JP4933473B2 - スラリ循環型凝集沈殿処理装置、及びその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水道水、工業用水等を製造するスラリ循環型凝集沈殿処理装置、及びその運転方法に関するものである。
上水処理における凝集沈殿処理では、濁度の低い原水を対象として凝集沈殿処理において、凝集反応の核となる凝集補助剤を添加して凝集反応を促進する方法がある。凝集補助剤としては砂などの固体粒子が用いられる。この処理方法をスラリ循環型凝集処理装置に適用する場合、沈殿池のスラリ界面位置及び/又は処理水濁度に応じて砂などの固体粒子の添加率を調整する方法が提案されている。一方、既に凝集反応で形成されたフロックに対してバラスト機能を有する砂を付着させてフロックの沈降速度を高める方法もあるが、前者とは全く異なる思想に基づき異なる処理機構を有する方法である。
浄水処理においは、河川水等を凝集沈殿処理して濁度成分や有機物の除去を行っている。近年の河川水の濁度は、上流にダムが建設された影響などにより昭和30年代や40年代に比べて低下しており、晴天時には10度以下となることが多く、1度前後まで低下することが珍しくない。濁度の低い原水に対して凝集沈殿処理を行うと、凝集反応が進行し難かったり沈降性の悪いフロックが形成されるなどし、処理水濁度の悪化を招く。
浄水処理においては、PAC(ポリ塩化アルミニウム)などの無機凝集剤の添加率はジャーティスに基づいて決められるのが一般的である。過去のジャーテスト結果に基づいて、原水濁度に対応した無機凝集剤添加率を選定する場合もある。原水濁度が低い場合、無機凝集剤が少なすぎると凝集反応が生じ難い。一方、無機凝集剤添加率を凝集反応が生じる十分な量まで増加すると原水濁質に対する無機凝集剤の比率が高くなり、フロックが膨潤して沈降し難くなる。
このような濁度の低い原水の凝集沈殿処理に対しては、特許文献1及び特許文献2に示すように無機凝集剤添加前または無機凝集剤添加と同時に、原水に砂などの固体粒子を凝集補助剤として添加し、凝集反応を促進させる方法がある。凝集補助剤の添加は原水の濁質が増加した状態を模擬的に作ることになる。横流式沈殿池を用いる凝集処理装置に凝集補助剤を適用する場合には、原水濁度を測定し、凝集補助剤添加後の濁度が凝集反応に適した所定の濁度になるように不足する濁度に相当する添加率で連続的に添加を行えばよい。
凝集補助剤の添加は、スラリ循環型凝集沈殿処理装置において有効である。凝集補助剤の添加率の調整は、横流式沈殿池を用いる凝集沈殿処理装置と同様に原水濁度に基づいて行うことができるが、スラリ循環型凝集沈殿処理装置の特性を利用して、凝集補助剤の添加率を合理的に削減することが可能である。
スラリ循環型凝集沈殿処理装置では沈殿部で凝集補助剤を含有したスラリが沈降し、沈降したスラリは攪拌部に返送される。このために凝集時に十分な濁質が存在して凝集反応が進行し、このため凝集補助剤を連続で添加する必要がなく、状況に応じて間欠的に添加すればよい。沈殿部から攪拌部へのスラリの返送にはポンプなどの設備を必要としない。攪拌翼上部は攪拌翼中央から槽周部に向う水平方向の噴出水流を形成する構造を有し、攪拌翼からの噴出水流によって攪拌部から水路経由で沈殿部へ原水量を超える水量が流れる。原水量を超える分の水量は沈殿部から攪拌部へ固体粒子を包含するスラリとなって自然に返送される。
また、沈殿部にスラリブランケットを有しており、スラリブランケットの界面状態(界面位置及び界面位置の変化)と排泥操作(スラリ排出量操作)を考慮した凝集補助剤の添加率調整が必要である。更に、沈殿部でのスラリの沈降性の難易はスラリのSV(Sludge Volume)を測定することで判断でき、SVを活用した凝集補助剤の添加率調整が可能である。スラリブランケットは、沈殿部においてスラリが沈降して処理水とは分離しているが沈積せずに浮遊している状態である。沈殿部のスラリは上昇流によって膨張・展開した状態であり、沈殿部の上澄水と膨張・展開したスラリとの境界面がスラリ界面である。このスラリ界面の位置は既存のスラリ界面計で測定できる。SVは任意の一定量のスラリを所定時間静置した場合に沈積したスラッジの占める容積率であり、SV計又は手動で測定できる。スラリ循環型凝集沈殿処理装置においては、一般的に静置時間5〜10分で測定している。
スラリ循環型凝集沈殿処理装置において凝集補助剤を添加する場合、沈殿部のスラリ界面位置及び/又は処理水濁度に応じて凝集補助剤の添加率を調整することが、従来提案されている。しかし、この方法では凝集補助剤である砂等の不溶解性粒状物質の添加率を適切に調整することができないということが、下記の状況から明らかになっている。
スラリ循環型凝集沈殿処理装置の沈殿部(沈殿池)では、処理水の上昇流速とフロックの沈降が釣り合った状態でスラリブランケットを形成して滞留しており、フロックの沈降速度が速い場合には、スラリブランケット部のスラリ濃度が密になり、フロックの沈降速度が遅い場合にはスラリブランケット部の密度が粗になる。運転条件を一定とした場合にスラリ界面位置が変化する要因は主に下記のA、Bの2つがある。
A.原水濁度の低下によって無機凝集剤に対する濁質の割合が低くなり、フロックの比重が低下して沈降し難くなることである。この場合、フロックの比重低下に伴い沈降速度が低下し、スラリブランケットが膨張することでスラリ界面が上昇する。
B.原水濁度の増加によって沈殿部に存在するスラリ総量が増加することである。原水濁度が増加すると、無機凝集剤に対する濁度の割合が増加してフロックの沈降性は良くなり、スラリブランケットが収縮してスラリ界面が低下する。しかし、流入濁質の増加によって装置内のスラリ増加量が排泥量より大きくなると、スラリ界面は上昇することになる。
