JP4931145B2 - 磁気式3次元位置検出装置、磁気式3次元位置検出方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Description
これらの装置においては、受信信号から受信コイルの空間的な位置情報を得るため、送信コイルと受信コイルの間の相対的な位置関係に対して、受信される信号の強度を磁界関数として表現する。このような磁界関数には、送信コイルの生成する磁界に関する、電磁理論に基づいた物理式が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
受信コイル の3次元位置は、この磁界関数から予測される受信信号と、実際に計測される信号強度の間の誤差が最小になるように決定される。
阿刀田,中村,冨澤,横山,今田,「磁気式 モーションキャプチャ装置における双極子配置と座標逆算アルゴリズムの一設計法」,計測自動制御学会,Vol.34,No.5,445−453,1998 鏑木,若宮,持田、「3次元磁気センサシステムの評価」、電子情報通信学会信学技法、SP2005-55、2005
この磁気双極子モデルは、送信コイルと受信コイルの間の距離が、送信コイルの大きさに比べて十分に大きい場合に成り立つものである。しかしながら、実際には、送信コイルの大きさの数倍程度の距離に受信コイルが配置されることがあるため、この仮定が満足されない場合もある。
したがって、非特許文献1の方法においては、仮定した磁界強度関数が実際の磁界強度パタンに適合していないと、受信コイルの位置や向きを精度良く推定することが困難になるという問題があった。
しかしながら、非特許文献2の方法においては、測定範囲をすべて網羅するように磁界強度データを計測する必要があるため、磁界強度関数の校正用の磁界データ計測に多大な時間を要するという問題があった。
本発明の記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
このため、本発明の磁気式3次元位置検出装置においては、送信コイルの両端の位置情報を推定する際に用いるので、従来のように送信コイルの大きさを無視して点と見なして推定する場合に比較して、高精度にて磁界強度の空間パタンを表すことができる。
したがって、本発明の磁気式3次元位置検出装置によれば、受信コイルの位置および向きの推定を、送信コイルの両端の位置を考慮して磁界強度パタンを表す上記磁界強度関数に基づいて行われるため、受信コイルの位置推定の精度を高めることが可能となる。
また、本発明の磁気式3次元位置検出装置によれば、磁界データをスプライン補間して磁界強度パタンを表す従来の方法と比較した場合、磁界強度関数の構成に必要となる校正用磁界データの数を大幅に削減することができる。
本発明は、複数の送信コイルそれぞれから、相互に異なる周波数の交流磁界を生成し、検出対象である受信コイルに誘導される受信信号を用い、この受信コイルの3次元的な位置を計測する磁気式3次元位置検出装置に関するものであり、送信コイルから生成される交流磁界について、各送信コイルの大きさ(磁極が存在する送信コイルの両端の位置)を考慮した磁気双極子モデルを用いた、磁界強度の空間パタンを表す磁界強度関数により、受信コイルに誘導される磁界強度を求め、かつ磁界強度関数から予測される信号強度と、受信コイルにて実際に計測される信号強度との誤差が最小となるように、受信コイルの3次元的な位置および向きを計算する手段と、この手段により受信コイルの位置及び向きを計測するものである。
このように、本発明における上記磁気双極子モデルにおいては、送信コイルの軸(コイルを巻く軸)の両端に、互いに極性の異なる磁荷が配置されると考える。
一方、受信コイルの大きさは、送信コイルに比べて十分に小さいと仮定し、これを大きさを持たない空間中の点と見なしている。
したがって、本発明においては、送信コイルの両端位置が磁界強度関数に反映されることになるため、磁気式3次元位置検出装置において、送信コイルと受信距離との関係において、測定精度を向上させるために、送信コイルの大きさを考慮することができる。
すなわち、受信コイルの位置および向きの推定は、この信号強度の予測値と実際に計測される信号強度の間の誤差が最小となるように、これらの未知変数の値を決定することによって行われる。
したがって、本発明においては、位置検出対象の受信コイルとして、小型化の容易な単軸のコイルを用いている。
また、本発明においては、送信コイルを5個以上用い、これらの5個以上の磁界成分について、信号強度の予測値と実際に計測される受信信号強度との間の自乗誤差を最小化することで、単軸の受信コイルの位置と向きとの検出を可能とする。
このため、本発明は、従来例におけるスプライン補間によって磁界強度関数を表す方法に比較して、あらかじめ校正すべきパラメータの数を極めて少なくすることができる。
