JP4948399B2 - 末梢動脈疾患についてのバイオマーカー - Google Patents

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Description

(発明の背景)
アテローム性動脈硬化症は、血管内皮細胞の管腔壁上の脂質−フィブリンプラークの蓄積である。アテローム斑(動脈硬化性プラーク)の存在は、標的器官への血流を大きく減少させ、罹患および死亡をもたらす。アテローム斑の分布は冠動脈および末梢循環(最も一般的には、下肢)へ広く分布する。ある個体は主に、冠動脈(冠動脈疾患「CAD」を生じる)において、末梢動脈(末梢動脈疾患「PAD」を生じる)において、主に影響を受けるが、他の個体は両方の領域で実質的に影響される。PADの危険因子としては、喫煙、高脂血症、高血圧、糖尿病および家族歴などが挙げられる。未処置のPADは、運動性の低下、潰瘍、壊疽をもたらし得、そして最終的に罹患した四肢の切断を必要とし得る。
正常な生理学的応答に存在する代償性の機構のせいで、CADおよびPADからの臨床的な症状は、疾患が重度のレベルに進行するまで患者自身には気付かれないかもしれない。有効なスクリーニング試験は存在しない。CADおよびPADの両方とも、血管造影法のような侵襲性の技術を用いて定量され得る。PADは、ドップラー超音波を用いて足関節上腕血圧比(「ABI」)を測定して定量され得るが、これには、圧力の収縮期測定値の上肢対下肢における比を算出する工程を必要とする。ほとんどの健康な個体では、この比は1に近い(すなわち、0.90以上)が、0.90未満の比を有する患者は、PADと診断される。一般には、比が低いほど、疾患はさらに重度になる。
足関節上腕血圧比の測定は一般には行われず、PADの診断は十分に行われない。さらに、PADを有する患者のうち20%より多くを構成する糖尿病を有する患者では、血管圧縮率が劣ることでABI試験が偽因性になり得る。さらに、ABIでは、運動の間および後にLC患者によって経験される疼痛の減少によって少なくとも測定されるとおり、ある程度軽度の形態のPADを有し得る長期跛行性の(long claudicator)(「LC」)PAD患者と、PAD患者とが正確には識別されない。PADは、初期に診断した場合、疾患の進行を遅らせる処置が効き易い。従って、PADを効果的にかつ正確に診断する改良されたツールの必要性が存在する。詳細には、PADの血液検査は、慣用的な臨床設定で行うことができるので有用である。
(発明の要旨)
本発明は、バイオマーカーであってその血漿中の濃度が、血漿サンプルを採取する患者におけるPADの有無と関連している、バイオマーカーを提供する。本発明はまた、長期跛行性であるPAD患者とそうでないPAD患者とを識別するためのバイオマーカーを提供する。さらに、本発明は、さらなるバイオマーカーを同定するための方法、患者においてバイオマーカーを検出するための方法、およびバイオマーカーと相互作用して、患者におけるPADを予防または処置するために有用である、薬学的因子を含む、因子を同定するための方法を提供する。本発明は、PADと特異的に関連しているバイオマーカーを記載するが、これらのマーカーはまたCADとも関連し得る。なぜならPADはCADと多くの病態生理学的なおよび臨床的な特徴を共有するからである。
本発明は、PADを有する被験体において、詳細にはPAD対正常な被験体において示差的に存在するポリペプチドベースのバイオマーカーを提供する。さらに本発明は、被験体における疾患を特徴付けするためにポリペプチドベースのバイオマーカーを用いる方法を提供する。

従って、1局面では、本発明は、被験体におけるPAD状態を特徴付けするための方法であって:(a)この被験体由来の生物学的サンプル中における少なくとも1つのバイオマーカーを測定する工程であって、この少なくとも1つのバイオマーカーが、本明細書に記載の表1A、1B、2、3、4、5、6および18のバイオマーカーからなる群より選択される工程と;(b)この測定値とPAD状態とを相関させる工程とを包含する方法、を提供する。1実施形態では、このサンプルは血漿である。好ましい実施形態では、このバイオマーカーは、表1Aまたは1Bから選択される。さらに好ましい実施形態では、このバイオマーカーは、表1Aから選択される。別の好ましい実施形態では、このバイオマーカーは、アルブミン、フェチュイン、アルブミンの三電荷二量体、トランスサイレチン、α1B糖タンパク質およびα1アンチトリプシンの二量体からなる群より選択される。関連の実施形態では、アルブミン、フェチュイン、アルブミンの三電荷二量体、トランスサイレチン、α1B糖タンパク質およびα1アンチトリプシンの群から選択されるバイオマーカーの各々を測定する。さらに別の関連の実施形態では、このバイオマーカーは、本明細書に記載される表18に列挙されるバイオマーカーからなる群より選択される。

別の実施形態では、上記の生物学的サンプルは、運動の前、直後および2時間後に被験体から採取される。好ましい実施形態では、この運動は約15分におよぶトレッドミル運動である。
さらに別の実施形態では、運動の直後に採取されるサンプル中のバイオマーカーの測定値は、表2に列挙される群からのバイオマーカーの測定値である。関連の実施形態では、測定値は好ましくは、IgGのκ鎖、トランスサイレチンおよびM23651.9からなる群由来のバイオマーカーからとられる。関連の実施形態では、これらの3つのバイオマーカーの各々が測定される。
さらに別の実施形態では、運動の2時間後に採取されたサンプル中のバイオマーカーの測定は、表3に列挙される群からのバイオマーカーの測定である。好ましい実施形態では、運動の2時間後に採取されたサンプル中のバイオマーカーの測定は、M75053.2、M18183.9およびM11950.4からなる群由来のバイオマーカーの測定である。関連の実施形態では、これらのバイオマーカーの各々が測定される。
さらに別の実施形態では、サンプルは、運動の前、直後および2時間後に被験体から採取され、そして表1、2および3由来のバイオマーカーはそれぞれ、各々のサンプルにおいて測定される。
別の実施形態では、本発明は、被験体におけるPAD状態を特徴付けするための方法であって、表4、5または6由来のバイオマーカーを測定する工程を包含し、このバイオマーカーが、被験体由来の少なくとも2つのサンプルにおいて測定され、そのサンプル1つが運動の直後または2時間後の被験体から採取される、方法を提供する。

