JP4924800B2 - 圧電体積層体、および圧電体積層体を含むデバイス - Google Patents

圧電体積層体、および圧電体積層体を含むデバイス Download PDF

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Description

本発明は、タンタル酸リチウム基板およびニオブ酸カリウム層を含む圧電体積層体、およびこの圧電体積層体を含むデバイスに関する。
情報通信分野の著しい発展に伴い、表面弾性波素子の需要が急速に拡大している。表面弾性波素子の開発の方向としては、小型化、高効率化、高周波化の方向にある。そのためには、より大きな電気機械結合係数、より安定的な温度特性、より大きな表面弾性波伝播速度が必要となる。
従来、表面弾性波素子としては、圧電体単結晶上にIDT(Interdigital Transduser)を形成した構造が用いられてきた。そのうち、広帯域化や通過帯域の低損失化が要求されるRFフィルタの場合には、電気機械結合係数kの大きな圧電体単結晶として、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)が使用されてきた。よく使われるものに、YカットZ伝播LiNbO基板(k=4.8%)、127.8°YカットX伝播LiNbO基板(k=5.5%)、Xカット112.2°Y伝播LiTaO基板(k=0.75%)、YカットZ伝播LiTaO基板(k=0.66%)、36°YカットX伝播(k=0.66%)、がある。このうち、大きなkと小さな周波数温度係数(TCF)を両立する理由により、現在のRFフィルタ用途では、36°Yカット基板が主に使用されている。
一方、ニオブ酸カリウム(KNbO)(a=0.5695nm、b=0.3973nm、c=0.5721nm、以下「斜方晶」としては本指数表示に従う)の単結晶基板は、大きな電気機械結合係数を示すことが見出されている。例えば、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)2929.に記載されているように、0°YカットX伝播KNbO単結晶基板(以下「0°Y−X−KNbO基板」という)は、電気機械結合係数が50%程度という非常に大きな値を示すことが実験で確認されている。また、同文献には、45°から75°までの回転YカットX伝播KNbO単結晶基板(「回転Y−X−KNbO基板」という)を用いたフィルタの発振周波数が、室温付近で零温度特性を示すことが報告されている。
圧電体の単結晶基板を用いた表面弾性波素子では、電気機械結合係数、温度係数、音速などは、圧電体材料固有の値であり、カット角および伝播方向で決定される。0°Y−X−KNbO基板は、大きな電気機械結合係数を示すが、45°から75°までの回転Y−X−KNbO基板のような室温付近での零温度特性を示さない。また、0°Y−X−KNbO基板の音速は、同じペロブスカイト型酸化物であるSrTiOなどに比べて遅い。このように、KNbO単結晶基板を用いるだけでは、高電気機械結合係数、零温度特性、高音速の全てを満足させることはできない。一方、何らかの大面積の基板上にニオブ酸カリウム薄膜を形成して表面弾性波素子を作製することは、困難な場合がある。
Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)2929.
本発明の目的は、タンタル酸リチウム基板とニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層とを有する圧電体積層体を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記圧電体積層体を含むデバイスを提供することにある。
本発明にかかる圧電体積層体は、
タンタル酸リチウム基板と、
前記タンタル酸リチウム基板の上方に形成されたニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層と、を含む。
本発明において、
前記タンタル酸リチウム基板は、36〜42度Yカット単結晶基板であることができる。
本発明において、前記ニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層は、擬立方晶表示で(100)面に配向し、かつその(100)面と前記タンタル酸リチウム基板の表面とのなす角度は、3度以上10度以下であることができる。
本発明において、前記擬立方晶表示の(100)面は、前記タンタル酸リチウム基板の(012)面と平行であることができる。
本発明において、前記ニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層の[011]ベクトルは、前記タンタル酸リチウム基板の[−2110]ベクトルと平行となる向きでエピタキシャル成長していることができる。
本発明において、前記ニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層は、斜方晶ニオブ酸カリウムの格子定数を21/2b<a<cとし、かつc軸が分極軸であるとき、b軸配向でエピタキシャル成長しているドメインを含むことができる。
本発明において、前記b軸配向でエピタキシャル成長しているドメインにおいて、分極軸が前記タンタル酸リチウム基板の[−2110]ベクトルと垂直をなすドメインを含むことができる。
本発明において、前記分極軸が前記タンタル酸リチウム基板の[−2110]ベクトルと垂直をなすドメインにおいて、分極ベクトルは、前記タンタル酸リチウム基板の分極ベクトルを前記(012)面へ投影してできるベクトルの向きと平行で、かつ向きが一致していることができる。
本発明において、前記ニオブ酸カリウム固溶体層は、K1−x―yNaLiNb1−zTa(0<x<1、0<y<1、0<z<1)で表される固溶体であることができる。
