JP4942436B2 - 可塑化ポリ乳酸組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸を可塑化するための技術に関する。
植物原料をはじめとする再生可能な資源を用いた材料開発は循環型社会構築の観点から緊急に着手すべき社会性の高い研究テーマである。石油を主原料とするプラスチックを再生可能な原料から製造された生分解性プラスチックに置き換えることができれば、カーボンニュートラル(すなわち、光合成の過程で環境中の二酸化炭素を取り込んだ材料を焼却しても、全体として大気中の二酸化炭素量は増えないという考え方)が実現し、地球温暖化の防止に貢献できる。トウモロコシから製造されるポリ乳酸に対する関心は高く、2005年の愛知万博での大規模な実証試験からも実用材料としての高い潜在性が確認されている。
ポリ乳酸は、農業用資材(例えば、シート、フィルムなど)、食品包装用資材(例えば、食品包装フィルム、シート、袋など)、その他の包装用資材(例えば、衣料、日用雑貨包装用シート、フィルム、袋など)などへの利用が期待されている。
ポリ乳酸は、PEと同等の引張強度、PETと同等の透明性を有する結晶性熱可塑性高分子であり、医薬用の縫合糸などにも用いられている。また、燃焼した場合の燃焼カロリーが、PE、PPなどの約1/3と小さく、焼却炉を痛めることが少なく、有害なガスの発生もない。加えて、前記のようにポリ乳酸の原料は植物であるため、焼却処理したときの二酸化炭素の増加が環境への負荷となり難いため、地球環境にも優しい。そのような利点のために近年になって製造法や応用用途などの研究開発が盛んになり、今後、用途の多角化とそれに伴う生産量の増加が期待されている。
しかしながら、ポリ乳酸の成形品は硬いため、柔らかさが要求される分野、特にフィルムや包装資材などには使用が制限されている。これを解決するための一方法として、可塑剤を添加するという方法がある。可塑剤として作用するには、(1)可塑化される重合体又は樹脂との相溶性に優れていること、(2)可塑化効率がよいこと、(3)加工後の揮発、移行或いは染み出しによる性能の低下がないこと、等の条件を備える必要がある。ポリ乳酸の可塑剤としては、例えば特許文献1〜3に示すものがあるが、十分に満足できるものとは言い難く、更なる可塑剤が求められていた。
特開2003−073532号公報 特開2002−249603号公報 特開2000−302956号公報
本発明は、ポリ乳酸に柔軟性を付与するための可塑剤、それを用いたポリ乳酸組成物、及びこの組成物を加工した可撓性成形物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいては、特に平均重合度、脂肪酸エステル化率を適当な範囲とすることにより、またポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルにおいては、特に縮合度を適当な範囲とすることにより、ポリ乳酸の熱的特性を変化させることなく可塑性を改良できる添加剤として使用できることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の通りである。
(1)ポリ乳酸100質量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを1質量部〜20質量部含むことを特徴とするポリ乳酸組成物。
(2)前記ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンの平均重合度が2〜10であることを特徴とする(1)に記載のポリ乳酸組成物。
(3)前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が50%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリ乳酸組成物。
(4)前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分である脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする(3)に記載のポリ乳酸組成物。
(5)前記ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度が3〜7であることを特徴とする(1)に記載のポリ乳酸組成物。
(6)前記ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの脂肪酸が縮合リシノレイン酸であることを特徴とする(1)または(5)に記載のポリ乳酸組成物。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリ乳酸組成物をフィルム、シート、または袋に成形してなる可塑性成形物。
(8)ポリ乳酸の可塑性を向上するために用いられる添加剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステルであって、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンの平均重合度が2〜10であり、かつ脂肪酸エステル化率が50%以上であることを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステル。
(9)前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分である脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする(8)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(10)ポリ乳酸の可塑性を向上するために用いられる添加剤としてのポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルであって、縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度が3〜7であることを特徴とするポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステル。