さらに別の実施形態では、サンプルを採取する被験体がPADについてのリスクにある。関連の実施形態では、PADについてのリスクのある被験体は、タバコを吸う、高脂血症を有する、高血圧、糖尿病を有するか、または末梢動脈疾患の履歴を有する家族に属する。
本発明はまた、キットであって:固体支持体であってそこに結合された少なくとも1つの捕獲試薬を含み、この捕獲試薬が、表1A、1B、2、3、4、5、6および18のバイオマーカーからなる群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーに結合する、固体支持体と;少なくとも1つのバイオマーカーを含む容器とを備える、キットを提供する。
他の好ましい実施形態は、本明細書のいずれかに、そして特許請求の範囲に記載される。本発明のさらなる特徴、目的および利点およびその好ましい実施形態は、以下の詳細な説明、実施例および特許請求の範囲から明らかになる。
(発明の詳細な説明および好ましい実施形態)
(I.序)
バイオマーカーは、別の表現型状態(例えば、正常な疾患でない患者)と比較した、ある表現型状態(例えば、PADのような疾患を有する)の被験体から採取したサンプルに示差的に存在する有機生体分子である。異なる群におけるバイオマーカーの平均または中央値発現レベルが統計学的に有意であると計算される場合に、バイオマーカーは、種々の表現型状態の間に示差的に存在する。統計学的な有意性の一般的な試験としては、とりわけ、t検定、ANOVA、クラスカル−ワリス、ウィルコクスン、マン−ホイットニー、マイクロアレイ有意性分析およびオッズ比が挙げられる。バイオマーカーは単独で、または組み合わせて、被験体が1つの表現型状態または別の状態に属する相対的リスクの測定を与える。従って、それらは、疾患(診断)、薬物の治療有効性(テラノスティック(theranostics))および薬物毒性のマーカーとして有用である。
(II.PADのバイオマーカーの同定)
(A.研究デザイン)
本発明は、正常である被験体(すなわち、PADに罹患していない被験体)に対してPADを有する被験体に示差的に存在するポリペプチドベースのバイオマーカーを提供する。それらは、質量分析法によって決定されるような質量対電荷の比によって、それらの飛行時間質量分析におけるスペクトルピークの形状によって、そして吸着表面に対するそれらの結合特徴によって特徴付けられる。これらの特徴は、特定の検出された生体分子が本発明のバイオマーカーであるか否かを決定するための1方法を提供する。これらの特徴は、生体分子の固有の特徴を反映するので、この生体分子は、他のプロセスを用いて識別され得る。1局面では、本発明は、これらのバイオマーカーを単離された形態で提供する。
バイオマーカーは、Ciphergen Biosystems,Inc.(Fremont,CA)(「Ciphergen」)のProteinChipアレイを使用するSELDI技術を用いて開発された。この研究設定は、PADの患者20例および11の年齢の適合した対照群から構成された。PAD群に入れられた被験体は、0.9未満の足関節上腕血圧比を有する被験体であった。全ての被験体が、Skinner−Gardnerプロトコール(Gardner AWら、Med Sci Sports Exerc.,24:163〜170(1992))に従うトレッドミル試験を受けた。要するに、被験体は、1時間に2マイルで作動している平坦なトレッドミルで歩くことを求められた。トレッドミルの速度は、2分ごとに2%増大した。被験体は、足の跛行が始まった時点を示すように、次に疼痛に耐えられる限り歩くように指示された。PADを有する20例の患者のうち4例が、12分より長い絶対跛行時間のせいで長期跛行(long claudicator)(「LC」)であると規定された。すなわちLC被験体は、歩行によって誘発される疼痛に対して、PAD群の他のメンバーよりも長期間耐容可能であった。
各々の群における各々の参加者について、3つの血漿サンプルを各々の参加者について分析した:ベースラインのサンプル(運動前)、運動のトレッドミル試験の直後にとったサンプル、および運動のトレッドミル試験の2時間後にとった第三のサンプル。従って、全部で93の血漿サンプルを分析した。各々の血漿サンプルをQhyperDFカラムでの分画に供した。分画後、選択された画分を、本明細書に記載のとおり、CiphergenのIMAC30またはCM10 ProteinChipを用いて分析した。サンプル中のポリペプチドのスペクトルをCiphergen PBSII質量分析計での飛行時間質量分析によって作成した。このようにして得たスペクトルを、Biomarker Wizardを備えるCiphergen Expresstm Data Manager SoftwareおよびCiphergen Biosystems,Inc.のBiomarker Pattern Softwareによって分析した。
(B.研究サンプルを用いるバイオマーカー検出)
本発明のバイオマーカーの検出のための好ましいプロトコールは以下のとおりである。好ましくは、試験されるべき生物学的サンプル、例えば、血漿は、SELDI分析の前に事前分画に供する。これによってサンプルは簡略化され、そして感度が改善される。事前分画の好ましい方法は、Q HyperD(BioSepra,SA)またはC4シリカゲルのようなアニオン交換クロマトグラフィー物質とこのサンプルとを接触させる工程を包含する。次いでこの結合した物質をpH9、pH7、pH5およびpH4での緩衝液を用いる段階的なpH溶出に供する(以下の材料および方法のセクションにおける詳細なプロトコールを参照のこと)。バイオマーカーが溶出される画分は、表および図1に示される。バイオマーカーを含む画分を収集する。
次いで、この事前分画したサンプルを、親水性吸着剤(好ましくはNP20 ProteinChipアレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.))または金属キレート(例えば、IMAC)吸着剤(好ましくはIMAC30 ProteinChipアレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.))またはカチオン交換吸着剤(好ましくはCM10 ProteinChipアレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.))を含む親和性捕獲プローブと接触させる。このプローブを、未結合の分子を洗い流しながら、バイオマーカーを保持する緩衝液で洗浄する。例えば、IMAC30チップに適切な洗浄としては、限定はしないが、500mM NaClを補充された50mM Tris pH8.0などが挙げられる。NP20 ProteinChipについては、適切な洗浄緩衝液としては、限定はしないが、5mM Hepes pH7.0および脱イオン水などが挙げられる。CM10 ProteinChipについては、適切な洗浄液としては、限定はしないが、100mM酢酸アンモニウムpH4.0などが挙げられる。このバイオマーカーは、レーザー脱離/イオン化質量分析によって検出される。
あるいは、このバイオマーカーを認識する抗体が利用される場合、これらの抗体は、事前活性化PS10またはPS20 ProteinChipアレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.)のようなプローブの表面に結合され得る。この抗体は、プローブ表面上にサンプル由来のバイオマーカーを捕獲し得る。次いで、このバイオマーカーは、例えば、レーザー脱離/イオン化質量分析によって検出され得る。同様に、正常な被験体に比較してPAD患者では、そのインビボの濃度または活性が変化することが以前に観察されているタンパク質に対する抗体もプローブ表面に結合され得る。このような抗体としては、C反応性タンパク質、血清アルブミンまたはアポリポプロテインA1などが挙げられる。
実施例に記載されるとおり、3つの群全てにまたがる特定の時点でピーク強度を比較するためにクラスカル−ワリス検定を用いて単変量解析を行なった:(1)コントロールまたは「正常な」被験体;(2)PADを有する被験体、そして(3)これも長期跛行であるPADを有する被験体(「長期跛行PAD(long claudicator PAD)」。所定の時点(例えば、上記のように、ベースライン(運動前)、運動直後、または運動の2時間後)で3つの患者群全てを比較するためにクラスカル−ワリス検定を用いた。例えば、特定のバイオマーカーについてクラスカル−ワリス検定で得られた0.05以下のp値は、ある所定の時点(例えば、運動前)、所定のチップ(例えば、IMAC30チップ)において、このバイオマーカーが、別の群に対してある患者群で有意に高濃度または低濃度で特定の画分(例えば、QHyperDFカラムの画分4)で見出され得ることを示す。
このクラスカル−ワリス検定はまた、各々の患者群においてピークの相違を経時的に分析するために用いられた。この分析では、特定のバイオマーカーについてクラスカル−ワリス検定で得られた0.05以下のp値は、特定の患者状態(例えば、PADを有する被験体)について、所定のチップ(例えば、IMAC30チップ)において、このバイオマーカーが、別の時点に対してある時点で有意に高濃度または低濃度で特定の画分(例えば、QHyperDFカラムの画分4)で見出され得る(例えば、このバイオマーカーに関連するピークの強度は、運動前に対して運動の2時間後に有意に増大され得る)ことを示す。
また、特定の時点で2つの群で観察されるピークを直接比較するためには、または特定の群における2つの時点で観察されたピークを直接比較する場合は、マン−ホイットニー検定を用いた。
結局、マイクロアレイ有意性分析(Significance Analysis for Microarrays)ソフトウェア(「SAM」)を用いて、有意なピークを特定した。SAMは、Tusher Vら、Proc. Natl. Acad. Sci.,98:5116〜5124(2001)に詳細に記載される。
本明細書に提供される表は、バイオマーカーであってその濃度が、上述の検定を用いて決定された場合、患者群の間で、または患者群内の時点の間で有意に(すなわち、p≦0.05)変化しているバイオマーカーを列挙する。各々のバイオマーカーについては、この表は、質量対電荷(m/z)比、p値、アレイタイプ、ビーム強度(高いかまたは低い)、このバイオマーカーが見出されるプロファイリングカラムからの画分、および各々のピークについての相対的な平均ピーク強度が、コントロールサンプル(例えば、非PAD被験体または運動前の被験体)におけるバイオマーカーの平均強度読み取りに対して上方制御されるか、または下方制御されるかを示す。m/z値は、特定のピークについての平均読み取りである。例えば、表1Bは、運動前の時点で観察された特定の有意なピークを編集する(p値<0.05)。低エネルギーで読み取った、IMAC30チップでの画分1における運動前時点で観察された約5.487kDのピークは、約0.013のp値を有する。表7に言及すれば、このピークで観察される平均強度は、正常な運動前群では16.9、長期跛行(LC)群では26.7、そしてPAD群では11.3であった。
表1〜3は、有意な強度を有するピークが観察され得るバイオマーカーおよび条件を集めており、ここでこの有意差は、3つの患者群(すなわち、正常、長期跛行PAD、およびPAD)の間で、特定の時点でのピーク相違のクラスカル−ワリス分析によって決定される。詳細には、表1Aには、運動前(ベースライン)時点でPAD状態を特徴付けするために用いられ得る、p値<0.01であるバイオマーカーを集めている。同様に表1Bは、運動前(ベースライン)時点でPAD状態と相関され得る、p値<0.05未満であるバイオマーカーを集めている。表2は、トレッドミル運動を完了した直後の患者から採取したサンプルを用いて、PAD状態を特徴付けするために用いられ得る、好ましいp値<0.01であるバイオマーカー、およびp値<0.05未満であるバイオマーカーを集めている。表3は、トレッドミル運動を完了したほぼ2時間後の患者から採取したサンプルを用いて、PAD状態を特徴付けするために用いられ得る、好ましいp値<0.01を有するバイオマーカー、およびp値<0.05であるバイオマーカーを集めている。

表1〜3と同様に、表4〜6はまた、有意な強度を有するピークが観察され得るバイオマーカーおよび条件を集めており、この有意差は、患者の群内で2つの時点の間のピーク相違のクラスカル−ワリス分析によって決定される。表4〜6のバイオマーカーは、その血漿中濃度がトレッドミル運動の直後にまたはトレッドミル運動の2時間後に有意に変化するバイオマーカーである。詳細には、表4には、バイオマーカーであってその正常な(非PAD)患者における濃度が、トレッドミル運動の直後(「IMM」)または約2時間後(「2HR」)に有意に変化するバイオマーカーを集めている。表5には、バイオマーカーであってその長期跛行PAD患者における濃度が、この長期跛行PAD患者がトレッドミル運動を耐容した直後または約2時間後に有意に変化するバイオマーカーを集めている。表6は、バイオマーカーであってそのPAD患者における濃度が、トレッドミル運動の直後または約2時間後に有意に変化するバイオマーカーを集めている。
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選択されたバイオマーカーについて、各々の被験体について測定されたピーク強度は図1にグラフ表示される。図1に示されるとおり、試験被験体においてPAD状態を特徴付けするためには、患者の群間のバイオマーカーの相対的な濃度、または記載された運動レジメンの経過中の変化のいずれを臨床家によって用いてもよい。