本発明にかかるでデバイスは、前記本発明の圧電体積層体を含む。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1.第1の実施形態
1.1.圧電体積層体
図1は、本実施形態に係る圧電体積層体100を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る圧電体積層体100は、タンタル酸リチウム基板11と、タンタル酸リチウム基板11上に形成されたニオブ酸カリウム層12と、を含むことができる。
タンタル酸リチウム基板(以下、「LT基板」ともいう)11としては、36〜42度(°)Yカットのタンタル酸リチウム単結晶基板を用いることができる。36〜42°Yカットのタンタル酸リチウム単結晶基板を用いることは、当該基板自体が電気機械結合係数の大きな表面弾性波素子として機能する点、ニオブ酸カリウム層12をエピタキシャル成長させることができる点、ならびに大面積基板を安価に入手できる点、などで好ましい。
ニオブ酸カリウム層12は、単結晶または多結晶のニオブ酸カリウムから構成される。ニオブ酸カリウム層12の厚さは、特に限定されず、適用されるデバイスなどによって適宜選択されるが、例えば、100nm以上10μm以下とすることができる。
ニオブ酸カリウム層12は、以下のような特徴を有することができる。
ニオブ酸カリウム単結晶は、−10℃において菱面晶から斜方晶へ、225℃において斜方晶から正方晶へ、435℃において正方晶から立方晶へ相転移する材料である。図4は、斜方晶を模式的示す図である。本発明において、「擬立方晶表示」または「擬立方晶」とは、図4において示す斜方晶12orthoの内部に接するように想定した擬立方晶12pcにおける結晶表示を示す。
本実施形態において、ニオブ酸カリウム層12は、擬立方晶表示で(100)面に配向し、かつその(100)面とLT基板11の表面とのなす角度は、3度以上10度以下であることが好ましい。また、ニオブ酸カリウム層12は、擬立方晶表示の(100)面が、LT基板11の(012)面と平行であることが好ましい。このことを図2および図3を用いて説明する。
図2は、タンタル酸リチウム結晶を六方晶で模式的に示す図であり、図3は、ニオブ酸カリウム層12の擬立方晶表示における(100)面の傾きを模式的に示す図である。LT基板11の(012)面とは、図2においてグレーで示した面である。図3に示すように、ニオブ酸カリウム層12の擬立方晶表示の(100)面は、LT基板11の(012)面に対して平行であり、LT基板の[−2110]ベクトル(−X軸)を回転軸として傾いている。言い換えるならば、ニオブ酸カリウム層12の擬立方晶表示の(100)面と、LT基板(012)面とが交差する直線は、LT基板[−2110]ベクトル(−X軸)と平行である。
ニオブ酸カリウム層12の擬立方晶表示の(100)面が、LT基板11の表面11aと成す角度δは、3度以上10度以下であるのが好ましい。この理由は以下のようである。すなわち、図5に示すように、LT基板11として用いられる36゜〜42°Yカット単結晶基板のカット角は、符号aおよび符号bで示す角度の範囲である。そして、本願発明者によれば、後述する実験例からも明らかなように、ニオブ酸カリウム層12の擬立方晶表示の(100)面は、LT基板11の(012)面に対して平行をなし、当該(012)面は、32.99°Yカット面(図4において符号cで示す角度)に相当することが確認された。したがって、LT基板11の32.99°Yカット面(タンタル酸リチウムの(012)面)と36゜〜42°Yカット面とのなす角度が3.01゜〜9.01°であることを考慮すると、LT基板11の表面11aとニオブ酸カリウム層12の擬立方晶(100)面とのなす角度は、絶対値で3度以上10度以下であるのが好ましい。
また、ニオブ酸カリウム層12は、斜方晶ニオブ酸カリウムの格子定数を21/2b<a<cとし、かつc軸が分極軸であるとき、b軸配向でエピタキシャル成長しているドメイン(以下「斜方晶b軸配向ドメイン」ともいう)を含むことが好ましい。b軸は、LT基板11の(012)面に対して、LT基板[−2110]ベクトル(−X軸)を回転軸として傾いていることが好ましい。また、b軸配向でエピタキシャル成長しているドメインにおいて、ニオブ酸カリウム層12の分極軸がLT基板11の[−2110]ベクトルと垂直をなすドメインを含むことが好ましい。さらに、ニオブ酸カリウム層12の分極軸がLT基板11の[−2110]ベクトルと垂直をなすドメインにおいて、ニオブ酸カリウム層12の分極ベクトルは、LT基板11の分極ベクトルを(012)面へ投影してできるベクトルの向きと平行で、かつ向きが一致していることが好ましい。
ニオブ酸カリウム層12がこのような結晶配向および分極の特徴を有することにより、電気機械結合係数の大きな圧電体を得ることができる。さらに、LT基板11はそれ自身が比較的大きな電気機械結合係数を有し、当該LT基板11上に、さらに電気機械結合係数の大きなニオブ酸カリウム層12を形成することにより、圧電体積層体全体として大きな電気機械結合係数を有することができる。したがって、かかる圧電体積層体を用いることにより、電気機械結合係数の大きな表面弾性波素子を得ることができる。また、LT基板11を用いることにより、ニオブ酸カリウム層12をエピタキシャル成長させることができる。
また、本実施形態では、上述したニオブ酸カリウム層12の代わりに、ニオブ酸カリウムのニオブおよびカリウムの一部が他の元素で置換されたニオブ酸カリウム固溶体の層であってもよい。このようなニオブ酸カリウム固溶体としては、例えば、K1−x―yNaLiNb1−zTa(0<x<1、0<y<1、0<z<1)で表される固溶体を挙げることができる。このことは、以下に述べる実施形態でも同様である。
1.2.圧電体積層体の製造方法
次に、圧電体積層体100の製造方法について述べる。
(1)まず、図1に示すように、LT基板11を用意する。LT基板11としては、36°〜42°Yカットのタンタル酸リチウム単結晶基板を用いることができる。
