JP4942158B2 - 水中超音波利用装置付き船舶、及び、水中超音波利用装置 - Google Patents

水中超音波利用装置付き船舶、及び、水中超音波利用装置 Download PDF

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Description

本発明は、魚群探知機、水中探査装置などの水中超音波利用装置を備える、水中超音波利用装置付き船舶、及び、水中超音波利用装置に関する。
従来より、水中超音波は、魚群探知機、水中超音波探査装置など水中超音波利用装置で用いられている。このような水中超音波利用装置では、超音波を放射する超音波振動子を船やケースに装着するに当たり、部材を用いてあるいは船底に貫通孔を穿孔して、船外やケースに固定、水没させる方式が知られている。そのほか、インナーハル方式や、船底の船内側面あるいはケースの内側面に超音波振動子を接着するなどの手法も採用される。
このうち、船底の船内側面やケースの内側面に超音波振動子を接着する手法は、超音波振動子を船外(外部)に出さないため、船の走行時にも気泡の影響を受けにくい、岩その他の障害物との衝突による故障が生じにくいなどの利点がある。
しかしながら、船底の船内側面やケースの内側面に超音波振動子を接着する手法は、船底やケースを通じて、水中に超音波を放射するため、ロスが多く、同じ超音波振動子を直接水中に没して使用した場合に比して、水中に放射される超音波の強度が低くなり、また、超音波の受波感度も低下する。さらに、サイドローブの強度が大きくなる傾向にあり、メインビームの指向角も大きくなる傾向にある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、船底の船内側面などに取り付けた超音波振動子を含む水中超音波利用装置を備える船舶において、水中に放射される超音波の放射強度、受波感度、及び指向特性を良好とした水中超音波利用装置付き船舶を提供することを目的とする。また、ケースに超音波振動子を取り付ける水中超音波利用装置において、水中に放射される超音波の放射強度、受波感度、及び指向特性を良好とした水中超音波利用装置を提供することを目的とする
その解決手段は、船底の少なくとも一部が金属からなる金属船底部であり、上記金属船底部の船内側面に取り付けられた超音波振動子を含む水中超音波利用装置を備える水中超音波利用装置付き船舶であって、上記超音波振動子は、所定周波数で所定振動方向に超音波振動する振動素子と、上記所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体であって、上記振動素子とは上記所定振動方向に直接または間接に積み重ねられ、上記船内側面に接し、波長整合を行う所定厚さを有する波長整合体と、を含み、上記波長整合体は、この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備え、上記金属船底部を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλb、この金属船底部の厚さをtb、上記波長整合体を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλs、この波長整合体の厚さをtsとしたとき、下記式(1)を満たすように構成されてなる
1/2−1/10≦tb/λb+ts/λs≦1/2+1/10 …式(1)
水中超音波利用装置付き船舶である。
本発明の水中超音波利用装置付き船舶では、振動素子の所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体を備え、しかも金属船底部と波長整合体とを式(1)を満たす関係としている。具体的には、金属船底部の厚さtbと波長整合体の厚さtsとを、tb/λb+ts/λs=1/2またはこれに十分近い範囲(±1/10以内)に調整している。つまり、金属船底部と波長整合体とをそれらの厚み方向に見たとき、これらに生じる超音波振動が、両者合わせて、超音波振動のほぼ1/2波長となるようにしてある。このため、超音波振動子を船内に配置しながらも、損失や不要反射を抑制し、効率よく超音波を金属船底部から船外(水中)に放射することができる。また、水中から入射する超音波を効率よく振動素子に伝えることができる。また、指向特性が良好となり、サイドローブの発生をも抑制できる。かくして、良好な超音波の放射特性や受波特性を有する水中超音波利用装置付きの船舶とすることができる。
特に、本発明の船舶では、超音波振動子の波長整合体が所定振動方向について少なくとも一部に多柱部を備えている。この多柱部では、所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されている。従って、各金属柱は、波長整合体全体の径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有している。
また、この波長整合体には、その厚み方向を所定振動方向とする超音波振動が振動素子から与えられる。従って、振動素子の所定振動方向の超音波振動は、金属柱(または金属柱状部)の軸線に沿って伝えられる。
この金属柱では、この超音波振動の伝達に伴い、軸線に直交する径方向にも振動(径方向振動)が誘起される。しかし、一般に、径方向振動は、媒体(この場合には金属柱)の径が小さい場合には、誘起されにくい傾向にある。従って、例えば、多柱部を有さない(従って、全体が一体となるために径方向寸法が大きい)波長整合体に比して、径方向振動の誘起が抑制される。かくして、振動素子の所定振動方向の超音波振動が、各金属柱を通じて、さらに効率よく金属船底部に伝えられ、金属船底部をその厚さ方向に振動させるので、この金属船底部から正面に向かって効率よく超音波を放射することができる。その一方、波長整合体の径方向振動など、厚さ方向の振動とは異なる形態の振動の発生が抑えられるので、正面とは異なる方向への超音波放射を抑えて、指向角を小さくでき、サイドローブの発生をも抑制することができる。
また、超音波の放射時における特性のみならず、受波感度も向上し、正面からずれた角度から入射する不要な超音波が波長整合体を通じて振動素子に伝わることも抑制され、受波時のノイズを抑制することもできる。
なお、水中超音波利用装置としては、水中の魚群を検知する魚群探知機や、海底や湖底など水底の形状、深さ等を探査する水中超音波探査装置など、超音波を水中に放射して、水中からの超音波を受波して、あるいは水中への超音波の放射及び水中からの超音波の受波を行って、水中のあるいは水底の情報を取得する装置のほか、超音波を用いた水中通信など、水中において超音波を利用する装置を含む。
また、水中超音波利用装置付き船舶に用いる船舶本体としては、船底の少なくとも一部が金属船底部となって、この金属船底部に超音波振動子を取り付けられる船舶であれば良いが、船底の全部が金属からなる船舶、さらには、アルミ船など全体が金属で構成されている船舶を用いることもできる。
さらに、船底金属部をなす金属の材質としては、船の用途に応じて適宜選択すればよく、また、超音波を低損失で伝えられる金属を選択するのが好ましい。例えば、アルミニウム、ジュラルミンなどのアルミニウム合金が挙げられる。また、炭素鋼、ステンレスなどの鉄鋼や、チタン合金などが挙げられる。
また、振動素子としては、水中に放射する超音波を適切に励起しうる振動素子であればいずれのものも使用しうる。例えば、圧電素子、電歪素子、磁歪素子など電気的駆動により、所定周波数の超音波振動を生じうる振動素子が挙げられる。さらに圧電素子を用いる場合には、厚さ方向に分極した円板状、あるいは角板状の圧電セラミックからなる圧電素子や、リング状の圧電素子を用いたボルト締めランジュバン型の振動素子を用いることもできる。
また、波長整合体は、所定振動方向(厚さ方向)について、少なくとも一部に、金属柱または金属柱状部を多数は位置した多柱部を有する。即ち、具体的には、波長整合体全体が、厚さ方向に直交する方向に多数の金属柱を並べた金属柱の集合からなるものや、金属の平板の一方面側に金属柱を植設したもの、平板部の一方面側に多数の金属柱状部を膨出させたもの、多数の金属柱を平板で挟持、あるいは、2つの平板部の間に多数の金属柱状部を一体的に介在させたものなどが挙げられる。
しかも、波長整合体は、前述の式(1)あるいは後述の式(2)を満たす厚み(所定振動方向の寸法)を有するものである。
また、波長整合体のうち、多柱部の形態としては、多数の金属柱(金属柱状部)の軸線が、各々所定振動方向に延びる形態で、互いに離間して配置してあれば良い。従って、金属柱(金属柱状部)の群としては、三角柱群、四角柱群、六角柱群などの多角柱群や、円柱群、同心リング群、同心リング群のそれぞれを周方向に複数に分割したもの、これらを適宜混合したものなどが挙げられる。
さらに、波長整合体が、金属柱のほかに金属平板を有する場合、あるいは金属柱状部と一体の金属平板部を有する場合には、波長整合体(全体)の厚さtsに占める、金属柱あるいは金属柱状部の厚さ方向寸法(軸線方向寸法)を、少なくとも50%以上、好ましくは75%以上とすると良い。前述したように、金属柱あるいは金属柱状部は径方向振動を抑制する。従って、厚さ方向について、この部分の波長整合体に占める割合を多くすることで、波長整合体全体として、径方向振動を抑制する効果が得られるからである。
さらに、波長整合体の接着面(例えば、金属柱や金属柱状部の端面、平板あるいは平板部の他方側面)と金属船底部あるいは金属接水部との間は、接着剤によって隙間なく互いに接合されているのが好ましい。
