JP4950633B2 - カンフォレニルシクロヘキセノール化合物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物の製造方法、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物及びカンフォレニルシクロヘキセノン化合物、並びにそれらの化合物を含有する香料組成物に関する。
従来から、サンダルウッド系の香気を有する、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物の合成法としては、特許文献1に記載されているように、出発原料であるカンフォレナールを酸触媒下ピペリジンと反応させることでエナミン化し、次いで酸触媒下アルキルビニルケトンと反応させた後に酸触媒下分子内アルドール反応によりカンフォレニルシクロヘキセノン化合物とし、最後に還元剤で還元する方法が提案されている。
米国特許第5189013号明細書
しかしながら、特許文献1に記載のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物の合成法は、反応工程数が多いこと、途中原料であるアルキルビニルケトンが不安定であり重合を起こし易いこと等の欠点があり、工業的に使用することが困難であるといった問題がある。
近年の各種香粧品類や洗浄剤、芳香剤などの着香製品に対する要求の多様化に伴い、新しい香料素材を見出すことは調香上極めて重要である。香料素材の香気は、化合物のわずかな構造の違いにより大きく異なることが一般的であり、多様な香気を有する新規な香料を得るためには、わずかでも構造の異なる種々の化合物を合成し、その香気を検討することが極めて重要である。特許文献1に開示される種々のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物は、天然サンダルウッドの特徴を発現させるには不十分であり、天然らしさの質感がより高い化合物の開発が望まれている。
本発明は以上のような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物の工業的な製造方法、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物及びカンフォレニルシクロヘキセノン化合物、並びにそれらを含有する香料組成物、特に天然らしさの質感が高いサンダルウッドの特徴を発現させる香料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物が、途中原料として工業的に入手容易なβ−ケトエステルとα、β−不飽和アルデヒドとを塩基触媒存在下で反応させ、それにより誘導されるカンフォレニルシクロヘキセノン化合物を還元することにより、容易にかつ安定的に製造できるので、工業的な製造が可能となることを見出した。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるβ−ケトエステル(以下、β−ケトエステル(1)という。)と、下記一般式(2)で表されるα,β−不飽和アルデヒド(以下、α,β−不飽和アルデヒド(2)という。)とを、塩基性化合物の存在下で反応させ、下記一般式(3)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(以下、カンフォレニルシクロヘキセノン化合物(3)という。)とし、該化合物を還元剤の存在下で還元させることで得られる下記一般式(4)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(以下、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物(4)という。)の製造方法を提供する。
Figure 0004950633
(式中、R1及びR2は、各々独立して、水素、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、R3は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示す。)
また、本発明者らは、種々の化合物を合成し、その香気及び調合香料中の効果について検討したところ、特定のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物が、優れた天然サンダルウッドの香気を有すること、及び特定のカンフォレニルシクロヘキセノン化合物が、優れたクミンオイル様の香気を有することを見出した。
すなわち、本発明は、一般式(6)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(以下、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)という。)及びカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(以下、カンフォレニルシクロヘキセノン化合物(5)という。)を提供し、これらの化合物を単独で、又は2種以上を含有する香料組成物を提供する。
Figure 0004950633
(式中、R4は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、R5は水素又はR4で表される置換基を示す。)
本発明によれば、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物及びカンフォレニルシクロヘキセノン化合物を容易かつ安定的に製造することで、工業的に適用できる製造方法を提供することができる。さらにカンフォレニルシクロヘキセノール化合物を単独で又は2種以上を用いる香料組成物は、天然らしさの質感が高いサンダルウッドの特徴を発現させることができ、カンフォレニルシクロヘキセノン化合物を単独で又は2種以上を用いる香料組成物は、クミンオイル様の香気を提供することができる。
[カンフォレニルシクロヘキセノール化合物の製造方法]
カンフォレニルシクロヘキセノール化合物(4)は、例えば、β−ケトエステル(1)とα,β−不飽和アルデヒド(2)とを塩基性化合物の存在下で反応させ、得られるカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(3)を還元剤の存在下で還元させることにより製造することができる。
Figure 0004950633
