JP4942437B2 - 高吸水高乾燥性パイルマット - Google Patents

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本発明は、高い吸水性と乾燥性を有するパイルを備え、足拭き用マットやトイレ用マット等として使用することができる高吸水高乾燥性パイルマットに関する。
特許第3177833号公報(特許文献1)には、接着性樹脂を有しないパイルと接着性樹脂によって繊維がセットされたパイルが混在するパイル層によって表面が覆われていることを特徴とする足拭きマットの発明が記載されている。
この足拭きマットは、セットパイルが剛直な麻糸のように足裏を刺激してサラットした爽快感を与え、使用中に足拭きマットがベトツキ感を帯び難く、頻繁に取り替えずに済むようになるものとされている。
この足拭きマットは、ベトツキ感を防ぐことができるものの、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に除去するための吸水性について十分に考慮されているとは言い難いものであった。
特許第3177833号公報
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に吸水し得、而もべとつき感が生じにくい高吸水高乾燥性パイルマットを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の高吸水高乾燥性パイルマットは、
基布と多数のパイルを備えてなり、前記各パイルの基部が基布に結合された状態で、前記多数のパイルが基布上に配設されているパイルマットであって、
前記各パイルは、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、パイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、
前記パイルの略円柱形状外周面は、前記各フィラメントの先端部により形成されていることを特徴とする。
基布上に多数配設されているパイルは、0.05乃至0.8デニールの極めて細い非吸水性のフィラメントが、パイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなるものであるため、略円柱形状をなすパイルの各円形状横断面において、内方に向かうほど更に前記フィラメントが高密度状態となる。
そのため、毛管現象により、パイルの内方に向かって強い吸水力が作用するので、各パイルは、比較的多量の水を各円形状横断面の内方に向かって迅速に吸水し得る。
逆に、吸水したパイルにおける各円形状横断面の外方部である略円柱形状外周部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、略円柱形状をなすパイルの略円柱形状外周面部は、非吸水性のフィラメントの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ繊維自体が非湿潤状態を維持する。そのため、水分を吸収した状態のパイルの略円柱形状外周部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくい。
従って、このパイルマットは、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に吸水し得、而もべとつき感が生じにくい高吸水高乾燥性を実現し得る。而も、このパイルマットは、各パイルを構成するフィラメントが非吸水性であるという材質と、そのフィラメントがパイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設され、パイルの略円柱形状外周面は各フィラメントの先端部により形成されているという構造との両者よりして、遠心脱水性又はその他の脱水性及び脱水後の乾燥性に優れる。
上記高吸水高乾燥性パイルマットは、マット上で上記パイルにより吸水するためのものとして最適である。
更に、上記高吸水高乾燥性パイルマットは、足拭用のものとして最適である。
上記本発明の高吸水高乾燥性パイルマットは、パイルの先端部が、パイルを構成する放射状に配されたフィラメントの先端部により形成された略凸曲面状をなすものとすることができる。
この場合、パイルの先端部が、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが放射状に配されたフィラメントの先端部により形成された略凸曲面状をなすので、略凸曲面状先端部の内方に向かうほど更に前記フィラメントが高密度状態となる。そのため、毛管現象により、パイルの内方に向かって強い吸水力が作用するので、各パイルの先端部は内方に向かって迅速に吸水し得る。逆に、吸水したパイルの先端部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、略凸曲面状先端部は非吸水性のフィラメントの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ繊維自体が非湿潤状態を維持する。そのため、水分を吸収した状態のパイルの先端部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくい。