上記Aに対する適切な対応は、凝集補助剤の添加率を増加して、フロックの沈降性を向上させることである。
また、上記Bに対する対応は、凝集補助剤である不溶解性粒状物質の添加率を低減し、排泥量を増加することである。
上記A、Bの要因は、処理水濁度によって区別することが出来ないため、沈殿部のスラリ界面位置と処理水濁度とを組み合わせても、適切な調整を行うことは出来ない。
一方、横流式沈殿池での凝集補助剤添加率の調整と同様に、原水濁度に基づいて凝集補助剤の添加率調整を行うことは可能であるが、添加率が過剰になる。凝集補助剤の添加は凝集反応を促進させ、かつ沈降し易いスラリを形成するために行うものであり、原水濁度が低くても沈降し易いスラリが生成されていれば、凝集補助剤の添加は不要である。また、原水濁度が低くても、沈殿池のスラリ界面位置が上昇して処理水濁度の悪化を招く状況でなければ、凝集補助剤をすぐに添加する必要がない。
特開2006−7086号公報 特表2003−326110号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、スラリ循環型凝集沈殿処理装置において、原水濁度が低い場合やフロックの沈降性が原水濁度によって変動する場合でも、沈殿部のスラリ界面レベルを適正位置に維持し、低濁度の原水から効率よく処理水を得ることができるスラリ循環型凝集沈殿処理装置、及びその運転方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、原水と無機凝集剤を攪拌してスラリを形成する攪拌部と、該攪拌部と水路部を介して設けられ、水路部から導入されるスラリを浄化するスラリブランケットを下方に形成すると共に該スラリブランケットの上方に処理水層を形成する沈殿部と、沈殿部の下方からスラリを攪拌部に戻す流路を設けたスラリ循環型凝集沈殿処理装置において、原水にスラリの比重を増加させる固体粒子を供給する固体粒子供給手段と、沈殿部に導かれるスラリのSV値を検出するSV計と、沈殿部に形成されたスラリブランケットのスラリ界面の位置を検出するスラリ界面計と、沈殿部の底部又は攪拌部の底部からスラリブランケット下方のスラリを排出するスラリ排出手段と、SV計で検出したSV値とスラリ界面計で検出したスラリ界面の位置を記憶して、SV計で検出したSV値を現時点のSV値とし該現時点のSV値と記憶したSV値からSV値の時間変化を算出するとともに、スラリ界面計で検出したスラリ界面の位置を現時点のスラリ界面の位置とし該現時点のスラリ界面の位置と記憶したスラリ界面の位置からスラリ界面の位置の時間変化を算出し、SV計によるSV測定値とその時間変化、及びスラリ界面計によるスラリ界面の測定位置とその時間変化に基づいて、固体粒子の添加量とスラリの排出量をそれぞれ、増加するか低減するか現状維持にするかを判断し、固体粒子供給手段及びスラリ排出手段を制御し、固体粒子の添加率を過不足無く適正に調整すると共に、スラリ界面の位置が所定位置に維持されるように調整する制御手段を設けたことを特徴とする。
上記のようにSV計で検出したSV値を現時点のSV値とし該現時点のSV値と記憶したSV値からSV値の時間変化を算出するとともに、スラリ界面計で検出したスラリ界面の位置を現時点のスラリ界面の位置とし該現時点のスラリ界面の位置と記憶したスラリ界面の位置からスラリ界面の位置の時間変化を算出し、SV値の時間変化と界面の位置の時間変化に基づいて、固体粒子の添加量とスラリの排出量をそれぞれ、増加するか低減するか現状維持にするかを判断し、固体粒子供給手段とスラリ排出手段とを制御して固体粒子の供給量及びスラリ排出量を制御し、固体粒子の添加率を過不足無く適正に調整すると共に、スラリ界面の位置が所定位置に維持されるように調整する制御手段を設けたので、凝集補助剤として添加する砂等の固体粒子の添加率を過不足なく適切に調整できると共に、装置内に蓄積するスラリの排出量を過不足なく適切に調整でき、スラリ界面レベルを所定の位置に維持でき、低濁度の原水から効率良く処理水を得ることができる。
また、本発明は、原水と無機凝集剤を攪拌してスラリを形成する攪拌部と、攪拌部と水路部を介して設けられ、水路部から導入されるスラリを浄化するスラリブランケットを下方に形成すると共に該スラリブランケットの上方に処理水層を形成する沈殿部と、沈殿部の下方からスラリを攪拌部に戻す流路を設けたスラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法において、攪拌部から水路部を通して沈殿部に導かれるスラリのSV値をSV計で所定時間間隔で測定するとともに、沈殿部に形成されたスラリブランケットのスラリ界面の位置をスラリ界面計で所定時間間隔で測定し、測定したSV値と時間間隔及び測定したスラリ界面の位置と時間間隔からSV値の時間変化及びスラリ界面の位置の時間変化を算出し、SV値と該SV値の時間変化、及びスラリ界面の位置と該スラリ界面の位置の時間変化に基づいて、固体粒子の添加量とスラリの排出量をそれぞれ、増加するか低減するか現状維持にするかを判断し、固体粒子供給手段で供給される固体粒子の供給量及びスラリ排出手段で排出されるスラリ排出量を調整して、固体粒子の添加率を過不足無く適正に調整すると共に、スラリ界面の位置が所定位置に維持されるように調整することを特徴とする。
上記のように、SV値と該SV値の時間変化、及びスラリ界面の位置と該スラリ界面の位置の時間変化に基づいて、固体粒子の添加量とスラリの排出量をそれぞれ、増加するか低減するか現状維持にするかを判断し、固体粒子の供給量及びスラリ排出量を調整するので、凝集補助剤として添加する砂等の固体粒子の添加率を過不足なく適切に調整できると共に、装置内に蓄積するスラリの排出量を過不足なく適切に調整でき、沈殿部に形成されたスラリブランケットのスラリ界面レベルを所定の位置に維持でき、低濁度の原水から効率よく処理水を得ることができる。