ここで、式中R1及びR2は、各々独立して、水素、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、中でもR1は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が好ましく、メチル基、エチル基、又はプロピル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。R2は水素又はR1で表される置換基が好ましく、水素、メチル基、エチル基、又はプロピル基がより好ましく、水素が特に好ましい。また、R1とR2とは、同じでも異なっていてもよい。また、R3は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましい。
本発明のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(4)の製造方法は、より具体的には、以下の反応式で示すことができる。
Figure 0004950633
まず、β−ケトエステル(1)とα,β−不飽和アルデヒド(2)とを塩基性化合物の存在下で反応させることでカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(3)を得る。β−ケトエステル(1)とα,β−不飽和アルデヒド(2)に塩基性化合物を作用させる方法としては、あらかじめβ−ケトエステル(1)とα,β−不飽和アルデヒド(2)を溶媒に溶解させて得られた反応溶液に、塩基性化合物を添加する方法が挙げられる。
β−ケトエステル(1)とα、β−不飽和アルデヒド(2)の仕込み比率(β−ケトエステル(1)/α,β−不飽和アルデヒド(2)、モル比)は、収率を向上させ、反応性を高める点から、1〜3であることが好ましく、1〜1.5であることがより好ましい。
溶媒としては、反応性を高める点からアルコール系の溶媒が好ましい。アルコール系の溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
反応溶液の濃度(溶媒1リットルに対するβ−ケトエステル(1)のモル数)は、収率を向上させ、反応性を高める点から、0.1〜2であることが好ましく、0.5〜1.5であることが更に好ましい。
反応温度は、副生成物の生成を抑制し、反応速度を高める観点から、−10〜10℃、好ましくは−5〜5℃であり、添加終了後、還流温度まで昇温させることが好ましい。
塩基性化合物としては、金属アルコキシドが挙げられる。金属アルコキシドの中では、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウムターシャリーブトキシドからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。塩基性化合物の添加量は、β−ケトエステル(1)1モルに対し10〜50モル%であることが好ましく、20〜30モル%であることがより好ましい。
上記の反応により生成したカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(3)は、反応終了した反応溶液に、塩酸、硫酸、硝酸等の酸を加えて中和して、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィーや蒸留等により精製し、単離することができる。なお、反応終了は、例えば、ガスクロマトグラフィー、薄層液体クロマトグラフィー等によってα,β−不飽和アルデヒド(2)が消失した時点とすることができる。
次に、得られたカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(3)を還元剤の存在下で還元させることによりカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(4)を得る。
上記還元反応は、特に制限なく公知の方法を用いて行うことができる。還元剤としては水素化金属化合物が挙げられ、中でも、リチウムアルミナハイドライド、ソディウムボロハイドライド等を好適に用いることができる。
[カンフォレニルシクロヘキセノン化合物及びカンフォレニルシクロヘキセノール化合物]
本発明のカンフォレニルシクロヘキセノン化合物は下記一般式(5)で表され、本発明のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物は下記一般式(6)で表される。
Figure 0004950633
式中、R4は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、香気の観点から、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R5は水素又はR4で表される置換基を示し、水素、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましく、水素がより好ましい。
上記一般式(5)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(5)は、カンフォレニルシクロヘキセノン化合物(3)に包含される化合物であり、一般式(5)中のR4に示されるように、一般式(3)中のR1から水素が除かれた置換基が導入された化合物であり、クミンオイル様の香気を有し、単独で、又は他の成分と組み合わせて香水やフレーバーなどの賦香成分として使用することができる。
上記一般式(6)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)は、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物(4)に包含される化合物であり、一般式(6)中のR5に示されるように、一般式(4)中のR1に水素が除かれた置換基が導入された化合物であり、従来の合成品には無い天然らしいサンダルウッド系の香気を有し、これらの化合物は、単独で、又は他の成分と組み合わせて石鹸、シャンプーリンス、洗剤、化粧品、芳香剤などの賦香成分として使用することができる。
さらに、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)のうち、以下一般式(7)で表されるカンフォレニル基と水酸基とがシス配座の関係にあるシス体化合物が、香気の点から好ましい。
Figure 0004950633
式中、R4及びR5は上記と同様である。
[香料組成物]
本発明の香料組成物は、通常用いられる他の香料成分や、所望組成の調合香料に、カンフォレニルシクロヘキセノン化合物(5)及びカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)を単独で、又は2種以上を混合し、配合して得ることができる。特に、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)を単独で用いることが、香気の点から好ましい。さらに、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)の中でも、一般式(7)で表されるカンフォレニル基と水酸基がシス配座の関係にあるシス体化合物が、香気の点から好ましい。
