JP4943001B2 - トコトリエノール類含有組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
前記エステル交換反応工程(B)は2段の工程からなり、エステル交換反応率が98%以上になるように行われることが好ましい。
前記減圧蒸留工程のうち、最後段の工程の残留物中のトコトリエノール類の濃度が1質量%以上となるように、前記最後段の工程の蒸留条件を下記(i)〜(iii)を満足するように設定することが好ましい。
(i)蒸留塔のトップ圧力を0.1〜1kPaとし、ボトム圧力を2.0〜5.0kPaとする。
(ii)蒸留塔のトップ温度を150〜180℃とし、ボトム温度を190〜220℃とする。
(iii)還流比を0〜1とする。
本発明の製造方法で原料として使用される粗パーム油とは、アブラヤシの果肉を圧搾して得られ、炭素数16〜18の脂肪酸の油脂を主成分とする未精製の混合物である。粗パーム油には、他に、カロチン、リン脂質、タンパク質、樹脂状物質などのガム質、遊離脂肪酸、炭素数20の脂肪酸の油脂などが含まれるほか、トコトリエノール類が通常650〜1000ppm含まれる。本発明では、トコトリエノール類を含有する粗パーム油であればどのようなものでも好適に使用できるが、特に遊離脂肪酸含有量が5質量%以下、過酸化物価が5 m equivalent/kg以下の粗パーム油が好ましい。なお、以下、主成分とは、少なくとも50%を占める成分のことを指す。
脱ガム工程(P)は、粗パーム油に含まれるリン脂質を主成分とするガム質や、コロイド状不純物などの不溶物をあらかじめ除去するための工程であって、本発明では、粗パーム油に、変性剤としてリン酸を添加するとともに吸着剤としてパーライトを添加し、得られた混合物をろ過する方法で行う。
リン酸とパーライトは、他の酸からなる変性剤や他の吸着剤と異なり、トコトリエノール類を変質させることがない。よって、トコトリエノール類を高い収率で得ることができる。また、リン酸を使用すると脱ガム率が高まり、後の各工程で副生物を分離し易くなるため分離効率が向上する。その結果、蒸留工程(C)後に残留物として得られるトコトリエノール類含有組成物は、トコトリエノール類を高濃度で含むものとなりやすく、かつ、高純度の脂肪酸低級アルキルエステルが留出液として高収率で得られやすくなる。また、パーライトは、より高い吸着能を有していることからも好ましい。なお、パーライトとは、黒曜石を高温で熱処理してできる発泡体である。
パーライトの添加量は、粗パーム油100質量部に対して、0.03〜0.15質量部が好ましく、より好ましくは0.03〜0.1質量部であり、さらに好ましくは0.03〜0.05質量部である。0.03質量部以上であると、脱ガムが効果的に進行し、一方、0.15質量部以下であると、粗パーム油のロスが抑えられるとともに、廃棄されるパーライト量も少なくできる。
エステル化工程(A)は、カチオン交換樹脂を使用して粗パーム中の脂肪酸(以下、遊離脂肪酸という場合もある。)を低級アルキルアルコールでエステル化し、エステル混合油を含む反応混合物を得る工程である。
なお、ここで反応混合物とは、エステル化工程(A)で得られた未処理の混合物のことであって、エステル化工程(A)で生成したエステルと、原料の主成分である油脂と、原料に元々含まれる他の成分とからなるエステル混合油に加えて、未反応の低級アルキルアルコールや副生した水分を含んだものを指す。すなわち、エステル化工程(A)で得られた未処理の混合物である反応混合物から、低級アルキルアルコールと水分とを除いたものがエステル混合油である。
このようなエステル化工程(A)をエステル交換反応工程(B)の前に行うことは、最終的に得られるトコトリエノール類や脂肪酸低級アルキルエステルを効果的に得るために非常に重要である。
実際の測定に際しては、反応混合物をエバポレータで吸引して未反応の低級アルキルアルコールや水分を除去してエステル混合油を得て、これをさらに無水硫酸ナトリウムを含ませたろ紙に通して前処理した後、中和滴定する方法が好ましい。