したがって、本発明においては、磁界強度関数を校正する校正用の磁界データの数が少なくて済むため、位置検出において複数の受信コイルを使用する場合においても、校正に膨大な時間がかかる問題を生じない。
以下、本発明の実施形態による磁気式3次元位置検出装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態による磁気式3次元位置検出装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態の磁気式3次元位置検出装置は、検出対象の受信コイルに対して交流磁界を与える送信コイル(S1,S2,S3,S4,S5,S6)と、該送信コイルに対して各々異なる周波数の交流磁界を発生させる送信コイル駆動部1と、受信コイルDと、上記交流磁界により該受信コイルDに誘導された受信信号の強度を、周波数毎に検出して検出信号として出力する検出部2と、各送信コイル毎に設定された磁界強度関数により受信信号の予測値を算出する予測値計算部3と、検出された検出値と予測値との信号誤差の最小化を行う誤差最小化部4と、誤差最小化部にて得られた結果から送信コイルの位置を求める位置検出部5とから構成されている。
また、図3(b)においては、x、y、zが受信コイルDの位置を表すための座標軸として定義されている。図3(b)における角度θ1とθ2とは、それぞれy軸を回転軸とした回転角度、z軸を回転軸とした回転角度を表している。
本実施形態においては、受信コイルDの位置と傾きとが与えられた時に、受信信号の強度を予測することが必要である。
送信コイルSS1,S2,S3,S4,S5,S6各々から生成される磁界は、交流磁界であり、本実施形態において、例えば送信コイルS1,S2,S3,S4,S5,S6が正弦的な交流磁界を生成するように送信コイル駆動部1により駆動する交流電流が流されて駆動される。
この時、生成される磁界も正弦的に変化するが、この正弦的な時間関数の振幅を、本実施形態においては磁界の強度、すなわち磁界強度と呼ぶ。以下の説明において、送信コイルS1,S2,S3,S4,S5,S6を送信コイルSiとして説明する。
また、rp,rnは、以下の(2)式にて示すように、送信コイルSの両端の位置Xp,Xnと、3次元(xyz)座標空間内のある1点の位置Xとの間の相対関係を表すベクトルである。
したがって、送信コイルSと受信コイルDとの間の距離が送信コイルSの大きさ(両端の磁極の距離)に比較して十分に大きいとはいえない場合においても、実際の磁界強度パタンを、従来例に比較してより精度良く表すことができる。
なお、受信コイルDの傾き(θ1,θ2)と、角度φiとの関係は、以下のように与えられる。上記(3)式において、|hi|cosφiはhi・eとして置き換えることができる。ここで、「・」はベクトルの内積を表し、「e」は長さ1のベクトルである。ベクトルeはx1軸方向の単位ベクトルe1=(1,0,0)Tを、x2軸についてθ1、x3軸についてθ2の角度で回転して得られるので、
e=A3A2e1
となる。ここで、A3及びA2各々は以下の(4)式に示す回転行列である。
また、上記(3)式において、αとi番目の送信コイルSiとの磁界強度関数のゲインGiをまとめて、改めてGiと表すこととすると、受信信号の強度の予測値は以下の(5)式にて表すことができる。
すなわち、受信コイルDを磁界データを取得する位置及び向きにて配置し、送信コイル駆動部1が送信コイルS1,S2,S3,S4,S5,S6各々から異なる周波数の交流磁界を生成させ、検出部2が検出した受信コイルDの受信信号の信号強度と、受信コイルDの位置及び向きのデータを用いて磁界強度関数により求めた信号強度とが一致するように、送信コイルSi(1≦i≦6)各々のゲインGi(1≦i≦6)を補正する。
このため、予測値計算部3は、磁界強度関数にて予測強度uiを算出する際、座標X(x,y,z)に対応するrpi及びrniと、この座標X(x,y,z)及び受信コイルDの傾き(θ1,θ2)に対応したφiとを代入して、予測強度uiを求めることになる。
例えば、予測値計算部3は、ある任意の位置及び傾きの受信コイルDの受信信号の予測値uiを、上述した(6)式の磁界強度関数により求める。
そして、検出部2は、各送信コイルSiから送信される交流磁界により、受信コイルDに誘導される実際の測定結果としての受信信号の信号強度の測定値Ui(1≦i≦6)を計測する(ステップS5)。
そして、位置検出部5は、その予測値uiを算出した際の受信コイルDの位置及び傾きが、実際に現在の受信コイルの位置及び傾きとして検出して、受信コイルDの位置及び傾きとして出力する。
上記誤差の評価尺度としては、以下の(7)式のように、各送信コイルSiと受信コイルDとにおける測定値Uiと予測値uiとの自乗誤差を全て加算した自乗誤差合計値Eを用いる。
