JP4923173B2 - ポリエステル織編物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル織編物に関するものであり、更に詳しくは、潜在捲縮糸を用いた高品位かつ風合いの良好なポリエステル織編物に関するものである。
ポリエステル系繊維を用いて製編織されたポリエステル織編物は、優れた物理的特性と化学的特性を有しており、衣料用途および資材用途に広く用いられている。特に近年の衣料用途では、着用快適性の観点からストレッチ性に加えて適度なストレッチバック性の要望が強く、織編物にしたのちの染色加工工程で捲縮を発現するいわゆる潜在捲縮糸が良く用いられており、なかでも溶融粘度の異なる2成分をサイドバイサイド型に張り合わせ、2成分間の熱収縮差によりコイル状の捲縮を発現する潜在捲縮糸が最もよく用いられている。しかしながら、このタイプの潜在捲縮糸を用いた織編物においては、楊柳調のシボが発生して品位が低下するという問題点が指摘されていた(例えば、非特許文献1参照)。
この問題点を解消すべく、中撚から強撚の撚りを施す方法が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、この方法により高品位とストレッチおよびストレッチバック性能は得られるものの、その風合いは撚りによるガサつき感の強いものであった。
そこで、ソフトな風合いを得るため一つの方法として、潜在捲縮糸の単糸繊度を小さくすることが考えられるが、単糸繊度が小さくなると、ソフトな風合いは得られるものの、捲縮性能が低下し、十分なストレッチおよびストレッチバック性能が得られないという問題があった。
一方、捲縮性能を向上させる手段として、2種類のポリエステル成分すなわち高溶融粘度成分と低溶融粘度成分の粘度差を大きくすると、溶融紡糸時の吐出糸条の屈曲が大きくなる。このように吐出糸条の屈曲が大きくなると、糸条が紡糸口金に付着して切断が生じ、安定して紡糸を行うことができないという問題があった。特に、単糸繊度の小さい繊維においては、吐出直後に屈曲しやすく、操業性が著しく悪いものであった。
したがって、潜在捲縮糸を用いて高品位とソフトな風合いとを兼備するポリエステル織編物が求められている。
「第5回消費科学総合シンポジウム」(社団法人日本繊維製品消費科学会発行) 特許第3119389号公報
本発明は上記のような状況に鑑み、潜在捲縮糸を用いた高品位かつ風合いの良好なポリエステル織編物を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、下記(1)〜(4)の条件を同時に満足する潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りもしくは撚り係数(K)7000以下で加撚した糸条を用いて製織もしくは製編されてなるポリエステル織編物において、前記潜在捲縮マルチフィラメント糸が、溶融粘度の異なる2種類のポリエステル成分より構成されるポリエステル複合繊維からなり、さらに前記ポリエステル複合繊維が、下記(a)成分もしくは下記(a)成分に加えて下記(b)、(c)成分のうち少なくとも1種を、(a)〜(c)の合計が5〜15モル%となる割合で含有するポリエチレンテレフタレートよりなる高溶融粘度ポリエステル成分と、ポリエチレンテレフタレートよりなる低溶融粘度ポリエステル成分とが互いにサイドバイサイド型に貼り合わされた形状を呈し、かつ下記(5)の条件を満足するポリエステル複合繊維であることを特徴とするポリエステル織編物を要旨とする。
(a)2,2−ビス{4−(Β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン
(b)スルホン酸塩基化合物
(c)イソフタル酸
(1)0.8dtex≦単糸繊度≦1.5dtex
(2)30%≦沸水30分処理後の伸縮伸長率≦50%
(3)3%≦熱水収縮率≦8%
(4)4%≦乾熱収縮率≦10%
(5)0.05≦〔Η〕A−〔Η〕B≦0.30
ただし、〔Η〕Aは高溶融粘度ポリエステル成分の極限粘度、〔Η〕Bは低溶融粘度ポリエステル成分の極限粘度である。
本発明のポリエステル織編物は、熱収縮特性が最適化された単糸繊度の細い潜在捲縮マルチフィラメント糸が無撚りもしくは甘撚りで使用されていることにより、適度なストレッチ性およびストレッチバック性、良好なソフト感に加え、楊柳調のシボが発生しない良好な織編物品位を有するポリエステル織編物である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル織編物においては、ポリエステル系の潜在捲縮マルチフィラメント糸を用いる。
