JP4946466B2 - ガス吸着剤 - Google Patents
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一方、タバコは燃焼させるとその煙中で、粒体相と蒸気相を発生するが、蒸気相中では、例えば、一酸化炭素や窒素酸化物(NOx)、アンモニア等の他に、カルボニル化合物や有機酸、フェノール、クレゾール、カテコール等のフェノール誘導体、シアン化水素、硫化水素に代表される硫化物等の有害物質を含有している。この中でも、カルボニル化合物は、最近、化学物質過敏症の主原因物質としても注目されているなど、人体に有害な化学物質として知られている。
このような有害なガス成分を除去して快適な生活環境を維持するためには、有害ガス成分に対して吸着性の高いガス吸着剤が要求されており、家庭生活にも様々なガス吸着剤が使用されている。
特許文献1は、前記反応体の最も好ましい形態としては、シリカゲルに結合された3−アミノプロピルシリル基を含有するタバコフィルターであり、3−アミノプロピルシリル基の一級アミノ基が、シアン化水素やアルデヒド類等の有害物質と化学的に反応して共有結合するので、選択的に除去できることを提案している。しかしながら、このシリカゲルに結合された3−アミノプロピルシリル基を含有するタバコフィルターは、アミノ基の含有量が少ないため、シアン化水素等の有害物質の吸着量が充分とは言えず、アルデヒド類も除去されにくい。また、3−アミノプロピルトリエトキシシランとシリカゲルからガス吸着剤であるプロピルシリル基が結合したシリカゲルを調製する際、未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシランが残存する。得られたガス吸着剤はオーブンで乾燥するが、ガス吸着剤中に未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が大量に残存すると、乾燥後もアミン臭を放出し、臭気や風味に影響するおそれがある。
デュオライトA7は、フェノールホルムアルデヒド樹脂母材に第1級アミン及び第2級アミン基を有するアニオン交換樹脂であり、アルデヒド類の吸着に対する特異性を高めることを意図している。しかし、デュオライトA7は、樹脂骨格を形成するためにフェノール誘導体が使用されているため、これに由来した芳香族化合物等の遊離性有害成分が放出する。また、この特許文献2に記載された実験結果を見るとアセトアルデヒドの吸着量が良好とは言えない。
さらに、特許文献4では、窒素原子がアルキル化されていてもよいビニルアミンとポリビニル化合物とから主として成る構造の架橋重合体であるガス吸着剤を開示している。特許文献4は、芳香族ジビニル化合物を架橋性成分としたビニルアミン系イオン交換樹脂であり、ガス吸着能に直接関与するビニルアミン成分を多く含んだガス吸着剤である。
しかしながら、これらの方法では、上記遊離性有害成分やアミン系不純物の放出を充分に抑制することができず、また、塩基性水溶液で洗浄を行うと、ガス吸着剤中のアミノ基までもが除去されるため、ガス吸着剤の効果が低下してしまう。さらに、酸やアルカリで洗浄を行うとビニルホルムアミドの加水分解物であるホルマリンが発生し、最終的に得られたビニルアミン系イオン交換樹脂中に残留するという問題もある。特許文献4に記載された方法で、これらの問題を解決して工業的量産を実現させることは非常に難しい。
しかしながら、これらの方法では、特許文献4と同様、上記遊離性有害成分やアミン系不純物の放出を充分に抑制することができない。特に、0034段落における方法では、フタルイミド由来の単環芳香族化合物が生成したり、実施例1においては0047段落で95℃で終わる温度プログラムにより重合していることから、重合が未完結となることにより発生しうるジビニルベンゼン、エチルスチレン、およびスチレン由来の単環芳香族化合物が生成する。また、水酸化ナトリウム溶液と脱イオン水のみの洗浄による実施例1の単分散球状アミノメチル化重合体の製造では、アミン系不純物が残留するという問題がある。
すなわち、本発明により提供されるガス吸着剤は、下記の(I)、(II)、(IV)及び(V)の条件、又は下記の(I)、(III)、(IV)及び(V)の条件を満たすタバコフィルター用のガス吸着剤であって、該ガス吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン架橋構造骨格を有し、アミノ基を含有する弱塩基性アニオン交換樹脂より成るものであり、該弱塩基性アニオン交換樹脂が温度40〜100℃、濃度0.1〜5Nの強酸により洗浄して得られたもの、又は、重合反応の少なくとも一部を110℃以上160℃以下で行い、110℃以上である時間を1時間以上とすることにより得られた重合体にアミノ基を導入したものであることを特徴とするガス吸着剤。
(I)水銀ポロシメーター測定における該ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上、3000Å以下である。
(II)単位質量当たりの該ガス吸着剤からのアミン溶出量が10μ当量/g以下である。
(III)単位質量当たりの該ガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下である。
(IV)単位質量当たりの該ガス吸着剤の中性塩分解容量が0.43ミリ当量/g以下である。
(V)単位質量当たりの該ガス吸着剤の酸吸着容量が1.5ミリ当量/g以上である。
また、上記弱塩基性アニオン交換樹脂が、強酸による洗浄後に、さらにメタノールにより洗浄されたものであることが好ましい。
また、上記弱塩基性アニオン交換樹脂がOH形であることが好ましい。
従って本発明のガス吸着剤は、タバコの煙中の有害ガスを除去することができ、タバコのフィルターとして好適に用いられる。
本発明により提供されるガス吸着剤は、下記の(I)、(II)、(IV)及び(V)の条件、又は下記の(I)、(III)、(IV)及び(V)の条件を満たすことを特徴とする。
(I)水銀ポロシメーター測定における該ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上、3000Å以下である。
(II)単位質量当たりの該ガス吸着剤からのアミン溶出量が10μ当量/g以下である。
(III)単位質量当たりの該ガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下である。
(IV)単位質量当たりの該ガス吸着剤の中性塩分解容量が0.43ミリ当量/g以下である。
(V)単位質量当たりの該ガス吸着剤の酸吸着容量が1.5ミリ当量/g以上である。
以下において、上記本発明のガス吸着剤について詳しく説明する。
一般に、ガス吸着剤が細孔を多数有する多孔質であると、ガス吸着剤と被処理ガスとの接触面積が大きいので、ガスの吸着量や吸着効率等のガス吸着性に優れている。しかしながら、ガスの吸着効率は、ガス吸着剤の細孔半径によっても変動する。
従来のガス吸着剤のなかで、例えば、活性炭の多孔性材料は10〜30Å程度、シリカゲル、アルミナ等の多孔性材料は20〜100Å程度、また、イオン交換樹脂であるデュオライトA7は150〜200Å程度の平均細孔半径を有している。しかしながら、上記平均細孔半径では、ガス成分がその細孔内に充分に拡散するためには小さいため、ガス吸着の効率が悪く、特に喫煙(吸引)中のタバコフィルターを通過する際に見られるような10〜30m/秒程度の速いガス流条件下となると、ガス吸着性が低かった。
そこで本発明では、喫煙中のタバコフィルターを通過する際に見られるような比較的速い流速をもつガス流から、標的物質を効率よく取り込み、吸着させるために、ガス吸着性の指標としてガス吸着剤の平均細孔半径を規定する。
すなわち本発明のガス吸着剤は、上記条件(I)に規定されたように、ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上、好ましくは350Å以上であり、3000Å以下、好ましくは2500Å以下である。ガス吸着剤の平均細孔半径を上記範囲内とすることで、単純に表面積を増加させるだけでなく、10〜30m/秒程度の速いガス流速条件下でも、ガス吸着剤の細孔内への取り込み性及び、当該細孔内でガス拡散性に優れ、ガス吸着剤としての高い性能を発揮することができる。
通常、ガス吸着には捕捉したい分子の数倍の大きさを有する細孔構造が最適であるという分子ふるい的な拡散や表面拡散が考えられていたが、本発明者が検討した結果、ガス吸着剤の細孔半径はさらに大きな構造(Knudsen拡散領域)が必要条件であることが分かった。この理由は明らかではないが、以下のメカニズムが推定される。
一般に、ガス中の有害成分の分子は、平均自由行程の範囲内を移動する。この平均自由行程は、例えば25℃、大気圧の条件で、カルボニル化合物の一種であるアセトアルデヒドでは約300Å、アセトンでは約200Å、シアン化水素では約500Åであることが知られている。従って、この平均自由行程以上の細孔径を有するガス吸着剤であれば、有害成分の分子をガス吸着剤の細孔に誘導することができる(図1参照)。
尚、細孔半径が大きすぎると、樹脂(ガス吸着剤)の重量当たりの表面積が小さくなるため有害成分の吸着量が十分でなくなるおそれがある。
一般に圧力を加えてガス吸着剤の細孔に侵入させた時の圧力と、その圧力において水銀が侵入可能な細孔径との関係は、下記計算式1のようなWashburnの式で示される。
計算式1:
Pr=−2σcosθ
上記計算式1においてPは圧力、rは細孔半径、σは水銀の表面張力で通常は480dyne/cm程度、θは水銀と細孔壁面との接触角で通常は140°程度。
圧力と試料細孔内に侵入した水銀の侵入量から、細孔を円筒形と仮定して上記計算式1を基に平均細孔半径を計算することができる。
以下に測定法の具体例を示す。
<細孔物性の測定法>
真空乾燥した樹脂(ガス吸着剤)をガラスセルに入れ、水銀ポロシメーターで樹脂の細孔半径、細孔容積を測定する。細孔容積、細孔半径をそれぞれ縦軸、横軸とした細孔の分布を示すヒストグラムにより、細孔容積の合計が最も多い部分の細孔半径を平均細孔半径とする。
ここで、芳香族系高分子樹脂とは、高分子の主鎖又は側鎖の連鎖中に芳香環を含む高分子樹脂であり、例えば、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系高分子樹脂とは、高分子の主鎖又は側鎖の連鎖中に(メタ)アクリル系モノマー由来の繰り返し単位を含む高分子樹脂であり、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル系モノマーの重合体、或いは、1種又は2種以上の(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系モノマー以外の1種又は2種以上のビニル系モノマーの共重合体が挙げられる
フェノール系高分子樹脂とは、1種又は2種以上のフェノール系化合物の重縮合体である。
一般に、シリカは、テトラエトキシシラン等のシリコンアルコキサイド、溶媒及び水を添加しゲル化させ、熟成乾燥させて製造するが、ゲル化させるときの沈澱条件、熱分解条件等を変えることにより、細孔構造を制御することができる。また、シリカは、テトラエトキシシラン等のシリコンアルコキサイド、溶媒及び水に、界面活性剤(長鎖アルキル鎖アミン、及び/又は長鎖アルキル鎖アンモニウム塩)を添加し、ゲル化させることによっても、細孔構造を制御することができる。この界面活性剤のアルキル鎖、水、溶媒、ゲル化点を制御し、目的とする細孔を得ることができる。
従来のガス吸着剤のなかで、カルボニル化合物等の有害成分に対する吸着性が比較的良好なものとしては、特許文献3や特許文献4に記載されているようなアミノ基を有するイオン交換樹脂、特許文献1に記載されているようなシリカゲルに3−アミノプロピルシリル基を結合させた反応体など、マトリクス構造のベースにアミノ基を固定させたものが知られている。
しかしながら、その合成段階で用いたアミノ化合物の一部が、マトリクス構造のベースに固定されずに未反応のまま残存し、ガス吸着剤中に不純物として含有される。この未反応のアミノ化合物は、アミン臭やアミン化合物漏洩の原因となる。
一般に、ガス吸着剤中に固定されるアミノ基の量が多いほどカルボニル化合物に対する吸着性は向上するが、未反応のアミノ化合物の残存量も多くなる。そのため、カルボニル化合物吸着性の良好な従来のガス吸着剤は、ガス吸着剤そのものに由来するアミン臭成分を含有し、これは悪臭であるためにガス吸着剤としての使用を妨げていた。
すなわち本発明のガス吸着剤は、条件(I)の平均細孔半径の規定だけでなく、上記条件(II)に規定されたように、単位質量当たりのガス吸着剤からのアミン溶出量が、10μ当量/g以下、好ましくは5μ当量/g以下、さらに好ましくは1μ当量/g以下、特に好ましくは0.1μ当量以下であり、ガス吸着剤そのものに由来する悪臭、特にアミン臭が非常に少ない。
<アミン溶出試験法>
被検体であるガス吸着剤をカラムに充填し、溶離剤として、例えば0.5〜5Nの塩酸水溶液を通液し、アミンを溶離させる。得られた溶離液を、例えばガスクロマトグラフ法や液体クロマトグラフ法、イオンクロマトグラフ法、質量分析法、核磁気共鳴スペクトル法等のアミンを定量することができる分析法により測定する。
その他、アミノ基導入前または導入後のガス吸着剤を水蒸気と接触させる処理(以下、「水蒸気精製処理」と称することがある。)を施すことによっても樹脂内に残留するアミノ化合物を除去することができる。なお、水蒸気精製処理はその他、樹脂に含まれるアンモニウム基を熱分解し、中性塩分解容量を低減し、臭気を低減する効果もあるため、好ましい。