すなわち、誤差最小化部4は、(7)式における自乗誤差合計値Eが予め設定した収束条件を満たすまで(例えば自乗誤差合計値Eが設定した閾値以下になった場合、または自乗誤差合計値Eの変化率の減少が所定の値以下になるまで)、ステップS1,S2,S3,S4のステップにおいて、予測値計算部3が新たなrpi及びrniとφiとのデータにより順次算出する各送信コイルSiにおける予測値uiを用いて、送信コイルSi毎に求まる自乗誤差を合計して自乗誤差合計値Eを求め、予め設定された閾値以下となるまで反復計算を行う。ここで、誤差最小化部4は、予め設定された上記閾値以下となったことが検出されると、最小値として判定する。この閾値は、予め実験において、測定値と予測値との誤差によって設定される。
図3(a)に示した3次元座標系において、x={−30,0,30}、y={−30,0,30}、z={−30,0,30}の全ての組合せの位置X(合計の組合せによる位置の数 3×3×3=27点)に受信コイルを配置して、各送信コイルS1,S2,S3,S4,S5,S6からの交流磁界により誘導される受信信号の信号強度uiを検出部2により測定した。
得られた信号強度を用いて送信コイルSi各々に対応した磁界強度関数におけるゲインGiの補正を行った。
そして、図2に示した手順により、予測値計算部3は、新たな位置及び傾きのデータを入力し(ステップS1)、入力された位置のデータを(6)式に代入してrpi及びrniを算出する(ステップS2)。
また、予測値計算部3は、上記rpi及びrniと磁界のむきに対する傾きφiとのデータを(5)式に代入し、予測値uiを算出する(ステップS3)。
次に、誤差最小化部5は、測定値Uiと予測値uiとによる自乗誤差合計値Eが最小となる計算を行う(ステップS5)。
また、従来の送信コイルの大きさを無視した磁界強度関数を用いた場合には、絶対値誤差が0.5mmであった。
また、校正用の磁界データをスプライン補完して、磁界強度パタンを表す方法においては、校正用のデータの数は全部で375点が必要であり、上述した本実施形態の27点の約14倍のデータ量が必要であった。
上述した実験により、本実施形態には送信コイルSiの大きさを無視した磁界強度関数を用いる従来の方法に比較して、より位置検出の精度を高くすることができる。
また、本実施形態は、スプライン補完を行う従来の方法に比較して、測定精度は同等であるが、校正用の磁界データの数を、大幅に削減することができる。
2…検出部
3…予測値計算部
4…誤差最小化部
5…位置検出部
D…受信コイル
S1,S2,S3,S4,S5,S6…送信コイル
Claims (4)
- 複数の送信コイルから相互に異なる周波数の交流磁界を生成し、さらに受信コイルに誘導される受信信号を用いて、受信コイルの3次元的な位置を計測する磁気式3次元位置検出装置であり、
前記送信コイルから生成される交流磁界について、該送信コイルの大きさを考慮した磁気双極子モデルを用いた、磁界強度の空間パタンを表す磁界強度関数により、前記受信コイルに誘導される磁界強度を求める予測値計算部と、
前記磁界強度関数から予測される信号強度と、前記受信コイルにて実際に計測される信号強度との誤差が最小となるように、該受信コイルの3次元的な位置および向きを計算する誤差最小化手段と、
該誤差最小化手段の結果により該受信コイルの位置及び向きを計測する位置検出部と
を有し、
前記磁気双極子モデルが磁荷の配置される前記送信コイルの両端の位置情報を含む磁界強度関数を表す
ことを特徴とする磁気式3次元位置検出装置。 - 複数の送信コイルから相互に異なる周波数の交流磁界を生成し、さらに受信コイルに誘導される受信信号を用いて、受信コイルの3次元的な位置を計測する磁気式3次元位置検出方法であり、
予測値計算部が前記送信コイルから生成される交流磁界について、該送信コイルの大きさを考慮した磁気双極子モデルを用いた、磁界強度の空間パタンを表す磁界強度関数により、前記受信コイルに誘導される磁界強度を求める過程と、
誤差最小化手段が前記磁界強度関数から予測される信号強度と、前記受信コイルにて実際に計測される信号強度との誤差が最小となるように、該受信コイルの3次元的な位置および向きを計算する過程と、
位置検出部が該誤差最小化手段の結果により該受信コイルの位置及び向きを計測する過程と
を有し、
前記磁界強度関数が磁荷の配置される前記送信コイルの両端の位置情報を考慮した前記磁気双極子モデルにより表されている
ことを特徴とする磁気式3次元位置検出方法。 - コンピュータに請求項2に記載の磁気式3次元位置検出方法を実行させるためのコンピュータが実行可能なプログラム。
- 請求項3に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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