また、本発明は上記スラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法において、スラリの比重を増加させる固体粒子は、SiO2を主成分とする粒子であることを特徴とする。
また、本発明は上記スラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法において、スラリの比重を増加させる固体粒子は、粉末活性炭であることを特徴とする。
上記固体粒子は、比重が2.0〜4.0であり、水に不溶解性の粒状物質である。砂、粉末活性炭、カオリンなどが有効であり、これらの中でも砂は好ましい。更に、主成分がSiO2である珪砂がより好ましい。
上記課題を解決するため本発明は、原水濁度が低い場合やフロックの沈降性が原水濁度によって変化する場合、凝集補助剤としてスラリの比重を増加させる固体粒子の添加率を合理的に判断して過不足無く適切に調整し、更に装置内に蓄積するスラリの排出を過不足無く行い、スラリ界面を沈殿部の所定の水深に維持し、低濁度の処理水(沈殿水)を効率的に得ることができる。
以下、本願発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るスラリ循環型凝集沈殿処理装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、スラリ循環型凝集沈殿処理装置は、着水井1とスラリ循環型凝集沈殿処理槽2を備えている。着水井1は河川水、湖沼水、地下水などの水源から取水した原水が流入する取水池である。スラリ循環型凝集沈殿処理槽2は中央下方に攪拌部(攪拌槽)3を備え、該攪拌部3の周囲上部に沈殿部(沈殿槽)5、中央上部に水路部4が配置された構成である。また、攪拌部3には攪拌翼6が配置され、該攪拌翼6は攪拌モータ7により回転されるようになっている。
スラリ循環型凝集沈殿処理槽2の沈殿部5の上部には処理水(沈殿水)を集める集水樋8が設けられ、該集水樋8に流入した処理水は処理水排出管9を通して所定の場所に送水されるようになっている。また、沈殿部5の下部にはスラリ排出管10が設けられ、該スラリ排出管10には排泥ポンプ11が配置されている。また、水路部4には、pHを測定するpH計14、SV値を測定するSV計15が設けられ、更に沈殿部5にはスラリ界面を検出するスラリ界面計16が設けられている。また、攪拌部3内には固体粒子添加ポンプ12により、固体粒子供給管13を介して凝集補助剤である固体粒子(ここではSiO2を主体とする珪砂)が供給されるようになっている。なお、固体粒子としては、上記のように、比重が2.0〜4.0で、水に不溶解性の粒状物質である砂、粉末活性炭、カオリンなどが有効であり、これらの中でも砂は好ましい。更に、主成分がSiO2である珪砂がより好ましい。
着水井1の原水17に無機凝集剤18が添加された無機凝集剤添加原水は原水導入管21を通ってスラリ循環型凝集沈殿処理槽2の攪拌部3に供給され、攪拌翼6によって攪拌される。該無機凝集剤添加原水は攪拌翼6により攪拌されると共に加圧され水路部4内に流入し、該水路部4を経由して沈殿部5に流入する。沈殿部5ではフロックが沈降し、清澄な上澄水は処理水(沈殿水)として集水樋8に流入し、処理水排出管9を通って所定場所に送水される。無機凝集剤18の添加率(単位原水量当りの無機凝集剤の添加量)は、濁度計19で測定された原水17の濁度測定値又は人手によるジャーテストの結果に基づいて決められ、流量計20で測定された原水17の流量に対応した量の無機凝集剤18が添加される。なお、無機凝集剤18は攪拌部3の原水に供給するようにしてもよい。凝集反応ではpHが重要な反応因子であり、水路部4に設置するpH計14で凝集反応後のpH値を測定し凝集反応に適切なpH値範囲になるように、図示は省略するがNaOHやH2SO4などのpH調整剤を原水に添加する。一般的にはpH6.5〜7.5の範囲で凝集反応を行う。
攪拌部3には原水17と無機凝集剤18のみではなく、沈殿部5の底部からスラリが流入しており、更に凝集補助剤である固体粒子が固体粒子供給管13を通して固体粒子添加ポンプ12により注入されている。攪拌部3ではこれらが混合・攪拌されることで、素早く凝集反応が進行し、沈降性のよいスラリが形成される。形成されたスラリは水路部4を経由して沈殿部5へ流入し沈降するが、一部のスラリは沈殿部5内の上昇流により沈積することなく上昇流速と釣り合いが取れた状態で膨張したスラリブランケット22を形成する。処理水はスラリブランケット22内を通過することで、微細なフロックがスラリブランケット22に捕捉されて清澄化が促進する。スラリブランケット22上には固液分離の終了した清澄な上澄水である処理水の層が形成される。該処理水層の処理水は集水樋8の上端部を越えて流入し、処理水(沈殿水)として処理水排出管9を通って送水される。スラリブランケット22と処理水層の境界面がスラリ界面23であり、該スラリ界面23の位置はスラリ界面計16で検出されるようになっている。
沈殿部5内でスラリが沈降し難くなると、スラリの沈降と上昇流速との釣り合いが取れるようにスラリブランケット22は膨張してスラリ界面23の位置が上昇する。更に沈降し難くなると、スラリ界面23が沈殿部5の集水樋8の上端部を越えて上昇し、スラリが集水樋8内に溢流することになる。よってスラリ界面23の位置とスラリの沈降性の両者を把握して、スラリ界面23の位置が高くなり過ぎないように又はスラリの沈降性が悪くなり過ぎないように対応をとる必要がある。