従来のガス吸着剤のなかでタバコ中の主要な有害ガス成分であるカルボニル化合物に対する吸着性が比較的良好なものとしては、特許文献3や特許文献4に記載されているようなアミノ基を有するイオン交換樹脂が知られている。アミノ基を有するイオン交換樹脂は、重合性単量体を重合させ、さらに必要に応じて架橋させて形成したマトリクス構造のベースにアミノ基を固定したものである。その合成段階では、重合性の単環芳香族化合物が重合性単量体及び/又は架橋剤として用いられる。
しかしながら、合成段階で用いた重合性の単環芳香族化合物の一部は、未反応のままか、又は、マトリクス構造にまで成長できなかったオリゴマーとなって残存し、イオン交換樹脂に不純物となって残留する。そのため、カルボニル化合物吸着性の良好な従来のガス吸着剤は、トルエン、スチレン、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、ジエチルベンゼン、フェノール等のベンゼン環を有する単環芳香族化合物を放出するが、これらの単環芳香族化合物は、ガス吸着剤そのものに由来する遊離性有害ガス成分であり、例えば、健康上への影響のほか、ガス吸着量並びにガス吸着速度の低下や臭気等の原因となることが知られている。
すなわち本発明のガス吸着剤は、単位質量当たりのガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下、さらに好ましくは1mg/g以下であり、とりわけ好ましくは0.1mg/g以下、更に好ましくは0.01mg/g以下、更に好ましくは0.001mg/g以下であり、ガス吸着剤そのものに由来する有害な芳香族化合物、特に、ベンゼン環を有する単環芳香族化合物の放出量が非常に少ない。
<芳香族化合物溶出試験法>
被検体であるガス吸着剤をカラムに充填し、溶離剤として、例えばイソプロパノールやアセトン、THF(テトラヒドロフラン)等の極性有機溶媒を通液し、芳香族化合物を溶離させる。得られた溶離液を、例えばガスクロマトグラフ法や、液体クロマトグラフ法、質量分析法、核磁気共鳴スペクトル法等の芳香族化合物を定量することができる分析法により測定する。
その他、イオン交換基導入前のベース樹脂作製時における重合ポリマー段階および/又はクロロメチル化ポリマー段階、並びに/もしくはイオン交換基導入後の製品の段階で、水蒸気精製処理を施すことによっても前記単環芳香族化合物を除去することができる。交換基導入前は、熱的安定性に優れるため高温の過熱水蒸気を通気することが可能である。これに対し、アミノ化後は樹脂の熱的安定性に劣るため、低温の水蒸気を通気することが好ましい。
条件(II)で前述した様に、ガス吸着剤中の未反応のアミノ化合物に由来するアミン臭成分は、悪臭であるためにガス吸着剤としての使用を妨げていた。
一方、ガス吸着剤のアミン臭成分は、ガス吸着剤中に化学結合により取り込まれている窒素含有置換基(例えば、4級アンモニウム基)が分解されることによっても発生する。即ち、本発明は、条件(IV)をその要件とすることで、さらに適切にガス吸着剤のアミン臭成分量を規定する。
ガス吸着剤の窒素含有置換基が分解した結果、アミン臭気が発生し、これがガス吸着剤としての機能を損ねる。このため中性塩分解容量は、ガス吸着剤の窒素含有置換基分解に起因するアミン臭成分量を適切に表現することができる。
すなわち本発明のガス吸着剤は、上記条件(IV)に規定されるように、単位質量当たりのガス吸着剤の中性塩分解容量が、0.43ミリ当量/g以下、好ましくは0.2ミリ当量/g以下、さらに好ましくは0.15ミリ当量/g以下であり、更に好ましくは0.10ミリ当量/g以下であり、ガス吸着剤そのものに由来する悪臭、特にアミン臭が非常に少ない。中性塩分解容量の下限は0であることが最も好ましく、通常0.01〜0.05ミリ当量/gである。
<中性塩分解容量測定法>
本発明のアニオン交換樹脂の中性塩分解容量は、以下の方法で分析され測定される。
先ず、アニオン交換樹脂をカラムに詰め、これに樹脂容量の25倍量の5%NaCl水溶液を通液し、対イオンをCl形に変換する。この樹脂を10.0ml採り、2N−NaOH水溶液を75倍量通液してCl形をOH形に再生する。洗浄濾液が中性になるまで十分に脱塩水で洗浄し、その後5%NaCl水溶液を25倍量通液し流出液を全て捕集する。この流出液を1N−塩酸又は0.1N−塩酸で滴定することにより、中性塩分解容量を測定する。これを1mlの樹脂当たりに換算し、体積当たりの中性塩分解容量を算出する。一方、メスシリンダーで10.0mlの樹脂を取り、これを遠心分離器で水切り状態にして、水切り後の樹脂の重量を測定する。この樹脂を真空乾燥器で、50℃で8時間乾燥し、乾燥後の樹脂重量を測定する。この水切り状態の重量と乾燥後の重量から乾燥重量当たりの中性塩分解容量を算出する。
例えば、シリカ系担体の合成方法としては、あらかじめアミノ基(−NH2)を有するアミン種、例えば、アミノプロピルトリアルコキシシラン、3(2(2-Aminoethylamino)ethylamino)propyl-trimethoxysilane等を反応させる方法が挙げられる。この様な反応を使用すれば、中性塩分解容量を抑えることができる。
例えば、イオン交換樹脂においては、イオン交換樹脂前駆体のクロロメチル基にアミン種を反応させる場合、ジメチルアミンの様なアミン種の量を大過剰に使用することにより、クロロメチル基を完全にアミノ化できるため、4級アンモニウム塩の副生が抑えられることができ、中性塩分解容量も低く抑えることができる。また、ジエチレントリアミンに代表されるポリエチレンポリアミン等のアミン種では、使用するアミン種の量(アミン量)を少なくすることにより、中性塩分解容量を低く抑えることができる。また、副生した4級アンモニウム塩については、熱的に分解しやすいため、あらかじめ、加熱し、4級アンモニウム基を分解することにより、中性塩分解容量を低く抑えることもできる。
条件(I)で前述した様に、ガス吸着剤の細孔半径が従来よりも大きいガス吸着剤は、有害成分をガス吸着剤の細孔に誘導することができると推定されるため、ガス吸着剤の細孔内への取り込み性及び、当該細孔内でガス拡散性に優れ、ガス吸着剤としての高い性能を発揮することができる。しかしながら、ガスの吸着効率は、細孔内に取り込んだ有害成分を如何に保持し得るか、即ちガス吸着剤の有害ガス成分の吸着量によっても変動する。
例えば、平均細孔半径が350Å以上と大きい場合であっても、有害ガス成分の吸着量が少ない場合は、ガス成分がその細孔内に充分に拡散されても保持されないため、ガス吸着の効率が悪く、ガス吸着性が低くなる場合があることがわかった。
タバコの煙中には、低分子脂肪族アルデヒド以外の有害ガスとして、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、二酸化イオウ、二酸化窒素、塩酸、ニコチン酸、シアン化水素、硫化水素等が含まれている。従って、タバコの煙中に含まれる、これらの他の有害ガスも生活環境中において遭遇する可能性が高い有害ガス成分である。
そこで本発明においては、ガス吸着剤の単位質量当りの酸吸着容量を指標として、ガス吸着剤の有害ガス全般、特にタバコの煙中に含まれるシアン化水素及び硫化水素に対する吸着性を規定することが好ましい。
本発明において、単位質量当たりのガス吸着剤の酸吸着容量を規定する場合には、酸性成分の吸着量を、1.5ミリ当量/g以上とし、好ましくは2.0ミリ当量/g以上、さらに好ましくは2.5ミリ当量/g以上、特に好ましくは3.0ミリ当量/g以上とする。
<酸吸着容量測定試験法>
被検体であるガス吸着剤に水酸化ナトリウム水溶液を接触させて、その酸性成分吸着能を再生した後、0.5〜5Nの塩酸水溶液の所定量と混合して充分に接触させる。次に、混合物中の溶液部分をサンプリングし、所定濃度の塩基性溶液、例えば0.5〜5Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定を行い、酸吸着に用いた塩酸水溶液の量と、滴定で消費した塩基性溶液の量から酸吸着容量を算出する。
ガス吸着剤10.0mlをメスシリンダーで採取し、ガラスカラムに充填し、2N−塩酸水溶液200mlで通液した後、脱塩水で水洗する。次に2N−水酸化ナトリウム水溶液250mlを通液する。更に脱塩水を流出液が中性を示すまで通液する。得られた吸着剤を500mlの三角フラスコに入れ0.2N−塩酸水溶液を300ml加え、8時間振盪する。振盪後、上澄み液20.0mlをホールピペットでサンプリングし、0.1N−水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、吸着された塩酸量を体積当たりに換算し、酸吸着容量を求める。
(VI)単位質量当たりの該ガス吸着剤へのプロピオンアルデヒドの吸着量が、2重量
%のプロピオンアルデヒド水系溶媒溶液を用いて測定したときに240mg/g以上であ
ること。
(VII)該ガス吸着剤5gに25℃のプロピオンアルデヒド100ppm水溶液100.0mlを接触させ、3分経過した後における該プロピオンアルデヒド水溶液の濃度が80ppm以下であること。
(VIII)単位質量当たりの該ガス吸着剤へのニコチン酸アミドの吸着量が、1重量%のニコチン酸アミド水溶液を用いて測定したときに10mg/g以下であること。
(IX)単位質量当たりの該ガス吸着剤へのl−メントールの吸着量が、50重量%メタノール水溶液ベースの2重量%l−メントール水溶液を用いて測定したときに50mg/g以下であること。
プロピオンアルデヒド吸着試験は、例えば、以下のような手順で行われる。
被検体であるガス吸着剤を、上記所定濃度に調整したプロピオンアルデヒド水系溶媒溶液と混合し、室温で充分に振とうした後、上澄み液をサンプリングし、例えば、ガスクロマトグラフ法や、液体クロマトグラフ法等のプロピオンアルデヒドを定量することができる分析方法で、プロピオンアルデヒドの濃度を測定し、吸着量を算出する。
すなわち本発明のガス吸着剤では、上記条件(VII)に規定されたように、該ガス吸着剤5gに25℃のプロピオンアルデヒド100ppm水溶液100.0mlを接触させ、3分経過した後における該プロピオンアルデヒド水溶液の濃度が80ppm以下である。3分後におけるプロピオンアルデヒド濃度は好ましくは70ppm以下である。また、10分後におけるプロピオンアルデヒド濃度は通常60ppm以下であり、好ましくは50ppm以下であり、更に好ましくは45ppm以下である。
上記プロピオンアルデヒド吸着速度試験は、例えば、以下のような手順で行われる。
300mlの三角フラスコに、ガス吸着剤(水切り状態のもの)5.0gを加え、この中へあらかじめ25℃に温度調整した100.0mlの濃度100ppmのプロピオンアルデヒド水溶液を瞬時に注入する。25℃に設定した振盪機に樹脂が懸濁状態を維持する条件で振盪し、プロピオンアルデヒド水溶液投入から、3分後、10分後の上澄み液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりプロピオンアルデヒドの濃度を測定する。
すなわち本発明のガス吸着剤をタバコフィルター用に供する場合は、上記条件(VIII)に規定されたように、ガス吸着剤のニコチン酸アミド吸着量を規定する場合には、1重量%のニコチン酸アミド水溶液を用いて測定される単位質量当たりのガス吸着剤のニコチン酸アミド吸着量は10mg/g以下、好ましくは1mg/g以下、さらに好ましくは0.1mg/g以下であり、タバコ本来の風味成分を損なうことがない。
先ず、試験液として、上記所定濃度に調整したニコチン酸アミド水溶液を、調製する。次に、被検体であるガス吸着剤を試験液と混合し、室温で充分に振とうした後、上澄み液をサンプリングし、例えば、ガスクロマトグラフ法や、液体クロマトグラフ法、質量分析法、核磁気共鳴スペクトル法等のニコチン酸アミドを定量することができる分析方法で、ニコチン酸アミドの濃度を測定し、吸着量を算出する。
すなわち、単位質量当たりのガス吸着剤のl−メントール吸着量は50mg/g以下、好ましくは40mg/g以下、さらに好ましくは30mg/g以下であり、タバコに添加した風味成分を損なうことがない。
l−メントール吸着試験は、例えば、以下のような手順で行われる。
被検体であるガス吸着剤を、上記所定濃度に調整した50重量%メタノール水溶液ベースの2重量%l−メントール水溶液と混合し、室温で充分に振とうした後、上澄み液をサンプリングし、例えば、ガスクロマトグラフ法や、液体クロマトグラフ法、質量分析法、核磁気共鳴スペクトル法等のl−メントールを定量することができる分析方法で、l−メントールの濃度を測定し、吸着量を算出する。
従って上記(VIII)及び/又は(IX)を満たすガス吸着剤は、タバコの風味を損なわずにタバコの煙中の有害ガス成分を選択的に除去することができる。
その他、本発明のガス吸着剤は、下記の特性を有していてもよい。
<重量平均粒子径測定法>
篩目の径が1180μm、850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩を、下方になる程、篩目の径が小さくなる様に積み重ねる。この積み重ねた篩をバットの上に置き、最上段に積み重ねられた1180μmの篩の中にガス吸着剤を約100mL入れる。
水道水につないだゴム管から樹脂上にゆるやかに水を注ぎ小粒を下の方へ篩別する。1180μmの篩の中に残ったガス吸着剤は、さらに以下の方法により、厳密に小粒を篩別する。即ち、別のバットの1/2位の深さまで水を満たし、1180μmの篩を前記バットの中で上下及び回転運動を与えて動揺させることを繰り返し、小粒を篩別する。