酸性ゲル型カチオン交換樹脂の架橋度は、3〜10%の範囲が好ましい。3%以上であれば、樹脂強度の点で好ましく、10%以下であれば、脂肪酸の除去効率の点から好ましい。架橋度は、さらに好ましくは4〜8%である。なかでも、脂肪酸のエステル化反応率が最も高く、樹脂の機械的強度が十分であることなどから、架橋度4%のものが特に好ましい。
カラムを通過させる際の条件は、カラム温度が好ましくは40〜70℃、より好ましくは50〜65℃、さらに好ましくは60〜65℃で、カラム滞留時間が好ましくは60〜480分間、より好ましくは90〜360分間、さらに好ましくは90〜240分間である。このような温度およびカラム滞留時間であると、混合物の流動性が良好で、反応速度も十分であるとともに、カラムを過度に大型化したり、耐圧化したりする必要もなく、効率的である。
また、低級アルキルアルコールの添加量は、原料として使用される粗パーム中の脂肪酸分布などにより適宜決定されるが、脱ガム物100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは10〜30質量部、さらに好ましくは15〜25質量部である。このような範囲内であると、十分なエステル化反応率が得られるとともに、低級アルキルアルコールの回収コストや設備容量の過度の増大を抑制できる。
また、低級アルキルアルコール中の水分量は低いほど好ましいが、現実的には、1500ppm以下が好ましく、より好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは600ppm以下である。
このようなエステル化工程(A)の後、アルカリ触媒を使用して、エステル混合油中の油脂を低級アルキルアルコールでエステル交換するエステル交換反応工程(B)を行う。ここでエステル交換の対象となる油脂とは、粗パーム油の主成分として存在する炭素数16および18の脂肪酸に由来するものである。このエステル交換により、脂肪酸低級アルキルエステルとグリセリンとが生成する。
また、ここで使用されるアルカリ触媒の量は、適切に制御されることが好ましい。
すなわち、アルカリ触媒量が多いと、エステル交換反応の反応性は高まる。しかしながら、アルカリ触媒量が多いと、アルカリ触媒と脂肪酸や油脂とが反応して副生するセッケンの量も多くなり、その分離作業に悪影響を及ぼし、トコトリエノール類の収率や組成物中の濃度、脂肪酸メチルエステルの純度、製造歩留まりを低下させる原因となりやすい。
さらに好ましくは、アルカリ触媒として水酸化ナトリウムを単独で使用し、その際のエステル混合油100質量部に対する触媒量CNaOH[質量部]を、酸価をパラメータとした下記式(1)により決定する。下記式(1)は実験により求めたものである。
CNaOH=0.2+0.07×AV・・・(1) ただし、AVは酸価を示し、2以下である。
また、アルカリ触媒として水酸化カリウムを単独で使用する場合には、その際のエステル混合油100質量部に対する触媒量CKOH[質量部]を、酸価をパラメータとした下記式(2)により決定することが好ましい。下記式(2)は実験により求めたものである。
CKOH=0.37+0.1×AV・・・(2) ただし、AVは酸価を示し、2以下である。
低級アルキルアルコールの使用量(反応混合物中に含まれる低級アルキルアルコールの量も含む。)は、エステル混合油100質量部に対し、好ましくは10〜50質量部であり、より好ましくは20〜40質量部、さらに好ましくは30〜40質量部である。このような範囲であると、使用する装置を大型化する必要がなく、低級アルキルアルコールの回収、精製も低コストで行えるとともに、十分なエステル交換反応率が得られる。
こうして得られた油相をそのまま蒸留工程(C)に供してもよいが、好ましくは、このような1段目の工程に引き続いて2段目のエステル交換反応工程を行ってから、蒸留工程(C)を実施することが好ましい。このようにエステル交換反応を2段とすることにより、脂肪酸低級アルキルエステルのエステル交換反応を98%以上とすることも可能となる。