スラリの沈降性をよくするためには、スラリの比重を増加させることであるが、ここでは固体粒子添加ポンプ12と固体粒子供給管13で構成される固体粒子添加手段により、攪拌部3内に凝集補助剤としての固体粒子(ここではSiO2を主成分とする珪砂)を注入する。一方、スラリの沈降性が良くてもスラリ循環型凝集沈殿処理槽2内にスラリが蓄積することにより、スラリ界面23は上昇する。この場合は、スラリ排出管10と排泥ポンプ11からなるスラリ排出手段により沈殿部5の底部からスラリの排出(排泥)を行なう。
沈殿部5へ流入するスラリの沈降性とその変化を把握するために、水路部4にSV値を計測するSV計15を設置し、沈殿部5のスラリ界面23の位置とその変化を把握するために、沈殿部5にスラリ界面23の位置を測定するスラリ界面計16を設置している。後に図4を用いて詳述するように、SV計15によるSV測定値及びスラリ界面計16によるスラリ界面測定位置は電気信号として制御手段32へ送られ、SV測定値、スラリ界面測定位置の各データは、RAM32−2の所定エリアに格納され、CPU32−1でSV値と界面位置の各々の時間変化を演算して算出するとともに、その算出結果に応じて、上記固体粒子の添加率とスラリの排出量(排泥量)をそれぞれ、増加するか低減するか現状維持にするかの判断を行う。この判断により、制御手段32から制御信号を固体粒子添加ポンプ12及び排泥ポンプ11に送出して運転条件を変更する。
図2及び図3は本発明のスラリ循環型凝集沈殿処理装置で行う凝集補助剤としての固体粒子の添加量の調整及びスラリ排出量(排泥量)の調整の判断の一例を示す図である。なお、図2の符号Aは図3の符号Aに接続される。固体粒子の添加量の調整及びスラリ排出量の調整は、下記の手順で行う。
第1に、SV計15で測定された現時点のSV値(SVの測定値(%))と基準値(SVの基準値(%))とを比較し、現時点のSV値が高いか低いかを評価する。SV値の基準値は一般に10分間静置時のSV値が10〜30%の範囲で装置に応じて設定する。第2に、SV測定値が増加しているか減少しているか維持しているかを評価する。第3に、スラリ界面計16で測定されたスラリ界面位置を基準値と比較し、現時点のスラリ界面23の位置が高いか低いかを評価する。スラリ界面23の基準値は装置に応じて沈殿部5の水深に対応して設定する。第4に、スラリ界面23の位置が上昇しているか下降しているか維持しているかを評価する。
以上の4回の評価によって下記する6通りの状態が存在し、それぞれの状態に応じて固体粒子の添加量SAの調整と、スラリ排出量SLの調整を行う第1乃至第6調整がある。
・第1調整:固体粒子添加率SAの現状維持(→)、スラリ排出量SLの現状維持(→)
・第2調整:固体粒子添加率SAの現状維持(→)、スラリ排出量SLの低減(↓)
・第3調整:固体粒子添加率SAの増加(↑)、スラリ排出量SLの現状維持(→)
・第4調整:固体粒子添加率SAの低減(↓)、スラリ排出量SLの現状維持(→)
・第5調整:固体粒子添加率SAの低減(↓)、スラリ排出量SLの増加(↑)
・第6調整:固体粒子添加率SAの現状維持(→)、スラリ排出量SLの増加(↑)
第5調整のように、固体粒子添加率とスラリ排出量の両方を変化させる場合には、スラリ排出量の変更を優先して実施することが好ましい。特にスラリ界面23が高くなりスラリ排出量を増やさなければならない状況では、スラリが集水樋8に溢流して、処理水にスラリが溢流することを防止するために迅速にスラリ界面23の低下を行う必要がある。スラリ界面23を低下させる効果は、スラリ排出と固体粒子添加の両方が有しているが、スラリ排出の方が即効性がある。以下、図2及び図3に基づいて固体粒子の添加量の調整及びスラリ排出量の調整を説明する。
先ずステップST1において、SV計15で測定したSV値と基準値を比較し、SV値が基準値より高いか低いかを評価する。基準以下の場合はステップST2に移行し、基準超過の場合はステップST9(図3参照)に移行する。ステップST2において、SV値の変化があるか否かを評価し、SV値が減少或いは維持の場合はステップST3に移行し、増加の場合はステップST4に移行する。
ステップST3において、スラリ界面計16で測定された界面位置(スラリ界面23の位置)を基準値と比較し、基準以下であった場合はステップST5に移行し、基準超過の場合はステップST6に移行する。ステップST5において、界面位置(スラリ界面計16で測定されたスラリ界面23の位置)に変化があるか否かを評価し、界面位置が下降或いは維持である場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを低減(↓)する(第2調整)。界面位置が上昇の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)とする(第1調整)。ステップST6において、界面位置の変化があるか否かを評価し、界面位置が下降或いは維持の場合は固体粒子添加率SAを低減(↓)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)とする(第4調整)。界面位置が上昇の場合は固体粒子添加率SAを低減(↓)とし、スラリ排出量を増加(↑)とする(第5調整)を行う。