LT基板11は、予め脱脂洗浄されている。脱脂洗浄は、LT基板11を有機溶媒に浸漬させ、超音波洗浄機を用いて行うことができる。ここで、有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばエチルアルコールとアセトンとの混合液を使用することができる。
(2)次に、図1に示すように、レーザーアブレーション法によって、LT基板11上にニオブ酸カリウム層12を形成する。
具体的には、脱脂洗浄したLT基板11を基板ホルダーに装填したあと、室温での背圧が1×10−7Torrの真空装置内に基板ホルダーごと導入する。次に、例えば、5×10−1Torrの酸素分圧になるように酸素ガスを導入し、赤外線ランプを用いて20℃/分で600℃まで加熱昇温する。なお、昇温速度、基板温度、圧力などの条件は、これに限るものではない。
具体的には、レーザー光をニオブ酸カリウム層用のターゲット、例えばKNbOターゲットに照射し、このターゲットからカリウム原子、ニオブ原子および酸素原子を叩き出すレーザーアブレーション法により、プルームを発生させる。ターゲットに照射するレーザー光としては、波長が150〜300nm程度、パルス長が1〜100ns程度のパルス光が好適に用いられる。具体的には、レーザー光としては、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレーザー等のエキシマレーザー、さらにYAGレーザー、YVOレーザー、COレーザーなどが挙げられる。これらの中でも、特にArFエキシマレーザーまたはKrFエキシマレーザーが好適とされる。ArFエキシマレーザーおよびKrFエキシマレーザーは、いずれも取り扱いが容易であり、また、より効率良く原子をターゲットから叩き出すことができる。そして、このプルームは、LT基板11上に向けて出射されてLT基板11に接触する。その結果、LT基板11上に、擬立方晶表示において(100)配向のニオブ酸カリウム層12がエピタキシャル成長によって形成される。前述したように、ニオブ酸カリウム層12の擬立方晶(100)面は、LT基板11の(012)面に平行であり、あるいはLT基板11の表面11aに対して3度以上10度以下の角度をなすことが好ましい(図3参照)。
また、レーザーアブレーション法の条件は、プルームが十分LT基板11に到達できるならば、特に限定されない。レーザー光の照射時の条件としては、例えば、レーザーエネルギー密度が2J/cm以上4J/cm以下、レーザー周波数が5Hz以上20Hz以下、ターゲット基板間距離が30mm以上100mm以下、基板温度が600℃以上800℃以下、堆積中の酸素分圧が1×10−2Torr以上1Torr以下とすることができる。
なお、上述した例では、KNbOターゲットを用いたが、形成されたニオブ酸カリウム層12の組成がKNbOになるのであれば、ターゲットの組成比はこれに限定されない。
以上の工程により、図1に示す圧電体積層体100を形成することができる。
また、本実施形態では、ニオブ酸カリウム層12の成膜方法として、レーザーアブレーションを用いたが、成膜方法はこれに限定されず、例えば蒸着法、MOCVD法、スパッタ法、ゾルゲル法、MOD法を用いることができる。
1.3.作用効果
本実施形態によれば、36°〜42°YカットLT基板11の上にニオブ酸カリウム層12を形成する。これにより、後述する実験例からも明らかなように、ニオブ酸カリウムの単一相薄膜をb軸配向でエピタキシャル成長させることができる。このニオブ酸カリウム層12を用いることにより、電気機械結合係数の大きな圧電体積層体を得ることができる。
本実施形態によれば、ニオブ酸カリウム層12の擬立方晶表示の(100)面は、LT基板11の(012)面に対して平行をなし、あるいはLT基板11表面に対して、[−2110]ベクトル(−X軸)を回転軸として3度以上10度以下傾いていること、ニオブ酸カリウム層12は、斜方晶ニオブ酸カリウムの格子定数を21/2b<a<cとし、かつc軸が分極軸であるとき、b軸配向でエピタキシャル成長しているドメインを含むこと、などの前述した結晶配向および分極の特徴を有することにより、電気機械結合係数のより一層大きな圧電体積層体を得ることができる。
さらに、本実施形態によれば、前述したように、タンタル酸リチウム基板11上にニオブ酸カリウム層12を形成することにより、圧電体積層体全体として大きな電気機械結合係数を有することができる。
1.4.実験例
(1)第1の実験例
第1の実験例では、以下の方法によりLT基板11上にニオブ酸カリウム層12が形成された圧電体積層体100(図1参照)を形成した。
まず、LT基板(36゜Yカット)11の脱脂洗浄を行った。次に、LT基板11を基板ホルダーに装填した後、真空装置内に基板ホルダーごと導入し、酸素ガスを導入し、600℃まで加熱昇温した。
次に、KNbOターゲットの表面に、エネルギー密度2J/cm、周波数10Hz、パルス長10nsの条件でKrFエキシマレーザー(波長248nm)のパルス光を入射し、ターゲット表面にK、Nb、Oのプラズマプルームを発生させた。このプラズマプルームを、基板温度600℃、酸素分圧5×10−1Torrの条件でLT基板11に向けて照射し、LT基板11の上にニオブ酸カリウム層12を形成した。ニオブ酸カリウム層12の膜厚は0.5μmとした。ターゲット基板間距離は70mmとした。
以上の工程により、タンタル酸リチウム基板上にニオブ酸カリウム層が積層された圧電体積層体100を得た。
さらに、この圧電体積層体のニオブ酸カリウム(KNbO)層12のX線回折パターン(2θ−θスキャン)を図6に示す。ここでは、タンタル酸リチウム(LiTaO)基板11の(012)面で軸立てを行っている。図6に示すように、KNbOを擬立方晶の面指数で表記すると、KNbO(100)pc、KNbO(200)pcのピークが、LiTaO(012)、(024)、(036)のピークと共に観測された。従って、KNbOは、LiTaO(012)面上に(100)pc配向していることが確認された。
