JP4942099B2 - 充填装置 - Google Patents
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Description
ここで、充填バルブはホイールとともに回転するため、液分配装置においては、液タンクからの供給管をそれぞれの充填バルブに分岐するとともに、供給管から分岐したそれぞれの配管がホイールと一体に回転するロータリー機構を備えている。このようなロータリー機構も、回転部分に使用される潤滑油等の浸入による無菌環境の汚染を防ぐため、シール部材を設ける等の対策を講ずる必要がある。
ここで、液分配装置は、ホイールの上方に設けられているのが通常であり、無菌室を構成するために設けられたチャンバー壁を貫通するように設けられている。チャンバー壁と液分配装置の隙間についても、無菌環境の汚染を防ぐために確実に塞ぐ必要があり、従来、ゴム製のダイヤフラムを用いた構造が提案されている(特許文献1参照。)。
このような構造において、充填装置の製作・組立時において、液分配装置側と、チャンバー壁側とでは、組立誤差による位置ズレがそれぞれ生じる。また、自重によって天部カバーが撓み、これによってもチャンバー壁の開口部の位置ズレに繋がる。このような位置ズレによって液分配装置とチャンバー壁との間のシール性が損なわれないよう、特許文献1に記載の技術ではゴム製のダイヤフラムを用いているが、ゴム製のダイヤフラムはコストが高く、また耐久性にも問題がある。
このように無菌充填式の充填装置においては、チャンバー壁外部からの汚染、チャンバー壁内部の機構部による汚染をいかに抑えるかが無菌環境を維持するのに重要となっている。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、容器への液の充填を行う空間の無菌環境を確実に維持することのできる充填装置を提供することを目的とする。
プレートが、チャンバー壁の開口部の内径よりも大きな外径を有することで、プレートはその外周部をチャンバー壁上に載せた状態で置くことができ、プレートの外周部に接触する部材がない限り、プレートの位置は自在となる。そして、プレートの内周部をホルダー部材に先行して固定すると、プレートはホルダー部材側に同心状に位置決めされる。この状態でプレートの外周部をチャンバー壁に固定すれば、ホルダー部材とチャンバー壁との間に位置ズレが存在しても、プレートを介してチャンバー壁からホルダー部材に応力が作用することもない。
このようにするには、ホルダー部材およびチャンバー壁をそれぞれ設置した後に、まずプレートの内周部をホルダー部材に固定し、この状態でプレートの外周部をチャンバー壁に固定すればよい。
例えば、ホルダー部材の下端部とマニホールドの境界部分には、ホルダー部材の下端部とマニホールドの隙間よりも大きな厚さを有したシール部材を介在させるのが好ましい。ホルダー部材の自重によりシール部材が押圧されることによって、この部分におけるシール性を向上でき、ホルダー部材内部においてマニホールドの上部を回転可能に支持するために用いる潤滑剤等の漏出を防止できる。
また、この部分には、殺菌液を噴霧するノズルを設けるのも好ましい。これにより、万が一潤滑剤等の漏出が生じても、無菌環境の汚染を抑えることができる。
また、供給管と液分配装置との間に、可撓性を有したフレキシブルホースを介在させて設けるのも、液分配装置およびホイールに作用する供給管から受ける荷重を低減するのに有効である。
加えて、ホイールの外周部の下端部と、ベースとの境界部分に、ラビリンス形状を有した水封シール部を設けるのが好ましい。これにより、ホイールの下部に設けられる、軸受をはじめとする、ホイールを回転させるための機構を無菌環境外に確実に置くことができ、万が一の場合にも無菌環境の汚染を防止できる。
このようにして、プレートの内周部をホルダー部材に先行して固定した後、プレートの外周部をチャンバー壁に固定することが可能となり、ホルダー部材とチャンバー壁との間に位置ズレが存在しても、プレートを介してチャンバー壁からホルダー部材に応力が作用するのを抑えることができる。またこのようなプレートは、金属等、剛性を有した材料で形成するため、ゴム製のマニホールド等に比較して製作コストを抑えることができ、耐久性にも優れる。
また、液分配装置に外部から液を供給する供給管も、液分配装置やホイールに作用する荷重を低減させる支持構造とすることで、ホルダー部材に応力が作用するのを抑えることができる。
これによって、液分配装置に作用する応力によってシール性が損なわれたり、軸受の異常摩耗が生じたりするのを防ぐことができ、無菌環境が損なわれるのを防止することが可能となる。
これ以外にも、液分配装置のホルダー部材とマニホールドの境界部部分やプレート等、各部におけるシール性を高めることでも、無菌環境が損なわれるのを防止する。
図1は、本実施の形態における飲料充填機の全体構成を説明するための図である。図1に示す飲料充填機は、無菌充填方式に適用されるものである。
図1に示すように、飲料充填機は、容器100を殺菌する殺菌装置11、容器100をすすぐすすぎ装置12、容器100に液体を充填する充填装置20、液体が充填された容器100にキャップを装着するキャッパ(図示省略)を主に備えている。