なお、波長整合体のうち、接着面となる金属柱や金属柱状部の端面、平板あるいは平板部の他方側接着面などを、ラップ仕上げなどにより平坦に整面しておくのが好ましい。同様に、金属船底部の船内側面や金属接水部の内側面のうち、少なくとも波長整合体と接合する部分についても、ラップ仕上げやサンドペーパでの整面など適宜の整面を行ってあると良い。
さらに、上述の水中超音波利用装置付き船舶であって、前記金属船底部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、前記波長整合体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる水中超音波利用装置付き船舶と良い。
プレジャーボートなどの船舶では、アルミダイキャストなどアルミニウム(またはその合金)で船底や船体を構成したものがある。これらのように、金属船底部がアルミニウム(あるいはその合金)で構成されている場合、波長整合体は、多柱部の金属柱(金属柱状部)同士の間に充填した部分も同様のアルミニウム(あるいはその合金)とすることで、所定振動方向の超音波振動が伝わる部分、具体的には、波長整合体のうち金属柱(金属柱状部)などの金属部分と、金属船底部との音響インピーダンスなどが似通った値となり、両者の界面での超音波の反射が抑えることができる。
なお、波長整合体としては、金属柱や金属柱状部のほか、金属柱が当接する金属からなる平板や、金属柱状部と一体となった平板部などが含まれる。
さらに、上記の水中超音波利用装置付き船舶であって、前記波長整合体の多柱部は、前記金属柱または金属柱状部同士の間に、樹脂を充填してなる水中超音波利用装置付き船舶とすると良い。
魚群探知機や水中探査装置などでは、水中に超音波を放射し、その後、魚群や水底に反射して戻ってくる超音波を受波することで、魚群の有無や水深等を検知する。この場合において、水深の浅い部分から深い部分まで適切に検知できるようにするには、水中に超音波を放射した後、速やかに超音波を受波可能とする必要がある。具体的には、超音波振動をさせて超音波を放射させた振動素子(超音波振動子)の残響期間を短縮することが求められる。
また、所望の方向に向けて超音波を集中して放射し、また所望の方向からの超音波を選択的に受波することができる、いわゆる指向性の高い水中超音波利用装置とするには、サイドローブを抑圧することが求められる。
これに対し、本発明の水中超音波利用装置付き船舶では、超音波振動子の波長整合体の多柱部において、互いに離間して配置されている金属柱あるいは金属柱状部同士の間を樹脂で充填している。このように金属柱あるいは金属柱状部同士の間には、樹脂が充填されているので、振動素子で超音波振動を発生させ、金属船底部から超音波を放射させた後、振動素子の駆動を停止すると、速やかに波長整合体及び振動素子の残響振動の継続が抑圧される。多柱部に充填された樹脂が残響振動に対する抵抗となり損失を生じるので、残響振動が抑制されるためであると考えられる。かくして、残響期間を短縮することができる。
さらに、前述のように、金属柱あるいは金属柱状部では、自身の径方向の振動の誘起が抑制されている。その上、誘起された径方向振動が充填されている樹脂により吸収されるので、さらに効率よく、波長整合体の厚さ方向(金属柱の軸線方向)の振動以外の振動の発生を抑制することができる。このため、指向性を鋭くでき、サイドローブを抑圧できる。
なお、多柱部において金属柱(金属柱状部)間に充填する樹脂としては、充填の容易性や耐候性、耐水性のほか、振動吸収特性を考慮して選択すると良く、具体的には、柔軟性のある樹脂を選択すると良い。例えば、柔軟性を有するエポキシ樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
さらに、上述のいずれか1項に記載の水中超音波利用装置付き船舶であって、前記超音波振動子は、前記振動素子と波長整合体との間にゴムからなるバッファ体を備える水中超音波利用装置付き船舶とすると良い。
振動素子と波長整合体とが直接接着した構造の超音波振動子では、両者の界面で接着剥がれが生じる場合がある。
これに対し、本発明の水中超音波利用装置付き船舶では、バッファ体の介在により、振動素子と波長整合体の機械的結合が緩和された超音波振動子を用いている。これによって、バッファ体に接着した振動素子が振動素子の振動により剥がれる不具合が防止され、より信頼性の高い水中超音波利用装置付き船舶とすることができる。
なお、バッファ体としては、振動素子と波長整合体の機械的結合を適度に緩和できる材質を選択するのが良く、具体的には、適切な硬度を有するゴム状弾性体が挙げられる。CRゴム、NBRゴムなどのゴム材や、ゴム状弾性を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、振動素子と波長整合体との電気的絶縁を図るため、バッファ体としては、絶縁性材料、例えば絶縁性ゴムを用いるのが好ましい。
そして、船底の少なくとも一部が金属からなる金属船底部である船舶に用いる水中超音波利用装置であって、上記金属船底部の船内側面に取り付けられることが予定されている超音波振動子を含み、上記超音波振動子は、所定周波数で所定振動方向に超音波振動する振動素子と、上記所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体であって、上記振動素子とは上記所定振動方向に直接または間接に積み重ねられ、上記船内側面に接し、波長整合を行う所定厚さを有する波長整合体と、を含み、上記波長整合体は、この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備え、上記金属船底部を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλb、この金属船底部の厚さをtb、上記波長整合体を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλs、この波長整合体の厚さをtsとしたとき、下記式(1)を満たす厚さtsを有する
1/2−1/10≦tb/λb+ts/λs≦1/2+1/10 …式(1)
水中超音波利用装置とするのが好ましい
この水中超音波利用装置では、超音波振動子に、振動素子の所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体を備え、しかもこの波長整合体の厚さtsと、この超音波振動子を取り付ける船底の金属船底部の厚さtbとを、式(1)を満たす関係としている。具体的には、金属船底部の厚さtbと波長整合体の厚さtsとを、tb/λb+ts/λs=1/2またはこれに十分近い範囲(±1/10以内)に調整している。つまり、金属船底部と波長整合体とをそれらの厚み方向に見たとき、これらに生じる超音波振動が、両者合わせて、超音波振動のほぼ1/2波長に厚さとなるようにしてある。このため、超音波振動子を金属船底部に取り付けることで、この超音波振動子を船内に配置しながらも、損失や不要反射を抑制し、効率よく超音波を金属船底部から船外(水中)に放射することができるようになる。また、水中から入射する超音波を効率よく振動素子に伝えることができるようになる。また、指向特性が良好となり、サイドローブの発生をも抑制できる。かくして、本発明の水中超音波利用装置を用いれば、良好な超音波の放射特性や受波特性を有する水中超音波利用装置付きの船舶を構成することができる。
特に、この水中超音波利用装置では、超音波振動子の波長整合体が、所定振動方向について少なくとも一部に多柱部を備えている。この多柱部では、所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されている。従って、各金属柱は、波長整合体全体の径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有している。
また、この波長整合体には、その厚み方向を所定振動方向とする超音波振動が振動素子から与えられる。従って、振動素子の所定振動方向の超音波振動は、金属柱(または金属柱状部)の軸線に沿って伝えられる。
この金属柱では、この超音波振動の伝達に伴い、軸線に直交する径方向にも振動(径方向振動)が誘起される。しかし、一般に、径方向振動は、媒体(この場合には金属柱)の径が小さい場合には、誘起されにくい傾向にある。従って、例えば、多柱部を有さない(従って、全体が一体となるために径方向寸法が大きい)波長整合体に比して、径方向振動の誘起が抑制される。かくして、振動素子の所定振動方向の超音波振動が、各金属柱を通じて、さらに効率よく金属船底部に伝えられ、金属船底部をその厚さ方向に振動させるので、この金属船底部から正面に向かって効率よく超音波を放射することができる。その一方、波長整合体の径方向振動など、厚さ方向の振動とは異なる形態の振動の発生が抑えられるので、正面とは異なる方向への超音波放射を抑えて、指向角を小さくでき、サイドローブの発生をも抑制することができる。
また、超音波の放射時における特性のみならず、受波感度も向上し、正面からずれた角度から入射する不要な超音波が波長整合体を通じて振動素子に伝わることも抑制され、受波時のノイズを抑制することもできる。
さらに他の解決手段は、自身をなすケースのうち、使用時に水に接する接水部の少なくとも一部が、金属からなる金属接水部である水中超音波利用装置であって、上記金属接水部の内側面に取り付けられる超音波振動子を含み、上記超音波振動子は、所定周波数で所定振動方向に超音波振動する振動素子と、上記内側面に接し、波長整合を行う所定厚さの波長整合体と、を有し、上記波長整合体は、この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備え、上記金属接水部を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλc、この金属接水部のうち上記超音波振動が伝わる部分の厚さをtc、上記波長整合体を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλs、この波長整合体の厚さをtsとしたとき、下記式(2)を満たす厚さtsを有する