本発明のバイオマーカーは、Ciphergen Biosystems,Inc.,PBS II質量分析計で作成された質量スペクトルから決定された。この装置は、約+/−0.15パーセントの質量正確度を有する。さらに、この装置は、約400〜1000m/dmの質量分解能を有し、ここでmは質量であり、そしてdmは0.5ピーク高さの質量スペクトルピーク幅である。このバイオマーカーの質量対電荷比は、Biomarker Wizardtmソフトウェア(Ciphergen Biosystems,Inc.)を用いて決定した。Biomarker Wizardは、PBSIIによって決定されたとおり、分析した全てのスペクトル由来の同じピークの質量対電荷比をクラスター形成すること、このクラスター中で最大および最小の質量対電荷比をとること、および2で割ることによって、あるバイオマーカーに対して質量対電荷比を割り当てる。従って、得られた質量は、これらの諸元を反映する。
表1〜6に記載されるバイオマーカーについて測定された平均ピーク強度は、表7〜17に示され、そして実施例のセクションにさらに記載される。表18は、SAM検定を用いて有意であると確認された種々の時点由来のバイオマーカーを集めている(Tusher Vら、Proc. Natl. Acad. Sci.,98:5116〜5124(2001))。
特定のピークについて観察された強度の変化は、患者でのPAD状態を特徴付けするために用いられ得る。例えば、画分4では、CM10アレイを用いて、約66kDのアルブミンバイオマーカーは、正常な患者で運動後に増大することが観察される。対照的に、LC患者では、そして特にPAD患者では、運動後のこの66kDのバイオマーカーの強度の増大は、実質的に減少される。同様に、画分4における約42kDのタンパク質に相当するピークの強度は、トレッドミル運動後の正常患者およびLC患者において減少するが、PAD被験体では有意に変化しないことが観察される。他方では、13.9kDのトランスサイレチンバイオマーカーと関連したピーク強度は、運動の関数として実質的に変化しないが、運動にかかわらず正常な被験体およびPAD被験体に対してLC被験体では実質的に増大され、このことはこのタンパク質の機能的能力における潜在的な役割を反映している。

アルブミンバイオマーカーに関して、このデータによって、種々の形態の種々の条件下で同じマーカーが同定され得る方法が示される。例えば、PAD患者は慢性の酸化的ストレスの状態にあるという見解と一致して、アルブミンが休止期におけるPAD被験体において過剰発現されることが、表18によって示される。アルブミンバイオマーカーは、高強度で読み取られるCM10チップにおいて、66kDの単荷電単量体または44kDの三荷電二量体として観察され得る。同様に、アルブミンバイオマーカーの過剰発現は、休止中の被験体から採取したサンプルにおける状態の特定の設定下で22kDまたは33kDの3つまたは2つ荷電したアルブミン単量体として検出され得、そして同様に被験体におけるPADの確率の増大と相関する。本明細書において記載されるとおり、当業者は、被験体におけるアルブミンバイオマーカー(または任意の他の同定されたバイオマーカー)の過剰発現が、種々の方法を用いて検出され得ることを認識する。この方法は、バイオマーカー、例えば、バイオマーカーエピトープ(バイオマーカーの翻訳後改変部分を含む)または1つ以上のバイオマーカー単量体を含むタンパク質複合体の種々の局面を認識する。
本発明のバイオマーカーは、質量対電荷比、結合特性およびスペクトル形状(例えば、図2)によって特徴付けられるので、それらのバイオマーカーは、それらの特異的な同一性を知ることなく、質量分析によって決定され得る。しかし、所望の場合、その同一性が同定されていないバイオマーカーは、例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列を決定することによって同定され得る。例えば、バイオマーカーは、トリプシンまたはV8プロテアーゼのような多数の酵素でのペプチドマッピングであってもよく、そして消化フラグメントの分子量は、種々の酵素によって生成される消化フラグメントの分子量に適合する配列についてデータベースを検索するために用いられ得る。あるいは、タンパク質バイオマーカーは、タンデム型質量分析(MS)を用いて配列決定され得る。この方法では、このタンパク質は、例えば、ゲル電気泳動によって単離される。バイオマーカーを含むバンドは切断されて、タンパク質はプロテアーゼ消化に供される。個々のタンパク質フラグメントは、初回の質量分析によって分離される。次いで、このフラグメントを衝突誘発冷却に供して、このペプチドを断片化して、ポリペプチドのラダーを生成する。次いでポリペプチドラダーを、タンデムMSの第二の質量分析によって分析する。ポリペプチドラダーのメンバーの質量における相違によって、配列におけるアミノ酸が同定される。あるタンパク質全体をこの方法で配列決定してもよいし、または配列フラグメントをデータベースマイニングに供して同一性候補物を見出してもよい。
バイオマーカーの検出のための好ましい生物学的供給源は血漿である。しかし他の実施形態では、バイオマーカーは、他の体液および組織、例えば、血漿、脊髄液、尿、***などで検出され得る。
本発明のバイオマーカーは生体分子である。従って、本発明は、これらの生体分子を単離された形態で提供する。このバイオマーカーは、血漿、血清または脊髄液のような生物学的な液体から単離されてもよい。それらのバイオマーカーは、それらの質量および結合特徴の両方に基づいて、当該分野で公知の任意の方法によって単離され得る。例えば、生体分子を含むサンプルは、本明細書に記載のようなクロマトグラフィー分画に供されてもよく、そして例えば、アクリルアミドゲル電気泳動によるさらなる分離に供されてもよい。バイオマーカーの同一性の知識によってまた、免疫親和性クロマトグラフィーによるそれらの単離が可能になる。
(III.PADの状態を特徴付けするためのバイオマーカーの検出)
本発明のバイオマーカーは、任意の適切な方法によって検出され得る。この目的を達成するために使用され得る検出パラダイムとしては、視覚的方法、電気化学的方法(ボルタンメトリおよび電流測定技術)、原子間力顕微鏡および高周波方法、例えば、多極共鳴分光法などが挙げられる。共焦点顕微鏡および非共焦点顕微鏡の両方の顕微鏡に加えて、例示的な光学的方法は、蛍光、発光、化学発光、吸光度、反射率、透過率および複屈折、または屈折率の検出である(例えば、表面プラスモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー方法、格子結合器導波管法または干渉法)。