また、X線回折φスキャンを測定したところ、図7に示す結果が得られた。図7は、KNbO(011)pc(2θ=31.5°)のX線回折φスキャンである。図7に示すように、KNbO(101)pcのスポットは、ともに4回対称性を示しており、面間でKNbO(100)pc/LiTaO(012)、面内でKNbO[011]pc//LiTaO[−2110](−X軸)のエピタキシャル成長方位の関係になっていることが分かった。この方位関係を図に示すと図8のようになる。なお、図8において、表面弾性波は[−2110]方向に伝搬する。
(2)第2の実験例
第2の実験例では、以下の方法によりLT基板11上にニオブ酸カリウム層12が積層された圧電体積層体100を形成した。第2の実験例では、ニオブ酸カリウム層の成膜温度が第1の実験例と異なる以外は、第1の実験例と同様の方法を用いた。
まず、LT基板(36゜Yカット)11の脱脂洗浄を行った。次に、第1の実験例と同様に、LT基板11を基板ホルダーに装填した後、真空装置内に基板ホルダーごと導入し、酸素ガスを導入し、550℃まで加熱昇温した。
次に、KNbOターゲットの表面に、エネルギー密度2J/cm、周波数10Hz、パルス長10nsの条件でKrFエキシマレーザー(波長248nm)のパルス光を入射し、ターゲット表面にK、Nb、Oのプラズマプルームを発生させた。このプラズマプルームを、基板温度550℃、酸素分圧5×10−1Torrの条件で基板11に向けて照射し、LT基板11の上にニオブ酸カリウム層12を形成した。ニオブ酸カリウム層12の膜厚は0.5μmとした。ターゲット基板間距離は70mmとし、照射時間は30分とした。
以上の工程により、タンタル酸リチウム基板上にニオブ酸カリウム層が積層された圧電体積層体100を得た。
この圧電体積層体のニオブ酸カリウム(KNbO)層12のX線回折パターン(2θ−θスキャン)を測定したところ、図6と同様の結果が得られ、KNbOは、LiTaO(012)上に(100)pc配向していることが確認された。
また、X線回折φスキャンを測定したところ、図7と同様の結果が得られ、面間でKNbO(100)pc/LiTaO(012)、面内でKNbO[011]pc//LiTaO[−2110](−X軸)のエピタキシャル成長方位の関係になっていることが分かった。
さらに、このニオブ酸カリウム層12のラマン散乱スペクトルを測定したところ、擬立方晶(100)配向で取り得る斜方晶(101)ドメインおよび斜方晶(010)ドメイン(斜方晶b軸配向ドメイン)のうち、斜方晶b軸配向ドメインからなることが分かった。これは、ニオブ酸カリウム層12の堆積温度が550℃とタンタル酸リチウムのキュリー温度603℃より低いために、タンタル酸リチウムの分極された分極モーメントが保存され、その上のニオブ酸カリウム層の分極ドメインが一方向に揃ったためと考えられる。この方位関係を図に示すと、図9(A),(B)のようになる。図9(A)、(B)において、「KNbO(010)ortho」は、ニオブ酸カリウムの斜方晶b軸配向ドメインを示す。図9(B)において、矢印P1はタンタル酸リチウムの分極ベクトルを示し、矢印P2は当該分極ベクトルP1を(012)面に投影したベクトルを示し、P3はニオブ酸カリウムの分極軸を示す。なお、図9において、表面弾性波は[−2110]方向に伝搬する。
2.第2の実施形態
次に本発明にかかる圧電体積層体を適用したデバイスの例について述べる。
2.1.表面弾性波素子
第2の実施形態に係る表面弾性波素子の一例について、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る表面弾性波素子200を模式的に示す断面図である。図10において、図1に示す圧電体積層体100の部材と実質的に同じ部材には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
表面弾性波素子200は、LT基板11と、LT基板11上に形成されたニオブ酸カリウム層12と、ニオブ酸カリウム層12上に形成されたインターディジタル型電極(以下、「IDT電極」という)18,19と、を含む。IDT電極18,19は、所定のパターンを有する。
本実施形態に係る表面弾性波素子200は、本発明に係る圧電体積層体を含み、当該圧電体積層体の特徴を有する。
本実施形態に係る表面弾性波素子200は、本発明に係る圧電体積層体を用いて、例えば以下のようにして形成される。
まず、図1に示す圧電体積層体100のニオブ酸カリウム層12上に、例えば真空蒸着法により金属層を形成する。金属層としては、例えばアルミニウムを用いることができる。次に、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて金属層をパターニングすることにより、ニオブ酸カリウム層13上にIDT電極18,19を形成する。
本実施形態に係る表面弾性波素子200は、本発明に係る圧電体積層体を有する。従って、この表面弾性波素子200によれば、電気機械結合係数の大きな表面弾性波素子を実現することが可能となる。
次に、本実施形態に係る表面弾性波素子200について行った実験例について述べる。
(1)第1の実験例
第1の実施形態における第1の実験例で得られた圧電体積層体100を用いて、第1の実験例の表面弾性波素子200を形成した。圧電体積層体100は、擬立方晶表示で(100)面に配向してエピタキシャル成長したニオブ酸カリウム層12を有する。なお、IDT電極としては、厚さ100nmのアルミニウム層を用いた。
得られた表面弾性波素子200について、IDT電極18,19の間での表面弾性波の遅延時間Vopenを測定した。その結果から求められた音速は、5000m/sであった。また、IDT電極18,19の間を金属薄膜で覆った場合の表面弾性波の遅延時間Vshortとの差から求められた電気機械結合係数は10%であった。