1/2−1/10≦tc/λc+ts/λs≦1/2+1/10 …式(2)
水中超音波利用装置である。
本発明の水中超音波利用装置では、超音波振動子に、振動素子の所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体を備え、しかもこの波長整合体の厚さtsと、この超音波振動子を取り付けるケースの金属接水部のうち超音波振動が伝わる部分の厚さtcとを式(2)を満たす上述の関係としている。具体的には、金属船底部の厚さtbと波長整合体の厚さtsとを、tc/λc+ts/λs=1/2またはこれに十分近い(±1/10以内)範囲内に調整している。つまり、金属接水部と波長整合体とをそれらの厚み方向に見たとき、これらに生じる超音波振動が、両者合わせて、超音波振動のほぼ1/2波長分となるようにしてある。このため、超音波振動子を金属接水部に取り付けることで、この超音波振動子をケース内に配置しながらも、損失や不要反射を抑制し、効率よく超音波を金属接水部から水中に放射することができるようになる。また、水中から入射する超音波を効率よく振動素子に伝えることができるようになる。また、指向特性が良好となり、サイドローブの発生をも抑制できる。かくして、良好な超音波の放射特性や受波特性を有する水中超音波利用装置とすることができる。
特に、本発明の水中超音波利用装置では、超音波振動子の波長整合体が、所定振動方向について少なくとも一部に多柱部を備えている。この多柱部では、所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されている。従って、各金属柱は、波長整合体全体の径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有している。
また、この波長整合体には、その厚み方向を所定振動方向とする超音波振動が振動素子から与えられる。従って、振動素子の所定振動方向の超音波振動は、金属柱(または金属柱状部)の軸線に沿って伝えられる。
この金属柱では、この超音波振動の伝達に伴い、軸線に直交する径方向にも振動(径方向振動)が誘起される。しかし、一般に、径方向振動は、媒体(この場合には金属柱)の径が小さい場合には、誘起されにくい傾向にある。従って、例えば、多柱部を有さない(従って、全体が一体となるために径方向寸法が大きい)波長整合体に比して、径方向振動の誘起が抑制される。かくして、振動素子の所定振動方向の超音波振動が、各金属柱を通じて、さらに効率よく金属接水部に伝えられ、金属接水部をその厚さ方向に振動させるので、この金属接水部から正面に向かって効率よく超音波を放射することができる。その一方、波長整合体の径方向振動など、厚さ方向の振動とは異なる形態の振動の発生が抑えられるので、正面とは異なる方向への超音波放射を抑えて、指向角を小さくでき、サイドローブの発生をも抑制することができる。
また、超音波の放射時における特性のみならず、受波感度も向上し、正面からずれた角度から入射する不要な超音波が波長整合体を通じて振動素子に伝わることも抑制され、受波時のノイズを抑制することもできる。
なお、水中超音波利用装置のケースとしては、超音波振動子等を密閉包囲して防水構造としたケースのほか、船型あるいは桶型など上部など一部が開放され防水とはなっていないケースを採用することもできる。
また、金属接水部をなす金属の材質としては、水中超音波利用装置の用途に応じて適宜選択すればよく、また、超音波を低損失で伝えられる金属を選択するのが好ましい。例えば、アルミニウム、ジュラルミンなどのアルミニウム合金が挙げられる。また、炭素鋼、ステンレスなどの鉄鋼や、チタン合金などが挙げられる。
さらに上述の水中超音波利用装置であって、前記波長整合体の多柱部は、前記金属柱または金属柱状部同士の間に、樹脂を充填してなる水中超音波利用装置とすると良い。
本発明の水中超音波利用装置では、超音波振動子の波長整合体の多柱部において、互いに離間して配置されている金属柱あるいは金属柱状部同士の間を樹脂で充填している。このように金属柱あるいは金属柱状部同士の間には、樹脂が充填されているので、振動素子で超音波振動を発生させ、金属船底部あるいは金属接水部から超音波を放射させた後、振動素子の駆動を停止すると、速やかに波長整合体及び振動素子の残響振動の継続が抑圧される。多柱部に充填された樹脂が残響振動に対する抵抗となり損失を生じるので、残響振動が抑制されるためであると考えられる。かくして、残響期間を短縮することができる。
さらに、前述のように、金属柱あるいは金属柱状部では、自身の径方向の振動の誘起が抑制されている。その上、誘起された径方向振動が充填されている樹脂により吸収されるので、さらに効率よく、波長整合体の厚さ方向(金属柱の軸線方向)の振動以外の振動の発生を抑制することができる。このため、指向性を鋭くでき、サイドローブを抑圧できる。
さらに、上記いずれかに記載の水中超音波利用装置であって、前記超音波振動子は、前記振動素子と波長整合体との間にゴムからなるバッファ体を備える水中超音波利用装置とするのが好ましい。
振動素子が波長整合体に直接接着した構造の超音波振動子では、両者の界面で接着剥がれが生じる場合がある。
これに対し、本発明の水中超音波利用装置では、バッファ体の介在により、振動素子と波長整合体の機械的結合が緩和された超音波振動子を用いている。これによって、バッファ体に接着した振動素子が振動素子の振動により剥がれる不具合が防止され、より信頼性の高い水中超音波利用装置とすることができる。
さらに、船底の少なくとも一部が金属からなる金属船底部である船舶において、上記金属船底部の船内側面に取り付けられることが予定されている超音波振動子であって、所定周波数で所定振動方向に超音波振動する振動素子と、上記所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体であって、上記振動素子とは上記所定振動方向に直接または間接に積み重ねられ、上記船内側面に接し、波長整合を行う所定厚さを有する波長整合体と、を含み、上記波長整合体は、この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備え、上記金属船底部を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλb、この金属船底部の厚さをtb、上記波長整合体を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλs、この波長整合体の厚さをtsとしたとき、下記式(1)を満たす厚さtsを有する
1/2−1/10≦tb/λb+ts/λs≦1/2+1/10 …式(1)
超音波振動子とするのが好ましい
この超音波振動子では、波長整合体を、超音波振動子を取り付けることが予定されている船底の金属船底部に対し、式(1)を満たす関係としている。具体的には、金属船底部の厚さtbと波長整合体の厚さtsとが、tb/λb+ts/λs=1/2またはこれに十分近い範囲(±1/10以内)に調整している。つまり、金属船底部と波長整合体とをそれらの厚み方向に見たとき、これらに生じる超音波振動が、両者合わせて、超音波振動のほぼ1/2波長分となるようにしてある。このため、この超音波振動子を金属船底部に取り付けることで、この超音波振動子を船内に配置しながらも、損失や不要反射を抑制し、効率よく超音波を金属船底部から船外(水中)に放射することができるようになる。また、水中から入射する超音波を効率よく振動素子に伝えることができるようになる。また、指向特性が良好となり、サイドローブの発生をも抑制できる。かくして、良好な超音波の放射特性や受波特性を有する超音波振動子を取り付けた船舶を構成することができる。
特に、この超音波振動子では、その波長整合体が、所定振動方向について少なくとも一部に多柱部を備えている。この多柱部では、所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されている。従って、各金属柱は、波長整合体全体の径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有している。
また、この波長整合体には、その厚み方向を所定振動方向とする超音波振動が振動素子から与えられる。従って、振動素子の所定振動方向の超音波振動は、金属柱(または金属柱状部)の軸線に沿って伝えられる。
この金属柱では、この超音波振動の伝達に伴い、軸線に直交する径方向にも振動(径方向振動)が誘起される。しかし、一般に、径方向振動は、媒体(この場合には金属柱)の径が小さい場合には、誘起されにくい傾向にある。従って、例えば、多柱部を有さない(従って、全体が一体となるために径方向寸法が大きい)波長整合体に比して、径方向振動の誘起が抑制される。かくして、振動素子の所定振動方向の超音波振動が、各金属柱を通じて、さらに効率よく金属船底部に伝えられ、金属船底部をその厚さ方向に振動させるので、この金属船底部から正面に向かって効率よく超音波を放射することができる。その一方、波長整合体の径方向振動など、厚さ方向の振動とは異なる形態の振動の発生が抑えられるので、正面とは異なる方向への超音波放射を抑えて、指向角を小さくでき、サイドローブの発生をも抑制することができる。