前記バットの中の小粒は次の850μmの篩の上へ戻し、また1180μmの篩の上に残ったガス吸着剤はさらに別のバットに採取する。篩の目にガス吸着剤が詰まっていれば、篩をバットに逆に置き、水道水につないだゴム管に密着させ、水を強く流して篩の目に詰まったガス吸着剤を取り出す。取り出したガス吸着剤は、1180μmの篩上に残ったガス吸着剤を採取したバットに移し、合計をメスシリンダーで容積を測定する。この容積をa(mL)とする。1180μmの篩を通ったガス吸着剤は850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩についてそれぞれ同様の操作を行い、メスシリンダーを用いて容積b(mL)、c(mL)、d(mL)、e(mL)、f(mL)を求め、最後に300μmの篩を通った樹脂の容積をメスシリンダーで測定しg(mL)とする。
V=a+b+c+d+e+f+gとし、a/V×100=a'(%)、b/V×100=b'(%)、c/V×100=c'(%)、d/V×100=d'(%)、e/V×100=e'(%)、f/V×100=f'(%)、g/V×100=g'(%)を算出する。
前記a'〜g'より片軸に各篩の残留分累計(%)、他の軸に篩目の径(mm)をとり、これを対数確率紙上にプロットする。残留分の多い順に3点を取り、この3点を出来るだけ満足するような線を引き、この線から残留分累計が50%に相当する篩目の径(mm)を求め、これを重量平均粒子径とする。
なお、上記重量平均粒子径の算出法は、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオンI基礎編」第14版(平成11年9月1日)第139〜141頁に記載される公知の算出法である。
上記重量平均粒子径を有する本発明のガス吸着剤は、例えば既知の分級方法により得られる。分級法としては、篩による分別、水流を用いる水篩、気流を用いる風篩などが利用できる。
あるいは、アニオン交換樹脂やカチオン交換樹脂からなる既存のイオン交換樹脂や、シリカ、アルミナ又は活性炭等の無機材料をベースとする既存の吸着剤が有する特性を洗浄処理等により調整することによって、本発明のガス吸着剤とすることができる。
なお、ベース材料は、洗浄、後処理の条件下で、収縮、膨潤により、最終製品と物性が異なる場合がある。従って、有機又は無機のベース材料を合成する際、または既存の吸着剤をベース材料とする場合は、「最終製品」が、本発明で特定された条件(I)の平均細孔半径、条件(IV)の中性塩分解容量、及び条件(V)の酸吸着容量を有するように、ベース材料を設計する必要がある。具体的には、例えば以下のような調整が必要となる。
(i)ベースポリマーの平均細孔半径が条件(I)より大きめになるように設計する。
(ii)ベースポリマーの酸吸着容量が条件(V)より多めになるように設計する。
具体的には、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤等を挙げることができる。
多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。また、重合性の不飽和基と官能基を有するエステル及び/又はエーテルとしては、重合性のビニル基又はイソプロペニル基を1個有するカルボン酸(好ましくは炭素数3〜12)のグリシジルエステル、前記カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、重合性のビニル基又はイソプロペニル基を1個有するアルケニル(好ましくは炭素数3〜12)のグリシジルエーテル等が挙げられる。このうち、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
具体的には、例えばエチレングリコールジメタクリレートとグリシジルメタクリレート、ジビニルベンゼンを重合させて得られるメタクリル系架橋重合体を樹脂骨格とするマトリクスを挙げることができる。
具体的には、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。フェノール系合成吸着剤は、例えばカテコール、フェノール、パラホルムアルデヒド及び希釈溶媒を塩酸水溶液中に混合し、逆相での懸濁重合で重縮合を行うこと等により製造することができる。
ここで、「弱塩基性アニオン交換樹脂」とは、1級乃至3級アミノ基等の弱塩基性アニオン交換基を有する樹脂である。弱塩基性アニオン交換樹脂は、一般に、酸性乃至中性溶液中でのみアニオン交換を行うことができ、HClやH2SO4等の強酸やNH4Cl等
の弱塩基の塩は容易にアニオン交換できるが、弱酸はアニオン交換しづらい。
一方、「強塩基性アニオン交換樹脂」とは、第4級アンモニウム基等の強塩基性アニオン交換基を有する樹脂である。強塩基性アニオン交換樹脂は、一般に、酸性乃至アルカリ性まで全pH域の溶液中でアニオン交換を行うことができ、強酸や中性塩だけでなく、弱酸もアニオン交換できる。
好ましい弱塩基性アニオン交換樹脂としては、公知の弱塩基性アニオン交換樹脂を酸により洗浄したもの、水蒸気精製処理を施したもの、及び高温重合反応により得られた架橋ポリスチレンにイオン交換基を導入したもの等が挙げられる。なお、後述する酸洗浄、水蒸気精製処理、および高温重合反応処理のうち、2以上を組み合わせて本発明のガス吸着剤(アニオン交換樹脂)を製造してもよい。
洗浄を行う公知の弱塩基性アニオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオンCR20(商品名、三菱化学社製)、WA21(商品名、三菱化学社製)、WA30(商品名、三菱化学社製)、HPA25(商品名、三菱化学社製)、Duolite A361(商品名、ロームアンドハース社製)、Pulorite A103(商品名、ピュロライト社製)、Amberlite IRA93(商品名、ロームアンドハース社製)、Duolite A378(商品名、ロームアンドハース社製)、Lewatit MP64(商品名、ランクセス社製)、Dowex MWA1(商品名、ダウケミカル社製)、Amberlite IRA904(商品名、ロームアンドハース社製)等が挙げられる。
洗浄は上記イオン交換樹脂を強酸中に攪拌することにより行う。酸の液温は高温である方が洗浄効果が高く、室温〜120℃、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは40〜80℃である。洗浄方法は、バッチ式の洗浄であっても、カラム洗浄でも良い。
即ち、公知の弱塩基性アニオン交換樹脂を温度40〜80℃、濃度0.1〜5Nの塩酸、硫酸などの強酸を用い、十分に攪拌して洗浄する。洗浄後、カラムに上記樹脂を充填し、温度40〜80℃、濃度0.1〜5Nの上記強酸をカラム内へ通液し、次に脱塩水を通液して過剰の強酸を除去する。
次にカラム内の樹脂に、メタノールを2BV〜4BV(「BV」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対する体積量(L)を表す。)通液し、さらに室温〜50℃、濃度0.1〜3Nの水酸化ナトリウム水溶液を通液して、カラム内の樹脂のイオン交換基をOH形に変換する。最後に脱塩水を通液することにより、本発明に必要な条件を満たす弱塩基性アニオン交換樹脂が得られる。
水蒸気精製処理とは、イオン交換基導入前の重合ポリマーおよび/又はクロロメチル化ポリマー、またはイオン交換基導入後の製品の段階で、水蒸気と接触させることによって、ベース樹脂合成時に残存した未反応の単環芳香族化合物やイオン交換基導入時に残存した未反応のアミノ化合物や重合性単量体を含む芳香族化合物を除去する処理方法である。
水蒸気を接触させる際の水蒸気の温度雰囲気温度は樹脂の種類により異なる。弱塩基性陰イオン交換樹脂の場合には、通常150℃以下、好ましくは120℃以下である。これに対し、重合ポリマーやクロロメチル化ポリマーに対しては、通常、100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃以上である。また、通常250℃以下、好ましくは220℃以下である。
水蒸気量は、樹脂1Lに対し、水に換算して通常0.01kg/h以上、好ましくは0.05kg/h以上、更に好ましくは0.1kg/h以上、特に好ましくは0.3kg/h以上である。また、通常10kg/h以下、好ましくは5kg/h以下、更に好ましくは2kg/h以下である。
接触させる水蒸気量が少なすぎると、残留物が除去できないおよび/または高沸点残留物が除去しにくいという問題がある。これに対し水蒸気量が多すぎる場合には、熱エネルギーの損失につながるばかりでなく、アミノ化した製品の場合には製品が分解する可能性もある。
水蒸気を接触させる方法としては、具体的には、例えば以下の方法によって行われる。
ジャケット付きSUS製あるいは断熱材で保温したSUS製カラムに水蒸気を上向流又は下向流で通気する。水蒸気の流通により、酸類やハロゲン類が排出されるときは、カラム内の壁面をテフロン(登録商標)コーティングしたカラムを使用する。カラムから排出された水蒸気は熱交換器で冷却し、水として回収する。
高温重合反応により得られた架橋ポリスチレンにイオン交換基を導入して得られる弱塩基性アニオン交換樹脂としては、架橋ポリスチレンの重合において、通常の反応温度より高温にて重合させて得られる架橋ポリスチレンをベースに用いた弱塩基性アニオン交換樹脂が挙げられる。通常より高温の重合反応を行うことにより、ベース樹脂由来の低重合体成分や遊離重合体成分等の不純物の残存や分解物の発生を抑制することが出来るため、本発明に必要な条件を満たす弱塩基性アニオン交換樹脂が得られる。
高温重合としては、例えば重合反応の少なくとも一部を、通常100℃以上の高温で行なう重合反応が挙げられる。以下に好ましい高温重合の条件について説明する。
高温重合反応は、以下の技術的意義がある。即ち、高温条件により、上記低重合体成分や遊離重合体成分等の不純物がガラス転移状態又はこれに近い状態となって重合反応に組み込まれ易くなり、残存する低重合体成分や遊離重合体成分の量が減少するものと考えられる。また、重合によって生じるポリマー鎖の構造がより堅牢で緻密なものになるため、残存した低重合体成分や遊離重合体成分がこのポリマー鎖の構造内に閉じ込められて、その後に溶出してくる可能性が減るものと考えられる。従って、かかる観点から、重合温度は通常100℃以上、中でも110℃以上、の温度で行なうことが好ましい。具体例を挙げると、架橋ポリスチレンのガラス転移点は、通常架橋度5%では105℃程度、通常架橋度10%では108℃程度であり、この温度付近で架橋ポリスチレンの重合反応を行うことにより、ベース樹脂由来の低重合体成分や遊離重合体成分等の不純物の残存や分解物の発生を抑制することができる。
但し、あまりに温度が高過ぎると、重合溶液の温度を上昇させるのに時間を要したり、重合開始剤の選択の幅が小さくなったり、製造設備が高価になったり、重合温度を上昇させても溶出を軽減させる効果がそれ以上改善されなかったり、生成した重合体が変性し、又は分解されるおそれがあるので、温度の上限は通常160℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
重合反応の方法は特に限定されるものではなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等、公知の種々の方法を何れか単独で、或いは二種以上を組み合わせて採用することができる。これらは目的とする重合体の種類や用途に応じて、適宜選択すればよい。
特に、得られる重合体を後述のようにイオン交換樹脂又は合成吸着剤として使用する場合には、重合体の形状を粒状、中でも球状又は略球状とすることが好ましいが、この様な粒状(球状又は略球状)の重合体を製造するためには、油中水型又は水中油型の懸濁重合を行なうことが有効である。
本発明では、重合反応系内の酸素量を、全原料モノマーに対する比率として、通常5ppm以下、中でも3ppm以下、更には1ppm以下と、できるだけ少なくすることが好ましい。なお、米国特許第4192921号公報、特開昭53−124184号公報等において、酸素ガスを含む窒素を流通させながら重合する方法も提案されている。しかしながら、重合反応(特にラジカル重合反応)において、反応系内に酸素が存在すると、末端ラジカルは酸素と共重合しやすいため、原料モノマーの重合反応に酸素が取り込まれ、過酸化物結合を含むポリマーが生成する。この結果、樹脂の製造工程や洗浄工程の際、あるいは樹脂の使用中に、この過酸化物結合が化学的及び熱的に開裂して、オリゴマーの発生及び溶出を引き起こしたり、この過酸化物結合が分解されてホルムアルデヒドやベンズアルデヒド等の分解物を生じ、その溶出を引き起こしたりする原因ともなる。従って、こうしたオリゴマーや分解物の溶出を抑制するためにも、重合反応系内の酸素量を極めて低く抑え、その状態を維持することは重要である。
上述の様に、重合反応の少なくとも一部は100℃以上の高温で行なう必要があるが、この高温重合反応をより低い温度での重合反応と組み合わせ、複数段に分けて実施しても良い。
例えば、上述したように、反応系中に有機溶媒が存在しない場合(例えば、ゲル型の重合体を製造する場合等)には、原料モノマーの転換率(conversion rate)がまだ低い段階で100℃以上の高温にすると、原料モノマーが水とともに蒸気となって反応器中に充満し、その一部が反応器の蓋部で重合してしまい、これが凝集体となって付着するという問題が生じる。よって、まず100℃未満の比較的低温で重合反応を行ない(これを適宜「前段重合」という。)、モノマーの転換率をある程度高めた状態にした上で、100℃以上の高温重合反応を行なう(これを適宜「後段重合」という。)ことが好ましい。