また、ニオブ酸カリウムの代わりに、K1−x―yNaLiNb1−zTa(0<x<1、0<y<1、0<z<1)を用いた表面弾性波素子200の場合も同様の効果が得られた。
(2)第2の実験例
また、第1の実施形態における第2の実験例で得られた圧電体積層体100を用いて、第2の実験例の表面弾性波素子200を形成した。圧電体積層体100は、単一ドメインのニオブ酸カリウム層12を有する。このニオブ酸カリウム層は、斜方晶b軸配向ドメインを含み、分極ベクトルは、基板11の[−2110]ベクトル(−X軸)に対して垂直であった。なお、IDT電極としては、第1の実験例と同様、厚さ100nmのアルミニウム層を用いた。
得られた表面弾性波素子200について、IDT電極18,19の間での表面弾性波の遅延時間Vopenを測定した。その結果から求められた音速は、5000m/sであった。また、IDT電極18,19の間を金属薄膜で覆った場合の表面弾性波の遅延時間Vshortとの差から求められた電気機械結合係数は35%であった。このように、擬立方晶(100)配向のニオブ酸カリウム層13を用いた場合(第1の実験例)の電気機械結合係数(10%)に比べ、単一ドメインのニオブ酸カリウム層12をエピタキシャル成長させることによって、電気機械結合係数が改善されることが明らかとなった。
2.2.周波数フィルタ
次に、第2の実施形態に係る周波数フィルタの一例について、図面を参照しながら説明する。図11は、本実施形態の周波数フィルタを模式的に示す図である。
図11に示すように、周波数フィルタは基体140を有する。この基体140としては、本発明に係る圧電体積層体、例えば図1に示す圧電体積層体100を用いることができる。
基体140の上面には、IDT電極141、142が形成されている。また、IDT電極141、142を挟むように、基体140の上面には吸音部143、144が形成されている。吸音部143、144は、基体140の表面を伝播する表面弾性波を吸収するものである。基体140上に形成されたIDT電極141には高周波信号源145が接続されており、IDT電極142には信号線が接続されている。
次に、上述の周波数フィルタの動作について説明する。
前記構成において、高周波信号源145から高周波信号が出力されると、この高周波信号はIDT電極141に印加され、これによって基体140の上面に表面弾性波が発生する。IDT電極141から吸音部143側へ伝播した表面弾性波は、吸音部143で吸収されるが、IDT電極142側へ伝播した表面弾性波のうち、IDT電極142のピッチ等に応じて定まる特定の周波数または特定の帯域の周波数の表面弾性波は電気信号に変換されて、信号線を介して端子146a、146bに取り出される。なお、前記特定の周波数または特定の帯域の周波数以外の周波数成分は、大部分がIDT電極142を通過して吸音部144に吸収される。このようにして、本実施形態の周波数フィルタが有するIDT電極141に供給した電気信号のうち、特定の周波数または特定の帯域の周波数の表面弾性波のみを得る(フィルタリングする)ことができる。
2.3.発振器
第2の実施形態に係る発振器の一例について、図面を参照しながら説明する。図12は、本実施形態の発振器を模式的に示す図である。
図12に示すように、発振器は基体150を有する。この基体150としては、上述した周波数フィルタと同様に、本発明に係る圧電体積層体、例えば図1に示す圧電体積層体100を用いることができる。
基体150の上面には、IDT電極151が形成されており、さらに、IDT電極151を挟むように、IDT電極152、153が形成されている。IDT電極151を構成する一方の櫛歯状電極151aには、高周波信号源154が接続されており、他方の櫛歯状電極151bには、信号線が接続されている。なお、IDT電極151は、電気信号印加用電極に相当し、IDT電極152、153は、IDT電極151によって発生される表面弾性波の特定の周波数成分または特定の帯域の周波数成分を共振させる共振用電極に相当する。
次に、上述の発振器の動作について説明する。
前記構成において、高周波信号源154から高周波信号が出力されると、この高周波信号は、IDT電極151の一方の櫛歯状電極151aに印加され、これによって基体150の上面にIDT電極152側に伝播する表面弾性波およびIDT電極153側に伝播する表面弾性波が発生する。これらの表面弾性波のうちの特定の周波数成分の表面弾性波は、IDT電極152およびIDT電極153で反射され、IDT電極152とIDT電極153との間には定在波が発生する。この特定の周波数成分の表面弾性波がIDT電極152、153で反射を繰り返すことにより、特定の周波数成分または特定の帯域の周波数成分が共振して、振幅が増大する。この特定の周波数成分または特定の帯域の周波数成分の表面弾性波の一部は、IDT電極151の他方の櫛歯状電極151bから取り出され、IDT電極152とIDT電極153との共振周波数に応じた周波数(または、ある程度の帯域を有する周波数)の電気信号が端子155aと端子155bに取り出すことができる。
図13および図14は、上述した発振器をVCSO(Voltage Controlled SAW Oscillator:電圧制御SAW発振器)に応用した場合の一例を模式的に示す図であり、図13は側面透視図であり、図14は上面透視図である。
VCSOは、金属製(Alまたはステンレススチール製)の筐体60内部に実装されて構成されている。基板61上には、IC(Integrated Circuit)62および発振器63が実装されている。この場合、IC62は、外部の回路(不図示)から入力される電圧値に応じて、発振器63に印加する周波数を制御する発振回路である。
発振器63は、基体64上に、IDT電極65a〜65cが形成されており、その構成は、図12に示す発振器とほぼ同様である。基体64としては、上述した図12に示す発振器と同様に、本発明に係る圧電体積層体、例えば図1に示す圧電体積層体100を用いることができる。