本発明の香料組成物中のカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(5)及びカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)の配合量は、調合香料の種類、目的とする香気の種類及び香気の強さにより異なるが、0.1〜90質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。また、本発明のカンフォレニルシクロヘキセノン化合物(5)及びカンフォレニルシクロヘキセノール化合物(6)と組み合わせて用いることができる香料成分としては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、エステル類、カーボネート類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、ニトリル類、カルボン酸類、ラクトン類等の天然精油や天然抽出物、合成香料を挙げることができる。
[試料の同定]
実施例で得られた化合物の構造を、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)により同定した。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−dを用いて、Varian社製のMercury 400により測定した。
実施例1:2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
ジムロート、温度計、磁気攪拌子を備えた1Lの4つ口フラスコに、2−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−プロペナール(66.1g、363.3mmol)、プロピオニル酢酸メチル(48.2g、363.3mmol)、エタノール363mlを加えた。窒素雰囲気下、槽内温度を0℃に保ちながらカリウムターシャリーブトキシド(2.2g、18mmol)を加え、0℃のまま30分攪拌を行った。30分攪拌後、さらにカリウムターシャリーブトキシド(8.6g、72.0mmol)を加えた後、槽内温度を90℃まで昇温させ、還流下で7時間反応を行った。反応終了後、槽内温度を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。溶媒を留去して得られた残渣にエーテル150mlを加え、1Mの塩酸100mlで中和した後、分液漏斗へと移し、1Mの水酸化ナトリウム水溶液30mlで3回、飽和食塩水100mlで2回洗浄し分層させ抽出を行った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後、溶媒を減圧留去することで粗生成物86.9gを得た。単蒸留により精製を行うことで、下記化学式(I)で表される目的生成物54.7gを得ることができた。
Figure 0004950633
得られた目的生成物である2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンの同定した結果は以下の通りである。
1H-NMR (CDCl3) δ 0.96 (s, 3 H, minor), 0.97 (s, 3 H, major), 1.09 (s, 3 H, minor), 1.11 (s, 3 H, major), 1.60-1.62 (m), 1.77-1.79 (m), 5.22-5.25 (m), 6.70-6.72 (m, 1 H, minor), 6.88-6.89 (m, 1 H, major).
13C-NMR (CDCl3) δ 13.02, 16.71, 16.76, 20.18, 20.45, 27.74, 28.04, 47.24, 47.67, 53.30, 53.80, 121.31, 121.47, 134.74, 135.34, 148.57, 148.69, 149.94, 150.09, 199.99, 200.05.
実施例2:2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オルの合成
ジムロート、温度計、磁気攪拌子、滴下漏斗を備えた500mlの4つ口フラスコにリチウムアルミナハイドライド(2.7g、56.9mmol)、エーテル304mlを加え、槽内温度を0℃まで冷却させた。窒素雰囲気下、槽内温度を0℃に保ちながら、2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オン(24.8g、113.7mmol)をエーテル50mlに希釈した溶液を、滴下漏斗より槽内へ40分かけて徐々に滴下した。滴下終了後50℃まで昇温し、還流下1.5時間攪拌を行った。反応終了後、槽内温度を0℃まで冷却させ、10質量%の硫酸75mlを滴下漏斗より槽内へ10分かけて滴下して中和した後、分液漏斗を用い有機層を抽出した。また水層をエーテル50mlで2回抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後、溶媒を減圧留去することで粗生成物27.8gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1.5:8.5(容量比))により分画することで、カンフォレニル基と水酸基とがシス配座の関係を有するシス体化合物である下記化学式(II)で表される目的生成物6.78gを得た。
Figure 0004950633
得られた目的生成物である2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オルのシス体化合物の同定した結果は以下の通りである。
1H-NMR (CDCl3) δ 0.90 (s, 3 H, minor), 0.93 (s, 3 H, major) 1.08 (s, 3 H, minor), 1.13 (d, 3 H, major) 1.59-1.61 (m), 1.79-1.80 (m) 3.88-3.95 (m), 5.21 (bs), 5.52 (bs, 1 H, minor), 5.71 (bs, 1 H, major).
13C-NMR (CDCl3) δ 13.04, 18.79, 19.99, 27.75, 33.74, 35.55, 54.63, 73.35, 121.27, 129.29, 134.14.