1実施形態では、サンプルは、バイオチップの方法で分析される。バイオチップは一般に、固体基板を含み、一般には平坦な表面を有し、ここに対して捕獲試薬(吸着剤または親和性試薬とも呼ばれる)が結合される。バイオチップの表面は高頻度に、複数のアドレス可能な位置を含み、その各々がそこに結合される捕獲試薬を有する。
「タンパク質バイオチップ(protein biochip)」とは、ポリペプチドの捕獲のために適合したバイオチップをいう。多くのタンパク質バイオチップが当該分野で記載される。これらとしては、例えば、Ciphergen Biosystems,Inc.(Fremont,CA)、Packard BioScience Company(Meriden CT)、Zyomyx(Hayward,CA)、Phylos(Lexington,MA)およびBiacore(Uppsala,Sweden)によって製造されるタンパク質バイオチップなどが挙げられる。このようなタンパク質バイオチップの例は、以下の特許または公開特許出願に記載される:米国特許第6,225,047号;PCT国際公開番号WO 99/51773;米国特許第6,329,209号、PCT国際公開番号WO 00/56934および米国特許第5,242,828号。
(A.質量分析による検出)
好ましい実施形態では、本発明のバイオマーカーは、気相イオンを検出するために質量分析計を使用する方法である質量分析によって検出される。質量分析の例は、飛行時間、磁場セクター、四極フィルター、イオントラップ、イオンサイクロトロン共鳴、静電セクターアナライザーおよびこれらのハイブリッドである。
さらなる好ましい方法では、質量分析は、レーザー脱離/イオン化質量分析である。レーザー脱離/イオン化質量分析では、分析物は、質量分析プローブであって、質量分析計のプローブの接触面に係合して、質量分析計へのイオン化および導入のためのイオン化エネルギーへ分析物を呈示するために適合されたデバイスである質量分析プローブの表面に置かれる。レーザー脱離質量分析計は、代表的には紫外レーザー由来のレーザーエネルギーを使用するが、赤外レーザー由来のレーザーエネルギーもまた使用して、表面から分析物を脱離させ、それらを揮発させてイオン化させ、そして質量分析計のイオン光学に利用可能にさせる。
(1.SELDI)
本発明における使用のための好ましい質量分析技術は、例えば、両方ともHutchensおよびYipの米国特許第5,719,060号および同第6,225,047号に記載されるような「Surface Enhanced Laser Desorption and Ionization」すなわち「SELDI」である。これは、脱離/イオン化気相イオン分光計(例えば、質量分析)の方法をいい、ここでは分析物(ここでは1つ以上のバイオマーカー)は、SELDI質量分析プローブの表面上に捕獲される。SELDIにはいくつかのバージョンが存在する。
SELDIの1つのバージョンは、「親和性捕獲質量分析(affinity capture mass spectrometry)」と呼ばれる。これは、「表面増強親和性捕獲(Surface−Enhanced Affinity Capture)」または「SEAC」とも呼ばれる。このバージョンは、物質と分析物との間の非共有的な親和性相互作用(吸着)を通じて分析物を捕獲する、プローブ表面上に物質を有するプローブの使用を包含する。この物質は、「吸着(adsorbent)」、「捕獲試薬(capture reagent)」、「親和性試薬(affinity reagent)」または「結合部分(binding moiety)」と種々に呼ばれる。このようなプローブは、「親和性捕獲プローブ(affinity capture probe)」として、そして「吸着表面(adsorbent surface)」を有するとして言及され得る。この捕獲試薬は、分析物に結合し得る任意の物質であってもよい。この捕獲試薬は、選択性表面の基板に直接結合されてもよいし、またはこの基板は、例えば、共有結合または配位共有結合を形成する反応を通じて、捕獲試薬に結合し得る反応性部分を担持する反応性表面を有してもよい。エポキシドおよびカルボジイミジゾールは、抗体または細胞レセプターのようなポリペプチド捕獲試薬に共有結合するのに有用な反応性部分である。ニトリロ酢酸およびイミノ二酢酸は、ヒスチジン含有ペプチドと非共有結合的に相互作用する金属イオンに対して結合するキレート剤として機能する有用な反応性部分である。吸着剤は一般に、クロマトグラフィー吸着剤および生体特異的な吸着剤に分類される。
「クロマトグラフィー吸着(chromatographic adsorbent)」とは、クロマトグラフィーで代表的に用いられる吸着物質をいう。クロマトグラフィー吸着剤としては、例えば、イオン交換物質、金属キレーター(例えば、ニトリロ酢酸またはイミノ二酢酸)、固定された金属キレート、疎水性相互作用吸着剤、親水性相互作用吸着剤、色素、単純な生体分子(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、単糖および脂肪酸)および混合方式の吸着剤(例えば、疎水性誘引/静電反発吸着剤)などが挙げられる。
「生体特異的吸着剤(biospecific adsorbent)」とは、生体分子、例えば、核酸分子(例えば、アプタマー)、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂質、ステロイドまたはこれらの結合体(例えば、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、核酸(例えば、DNA)−タンパク質結合体)を含む吸着剤をいう。特定の場合には、二価特異的な吸着剤は、多タンパク質複合体、生物学的膜またはウイルスのような高分子構造であってもよい。生体特異的な吸着剤の例は、抗体、レセプタータンパク質および核酸である。生体特異的吸着剤は代表的には、クロマトグラフィー吸着剤よりも標的分析物についてより高い特異性を有する。SELDIにおける使用のための吸着剤のさらなる例は、米国特許第6,225,047号に見出され得る。「生体選択性吸着剤(bioselective adsorbent)」とは、少なくとも10−8Mの親和性で分析物に結合する吸着剤をいう。
Ciphergen Biosystems,Inc.によって製造されたタンパク質バイオチップは、そこに対してアドレス可能な位置で結合されたクロマトグラフィー吸着剤または生体特異的吸着剤を有する表面を備える。Ciphergen ProteinChip(登録商標)アレイとしては、NP20(親水性);H4およびH50(疎水性);SAX−2、Q−10およびLSAX−30(アニオン交換);WCX−2、CM−10およびLWCX−30(カチオン交換);IMAC−3、IMAC−30およびIMAC40(金属キレート);およびPS−10、PS−20(カルボイミジゾールとの反応性表面、エポキシド)、およびPG−20(カルボイミジゾールを通じてカップリングされたプロテインG)などが挙げられる。疎水性ProteinChipアレイは、イソプロピルまたはノニルフェノキシ−ポリ(エチレングリコール)メタクリレート官能基を有する。アニオン交換ProteinChipアレイは、四級アンモニウム官能基を有する。カチオン交換ProteinChipアレイは、カルボキシル化官能基を有する。固定された金属キレートProteinChipアレイは、キレート化によって、遷移金属イオン、例えば、銅、ニッケル、亜鉛およびガリウムを吸着するニトリロ酢酸官能基を有する。事前活性化ProteinChipアレイは、共有結合のためにタンパク質上の基と相互作用し得るカルボイミジゾールまたはエポキシド官能基を有する。
このようなバイオチップはさらに、以下に記載される:米国特許第6,579,719号(HutchensおよびYip、「Retentate Chromatography」、2003年6月17日);PCT国際公開番号WO 00/66265(Richら、「Probes for a Gas Phase Ion Spectrometer」、2000年11月9日);米国特許第6,555,813号(Beecherら、「Sample Holder with Hydrophobic Coating for Gas Phase Mass Spectrometer」、2003年4月29日);米国特許出願公開第2003 0032043号A1(PohlおよびPapanu、「Latex Based Adsorbent Chip」、2002年7月16日);およびPCT国際公開番号WO 03/040700(Umら、「Hydrophobic Surface Chip」、2003年5月15日);米国仮特許出願第60/367,837号(Boschettiら、「Biochips With Surfaces Coated With Polysaccharide−Based Hydrogels」、2002年5月5日)、および「Photocrosslinked Hydrogel Surface Coatings」と題された米国特許出願(Huangら、2003年2月21日出願)。
一般には、サンプルに存在し得るバイオマーカー(単数または複数)が吸着剤に結合することを可能にするのに十分な期間にわたって、吸着表面を有するプローブをサンプルと接触させる。インキュベーション期間後、基板を洗浄して未結合の物質を除く。任意の適切な洗浄溶液を用いてもよい;好ましくは水溶液を使用する。分子が結合したままである程度は、洗浄のストリンジェンシーを調節することによって操作され得る。洗浄溶液の溶出特徴は、例えば、pH、イオン強度、疎水性、カオトロピズムの程度、界面活性剤強度および温度に依存し得る。プローブがSEACおよびSEND特性(本明細書に記載されるとおり)の両方を有しないならば、次にエネルギー吸着分子を、結合されたバイオマーカーを有する基板に加える。
基板に結合したバイオマーカーは、飛行時間質量分析計のような気相イオン分光計で検出される。バイオマーカーは、レーザーのようなイオン源によってイオン化されて、生成されたイオンは、イオンの視覚的アセンブリによって収集され、次いで質量分析装置が通過するイオンを分散させて分析する。次いで検出器は検出されたイオンの情報を質量対電荷比へ変換する。バイオマーカーの検出は、代表的にはシグナル強度の検出を包含する。従ってバイオマーカーの量および質量の両方が測定され得る。
SELDIの別のバージョンは、Surface−Enhanced Neat Desorption(SEND)であり、これはプローブ表面(「SENDプローブ」)に化学的に結合されるエネルギー吸収分子を含むプローブの使用を包含する。「エネルギー吸収分子(energy absorbing molecules)」(EAM)という句は、レーザー吸着/イオン源からのエネルギーを吸収し得、その後にそれと接触している分析物分子の脱離およびイオン化に寄与する分子を意味する。EAMカテゴリーとしては、「マトリックス(matrix)」と頻繁に呼ばれる、MALDIに用いられる分子などが挙げられ、そして桂皮酸誘導体、シナピン酸(SPA)、シアノ−ヒドロキシ−桂皮酸(CHCA)およびジヒドロキシ安息香酸、フェルラ酸およびヒドロキシアセトフェノン誘導体によって例証される。特定の実施形態では、エネルギー吸収分子は、直線状ポリマーまたは架橋ポリマー、例えば、ポリメタクリレートに組み込まれる。例えば、この組成物は、α−シアノ−4−メタクリロイルオキシ桂皮酸およびアクリレートのコポリマーであってもよい。別の実施形態では、この組成物は、α−シアノ−4−メタクリロイルオキシ桂皮酸、アクリレートおよび3−(トリ−エトキシ)シリルプロピルメタクリレートのコポリマーである。別の実施形態では、この組成物は、α−シアノ−4−メタクリロイルオキシ桂皮酸、およびオクタデシルメタクリレート(「C18 SEND」)のコポリマーである。SENDはさらに、米国特許第6,124,137号およびPCT国際公開番号WO 03/64594(Kitagawa、「Monomers And Polymers Having Energy Absorbing Moieties Of Use In Desorption/Ionization Of Analytes」、2003年8月7日)に記載される。
SEAC/SENDは、捕獲試薬およびエネルギー吸収分子の両方がサンプル呈示表面に結合されているバージョンのSELDIである。従って、SEAC/SENDプローブによって、親和性捕獲を通じた分析物の捕獲、および外部マトリックスを加える必要のないイオン化/脱離が可能になる。C18 SENDバイオチップは、SEAC/SENDのあるバージョンであり、これは、捕獲試薬として機能するC18部分、およびエネルギー吸収部分として機能するCHCA部分を含む。
Surface−Enhanced Photolabile Attachment and Release(SEPAR)と呼ばれる、別のバージョンのSELDIは、表面に結合された部分を有するプローブの使用であって、分析物に共有結合し得、次に光に、例えばレーザー光に対する曝露後にこの部分における感光性結合の破壊を通じてこの分析物を放出する、表面に結合された部分を有するプローブの使用を包含する(米国特許第5,719,060号を参照のこと)。SEPARおよびSELDIの他の形態は、本発明に従って、バイオマーカーまたはバイオマーカーのプロフィールを検出する工程に容易に適合される。
(2.他の質量分析方法)
別の質量分析方法では、このバイオマーカーは、バイオマーカーに結合するクロマトグラフィー特性を有するクロマトグラフィー樹脂上に最初に捕獲され得る。本発明の実施例では、これは、種々の方法を含み得る。例えば、当業者は、CM Ceramic HyperD F樹脂のようなカチオン交換樹脂上にバイオマーカーを捕獲し、この樹脂を洗浄し、バイオマーカーを溶出して、MALDIによって検出してもよい。あるいは、この方法は、カチオン交換樹脂に対して加える前にアニオン交換樹脂上でサンプルを分画することによって進行され得る。別の代替では、当業者は、アニオン交換樹脂上で分画して、MALDIによって直接検出してもよい。さらに別の方法では、当業者は、バイオマーカーに結合する抗体を含む免疫クロマトグラフィー樹脂上にバイオマーカーを捕獲し、この樹脂を洗浄して未結合の物質を取り除き、この樹脂からバイオマーカーを溶出させ、そしてMALDIによってまたはSELDIによって、溶出されたバイオマーカーを検出し得る。
(3.データ分析)
飛行時間質量分析による分析物の分析によって、飛行時間スペクトルが生成される。最終的に分析されたこの飛行時間スペクトルは、代表的には、サンプルに対してイオン化エネルギーの単一パルスからのシグナルを呈示するのではなく、多数のパルスからのシグナルの合計を呈示する。これによって、ノイズを軽減してダイナミックレンジを増大する。この飛行時間データを次にデータ処理に供する。CiphergenのProteinChip(登録商標)ソフトウェアでは、データ処理は代表的には、質量スペクトルを生成するためのTOF−対−M/Z変換、装置のオフセットを除外するためのベースライン差引き、および高い周波数ノイズを減じるための高周波数ノイズフィルタリングを包含する。
バイオマーカーの脱離および検出によって生成されるデータは、プログラム可能なデジタルコンピューターの使用で分析され得る。このコンピュータープログラムは、データを分析して、検出されるバイオマーカーの数、ならびに必要に応じて、検出された各々のバイオマーカーについてのシグナルの強度および決定された分子量を示す。データ分析は、バイオマーカーのシグナル強度を決定するための工程と、予め決定された統計学的分布から逸脱するデータを取り除く工程とを包含し得る。例えば、観察されたピークは、同じ参照に対して各々のピークの高さを算出することによって、正規化され得る。この参照は、装置および化学物質、例えば、エネルギー吸収分子によって生成されたバックグラウンドのノイズであってもよく、これは目盛りではゼロに設定される。
このコンピューターは得られたデータを呈示のための種々の形態に変換し得る。標準的なスペクトルが呈示され得るが、1つの有用な形式では、ピーク高さおよび質量の情報のみをスペクトルの図に残して、画像をきれいにして、ほぼ同一の分子量を有するバイオマーカーをより簡単に見ることができるようにする。別の有用な方式では、2つ以上のスペクトルを比較して、固有のバイオマーカーおよびサンプルの間で上方制御されるかまたは下方制御されるバイオマーカーを都合よく強調する。これらの任意の形式を用いて、当業者は、特定のバイオマーカーがサンプル中に存在するか否かを容易に決定できる。
分析は一般に、分析物からのシグナルを示すスペクトルにおけるピークの同定を包含する。ピーク選択は、視覚的に行われ得るが、ピークの検出を自動化し得るCiphergenのProteinChip(登録商標)ソフトウェアパッケージの一部としてソフトウェアが利用可能である。一般には、このソフトウェアは、選択された閾値を超えるシグナル対ノイズ比を有するシグナルを同定すること、およびピークシグナルの重心にピークの質量を表示することによって、機能する。1つの有用な適用では、多くのスペクトルを比較して、質量スペクトルのいくつかの選択された割合に存在する同一のピークを同定する。このソフトウェアの1バージョンは、所定の質量範囲内の種々のスペクトルに出現する全てのピークを集めて、質量(M/Z)集団の中間点に近い全てのピークに対して質量(M/Z)を割り当てる。
データを分析するために用いられるソフトウェアは、本発明によるバイオマーカーに相当するシグナル中のピークをこのシグナルが示すか否かを決定するために、シグナルの分析に対してアルゴリズムを適用するコードを包含し得る。このソフトウェアはまた、観察されたバイオマーカーピークに関するデータを、分類ツリーまたはANN分析に供して、検討中の特定の臨床的パラメーターの状態を示すバイオマーカーピークまたはバイオマーカーピークの組み合わせが存在するか否かを決定する。データの分析は、サンプルの質量スペクトル分析から直接または間接的に得られる種々のパラメーターに対して「適合され(keyed)」得る。これらのパラメーターとしては、限定はしないが、1つ以上のピークの有無、ピークまたはピークの群の形状、1つ以上のピークの高さ、1つ以上のピークの高さの対数、およびピーク高さデータの他の算術的取り扱いなどが挙げられる。代表的なバイオマーカーピークの形状は図2に示される。
(B.イムノアッセイによる検出)
別の実施形態では、本発明のバイオマーカーは、イムノアッセイによって測定されてもよい。イムノアッセイは、バイオマーカーを捕獲するために、抗体のような生体特異的捕獲試薬を要する。抗体は、例えば、バイオマーカーを用いて動物を免疫することによって、当該分野で周知の方法によって生成され得る。バイオマーカーは、それらの結合特徴に基づいてサンプルから単離され得る。あるいは、ポリペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列が公知である場合、このポリペプチドを合成して、抗体を生成するために当該分野で周知の方法によって用いてもよい。
本発明は、例えば、ELISAまたは蛍光ベースのイムノアッセイを含むサンドイッチイムノアッセイ、ならびに他の酵素イムノアッセイを含む伝統的なイムノアッセイを意図する。SELDIベースのイムノアッセイでは、バイオマーカーの生体特異的な捕獲試薬が、事前活性化されたProteinChipアレイのような、MSプローブの表面に結合される。次いでバイオマーカーはこの試薬を通じてバイオチップ上に特異的に捕獲され、そしてこの捕獲されたバイオマーカーは、質量分析によって検出される。
患者においてPAD状態を特徴付けする目的のために、本明細書において有用であると特定されるバイオマーカーとしては、表に列挙される特定のピークに加えて、対応するタンパク質のアミノ酸改変体および翻訳後改変型などが挙げられる。