基板61上には、IC62と発振器63とを電気的に接続するための配線66がパターニングされている。IC62および配線66が、例えば金線等のワイヤー線67によって接続され、発振器63および配線66が金線等のワイヤー線68によって接続されている。これにより、IC62と発振器63とが配線66を介して電気的に接続されている。
図13および図14に示すVCSOは、例えば、図15に示すPLL回路のVCO(Voltage Controlled Oscillator)として用いられる。図15は、PLL回路の基本構成を示すブロック図である。PLL回路は、位相比較器71、低域フィルタ72、増幅器73、およびVCO74から構成されている。位相比較器71は、入力端子70から入力される信号の位相(または周波数)と、VCO74から出力される信号の位相(または周波数)とを比較し、その差に応じて値が設定される誤差電圧信号を出力するものである。低域フィルタ72は、位相比較器71から出力される誤差電圧信号の位置の低周波成分のみを通過させるものである。増幅器73は、低域フィルタ72から出力される信号を増幅するものである。VCO74は、入力された電圧値に応じて発振する周波数が、ある範囲で連続的に変化する発振回路である。
このような構成のもとにPLL回路は、入力端子70から入力される位相(または周波数)と、VCO74から出力される信号の位相(または周波数)との差が減少するように動作し、VCO74から出力される信号の周波数を入力端子70から入力される信号の周波数に同期させる。VCO74から出力される信号の周波数が入力端子70から入力される信号の周波数に同期すると、その後は一定の位相差を除いて入力端子70から入力される信号に一致し、また、入力信号の変化に追従するような信号を出力するようになる。
以上述べたように、本実施形態に係る周波数フィルタおよび発振器は、本発明に係る電気機械結合係数の大きな表面弾性波素子を有する。従って、本実施形態によれば、周波数フィルタおよび発振器の小型化を実現することが可能となる。
2.4.電子回路および電子機器
(1)第1の電子回路および電子機器
第2の実施形態に係る電子回路および電子機器の第1の例について、図面を参照しながら説明する。図16は、本実施形態に係る電子機器300の電気的構成を示すブロック図である。電子機器300とは、例えば携帯電話機である。
電子機器300は、電子回路310、送話部80、受話部91、入力部94、表示部95、およびアンテナ部86を有する。電子回路310は、送信信号処理回路81、送信ミキサ82、送信フィルタ83、送信電力増幅器84、送受分波器85、低雑音増幅器87、受信フィルタ88、受信ミキサ89、受信信号処理回路90、周波数シンセサイザ92、および制御回路93を有する。
電子回路310において、送信フィルタ83および受信フィルタ88として、図11に示す周波数フィルタを用いることができる。フィルタリングする周波数(通過させる周波数)は、送信ミキサ82から出力される信号のうちの必要となる周波数、および、受信ミキサ89で必要となる周波数に応じて、送信フィルタ83および受信フィルタ88で個別に設定されている。また、周波数シンセサイザ92内に設けられるPLL回路(図15参照)のVCO74として、図12に示す発振器、または図13および図14に示すVCSOを用いることができる。
送話部80は、例えば音波信号を電気信号に変換するマイクロフォン等で実現されるものである。送信信号処理回路81は、送話部80から出力される電気信号に対して、例えばD/A変換処理、変調処理等の処理を施す回路である。送信ミキサ82は、周波数シンセサイザ92から出力される信号を用いて送信信号処理回路81から出力される信号をミキシングするものである。送信フィルタ83は、中間周波数(以下、「IF」と表記する)の必要となる周波数の信号のみを通過させ、不要となる周波数の信号をカットするものである。送信フィルタ83から出力される信号は、変換回路(図示せず)によってRF信号に変換される。送信電力増幅器84は、送信フィルタ83から出力されるRF信号の電力を増幅し、送受分波器85へ出力するものである。
送受分波器85は、送信電力増幅器84から出力されるRF信号をアンテナ部86へ出力し、アンテナ部86から電波の形で送信するものである。また、送受分波器85は、アンテナ部86で受信した受信信号を分波して、低雑音増幅器87へ出力するものである。低雑音増幅器87は、送受分波器85からの受信信号を増幅するものである。低雑音増幅器87から出力される信号は、変換回路(図示せず)によってIFに変換される。
受信フィルタ88は、変換回路(図示せず)によって変換されたIFの必要となる周波数の信号のみを通過させ、不要となる周波数の信号をカットするものである。受信ミキサ89は、周波数シンセサイザ92から出力される信号を用いて、受信フィルタ88から出力される信号をミキシングするものである。受信信号処理回路90は、受信ミキサ89から出力される信号に対して、例えばA/D変換処理、復調処理等の処理を施す回路である。受話部91は、例えば電気信号を音波に変換する小型スピーカ等で実現されるものである。
周波数シンセサイザ92は、送信ミキサ82へ供給する信号、および、受信ミキサ89へ供給する信号を生成する回路である。周波数シンセサイザ92は、PLL回路を有し、このPLL回路から出力される信号を分周して新たな信号を生成することができる。制御回路93は、送信信号処理回路81、受信信号処理回路90、周波数シンセサイザ92、入力部94、および表示部95を制御する。表示部95は、例えば携帯電話機の使用者に対して機器の状態を表示する。入力部94は、例えば携帯電話機の使用者の指示を入力する。
(2)第2の電子回路および電子機器