本発明に用いる潜在捲縮マルチフィラメント糸の単糸繊度としては、0.8dtex〜1.5dtexとする。単糸繊度が1.5dtexを超えると、織編物の風合いとしての優れたソフト感を得ることが困難となる。一方、単糸繊度が0.8dtex未満では、紡糸時に糸条が紡糸口金に付着しやすくなり、安定して紡糸を行うことが困難である。
また、本発明に用いる潜在捲縮マルチフィラメント糸の沸水30分処理後の伸縮伸長率としては、30〜50%の範囲内にあることが必要である。30%未満では捲縮性能が不十分であり、織編物において十分なふくらみ感とストレッチ性能を具現することができない。一方、50%を超えると、織編物の表面に楊柳調のシボが発現して品位が低下する。ここで、沸水30分処理後の伸縮伸長率とは、次の方法により測定して得られる値をいう。
(沸水30分処理後の伸縮伸長率の測定方法)
JIS L―1013 8.11 B法において、サンプリング後の試料に湿熱処理を加えて測定を行う。すなわち、まず、JIS L―1013 8.11 B法に準じて10本1束の試料を用意し、巻き取ったりせずにフリーな状態のまま標準状態(温度20℃、湿度65%RH)で24時間放置する。次いで同じくフリーな状態のまま沸水中に30分間保持するという処理を行い、24時間風乾後、JIS L―1013 8.11 B法の記載に準じて測定を行い、次式で伸縮伸長率を算出する。
伸縮伸長率(%)=〔(b−a)/a〕×100
ただし、aは0.176mN×表示テックス数×10の荷重を掛けて30秒後の試料長(cm)であり、bは8.82mN×表示テックス数×10の荷重を掛けて30秒後の試料長(cm)である。
また、本発明に用いる潜在捲縮マルチフィラメント糸の熱水収縮率としては、3〜8%の範囲内にあることが必要であり、5〜7%が好ましい。また、乾熱収縮率としては、4〜10%の範囲内にあることが必要である。熱水収縮率が3%未満であったり、乾熱収縮率が4%未満であったりすると、織編物の染色加工時におけるリラックス工程で十分な幅入れができず、その結果として織編物のストレッチ性能が低下する。一方、熱水収縮率が8%を超えたり、乾熱収縮率が10%を超えたりすると、織編物の表面に楊柳調のシボが発現して品位が低下する。
本発明では、上記潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りで、もしくは撚り係数(K)が7000以下の範囲、好ましくは5000以下の範囲で加撚して用いる。撚り係数(K)が7000を超えると、上記したように単糸繊度が0.8dtex以上であることから糸が強く収束して風合いが硬くなり、所望のソフト感が得られない。なお、撚り係数(K)とは、次式により求められるものである。
T=K×{1/(D)1/2
ただし、Tは1m当たりの撚り数(t/m)、Dは繊度(dtex)である。
上記した撚り係数(K)の範囲からわかるように、本発明では、潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りもしくは甘撚りの状態で使用する。従来、潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りもしくは甘撚りで製織もしくは製編に使用したとき、織編物に楊柳調のシボ等が生じて良好な織編物品位を得ることができなかったが、本発明者らは、鋭意検討の結果、伸縮伸張率と熱収縮特性を一定範囲内に制御した潜在捲縮マルチフィラメント糸を使用することによりこれを可能とした。すなわち、本発明において重要なことは、上記したような沸水30分後の伸縮伸長率、熱水収縮率及び乾熱収縮率の条件を満たす潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りもしくは撚り係数(K)7000以下で使用することにより、従来にない高品位とソフトな風合いとを兼備するポリエステル織編物を実現させたという点にある。
本発明における潜在捲縮マルチフィラメント糸としては、上記の特性を満足するものでありさえすればよく、それ以外の形態等の点で特に限定されるものではないが、溶融粘度の異なる2種類のポリエステル成分が互いにサイドバイサイド型に貼り合わされた形状、又は芯成分と鞘成分に偏心配置された形状を呈するものが好ましく、捲縮特性の調整が比較的容易に行えることからサイドバイサイド型が特に好ましい。
本発明における潜在捲縮マルチフィラメント糸として特に好ましい、溶融粘度の異なる2種類のポリエステル成分が互いにサイドバイサイド型に貼りあわされた形状を呈するものについて次に説明する。
溶融粘度が相対的に高い方の成分、すなわち高溶融粘度ポリエステル成分としては、下記(a)〜(c)の3成分のうち少なくとも1種を含有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。
(a)2,2−ビス{4−(Β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン
(b)スルホン酸塩基化合物
(c)イソフタル酸
上記(a)〜(c)の3成分のうち少なくとも一種を含有することで、高溶融粘度ポリエステル成分は、熱収縮率が高くなり、低溶融粘度ポリエステル成分との熱収縮率差を大きくすることができ、その結果、繊維全体の潜在捲縮率を高めることが可能となる。つまり、高溶融粘度ポリエステル成分と低溶融粘度ポリエステル繊維の極限粘度差をあまり大きくしなくても潜在捲縮率を高めることができるので、単糸繊度の小さい繊維であっても紡糸直後の糸条の屈曲が小さく、操業性よく生産することが可能となる。
なお、本発明でいうポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)とは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリマーの総称であり、エチレンテレフタレート以外の成分が共重合等により含有されているものを除外しないことはいうまでもない。
PETに上記(a)〜(c)の成分が含有される態様としては、共重合されていることが好ましいが、ブレンドによるものであってもよい。含有量としては、(a)〜(c)の3成分の合計で5〜15モル%となる割合で含有されることが好ましく、6〜12モル%となる割合で含有されることがより好ましい。当該含有量が5モル%未満では、十分な潜在捲縮性能が得られず、一方、15モル%を超えると、紡糸性が阻害されたり、繊維強度が損なわれたりする傾向にあるので好ましくない。
上記3成分の中でも、(a)の2,2−ビス{4−(Β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンは、熱収縮性を向上させる効果が大きいため好ましい。すなわち、(a)〜(c)の3成分の少なくとも一種が含有されることが好ましいのであるが、少なくとも(a)が含有されることがより好ましく、(a)に加えて(b)及び/又は(c)が含有されることが特に好ましい。
(a)の2,2−ビス{4−(Β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンの含有量としては、2モル%以上が好ましく、4モル%以上がより好ましい。
(b)のスルホン酸塩基化合物としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が特に好ましい。(b)のスルホン酸塩基化合物を含有させる場合、その含有量としては、1モル%以上が好ましい。
また、(c)のイソフタル酸を含有させる場合、その含有量としては、2モル%以上が好ましい。
一方、溶融粘度が相対的に低い方の成分、すなわち低融粘度ポリエステル成分としては、PETが好ましく、特に、95モル%以上がエチレンテレフタレート成分で構成されているPETが好ましい。低溶融粘度ポリエステル成分としては、高溶融粘度ポリエステル成分より熱収縮性が低くなるようにする必要があるため、結晶性を大きく阻害する成分の含有されたものは好ましくない。同様に、上記高溶融粘度ポリエステル成分に含有される(a)〜(c)の成分は、低溶融粘度ポリエステル成分には含有されないことが好ましい。

なお、上記した高溶融粘度ポリエステル成分、低溶融粘度ポリエステル成分のいずれにおいても、目的とする特性を損なわない限りは、他の成分、あるいは、艶消剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、抗菌剤、導電性付与剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。
上記した高溶融粘度ポリエステル成分の極限粘度(〔Η〕A)と低溶融粘度ポリエステル成分の極限粘度(〔Η〕B)の差としては、0.05〜0.3が好ましく、0.05〜0.15がより好ましい。〔Η〕Aと〔Η〕Bとの差が0.05未満の場合には、潜在捲縮マルチフィラメント糸の捲縮性能の発現が不十分となり、十分なふくらみ感やストレッチ性能を有する布帛を得ることが困難になる。一方、その差が0.3を超えると、両ポリエステル成分の複合流が紡糸口金から吐出される際、糸条の屈曲が大きくなり、糸条が紡糸口金に付着して切断が生じ、安定して紡糸を行うことが困難となる。極限粘度の差が0.05〜0.3というのは、あまり大きな差ではない領域を含んでいるが、上記したように高溶融粘度ポリエステル成分には熱収縮率差を大きくすることができる成分が含有されているので、極限粘度の差をあまり大きくしなくても潜在捲縮率の高い複合繊維とすることができ、十分な潜在捲縮性能を有する潜在捲縮マルチフィラメント糸を得ることができるのである。
また、それぞれの極限粘度の値としては、〔Η〕Aは0.45〜0.90、〔Η〕Bは0.40〜0.70であることが好ましい。