また、超音波の放射時における特性のみならず、受波感度も向上し、正面からずれた角度から入射する不要な超音波が波長整合体を通じて振動素子に伝わることも抑制され、受波時のノイズを抑制することもできる。
さらに、自身を包囲するケースのうち、使用時に水に接する接水部の少なくとも一部が金属からなる金属接水部である水中超音波利用装置において、上記金属接水部の内側面に取り付けられることが予定されている超音波振動子であって、所定周波数で所定振動方向に超音波振動する振動素子と、上記所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体であって、上記振動素子とは上記所定振動方向に直接または間接に積み重ねられ、上記内側面に接し、波長整合を行う所定厚さを有する波長整合体と、を含み、上記波長整合体は、この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備え、上記金属接水部を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλc、この金属接水部のうち上記超音波振動が伝わる部分の厚さをtc、上記波長整合体を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλs、この波長整合体の厚さをtsとしたとき、下記式(2)を満たす厚さtsを有する
1/2−1/10≦tc/λc+ts/λs≦1/2+1/10 …式(2)
超音波振動子とするのが好ましい
この超音波振動子では、波長整合体を、超音波振動子を取り付けることが予定されているケースの金属接水部に対し、式(2)を満たす関係としている。具体的には、金属
接水部のうち超音波振動が伝わる部分の厚さtcと波長整合体の厚さtsとが、tc/λc+ts/λs=1/2またはこれに十分近い範囲(±1/10以内)に調整している。つまり、金属接水部と波長整合体とをそれらの厚み方向に見たとき、これらに生じる超音波振動が、両者合わせて、超音波振動のほぼ1/2波長分となるようにしてある。このため、この超音波振動子を金属接水部に取り付けることで、この超音波振動子をケース内に配置しながらも、損失や不要反射を抑制し、効率よく超音波を金属接水部から水中に放射することができるようになる。また、水中から入射する超音波を効率よく振動素子に伝えることができるようになる。また、指向特性が良好となり、サイドローブの発生をも抑制できる。かくして、良好な超音波の放射特性や受波特性を有する超音波振動子を備えた水中超音波利用装置を構成することができる。
特に、この超音波振動子では、その波長整合体が、所定振動方向について少なくとも一部に多柱部を備えている。この多柱部では、所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されている。従って、各金属柱は、波長整合体全体の径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有している。
また、この波長整合体には、その厚み方向を所定振動方向とする超音波振動が振動素子から与えられる。従って、振動素子の所定振動方向の超音波振動は、金属柱(または金属柱状部)の軸線に沿って伝えられる。
この金属柱では、この超音波振動の伝達に伴い、軸線に直交する径方向にも振動(径方向振動)が誘起される。しかし、一般に、径方向振動は、媒体(この場合には金属柱)の径が小さい場合には、誘起されにくい傾向にある。従って、例えば、多柱部を有さない(従って、全体が一体となるために径方向寸法が大きい)波長整合体に比して、径方向振動の誘起が抑制される。かくして、振動素子の所定振動方向の超音波振動が、各金属柱を通じて、さらに効率よく金属接水部に伝えられ、金属接水部をその厚さ方向に振動させるので、この金属接水部から正面に向かって効率よく超音波を放射することができる。その一方、波長整合体の径方向振動など、厚さ方向の振動とは異なる形態の振動の発生が抑えられるので、正面とは異なる方向への超音波放射を抑えて、指向角を小さくでき、サイドローブの発生をも抑制することができる。
また、超音波の放射時における特性のみならず、受波感度も向上し、正面からずれた角度から入射する不要な超音波が波長整合体を通じて振動素子に伝わることも抑制され、受波時のノイズを抑制することもできる。
さらに上記いずれかに記載の超音波振動子であって、前記波長整合体の多柱部は、前記金属柱または金属柱状部同士の間に、樹脂を充填してなる超音波振動子とすると良い。
この超音波振動子では、その波長整合体の多柱部において、互いに離間して配置されている金属柱あるいは金属柱状部同士の間を樹脂で充填している。このように金属柱あるいは金属柱状部同士の間には、樹脂が充填されているので、振動素子で超音波振動を発生させ、金属船底部あるいは金属接水部から超音波を放射させた後、振動素子の駆動を停止すると、速やかに波長整合体及び振動素子の残響振動の継続が抑圧される。多柱部に充填された樹脂が残響振動に対する抵抗となり損失を生じるので、残響振動が抑制されるためであると考えられる。かくして、残響期間を短縮することができる。
さらに、前述のように、金属柱あるいは金属柱状部では、自身の径方向の振動の誘起が抑制されている。その上、誘起された径方向振動が充填されている樹脂により吸収されるので、さらに効率よく、波長整合体の厚さ方向(金属柱の軸線方向)の振動以外の振動の発生を抑制することができる。このため、指向性を鋭くでき、サイドローブを抑圧できる。
さらに上記いずれかに記載の超音波振動子であって、前記振動素子と波長整合体との間にゴムからなるバッファ体を備える超音波振動子とするのが好ましい。
振動素子と波長整合体とが直接接着した構造の超音波振動子では、両者の界面で接着剥がれが生じる場合がある。
これに対し、本発明の超音波振動子では、バッファ体の介在により、振動素子と波長整合体の機械的結合が緩和されている。これによって、バッファ体に接着した振動素子が振動素子の振動により剥がれる不具合が防止され、より信頼性の高い水中超音波利用装置とすることができる。
さらに、所定周波数で所定振動方向に振動する振動素子と水中に超音波を放射する放射面を有する放射面部材との間に介在して、上記放射面部材を伝わる超音波の波長整合を行う所定厚さの波長整合体であって、この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備える波長整合体とするのが好ましい
特に、この波長整合体は、所定振動方向について少なくとも一部に多柱部を備えている。この多柱部では、所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されている。従って、各金属柱は、波長整合体全体の径方向寸法よりも小さい径方向寸法を有している。
この波長整合体には、その厚み方向を所定振動方向とする超音波振動が振動素子から与えられる。従って、振動素子の所定振動方向の超音波振動は、金属柱(または金属柱状部)の軸線に沿って伝えられる。
この金属柱では、この超音波振動の伝達に伴い、軸線に直交する径方向にも振動(径方向振動)が誘起される。しかし、一般に、径方向振動は、媒体(この場合には金属柱)の径が小さい場合には、誘起されにくい傾向にある。従って、例えば、多柱部を有さない(従って、全体が一体となるために径方向寸法が大きい)波長整合体に比して、径方向振動の誘起が抑制される。
かくして、この波長整合体を振動素子と放射面部材の間に介在させると、放射面部材を伝わる超音波の波長整合を行うことにより、振動素子の所定振動方向の超音波振動が、各金属柱を通じて、さらに効率よく放射面部材に伝えられ、この放射面部材をその厚さ方向に振動させるので、この放射面部材の放射面から正面に向かって効率よく超音波を放射することができる。その一方、波長整合体の径方向振動など、厚さ方向の振動とは異なる形態の振動の発生が抑えられるので、正面とは異なる方向への超音波放射を抑えて、指向角を小さくでき、サイドローブの発生をも抑制することができる。
また、超音波の放射時における特性のみならず、この受波感度も向上し、正面からずれた角度から入射する不要な超音波が波長整合体を通じて振動素子に伝わることも抑制され、受波時のノイズを抑制することもできる。
さらに、上記波長整合体であって、多柱部は、前記金属柱または金属柱状部同士の間に、樹脂を充填してなる波長整合体とすると良い。
この波長整合体は、その多柱部において、互いに離間して配置されている金属柱あるいは金属柱状部同士の間を樹脂で充填している。このように金属柱あるいは金属柱状部同士の間には、樹脂が充填されているので、この波長整合体を超音波振動子に組み込み、振動素子で超音波振動を発生させ、金属船底部あるいは金属接水部から超音波を放射させた後、振動素子の駆動を停止すると、速やかに波長整合体及び振動素子の残響振動の継続が抑圧される。多柱部に充填された樹脂が残響振動に対する抵抗となり損失を生じるので、残響振動が抑制されるためであると考えられる。かくして、残響期間を短縮することができる。
さらに、前述のように、金属柱あるいは金属柱状部では、自身の径方向の振動の誘起が抑制されている。その上、誘起された径方向振動が充填されている樹脂により吸収されるので、さらに効率よく、波長整合体の厚さ方向(金属柱の軸線方向)の振動以外の振動の発生を抑制することができる。このため、指向性を鋭くでき、サイドローブを抑圧できる。
