログラムPGに基づいて実行されるインク供給方法によれば、サブタンク120がプリンタヘッド60に近接して設けられ、このサブタンクの内圧が1台の気送ポンプ160に接続された負圧回路141の負圧制御弁145と正圧回路151の正圧制御弁155を切り替え制御することにより、負圧状態と正圧状態とに切り替えられて、プリンタヘッド60の負圧保持及びインク充填等が行われる。このため、プリンタ装置Pでは、プリンタヘッドの下面をキャッピングして真空吸引する吸引回路を設ける必要がなく、かつ、ゴムキャップの劣化やごみの付着等に起因したインクの充填不良を排除してインク充填直後から安定したインク吐出を行うことができる。また、一台の気送ポンプ160を一定方向に回転作動させた状態のまま、負圧制御弁145と正圧制御弁155の切り替えにより負圧状態を正圧状態とが切り替えられる構成のため、インク供給装置100全体の構成を簡明化、小型化できるとともに、制御負担やメンテナンス工数を低減することができる。
なお、以上説明した実施形態では、負圧制御弁145及び正圧制御弁155として三方弁を用い、各回路の連通・遮断の切り替えと大気開放とを一つの弁のオン/オフで実現した構成を例示したが、各回路を連通状態と・遮断状態とに切り替える開閉専用の二方弁と、各回路を大気に開放する大気開閉専用の二方弁とを用いて構成することも可能である。また、実施形態では、制御構成の簡明化のため、気送ポンプ160を原則的に一定速度で継続回転させる構成を説明したが、例えば、サブタンク120を減圧する工程と加圧する工程とで気送ポンプ160の回転数を変化させ、あるいは、各回路に設けた圧力センサ144,154により検出される圧力に応じて気送ポンプ160の回転数を変化させるように構成してもよい。さらに、プリンタヘッド60へのインク充填に当たり、液送ポンプ118を停止してサブタンク加圧部150によりサブタンク120の内圧を上昇させることにより直接UVインクを押し出す方法を説明したが、例えば、サブタンク120の内圧を正圧状態に設定したのちに合流開閉弁175を閉じ、液送ポンプ118によりサブタンク120にインクを供給して、このときの内圧上昇によりUVインクを押し出すように構成してもよい。
また、実施形態では、本発明を適用したインクジェットプリンタの一例として、一軸印刷媒体移動、一軸プリンタヘッド移動タイプのUV硬化インクジェットプリンタに適用した構成例について説明したが、本発明は他の形態のインクジェットプリンタ、例えば二軸プリンタヘッド移動タイプのインクジェットプリンタや、二軸印刷媒体移動タイプのインクジェットプリンタにも適用することができ、使用するインクについても染料系や顔料系など他の種類のインクを用いたインクジェットプリンタに適用することができる。