油相とグリセリン相との分離は、静置分離、遠心分離等で行えばよく、静置分離の場合には、温度は好ましくは30〜70℃、より好ましくは30〜50℃で、静置時間は好ましくは30〜90分間、より好ましくは30〜60分間とすればよい。このような条件とすると、油相の流動性が良好であるとともに、低級アルキルアルコールの蒸気圧も抑制できるため使用する分離装置の耐圧性を高める必要もなく、効率的に分離が行える。
また、油相とグリセリン相とを分離する前には、アルカリ金属を水洗するための水を添加することが好ましい。
また、2段目の処理温度は好ましくは40〜70℃であり、より好ましくは50〜60℃である。このような範囲であると、エステル交換反応の速度が十分であるとともに、使用する装置の耐圧性を高めたりする必要がなく、効率的である。また、2段目の処理時間は、好ましくは1〜15分間であり、より好ましくは3〜10分間である。このような範囲であると、過度に時間を要することなく、十分なエステル交換反応率を達成することができる。
油相とグリセリン相との分離は、1段目と2段目との間に実施される分離と同様に静置分離、遠心分離等で行うことができ、分離性が良好となり、分離装置の耐圧性を高める必要がない点から、温度は好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜70℃で、静置時間は好ましくは30〜90分間、より好ましくは30〜60分間とすればよい。また、油相とグリセリン相とを分離する際には、グリセリンや低級アルキルアルコールなどを水洗するための水を添加することが好ましく、その場合、水の添加量は、エステル交換反応工程(B)で得られた混合物100質量部に対して10〜30質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。このような範囲であると、乳化を起こすことなく、効果的な水洗が行える。
蒸留工程(C)は、エステル交換反応工程(B)で得られた油相を蒸留して、脂肪酸低級アルキルエステルを含有する留出液を留出させるとともに、トコトリエノール類を含有する組成物を残留物として残留させる工程であるが、特に、蒸留工程(C)をボトム温度220℃以下の条件で行うとともに、少なくとも1段の減圧蒸留工程を有するものとすることにより、トコトリエノール類を分解させたり変質させたりすることなく、これを含有する組成物を塔底に確実に残留させることができ、かつ、高純度の脂肪酸低級アルキルエステルを留出液として得ることができる。ボトム温度が220℃を超えると、トコトリエノール類の分解が起こる。また、減圧蒸留工程であれば、ボトム温度220℃以下の条件でも、高純度の脂肪酸低級アルキルエステルを留出させることができる。
残留物として塔底に残るトコトリエノール類含有組成物には、トコトリエノール類の他、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどの未反応のグリセライド、炭素数20の脂肪酸の低級アルキルエステル、アルカリセッケンなどのアルカリ金属に由来した成分、カロチンの分解物などが含まれるため、トコトリエノール類を健康食品などに使用するにあたっては、この組成物を適宜精製処理する。
具体的には、まず、常圧のフラッシュ蒸留工程をボトム温度220℃以下、好ましくは140〜160℃で行って、低級アルキルアルコール(図示例ではメタノール)と水とを留出液として除去する。ついで、その残留物に対して、ボトム温度220℃以下の条件下、2段以上の減圧蒸留工程を実施する。