本発明の実施の形態を、実施例1,2として、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例を、図1〜図6を参照して説明する。本実施例1の魚群探知機付きボート10は、ボート1とこれに搭載された魚群探知機4とからなる。このうち、ボート1は、いわゆるアルミ船であり、その船底2の一部である金属船底部3も含め、船体全体がアルミニウム合金からなっている。船底2(金属船底部3)は、ボート1を水上に浮かべた場合に、水面WSよりも下方に位置する。
このボート1内には、魚群探知機4が搭載されている。この魚群探知機4は、超音波振動子6と、これを駆動し、その出力(超音波受波出力)を解析して、水中の様子、魚群の有無等を表示する本体装置5とを含んでいる。本体装置5には、超音波振動子6を駆動するための駆動電源51及び、超音波振動子6からの出力等を処理したものを画像やデータとして表示する表示ディスプレイ52を含む。
一方、超音波振動子6は、図2に示すように、船底2の一部である金属船底部3の船内側面3Bに固着されている。なお、超音波振動子6が固着されている部分における金属船底部3の厚さtbはtb=6.0mm、厚さ方向の音速vbはvb=6455m/sである。超音波振動子6は、円板状(φ40×t10mm)の圧電素子61と、この圧電素子61の前面61F側に配置され、圧電素子61よりも径大で略円板状(φ80×t15.0mm)のアルミ整合体62と、圧電素子61とアルミ整合体62との間に介在し、圧電素子61と略同径で円板状(φ40×t5.0mm)のバッファ体63とを有する。
このうち、圧電素子61は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とし、厚さ方向(図2において上下方向、軸線AXに沿う方向)に分極され、前面61F及び裏面61Bには、Agからなる電極61E1,61E2がそれぞれ形成されている。これらの電極61E1,61E2は、ケーブル66内の図示しないリード線を経由して本体装置5に接続されており、圧電素子61は、駆動回路51によって所定の駆動周波数f(=120kHz)で駆動され、厚さ方向(軸線AX方向)に伸縮(超音波振動)する。
アルミ整合体62は、金属船底部3と同様のアルミニウム合金からなる金属部62Mと、充填樹脂部62Jとからなり、前述のように、その厚さ(軸線AX方向の寸法)tsはts=15.0mmである。またこのアルミ整合体62の厚さ方向の音速vsはvs=4940m/sである。このアルミ整合体62は、その前面62Fで、ボート1の金属船底部3の船内側面3Bに接着剤層ADを介して密着している。このアルミ整合体62は、圧電素子61の超音波振動により、その厚さ方向(軸線AX方向)に超音波振動し、これを金属船底部3に伝える。
このアルミ整合体62のうち金属部62Mは、図3に示すように、概略平板状の金属平板部62Pと、この一方側面(図2(a)において下側面)から、その厚み方向(超音波振動子6において、軸線AXに沿う方向)に延びる多数の金属柱状部62Cを含む多柱部62Dとからなる。金属平板部62Pは円板形状を有し、その厚みはtpである。一方、多柱部62Dに含まれる金属柱状部62Cは、厚み方向寸法がtdで、一辺Wcの四角柱状を有しており、間隙寸法Wjのスリット62Lを介して、互いに格子状に配置されている。
但し、図2(b)を参照すれば容易に理解できるように、金属柱状部62Cの平面形状は、周縁部分に位置するものにおいては、一部あるいは大半が切り欠かれたものも存在する。
本実施例1では、tp=3.0mm,Td=12.0mm,Wc=7.0,Wj=1.0mmである。
また、多柱部62Dにおいて、金属柱状部62C同士の間隙(スリット62L)には、柔軟性のあるウレタン樹脂が充填されて、上述の充填樹脂部62Jが形成されている。
このアルミ整合体62の働きについては、後述する。
なお、アルミ整合体62と金属船底部3とを同材質としたため、両者の音響インピーダンスがほぼ同等となり、両者の界面での反射が生じにくくなっている。また、このアルミ整合体62の前面62Fは、金属船底部3の船内側面3Bと密着するように、ラップ仕上げなどによって整面しておくのが好ましい。同様に、金属船底部3の船内側面3Bも、サンドペーパでの整面、ラップ仕上げなどによる整面をしておくのが好ましい。
また、バッファ体63は、絶縁性のCRゴムからなり、圧電素子61の前面61Fとアルミ整合体62の裏面62Bとの間に挟持されている。具体的には、圧電素子61とバッファ体63とアルミ整合体62とは、互いに図示しない接着剤によって接合されている。このバッファ体63は、圧電素子61とアルミ整合体62との間に介在して、両者の機械的結合を緩和している。というのも、圧電素子61とアルミ整合体62とを、バッファ体63無しに直接接合した場合には、圧電素子61の厚み方向振動(厚さ方向の伸縮)及びそれに伴う径方向振動(径方向の伸縮)に対し、アルミ整合体62に励起される超音波振動のモードが完全に同じではないため、両者間の接合部分(接着剤)に亀裂が生じる「接着剥がれ」を生じる虞がある。そこで、ゴムからなるバッファ体63を介在させて、圧電素子61で発生させた超音波振動をアルミ整合体62に伝えるとともに、両者間の振動の様子の違いを吸収するのである。
かくして、駆動回路51で圧電素子61を駆動すると、この圧電素子61は、振動周波数fで、厚さ方向(軸線AX方向)に伸縮(超音波振動)し、バッファ体63及びアルミ整合体62を通じて、金属船底部3に超音波振動させ、その放射面3Fから水WTの中に超音波USRを放射することができる。
圧電素子61及びバッファ体63の後方(図2において上方)及び周囲には、これらを包囲するバック材64を備えている。このバック材64は、ゴムからなり、圧電素子61の防湿、絶縁、及び不要振動、残響振動の吸収を行っている。
さらに、この超音波振動子6は、ゴムからなるゴムフロート65を含む。このゴムフロート65は、バック材64及びアルミ整合体62を包囲する有底円筒状の形態を有する包囲部65Hと、この包囲部65Hから径方向外側に延び、ケーブル66を液密に把持するブッシュ部65Bとを有している。また、包囲部65Hの内周面65Iとアルミ整合体62の外周面65G及び裏面65Bの周縁部分とは液密に密着(接着)してなる。
なお、アルミ整合体62の外周面65Gには、係合鍔部65Tが設けられて、包囲部65Hから抜けにくくなっている。また、包囲部65Hの内周面65Iとバック材64との間には内部空間SPが形成されており、バック材64を通じてゴムフロート65の包囲部65Hにまで超音波振動が伝わらないように、いわゆる縁切りがされている。
さて、本実施例1の超音波振動子6では、ボート1の金属船底部3との関係で、アルミ整合体62を圧電素子61と金属船底部3との間に介在させ、さらにその厚みtsを、以下のように設定している。即ち、アルミ整合体62の厚み(軸線AX方向寸法)をts、これを伝わる超音波振動の波長をλs、ボート1の金属船底部3の厚み(軸線AX方向寸法)をtb、これを伝わる超音波振動の波長をλbとしたとき、下記式(1)を満たすように、アルミ整合体62の厚みtsを調整してある。
1/2−1/10≦tb/λb+ts/λs≦1/2+1/10 …式(1)
なお、波長λsは、伝わる超音波振動の振動周波数fと、アルミ整合体62の厚み方向の音速vsから、λs=vs/fにより得られる。同様に、波長λbは、伝わる超音波振動の振動周波数fと、金属船底部3の厚み方向の音速vbから、λb=vb/fにより得られる。
具体的には、本実施例1の魚群探知機付きボート10では、f=120kHz、vs=4940m/s、vb=6445m/sであるので、λs=41.17mm、λb=53.79mmとなる。また、ts=15.0mm,tb=6.0mmである。このため、tb/λb+ts/λs=0.48となり、式(1)の範囲に含まれることが判る。
なお、金属船底部3の厚さ方向の音速vbは、周波数が既知の超音波厚み計を用いて、金属船底部3の厚さを測定し、別途測定した厚さtbとの比較から、実際の音速vbを得た。詳細には、金属船底部3(実際には、これと同材質、同厚のアルミニウム合金の平板、□200×t6)の厚みを、マイクロメータを用いて測定する。一方、超音波厚み計(東京計器製、UTM100、パルス反射方式、図示しない)を用いて、金属船底部3(実際には上述の平板)の厚みを測定し、超音波厚み計の音速測定スイッチにより音速を変更して、この超音波厚み計で表示される厚みが、マイクロメータで実測した厚みに一致する音速を、金属船底部3の音速vbとした。なお、超音波厚み計の厚さの測定精度(表示精度)が0.1mmであるので、得られる音速Vbには、幅が生じることがある。この場合には、得られた音速の幅の中央値を真の音速Vbとした。
また、アルミ整合体62の厚さ方向の音速vsは、このアルミ整合体62の厚み方向の機械的共振周波数を測定すること、及びアルミ整合体62の厚さを測定することによって、実際の音速vsを算出した。詳細には、加振用の圧電セラミック(図示しない)上にアルミ整合体62を載置し、アルミ整合体6表面に正対する方向から、レーザドップラ振動計(図示しない)でその振動を計測している状態とし、圧電セラミックを振動させる。振動周波数を変化させ、アルミ整合体62の表面が最も大きく振動する周波数(アルミ整合体62の厚み方向の機械的共振周波数)fmを測定する。この共振周波数fmと、別途マイクロメータで測定したアルミ整合体62の厚みtとから、アルミ整合体62の音速Vsを、Vs=fm×2tにより算出する。
式(1)について説明する。式(1)は、tb/λb+ts/λsの値を、tb/λb+ts/λs=1/2を中心として、tb/λb+ts/λsの許容幅を、±1/10に設定したものである。