この場合、前段重合の温度は、通常50℃以上、好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下の範囲が好ましい。前段重合の温度が低すぎると、重合性単量体の転換率が低く、後段重合の際の付着物量が増加するという理由から好ましくない。また、前段重合の温度が高すぎると、付着物量が増加する、スチレン特有の熱重合による二量体構造物、三量体構造物が副生する等の理由から好ましくない。
前記弱塩基性アニオン交換樹脂は上述の重合によって得られる重合体(架橋ポリスチレン)にイオン交換基を導入することにより得られる。
そのイオン交換基(アニオン交換基)としては、4級アンモニウム基、1級乃至3級アミノ基(−N+HnR3−n)等が挙げられる(Rは任意の置換基を表わし、nは1以上3以下の整数を表わす。)。4級アンモニウム基、1級乃至3級アミノ基の具体例としては、アンモニア基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチレンジアミノ基、ジエチレントリアミノ基、トリエチレンテトラミノ基、ポリエチレンイミン基、ブチレンジアミノ基、ヘキサンジアミノ基、エタノールアミノ基等が挙げられる。
なお、以上のイオン交換基は何れか一種を単独で導入しても良く、二種以上を任意の組み合わせで同一の重合体に導入してもよい。
例えば、弱塩基性アニオン交換基として1級乃至3級アミノ基を導入する場合、特開2001−106725号公報等に記載の手法が用いられる。
当初、カルボニル化合物の除去機構は、1級アミノ基とカルボニル化合物のシッフ塩基の形成による捕捉のみであると推測されていた。ところが、反応機構を検討した結果、カルボニル化合物の捕捉は1級アミンのみならず、2級アミンや3級アミンを有する弱塩基性アニオン交換樹脂や、トリメチルアンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換樹脂であってもカルボニル化合物を高効率で捕捉できることを見出した。この理由としては、アニオン交換樹脂の樹脂表面でシッフ塩基の生成反応以外に、アルドール縮合や、アルデヒドの重合反応が行われているためと推測される。換言すると、いわゆる塩基性触媒によるカルボニル化合物のオリゴマー化が進行していると推測される。
アルデヒドの捕捉反応がシッフ塩基の生成やアルドール縮合反応に関することを考慮すると、弱塩基性アニオン交換基は塩基性が高い方が好ましい。
従って、1級アミンであるアミノメチル基よりも、エチレンジアミンやジエチレントリアミン、ポリエチレンポリアミン、ポリアルキルアミン等の中塩基性のアミン種が好ましい。アルドール縮合反応の観点からは、強塩基性の官能基である中性塩分解能力が高いことが望ましいが、臭気や溶出性の点から中性塩分解能力は0.43meq/g以下であることが好ましいことは前述した通りである。
本発明においては、ガス吸着剤の水分含有率が3〜20%、5〜20%が好ましく、5〜15%であることが特に好ましい。水分含有率が上記範囲内であることで、ミクロポアー内でガス拡散性が適切に保たれ、ガス吸着剤としての性能を維持することができる。
<水分含有率の測定>
被検体であるガス吸着剤にNaOH水溶液を接触させて、そのアニオン交換基を再生した後、遠心分離機等の適切な機器によって脱水し、脱水したガス吸着剤の適切量を秤量する。秤量したガス吸着剤を更に真空乾燥し、真空乾燥させたガス吸着剤の質量を測定する。そして脱水後の質量と、真空乾燥後の質量から、ガス吸着剤の水分含有量を算出することができる。また、カールフィッシャー水分計で、樹脂中の水分を直接測定することもできる。
シリカをベースとして1級乃至3級アミノ基または4級アンモニウム基を固定したものとしては、例えば、シリカゲル粒子に3−アミノプロピルシリル基を導入した反応体を例示できる。
また、環状飽和第二アミンと、不揮発性酸、尿素及びチオ尿素から選ばれた少なくとも1種とを活性炭に担持させてなる吸着剤を例示できる。
また、前記シリカ、アルミナ担体におけると同様、重合性単量体を含む溶液を含浸させ、重合した後、必要に応じ、イオン交換基を導入した担体が挙げられる。必要に応じ、イオン交換基を有する重合性単量体を用いても良い。例えば、アミノメチルスチレンあるいは、アミノエチル(メタ)アクリレート単量体等が挙げられる。また、溶出をできるだけ小さくするため、重合性単量体に多官能性重合性単量体を添加しても良い。
また、活性炭にリン酸とエチレンジアミン及び/又はトリエタノールアミンを添着せしめてなるか、或いは、活性炭にエチレンジアミンリン酸塩及び/又はトリエタノールアミンリン酸塩を添着せしめてなるか、或いは、活性炭にリン酸を添着した後、エチレンジアミン及び/又はトリエタノールアミンを加えてアミンリン酸塩として添着せしめた吸着剤を例示できる。
従って、本発明のガス吸着剤は、有害ガス除去のためのガスフィルターまたは装置類全般に用いられ、特に、タバコのフィルターや空気清浄機、カーエアコンのようなタバコの煙中の有害ガスを除去することが求められる機器のガスフィルターに好適に用いられる。
また、本発明のガス吸着剤を空気清浄機、カーエアコンのようなタバコの煙中の有害ガスを除去することが求められる機器のガスフィルターに用いた場合には、高速で吸引した空気から有害物質が効率よく除去されるだけでなく、機器から排出される空気は、ガス吸着剤自体に由来する悪臭成分や有害成分を含んでいないため、ガス吸着剤自体のせいで機器使用者に不快感を与えたり、或いは機器使用者の健康を害するおそれが少なくなる。
なお、本発明の吸着剤は、単独で使用することも可能であるが、他のガス吸着剤と併用することも可能である。
また、本発明のガス吸着剤と非処理ガスとの接触面積を大きくとれるように、ガス吸着剤それ自体を非常に粒径の小さい粒子または多孔質粒子の形態に加工して用いることが好ましい。
真空乾燥した樹脂(ガス吸着剤)をガラスセルに入れ、水銀ポロシメーター(オートポア9220型、島津製作所製)で樹脂の細孔半径、細孔容積を測定した。測定した細孔容積、細孔半径をそれぞれ縦軸、横軸とした細孔の分布を示すヒストグラムにより、細孔容積の合計が最も多い部分の細孔半径を平均細孔半径として求めた。
また、樹脂(ガス吸着剤)の表面積は窒素吸着法(フローソーブ2300型、マイクロメトリクス社製)で測定した。
なお、表中で表面積0は、細孔が認められないか、ほとんど認められない場合を示す。
内径15mmΦのカラムに、遠心分離器で水切りした樹脂(ガス吸着剤)50gを、脱塩水を用いて充填し、溶離液として2Nの塩酸水溶液をSV1(「SV1」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対する1時間当りの体積流量(L/h)を表す。)で5BV(「5BV」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対し1時間で5L通液したことを表す。)通液し、溶離液を回収した。回収した溶離液の吸光度(波長254nm)を測定し、イオンクロマトグラフィーや更に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で以下の条件により分析した。
なお、「BV」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対し1時間で1L通液したことを表す。
内径15mmΦのカラムに、遠心分離器で水切りした樹脂(ガス吸着剤)50gを、脱塩水を用いて充填し、溶離液としてイソプロピルアルコールを室温でSV1で5BV通液し、溶離液を回収した。回収した溶離液をガスクロマトグラフィー(GC)、及びHPLCで分析し、トルエン、スチレン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジエチルベンゼン、フェノールの含有量を測定した。GC分析条件並びにHPLC分析条件は以下の通り。
HPLC分析:カラム ODSカラム 50%アセトニトリル水溶液から100%アセトニトリル溶液まで5%/分のグラジエントで溶離、10分到達後、5分間100%アセトニトリル溶液で5分間保持。 UV検出器、測定波長254nm。
アニオン交換樹脂をカラムに詰め、これに樹脂容量の25倍量の5%NaCl水溶液を通液し、対イオンをCl形に変換した。この樹脂を10.0ml採り、2N−NaOH水溶液を75倍量通液してCl形をOH形に再生した。洗浄濾液が中性になるまで十分に脱塩水で洗浄し、その後5%NaCl水溶液を25倍量通液し流出液を全て捕集した。この流出液を塩酸で滴定することにより、中性塩分解容量を算出した。
吸着剤10.0mlをメスシリンダーで採取し、ガラスカラムに充填し、2N−塩酸水溶液 200mlで通液した後、脱塩水で水洗する。次に2N−水酸化ナトリウム水溶液250mlを通液する。更に脱塩水を流出液が中性を示すまで通液した。この樹脂を500mlの三角フラスコに入れ0.2N−HCl水溶液を300ml加え、8時間振盪する。振盪後、上澄み液20.0mlをホールピペットでサンプリングし、0.1N−NaOH水溶液で滴定し、吸着された塩酸量を重量当たり及び体積当たりに換算し、酸吸着容量を求めた。
200mlの三角フラスコに、樹脂(ガス吸着剤)10.0gを加え、この中へ50.0gの10重量%メタノール水溶液ベースの2重量%プロピオンアルデヒド水溶液を加え、室温で1日間振盪した。振盪終了後、上澄み液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)により以下の条件でプロピオンアルデヒドの濃度を測定し、吸着量を算出した。
300mlの三角フラスコに、水切り状態の樹脂(ガス吸着剤)5.00gを加え、この中へあらかじめ25.0℃に温度調整した100.0mlの濃度100ppmのプロピオンアルデヒド水溶液を瞬時に注入し、25.0℃に設定した振盪機に樹脂が懸濁状態を維持する条件で振盪した。プロピオンアルデヒド水溶液投入から、3分後及び10分後の上澄み液をそれぞれサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)によりプロピオンアルデヒドの濃度を測定し、吸着量を算出した。
分析条件は上記(6)におけると同様である。
200mlの三角フラスコに、樹脂(ガス吸着剤)10.0gを加え、この中へ50.0gの1%重量のニコチン酸アミド水溶液を加え、室温で1日間振盪した。振盪終了後、上澄み液をサンプリングし、以下の条件でHPLCによりニコチン酸アミドの濃度を測定した。
200mlの三角フラスコに、樹脂(ガス吸着剤)10.0gを加え、この中へ50.0gの50重量%メタノール水溶液ベースの2重量%l−メントール水溶液を加え、室温で1日間振盪した。終了後、上澄み液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)で以下の条件によりl−メントールの濃度を測定した。
上述の(6)プロピオンアルデヒド吸着試験、及び(7)プロピオンアルデヒドの吸着速度試験が気相系におけるガス捕捉能を適切に表現していることを確認するために、後述する一部の実施例、比較例については、下記の気相系ガス捕捉試験を行った。なお、ガス吸着剤として好ましいガス吸着率は、通常40%以上、好ましくは45%以上と考えられる。
内径8.0mmΦ(外径10.0mmΦ)の石英管に真空乾燥した吸着剤40mgとガラスビーズ(アズワンBZ−06)100mgを充填し、両端にガラスウール詰め固定した。(樹脂の充填層は8.0mmΦ×4.0mm)吸着剤の充填管入り口に1000ppmのアセトアルデヒドガス(1.0%アセトアルデヒド標準ガスを窒素ガスで希釈した。定量法は内部標準法を使用。アセトアルデヒドガスにメタンガスを100ppm添加し、メタンガスを基準として、アセトアルデヒドの定量分析を行った。)が入ったテトラバッグを取り付け、出口に三方バルブを介して、100mlのガスシリンジ及びGC装置を接続した。低速シリンダーユニットでガスタイトシリンジを35ml/2秒で吸引し、石英ガラス管にガスを吸入した。吸着温度は、24℃〜26℃で行った。吸入後バルブを切り替えてGCに吸入ガスを送気し、吸着されなかったアセトアルデヒドをGCで定量した。この操作を5分おきに繰り返し、10回繰り返し、吸着率(%)及び吸着挙動を評価した。
ガスクロマトグラフィーは島津製作所 GC−14Aを用いた。 カラムはDB−WAXカラム(0.53mmΦ×30mm)、分析温度は60℃、カラム入り口温度50℃、検出器温度50℃、検出器はFID検出器を使用した。
篩目の径が1180μm、850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩を、下方になる程、篩目の径が小さくなる様に積み重ねた。この積み重ねた篩をバットの上に置き、最上段に積み重ねられた1180μmの篩の中にガス吸着剤を約100mL入れた。
水道水につないだゴム管から樹脂上にゆるやかに水を注ぎ小粒を下の方へ篩別した。1180μmの篩の中に残ったガス吸着剤は、さらに以下の方法により、厳密に小粒を篩別した。即ち、別のバットの1/2位の深さまで水を満たし、1180μmの篩を前記バットの中で上下及び回転運動を与えて動揺させることを繰り返し、小粒を篩別した。