なお、上記の極限粘度とは、ポリエステルをフェノールとテトラクロロエタンの1:1(質量比)混合溶媒で溶解し、ウベローデ粘度計を使用して、20℃で測定した値である。
本発明のポリエステル織編物は、上記したような無撚りのもしくは撚り係数(K)7000以下で加撚されたポリエステル系の潜在捲縮マルチフィラメント糸を少なくとも一部に用いて製織もしくは製編して得られるが、構成糸条のうちの50質量%以上に当該潜在捲縮マルチフィラメント糸を用いることが好ましい。
織編物の組織としては、特に限定されるものではない。したがって、上記したような潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りで、もしくは公知の方法により撚り係数(K)7000以下に加撚したうえで用いて公知の方法により製織もしくは製編し、必要に応じて精練、リラックス、染色等を施せばよい。精練、リラックス、染色のいずれかの工程において、潜在捲縮マルチフィラメント糸の捲縮を顕在化させることができ、その結果として織編物にストレッチ性能を具備させることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、実施例における各特性は、次の方法により測定又は評価した。
・沸水30分処理後の伸縮伸長率
上記本文中に記載した方法による。
・乾熱収縮率
JIS L―1013 8.18.2 A法に準じて処理温度180℃にて測定を行い、次式により乾熱収縮率を測定した。
乾熱収縮率(%)=(L−L)/L×100
ただし、Lは乾熱処理前の試料長(mm)、Lは乾熱処理・風乾後の試料長(mm)を表す。
・熱水収縮率
JIS L―1013 8.18.1 A法に準じて熱水処理温度100℃にて測定を行い、次式により熱水収縮率を測定した。
熱水収縮率(%)=(l−l)/l×100
ただし、lは熱水処理前の試料長(mm)、lは熱水処理・風乾後の試料長(mm)を表す。
・織物の風合い
官能評価により、次の3段階で評価した。
○:良好(ソフト)
△:やや不良(若干ガサつき感がある)
×:不良(ガサつき感が強い)
・織物の品位
織物の表面状態を目視評価により、次の3段階で評価した。
○:良好(シボがない)
△:やや不良(若干シボがある)
×:不良(シボが多く目立つ)
・織物のストレッチ性
官能評価により、次の3段階で評価した。
○:良好
△:やや不良
×:不良
実施例1
PETに2,2−ビス{4−(Β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン(BP−A/EOと略記する)を4.5モル%、イソフタル酸(IPAと略記する)を4.0モル%共重合したものであって、極限粘度が0.73のポリエステルを高溶融粘度ポリエステル成分とした。また、極限粘度が0.61のPETを低溶融粘度ポリエステル成分とした。
上記の高溶融粘度ポリエステル成分と低溶融粘度ポリエステル成分とを、複合紡糸型溶融押出機に等量供給し、紡糸温度295℃で溶融し、紡糸孔を48個有する紡糸口金の背面で両成分を合流させ、サイドバイサイド型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、油剤を付与しながら糸条を集束し、表面速度が3000m/分の引取ローラを介して捲取機で捲取った。次いで、得られた繊維を延伸機に供給し、表面温度85℃のローラと170℃のホットプレートを介して延伸倍率1.6倍で延伸して、56dtex/48fil(単糸繊度1.2dtex)の潜在捲縮マルチフィラメント糸を得た。この潜在捲縮マルチフィラメント糸の特性を表1に示す。
この潜在捲縮マルチフィラメント糸にS方向に650T/M(撚り係数4864)の加撚を施し、引き続き80℃×30分の条件で熱セットを行い、加撚糸条を得た。
緯糸としてこの加撚糸条を用い、経糸としてポリエステル非捲縮糸44dtex/24filを無撚りで用いて経糸密度220本/2.54cm、緯糸密度120本/2.54cmのサテン織物を製織した。このサテン織物を液流染色機にて苛性ソーダ1g/l、界面活性剤1g/lを併用した水溶液を用いて100℃×20分の条件で精錬し、引き続き130℃×20分の条件でリラックス処理を行い乾燥した。その後、180℃×20秒の条件で熱セットを行い、次いで液流染色機で下記処方にて130℃×30分の染色加工を施した後乾燥し、170℃×20秒の条件で仕上げセットを行うことにより、本発明のポリエステル織物を得た。
(処方)
・分散染料(タ゛イスターシ゛ャハ゜ン株式会社製、Dianix Blue AC-E) 1%omf
・分散均染剤(明成化学工業株式会社製、テ゛ィスハ゜ー GS-57) 0.5g/l
・酢酸(48%) 0.2cc/l
実施例2
潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りで用いたこと以外は、実施例1と同様にして行い、本発明のポリエステル織物を得た。
比較例1
撚り数を下記表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、比較用のポリエステル織物を得た。
実施例3
紡糸口金を交換してフィラメント数を70とし、単糸繊度を0.8dtexに変更したこと以外、実施例1と同様にして行い、本発明のポリエステル織物を得た。
比較例2及び3
紡糸口金を交換してフィラメント数を80及び28とし、単糸繊度をそれぞれ0.7dtex及び2.0dtexに変更したこと以外、実施例1と同様にして行い、比較用のポリエステル織物を得た。
実施例4
潜在捲縮マルチフィラメント糸における低溶融粘度ポリエステル成分であるPETの極限粘度を0.68に変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、本発明のポリエステル織物を得た。
比較例4
潜在捲縮マルチフィラメント糸における低溶融粘度ポリエステル成分であるPETの極限粘度を0.44に変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、比較用のポリエステル織物を得た。
実施例5
潜在捲縮マルチフィラメント糸における高溶融粘度ポリエステル成分として、PETにBP−A/EOを4.0モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(SIPと略記する)を2.0モル%共重合したものであって、極限粘度が0.70のポリエステルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして行い、本発明のポリエステル織物を得た。
比較例5
潜在捲縮マルチフィラメント糸を製造する際の延伸時のホットプレート温度を195℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、比較用のポリエステル織物を得た。
上記の実施例及び比較例における潜在捲縮マルチフィラメント糸の物性及びポリエステル織物の風合い、品位の評価結果を下記表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5で得られた織物は風合い、品位ともに優れたものであった。
これに対し比較例1の織物は、品位は良好であるものの潜在捲縮マルチフィラメント糸の撚り係数が高いため、また比較例3の織物は、潜在捲縮マルチフィラメント糸の単糸繊度が太いため風合いがガサついたものであった。特に比較例3の織物はややシボ状欠点がみられ品位も悪いものであった。比較例2及び比較例5の織物は、品位は良好であるが、潜在捲縮マルチフィラメント糸の伸縮伸長率が低いため、ソフト感が得られず風合いが悪くなり、ストレッチ性にも乏しいものであった。比較例4の織物は、潜在捲縮マルチフィラメント糸の伸縮伸長率が非常に高いため、織物表面に楊柳調のシボが非常に強く発生して低品位であり、また、シボにより風合いの評価が不能であった。

Claims (1)

  1. 下記(1)〜(4)の条件を同時に満足する潜在捲縮マルチフィラメント糸を無撚りもしくは撚り係数(K)7000以下で加撚した糸条を用いて製織もしくは製編されてなるポリエステル織編物において、前記潜在捲縮マルチフィラメント糸が、溶融粘度の異なる2種類のポリエステル成分より構成されるポリエステル複合繊維からなり、さらに前記ポリエステル複合繊維が、下記(a)成分もしくは下記(a)成分に加えて下記(b)、(c)成分のうち少なくとも1種を、(a)〜(c)の合計が5〜15モル%となる割合で含有するポリエチレンテレフタレートよりなる高溶融粘度ポリエステル成分と、ポリエチレンテレフタレートよりなる低溶融粘度ポリエステル成分とが互いにサイドバイサイド型に貼り合わされた形状を呈し、かつ下記(5)の条件を満足するポリエステル複合繊維であることを特徴とするポリエステル織編物。
    (a)2,2−ビス{4−(Β−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン
    (b)スルホン酸塩基化合物
    (c)イソフタル酸
    (1)0.8dtex≦単糸繊度≦1.5dtex
    (2)30%≦沸水30分処理後の伸縮伸長率≦50%
    (3)3%≦熱水収縮率≦8%
    (4)4%≦乾熱収縮率≦10%
    (5)0.05≦〔Η〕A−〔Η〕B≦0.30
    ただし、〔Η〕Aは高溶融粘度ポリエステル成分の極限粘度、〔Η〕Bは低溶融粘度ポリエステル成分の極限粘度である。
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