(11)前記ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの脂肪酸が縮合リシノレイン酸であることを特徴とする(10)に記載のポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステル。
本発明によれば、熱的特性をほとんど変化させることなく、ポリ乳酸を可塑化できる。この技術を用いれば、固くて脆いポリ乳酸に柔軟性が付与されるので、農業用資材、食品包装用資材、その他の包装用資材などの広範囲な資材として、ポリ乳酸を使用することができる。
次に、本発明の実施形態について、詳細に説明する。本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
本発明に用いられるポリ乳酸とは、乳酸(CHCH(OH)COOH)を単位とし、複数の乳酸が連なって高分子量となった生分解性プラスチックの一種である。ポリ乳酸を製造する材料としての乳酸は、植物(例えば、トウモロコシ、キャツサバ、サトウキビ、ビート、サツマイモなど)から生産することができる。ポリ乳酸を製造するには、一般的に乳酸を環化しラクチドとし、これを開環重合してポリ乳酸とするが、本発明においては、ポリ乳酸の製造方法にはよらない。
ポリ乳酸を構成する単体としての乳酸には、L型とD型という二種類の光学異性体が知られている。本発明は、L型及びD型のいずれの乳酸を単位として製造されたポリ乳酸にも(或いは、L型とD型とを任意の比で含むポリ乳酸に対しても)用いることができる。
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンと脂肪酸とを反応して得られるエステルである。本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンを具体的に示すと、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン等が挙げられ、好ましくはジグリセリン、デカグリセリンであり、これらの1種又は2種以上の混合物が利用される。
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルのもう一方の構成成分である脂肪酸は炭素数が12以上の脂肪酸が用いられる。具体的に示すと、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ガドレイ酸、エイコサジエン酸、アラキドン酸、べヘン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸、リグノセリン酸、イソステアリン酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、水素添加ヒマシ油脂肪酸(12−ヒドロキシステアリン酸の他に少量のステアリン酸及びパルミチン酸を含有する脂肪酸)等が挙げられ、好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸であり、これらの1種又は2種以上の混合物として利用される。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法は特に限定するものではないが、上記原料を用いてリン酸、p−トルエンスルホン酸、苛性ソーダ等触媒の存在下もしくは無触媒で100℃〜300℃、好ましくは120℃〜260℃の範囲で加熱し生成水を系外に除去することによって得られる。反応は不活性ガスの存在下で行なうのが好ましい。また、トルエン又はキシレン等の共沸溶剤中で行っても良い。このようにして合成されたポリグリセリン脂肪酸エステルを具体的に示すと、ジグリセリンパルミチン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンパルミチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステルが挙げられ、これらの一種又は二種以上の混合物が利用される。また、これらのうち特に、ジグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステルが好ましく用いられる。
更にこのとき、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることが更に好ましい。
本発明に用いられるポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンと縮合ヒドロキシ脂肪酸とを反応して得られるエステルである。本発明に用いられるポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンを具体的に示すと、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン等が挙げられ、好ましくはヘキサグリセリンであり、これらの1種又は2種以上の混合物が利用される。
本発明に用いられる縮合ヒドロキシ脂肪酸とは、ヒドロキシ脂肪酸の縮合体である。ヒドロキシ脂肪酸とは、分子内に1個以上の水酸基を有する脂肪酸であり、具体的に示すと、例えば、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、水素添加ヒマシ油脂肪酸(12−ヒドロキシステアリン酸の他に少量のステアリン酸及びパルミチン酸を含有する脂肪酸)、サビニン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、イソプール酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、ヤラピノール酸、ユニぺリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、カムロレン酸、フェロン酸、セレブロン酸、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、好ましくは、リシノレイン酸である。