ステップST4において、界面位置を基準値と比較し、基準以下であった場合はステップST7に移行し、基準超過の場合はステップST8に移行する。ステップST7において、界面位置の変化があるか否かを評価し、界面位置が下降或いは維持の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量を低減(↓)する(第2調整)。界面位置が上昇の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第1調整)。ステップST8において、界面位置の変化があるか否かを評価し、スラリ界面23の位置が下降或いは維持である場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第1調整)。界面位置が上昇の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを増加(↑)する(第6調整)。
ステップST9において、SV値の変化があるか否かを評価し、SV値が減少或いは維持の場合はステップST10に移行し、増加の場合はステップST11に移行する。ステップST12において、界面位置を基準値と比較し、基準以下であった場合はステップST12に移行し、基準超過の場合はステップST13に移行する。ステップST12において、界面位置の変化があるか否かを評価し、界面位置が下降或いは維持の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを低減(↓)する(第2調整)。界面位置が上昇の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第1調整)。ステップST13において、スラリ界面計16で測定されたスラリ界面23の位置に変化があるか否かを評価し、測定位置が下降或いは維持である場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第1調整)。スラリ界面23の位置が上昇である場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第1調整)。
ステップST11において、界面位置を基準値と比較し、基準以下の場合はステップST14に移行し、基準超過の場合はステップST15に移行する。ステップST14において、界面位置の変化があるか否かを評価し、測定位置が下降或いは維持の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを低減(↓)する(第2調整)。界面位置が上昇の場合は固体粒子添加率SAを現状維持(→)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第1調整)。ステップST15において、界面位置の変化があるか否かを評価し、測定位置が下降或いは維持である場合は固体粒子添加率SAを増加(↑)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第3調整)を行う。界面位置が上昇の場合は固体粒子添加率SAを増加(↑)とし、スラリ排出量SLを現状維持(→)する(第3調整)。
上記固体粒子添加率SAの調整及びスラリ排出量SLの調整は、SV計15で測定されたSV値、スラリ界面計16で測定されたスラリー界面23の位置に基づいて図2及び図3に示す評価・判断により、人手による固体粒子添加ポンプ12及び排泥ポンプ11の運転操作により、固体粒子添加率SA及びスラリ排出量SLを調整してもよいが、図4に示すようにCPU等を備える制御手段32を設けて自動的に行ってもよい。
図4において、制御手段32はCPU32−1、RAM32−2、ROM32−3、I/O32−4、及びI/O32−5を備えている。SV計15で測定されたSV値、スラリ界面計16で測定されたスラリ界面23の位置、流量計20で測定された原水の流量、濁度計19で測定された原水の濁度、pH計14で測定された水路部4のスラリのpH値等がI/O32−4を介して制御手段32に入力され、各データはRAM32−2の所定エリアに格納される。CPU32−1はROM32−3に格納されているプログラムを実行することにより、SV計15で測定されたSV値及びその変化、スラリ界面計16で測定されたスラリ界面位置及びその変化により、図2及び図3に示すような評価・判断を行い、I/O32−5を介して固体粒子添加ポンプ12、排泥ポンプ11の運転操作を行い上記第1〜第6調整を自動的に行う。
また、CPU32−1はROM32−3に格納されているプログラムにより、濁度計19で測定された原水濁度、流量計20で測定された原水流量に基づいて無機凝集剤18の添加率、添加量を算出し、無機凝集剤添加機構33(図1には図示していない)を運転操作し、原水17に無機凝集剤18を添加する。また、pH計14で測定された水路部4のスラリのpH値から凝集反応後のpHが凝集反応に適切なpH範囲(一般的にはpH6.5〜7.5範囲)になるように、NaOHやH2SO4等のpH調整剤の添加量を算出し、pH調整機構34(図1には図示していない)を運転操作して該pH調整剤を原水に添加する。
図1のスラリ界面23を測定するスラリ界面計16の一例としては、荏原環境エンジニアリング製の「エバラ界面計」が挙げられる。このスラリ界面計には超音波エコー方式と透過光方式がある。超音波エコー方式は、上澄水中に固定された超音波発信部から下方向に超音波を発してその反響を検出してスラリ界面23の位置を検出する方式である。透過光方式は、センサ部を自動的に上下に動かしてセンサ部で透過光を検出するものであり、センサ部がスラリ界面23よりも上に位置する場合は光の透過率が高く、スラリ界面23よりも下に位置する場合は光の透過率が低くなることを利用してスラリ界面23の位置を検出する方式である。
図1のSV値を計測するSV計15の一例としては、荏原環境エンジニアリング製の「SVアナライザ」が挙げられる。このSV計は真空ポンプによる吸引力によって試料スラリを透明な沈降管に導入し、沈降管内で所定時間静置した後のスラリ界面位置を透過率によって検出するものである。沈降管上部はスラリが沈降して清澄な水となるため光の透過率が高く、沈降管下部は沈降したスラッジにより光の透過率が低くなる。