前記バットの中の小粒は次の850μmの篩の上へ戻し、また1180μmの篩の上に残ったガス吸着剤はさらに別のバットに採取した。篩の目にガス吸着剤が詰まっていれば、篩をバットに逆に置き、水道水につないだゴム管に密着させ、水を強く流して篩の目に詰まったガス吸着剤を取り出した。取り出したガス吸着剤は、1180μmの篩上に残ったガス吸着剤を採取したバットに移し、合計をメスシリンダーで容積を測定した。この容積をa(mL)とした。1180μmの篩を通ったガス吸着剤は850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩についてそれぞれ同様の操作を行い、メスシリンダーを用いて容積b(mL)、c(mL)、d(mL)、e(mL)、f(mL)を求め、最後に300μmの篩を通った樹脂の容積をメスシリンダーで測定しg(mL)とした。
V=a+b+c+d+e+f+gとし、a/V×100=a'(%)、b/V×100=b'(%)、c/V×100=c'(%)、d/V×100=d'(%)、e/V×100=e'(%)、f/V×100=f'(%)、g/V×100=g'(%)を算出した。
前記a'〜g'より片軸に各篩の残留分累計(%)、他の軸に篩目の径(mm)をとり、これを対数確率紙上にプロットする。残留分の多い順に3点を取り、この3点を出来るだけ満足するような線を引き、この線から残留分累計が50%に相当する篩目の径(mm)を求め、これを重量平均粒子径とした。
ダイヤイオン(登録商標)CR20(商品名、三菱化学社製のアミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)をセントルで水切りした後、100ml取り、冷却管、攪拌羽根を取り付けた1Lの4つ口フラスコに入れた。この中へ2N−HClを400ml加え、80℃で5時間攪拌した。溶液を抜き出し、更に新しい2N−HCl溶液を400ml加え、更に5時間攪拌し、洗浄した。
フラスコを室温まで冷却した後、上記樹脂をガラスカラムに充填し、1N−HCl水溶液を室温で、SV1で5BV通液した。更に1N−HCl水溶液で洗浄した後、脱塩水で10BV通液して洗浄し、過剰の塩酸溶液を除いた。
次に、洗浄後のカラム内の樹脂のイオン交換基がCl形のまま、メタノールを室温で、SV1で5BV通液した。更に脱塩水で5BV通液してメタノールを除去した。
この樹脂を、1N−NaOH水溶液で5BV通液し、カラム内の樹脂のイオン交換基をOH形(フリー形)にイオン交換し、最後に、脱塩水5BVを通液したものを実施例1のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
ダイヤイオン(登録商標)CR20(商品名、三菱化学社製のアミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)の前駆体である下記式4に示す構造を主骨格とするクロロメチル化ポリマーを、実施例1と同様の方法で洗浄(1N−HCl水溶液で洗浄した後、脱塩水で10BV通液して洗浄し、過剰の塩酸溶液を除く段階まで)したもの(以下、「洗浄前駆体」と称する。)を、下記の様にアミノ化した。
冷却管、攪拌羽根を取り付けた500mlの4つ口フラスコに上記洗浄前駆体を50g取り、脱塩水を250ml加え、室温で1時間攪拌した。この中に45%水酸化ナトリウム水溶液30gと50%ジメチルアミン水溶液70gを加え、50℃で5時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、ガラスカラムに充填し、脱塩水で20BV水洗して、反応で使用したアミンを除去したものを実施例2のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例2で用いた同様の洗浄前駆体を、下記の様にアミノ化した。
冷却管、攪拌羽根を取り付けた500mlの4つ口フラスコに上記洗浄前駆体を50g取り、脱塩水150ml、45%水酸化ナトリウム水溶液30g、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)200gを加え、120℃で5時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、ガラスカラムに充填し、脱塩水で20BV水洗して、反応で使用したアミンを除去したものを実施例3のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例2で用いた同様の洗浄前駆体を、下記の様にアミノ化した。
冷却管、攪拌羽根を取り付けた500mlの4つ口フラスコに上記洗浄前駆体を50g取り、脱塩水100ml、45%水酸化ナトリウム水溶液44g、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)49gを加え、室温から120℃まで昇温し、120℃で5時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、溶液が中性になるまで樹脂を脱塩水で水洗した。その後、実施例1で示された方法で、樹脂を精製処理したものを実施例4のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例4において、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)の仕込み重量を49gから12.25gに代えた以外は、実施例4と同様に処理したものを実施例5のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例4において、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)の仕込み重量を49gから6.12gに代えた以外は、実施例4と同様に処理したものを実施例6のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例1で得られたガス吸着剤を0.5L取り出し、金網の篩で3段階に分級した。各段階の樹脂の重量平均粒子径はそれぞれ550μm、760μm、380μmであった。
これらの樹脂を、真空乾燥器で水分含有率が約10%になるまで乾燥した。その後、25℃、相対湿度75%の恒温恒湿器内に3日間入れた。その間、定期的に樹脂を流動し、混合した。調湿後の樹脂の水分は約12.5%で調湿後の樹脂の重量平均粒子径は、それぞれ510μm、700μm、350μmであった。
510μmの重量平均粒子径を有するガス吸着剤を、実施例7のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)、700μmの重量平均粒子径を有するガス吸着剤を、実施例8のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)、350μmの重量平均粒子径を有するガス吸着剤を、実施例9のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として、それぞれ試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた3LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン83.9g、スチレン129.5g、イソオクタン254.7g、純度75%過酸化ベンゾイル1.28g、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート、日本油脂製)1.185gの溶液を調製した。
水相:脱塩水985ml、3%ポリビニルアルコール溶液53.3ml、0.1%NaNO2水溶液21mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.1ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、120rpmで1時間攪拌した。その後、80℃で4時間攪拌した後、更に115℃に昇温し、4時間攪拌した。80℃における圧力は0.09MPa、115℃における圧力は0.25MPaであった。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、脱塩水で洗浄した後、わずかにイソオクタン臭がする白色の樹脂を得た。
この樹脂200gを、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するイソオクタンを除去した。
この段階で、水分含有率59.5%、比表面積34m2/g、平均細孔半径1101Å、細孔容積1.67ml/gの樹脂を得た。重合収率は99.5%以上であった。また、樹脂中に残留するスチレンは1.2ppm、EVB(エチルビニルベンゼン)は0.4ppm、DVB(ジビニルベンゼン)は0.1ppmであった。
上記手順によって得られた樹脂50gにクロロメチルメチルエーテル300gを加え、50℃で1時間攪拌した。ここに塩化亜鉛15gを加えることによりクロロメチル化し、次に実施例2と同様にアミノ化処理したものを実施例10のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた3LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン138.5g、スチレン210.6g、トルエン419g、純度75%過酸化ベンゾイル1.16g、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート、日本油脂製)0.87gの溶液を調製した。
水相:脱塩水1624ml、3%ポリビニルアルコール溶液51.3ml、0.1%NaNO2水溶液34mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.2ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、115rpmで1時間攪拌した。その後、室温から80℃に昇温し4時間攪拌した後、更に120℃に昇温し、4時間重合した。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、トルエンで樹脂を洗浄した。この操作を4回繰り返した。
この樹脂200gを、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するトルエンを除去し、次に実施例2と同様にアミノ化処理したものを実施例11のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
冷却管、攪拌羽根を取り付けた500mlの4つ口フラスコに上記洗浄前駆体を50g取り、脱塩水80ml、45%水酸化ナトリウム水溶液44g、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)19.6g、トルエン75gを加え、80℃まで昇温し、5時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、溶液が中性になるまで樹脂を脱塩水で水洗した。得られた樹脂を攪拌機、蒸留装置のついた1Lのフラスコに移し、脱塩水を0.5L加え、バス温度を110℃(内温108℃)で水蒸気蒸留した。水の留出に伴い、脱塩水を滴下し、液面を一定に保った。この水蒸気蒸留により樹脂内に残留するトルエンを除去したものを実施例12のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた3LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン143.7g、スチレン221.9g、トルエン438.9g、ポリスチレン(分子量4.8万)95.1g、純度75%過酸化ベンゾイル2.44g、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート、日本油脂製)1.87gの溶液を調製した。
水相:脱塩水1678ml、3%ポリビニルアルコール溶液91.4ml、0.1%NaNO2水溶液36mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.1ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、120rpmで1時間攪拌した。その後、80℃まで昇温し4時間保持した。更に120℃に昇温し、4時間攪拌した。80℃における圧力は0.072MPa、120℃における圧力は0.29MPaであった。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、脱塩水で洗浄し、白色の樹脂を得た。
この樹脂200gをガラスカラムに充填し、5倍量のトルエンを通液し、添加したポリスチレンを除去した。
その後、得られた樹脂を、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するトルエンを除去した。
この段階で、比表面積50m2/g、平均細孔半径753Å、細孔容積0.99ml/gの樹脂を得た。重合収率は97.8%以上であった。