上記ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの製造方法は特に限定するものではないが、上記原料を用いてリン酸、p−トルエンスルホン酸、苛性ソーダ等触媒の存在下もしくは無触媒で100℃〜300℃、好ましくは120℃〜260℃の範囲で加熱し生成水を系外に除去することによって得られる。反応は不活性ガスの存在下で行なうのが好ましい。また、トルエン又はキシレン等の共沸溶剤中で行っても良い。
これらの反応の進行度合いは、生成した水の量と反応物の酸価を測定することで確認することができる。縮合ヒドロキシ脂肪酸の酸価は好ましくは10〜100の範囲、更に好ましくは20〜50の範囲内である。
ここで、酸価とは脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウム(化学式はKOHであり、分子量は56.11である)のミリグラム数をいい、下記の式で求められる。
(酸価)=[KOH]/[脂肪酸]×1000
ここで、[KOH]は、水酸化カリウムの分子量(=56.11)を意味し、[脂肪酸]は、脂肪酸の平均分子量を意味する。
また、脂肪酸が複数の混合物である場合、脂肪酸の平均分子量は、各分子量の混合割合から計算された平均分子量である。例えば、12−ヒドロキシステアリン酸(分子量=298)50質量%、リシノレイン酸(分子量=300)30質量%、ステアリン酸(分子量=284)20質量%からなる混合脂肪酸の平均分子量は295.8として酸価が求まる。脂肪酸の酸価は好ましくは10〜100の範囲、更に好ましくは20〜50の範囲である。
本発明のポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルで使用される縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度は通常1より大であり、好ましくは縮合度3以上であり、更に好ましくは縮合度3.5〜7である。
本発明でいうところの縮合度は下記の式で求められる。
(縮合度)=(脂肪酸の酸価)/(縮合後の脂肪酸の酸価)
このようにして合成されたポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを具体的に示すと、ジグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが挙げられ、これらの一種又は二種以上の混合物が利用される。また、これらのうち特に、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが好ましく用いられる。
ポリ乳酸と、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとの混合比としては、ポリ乳酸100質量部に対しては、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸を1質量部〜20質量部が好ましく、3質量部〜15質量部が更に好ましく、3質量部〜10質量部が更に好ましい。
本発明に係るポリ乳酸組成物には、主成分であるポリ乳酸、及び可塑剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステルの他に、用途に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、充填剤、顔料、難燃剤等の添加剤を添加することもできる。
本発明に係るポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸と可塑剤、更に必要に応じて他の添加剤を攪拌機等を用いて均一に混合した後、一軸あるいは多軸の押出機を用いて溶融混練する方法等を採用して製造することができる。本発明に係るポリ乳酸組成物の形状としては、特に限定されるものではないが、ペレット状、棒状、粉末状等の形状が好ましい。
上記のようにして得られたポリ乳酸組成物を、例えばTダイが装着された押出機を用いる溶融押出法によりフィルム状あるいはシート状に成形する。また、これとは別に、円形ダイが装着された押出機を用いる溶融押出法(すなわち、インフレーション成形法)によってもフィルム状あるいはシート状に成形することができる。
上記方法により得られた延伸フィルムあるいはシートを所定の寸法に切断してカットシートとして用いてもよいし、また延伸フィルムを袋状に形成して用いてもよい。袋を形成する方法としては、ヒートシール法、高周波法等が例示される。これら延伸フィルムあるいはシートで包装されるものとしては、特に制限はなく、例えば食品、医薬品、化粧品、肥料、電化製品、紙製品及びそれらの廃棄物等が挙げられる。好ましくは、野菜類、果実類、魚介類、肉類、穀物類、乾物類、パン類、乳製品類、麺類、菓子類、山菜類、調味料類等の食品類、及びそれらの廃棄物等が例示されるが、これらに限定されない。
袋として用いる場合の具体例としては、食品袋、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポストバッグ、土嚢用袋等が挙げられる。カットシートとして用いる場合の具体例としては、食品包装用ラップフィルム、化粧品用ラップフィルム、医薬品用ラップフィルム、外科用塗布薬用ラップフィルム、農業用ラップフィルム、電化製品用ラップフィルム等が挙げられる。その他、園芸施設等の農業用フィルム、粘着テープ用基材フィルム、防水シート等の可撓性成形物として使用することができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明の技術的範囲は下記実施例によっては限定されない。