次に、実験例を挙げて本発明を具体的に説明する。図5は実験装置の構成例を示す図で、図1と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。本実験装置は攪拌部3と水路部4を具備する凝集槽35と沈殿部5を備えている。攪拌部3に無機凝集剤18を添加した原水17を導入し、攪拌部3で攪拌モータ7により攪拌翼6を回転することにより、原水17と無機凝集剤18は攪拌される。攪拌された原水17と無機凝集剤18の混合液はスラリとなり水路部4を経由して、沈殿部5のフロック形成部5aに流入し沈降するが、一部のスラリは沈殿部5内の上昇流により沈積することなく上昇流速と釣り合いが取れた状態で膨張したスラリブランケット22を形成する。
攪拌部3には固体粒子供給管13を通して固体粒子添加ポンプ12により固体粒子が注入されるようになっている。処理水はスラリブランケット22内を通過することで、微細なフロックがスラリブランケット22に捕捉されて清澄化が促進する。スラリブランケット22上には固液分離が終了した清澄な上澄水である処理水の層が形成され処理水(沈殿水)として流出する。スラリブランケット22と処理水層の境界面がスラリ界面23である。
沈殿部5内のスラリはスラリ循環ポンプ24で攪拌部3に返送されると共に、該攪拌部3内には水路部4のSV値と沈殿部5のスラリ界面23の位置により、凝集補助剤である固体粒子(ここではSiO2を主成分とする珪砂)を注入する。この実験装置は小型であるために、実際のスラリ循環型凝集沈殿処理装置に使用するようなSV計やスラリ界面計を設置することが困難である。そこでここでは、SV値は水路部4のスラリの100mLを透明メスシリンダに採取して10分静置後のスラッジ量を目視で測定し、スラリ界面は透明塩化ビニル製の沈殿部5の底部からの界面までの高さを目視で測定した。実験装置の仕様と運転条件を図6に示す。
原水17は水道水にカオリンを添加した人工原水であり、濁度を3度に調整した。無機凝集剤18はPAC(ポリ塩化アルミニウム)を用いた。固体粒子は、粒径が105μm以下の重量割合が97%の砂を使用している。固体粒子の添加率調整とスラリの排出量調整は図2及び図3に基づいて実施し、SVの基準値を10分間静置後20%、スラリ界面23の位置の基準値を沈殿部5底部からの高さ1.0mとした。ここで、添加率とは原水流量に対する添加量の比率を意味しており、固体粒子の添加率もPCAの添加率も同様である。
図6に示すように、実験装置の仕様は、攪拌部3と水路部4からなる凝集槽35の容積:5.1L、フロック形成部5aの容積:1.5L、沈殿部(沈殿池)5の容積:120mm(直径φ)×1500mm(高さH)である。また、原水17には水道水にカオリン(主成分がSiO2,Al23の白陶)を添加した人工原水を用い、無機凝集剤にはPAC(ポリ塩化アルミニウム)を用いている。運転条件は、原水流量:509mL/分、沈殿部5の上昇流速:50mm/分、スラリ返送流量:509mL/分、原水濁度:3度、PAC添加率:20mg/L、基準値は、SV値:10分間静置後での20%、スラリ界面位置:沈殿部5の底部からの高さ1.0mとした。
実験結果を図7に示す。ここで、SV値の変化及び界面位置の変化は、時間経過欄の時間である試験開始時、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後から15分後の値とを比較した時の変化である。図7に示すように、試験開始時の判断基準である「SV値を基準値と比較」は「超過(22%)」、「SV値の変化」は「増加」、「界面位置を基準値と比較」は「以下(0.9m)」、「界面位置の変化」は「上昇」であり、この判断基準に基づく対応である「砂添加率(mg/L)」は前後とも「無し」、「排泥量(mL)/分」は前後とも「4mL/分」、「沈殿処理水濁度(度)」は「0.8度」である。
1時間後の判断基準である「SV値を基準値と比較」は「超過(24%)」、「SV値の変化」は「増加」、「界面位置を基準値と比較」は「超過(1.3m)」、「界面位置の変化」は「上昇」であり、この判断基準に基づく対応である「砂添加率(mg/L)」は経過前は「無し」で経過後は「7」、「排泥量(mL)/分」は経過前後とも「4」、「沈殿処理水濁度(度)」は「0.7」である。
2時間後の判断基準である「SV値を基準値と比較」は「超過(22%)」、「SV値の変化」は「減少」、「界面位置を基準値と比較」は「超過(1.1m)」、「界面位置の変化」は「低下」であり、この判断基準に基づく対応である「砂添加率(mg/L)」は経過前後とも「7」、「排泥量(mL)/分」は経過前後とも「4」、「沈殿処理水濁度(度)」は「0.7」である。
3時間後の判断基準である「SV値を基準値と比較」は「超過(21%)」、「SV値の変化」は「減少」、「界面位置を基準値と比較」は「超過(0.8m)」、「界面位置の変化」は「低下」であり、この判断基準に基づく対応である「砂添加率(mg/L)」は経過前後とも「7」、「排泥量(mL)/分」は経過前ば「4」経過後は「3」、「沈殿処理水濁度(度)」は「0.8」である。
4時間後の判断基準である「SV値を基準値と比較」は「以下(19%)」、「SV値の変化」は「減少」、「界面位置を基準値と比較」は「以下(0.7m)」、「界面位置の変化」は「上昇」であり、この判断基準に基づく対応である「砂添加率(mg/L)」は経過前後とも「7」、「排泥量(mL)/分」は経過前後とも「3」、「沈殿処理水濁度(度)」は「0.7」である。
〔比較例1〕