(IV.被験体PAD状態の決定)
(A.単一のマーカー)
本発明のバイオマーカーは、例えば、PADを診断するため、被験体におけるPAD状態を評価するための診断試験において用いられ得る。「PAD状態(PAD status)」という句は、とりわけ、PAD対正常(非PAD)そして、詳細には、PAD対正常、またはPAD対長期跛行PAD(LC PAD)を識別することを包含する。この状況に基づいて、さらなる診断試験、または治療手順もしくはレジメンを含む、さらなる手順が示され得る。
状態を正確に予測するための診断試験の効力は一般に、アッセイの感度、アッセイの特異性または受診者動作特性(receiver operated characteristic(「ROC」))曲線の曲線下面積(area)として測定される。感度とは、試験によって陽性であると予測される真の陽性の割合であるが、特異性とは、試験によって因性であると予測される真の陰性の割合である。ROC曲線によって、試験の感度は1−特異性の関数として得られる。ROC曲線の曲線下面積が大きくなるほど、試験の予測力は強力になる。試験の有用性の他の有用な指標は、正の予測値および負の予測値である。正の予測値は、正であると試験する実際に正の割合である。負の予測値は、負であると試験する実際に負の割合である。
本発明のバイオマーカーは、少なくともp≦0.05、p≦10−2、p≦10−3、p≦10−4、p≦10−5という異なるPAD状態における統計学的な相違を示す。これらのバイオマーカーを単独でまたは組み合わせて使用する診断試験によって、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%そして約100%という感度および特性が示される。
表1に列挙される各々のバイオマーカーは、例えば、正常な被験体、PAD被験体またはLC PAD被験体に示差的に存在する;従って、各々のバイオマーカーは、PAD状態の決定を補助するのに個々に有用である。この方法は最初に、本明細書に記載される方法を用いて被験体サンプル中の選択されたバイオマーカーを測定する工程、例えば、SELDIバイオチップ上の捕獲、その後の質量分析による検出と、第二に、この測定値と、診断量、または負のPAD状態(例えば、「正常な(normal)」患者)から正のPAD状態を識別するカットオフとを比較する工程とを包含する。この診断量は、バイオマーカーの測定量であって、その上または下では被験体が特定のPAD状態を有すると分類される測定量に相当する(例えば、LC PAD患者、対正常な患者または代表的な跛行時間を示すPAD患者)。例えば、このバイオマーカーがPADの間に正常と比較して上方制御されるならば、診断のカットオフを超える測定量によってPADの診断が得られる。あるいは、バイオマーカーがPADの間に下方制御されれば、診断のカットオフを下回る測定量は、PADの診断となる。当該分野で周知のとおり、あるアッセイで用いられる特定の診断カットオフを調節することによって、診断医の優先度次第で、診断アッセイの感度または特異性が増大され得る。特定の診断カットオフは、例えば、本明細書において行われたとおり、種々のPAD状態を有する被験体から統計学的に有意な数のサンプルにおけるバイオマーカーの量を測定することによって、そして診断医の所望のレベルの特異性および感度に適合するようにカットオフ値を引くことによって決定され得る。
(B.マーカーの組み合わせ)
個々のバイオマーカーは有用な診断バイオマーカーであるが、バイオマーカーの組み合わせは、単独のバイオマーカーだけよりも特定の状態の優れた予測力をもたらし得ることが見出されている。詳細には、サンプル中の複数のバイオマーカーの検出によって、試験の感度および/または特異性が増大され得る。
本明細書に記載のプロトコールは、患者サンプルから質量スペクトルを生成するために用いられ得る。次いで、ピーク質量および高さは発見データセットにまとめられる。このデータセットを用いて、分類および回帰のツリー解析(classification and regression tree analysis)(CART)(Ciphergen Biomarker Patterns SoftwareTM)を使用して学習アルゴリズムをトレーニングする。詳細には、CARTは、ピークの多くのサブセットをランダムに選択する。各々のサブセットに関しては、CARTは、例えば、PADまたは非PADのようなサンプルを分類するために最適またはほぼ最適の決定木(tree)を作成する。
(C.被験体管理)
PAD状態を特徴付けする方法の特定の実施形態では、この方法はこの状況に基づいて被験体処置を管理する工程をさらに包含する。このような管理としては、PAD状態を決定するための医師の行動または臨床的な結果などが挙げられる。例えば、医師がPADの診断をすれば、処置の特定のプログラムが処方され得る。処置の適切なプログラムとしては、限定はしないが、監督された運動プログラム;血圧、糖摂取および/または脂質レベルの管理;任意の必要なカウンセリングおよびニコチン代替を含む喫煙の休止;ならびにアスピリン(ジピリダモールの有無と)、クロピドグレル、シロスタゾール、および/またはペントキシフィリン等の投与を含む薬物治療などが挙げられ得る。あるいは、PADの診断の後に、ある患者がPADの特異的な形態に罹患しているか否か、またはこの患者が冠動脈疾患のような関連の疾患に罹患しているか否かを決定するためのさらなる試験を続けてもよい。また、診断試験がPAD状態に対して決定的でない結果をもたらすならば、さらなる試験が要求され得る。