2段以上の減圧蒸留工程については、留出させる脂肪酸アルキルエステルの炭素数が各減圧蒸留工程で異なるように、各減圧蒸留工程の蒸留条件を設定することが好ましく、通常、前段側から後段側になるにしたがって、より炭素数の大きな脂肪酸低級アルキルエステルが留出するように条件設定する。なお、各減圧蒸留工程では、異なる炭素数の脂肪酸低級アルキルエステルが複数混合して留出することもあるが、その際には、炭素数の平均値が、前段側から後段側になるにしたがって、より大きくなるようになっていればよい。
また、最後段の減圧蒸留工程である第2の減圧蒸留工程の条件は、以下の(i)〜(iii)をいずれも満足する蒸留条件とすることが好ましい。
(i)蒸留塔のトップ圧力を0.1〜1kPa、好ましくは0.1〜0.5kPaとし、ボトム圧力を2.0〜5.0kPa、好ましくは2.0〜4.0kPaとする。
(ii)蒸留塔のトップ温度を150〜180℃、好ましくは160〜170℃とし、ボトム温度を190〜220℃、好ましくは200〜210℃とする。
(iii)還流比を0〜1、好ましくは0〜0.5とする。
なお、このようにして得られるトコトリエノール類中におけるトコトリエノールとトコフェロールとの存在比率(質量比)は、およそ3:1程度である。
また、下記実施例において、特に断りの限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
また、各例中、水分含有量の測定はカールフィッシャー法に準拠した。
以下の工程により、原料としてマレーシア産の粗パーム油(CPO)を用い、これから脂肪酸メチルエステルを製造した。
この粗パーム油は、トコトリエノール類を840ppm含有し、油脂としては、炭素数12の成分を0.3%、炭素数14の成分を0.9%、炭素数16の成分を45.1%、炭素数18の成分を52.9質量%、炭素数20の成分を0.8質量%含有していた。また、遊離脂肪酸を3.6%、ガム質を0.5%含有し、酸価は8.0であった。
65℃に加熱した粗パーム油100質量部に対して、濃度80%のリン酸水溶液0.05部と、吸着剤であるパーライト0.04部を添加して、20分間混合撹拌した。ついで、これをジャケット付加圧ろ過器(KST−142−JA‐S)を用い、Advantec社製NO−5Cろ紙(ろ過面積113cm2)で圧力1kg/cm2、温度45℃の条件で加圧ろ過し、ガム質を含有する不溶物を除去し、脱ガム物(ガム質含有量0.1%)をろ液として得た。得られた脱ガム物の水分含有量は900ppmであった。
酸性ゲル型カチオン交換樹脂である三菱化学社製のダイヤイオンSK1B(商品名、架橋度8%)を充填したカラムにメタノールを通過させ、洗浄した。ついで、上記脱ガム物100質量部に対してメタノールを20質量部添加した混合物を、カラムに供給して通過させ、反応混合物を得た。反応混合物中のエステル混合油は、酸価が0.32であった。また、反応混合物中の水分含有量は、3000ppmであった。また、カラム温度は65℃、カラム滞留時間は120分間とし、メタノールとしては、水分量が600ppmのものを使用した。
上記(2)で得られたエステル混合油に対して、エステル交換反応工程(B)(1段)を次のように行った。
まず、エステル混合油を84%含有する反応混合物に対して、メタノールと、アルカリ触媒である水酸化ナトリウムとを添加した。ここで、メタノールの添加量は、反応混合物120部に対して15部であり、水酸化ナトリウムの添加量はエステル混合油100部に対して0.25部となるようにした。
そして、これを処理温度70℃で60分間、パドル攪拌機付オートクレーブで反応させることで、脂肪酸メチルエステルを主成分とする油相と、グリセリン相とを生成させた。
ついで、これを40℃で60分間静置した後、油相とグリセリン相に分離し、油相100部に対して水洗用の水14部を添加し、撹拌後、これを40℃で60分間静置した。その後、これを油相と水相(セッケン、メタノール、グリセリン、水酸化ナトリウムなどの水溶性物質が溶解している相、グリセリン相ともいう。)に分離した。エステル交換反応率(油相中の脂肪酸メチルエステル濃度)は96.3%であった
上記(3)で得られた油相に対して、まず、常圧、ボトム温度150℃でフラッシュ蒸留して、メタノールと水とを留出液として除去した。