上記手順によって得られた乾燥樹脂50gにクロロメチルメチルエーテル300gを加え、25℃で1時間攪拌した。ここに塩化亜鉛60gを加え、50℃に昇温し、5時間攪拌しクロロメチル化した。1Lの4つ口フラスコにセントル切り(5分間)した水湿潤ポリマーをフラスコに入れ、脱塩水325mlを入れ攪拌しながら48%NaOH438gを入れる。次にジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)49.7gを入れた。室温から2時間でバス温度を115℃(内温110℃)まで昇温、そのまま5時間攪拌した。終了後、樹脂を取り出し、反応液を抜き出し、脱塩水でバッチ水洗した。この操作を3回繰り返した後、樹脂をガラスカラムに移し、脱塩水で中性になるまで通液したものを実施例13のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例13において、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)の仕込み重量を49.7gから31.1gに代えた以外は、実施例13と同様に処理したものを実施例14のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例13において、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)の仕込み重量を49.7gから15.5gに代えた以外は、実施例13と同様に処理したものを実施例15のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例13において、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)の仕込み重量を49.7gから10.4gに代えた以外は、実施例13と同様に処理したものを実施例16のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた2LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン83.9g、スチレン129.5g、イソオクタン202.7g、純度75%過酸化ベンゾイル1.28g、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート、日本油脂製)1.185gの溶液を調製した。
水相:脱塩水985ml、3%ポリビニルアルコール溶液53.3ml、0.1%NaNO2水溶液21mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.1ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、120rpmで1時間攪拌した。その後、80℃で4時間攪拌した後、更に115℃に昇温し、4時間攪拌した。80℃における圧力は0.088MPa、115℃における圧力は0.28MPaであった。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、脱塩水で洗浄した後、わずかにイソオクタン臭がする白色の樹脂を得た。
この樹脂200gを、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するイソオクタンを除去した。
この段階で、比表面積53m2/g、平均細孔半径472Å、細孔容積1.42ml/gの樹脂を得た。
上記手順によって得られた樹脂50gを用いて、実施例13と同様にクロロメチル化し、実施例13と同様にジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)でアミノ化するが、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)の仕込み重量を49.7gから124.2gに代えた以外は、実施例13と同様に処理したものを実施例17のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例17において、イソオクタンの仕込み重量を202.7gから211.3gに代えた以外は、実施例17と同様に処理し、わずかにイソオクタン臭がする白色の樹脂を得た。
その後、樹脂中に残留するイソオクタン除去後の段階で、比表面積44m2/g、平均細孔半径603Å、細孔容積1.48ml/gの樹脂を得た。
上記手順によって得られた樹脂50gを用いて、実施例17と同様にクロロメチル化やアミノ化処理したものを実施例18のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例17において、イソオクタンの仕込み重量を202.7gから224.1gに代えた以外は、実施例17と同様に処理し、わずかにイソオクタン臭がする白色の樹脂を得た。
その後、樹脂中に残留するイソオクタン除去後の段階で、比表面積34m2/g、平均細孔半径1101Å、細孔容積1.67ml/gの樹脂を得た。
上記手順によって得られた樹脂50gを用いて、実施例17と同様にクロロメチル化やアミノ化処理したものを実施例19のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた3LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン50.8g、スチレン353.4g、イソオクタン303.2g、純度75%過酸化ベンゾイル1.90g、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート、日本油脂製)1.60gの溶液を調製した。
水相:脱塩水1492ml、3%ポリビニルアルコール溶液67.1ml、0.1%NaNO2水溶液31.8mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.1ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、120rpmで1時間攪拌した。その後、80℃で4時間攪拌した後、更に115℃に昇温し、4時間攪拌した。80℃における圧力は0.088MPa、115℃における圧力は0.27MPaであった。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、脱塩水で洗浄した後、わずかにイソオクタン臭がする白色の樹脂を得た。
この樹脂200gを、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するイソオクタンを除去した。得られた乾燥樹脂50gにクロロメチルメチルエーテル150g、1,2−ジクロロエタン150gを加え、25℃で1時間攪拌した。ここに塩化鉄35gを加え、50℃に昇温し、8時間攪拌しクロロメチル化した。1Lの4つ口フラスコにセントル切り(5分間)した水湿潤ポリマーをフラスコに入れ、脱塩水325ml、トルエン225mlを入れ攪拌しながら48%NaOH438gを入れる。次にエチレンジアミン21.6gを入れた。室温から2時間でバス温度(内温80℃)を82℃まで昇温、そのまま6時間攪拌した。終了後、樹脂を取り出し、別のフラスコに移し、水蒸気蒸留でトルエンを除去した。樹脂をガラスカラムに移し、脱塩水で中性になるまで通液したものを実施例20のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例20において、68%ジビニルベンゼンの仕込み重量を50.8gから38.1g、スチレンの仕込み重量を353.4gから366.1gに代えた以外は、実施例20と同様にクロロメチル化やアミノ化処理したものを実施例21のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた3LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン95.3g、スチレン308.9g、n−ヘプタン364g、純度75%過酸化ベンゾイル1.70g、PHD(パーヘキシルD、日本油脂製)1.53gの溶液を調製した。
水相:脱塩水1664ml、3%ポリビニルアルコール溶液67.4ml、0.1%NaNO2水溶液35.3mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.1ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、120rpmで1時間攪拌した。その後、80℃で4時間攪拌した後、更に130℃に昇温し、6時間攪拌した。80℃における圧力は0.093MPa、130℃における圧力は0.46MPaであった。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、脱塩水で洗浄した後、わずかにn−ヘプタン臭がする白色の樹脂を得た。
この樹脂200gを、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するn−ヘプタンを除去した。得られた乾燥樹脂50gにクロロメチルメチルエーテル150g、1,2−ジクロロエタン150gを加え、25℃で1時間攪拌した。ここに塩化鉄35gを加え、50℃に昇温し、8時間攪拌しクロロメチル化した。1Lの4つ口フラスコにセントル切り(5分間)した水湿潤ポリマーをフラスコに入れ、脱塩水325ml、トルエン225mlを入れ攪拌しながら48%NaOH438gを入れる。次にジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)32.7gを入れた。室温から2時間でバス温度(内温80℃)を82℃まで昇温、そのまま6時間攪拌した。終了後、樹脂を取り出し、別のフラスコに移し、水蒸気蒸留でトルエンを除去した。樹脂をガラスカラムに移し、脱塩水で中性になるまで通液したものを実施例22のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例16において、アミノ化の条件を以下のように変更した以外は、実施例16と同様に処理したものを実施例23のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
1Lの4つ口フラスコにセントル切り(5分間)した水湿潤ポリマー140gをフラスコに入れ、ジメトキシメタン200mlを入れ攪拌しながら48%NaOH438gを入れた。次にジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)10.4gを入れた。室温から30分でバス温度を45℃(内温43℃)まで昇温、そのまま5時間攪拌した。終了後、樹脂を取り出し、反応液を抜き出し、脱塩水でバッチ水洗した。この操作を3回繰り返した後、樹脂をガラスカラムに充填し、脱塩水で中性になるまで通液した。
実施例22において、アミノ化の条件を以下のように変更した以外は、実施例22と同様に処理したものを実施例24のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
1Lの4つ口フラスコにセントル切り(5分間)した水湿潤ポリマー140gをフラスコに入れ、ジメトキシメタン200mlを入れ攪拌しながら48%NaOH438gを入れた。次にジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)32.7gを入れた。室温から30分でバス温度を48℃(内温43℃)まで昇温、そのまま5時間攪拌した。終了後、樹脂を取り出し、反応液を抜き出し、脱塩水でバッチ水洗した。この操作を3回繰り返した後、樹脂をガラスカラムに充填し、脱塩水で中性になるまで通液した。
実施例17において、アミノ化の条件を以下のように変更した以外は、実施例17と同様に処理したものを実施例25のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
1Lの4つ口フラスコにセントル切り(5分間)した水湿潤ポリマー100gをフラスコに入れ、ジメトキシメタン200mlを入れ攪拌しながら48%NaOH438gを入れる。次にジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)25.5gを入れた。室温から30分でバス温度(内温43℃)を50℃まで昇温、そのまま5時間攪拌した。終了後、樹脂を取り出し、反応液を抜き出し、脱塩水でバッチ水洗した。この操作を3回繰り返した後、樹脂をガラスカラムに充填し、脱塩水で中性になるまで通液した。
湿潤状態の「Sepabeads(登録商標)EC−EP/S」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタクリル系重合ポリマー)を、攪拌羽根、冷却管を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、湿潤状態で50g加えた。この中へ、脱塩水350ml、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)を50g加え、70℃に昇温し、70℃で6時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、脱塩水で水洗した。水洗した樹脂を再度、1Lの4つ口フラスコに戻し、2N−硫酸水溶液500mlを加え、50℃で5時間攪拌した。終了後、ヌッチェ上で樹脂を脱塩水で水洗した。更に、樹脂をガラスカラムに充填し、10BVの脱塩水を通液した。更に、2N−水酸化ナトリウム水溶液を10倍量通液した後、更に脱塩水を通液し、OH形のイオン形に処理したものを実施例26のガス吸着剤(メタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