これら殺菌装置11、すすぎ装置12、充填装置20、キャッパ間には、搬送スターホイール13等が設けられ、これによって、容器100の受け渡し等が行われるようになっている。
図2に示すように、充填装置20は、ベース架台(ベース)21上に、軸受22によって回転可能に支持された回転軸23が設けられている。この回転軸23には円盤状のホイール24が支持され、ホイール24はモータ等の駆動源25によって回転駆動されることでほぼ水平面内で回転するようになっている。
ホイール24の外周部には、液を充填すべき容器100を保持するグリッパ(保持具)26と、グリッパ26で保持した容器100に液を充填するための充填ノズル27とが、ホイール24の周方向に一定間隔ごとに配置されている。
このチャンバー壁50は、ベース架台21のテーブル21a上に設けられた支柱(支持部材)51に、側方を囲う側部カバー52と、上方を覆う天部カバー53とが設けられることで構成されている。
そして、チャンバー壁50内の空間には、外部から殺菌液(例えば過酢酸や過酸化水素、苛性ソーダ等)のミストが供給されることで、この空間が無菌環境とされている。
このとき、ホイール24の外周部の下端と、ベース架台21のテーブル21aの上面との境界部分は、ラビリンス構造を用いた水封シール部28とされている。これによってホイール24の下端部分における気密性を確保し、無菌環境を維持している。
ジョイントホルダ32は、全体として筒状をなし、内部に回転マニホールド33を回転自在に保持するようになっている。ジョイントホルダ32の上部には、配管40に対する接続口32aが形成され、この接続口32aから液が送り込まれるようになっている。このジョイントホルダ32は、後述するリングプレート(プレート)60Aを介して天部カバー53に連結されることで、その回転および位置が拘束されている。
回転マニホールド33は、上部がジョイントホルダ32内に挿入される筒体34とされている。この筒体34の下端部には円盤状の分配ロータ35が一体に形成されている。図2に示したように、分配ロータ35はホイール24に連結部材36を介して連結されており、これによって回転マニホールド33はホイール24と一体に回転するようになっている。図3に示したように、分配ロータ35の内部には、筒体34の流路34aに連続して、流路34aを放射状に複数に分岐する分配流路35aが形成されている。そして、分配ロータ35の外周部には、各分配流路35aに対応した位置に接続口35bが形成されており、この接続口35bに前記の分配管31が接続されている。
リングプレート60Aは、その外径が天部カバー53の開口部53aの内径よりも大きく形成されている。これにより、リングプレート60Aは、その外周部60aが天部カバー53の開口部53aの内周縁部に設けられたフランジ53b上に載置される。リングプレート60Aは、この状態で、天部カバー53側に設けられた押さえ金具61によって固定されている。この押さえ金具61は、リングプレート60Aがジョイントホルダ32の軸線に直交する面内で一定寸法の範囲内で移動可能となるよう、リングプレート60Aの外周部と干渉しない位置に配置されている。
リングプレート60Aは、中央部に開口部60bが形成されており、開口部60bの内周面にリング部材37が対向している。リング部材37の外周面には、外方に突出する突起37aが設けられており、リングプレート60Aはこの突起37aの下面に上端部が連結固定されている。リングプレート60Aの開口部60bとリング部材37の外周面との間にはOリング62が設けられており、この部分における気密性を確保している。また、リングプレート60Aの外周部60aの下面と天部カバー53のフランジ53bとの間にはOリング63が設けられており、この部分における気密性を確保している。
前記したように、リングプレート60Aは、その外径が天部カバー53の開口部53aよりも大きく、その外周部60aが天部カバー53の開口部53a上に載置された状態で、リングプレート60Aの径方向に一定寸法の範囲内で移動可能となっており、リングプレート60Aを固定する押さえ金具61と干渉しないようになっている。これにより、ジョイントホルダ32と天部カバー53との間に位置ズレが生じていても、リングプレート60Aをジョイントホルダ32側のリング部材37に取り付けた状態で、その外周部60aが天部カバー53や押さえ金具61に接触して径方向に応力を受けることもない。過大な応力を受けると、ジョイントホルダ32の下端部のシールリング72や、メカニカルシールユニット71のシール性が損なわれる可能性があるが、上記構造によってこれを回避することができる。
また、このようなリングプレート60Aは、金属や樹脂等、ゴム以外の材料で形成できるので、その製作コストも抑えることができ、耐久性、耐食性にも優れる。
加えて、リング部材37は、サポート部材38から上方に延びるように設けられている。これにより、万が一リングプレート60Aを介してその径方向の外力が入力された場合、リング部材37のサポート部材38から立ち上がったリング部材37が弾性変形(場合によっては塑性変形)することで、外力を吸収することができる。これによって、組立時の寸法誤差等によって液分配装置30に過大な応力が作用するのを防ぐことができ、確実なシール性を確保できる。