可塑剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルとして、チラバゾールVR−01(太陽化学株式会社製)、およびチラバゾールP4(太陽化学株式会社製)を、ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとして、チラバゾールH−818(太陽化学株式会社製)を用いた。各可塑剤は、次の性質を有している。
チラバゾールVR−01
ポリグリセリンの平均重合度:10
脂肪酸の種類 :オレイン酸
製造方法 :エステル化反応
脂肪酸エステル化率は、69%であった。
チラバゾールP4
ポリグリセリンの平均重合度:2
脂肪酸の種類 :ステアリン酸
製造方法 :エステル化反応
脂肪酸エステル化率は、63%であった。
チラバゾールH−818
ポリグリセリンの平均重合度:6
脂肪酸の種類 :縮合リシノレイン酸
製造方法 :エステル化反応
また、対象となる可塑剤として、GP−2001、及びGP−4001(荒川化学工業株式会社製、ラクトサイザー)を用いた。GP−2001は天然植物資源のロジン(松脂)を主原料としたものであり、GP−4001は植物由来の発酵乳酸を主原料としたものである。この可塑剤は、ポリ乳酸に10〜20%添加することで適度な柔軟性を与えて成形性を良くするとして市販されているものである。
ポリ乳酸(PLLA)として、商品名レイシア(商標登録)H−900(三井化学株式会社製)、重量平均分子量(Mw)=123,000、数平均分子量(Mn)=61,000を用いた。
実施例1〜実施例4として、PLLAとVR−01とを混合したものを用いた。PLLAとVR−01との質量比として、97:3(実施例1)、95:5(実施例2)、90:10(実施例3)、及び80:20(実施例4)とした。実施例5として、PLLAとP4とを混合したものを用いた。両者の質量比は95:5とした。また、実施例6として、PLLAとH−818とを混合したものを用いた。両者の質量比は95:5とした。
また、比較例1〜比較例4として、PLLAとGP2001とを質量比が、97:3(比較例1)、95:5(比較例2)、90:10(比較例3)、及び80:20(比較例4)としたものを用いた。更に、比較例5〜比較例8として、PLLAとGP4001とを質量比が、97:3(比較例5)、95:5(比較例6)、90:10(比較例7)、及び80:20(比較例8)としたものを用いた。
また、コントロールとして、PLLAを用いた。
試料の調製
添加剤の質量比が5%の場合は、ポリ乳酸95部と添加剤5部をクロロホルム700部に溶かした。シャーレに流み、40℃で乾燥した。得られたフィルムをアルミ型に入れて175℃、10MPaで30分間プレスを行った。
添加剤の質量比が異なる場合は、上記においてポリ乳酸と添加剤との割合を適宜変更しただけで、同様の処理を行った。
<試験例1> 引張試験
上記で製造した各ペレット(サンプル寸法:H40mm×W5mm×D0.3mm)について、試験機器はEZ Graph(島津製作所製)を使用し、つかみ具間距離10 mm、クロスヘッド速度:5mm/minの条件で、試験した。
<試験例2> 示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry, DSC)
上記で製造した各ペレットについて、試験機器はSSC/5200(Seiko Instruments社製)を使用し、窒素下、昇温速度は、−20℃〜250℃で5℃/min、降温速度は、250℃〜−20℃で−10℃/minの条件で行い、データは二回目の昇温時のものを用いた。
上記試験の結果を表1、及び図1に示した。表1には、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例8、及びコントロールのDSCの結果をまとめた。
Figure 0004942436
また、図1には、VR−01の添加割合を変化させたときのポリ乳酸組成物の破断ひずみの変化を示した。
これらの結果より、VR−1をポリ乳酸の可塑剤として用いることにより、5%の添加で破断ひずみが170%に向上した。また、VR−1は、3%の添加で顕著な可塑化効果が見られ、10%までは添加割合が多いほど破断ひずみが向上した。また、DSCによりポリ乳酸のガラス転移温度の変化を調べたところ、表1に示すように、VR−1の5%添加系ではガラス転移温度の減少は約2℃であり、熱的特性はほとんど変化しなかった。また、P4およびH−818を可塑剤として用いることによっても、同様の効果が認められた。
このように本実施形態によれば、熱的特性をほとんど変化させることなく、ポリ乳酸を可塑化できた。この技術を用いることにより、固くて脆いポリ乳酸に柔軟性が付与されるので、農業用資材、食品包装用資材、その他の包装用資材などの広範囲な資材として、ポリ乳酸を使用することができる。
VR−01の添加割合を変化させたときのポリ乳酸化合物の破断ひずみの変化を示すグラフである。

Claims (2)

  1. ポリ乳酸100質量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを1質量部〜20質量部含み、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンの平均重合度が4〜10であり、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が50%以上であると共に、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分である脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とするポリ乳酸組成物。
  2. 請求項1に記載のポリ乳酸組成物をフィルム、シート、または袋に成形してなる可塑性成形物。
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