実施例3:6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
ジムロート、温度計、磁気攪拌子を備えた300mlの4つ口フラスコに、2−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−プロペナール(29.38g、167.2mmol)、2−メチルアセト酢酸エチル(25.10g、167.2mmol)、エタノール167mlを加えた。窒素雰囲気下、槽内温度を0℃に保ちながらカリウムターシャリーブトキシド(0.99g、8mmol)を加え、0℃のまま30分攪拌を行った。30分攪拌後、さらにカリウムターシャリーブトキシド(3.99g、33mmol)を加えた後、槽内温度を90℃まで昇温させ、還流下で7時間反応を行った。反応終了後、槽内温度を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。溶媒を留去して得られた残渣にエーテル150mlを加え、1Mの塩酸100mlで中和した後、分液漏斗へと移し、1Mの水酸化ナトリウム水溶液30mlで3回、飽和食塩水100mlで2回洗浄し分層させ抽出を行った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後、溶媒を減圧留去することで粗生成物40.96gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1.5:8.5(容量比))により精製を行った後、さらにクーゲル蒸留(0.3mmHg、90℃〜120℃)により精製を行うことで、下記化学式(III)で表される目的生成物17.5gを得ることができた。
Figure 0004950633
得られた目的生成物である6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンは、クミンオイル様のスパイシー−グリーン香気であった。また、同定した結果は以下の通りである。
1H-NMR (CDCl3) δ 0.96 (s, 3 H, minor), 0.97 (s, 3 H, major), 1.09 (s, 3 H, minor), 1.11 (s, 3 H, major), 1.60-1.62 (m), 1.77-1.79 (m), 5.22-5.25 (m), 6.70-6.72 (m, 1 H, minor), 6.88-6.89 (m, 1 H, major).
13C-NMR (CDCl3) δ 13.02, 16.71, 16.76, 20.18, 20.45, 27.74, 28.04, 47.24, 47.67, 53.30, 53.80, 121.31, 121.47, 134.74, 135.34, 148.57, 148.69, 149.94, 150.09, 199.99, 200.05.
実施例4:6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オルの合成
ジムロート、温度計、磁気攪拌子、滴下漏斗を備えた300mlの4つ口フラスコにリチウムアルミナハイドライド(0.87g、18.3mmol)、エーテル117mlを加え、槽内温度を0℃まで冷却させた。窒素雰囲気下、槽内温度を0℃に保ちながら、6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オン(8g、36.6mmol)をエーテル17mlに希釈した溶液を、滴下漏斗より槽内へ40分かけて徐々に滴下した。滴下終了後50℃まで昇温し、還流下2.5時間攪拌を行った。反応終了後、槽内温度を0℃まで冷却させ、10質量%の硫酸30mlを滴下漏斗より槽内へ10分かけて滴下して中和した後、分液漏斗を用い有機層を抽出した。また水層をエーテル50mlで2回抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後、溶媒を減圧留去することで粗生成物8.2gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1.5:8.5(容量比))により分画することで、カンフォレニル基と水酸基とがシス配座の関係を有するシス体化合物である下記化学式(IV)で表される目的生成物0.35gを得た。
Figure 0004950633
得られた目的生成物である6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オルのシス体化合物は、天然サンダル様のサンダル香気であった。また、同定した結果は以下の通りである。
1H-NMR (CDCl3) δ 0.92 (s, 3 H), 1.01 (d, 3 H, J = 6.8 Hz), 1.08 (s, 3 H), 1.58-1.59 (m, 3 H), 3.73 (bs), 5.21 (bs), 5.63-5.67 (m, 1 H), 5.95-5.99 (m, 1 H).
13C-NMR (CDCl3) δ 13.04, 18.79, 19.99, 27.75, 33.74, 35.55, 54.63, 73.35, 121.27, 129.29, 134.14.