一般に、物体の厚さをt、これを伝わる超音波振動の波長をλとしたとき、t/λは、この物体の厚さ方向に、超音波振動の波が幾つ(何波長分)存在しているかを示す。従って、この式(1)は、アルミ整合体62と金属船底部3とを伝わる超音波振動の波が、これらに実効的に、1/2ヶ分(1/2波長分)含まれている寸法関係、あるいはこれに近似した寸法関係とするのが好ましいことを示している。
これは、金属船底部3の放射面3Fから、音響インピーダンスが大きく異なる水WTの中に超音波USRを放射するに当たり、金属船底部3の船内側面3Bに適切な厚さtbのアルミ整合体62を付加して、アルミ整合体62と金属船底部3とを併せて、実効的にλ/2共振体を構成する。これにより、放射面3Fからその正面(軸線AX方向)の水中に超音波USRを効率よく放射可能となるからと考えられる。また、これに伴い、サイドローブの発生をも抑制することができる。上述のようにアルミ整合体62と金属船底部3とを併せて、実効的なλ/2共振体を構成することで、厚み方向(軸線AX方向)の振動が選択的に励起され、これ以外の方向の振動(径方向振動)の発生が抑制されるためと考えられる。
なお、tb/λb+ts/λsの許容幅を、±1/10に設定したのは、この範囲内であれば、アルミ整合体62と金属船底部3とを併せて、実効的なλ/2共振体に近い状態とすることができ、放射面3Fからその正面(軸線AX方向)の水中に超音波USRを効率よく放射できる一方、サイドローブの発生も十分抑制できるからである。
さらに、本実施例1では、アルミ整合体62を、単純な円板形状ではなく、金属平板部62Pのほか、略四角柱形状の金属柱状部62Cが格子状に多数配置された多柱部62Dを有する形態としている。
多柱部62Dでは、圧電素子61で発生した軸線AXに沿う方向の超音波振動を多数の金属柱状部62Cを経由して金属船底部3に伝えることができる。
さらに、アルミ整合体が金属柱状部を有さない円板形状である場合には、圧電素子61から軸線AXに沿う方向の超音波振動が伝えられると、軸線AXに直交する径方向にその径が膨張・伸縮する径方向振動を生じることが避けられない。
これに対し、本実施例1のアルミ整合体62では、多柱部62Dにおいて、多数の金属柱状部62Cを有している。個々の金属柱状部62Cは、平面寸法が一辺Wcであり、アルミ整合体62の径方向寸法(本実施例では、φ80mm)よりも十分小さな径方向寸法を有している。個々の金属柱状部62Cを超音波振動が伝わる際に、誘起される径方向振動はわずかであり、しかも、金属柱状部62C同士は、間隙を空けて配置され、この間には充填樹脂部62Jが配置されており、径方向振動が相互に伝わるのを防止している。このため、多柱部62Dを有する本実施例1のアルミ整合体62では、円板形状のアルミ整合体に比して、径方向振動の誘起が抑制されている。
しかも、アルミ整合体62の厚み寸法ts(ts=15.0mm)に対し、金属柱状部62Cの厚み方向寸法td(td=12.0mm)は、その80%(td/ts=80%)を占めているので、金属平板部62Pにおいて誘起される径方向振動も抑制されている。
従って、本実施例1のアルミ整合体62を使用することで、円板形状のアルミ整合体を使用する場合に比しても、厚み方向(軸線AX方向)以外の方向の振動(径方向振動)の発生が抑制され、このアルミ整合体62が接着している金属船底部3の放射面3Fから、その正面(軸線AX方向)の水中に超音波USRを効率よく放射できる一方、サイドローブの発生も十分抑制できる。
ついで、実施例1及び比較例1,2及び参考例にかかる魚群探知機付きボートについて、その指向特性、正面(軸線AX方向)への送波音圧、正面(軸線AX方向)からの超音波の受波感度を測定した。但し、実際のボート1を用いて、指向特性を計測するのは大がかりな装置が必要となり困難であるため、金属船底3に代えて、同材質のアルミニウム合金からなり、同じ厚さtb=6.0mmを有する、平面寸法200×200mmの平板の中心に、超音波振動子6を接着した実施試料1を用意し、その指向特性を測定した。比較例2及び参考例に係る超音波振動子にも同様の平板を用いて、比較試料2及び参考試料としている。
また前述の通り、本実施例1(実施試料1)の超音波振動子6において、圧電素子61は、直径φ40mm、厚み10mmである。また、アルミ整合体62は、直径φ80mm、厚み15mmである。
一方、比較例1として、圧電素子61及びバッファ体63を備え、アルミ整合体62を備えない超音波振動子を作成し、これを金属船底部3に固着することなく、直接水中に投げ入れて、その指向特性を測定した。
また、比較例2(比較試料2)として、比較例1で用いた超音波振動子(具体的にはバッファ体63)を、前述の平板(tb=6.0mm、200×200mm)に接着したものを作製し、その指向特性を測定した。
さらに、参考例(参考試料)として、アルミ整合体62に代えて、スリット62Lを形成せず、多柱部62D(金属柱状部62C)を備えない円板状のアルミ整合体(φ80×t20)を用いた点のみ本実施例1と異なるものを作成し、その指向特性を測定した。
指向特性についての結果を、実施例1(実施試料1)について図4に、比較例1について図5に、比較例2(比較試料2)について図6に示す。参考試料について図7に示す。また、送波音圧の周波数特性を図8に、受波感度の周波数特性を図9に示す。
なお、送波音圧は、上述の平板に超音波振動子6を接着した実施試料1等を水中に投入し、水深1mで超音波振動子6の軸線AXを水平に保ち、本体装置5を用いて駆動し、この軸線上で1m離れた位置に配置した受波器(沖電気工業製、ST−1004、図示しない)により、水中を伝わった超音波を検知する。この受波器の出力を出力電圧をオシロスコープ(図示しない)で観察する。送波音圧Pを、P(dB)=Vr−kmにより、算出する。ここで、Pは送波音圧の音圧レベル(0dB=1μPa)、Vrは受波器の出力レベル(0dB=1Vrms)、kmは受波器の受波感度(0dB=1Vrms/μPa)である
。図6に示す送波音圧の周波数特性は、本体装置5による駆動周波数を変化させて、各周波数における送波音圧を測定したものである。
また、指向特性は、上述の送波音圧の測定と同様にして、受波器の出力電圧を測定する。その際、超音波振動子6の軸線AX上に受波器が位置する状態(受波器が平板に正対する状態)を角度θ=0°として、超音波振動子6をその軸線AXを水平に保ったまま水平方向面内を回動させ、各角度における受波器の出力電圧を測定する。さらに、各角度θにおける相対強度Gを、G(dB)=20Log(Vθ/V0)により算出する。ここで、V0は、角度θ=0°における受波器の出力電圧であり、Vθは、角度θにおける受波器の出力電圧である。さらに、相対強度Gが−6dB以内となる角度範囲の大きさを、指向角αとして算出する。
さらに、受波感度は、上述の送波音圧及び指向特性の測定とは異なり、平板に超音波振動子6を接着した実施試料1等を水中に投入し、水深1mで超音波振動子6の軸線AXを水平に保つ。また、この軸線上で1m離れた位置に配置した送波器(沖電気工業製、ST−1004、図示しない)を駆動して超音波を発生させ、水中を伝わった超音波を超音波振動子6で受波し、その出力をオシロスコープ(図示しない)で観察する。オシロスコープで得た超音波振動子6の出力電圧から、受波感度Sを、S(dB)=VTD−(Vs+Ks)により算出する。ここで、Sは超音波振動子の受波感度(0dB=1Vrms/μPa)、VTDは超音波振動子6の出力電圧のレベル(0dB=1Vrms),Ksは送波器の送波強度(0dB=1μPa/Vrms・m)である。図7に示す受波感度の周波数特性は、送波器による超音波の周波数を変化させて、各周波数における受信感度を測定したものである。
図4のグラフによれば、本実施例1に係る超音波振動子6を用いた実施試料1においては、角度0deg付近に現れるメインビームの指向角(−6dB以上となる角度範囲)αが、α=15degであり、サイドローブのピークがメインビームに比して−20dB以下に抑制されていることが判る。
一方、比較例1に係る超音波振動子では、図5に示すように、メインビームの指向角αは、α=20degであり、サイドローブのピークは、メインビームに比して−13dB以下に抑制されていることが判る。
また、比較例2に係る超音波振動子を用いた比較試料2では、図6に示すように、メインビームの指向角αは、α=22degであり、サイドローブのピークはメインビームに比して−4dBしか抑制されていないことが判る。
さらに、図7のグラフによれば、参考例に係るアルミ整合体を用いた参考試料においては、角度0deg付近に現れるメインビームの指向角(−6dB以上となる角度範囲)αが、α=14degであり、サイドローブのピークがメインビームに比して−17dB以下に抑制されていることが判る。
また、図8に示す、各試料の送波音圧Pの周波数特性によれば、アルミ整合体62を有する実施試料1(▲印)では、ボート1の船内に超音波振動子6を配置していながらも、比較例1(◆印:水中投げ入れ型)とほぼ同程度の送波音圧Pを得ていることが判る。一方、アルミ整合体62を有さない比較試料2(■印)では、実施試料1に比して送波音圧Pが概略10dB程度低下していることが判る。
また、図9に示す受波感度Sの周波数特性において、アルミ整合体62を有する実施試料1(▲印)は、多くの範囲で比較例1(◆印:水中投げ入れ型)を上回る受波感度Sを得ていることが判る。一方、アルミ整合体62を有さない比較試料2(■印)では、実施試料1に比して受波感度Sも概略10dB程度低下していることが判る。
上述の比較例1と比較例2(比較試料2)との比較から、通常の(アルミ整合体を有さない比較例1の)水中投げ込み型超音波振動子(比較例1)を、金属船底部に接着すると(比較例2)、指向角αが大きくなり、サイドローブ大きくなることが判る。また、送波音圧(放射強度)P及び受波感度Sも大幅に低下することが判る。