比較例として、図8に示す処理フローによる砂添加率とスラリ排泥量の調整、即ち砂添加率とスラリ排泥量をSV値のみに基づき、スラリ界面に基づかないで制御をおこなった結果を図9に示す。実験装置と運転条件は、図5と図6に示すものと同一である。図8の処理フローでは、先ずステップST21においてSV値を基準値と比較し、基準以下であったらステップST22に移行し、基準超過であったらテップST23に移行する。ステップST22において、SV値の変化があるか否かを評価し、SV値が減少或いは維持の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに低減(↓)とし、増加の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに現状維持(→)とする。ステップST23において、SV値の変化があるか否かを評価し、SV値が減少或いは維持の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに現状維持(→)とし、増加の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに増加(↑)とする。
図9においてSV値(SV測定値)の変化は、時間経過欄の時間(試験開始時、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後)とそれから15分後のSV値とを比較したときの変化である。上記実験例と同じく砂未添加、排泥量4(mL/分)の条件から試験を開始し、SV値とその変化に基づいて砂添加、排泥量の対応を行った。開始時にSV値が既に基準値である20%を超過し、SV値の変化が「増加」であったため砂添加率と排泥量の両方を増加している(砂添加率:「無し」→「7(7mg/L)、排泥量「4(mL/分)→「5(mL/分)」)。1時間後のSV値に基づいて砂添加率を「7→4(mg/L)」、排泥量を「5→4mL/分」に変更した後、SV値は基準値以下で緩やかに増加した(2時間後「以下(18%)で「増加」、3時間後「以下(20)%で「増加」、4時間後「超過(22%)で「増加」)。
4時間後の沈殿処理水度が「4.2(度)」と悪化している。この原因は、スラリ界面23の上昇によってスラリが溢流したためである。1時間後の砂添加率と排泥量の調整以降はスラリ界面位置は増加に転じて上昇し続けているが、SV値からスラリ界面位置の判断ができないため、SV値のみに基づく調整で砂添加率と排泥量の両方を適切に制御することはできない。
〔比較例2〕
比較例として、図10に示す処理フローによる砂添加率とスラリ排泥量の調整、即ち砂添加率とスラリ排泥量をスラリ界面位置のみに基づき、SV値に基づかないで制御をおこなった結果を図11に示す。実験装置と運転条件は、図5と図6に示すものと同一である。図10の処理フローでは、先ずステップST31において界面位置を基準値と比較し、基準以下であったらステップST32に移行し、基準超過であったらテップST33に移行する。ステップST32において、界面位置に変化があるか否かを評価し、界面位置が下降或いは維持の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに低減(↓)とし、上昇の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに現状維持(→)とする。ステップST33において、界面位置に変化があるか否かを評価し、界面位置が下降或いは維持の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに現状維持(→)とし、上昇の場合は、固体粒子添加率SAとスラリ排出量SLをともに増加(↑)とする。
図11において界面位置の変化は、時間経過欄の時間(試験開始時、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後)とそれから15分後のスラリ界面位置とを比較したときの変化であり、砂未添加、排泥量4(mL/分)の条件から試験を開始し、スラリ界面位置とその変化に基づいて砂添加、排泥量の対応を行った。試験開始時の界面位置と基準値との比較は「以下(0.9m)」、界面位置の変化は「上昇」、砂添加率は前後「無し」、排泥量は前後「4(mL/分)」である。
図11に示すように、1時間後の界面位置を基準値との比較は「超過(1.3m)」、界面位置の変化は「上昇」し、砂添加率を経過前「無し」→経過後「7(mg/L)」に増加し、排泥量を経過前「4(mL/分)」→経過後「5(mL/分)」に増加した。2時間後の界面位置を基準値との比較は「以下(1.0m)」、界面位置の変化は「低下」し、砂添加率は経過前「7(mg/L)」→経過後「4(mg/L)」に減少し、排泥量は経過前「5(mL/分)」→経過後「4(mL/分)」に減少した。3時間後の界面位置を基準値との比較は「超過(1.3m)」、界面位置の変化は「上昇」し、砂添加率は経過前「4(mg/L)」→経過後「7(mg/L)」に増加し、排泥量は経過前「4(mL/分)」→経過後「5(mL/分)」に増加した。4時間後には界面消失、砂添加率は経過前「7(mg/L)」→経過後「無し」に減少し、排泥量は経過前「5(mL/分)」→経過後「4(mL/分)」に減少した。
3時間後までは沈殿部5にスラリブランケット22が存在しスラリ界面23を確認することができたが、4時間後にはスラリブランケット22及びスラリ界面23が消失した。この原因は、3時間後に、界面状況に基づいて砂添加量と排泥量の両方を増加したためである。スラリが砂を過剰に包含して沈降性が向上し過ぎたためにスラリブランケット22が収縮し、その上排泥量の増加を行ったため、沈殿部5の底部に収縮したスラリの殆どが排出されてしまった。スラリの沈降性が良ければ砂の添加率を増加させる必要はなく、スラリ界面23の上昇に対しては排泥量の増加で対応すべきである。しかし、スラリ界面位置からはスラリの沈降性は判断できないため、スラリ界面位置のみに基づく調整でき砂添加率と排泥量の両方の適切な制御ができない。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