(V.PAD状態を特徴付けするための分類アルゴリズムの作成)
いくつかの実施形態では、「既知のサンプル(known sample)」のようなサンプルを用いて生成されるスペクトル(例えば、質量スペクトルまたは飛行時間スペクトル)に由来するデータを次に用いて、分類モデルを「訓練、トレーニング(train)」してもよい。「既知のサンプル」とは、予め分類されているサンプルである。スペクトル由来であって、分類モデルを形成するために用いられるデータは、「トレーニングデータセット(training data set)」と呼ばれてもよい。一旦トレーニングされれば、分類モデルは、未知のサンプルを用いて生成されるスペクトルに由来するデータ中のパターンを認識できる。次いでこの分類モデルを用いて、未知のサンプルをクラスに分類できる。これは、例えば、特定の生物学的サンプルが、特定の生物学的状態(例えば、疾患対非疾患)と関連しているか否かを予想するのに有用であり得る。

分類モデルを形成するために用いられるトレーニングデータセットは、生データまたは事前処理データを含み得る。ある実施形態では、生データは、飛行時間スペクトルまたは質量スペクトルから直接得られてもよいし、次いで、上記のように、必要に応じて「事前処理され(pre−processed)」てもよい。
分類モデルは、このデータに存在する目的のパラメーターに基づいてデータの本体をクラスに分離するように試みる任意の適切な統計学的分類(または「学習(learning)」方法を用いて形成され得る。分類方法は、監督されても、または監督されなくてもよい。監督された分類および監督されていない分類のプロセスの例は、その教示が参照によって援用される、Jain、「Statistical Pattern Recognition: A Review」、IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence、第22巻、第1号、2000年1月に記載されている。
監督された分類では、公知のカテゴリーの例を含むトレーニングデータを、学習機構に呈示し、この学習機構が各々の公知のクラスを規定する関係の1つ以上のセットを学習する。次いで新規なデータが、学習機構に適用されて、次いでこれが学習された関係を用いて新規なデータを分類する。監督された分類プロセスの例としては、線形回帰プロセス(例えば、多重線形回帰プロセス(MLR)、最小部分自乗(PLS)回帰および主成分回帰(PCR))、二者択一ツリー(例えば、再帰分割プロセス、例えば、CART−分類および回帰ツリー)、人工的ニューロンネットワーク、例えば、誤差逆伝搬ネットワーク、判別分析(例えば、ベイズ識別器またはフィッシャー分析)、ロジスティック分類子、およびサポートベクタ分類子(サポートベクタマシン)などが挙げられる。
好ましい監督された分類方法は、再帰分割プロセスである。再帰分割プロセスは、未知のサンプルに由来するスペクトルを分類するために再帰分割ツリーを用いる。再帰分割プロセスに関するさらなる詳細は、Paulseらの米国特許出願第2002 0138208号A1「Method for analyzing mass spectra」に示される。
他の実施形態では、作成される分類モデルは、非監督学習方法を用いて形成され得る。非監督分類は、トレーニングデータセットにおける類似性に基づいて、このトレーニングデータセットの由来となったスペクトルを事前分類することなく、分類を学習するように試みる。非監督の学習方法は、クラスター分析を包含する。クラスター分析は、データを、お互いに対して極めて類似であって、他のクラスターのメンバーに対して極めて異なっているメンバーを理想的には有するべきである、「クラスター」またはグループに分割するように試みる。次いで類似性は、データ項目の間を測定し、そしてお互いに近いデータ項目を一緒に集めるいくつかの距離メトリックを用いて測定される。クラスター形成技術は、MacQueenのK−meansアルゴリズムおよびKohonenのSelf−Organizing Mapアルゴリズムを包含する。
生物学的情報を分類するのにおける使用について主張される学習アルゴリズムは、例えば、PCT国際公開番号WO 01/31580(Barnhillら、「Methods and devices for identifying patterns in biological systems and methods of use threof」)、米国特許出願第2002 0193950号A1(Gavinら、「Method or analyzing mass spectra」)、米国特許出願第2003 0004402号A1(Hittら、「Process for discriminating between biological states based on hidden patterns from biological data」)、および米国特許出願第2003 0055615号A1(ZhangおよびZhang,「Systems and methods for processing biological expression data」)に記載される。
分類モデルは、任意の適切なデジタルコンピューターで形成されて、そこで用いられ得る。適切なデジタルコンピューターとしては、Unix(登録商標)、WindowsTMまたはLinuxTMベースの操作システムのような、任意の標準的または専門化された操作システムを用いる、マイクロコンピューター、ミニコンピューターまたは大型コンピューターなどが挙げられる。用いられるデジタルコンピューターは、目的のスペクトルを作製するために用いられる質量分析計とは物理的に分けられてもよいし、または質量分析計と連結されてもよい。
本発明の実施形態に従うトレーニングデータセットおよび分類モデルは、デジタルコンピューターによって実行されるかまたは用いられるコンピューターコードによって具体化され得る。コンピューターコードは、光ディスクまたは磁気ディスク、スティック、テープなどを含む任意の適切なコンピューター読み取り可能な媒体に記憶されてもよく、そしてC、C++、ビジュアルベーシックなどを含む任意の適切なコンピュータープログラム可能な言語で記載されてもよい。
上記の学習アルゴリズムは、既に発見されたバイオマーカーのついての分類アルゴリズムを開発するため、またはPADについての新規なバイオマーカーを発見するための両方に有用である。分類アルゴリズムは次に、単独でまたは組み合わせて用いられるバイオマーカーについての診断値(例えば、カットオフポイント)を提供することによって診断試験についての基礎を形成する。
(VI.末梢動脈疾患についてのバイオマーカーの検出用キット)
別の局面では、本発明は、末梢動脈疾患の状態を特徴付けするためのキットを提供し、このキットは、本発明に従うバイオマーカーを検出するために用いられる。1実施形態では、このキットは、その上に捕獲試薬が結合されている固体支持体、例えば、チップ、マイクロタイタープレートまたはビーズもしくは樹脂を含み、この捕獲試薬は、本発明のバイオマーカーに結合する。従って、例えば、本発明のキットは、ProteinChip(登録商標)アレイのようなSELDIの質量分析プローブを備えてもよい。生体特異的な捕獲試薬の場合、キットは、反応性表面を有する固体支持体、およびこの生体特異的な捕獲試薬を含む容器を備えてもよい。