第2の実施形態に係る電子回路および電子機器の第2の例について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、電子機器の例として、リーダライタ2000およびそれを用いた通信システム3000について説明する。図17は、本実施形態に係るリーダライタ2000を用いた通信システム3000を示す図であり、図18は、図17に示す通信システム3000の概略ブロック図である。
図17に示すように、通信システム3000は、リーダライタ2000と、非接触情報媒体2200と、を含む。リーダライタ2000は、キャリア周波数fを有する電波W(以下「キャリア」ともいう)を非接触情報媒体2200へ送信し、または非接触情報媒体2200から受信し、無線通信を利用して非接触情報媒体2200と交信する。電波Wは任意の周波数帯のキャリア周波数fcを使用することができる。図17および図18に示されるように、リーダライタ2000は、本体2105と、本体2105上面に位置するアンテナ部2110と、本体2105内部に格納される制御インターフェース部2120と、電源回路172と、を含む。アンテナ部2110と制御インターフェース部2120とは、ケーブル2180によって電気的に接続されている。また、図示はしないが、リーダライタ2000は、制御インターフェース部2120を介して、外部ホスト装置(処理装置など)に接続されている。
アンテナ部2110は、非接触情報媒体2200との間で情報の通信を行う機能を有する。アンテナ部2110は、図17に示すように、所定の通信領域(点線で示す領域)を有する。アンテナ部2110は、ループアンテナ112および整合回路114により構成される。
制御インターフェース部2120は、送信部161と、減衰振動キャンセル部(以下「キャンセル部」という)140と、受信部168と、コントローラ160と、を含む。
送信部161は、外部装置(図示せず)より送信されたデータを変調し、ループアンテナ112に送信する。送信部161は、発振回路162と、変調回路163と、駆動回路164と、を含む。発振回路162は、所定の周波数のキァリアを発生させるための回路である。発振回路162は、通常、水晶振動子等を用いて構成されるが、上述した発振器を用いることにより、通信周波数の高周波化、検出感度の向上が可能となる変調回路163は、キャリアを与えられた情報に従って変調する回路である。駆動回路164は、変調されたキャリアを受けて電力増幅し、アンテナ部2110を駆動する。
キャンセル部165は、キャリアのON/OFFに伴い、アンテナ部2110のループアンテナ112によって発生する減衰振動を抑制する機能を有する。キャンセル部165は、ロジック回路166と、キャンセル回路167と、を含む。
受信部168は、検波部169と、復調回路170と、を含む。受信部168は、非接触情報媒体2200が送信した信号を復元する。検波部169は、例えば、ループアンテナ112に流れる電流の変化を検出する。復調回路170は、検波部169で検出された変化分を復調する回路である。
コントローラ160は、復調した信号から情報を取り出して外部装置に転送する。電源回路172は、外部より電力の供給を受けて適宜電圧変換を行い、各回路に対し必要電力を供給する回路である。なお、内蔵電池を電力源とすることもできる。
非接触情報媒体2200は、リーダライタ2000と電磁波(電波)を用いて交信する。非接触情報媒体2200としては、例えば、非接触ICタグ、非接触ICカードなどを挙げることができる。
次に、本実施形態のリーダライタ2000を用いた通信システム3000の動作について説明する。リーダライタ2000から非接触情報媒体2200にデータが送られる場合には、図示しない外部装置からのデータは、リーダライタ2000において、コントローラ160で処理されて送信部161に送られる。送信部161では、発振回路162から一定振幅の高周波信号がキャリアとして供給されており、このキャリアが変調回路163により変調されて、変調高周波信号が出力される。変調回路163から出力される変調高周波信号は、駆動回路164を介してアンテナ部2110に供給される。これと同時に、キャンセル部165が、変調高周波信号のOFFタイミングに同期して、所定のパルス信号を生成し、ループアンテナ112における減衰振動の抑制に寄与する。
非接触情報媒体2200においては、アンテナ部186を介して、変調高周波信号が受信回路180に供給される。また、変調高周波信号は、電源回路182に供給されて、非接触情報媒体2200の各部に必要な所定の電源電圧が生成される。受信回路180から出力されたデータは、復調されてロジック制御回路184に供給される。ロジック制御回路184は、クロック183の出力に基づいて動作し、供給されるデータを処理して所定のデータをメモリ185に書き込む。
非接触情報媒体2200からリーダライタ2000にデータが送られる場合は、リーダライタ2000において、変調回路163からは無変調で一定振幅の高周波信号が出力される。高周波信号は、駆動回路164、アンテナ部2110のループアンテナ112を介して、非接触情報媒体2200に送られる。
非接触情報媒体2200においては、メモリ185から読み出されたデータがロジック制御回路184で処理されて、送信回路181に供給される。送信回路181では、データの‘1’、‘0’ビットに応じて、スイッチがON/OFFする。
リーダライタ2000においては、送信回路181のスイッチがON/OFFすると、アンテナ部2110のループアンテナ112の負荷が変動する。このため、ループアンテナ112に流れる高周波電流の振幅が変動する。即ち、高周波電流は、非接触情報媒体2200から供給されるデータによって振幅変調される。この高周波電流は、受信部168の検波部169で検出され、復調回路170で復調されてデータが得られる。このデータは、コントローラ160で処理され、外部装置などに送られる。