また、上記高吸水高乾燥性パイルマットにおけるパイルは、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントを飾り糸とするモール糸によるループ部が、そのモール糸の芯糸を中心として撚り合わさることにより略円柱形状を形成したものとすることができる。
この場合のパイルは、モール糸によるループ部が、そのモール糸の芯糸を中心として撚り合わさることにより、すなわち、ループ部を構成するモール糸のうち、ループ部の一方の基部から端部を構成する部分と他方の基部から端部を構成する部分が、両部分の芯糸を中心として撚り合わさることにより、略円柱形状を形成したものである。
本発明の高吸水高乾燥性パイルマットは、0.05乃至0.8デニールの極めて細い非吸水性のフィラメントがパイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなるパイルが基布上に多数配設されたものであるため、各パイルが比較的多量の水を各円形状横断面の内方に向かって迅速に吸水し得、水分を吸収した状態のパイルの略円柱形状外周部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくい。また、遠心脱水性又はその他の脱水性及び脱水後の乾燥性に優れる。従って、このパイルマットは、マット上でパイルにより吸水するためのマットとして、特に、足拭用のマット等として最適である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図面は何れも本発明の実施の形態の一例としての足拭用高吸水高乾燥性パイルマットについてのものであって、図1は模式的正面図、図2はパイルの模式的拡大横断面図、図3は、モール糸によりパイルを形成する工程の一部を示す模式図である。
この足拭用高吸水高乾燥性パイルマットAは、略円柱形状をなす多数のパイルPが基布S上に配設されてなり、各パイルPの基部は、基布Sに結合されている。
各パイルPは、0.3デニールの非吸水性のポリエステルフィラメントFを飾り糸とするモール糸Mにより形成されている。すなわち、図3に示すように、基布Sに対し、モール糸Mによるループ部Rを形成した後、ループ部Rを構成するモール糸Mのうち、ループ部Rの一方の基部から端部を構成する部分と他方の基部から端部を構成する部分が、両部分の芯糸Cを中心として撚り合わさることにより、図1に示す略円柱形状のパイルPを形成したものである。例えば、強撚モール糸Mを用い、基布Sに対しモール糸Mによるループ部Rを形成した後、熱処理(染色工程における熱処理が好ましい)を行うことにより各ループ部Rがそのモール糸Mの芯糸Cを中心として撚り合わさるものとすることができる。
このようにして形成された各パイルPは、略円柱形状をなし、0.3デニールの非吸水性のフィラメントFが、パイルPの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、パイルPの略円柱形状外周面は、各フィラメントFの先端部により形成される。パイルPの先端部Paは、パイルPを構成する放射状に配されたフィラメントFの先端部により形成された略凸曲面状をなす。
基布S上に多数配設されているパイルPは、0.3デニールの極めて細い非吸水性のフィラメントFが、パイルPの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなるものであるため、略円柱形状をなすパイルPの各円形状横断面において、内方に向かうほど更に前記フィラメントFが高密度状態となる。また、パイルPの先端部Paが、0.3デニールの非吸水性のフィラメントFが放射状に配されたフィラメントFの先端部により形成された略凸曲面状をなすので、略凸曲面状先端部の内方に向かうほど更にフィラメントFが高密度状態となる。そのため、毛管現象により、パイルPの内方に向かって強い吸水力が作用するので、各パイルPは、比較的多量の水を各円形状横断面の内方又は略凸曲面状先端部の内方に向かって迅速に吸水し得る。
逆に、吸水したパイルPにおける各円形状横断面の外方部である略円柱形状外周部又は略凸曲面状先端部の外周面部は、毛管現象により、水分含有率が低い状態となる。而も、略円柱形状をなすパイルPの略円柱形状外周面部及び略凸曲面状先端部は、非吸水性のフィラメントFの先端部により形成されているので、繊維が占める面積が比較的小さく、且つ繊維自体が非湿潤状態を維持する。そのため、水分を吸収した状態のパイルPの略円柱形状外周部は比較的乾燥した状態を維持し易く、べとつき感が生じにくい。
従って、このパイルマットAは、湯上りの濡れた足等の水分を迅速に吸水し得、而もべとつき感が生じにくい高吸水高乾燥性を実現し得る。而も、このパイルマットAは、各パイルPを構成するフィラメントFが非吸水性であるという材質と、そのフィラメントFがパイルPの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設され、また、パイルPの先端部PaはフィラメントFが放射状に配されて略凸曲面状をなし、パイルPの略円柱形状外周面及び先端部の略凸曲面状部は各フィラメントFの先端部により形成されているという構造との両者よりして、遠心脱水性又はその他の脱水性及び脱水後の乾燥性に優れる。