比較例2(比較試料2)の場合には、圧電素子を発生させた超音波振動を金属船底部(比較試料2の場合には平板)から水中に放射する際に、アルミ整合体が無いために、圧電素子から金属船底部への超音波振動の伝送、及び金属船底部から水中への超音波振動の伝送のいずれにおいても不整合が生じる。このため、それぞれの界面で反射や損失が生じ、結局、水中へ十分な強度で超音波を放射できなかったものと解される。また、圧電素子の厚み方向の振動のみならず、径方向振動なども励起され、メインビームの強度が低下して指向角αが大きくなるのに加えて、サイドローブとして大きなピークが現れたものと考えられる。
これに対し、本実施例1に係る超音波振動子6を用いた場合(実施試料1)には、比較例2(比較試料2)のみならず比較例1に比しても指向角αが小さく、鋭い超音波ビームを水中に放射できる上、サイドローブも比較例1,2に比して十分に抑制できることが判る。また、超音波USRの送波音圧(放射強度)Pは、水中投げ込み型の超音波振動子(比較例1)と同程度であり、ロス無く超音波USRを放射することができる。
このように、アルミ整合体62を備えた超音波振動子6とすることにより、アルミ整合体のない比較例2(比較試料2)に比して、この超音波振動子6(これを備えるボート10)における超音波USRの放射特性、指向特性を大幅に向上させることができる。また、水中投げ込み型の超音波振動子(比較例1)に比しても同等あるいはそれ以上の特性を得られることが判る。さらに、水中から超音波USPを受波する受波感度についても、アルミ整合体のない比較例2(比較試料2)に比して、大幅に向上させることができ、水中投げ込み型の超音波振動子(比較例1)と同等の特性を得られることが判る。
さらに実施試料1は、参考試料に比較して、サイドローブのピークで3dBの改善が観察されており、アルミ整合体62に金属柱状部62Cを形成することの効果が明らかとなった。
ついで、実施例1及び比較例2にかかる魚群探知機付きボートについて、その魚群探知機を動作させた。表示ディスプレイ52に現れた画像を図10に示す。
この図10のうち、(a)が実施例1にかかるボートで得られた画像であり、(b)が比較例2にかかるボートで得られた画像である。具体的には、同じボートに実施例1及び比較例2にかかる超音波振動子を取り付け、本体装置5を繋ぎ替えて、これらを駆動した。さらに詳細には、実施例1にかかる超音波振動子を駆動して画像(a)を得た後、直ちに本体装置5を繋ぎ替えて比較例2にかかる超音波振動子を駆動して、画像(b)を得た。
両者を比較すると、両画像において「1」と表示されて囲まれた同じ魚群と考えられる魚群映像について見ると、実施例1にかかる映像(a)の方が、信号強度が高くなっていることが判る。また、両画像において「2」と表示されて囲まれた海底映像について見ても、実施例1にかかる映像(a)の方が、信号強度が高くなっていることが判る。これらは、実施例1にかかる超音波振動子6の方が、超音波の放射特性及び受波特性が良好であるためと解される。
さらに、両画像において「3」の矢印で表示された残響継続時間を示す部分の画像の上下方向長さを見ると、実施例1にかかる映像(a)の方が短くなっていることが判る。このことから、実施例1にかかる超音波振動子6の方が、超音波を放射後、速やかに残響が消されていることが判る。これは、アルミ整合体62に多柱部62Dを設け、金属柱状部62C同士の間に間隙を空けたため、超音波を放射後に残響が残りにくいこと、及び、金属柱状部62C間のスリット62Lに充填樹脂部62Jを設けたため、残響振動がこの充填樹脂部62Jに吸収され、さらに速やかに残響振動が消されるためであると解される。
また、両画像において「4」と表示された海底映像よりも下の部分についてみると、実施例1にかかる映像では、ほとんど信号が観察されないのに対し、比較例2にかかる映像ではノイズが継続して観察されている。これは、比較例2にかかる魚群探知機では、指向角が広く、また大きなサイドローブが存在することより、実施例1では受波しないような、各方向からの不要な超音波を受波しているためであると解される。
かくして、本実施例1の魚群探知機付きボート10、魚群探知機4、及び超音波振動子6は、超音波振動子6を船内に配置しながらも、良好な超音波の放射特性や受波特性を有する魚群探知機付きボート、魚群探知機、及び超音波振動子となる。また、本実施例1のアルミ整合体62は、超音波振動子の特性をさらに改善することができる。
ついで、本発明の第2の実施例を、図11を参照して説明する。前述した実施例1では、魚群探知機4の超音波振動子6をボート1の金属船底部3に固着した魚群探知機付きボート10について説明した。
これに対し、本実施例2は、船舶SHで用いる水中超音波探査装置140にかかり、実施例6と同様の構成を有する超音波振動子6を用いる。従って、異なる部分について説明し、同様の部分については、記載を省略あるいは簡略化する。
本実施例2の水中超音波探査装置140は、本体装置150と、超音波振動子6含むプローブ160とからなる。このうち、この本体装置150は、超音波振動子6を駆動し、その出力(超音波受波出力)を解析して、水中の様子、水底(海底、湖底)の様子等をデータを得る。この本体装置150には、超音波振動子6を駆動するための駆動電源151を含む。
一方、プローブ160は、超音波振動子6とこれを包囲し液密に密閉するケース161を有している。このうち、超音波振動子6は、実施例1と同様である(図2参照)。ケース161は、直方体形状を有し、そのうち、水面WS下に没する接水部162の底部は、アルミニウム合金からなる金属接水部163(厚みtc=6.0mm)とされている。超音波振動子6(具体的には、アルミ整合体62)は、この金属接水部163の内側面163Bに密に接着されている。
なお、超音波振動子6のケーブル66は、ケース161から液密に取り出され、本体装置150に接続されている。
かくして、この水中超音波探査装置140においても、本体装置150の駆動電源151を所定周波数(本例では、f=120kHz)で超音波振動子6を駆動することで、金属接水部613の放射面163Fから、超音波USRを放射することができる。また、この超音波振動子6によって、放射面3に入射する超音波USPを受波することができる。
しかも実施例1と同様に、超音波振動子6には、多柱部62Dを有するアルミ整合体62を備えており、アルミ整合体62の厚み(軸線AX方向寸法)をts、これを伝わる超音波振動の波長をλs、ケース161の金属接水部163の厚み(軸線AX方向寸法)をtc、これを伝わる超音波振動の波長をλcとしたとき、下記式(2)を満たすように、アルミ整合体62の厚みtsを調整してある。
1/2−1/10≦tc/λc+ts/λs≦1/2+1/10 …式(2)
具体的には、本実施例2の水中超音波探査装置140では、f=120kHz、vs=4940m/s、vc=6445m/sであるので、λs=41.17mm、λc=53.79mmとなる。また、ts=15.0mm,tc=6.0mmである。このため、tc/λc+ts/λs=0.48となり、式(2)の範囲に含まれることが判る。
なお、金属接水部163の厚さ方向の音速vcもは、周波数が既知の超音波厚み計を用いて、金属接水部163の厚さを測定し、別途測定した厚さtcとの比較から、実際の音速vcを算出した。
この式(2)について説明する。式(2)も前述の式(1)と同じく、tc/λc+ts/λsの値を、tc/λc+ts/λs=1/2を中心として、その許容幅を、±1/10に設定したものである。この式(2)は、アルミ整合体62と金属接水部163とを伝わる超音波振動の波が、これらに実効的に、1/2ヶ分(1/2波長分)含まれている寸法関係、あるいはこれに近似した寸法関係とするのが好ましいことを示している。
金属接水部163の放射面163Fから、水WTの中に超音波USRを放射するに当たり、金属接水部163の内側面163Bにアルミ整合体62を付加して、アルミ整合体62と金属船底部3とを併せて、実効的なλ/2共振体を構成する。これにより、放射面163Fからその正面(水中)に超音波USRを効率よく放射可能となるからと考えられる。また、これに伴い、サイドローブを発生をも抑制できる。アルミ整合体62と金属接水部163とを併せて、実効的なλ/2共振体を構成することで、厚み方向(軸線AX方向)の振動が選択的に励起され、これ以外の方向の振動(径方向振動)の発生が抑制されるためと考えられる。
なお、tc/λc+ts/λsの許容幅を、±1/10に設定したのは、この範囲内であれば、アルミ整合体62と金属接水部163とを併せて、実効的にλ/2共振体に近い状態とすることができ、放射面3Fからその正面(軸線AX方向)に超音波USRを効率よく水中に放射できる一方、サイドローブの発生も十分抑制できるからである。
しかも、本実施例2でも、アルミ整合体62は、単純な円板形状ではなく、金属平板部62Pのほか、略四角柱形状の金属柱状部62Cが格子状に多数配置された多柱部62Dを有する形態とされている。
多柱部62Dでは、圧電素子61で発生した軸線AXに沿う方向の超音波振動を多数の金属柱状部62Cを経由して金属船底部3に伝えることができる。その上、前述した実施例1と同じく、アルミ整合体62を使用することで、円板形状のアルミ整合体を使用する場合に比しても、厚み方向(軸線AX方向)以外の方向の振動(径方向振動)の発生が抑制され、このアルミ整合体62が接着している金属船底部3の放射面3Fから、その正面(軸線AX方向)の水中に超音波USRを効率よく放射できる一方、サイドローブの発生も十分抑制できる。