本発明に係るスラリ循環型凝集沈殿処理装置の概略構成を示す図である。 本発明に係るスラリ循環型凝集沈殿処理装置の処理フローを示す図である。 本発明に係るスラリ循環型凝集沈殿処理装置の処理フローを示す図である。 本発明に係るスラリ循環型凝集沈殿処理装置の制御手段の構成例を示す図である。 実験装置の概略構成例を示す図である。 実験装置の仕様、運転条件、基準値を示す図である。 実験結果を示す図である。 比較例1の処理フローを示す図である。 比較例1を示す図である 比較例2の処理フローを示す図である。 比較例2を示す図である
符号の説明
1 着水井
2 スラリ循環型凝集沈殿処理槽
3 攪拌部
4 水路部
5 沈殿部(沈殿槽)
6 攪拌翼
7 攪拌モータ
8 集水樋
9 処理水排出管
10 スラリ排出管
11 排泥ポンプ
12 固体粒子添加ポンプ
13 固体粒子供給管
14 pH計
15 SV計
16 スラリ界面計
17 原水
18 無機凝集剤
19 濁度計
20 流量計
21 原水導入管
22 スラリブランケット
23 スラリ界面
24 スラリ循環ポンプ
32 制御手段
33 無機凝集剤添加機構
34 pH調整機構
35 凝集槽

Claims (4)

  1. 原水と無機凝集剤を攪拌してスラリを形成する攪拌部と、該攪拌部と水路部を介して設けられ、該水路部から導入される前記スラリを浄化するスラリブランケットを下方に形成すると共に該スラリブランケットの上方に処理水層を形成する沈殿部と、該沈殿部の下方からスラリを前記攪拌部に戻す流路を設けたスラリ循環型凝集沈殿処理装置において、
    前記原水にスラリの比重を増加させる固体粒子を供給する固体粒子供給手段と、
    前記沈殿部に導かれるスラリのSV値を検出するSV計と、
    前記沈殿部に形成されたスラリブランケットのスラリ界面の位置を検出するスラリ界面計と、
    前記沈殿部の底部又は前記攪拌部の底部から前記スラリブランケット下方のスラリを排出するスラリ排出手段と、
    前記SV計で検出したSV値と前記スラリ界面計で検出したスラリ界面の位置を記憶して、
    前記SV計で検出したSV値を現時点のSV値とし該現時点のSV値と前記記憶したSV値からSV値の時間変化を算出するとともに、前記スラリ界面計で検出したスラリ界面の位置を現時点のスラリ界面の位置とし該現時点のスラリ界面の位置と前記記憶したスラリ界面の位置からスラリ界面の位置の時間変化を算出し、
    前記SV計によるSV測定値とその時間変化、及び前記スラリ界面計によるスラリ界面の測定位置とその時間変化に基づいて、固体粒子の添加量とスラリの排出量をそれぞれ、増加するか低減するか現状維持にするかを判断し、前記固体粒子供給手段及び前記スラリ排出手段を制御し、前記固体粒子の添加率を過不足無く適正に調整すると共に、前記スラリ界面の位置が所定位置に維持されるように調整する制御手段を設けたことを特徴とするスラリ循環型凝集沈殿処理装置。
  2. 原水と無機凝集剤を攪拌してスラリを形成する攪拌部と、該攪拌部と水路部を介して設けられ、該水路部から導入される前記スラリを浄化するスラリブランケットを下方に形成すると共に該スラリブランケットの上方に処理水層を形成する沈殿部と、該沈殿部の下方からスラリを前記攪拌部に戻す流路を設けたスラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法において、
    前記攪拌部から前記水路部を通して前記沈殿部に導かれるスラリのSV値をSV計で所定時間間隔で測定するとともに、前記沈殿部に形成されたスラリブランケットのスラリ界面の位置をスラリ界面計で所定時間間隔で測定し、前記測定したSV値と時間間隔及び前記測定したスラリ界面の位置と時間間隔から該SV値の時間変化及び該スラリ界面の位置の時間変化を算出し、
    前記SV値と該SV値の時間変化、及びスラリ界面の位置と該スラリ界面の位置の時間変化に基づいて、固体粒子の添加量とスラリの排出量をそれぞれ、増加するか低減するか現状維持にするかを判断し、固体粒子供給手段で供給される固体粒子の供給量及びスラリ排出手段で排出されるスラリ排出量を調整して、前記固体粒子の添加率を過不足無く適正に調整すると共に、前記スラリ界面の位置が所定位置に維持されるように調整することを特徴とするスラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法。
  3. 請求項に記載のスラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法において、
    前記スラリの比重を増加させる固体粒子は、SiOを主成分とする粒子であることを特徴とするスラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法。
  4. 請求項に記載のスラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法において、
    前記スラリの比重を増加させる固体粒子は、粉末活性炭であることを特徴とするスラリ循環型凝集沈殿処理装置の運転方法。
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