このキットはまた、洗浄溶液または洗浄溶液を作製するための装置を備えてもよく、ここで捕獲試薬および洗浄溶液の組み合わせは、例えば、質量分析による、引き続く検出のための固体支持体上のバイオマーカー(単数または複数)の捕獲を可能にする。このキットは、異なる固体支持体上に各々が存在する吸着剤のより多くのタイプを備えてもよい。
さらなる実施形態では、このようなキットは、適切な操作可能なパラメーターについての指示を表示または別の挿入物の形態で含んでもよい。例えば、この指示は、サンプルを収集する方法、プローブを洗浄する方法、または検出されるべき特定のバイオマーカーについて消費者に情報提供し得る。
さらに別の実施形態では、このキットは、較正のための標準物(単数または複数)として用いられるべきバイオマーカーサンプルを含む1つ以上の容器を備えてもよい。
(VII.スクリーニングアッセイにおけるPADについてのバイオマーカーの使用)
本発明の方法は、同様に他の適用を有する。例えば、バイオマーカーを用いて、インビトロまたはインビボでバイオマーカーの発現を調節する化合物についてスクリーニングしてもよく、次にこの化合物は、患者におけるPADを処置または予防するのに有用であり得る。別の実施例では、バイオマーカーは、PADについての処置に対する応答をモニターするために用いられ得る。さらに別の実施例では、このバイオマーカーは、被験体が発達中のPADにリスクであるか否かを決定するための遺伝研究において用いられ得る。
従って、例えば、本発明のキットは、親水性、金属キレートまたはカチオン交換機能を有する固体基板、例えば、タンパク質バイオチップ(例えば、それぞれ、Ciphergen NP20、IMAC30またはCM10 ProteinChipアレイ)および基板を洗浄するための緩衝液、ならびにチップ上で本発明のバイオマーカーを測定して、PADを診断するためにこれらの測定値を用いるためのプロトコールを提供する指示書を備えてもよい。
本発明は、特定の実施例によってさらに詳細に記載される。以下の実施例は、例示的な目的について提供され、そしていかなる方法でも本発明を限定することは意図しない。当業者は、本質的に同じ結果を生じるように変化されても改変されてもよい種々の重要でないパラメーターを容易に認識する。
(VIII.実施例1)
バイオマーカーは、Ciphergen Biosystems,Inc.(Fremont,CA)(「Ciphergen」)のProteinChipアレイを使用するSELDI技術を用いて発見された。この研究設定は、PADを有する20例の患者および11例の年齢の適合したコントロールから構成された。PAD群にある被験体は、0.9以下の足関節上腕血圧比を有する被験体であった。全ての被験体は、Skinner−Gardnerプロトコール(Gardner AWら、Med Sci Sports Exerc.,24:163〜170(1992))に従ってトレッドミル試験を受けた。要するに、被験体を、1時間に2マイルで動いている平坦なトレッドミル上で歩くように要求した。トレッドミルの速度は、2分ごとに2%に増大された。被験体は、脚の跛行が開始したときを示すように、次に疼痛をできるだけ耐えて歩くように指示された。PADを有する20例の患者のうち4例が、12分より長い絶対跛行時間に起因して長期跛行(「LC」)であると規定された。すなわち、LC被験体は、PAD群の他のメンバーに対して歩行することによって誘導される疼痛を、より長期間耐えることが可能であった。
各々の群における各々の参加者について、3つの血漿サンプルを各々の参加者について分析した:ベースラインサンプル(運動前)、トレッドミル運動試験の直後に採取したサンプル、そしてトレッドミル運動試験の2時間後に採取した第三のサンプル。従って、全部で93の血漿サンプルを分析した。各々の血漿サンプルを、以下の詳細なプロトコールに記載されるとおり、CiphergenのProteinChipを用いて分析のまえにQhyperDFカラムでの分画に供した。分画後、CiphergenのIMAC30またはCM10 ProteinChipを用いて、選択された画分を分析した。サンプル中のポリペプチドのスペクトルは、Ciphergen PBSII質量分析計での飛行時間質量分析によって作成した。このようにして得たスペクトルを、Biomarker Wizardを有するCiphergen Expresstm Data Manager Software、およびCiphergen Biosystems,Inc.のBiomarker Pattern Softwareによって分析した。
QhyperDF画分由来の画分1、4および6は、以下の材料および方法を用いて、CiphergenのIMAC30およびCM10アレイを用いてプロファイリングした。
(A.Q Hyper DFアニオン交換画分)
アニオン交換画分の緩衝液リスト:
U1(1Mの尿素、0.22%のCHAPS、50mM Tris−HCl pH9)
50mMのTris−HClと0.1%OGP pH9(洗浄緩衝液1)
50mMのHepesと0.1%OGP pH7(洗浄緩衝液2)
100mMの酢酸ナトリウムと0.1%のOGP pH5(洗浄緩衝液3)
100mMの酢酸ナトリウムと0.1%のOGP pH4(洗浄緩衝液4)
33.3%イソプロパノール/16.7%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸(洗浄緩衝液5)
注意:洗浄緩衝液4を樹脂に加えるまでは、洗浄緩衝液5を緩衝液トレイにアリコートしない。これによって、揮発性の有機溶媒のエバポレーションが問題でないことが確実になる。
物質のリスト:
フィルタープレート
5v−ウェル、96ウェルのディッシュ、F1〜F5と標識
(a.洗浄樹脂)
Hyper Q DF樹脂(BioSepra,Cergy,France)を、5ベッド容積の50mM Tris−HCl pH9を用いて3回洗浄することによって樹脂を調製する。次いで、50mM Tris−HCl pH9中に50%懸濁液に保管する。
(b.平衡樹脂)
フィルタープレートにおける各々のウェルに対して125μLのHyper Q DFを添加する。
フィルター緩衝液
各々のウェルに150μLのU1を添加する。
フィルター緩衝液
各々のウェルに150μLのU1を添加する。
フィルター緩衝液
各々のウェルに150μLのU1を添加する。
フィルター緩衝液
(c.樹脂と血漿を結合させる)
各々のチューブからの150μLのサンプルをフィルタープレートにおける適切なウェルに対してピペッティングする。
4℃で30秒、ボルテックスする。
(d.画分の収集)
フィルタープレート下にv−ウェルの96ウェルプレートF1を置く。
プレートF1に流過物を収集する。
100μLの洗浄緩衝液1をフィルタープレートの各々のウェルに添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
プレートF1におけるpH9の溶離液を収集する。
画分1は、流過物およびpH9の溶離液を含む。
フィルタープレートの各々のウェルに100μLの洗浄緩衝液2を添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
フィルタープレート下にv−ウェルの96ウェルプレートF2を置く。
プレートF2に画分2を収集する。
100μLの洗浄緩衝液2をフィルタープレートの各々のウェルに添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
プレートF2に画分2の残りを収集する。
画分2は、pH7の溶離液を含む。
フィルタープレートの各々のウェルに100μLの洗浄緩衝液3を添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
フィルタープレート下にv−ウェルの96ウェルプレートF3を置く。
プレートF3に画分3を収集する。
100μLの洗浄緩衝液3をフィルタープレートの各々のウェルに添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
プレートF3に画分3の残りを収集する。
画分3は、pH5の溶離液を含む。
フィルタープレートの各々のウェルに100μLの洗浄緩衝液4を添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
フィルタープレート下にv−ウェルの96ウェルプレートF4を置く。
プレートF4に画分4を収集する。
100μLの洗浄緩衝液4をフィルタープレートの各々のウェルに添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
プレートF4に画分4の残りを収集する。
画分4は、pH4の溶離液を含む。
フィルタープレートの各々のウェルに100μLの洗浄緩衝液5を添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
フィルタープレート下にv−ウェルの96ウェルプレートF5を置く。
プレートF5に画分5を収集する。
100μLの洗浄緩衝液5をフィルタープレートの各々のウェルに添加する。
室温(RT)で10秒間ボルテックスする。
プレートF5に画分5の残りを収集する。
画分5は、有機溶媒溶離液を含む。
チップ結合プロトコールを始めるまで凍結する。
(B.チップ結合プロトコール)
(チップ洗浄緩衝液リスト:)
IMAC30アレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.):適切な洗浄としては、限定はしないが、500mM NaClを補充された50mM Tris pH8.0などが挙げられる。
NP20アレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.):適切な洗浄としては、限定はしないが、5mM Hepes pH7.0および脱イオン水などが挙げられる。
CM10アレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.):適切な洗浄としては、限定はしないが、100mMの酢酸アンモニウムpH4.0などが挙げられる。
(アレイ準備:)
バイオプロセッサーにアレイを入れる。
IMAC30アレイに銅をロードする。
IMAC30アレイの各々のスポットに50μlのCuSOをロードする。
室温(RT)で15秒間ボルテックスする。
CuSOを取り除いて繰り返す。
水でリンスする。
(アレイを平衡化する:)
各々のウェルに対してアレイに適切な100μlのチップ洗浄緩衝液を添加する。
RTで5秒ボルテックスする。
ボルテックス後に緩衝液を取り除く。
各々のウェルに対してアレイに適切な100μlのチップ洗浄緩衝液を添加する。
RT(RTk)で5秒間ボルテックスする。
ボルテックス後に緩衝液を取り除く。
(Hyper Q DF、C4またはイムノアフィニティーカラム由来の血漿画分をアレイに結合させる:)
各々のウェルに対してアレイに適切な60μlのチップ洗浄緩衝液を添加する。
20μlの血漿画分を添加する。
RTで30秒ボルテックスする。
サンプルおよび緩衝液を取り除く。
(アレイを洗浄する:)
各々のウェルに対してアレイに適切な100μlのチップ洗浄緩衝液を添加する。
RTで5秒ボルテックスする。
ボルテックス後に緩衝液を取り除く。
各々のウェルに対してアレイに適切な100μlのチップ洗浄緩衝液を添加する。
RTで5秒間ボルテックスする。
ボルテックス後に緩衝液を取り除く。
各々のウェルに対してアレイに適切な100μlのチップ洗浄緩衝液を添加する。
RTで5秒間ボルテックスする。
ボルテックス後に緩衝液を取り除く。
水で2回リンスする。
(マトリックスを添加する:)
バイオプロセッサートップおよびガスケットを取り除く。
このアレイを乾燥させる。
SPA:
0.8μlの50%SPA(シナピン酸)含有50%アセトニトリルおよび0.5%TFAを添加する。
風乾する。
0.8μlの50%SPAを添加する。
風乾する。
CHCA
50%のアセトニトリル+0.5%に溶解された0.8μlの20%CHCAを添加する。
風乾する。
0.8μlの20%CHCAを添加する。
風乾する。
(C.データ取得の設定)
エネルギー吸収分子:50%SPA
高質量を100000ダルトンに設定し、2000ダルトンから100000ダルトンに最適化した。
開始レーザー強度を200に設定する。
開始検出器感度を8に設定する。
質量を8000ダルトンにフォーカスする。
質量デフレクター(Mass Deflector)を1000ダルトンに設定する。
データ取得方法をSeldi Quantitationに設定する。
Seldi取得パラメーターを10終結位置から80までにわたって20.デルタ〜4.トランシェントに設定する。
225の強度で2ショットによってウォーミング位置を設定する(ウォーミングショットは含まない)。
サンプルを処理する。
(D.バイオマーカーピーク強度の測定および分析)
3つの群全てにまたがる特定の時点でピーク強度を比較するためにクラスカル−ワリス検定を用いて単変量解析を行なった:(1)コントロールまたは「正常な(normal)」被験体;(2)PADを有する被験体、および(3)長期跛行でもあるPADを有する被験体(「長期跛行PAD」)。クラスカル−ワリス検定を用いて、所定の時点で3つの患者群全てを比較した(例えば、上記のとおり、ベースライン(運動前)、運動直後、または運動2時間後)。例えば、特定のバイオマーカーについてのクラスカル−ワリス検定で得られた0.05以下のp値によって、所定のチップ(例えば、IMAC30チップ)で所定の時点(例えば、運動前)にバイオマーカーが特定の画分(例えば、QHyper DFカラムの画分4)で、別の群に対してある患者では有意に高濃度または低濃度で見出され得ることが示される。
クラスカル−ワリス検定はまた、各々の患者群内で経時的にピークの相違を分析するためにも用いられた。この分析では、特定のバイオマーカーについてのクラスカル−ワリス検定で得られた0.05以下というp値によって、所定のチップ(例えば、IMAC30チップ)での特定の患者状態(例えば、PADを有する被験体)について、バイオマーカーが特定の画分(例えば、QHyper DFカラムの画分4)で、別の時点に対してある時点では有意に高濃度または低濃度で見出され得る(例えば、このバイオマーカーに関連するピークの強度は、運動前に対して運動2時間後に有意に増大し得る)ことが示される。
マン−ホイットニー検定を、特定の時点で2つの群に観察されるピークを直接比較するために、または特定の群内で2つの時点で観察されたピークを直接比較する場合にも用いた。
最終的に、マイクロアレイ有意差分析ソフトウェア(「SAM」)はまた、有意なピークの設定を同定するためにも用いた。SAMは、Tusher Vら(2001)に詳細に記載されている。SAM分析の結果は表18に示す。
好ましいバイオマーカーの特定は、方法の併用を用いて決定される。例えば、Hyper Q DF分画カラム後の画分中のタンパク質を、アクリルアミドゲル上で分離して、バイオマーカーを含むバンドをゲルから切り出す。バンド中のタンパク質は脱染する。このゲルを、アセトニトリルを用いて乾燥させて、次いでトリプシンの溶液中での消化に供する。消化フラグメントをCiphergen PBSII質量分析計で分析する。決定された質量を用いて、タンパク質データベースに問い合わせを行い、これによって同じトリプシン消化パターンを有するタンパク質を同定する。これらの同定の全ては、タンデムMS分析によってさらに確認する。表7〜17は、種々の条件下の種々のバイオマーカーについての平均の測定した強度を表形式で示す。例えば、表7〜10は、QHyper DFカラムから溶出された第一の画分に見出された有意なp値を有するバイオマーカーについて観察された平均の測定されたピーク強度を示す。詳細には、表7および8は、それぞれ、低いレーザー強度読み取りおよび高いレーザー強度読み取りでIMAC30チップ上で観察されたバイオマーカーのピーク強度を示す。「有意差なし(no sig. diff.)」という用語を用いて、示した比較のセットでは有意な差は観察されなかったことを示す。各々の表は最初に、患者状態の関数として特定の時点でとったバイオマーカー強度読み取りにおける相違に相当する3つのデータセットを含むことに注目のこと。観察される有意なピークが少ない、各々の表における最後の3つのセットは、バイオマーカーであってその強度が経時的に有意に変化する同じ患者群に由来するバイオマーカーを列挙している。ある場合には、特定のセットの被験体およびアッセイ条件を用いて有意なバイオマーカーは同定されなかった。例えば、表7は、トレッドミル運動の2時間後に採取したサンプルのQHyper DF分画の画分1において、低強度で読んだIMAC30チップ上での患者群の間で有意なピークの相違は観察されなかったことを示す。同様に、表7は、トレッドミル運動の直後および2時間後に任意の患者群から採取した画分1のサンプルをIMAC30チップ上で低強度で分析する場合、得られたピークプロフィールは、運動前に採取したサンプルを用いて同じ条件下で観察されたプロフィールから有意に異なることがないということを示す。
表9および表10は、バイオマーカーのデータが、それぞれ低レーザー強度および高レーザー強度の設定でCM10チップを読むことによって得られた以外は、表7および表8と同じサンプル、画分および時点を用いて得られたデータをまとめている。
表11、12、13および14は、観察されたバイオマーカーのピークが、QHyper DF分画後に画分4で見出されるものである以外は、それぞれ表7、8、9および10と同じサンプルおよび時点を用いて得られたデータをまとめている。
表15、16および17は、バイオマーカーのピークが、QHyper DF分画後に画分6で見出されるものである以外は、それぞれ表7、8、および9と同じサンプルおよび時点を用いて得られたデータをまとめている。
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本明細書に記載される実施例および実施形態は、例示の目的でしかないこと、そしてそれに照らして種々の改変または変化が当業者に示唆され、そして本出願の趣旨および条項の範囲内であり、そして添付の特許請求の範囲内に包含されるものであることが理解される。本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に援用される。
図1A〜1Uは、本明細書に記載されるとおり、クラスカル−ワリス検定またはマイクロアレイ有意性分析検定のいずれかによって有意であると判定されたバイオマーカーピークの測定された強度の分布を示すグラフを示す。各々のグラフは、バイオマーカーが出現するQ Hyper DF画分、その上にバイオマーカーが観察されるアレイ(IMAC30またはCM10アレイ)、およびバイオマーカーを可視化するために用いられるビーム強度(高いまたは低い)によって記載される。Y軸はピーク強度である。X軸は、正常な患者、PAD長期跛行性患者(PAD long claudicator)(「LC」)および長期跛行性患者でないPAD患者(「PAD」)に相当する3つのセクターに分けられる。各々のセクターはさらに、血漿サンプルが患者から得られた3つの時点で分けられる:「前(pre)」(トレッドミル運動前);「imm(トレッドミル運動の直後)」;および「2時間(2hr)」(トレッドミル運動の2時間後)。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図1Aと同様。 図2は、正常、LCおよびPAD被験体から採取されたサンプルにおいて観察されたPADバイオマーカートランスサイレチンについての代表的なSELDI−TOFスペクトルを示す(上から下)。y軸は、ピークの測定された強度に相当し、そしてx軸はm/z値に相当する。示されたピークは、図1Uに示される、高いレーザー強度で読んだCM10アレイ上の、Hyper Q DF画分後の画分4で観察された。矢印は、13.9kDaのトランスサイレチンバイオマーカーに相当するピークの位置を示す。