かくして、本実施例2の水中超音波探査装置140についても、効率よく超音波USRを金属接水部163から水中に放射することができる。また、水中から入射する超音波USPを効率よく圧電素子61に伝えることができる。また、指向特性が良好となり、サイドローブの発生をも抑制できる。かくして、良好な超音波の放射特性や受波特性を有する水中超音波探査装置140となる。
以上において、本発明を実施例1,2に即して説明したが、本発明は上記実施例1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1においては、船体全体がアルミニウムからなるボート1に適用した例を示したが、船体全体は例えばFRP、木材などで構成されていても良く、船底の一部に超音波振動子6が取り付け可能な金属船底部が設られているボートなどの船舶に適用してもよい。
また、実施例1では、アルミニウム合金からなる金属船底部3あるいは金属接水部163に、同じくアルミニウム合金からなるアルミ整合体62を接合した例を示したが、金属船底部3(金属接水部163)の材質に応じて、アルミ整合体62を他の材質の波長整合体に代えても良い。この際、波長整合体を、金属船底部(金属接水部)と同じ材質、あるいは同系の合金で構成するのが好ましい。
また、実施例2の水中超音波探査装置140では、プローブ160内に超音波振動子6を備えたものを示したが、この超音波振動子6のほか、水温計やマニピュレータその他の機器を含むものとしても良い。また、実施例2では、プローブ160を水面付近で使用するものとして例示したが、プローブ160全体が水中に没する形態のものに適用することもできる。また、ケース161も直方体形状に限らず、超音波振動子6を固着する金属接水部163を確保できれば、適宜の形状とすることができる。また、プローブ内に人間が乗り込む有人探査装置に適用することもできる。
また、上述の実施例においては、アルミ整合体62として、格子状にスリット62Lを形成して、四角柱状の金属柱状部62Cを多数有する多柱部62Dを構成した例を示した(図3参照)。しかし、金属柱状部としては、三角柱状や六角柱状、同心円状やこれを周方向に分割したものなど他の形態とすることもできる。また、アルミ整合体62として、多柱部62Dのほか、金属平板部62Pを有するものを用いたが、アルミ整合体として、多数の金属柱を列置したものを用いることもできる。あるいは、金属平板部を金属柱状部の厚み方向両側に配置する形態とすることもできる。
さらに、前述の実施例においては、スリット62Lにウレタン樹脂を充填した例を示したが、スリット62Lなど金属柱状部同士の間隙に樹脂を充填しない形態とすることもできる。逆に、充填する樹脂として、ウレタン樹脂のほか、柔軟性を有するエポキシ樹脂やシリコン樹脂などを用いることもできる。
実施例1に係る魚群探知機付きアルミニウム船の構成を示す説明図である。 実施例1,2にかかり、超音波振動子の構造、及び金属船底部または金属接水部との関係を示す断面図である。 実施例1,2のアルミ整合体にかかり(a)は断面図、(b)は平面図である。 本実施例にかかる超音波振動子をアルミニウム船を模したアルミニウム板に接着した実施試料1における、超音波の放射指向特性を示すグラフである。 比較例1にかかる超音波振動子における、超音波の放射指向特性を示すグラフである。 比較例2にかかる超音波振動子をアルミニウム船を模したアルミニウム板に接着した比較試料2における、超音波の放射指向特性を示すグラフである。 参考試料にかかる超音波振動子における、超音波の放射指向特性を示すグラフである。 実施試料1、比較例1、比較試料2について、送波音圧の周波数特性を示すグラフである。 実施試料1、比較例1、比較試料2について、受波感度の周波数特性を示すグラフである。 ボートにおける魚群探知機のディスプレイ画像であり、(a)は実施例1,(b)は比較例2にかかるものである。 実施例2に係る水中超音波探査装置の構成を示す説明図である。
10 魚群探知機付きボート(水中超音波利用装置付き船舶)
1 ボート
2 (ボートの)船底
3 金属船底部
tb 金属船底部の厚さ
vb 金属船底部を伝わる超音波振動の音速
λb 金属船底部を伝わる所定周波数の超音波振動の波長
3B (金属船底部の)船内側面
3F (金属船底部の)放射面
4 魚群探知機(水中超音波利用装置)
5 本体装置
51 (超音波振動子の)駆動電源
52 表示ディスプレイ
6 超音波振動子
61 圧電素子(振動素子)
61F 前面
61B 裏面
AX (圧電素子の)軸線
f 振動素子の振動周波数(駆動電源の駆動周波数)
62 アルミ整合体(波長整合体)
62F 前面
62B 裏面
62C 金属柱状部
62D 多柱部
62P 金属平板部
62M (アルミ整合体のうち)金属部
62L スリット
62J 充填樹脂部
ts アルミ整合体の厚さ
td 金属柱状部の厚さ方向寸法
vs アルミ整合体を伝わる超音波振動の音速
λs 波長整合体を伝わる所定周波数の超音波振動の波長
Wc 金属柱状部の辺寸法
Wj 金属柱状部同士の間隙寸法(充填樹脂部の幅寸法)
63 バッファ体
140 水中超音波探査装置
161 (水中超音波探査装置の)ケース
162 接水部
163 金属接水部
tc 金属接水部の厚さ(金属接水部のうち超音波振動が伝わる部分の厚さ)
vc 金属接水部を伝わる超音波振動の音速
λc 金属接水部を伝わる所定周波数の超音波振動の波長
163B (金属接水部の)内側面
163F (金属接水部の)放射面

Claims (6)

  1. 船底の少なくとも一部が金属からなる金属船底部であり、
    上記金属船底部の船内側面に取り付けられた超音波振動子を含む水中超音波利用装置を備える
    水中超音波利用装置付き船舶であって、
    上記超音波振動子は、
    所定周波数で所定振動方向に超音波振動する振動素子と、
    上記所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体であって、
    上記振動素子とは上記所定振動方向に直接または間接に積み重ねられ、上記船内側面に接し、波長整合を行う所定厚さを有する
    波長整合体と、を含み、
    上記波長整合体は、
    この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、
    上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備え、
    上記金属船底部を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλb、
    この金属船底部の厚さをtb、
    上記波長整合体を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλs、
    この波長整合体の厚さをtsとしたとき、
    下記式(1)を満たすように構成されてなる
    1/2−1/10≦tb/λb+ts/λs≦1/2+1/10 …式(1)
    水中超音波利用装置付き船舶。
  2. 請求項1に記載の水中超音波利用装置付き船舶であって、
    前記金属船底部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、
    前記波長整合体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる
    水中超音波利用装置付き船舶。
  3. 請求項1または請求項2に記載の水中超音波利用装置付き船舶であって、
    前記波長整合体の多柱部は、前記金属柱または金属柱状部同士の間に、樹脂を充填してなる
    水中超音波利用装置付き船舶。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水中超音波利用装置付き船舶であって、
    前記超音波振動子は、前記振動素子と波長整合体との間にゴムからなるバッファ体を備える
    水中超音波利用装置付き船舶。
  5. 自身をなすケースのうち、使用時に水に接する接水部の少なくとも一部が、金属からなる金属接水部である水中超音波利用装置であって、
    上記金属接水部の内側面に取り付けられた超音波振動子を含み、
    上記超音波振動子は、
    所定周波数で所定振動方向に超音波振動する振動素子と、
    上記所定振動方向を厚さ方向とする波長整合体であって、
    上記振動素子とは上記所定振動方向に直接または間接に積み重ねられ、上記内側面に接し、波長整合を行う所定厚さを有する
    波長整合体と、を含み、
    上記波長整合体は、
    この波長整合体のうち、上記所定振動方向について少なくとも一部に、
    上記所定振動方向に延びる軸線を有する金属柱または金属柱状部が互いに離間して多数配置されてなる多柱部を備え、
    上記金属接水部を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλc、
    この金属接水部のうち上記超音波振動が伝わる部分の厚さをtc、
    上記波長整合体を伝わる上記所定周波数の超音波振動の波長をλs、
    この波長整合体の厚さをtsとしたとき、
    下記式(2)を満たす厚さtsを有する
    1/2−1/10≦tc/λc+ts/λs≦1/2+1/10 …式(2)
    水中超音波利用装置。
  6. 請求項5に記載の水中超音波利用装置であって、
    前記波長整合体の多柱部は、前記金属柱または金属柱状部同士の間に、樹脂を充填してなる
    水中超音波利用装置。
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