フィラメントFは、0.05乃至0.8デニールであり、好ましくは0.1乃至0.5デニール、好ましくは0.2乃至0.4デニールである。フィラメントFの材質は、ポリエステル系の他、例えば、ポリアミド系、ポリプロピレン系又はポリエチレン系のフィラメントFを用いることができる。
芯糸Cは、吸水性糸および/または非吸水性糸とすることができる。芯糸Cの一部若しくは全部として熱融着糸を用いて飾り糸としてのフィラメントFを融着したモール糸Mの場合、フィラメントFの脱落を確実性高く防ぐことができる。
パイルPの形状は、例えば軸線方向長さが直径の1.5倍乃至10倍の略円柱形状とすることができる。好ましくは、軸線方向長さが直径の2倍乃至8倍、より好ましくは、軸線方向長さが直径の3倍乃至6倍程度である。略円柱形状をなすパイルPの側周面の面積を比較的に大きくすることにより、水分吸収性に優れたパイルマットAが得られる。パイルPの軸線方向長さは、例えば5乃至80mmとすることができる。好ましくは15乃至50mmである。なお、パイルPの直径は軸線方向にほぼ一定であることが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。
パイルマットAにおける各パイルPは同一形状及び同一サイズであるものとすることができるが、形状及びサイズが異なる複数種のパイルPを備えたパイルマットAとすることもできる。パイルPは基布Sに対し密に設けることにより、上方からパイルP間に基布Sが見えないようにすることが好ましい。パイルPは基布Sに対し等間隔に設けることができるが、必ずしもこれに限らない。
基布Sは、吸水性繊維からなるものとすることができる。各パイルPの基部は基布Sに結合されているので、パイルPが吸収した水分を基布Sが更に吸収することにより、基布S上に配設された多数のパイルPが吸水し得る水分の総量を増大させてパイルPにべとつき感が生じることをより効果的に防ぐことができる。なお、基布Sは必ずしも吸水性繊維からなるものであることを要しない。
なお、以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
模式的正面図である。 パイルの模式的拡大横断面図である。 モール糸によりパイルを形成する工程の一部を示す模式図である。
符号の説明
A パイルマット
C 芯糸
F フィラメント
M モール糸
P パイル
Pa 先端部
R ループ部
S 基布

Claims (8)

  1. 基布と多数のパイルを備えてなり、前記各パイルの基部が基布に結合された状態で、前記多数のパイルが基布上に配設されているパイルマットであって、
    前記各パイルは、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントが、パイルの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、
    前記パイルの略円柱形状外周面は、前記各フィラメントの先端部により形成され
    前記パイルの先端部は、パイルを構成する放射状に配された前記フィラメントの先端部により形成された略凸曲面状をなし、
    前記パイルは、略円柱形状をなすパイルの各円形状横断面において内方に向かうほど前記非吸水性のフィラメントが高密度状態となり、前記先端部においても内方に向かうほど前記非吸水性のフィラメントが高密度状態となって、毛管現象により内方に向かう吸水力が作用するよう構成されていることを特徴とする高吸水高乾燥性パイルマット。
  2. 上記パイルが、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントを飾り糸とするモール糸によるループ部が、そのモール糸の芯糸を中心として撚り合わさることにより略円柱形状を形成したものである請求項記載の高吸水高乾燥性パイルマット。
  3. 上記基布が吸水性繊維からなる請求項1又は2記載の高吸水高乾燥性パイルマット。
  4. 上記フィラメントが、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系又はポリエチレン系のフィラメントである請求項1乃至の何れかに記載の高吸水高乾燥性パイルマット。
  5. 上記パイルの軸線方向長さが5乃至80mmである請求項1乃至4の何れかに記載の高吸水高乾燥性パイルマット
  6. 上記パイルの軸線方向長さが15乃至50mmである請求項1乃至4の何れかに記載の高吸水高乾燥性パイルマット
  7. マット上で上記パイルにより吸水するためのものである請求項1乃至の何れかに記載の高吸水高乾燥性パイルマット。
  8. 足拭用のものである請求項1乃至の何れかに記載の高吸水高乾燥性パイルマット。
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