Claims (13)

  1. 被験体における末梢動脈疾患(PAD)状態特徴付けのためのデータを収集る方法であって:
    a.該被験体由来のα1β糖タンパク質を測定する工程;および、
    b.該測定値とPAD状態とを相関させる工程と、
    を包含する方法。
  2. 前記工程(a)が、運動前に被験体から得たサンプルで行われる、請求項1に記載の方法。
  3. アルブミン、フェチュイン、アルブミンの三電荷二量体、トランスサイレチン、およびα1アンチトリプシンの二量体からなる群より選択される第二のバイオマーカーを測定する工程、および、該測定値をPAD状態と相関させる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  4. アルブミン、フェチュイン、アルブミンの三電荷二量体、トランスサイレチン、およびα1アンチトリプシンの二量体の各々を測定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記α1β糖タンパク質が、SELDIプローブの吸着の表面上に該α1β糖タンパク質を捕獲すること、およびレーザー脱離イオン化質量分析によって該捕獲されたα1β糖タンパク質を検出することによって測定される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記α1β糖タンパク質が、イムノアッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記サンプルが血漿である、請求項に記載の方法。
  8. PAD状態が、非PAD、PADおよび長期跛行性のPADから選択される、請求項1に記載の方法。
  9. PAD状態が、非PADおよびPADから選択される、請求項8に記載の方法。
  10. PAD状態が、非PADおよび長期跛行性のPADから選択される、請求項1に記載の方法。
  11. PAD状態が、PADおよび長期跛行性のPADから選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記吸着剤がカチオン交換吸着剤である、請求項5に記載の方法。
  13. 請求項1に記載の方法を含む、被験体のPAD状態特徴付けのためのデータを収集る方法であって、以下の条件:被験体がタバコを吸う、被験体が高脂血症を有する、被験体が高血圧を有する、および被験体の家族が末梢動脈疾患の病歴を有する、
    から選択される少なくとも1つの条件が該被験体にあてはまる、方法。
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