湿潤状態の「Sepabeads (登録商標)FP−EP200」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタクリル系重合ポリマー)を、攪拌羽根、冷却管を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、湿潤状態で50g加えた。この中へ、脱塩水350ml、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)を50g加え、100℃に昇温し、100℃で10時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、脱塩水で水洗した。水洗した樹脂を再度、1Lの4つ口フラスコに戻し、2N−硫酸水溶液500mlを加え、50℃で5時間攪拌した。終了後、ヌッチェ上で樹脂を脱塩水で水洗した。更に、樹脂をガラスカラムに充填し、10BVの脱塩水を通液した。更に、2N−水酸化ナトリウム水溶液を10倍量通液した後、更に脱塩水を通液し、OH形のイオン形に処理したものを実施例27のガス吸着剤(メタアクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例27において「Sepabeads(登録商標)EC−EP200」の代わりに「Sepabeads(登録商標)FP−EP300」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタクリル系重合ポリマー)を用いた以外は、実施例27と同様に処理したものを実施例28のガス吸着剤(メタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例27において「Sepabeads(登録商標)EC−EP200」の代わりに「Sepabeads(登録商標)FP−EC−EP/S」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタアクリル系重合ポリマー)を用いた以外は、実施例27と同様に処理したものを実施例29のガス吸着剤(メタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
「Sepabeads(登録商標)FP−HA13」(商品名、三菱化学社製のメタアクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを実施例30のガス吸着剤(メタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
ダイヤイオン(登録商標)CR20(商品名、三菱化学社製のアミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例1のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
デュオライトA7(商品名、ロームアンドハース社製のフェノール系弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例2のガス吸着剤(フェノール系弱塩基性アニオン樹脂)として試験に供した。
1Lの4つ口フラスコに、シクロヘキサン400mlとエチルセルロース800mgを入れ重合浴溶液を調製した。一方、これとは別にビニルホルムアミド(CH2=CH−NHCHO)(純度94%、主な不純物は蟻酸)180g、ジビニルベンゼン(純度80%)20.0g、脱塩水4.5g、V−50(アゾ系重合開始剤、商品名、和光純薬(株)製)400mgのモノマー溶液を調製した。両溶液とも予め窒素でバブリングをした。
窒素雰囲気下でシクロヘキサン溶液を100rpmで攪拌しながら、上記調製したモノマー溶液を徐々に滴下した。30分攪拌し分配平衡にした後、昇温し、65℃で8時間重合した。昇温終了後、モノマー相は約15分でゲル化した。重合終了後、反応溶液をブフナー漏斗上にあけ、得られた架橋共重合体をメタノールで洗浄し、残存するジビニルベンゼン、シクロヘキサン等を除去した後、引き続き水洗した。重合収率は81%であった。得られた架橋共重合体は、外見上は白色であるが、顕微鏡観察では、僅かに不透明状であった。得られた重合体は、膨潤度4.63ml/g、水分含有量68.9%のゲル型の架橋共重合体であり、比表面積は0m2/gであった。
上記の水切りした架橋共重合体100ml、脱塩水100mlを500mlのフラスコ内に入れ、この中へ水酸化ナトリウム25gを加えた。90℃で4時間加水分解した。反応終了後、架橋共重合体を水洗したものを比較例3のガス吸着剤(アミノ基を有するゲル型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、得られた架橋共重合体は平均粒形が約330μmで膨潤度は7.33ml/g、水分含有量は78.9%であった。
粒状活性炭(キシダ化学製)を50倍量の体積の脱塩水で、上澄み液が無色透明になるまで10回洗浄したものを比較例4のガス吸着剤(活性炭)として試験に供した。
以下の方法によりアミノ化されたシリカゲルを作成した。
1.5Lの加圧反応缶に「ワコーゲル C−200」(商品名、和光純薬社製のシリカゲル)20.0g、トルエン100g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン20.0gを加え、130℃で10時間攪拌し反応させた。次に前記反応により生成したシリカ担体をメタノールで3回洗浄し、最後に水洗し、真空乾燥した。得られたアミノ化されたシリカゲルを比較例5のガス吸着剤(アミノ基含有シリカゲル)として試験に供した。
ダイヤイオン(登録商標)SA12A(商品名、三菱化学社製のスチレン系ゲル型強塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例6のガス吸着剤(スチレン系ゲル型強塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、比較例6のガス吸着剤は、ゲル型のアニオン交換樹脂であるため、細孔は確認されなかった(表面積は0であった。)。
ダイヤイオン(登録商標)DCA11(商品名、三菱化学社製のスチレン系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例7のガス吸着剤(スチレン系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
ダイヤイオン(登録商標)WA30(商品名、三菱化学社製のスチレン系ハイポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例8のガス吸着剤(スチレン系ハイポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
ダイヤイオン(登録商標)PA312(商品名、三菱化学社製のスチレン系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例8のガス吸着剤(スチレン系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例26において、「Sepabeads(登録商標)EC−EP/S」の代わりに「Sepabeads(登録商標)FP−EP200」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタアクリル系重合ポリマー)を用いた以外は、実施例26と同様に処理したものを比較例10のガス吸着剤(メタアクリル系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例26において、「Sepabeads(登録商標)EC−EP/S」の代わりに「Sepabeads(登録商標)FP−EP300」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタアクリル系重合ポリマー)を用いた以外は、実施例26と同様に処理したものを比較例11のガス吸着剤(アクリル系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、冷却管を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、樹脂として湿潤状態の「Sepabeads(登録商標)FP−EP200」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタアクリル系重合ポリマー)を湿潤状態で30g加えた。この中へ、脱塩水350ml、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)50gを加え、30℃に昇温した。30℃で5時間攪拌した。反応後、樹脂を取り出し、脱塩水で水洗した。水洗した樹脂を再度、1Lの4つ口フラスコに戻し、2N−硫酸水溶液500mlを加え、50℃で5時間攪拌した。終了後、ヌッチェ上で樹脂を脱塩水で水洗した。更に、樹脂をガラスカラムに充填し、10BVの脱塩水を通液した。更に、2N−水酸化ナトリウム水溶液を10倍量通液した後、更に脱塩水を通液し、OH形のイオン形にしたものを比較例12のガス吸着剤(アミノ基含有メタクリル酸系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
比較例12において、「Sepabeads(登録商標)EC−EP200」の代わりに「Sepabeads(登録商標)FP−EP300」(商品名、三菱化学社製のエポキシ基を有するメタアクリル系重合ポリマー)を用いた以外は、比較例12と同様に処理したものを比較例13のガス吸着剤(メタアクリル系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
「Sepabeads(登録商標)FP−HA20」(商品名、三菱化学社製のヘキサメチレンジアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例14のガス吸着剤(ヘキサメチレンジアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
「Sepabeads(登録商標)FP−DA05」(商品名、三菱化学社製のジメチルアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例15のガス吸着剤(ジメチルアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
「Sepabeads(登録商標)FP−DA20」(商品名、三菱化学社製のジメチルアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例16のガス吸着剤(ジメチルアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
「Sepabeads(登録商標)FP−HA05」(商品名、三菱化学社製のヘキサメチレンジアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例17のガス吸着剤(ヘキサメチレンジアミノ基を有するメタクリル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
「ホクエツ HS」(商品名、味の素ファインテクノ社製のフェノール系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例18のガス吸着剤(フェノール系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
「ホクエツ KS」(商品名、味の素ファインテクノ社製のフェノール系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例19のガス吸着剤(フェノール系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、樹脂として前日まで50℃で真空乾燥した「ホクエツ HS」(商品名、味の素ファインテクノ社製のフェノール系ポーラス型弱塩基性アニオン交換樹脂)57.6g(アミンとして0.14mol含有)を投入した。この中へ、CME(クロロメチルメチルエーテル、和光純薬社製)200ml(2.59mol)を加え、25℃で0.5時間攪拌した。更に、FeCl3(0.09g/g樹脂 15g(31mmol)を添加した。45℃に昇温し8時間攪拌した。穏やかに還流している状態で反応を続けた。終了後、25℃に冷却し、脱塩水100gを投入し、加水分解によりクロロメチル化した。
上記により得られたクロロメチル化ポリマー(樹脂)を、水切り状態の樹脂50gを500mlの4つ口フラスコに入れ、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)50mlを加え110℃で攪拌する。溶液は透明溶液から、次第に褐色溶液になる。樹脂は元々、活性炭のように黒色であるが、黒色状態は変わらない。110℃で6時間攪拌した。終了後、樹脂を水洗したものを比較例20のガス吸着剤(アミノ基含有フェノール系ポーラス弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、樹脂として前日まで50℃で真空乾燥した「ホクエツ KS」(商品名、味の素ファインテクノ社製のフェノール系ポーラス弱塩基性アニオン交換樹脂)59.0g(アミンとして0.14mol含有)を投入した。この中へ、CME(クロロメチルメチルエーテル、和光純薬社製)200ml(2.59mol)を加え、25℃で0.5時間攪拌した。更に、FeCl3(0.17g/g樹脂 15g(62mmol)を添加した。45℃に昇温し、8時間攪拌した。穏やかに還流している状態で反応を続けた。終了後、25℃に冷却し、脱塩水100gを投入し、加水分解によりクロロメチル化した。