実施例5:6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンを用いた処方例
下記フローラルタイプの香料組成物990質量部に、実施例3で得られた6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンを10質量部加えることにより、スパイシー−グリーン感が付与されると共に、フローラル感が助長された。
また、同様の評価を実施例1で得られた2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンを用いて行ったが、上記に示す効果を確認することは出来なかった。
フローラルグリーンタイプの香料組成物の組成(質量部)
ベルガモットオイルイタリー BGF 70
ジヒドロミルセノール 65
ゲラニオール 45
フェニルエチルアルコール 175
フェニルヘキサノール 120
ヘキシルシンナミックアルデヒド 110
ベンジルアセテート 30
メチルジヒドロジャスモネート 90
アセチルセドレン 120
サンダルマイソールコア(登録商標) 20
ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタベンゾピラン 110
ヘリオトロピン 35
合計 990
実施例6:6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オルを用いた処方例
下記組成を有するフローラルウッディタイプの香料組成物955質量部に、実施例4で得られた6−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オルのシス体化合物を45質量部加えることにより、天然のサンダル感、甘さ、柔らかさ、あたたかさ、ヴォリューム感が強調される新しいフローラルウッディタイプの香料組成物が得られた。
また、同様の評価を実施例2で得られた2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−2−シクロヘキセン−1−オルのシス体化合物を用いて行ったが、上記に示す効果を確認することは出来なかった。
フローラルウッディタイプの香料組成物の組成(質量部)
オレンジオイル 20
ジヒドロミルセノール 30
ゲラニオール 85
フェニルエチルアルコール 175
フェニルヘキサノール 120
ヘキシルシンナミックアルデヒド 110
メチルジヒドロジャスモネート 90
アセチルセドレン 170
メチルヘキサヒドロシクロペンタベンゾピラン 120
ヘリオトロピン 35
合計 955
実施例1〜4の結果から、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物及びカンフォレニルシクロヘキセノン化合物は、本発明の製造方法により工業的に製造可能であることが分かった。また、実施例3及び4の結果より、本発明のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物又はカンフォレニルシクロヘキセノン化合物は、各々、天然らしさの質感が高いサンダルウッドの香気又はクミンオイル様の香気を有し、実施例5及び6の結果より、これらの化合物は、賦香成分として非常に有用であることが示された。
本発明の製造方法によれば、カンフォレニルシクロヘキセノール化合物及びカンフォレニルシクロヘキセノン化合物を容易かつ安定的に製造することができるので、工業的な製造が可能となる。また、本発明の製造方法により得られるカンフォレニルシクロヘキセノール化合物を単独で又は2種以上を用いる香料組成物は、天然らしさの質感が高いサンダルウッドの特徴を発現させることができ、カンフォレニルシクロヘキセノン化合物を単独で又は2種以上を用いる香料組成物は、クミンオイル様の香気を提供することができる。

Claims (10)

  1. 一般式(1)で表されるβ−ケトエステル:
    Figure 0004950633
    と、一般式(2)で表されるα,β−不飽和アルデヒド:
    Figure 0004950633
    とを、塩基性化合物の存在下で反応させ、一般式(3)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノン系化合物:
    Figure 0004950633
    とし、該化合物を還元剤の存在下で還元させて得られる、一般式(4)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノール系化合物:
    Figure 0004950633
    の製造方法。
    (式中、R1及びR2は、各々独立して、水素、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、R3は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示す。)
  2. 前記のR1が、メチル基、エチル基、又はプロピル基である請求項1に記載のカンフォレニルシクロヘキセノール系化合物の製造方法。
  3. 前記の塩基性化合物が金属アルコキシドである請求項1又は2に記載のカンフォレニルシクロヘキセノール系化合物の製造方法。
  4. 前記の金属アルコキシドが、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウムターシャリーブトキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項3に記載の製造方法。
  5. 一般式(5)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノン化合物。
    Figure 0004950633
    (式中、R4は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、R5は水素又はR4で表される置換基を示す。)
  6. 4がメチル基、エチル基又はプロピル基である請求項5に記載のカンフォレニルシクロヘキセノン化合物。
  7. 一般式(6)で表されるカンフォレニルシクロヘキセノール化合物。
    Figure 0004950633
    (式中、R4は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、R5は水素又はR4で表される置換基を示す。)
  8. 4がメチル基、エチル基又はプロピル基である請求項7記載のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物。
  9. 一般式(7)で表される、カンフォレニル基と水酸基とがシス配座の関係にあるシス体化合物である請求項7又は8に記載のカンフォレニルシクロヘキセノール化合物。
    Figure 0004950633
    (式中、R4は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、R5は水素又はR4で表される置換基を示す。)
  10. 請求項5〜9に記載のカンフォレニルシクロヘキセノン化合物又はカンフォレニルシクロヘキセノール化合物を単独で又は2種以上含む香料組成物。
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