このようにして、リングプレート60Aの固定構造だけでなく、配管40の支持・接続構造についても工夫を凝らすことで、液分配装置30に不要な外力が作用するのを避け、軸受22に過大な力が作用するのを抑えることができるようになっている。これによって、軸受22が異常摩耗して摩耗粉等が発生するのを防ぎ、無菌環境が汚染されるのを抑えている。
また、リングプレート60Bの固定構造についても、押さえ金具61に代えて、ハンドル66aを回転させることで押さえ部66bが回転しながら下降して締付力を発揮するようなコックハンドル66を用い、リングプレート60Bの外周部を天部カバー53の開口部53aのフランジ53bに押さえつけて固定しても良い。
このような構成においては、コックハンドル66によってリングプレート60Bを下方に押さえつけることができる。図3に示した構成のように液分配装置30の自重をリングプレート60Aに伝達することによって、リングプレート60Aの外周部をフランジ53bに押さえつける構成に比較すれば、リングプレート60Bを薄く軽量なものとすることができる。
さらに、ジョイントホルダ32の下端部と回転マニホールド33の上面との隙間におけるシール性を高めるため、ゴム等の弾性を有したベローズ76を備えるのが好ましい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、組立部品を統合したり、組立の順番を変えたり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (8)
- 保持具で保持した容器を周方向に搬送しながら前記容器内に液を供給する充填装置であって、
前記充填装置のベース上に回転可能に設けられ、外周部に周方向に間隔を隔てて前記容器の前記保持具を複数備えたホイールと、
外部から前記液を送り込む供給管に接続され、それぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を分配して供給する液分配装置と、
前記容器への前記液の充填を、予め定められた環境下で行うため、前記ベース上において前記ホイールを含む空間を囲むチャンバー壁と、を備え、
前記液分配装置は、
上端部が前記供給管に接続され、前記上端部側の一部が前記チャンバー壁を貫通して外部に突出した筒状のホルダー部材と、
前記ホイール上に設けられて前記ホイールと一体に回転し、上部が前記ホルダー部材内に挿入されるとともに相対的に回転可能な状態で保持され、下部にそれぞれの前記保持具に保持された前記容器に前記液を供給するため複数に分配された分配管を有したマニホールドと、を備え、
前記チャンバー壁を前記ホルダー部材が貫通する部分においては、前記チャンバー壁に形成された開口部と前記ホルダー部材の外周部との隙間がリング状のプレートによって塞がれるとともに、前記プレートは前記開口部の内径よりも大きな外径を有し、前記プレートの内周部が前記ホルダー部材に固定されるとともに、前記プレートの外周部が前記チャンバー壁上に載置されて、前記プレートを前記ホルダー部材の軸線に直交する面内で一定寸法の範囲内で移動可能となるよう固定されているとともに、
前記ホルダー部材の外周部に、前記プレートを介して前記ホルダー部材の軸線に直交する方向の力が作用したときに変形することで、前記ホルダー部材に作用する応力を緩和する応力緩和部材が設けられていることを特徴とする充填装置。 - 前記プレートは、前記ホルダー部材および前記チャンバー壁の設置後に、内周部を前記ホルダー部材に固定した状態で外周部が前記チャンバー壁に固定されることを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
- 前記プレートは内周部が前記ホルダー部材に固定され、外周部が前記ホルダー部材の自重により前記チャンバー壁の上面に押圧されることを特徴とする請求項1または2に記載の充填装置。
- 前記ホルダー部材の下端部と前記マニホールドの境界部分に、前記ホルダー部材の下端部と前記マニホールドの隙間よりも大きな厚さを有したシール部材が介在し、前記ホルダー部材の自重により前記シール部材が押圧されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の充填装置。
- 前記ホルダー部材の下端部と前記マニホールドの境界部分に殺菌液を噴霧するノズルが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の充填装置。
- 前記供給管の支持部材が、前記液分配装置および前記ホイールを除く他の部分に取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の充填装置。
- 前記供給管と前記液分配装置との間に、可撓性を有したフレキシブルホースが介在して設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の充填装置。
- 前記ホイールの外周部の下端部と、前記ベースとの境界部分に、ラビリンス形状を有した水封シール部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の充填装置。
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