上記により得られたクロロメチル化ポリマーを、比較例20と同様にアミノ化処理したものを比較例21のガス吸着剤(アミノ基含有フェノール系ポーラス弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
樹脂として「ホクエツ HS」(味の素ファインテクノ社製のフェノール系ポーラス弱塩基性アニオン交換樹脂)を比較例20と同様の方法によりクロロメチル化した。
上記により得られたクロロメチル化ポリマー(樹脂)を、水切り状態の樹脂50gを500mlの4つ口フラスコに入れ、EDA(エチレンジアミン)60mlを加え100℃で攪拌する。溶液は透明溶液から、次第に褐色溶液になる。樹脂は元々、活性炭のように黒色であるが、黒色状態は変わらない。100℃で6時間攪拌した。終了後、樹脂を水洗した。更に2N−塩酸を通液すると、赤褐色の溶液が流出する。次第に黄色、淡黄色なり無色になる。更に脱塩水で10BV水洗後、2N-NaOHで10BV通液した後、脱塩水で20BV水洗したものを比較例20のガス吸着剤(アミノ基含有フェノール系ポーラス弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
樹脂として「ホクエツ KS」(味の素ファインテクノ社製のフェノール系ポーラス弱塩基性アニオン交換樹脂)を比較例21と同様の方法によりクロロメチル化した。
上記により得られたクロロメチル化ポリマーを、比較例22と同様にアミノ化処理したものを比較例23のガス吸着剤(アミノ基含有フェノール系ポーラス弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 500-75/200 Lot No 4012796 富士シリシア化学製)50.0gにモレキュラーシーブ4A(キシダ化学品)で乾燥させたトルエン(純正化学品)150ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成製)50.0g(0.226mol)を加え、バス温度110℃(内温108℃)に設定し8時間攪拌した。
溶液を混合した時は、透明懸濁溶液であったが、1時間経過したところで次第に乳白色懸濁溶液となってきた。
反応後、シリカゲル担体をトルエンで洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例24のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 1000-75/200 Lot No 2080990 富士シリシア化学製)50.0gにモレキュラーシーブ4A(純正化学品 特級)で乾燥したトルエン(純正化学品)150ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成製)50.0g(0.226mol)を加え、バス温度110℃(内温108℃)に設定し8時間攪拌した。
溶液を混合した時は、透明懸濁溶液であったが、1時間経過したところで次第に乳白色懸濁溶液となってきた。
反応後、シリカゲル担体をトルエンで洗浄し、更にエタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例25のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 2000-75/200 Lot No 3121290 富士シリシア化学製)50.0gにモレキュラーシーブ4A(純正化学品 特級)で乾燥したトルエン150ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成製)50.0g(0.226mol)を加え、バス温度を110℃(内温108℃)に設定し8時間攪拌した。
溶液はわずかに還流していた。
溶液を混合した時は、透明懸濁溶液であったが、1時間経過したところで次第に乳白色懸濁溶液となってきた。
反応後、シリカゲル担体をトルエンで洗浄し、更にエタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例26のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 500-75/200 Lot No 4012796 富士シリシア化学製)30.0g、エタノール(純正化学品 特級)50ml、脱塩水50ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成製)30.0g(0.226mol)を加え、バス温度を80℃(内温108℃)に設定し8時間攪拌した。
溶液を混合した時は、透明懸濁溶液であったが、1時間経過したところで次第に乳白色懸濁溶液となってきた。
反応後、シリカゲル担体をエタノールで洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例27のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 2000-75/200 Lot No 3121290 富士シリシア化学製)30.0g、エタノール50ml、脱塩水50ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成製)30.0g(0.226mol)を加え、バス温度を80℃(内温78℃)に設定し8時間攪拌した。
溶液はわずかに還流していた。
溶液を混合した時は、透明懸濁溶液であったが、1時間経過したところで次第に乳白色懸濁溶液となってきた。
反応後、シリカゲル担体をエタノールで洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例28のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 500-75/200 Lot No 4012796 富士シリシア化学製)35.0g、THF(テトラヒドロフラン)(純正化学品 特級)100ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成製)35.0g(0.226mol)を加え、バス温度を70℃(内温67℃)に設定し8時間攪拌した。
最初から透明感がある懸濁溶液であった。
反応後、シリカゲル担体をTHF(テトラヒドロフラン)で洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例29のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 2000-75/200 Lot No 3121290 富士シリシア化学製)35.0g、THF(テトラヒドロフラン)(純正化学品 特級)100ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン35.0g(0.226mol)を加え、バス温度を70℃(内温67℃)に設定し8時間攪拌した。
最初から白色懸濁溶液であった。
反応後、シリカゲル担体をTHF(テトラヒドロフラン)で洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例30のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Merck Silica Gel 60 1,07734,1000 Merck製)35.0g、THF(テトラヒドロフラン)(純正化学品 特級)100ml、3−アミノプロピルトリエトキシシラン35.0g(0.226mol)を加え、バス温度を70℃(内温67℃)に設定し8時間攪拌した。
最初から透明感がある懸濁溶液であった。
反応後、シリカゲル担体をTHF(テトラヒドロフラン)で洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で5時間真空乾燥させたものを比較例31のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 500-75/200 Lot No 4012796 富士シリシア化学製)50.0g、モレキュラーシーブ4A(純正化学品 特級)で乾燥したトルエン50ml、3(2(2-Aminoethylamino)ethylamino)propyl-trimethoxysilane(Sigma-Aldrich製)35.0g(0.132mol)を加え、バス温度を110℃(内温108℃)に設定し8時間攪拌した。
最初から透明感がある懸濁溶液であった。
反応後、シリカゲル担体をトルエンで洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例32のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Micro Bead Silica Gel Grade 2000-75/200 Lot No 3121290 富士シリシア化学製)50.0g、モレキュラーシーブ4A(純正化学品 特級)で乾燥したトルエン50ml、3(2(2-Aminoethylamino)ethylamino)propyl-trimethoxysilane(Sigma-Aldrich製)35.0g(0.132mol)を加え、バス温度を70℃(内温68℃)に設定し8時間攪拌した。
わずかに不透明感があるが、多孔質の割には透明感がある懸濁溶液であった。
反応後、シリカゲル担体をトルエンで洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で10時間真空乾燥させたものを比較例33のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
シリカゲル(Wako−gel C−300 和光純薬製)35.0g、モレキュラーシーブ4A(純正化学品 特級)で乾燥したトルエン50ml、3(2(2-Aminoethylamino)ethylamino)propyl-trimethoxysilane(Sigma-Aldrich製)50.0gを加え、バス温度を70℃(内温68℃)に設定し8時間攪拌した。
最初から透明感がある懸濁溶液であった。
反応後、シリカゲル担体をトルエンで洗浄し、更にメタノールで洗浄し、更に脱塩水で
洗浄した。
得られたシリカゲルを50℃で5時間真空乾燥させたものを比較例34のガス吸着剤(シリカゲル系弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、乾燥したシリカゲルを元素分析によりN含有量を測定し、酸吸着容量を測定した。
2 有害成分分子の平均自由行程
3 ガス吸着剤
4 細孔径
5 イオン交換基
Claims (4)
- 下記の(I)、(II)、(IV)及び(V)の条件、又は下記の(I)、(III)、(IV)及び(V)の条件の条件を満たすタバコフィルター用のガス吸着剤であって、該ガス吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン架橋構造骨格を有し、アミノ基を含有する弱塩基性アニオン交換樹脂より成るものであり、該弱塩基性アニオン交換樹脂が温度40〜100℃、濃度0.1〜5Nの強酸により洗浄して得られたもの、又は、重合反応の少なくとも一部を110℃以上160℃以下で行い、110℃以上である時間を1時間以上とすることにより得られた重合体にアミノ基を導入したものであることを特徴とするガス吸着剤。
(I)水銀ポロシメーター測定における該ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上、3000Å以下である。
(II)単位質量当たりの該ガス吸着剤からのアミン溶出量が10μ当量/g以下である。
(III)単位質量当たりの該ガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下である。
(IV)単位質量当たりの該ガス吸着剤の中性塩分解容量が0.43ミリ当量/g以下である。
(V)単位質量当たりの該ガス吸着剤の酸吸着容量が1.5ミリ当量/g以上である。 - ガス吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン架橋構造骨格を有し、アミノ基を含有する弱塩基性アニオン交換樹脂より成るものであって、重合反応の少なくとも一部を110℃以上160℃以下で行い、110℃以上である時間を1時間以上とすることにより得られた重合体にアミノ基を導入したものを、温度40〜100℃、濃度0.1〜5Nの強酸により洗浄して得られたものである請求項1に記載のガス吸着剤。
- 弱塩基性アニオン交換樹脂が、強酸による洗浄後に、さらにメタノールにより洗浄されたものである請求項1又は2に記載のガス吸着剤。
- 弱塩基性アニオン交換樹脂がOH形である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス吸着剤。
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