ついで、フラッシュ蒸留の残留物に対して、第1の減圧蒸留工程(ボトム温度200℃、トップ温度180℃、トップ圧力2.0kPa)を行って、炭素数12、14の脂肪酸に由来する脂肪酸メチルエステルを主成分とする留出液を得た。
ついで、第1の減圧蒸留工程の残留物に対して、第2の減圧蒸留工程(トップ圧力0.5kPa、ボトム圧力3kPa、トップ温度170℃、ボトム温度200℃、還流比0.5)を行って、炭素数16、18の脂肪酸に由来する脂肪酸メチルエステルを主成分とする留出液を得るとともに、トコトリエノール類を含有する組成物を残留物として得た。
表1に、第2の減圧蒸留工程で得られた残留物中のトコトリエノール類濃度およびトコトリエノール類変性率、トコトリエノール類収率を示す。
また、第1の減圧蒸留工程で得られた留出液と第2の減圧蒸留工程で得られた留出液とを混合した混合液中の脂肪酸メチルエステル濃度と、脂肪酸メチルエステル収率も表1にまとめる。
エステル交換反応工程(B)を2段にした以外は実施例1と同様の工程を行った。
具体的には、実施例1の(3)で得られたエステル交換反応率(油相中の脂肪酸メチルエステル濃度)96.3%の油相100部に対してメタノールを5部、アルカリ触媒である水酸化ナトリウムを0.1部添加し、処理温度60℃で5分間、2段目のエステル交換反応を実施した。
得られた混合物100質量部に対して水洗用の水14部を添加し、撹拌後、これを40℃で60分間静置した。その後、これを油相と水相(セッケン、メタノール、グリセリン、水酸化ナトリウムなどの水溶性物質が溶解している相)に分離した。エステル交換反応率(油相中の脂肪酸メチルエステル濃度)は99.2%であった。
表1に、第2の減圧蒸留工程で得られた残留物中のトコトリエノール類濃度およびトコトリエノール類変性率、トコトリエノール類収率を示す。
また、第1の減圧蒸留工程で得られた留出液と第2の減圧蒸留工程で得られた留出液とを混合した混合液中の脂肪酸メチルエステル濃度と、脂肪酸メチルエステル収率も表1にまとめる。
脱ガム工程(P)で使用する吸着剤として、パーライトの代わりに活性白土を使用するとともに、その使用量を粗パーム油100質量部に対して1部とし、さらに、第2の減圧蒸留工程の条件をトップ圧力1.0kPa、ボトム圧力5kPa、トップ温度190℃、ボトム温度250℃、還流比0.5とした以外は実施例2と同様の工程を行った。得られた脱ガム物のガム質含有量は0.1%で、エステル交換反応率は99.2%であった。結果について、表1に示す。
脱ガム工程(P)で使用する吸着剤として、パーライトの代わりに活性白土を使用するとともに、その使用量を粗パーム油100質量部に対して1部とした以外は実施例2と同様の工程を行った。得られた脱ガム物のガム質含有量は0.1%で、エステル交換反応率は99.2%であった。結果について、表1に示す。
第2の減圧蒸留工程の条件をトップ圧力1.5kPa、ボトム圧力7kPa、トップ温度195℃、ボトム温度250℃、還流比0.5とした以外は実施例2と同様の工程を行った。エステル交換反応率は99.5%であった。
結果について表1に示す。
脱ガム工程(P)とエステル化工程(A)とを行わない以外は実施例1と同様にして(アルカリ触媒(水酸化ナトリウム)量は0.25部)、エステル交換反応工程(B)を行った。しかしながら、エステル交換反応はほとんど進行せず、得られた混合物を40℃で30分間静置したが、油相とグリセリン相に分離しなかった。
水酸化ナトリウムの量を0.8部とした以外は比較例4と同様にして、エステル交換反応工程(B)を行った。得られた混合物を40℃で30分間静置し、油相とグリセリン相に分離した。その後、油相100部に対して水10部を添加し、攪拌後、これを40℃で60分間静置し油相と水相に分離した。エステル交換反応率は95.1%であった。
ついで、油相に対し、実施例1と同じ条件で蒸留工程(C)を行った。
結果について表1に示す。