本実施形態に係る電子回路および電子機器は、本発明に係る電気機械結合係数の大きな表面弾性波素子を有する。従って、本実施形態によれば、電子回路および電子機器の省電力化を実現することが可能となる。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、本発明に係る周波数フィルタ、発振器はそれぞれ、UWBシステム、携帯電話機、無線LAN等における広帯域フィルタ、VCOに適用することができる。
また、例えば、上記実施形態においては、電子機器として携帯電話機およびリーダライタを用いた通信システムを、電子回路として携帯電話機およびリーダライタ内に設けられる電子回路をその一例として挙げて説明した。しかしながら、本発明はこれらに限定されることなく、種々の移動体通信機器およびその内部に設けられる電子回路に適用することができる。例えば、BS(Broadcast Satellite)放送等を受信するチューナなどの据置状態で使用される通信機器およびその内部に設けられる電子回路、光ケーブル中を伝播する光信号等を用いるHUBなどの電子機器およびその内部に設けられる電子回路にも適用することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
第1の実施形態に係る圧電体積層体を模式的に示す断面図。 タンタル酸リチウム結晶を六方晶で模式的に示す図。 ニオブ酸カリウム層のタンタル酸リチウム基板との傾きを模式的に示す図。 斜方晶および擬立方晶を模式的に示す図。 Yカットタンタル酸リチウム基板のカット角度と(012)配向との関係を模式的に示す図。 第1の実験例に係るKNbO層の2θ−θスキャンのX線回折図。 第1の実験例に係るKNbO層のφスキャンのX線回折図。 第1の実験例に係る擬立方晶KNbO層のLiTaO基板との方位関係を示す図。 第2の実験例に係る斜方晶KNbO層のLiTaO基板との方位関係を示す図。 第2の実施形態に係る表面弾性波素子を示す断面図。 第2の実施形態に係る周波数フィルタを示す斜視図。 第2の実施形態に係る発振器を示す斜視図。 第2の実施形態に係る発振器をVCSOに応用した一例を示す概略図。 第2の実施形態に係る発振器をVCSOに応用した一例を示す概略図。 PLL回路の基本構成を示すブロック図。 第2の実施形態に係る電子回路の構成を示すブロック図。 第2の実施形態に係るリーダライタを用いた通信システムを示す図。 図17に示す通信システムの概略ブロック図。
符号の説明
11 LT基板、12 ニオブ酸カリウム層、18,19 IDT電極、70 入力端子、71 位相比較器、72 低域フィルタ、73 増幅器、74 VCO、80 送話部、81 送信信号処理回路、82 送信ミキサ、83 送信フィルタ、84 送信電力増幅器、85 送受分波器、86 アンテナ部、87 低雑音増幅器、88 受信フィルタ、89 受信ミキサ、90 受信信号処理回路、91 受話部、92 周波数シンセサイザ、93 制御回路、94 入力部、95 表示部、100 圧電体積層体、112 ループアンテナ、114 整合回路、140 基体、141 IDT電極、142 IDT電極、143 吸音部、144 吸音部、145 高周波信号源、150 基体、151 IDT電極、152 IDT電極、153 IDT電極、154 高周波信号源、160 コントローラ、161 送信部、162 発振回路、163 変調回路、164 駆動回路、165 キャンセル部、166 ロジック回路、167 キャンセル回路、168 受信部、169 検波部、170 復調回路、172 電源回路、180 受信回路、181 送信回路、182 電源回路、183 クロック、184 ロジック制御回路、185 メモリ、186 アンテナ部、200 表面弾性波素子、250 発振器、300 電子機器、310 電子回路、2000 リーダライタ、2105 本体、2110 アンテナ部、2120 制御インターフェース部、2200 非接触情報媒体,3000 通信システム

Claims (5)

  1. タンタル酸リチウム基板と、
    前記タンタル酸リチウム基板の上方に形成されたニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層と、を含み、
    前記タンタル酸リチウム基板は、36〜42度Yカット単結晶基板であり、
    前記ニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層は、擬立方晶表示で(100)面に配向し、かつその(100)面と前記タンタル酸リチウム基板の表面とのなす角度は、3度以上10度以下であり、
    前記擬立方晶表示の(100)面は、前記タンタル酸リチウム基板の(012)面と平行であり、
    前記ニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層の[011]ベクトルは、前記タンタル酸リチウム基板の[−2110]ベクトルと平行となる向きでエピタキシャル成長している、圧電体積層体。
  2. 請求項において、
    前記ニオブ酸カリウム層またはニオブ酸カリウム固溶体層は、斜方晶ニオブ酸カリウムの格子定数を21/2b<a<cとし、かつc軸が分極軸であるとき、b軸配向でエピタキシャル成長しているドメインを含む、圧電体積層体。
  3. 請求項において、
    前記b軸配向でエピタキシャル成長しているドメインにおいて、分極軸が前記タンタル酸リチウム基板の[−2110]ベクトルと垂直をなすドメインを含む、圧電体積層体。
  4. 請求項において、
    前記分極軸が前記タンタル酸リチウム基板の[−2110]ベクトルと垂直をなすドメインにおいて、分極ベクトルは、前記タンタル酸リチウム基板の分極ベクトルを前記(012)面へ投影してできるベクトルの向きと平行で、かつ向きが一致している、圧電体積層体。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の圧電体積層体を含む、デバイス。
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