前処理後の各試料0.5gを正確にはかり、これをメスフラスコに入れ、メタノールで50mLにメスアップし、試料溶液とした。。一方、標準品トコフェロール(α、β、γ、δ)の各々を、所定の濃度となるように標準溶液を作製し、この標準溶液を、下記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析し、各トコフェロールの検量線を予め作成しておいた。なお、各トコトリエノール感度(α、β、γ、δ)は、各トコフェロール感度と同じとした。つぎに、前記試料溶液を同様にして分析し、前記検量線から各濃度を算出し、合計して、トコトリエノール濃度(ppm)を得た。
<HPLCカラム条件>
カラム:デュポン社製、商品名Zorbax ODS4.6φ×250mm 5μm
溶離液:メタノール/水=98/2(v/v) 流速:0.65mL/分
検出器:UV284nm、サンプル量:20μL
変性率(%)=未同定ピーク面積×100/(トコトリエノール類と同定されたピーク面積+未同定ピーク面積)
なお、検量線は、脂肪酸メチルエステル標準品(炭素数6〜22、和光純薬社製)の各々をn−ヘキサンに溶解し、所定の濃度となるように標準溶液を調製し、各標準溶液を下記条件でGC分析して作製した。
<GC測定条件>
・GC:島津製作所社製、商品名GC6A
・カラム:DEGS(ジエチレングリコールサクシネート20%)、カラム温度:180℃、注入口温度:250℃
・検出器温度:250℃、RANGE(10n):n=3
・キャリアーガス:N2、50mL/min、 検出器:FID、注入器:1μL
特に、脱ガム工程および蒸留工程がともに適切に実施されなかった比較例1に比べると、実施例3では、トコトリエノール類の収率が63%も高かった。一方、脱ガム工程と蒸留工程のうち、蒸留工程のみが適切に実施された比較例2では、比較例1よりもトコトリエノール類収率が30%上がり、脱ガム工程のみが適切に実施された比較例3では、比較例1よりもトコトリエノール類収率が20%上がったものの、これら収率上昇分を合算しても50%であり、実施例3での上昇分63%には及ばず、上述の相乗効果が確認できた。
Claims (3)
- 粗パーム油からガム質を除去し、脱ガム物を得る脱ガム工程(P)と、
カチオン交換樹脂を使用して、前記脱ガム物中の脂肪酸を低級アルキルアルコールでエステル化し、酸価が2以下のエステル混合油を含む反応混合物を得るエステル化工程(A)と、
前記エステル混合油中の油脂を低級アルキルアルコールでエステル交換するエステル交換反応工程(B)と、
前記エステル交換反応工程(B)で得られた油相を蒸留して、脂肪酸低級アルキルエステルを留出させるとともに、トコトリエノール類を含有する組成物を残留させる蒸留工程(C)とを有し、
前記脱ガム工程(P)は、前記粗パーム油にリン酸からなる変性剤とパーライトからなる吸着剤とを混合し、得られた混合物をろ過する工程であるとともに、前記蒸留工程(C)は、蒸留塔のボトム温度が220℃以下の条件で行われ、少なくとも1段の減圧蒸留工程を有していることを特徴とするトコトリエノール類含有組成物の製造方法。 - 前記エステル交換反応工程(B)は2段の工程からなり、エステル交換反応率が98%以上になるように行われることを特徴とする請求項1に記載のトコトリエノール類含有組成物の製造方法。
- 前記減圧蒸留工程のうち、最後段の工程の残留物中のトコトリエノール類の濃度が1質量%以上となるように、前記最後段の工程の蒸留条件を下記(i)〜(iii)を満足するように設定することを特徴とする請求項1または2に記載のトコトリエノール類含有組成物の製造方法。
(i)蒸留塔のトップ圧力を0.1〜1kPaとし、ボトム圧力を2.0〜5.0kPaとする。
(ii)蒸留塔のトップ温度を150〜180℃とし、ボトム温度を190〜220℃とする。
(iii)還流比を0〜1とする。
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